JP2005342874A - 砥石およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被研磨物に対する砥石の耐ダスト付着性と耐スクラッチ性を兼ね備え、かつ被研磨物の平坦化特性、機械的強度(引張強度、引張伸度、引張弾性率)に優れる、予め研磨せずに電子部品の研磨用として使用可能な砥石、およびそれを作業性よく短時間・省エネルギーで得る製造方法を提供する。
【解決手段】 コロイダルシリカ微粒子(a1)および有機シラン化合物の加水分解生成物(a2)を縮合反応して得られる有機被覆シリカ(A)が、エチレン性不飽和化合物を含む結合剤(B)により保持されてなる砥石。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウェハーをはじめとする電子部品、または光学レンズ等を研磨する際に好適に用いられる砥石およびその製造方法に関する。
電子部品や光学レンズ等の製造において、砥石は広く用いられている。
例えば半導体ウェハーの場合には、シリコンウェハーの研磨や配線凹凸の化学的機械的研磨(以下、CMPという)のいずれの用途において砥石が使用されている。
具体的には半導体の製造工程においては、シリコンウェハー上にアルミニウムや銅等で配線パターンを形成した後、その上をSiO等の絶縁膜で覆い、さらにその上にも配線層を形成する配線の多層化が進んでいる。このように配線の多層化が進むと、基板の表面には凸凹ができる。ところが、例えばHDD(Hard Diskdrive)用磁性基板等の場合、光露光法を用いて次工程のパターンをこの基板上に露光しようとすると、前述した凹凸が再生信号欠落が発生する原因となるので、この基板上の凹凸を平坦に加工する必要がある。そのため、CMPの重要性が増している。
このCMPにおいて用いる砥石には、研磨により砥石から生じるダストが被研磨物に付着せず、かつ研磨時に被研磨物にスクラッチ傷が発生しない、平滑性に優れる被研磨物を得ることが可能な特性が要求される。
従来の砥石は、軟質で減耗しやすいエポキシ、ポリエステル、ポリエーテル、ウレタン、メラミン樹脂等の熱硬化樹脂からなる結合剤に、微粒子状の砥粒が埋め込まれたマトリックス構造を有している。しかしながら、この砥石は注型重合により製造されるため、注型後に該砥粒が沈降したり、または注型作業時に気泡が混入してしまい、研磨加工能力が低いという課題がある。
また、従来の砥石に用いられている砥粒は、結合剤中における分散状態が不良であるため、未硬化時に結合剤中で砥粒の凝集塊が形成されてしまい、そのような砥粒の凝集塊を含む砥石で研磨すると被研磨物にスクラッチ傷が発生するという課題もある。
一方で、近年要求されている超高速研磨においては強度や研磨耐久性に優れ硬い砥石が、超精密研磨においては超微粒子砥粒を均一に分散させた砥石が望まれている。
このような課題に対して、微粒子が均一に分散し、しかも十分な強度を有する熱硬化樹脂を用いた研磨砥石が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3を参照)。また、光硬化樹脂からなる結合剤により砥粒が保持されている砥石が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5を参照)。
特開2001−205565号公報 特開2001−287152号公報 特開2002−137160号公報 特開平10−249735号公報 特開2001−1267号公報
しかしながら、特許文献1〜3記載の熱硬化型樹脂を用いて研磨砥石を得るには、200℃近い温度で1〜6時間程度かけて硬化させるという、長時間で高い製造コストがかかるという課題がある。また、特許文献4記載の砥石は、短時間、かつ光または電子線等の活性エネルギー線により省エネルギーで硬化可能であるが、砥粒である微粒子の分散安定性が十分ではなく経時的に沈降してしまうため、微粒子の分散状態が良好な時間内に硬化させる必要があり、また砥粒が均一に分散された砥石を得るのが困難であるという課題がある。
また、そのような砥石を特に半導体ウエハー等電子部品の研磨に用いるには、その砥石自体の平坦性を確保するために予めその砥石自体の研磨が必要となり、作業性が著しく悪いものとなっている。このような作業を行わなければ、被研磨物を平坦に鏡面加工できないばかりではなく、被研磨物にスクラッチ傷を与えてしまう(以下、被研磨物に対する耐スクラッチ性という)という課題がある。
本発明の目的は、被研磨物に対する耐スクラッチ性、耐ダスト付着性および平坦化特性と、機械的強度(引張強度、引張伸度、引張弾性率)や研磨耐久性に優れ、作業性よく短時間・省エネルギーで得ることが可能で、しかも予め砥石自体を研磨せずに半導体ウエハー等電子部品の研磨用として使用可能な砥石、およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、コロイダルシリカ微粒子(a1)(以下、成分(a1)と略記)および有機シラン化合物の加水分解生成物(a2)(以下、成分(a2)と略記)を縮合反応して得られる有機被覆シリカ(A)が、エチレン性不飽和化合物を含む樹脂からなる結合剤(B)により保持されてなる砥石、および下記(1)〜(3)の工程を含む砥石の製造方法にある。
(1)成分(a1)および成分(a2)を縮合反応して得られる有機被覆シリカ(A)を、エチレン性不飽和化合物を含む樹脂からなる未硬化の結合剤(B)中に分散させて混合物を得る工程
(2)前記工程(1)で得られた混合物を注型する工程
(3)前記工程(2)で注型した混合物に、活性エネルギー線を照射して混合物を硬化させる工程
本発明によれば、被研磨物に砥石のダストが付着せず、かつ被研磨物にスクラッチ傷を発生させずに被研磨物表面の平坦化特性を向上させることができ、しかも機械的強度(引張強度、引張伸度、引張弾性率)や研磨耐久性に優れる砥石を、作業性よく短時間・省エネルギーで得ることが可能である。また本発明の砥石は、予め研磨せずに、半導体ウエハ等電子部品の研磨用として使用可能であることから、特に超高速研磨用砥石や超精密研磨用砥石として好適に用いることができる。
さらに本発明の製造方法によれば、前述した特性を有する砥石を、時間・省エネルギーで作業性よく、所望する形状に賦形できるので、産業上の利用度は大である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは「アクリロイルオキシ基および/またはメタアクリロイルオキシ基」をそれぞれ意味する。
また、本発明において「耐スクラッチ性」とは砥石の研磨により被研磨物の研磨面にスクラッチ傷が生じない性能を意味し、「耐ダスト付着性」とは研磨により生じる砥石のダストが被研磨物に付着しない性能を意味する。
本発明の砥石は、成分(a1)および成分(a2)を縮合反応して得られる有機被覆シリカ(A)が、エチレン性不飽和化合物を含む樹脂からなる結合剤(B)により保持されてなる砥石である。
本発明の砥石を構成する有機被覆シリカ(A)は、成分(a1)と成分(a2)を縮合反応させることにより得られるものであり、未硬化の結合剤(B)との相溶性に極めて優れるものであることから、未硬化の結合剤(B)中において分散安定性に優れ、透明な硬化物を得ることが可能である。そのため、有機被覆シリカ(A)は、本発明の砥石を得るために用いる混合物に、貯蔵安定性、砥石製造時の作業性、およびその工程における管理の簡便さを発現させる成分である。
また、この有機被覆シリカ(A)は、本発明の砥石に被研磨物に対する耐スクラッチ性と砥石の研磨耐久性を付与する特性も有する。
成分(a1)は、無水ケイ酸の超微粒子を、水または有機溶媒等の分散媒に分散させた状態のものであり、特に限定されない。その中でも、被研磨物に対する耐スクラッチ性が良好となり、また超高速研磨や超精密研磨に適することから、無水ケイ酸の超微粒子の一次粒子径は、1〜200nmの範囲であることが好ましい。
本発明において用いる成分(a1)中に分散の無水ケイ酸の超微粒子の一次粒子径は、1〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜80nmの範囲が特に好ましい。
無水ケイ酸の超微粒子の一次粒子径が1nmより小さい場合には、成分(a2)との反応工程においてゲル化を起こしやすく、また、一次粒子径が200nmを超える場合には、砥石の研磨耐久性が低下し、また被研磨物の耐擦り傷性が不良となる傾向にある。
成分(a1)において、無水ケイ酸の超微粒子の分散に使用される分散媒の具体例としては、例えば水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の多価アルコール誘導体;メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のモノマー等が挙げられる。
それらの中でも、後述する成分(a2)との反応工程が容易であることから、炭素数3以下のアルコール系溶剤は、特に好ましい。
このような成分(a1)は、公知の方法で製造することもできるが、市販品を用いてもよい。
成分(a2)は、有機シラン化合物を加水分解してシラノール化合物としたものである。この成分(a2)は、成分(a1)と予め縮合反応させることにより、有機被覆シリカ(A)の未硬化の結合剤(B)に対する相溶性を向上させる成分である。
この成分(a2)を得るために用いる有機シラン化合物としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
その具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリス(3−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロアルキルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
また、これらの有機シラン化合物のエポキシ基やグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加したシラン化合物、アミノ基に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物をマイケル付加したシラン化合物、アミノ基やメルカプト基に(メタ)アクリロイルオキシ基およびイソシアネート基を有する化合物を付加したシラン化合物、イソシアネート基に(メタ)アクリロイルオキシ基および水酸基を有する化合物を付加したシラン化合物等が挙げられる。
それらの中でも、有機シラン化合物は、下記一般式(I)で示される単量体が最も好ましい。
Figure 2005342874
(式中、Xはメタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、スチリル基またはビニル基を、R1は炭素数0〜8の直鎖型または分岐型アルキレン基を、 R2、R3は炭素数1〜8の直鎖型または分岐型アルキル基を、aは1〜3の正の整数を、bは0〜2の正の整数を示し、a+bは1〜3の正の整数である。)
この一般式(I)で示される単量体は、有機被覆シリカ(A)の未硬化の結合剤(B)に対する相溶性の向上効果に優れ、しかも結合剤(B)との化学結合形成が可能な光硬化性を有機被覆シリカ(A)に発現させることが可能な成分である。また、その結果、砥石に研磨耐久性を付与することができる。
一般式(I)で示される単量体としては、活性エネルギー線の照射により重合活性を示すアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基またはビニル基を有する有機シラン化合物が挙げられる。
この一般式(I)で示される単量体の具体例としては、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
それらの中でも、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択されるシラン化合物は、未硬化の結合剤(B)との反応性が優れる点で特に好ましい。
本発明に用いる有機被覆シリカ(A)の製法は特に限定されず、成分(a1)と成分(a2)とを縮合反応することにより得られる。
その中でも、有機被覆シリカ(A)の未硬化の結合剤(B)に対する分散安定性の観点から、成分(a1)と成分(a2)を構成する有機シラン化合物の存在下で、成分(a1)中の分散媒を常圧または減圧下でトルエン等の非極性溶媒とともに共沸留出させ、該分散媒を非極性溶媒に置換した後、加熱下で成分(a1)と成分(a2)とを反応させて有機被覆シリカ(A)を得ることが好ましい。
なお、成分(a1)中の分散媒が既に非極性溶媒である場合は、成分(a1)と有機シラン化合物との縮合反応で生成した水を、共沸により系外へ取り除くだけでよい。
例えば、ここでいう「成分(a1)と成分(a2)を構成する有機シラン化合物の存在下」とは、成分(a2)が一般式(I)で示される単量体を加水分解して得たシラノール化合物である場合、下記2通りの方法により得られる状態を意味する。
(イ)成分(a1)と一般式(I)で示される単量体を混合した後、加水分解触媒を加え、常温または加熱下で攪拌する等の常法により成分(a1)および成分(a2)を共存させる手法。
(ロ)予め一般式(I)で示される単量体を加水分解して得た成分(a2)と成分(a1)を混合し、共存させる手法。
前記(イ)および前記(2)の方法により得られたものに、一般式(I)で示される単量体1モルに対して、アルコール溶媒等有機溶媒の存在下または非存在下において、前記(1)の方法の場合には成分(a1)も存在下、0.5〜6モルの水、あるいは0.001〜0.1規定の塩酸または酢酸水溶液等の加水分解触媒を加え、加熱下で攪拌しつつ、加水分解で生じるアルコールを系外に除去することにより、加水分解生成物は製造できる。
次いで行われる縮合反応は、以下の如く行えばよい。
具体的には、前記(イ)の方法では得られた成分(a2)存在下、前記(ロ)の方法ではここで成分(a2)を加えて、まず、成分(a1)中の分散媒と縮合反応で生じる水を常圧または減圧下で60〜100℃、好ましくは70〜90℃の温度で共沸留出させ、固形分濃度を50〜90質量%とする。
次に系内にトルエン等の非極性溶媒を加え、この非極性溶媒、水、およびコロイダルシリカ微粒子の分散媒をさらに共沸留出させながら60〜150℃、好ましくは80〜130℃の温度で固形分濃度を30〜90質量%、好ましくは50〜80質量%に保持しながら、0.5〜10時間攪拌し縮合反応を行う。
この際、反応を促進させる目的で、水、酸、塩基、塩等の触媒を用いてもよい。
このようにして、親水性である成分(a1)表面を、シリコーン被覆して疏水化させた有機被覆シリカ(A)が得られる。
また、ここでいう有機被覆シリカ(A)を得る際に用いる非極性溶媒とは、誘電率、双極子能率あるいは水素結合パラメータを基準として選ばれるものであり、広義には、中程度の極性を有する溶媒も含むものである。
それらの中でも、本発明においては、20℃の誘電率が2〜10の範囲の非極性溶媒が好ましい溶媒である。
この非極性溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素化合物;トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン等のハロゲン化炭化水素化合物;1,4−ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテル系化合物;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル系化合物等が挙げられる。
また、例えば、1分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体等のエチレン性不飽和化合物を、非極性溶媒として用いることもできる。
これらの非極性溶媒の中でも、成分(a1)と成分(a2)との反応の面から芳香族炭化水素化合物や脂環式炭化水素化合物が好ましく、トルエン、キシレン等が特に好ましい。
この成分(a1)と成分(a2)の縮合反応は、これら非極性溶媒を適宜作業性に優れた溶媒やモノマー類等に置換して行ってもよい。
有機被覆シリカ(A)の製造工程において、反応系内の固形分濃度は30〜90質量%の範囲が好ましい。
この有機被覆シリカ(A)の製造工程における固形分濃度が30質量%より低い、すなわち溶媒が70質量%を超える場合には、成分(a1)と成分(a2)との反応が不十分となり、これを用いて得られる砥石の研磨耐久性が低下する傾向にある。
一方、この固形分濃度が90質量%を超えると、成分(a1)と成分(a2)との縮合反応が急激に起こり、反応系がゲル化状態となる等、砥石形成用の混合物の作業性や得られる砥石の研磨耐久性が低下する傾向にある。
この有機被覆シリカ(A)を得るために行う縮合反応中の温度は、60〜150℃の範囲が好ましい。これは、その反応温度が60℃より低い場合には、反応が十分に進行しないため反応時間が長くなる傾向にあり、一方反応温度が150℃を超える場合には、シラノールの縮合以外の反応が起こったり、またはゲルが生成する等の不都合が生じる傾向にある。
この有機被覆シリカ(A)の製造において、成分(a1)と成分(a2)の使用割合(但し、成分(a1)と成分(a2)の合計を100質量部とする固形分比率、質量比)は特に限定されないが、成分(a1)/成分(a2)=40〜90/10〜60であることが好ましく、50〜80/20〜50であることがより好ましい。
成分(a1)の使用割合が90質量部を超えると、反応系が白濁したり、ゲルが生成したりする等の不都合が生じる傾向にあり、またこれを用いた砥石はクラックが発生し易い傾向にある。
一方、成分(a1)が40質量部より少ないと、反応が不十分となり、砥石の強度や研磨耐久性が低下し、柔らかく脆い砥石となる傾向にある。
このように、非極性溶媒中で成分(a1)と成分(a2)とを反応させることにより、結合剤(B)との相溶性が良好な有機被覆シリカ(A)を合成することができる。
さらにその中でも、本発明の砥石に十分な研磨耐久性を付与するには、有機被覆シリカ(A)の酸価を十分に低下させることが好ましい。
無水ケイ酸から合成されたコロイダルシリカは、シリカ表面の酸性度が高く、該表面を有機シラン化合物を用いて被覆することにより、酸性度を低下させることができる。
前記合成方法により、得られる有機被覆シリカ(A)の酸価は50mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは30mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは20mgKOH/g以下である。該酸価が50mgKOH/gを超えると、得られる砥石の研磨耐久性が低下する傾向にある。
本発明に用いる未硬化の結合剤(B)は、前述した有機被覆シリカ(A)を均一分散させることができ、かつ有機被覆シリカ(A)と反応して有機被覆シリカ(A)を均一分散させたまま硬化してなる砥石を、所望する形状で得るための成分である。
本発明において、未硬化の結合剤(B)はエチレン性不飽和化合物を必須成分として含む。このエチレン性不飽和化合物は、有機被覆シリカ(A)と効率よく反応し、砥石を得るために用いる混合物の硬化性を向上させる効果を発現させる成分である。
エチレン性不飽和化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、および単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、2,2−ビス〔4−(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのγ−ブチロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールのカプロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールのカプロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジオールのカプロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのカプロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのカプロラクトン付加物(繰返し単位:n+m=2〜5)のジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル;
ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物;
アクリルアミド、 N,N−ジメチルアクリルアミド、 N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド;
フタル酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応で得られるポリエステルポリ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノールとエピクロルヒドリンの縮合反応で得られるビスフェノール型エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、一種または二種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、2,2−ビス〔4−(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、ポリブチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレ−ト、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタントリ(メタ)アクリレート、有機ジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリレート等は、硬化性および得られる被研磨物に対する耐スクラッチ性に優れることから特に好ましい。また、得られる砥石が高硬度になるので研磨耐久性に優れる傾向にあり、その結果砥石研磨時に生じるダスト量が少量となり、被研磨物に対する耐ダスト付着性が向上する傾向にあり特に好ましい。
本発明の砥石を構成する未硬化の結合剤(B)としては、砥石の特性が損なわれない範囲であれば前述したエチレン性不飽和化合物以外の公知の化合物を適宜選択して用いてもよい。
そのような化合物の具体例としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物;変性脂環式エポキシ化合物;1,2−エポキシシクロデカン等の脂肪族系エポキシ化合物;ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、水添ビスフェノールA型エポキシ、フェノール−ノボラック型エポキシ等の多官能脂環式エポキシ化合物;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン等のオキセタン化合物;等が挙げられる。
本発明の砥石は、前述した有機被覆シリカ(A)と未硬化の結合剤(B)を構成成分とするものであるが、それらの配合比率は必要に応じて適宜調整すればよく特に限定されない。
その中でも、特に有機被覆シリカ(A)と未硬化の結合剤(B)の配合比率(質量比)は、有機被覆シリカ(A)/未硬化の結合剤(B)=10〜90/90〜10(但し、有機被覆シリカ(A)と未硬化の結合剤(B)の合計量を100質量部とする)であることが好ましく、有機被覆シリカ(A)/未硬化の結合剤(B)=20〜80/20〜80がより好ましく、有機被覆シリカ(A)/未硬化の結合剤(B)=25〜70/30〜75がさらに好ましい。
有機被覆シリカ(A)が10質量部より少ない場合には、得られる砥石の硬度が十分ではなく、被研磨物に対する耐スクラッチ性、砥石の研磨耐久性が十分に発現しない傾向にあり、そのため得られた砥石の平坦化特性が不良となる傾向にある。
一方で有機被覆シリカ(A)が90質量部を超える場合には、有機被覆シリカ(A)と未硬化の結合剤(B)が十分に反応することが困難となり、未硬化の結合剤(B)で十分に分散保持した砥石が得られない傾向にある。さらに得られる砥石は研磨耐久性が不良で、クラックが発生しやすい傾向にある。
本発明の砥石は、短時間で硬化させるために、必要に応じて公知の重合開始剤を含有させてもよい。
その中でも、特に短時間・省エネルギーで硬化可能であることから、光重合開始剤(C)(以下、成分(C)という)を用いることが好ましい。
成分(C)の具体例としては、例えばベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
それらの中でも、光硬化性および深部硬化性に優れることから、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンと2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが好ましい。なお、ここでいう2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドは、単独で用いるよりも、他の光重合開始剤と併用するほうが硬化性が向上するので好ましい。
また本発明の砥石は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、4−ジメチルアミノアセトフェノン等の公知の光増感剤を構成成分として添加してもよい。
さらに本発明の砥石には、必要に応じて、有機溶剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤がその構成成分として含まれていてもよい。
このような構成成分からなる本発明の砥石は、有機被覆シリカ(A)が均一分散して未硬化の結合剤(B)中に保持されているため、極めて優れた機械的強度を有する。しかも本発明の砥石は、必要に応じて適宜所望する形状に賦形することができ、かつダスト付着性や平坦化特性にも優れることから、特に化学機械研磨(CMP)法など半導体ウェハー自身が持つ微細な凹凸研磨用に好適なものである。
本発明の砥石は、前述した有機被覆シリカ(A)と未硬化の結合剤(B)を含む混合物に、必要に応じて光重合開始剤等の添加剤を加えて、熱又はUV硬化等の活性エネルギー線の照射により得ることができる。それらの中でも、短時間・省エネルギーで砥石が得られることから、活性エネルギー線の照射により砥石を得ることが好ましい。
ここでいう活性エネルギー線の種類としては、α、β及びγ線等、公知の活性エネルギー線が挙げられる。
また、本発明の組成物を活性エネルギー線で硬化させる際の照射雰囲気下は、空気でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。
さらに、本発明の製造方法においては、砥石のサイズや形状を自由に選択し得るものである。したがって、例えば縦横それぞれmm単位から数m単位程度のサイズの砥石や、被研磨物の形状に応じて2次元形状だけではなく3次元形状の砥石を形成することも容易に製造可能である。
本発明の砥石の製造方法は、下記(1)〜(3)の工程を含む方法である。
(1)コロイダルシリカ微粒子(a1)および有機シラン化合物の加水分解生成物(a2)を縮合反応して得られる有機被覆シリカ(A)を、エチレン性不飽和化合物を含む未硬化の結合剤(B)中に分散させて混合物を得る工程
(2)前記工程(1)で得られた混合物を注型する工程
(3)前記工程(2)で注型した混合物に活性エネルギー線を照射し、該混合物を硬化させる工程
ここでいう有機被覆シリカ(A)および未硬化の結合剤(B)は、前述したものと同様である。
この有機被覆シリカ(A)は、未硬化の結合剤(B)中における分散安定性に極めて優れるため、貯蔵安定性が良好な混合物を、工程(1)で得ることができる。
工程(2)は、工程(1)のあとであればよく、工程(1)で調製した混合物を調製直後に注型しても、一旦貯蔵した後に注型してもよい。いずれの場合も、同様の性能を有する砥石を得ることができる。また、ここで混合物を注型する型については、特に限定されず、所望する形状、物性や大きさの型を適宜選択すればよい。
工程(3)は、工程(2)で注型した混合物を硬化させる工程である。未硬化の結合剤(B)中に均一分散されている有機被覆シリカ(A)は得られる硬化物中にそのまま均一に分散されていることから、研磨耐久性に極めて優れた砥石を得ることができる。
そこで、本発明の製造方法は、砥石の物性向上や生産性の大幅な向上のみならず、一度にかつ大量に研磨でき、作業性を著しく向上させることが可能とするものである。
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。以下の記載において、「部」は質量部を意味する。
なお、実施例の評価方法は下記の通りである。
・貯蔵安定性
得られた混合物を室温で2週間保存し、液外観を目視で観察し、下記基準に従って評価する。得られた評価結果は、表1に示す。
○:透明な液外観を維持
×:微粒子が沈降
・機械的強度(引張強度、引張伸度、引張弾性率)
得られた硬化物について、JIS K 7113に準拠してテンシロン万能試験機((株)オリエンテック製、製品名:1250A)を使用して引張特性(最大点応力、破断点伸度、及びヤング率)を測定し、得られた値を、下記基準に従って評価する。得られた評価結果は表1に示す。
〔引張強度〕
○:最大点応力が50MPa以上
×:最大点応力が50MPa未満
〔引張伸度〕
○:破断点伸度が2%以上
×:破断点伸度が2%未満
〔引張弾性率〕
○:引張弾性率が2000MPa以上
×:引張弾性率が2000MPa未満
・研磨試験(研磨耐久性、耐ダスト付着量、平坦化特性)
得られた硬化物を直径60mmの円形に切り出して試験片とし、これをJIS K 7205に準拠した学振型試験機の1mm厚の銅版を貼り付けたヘッド部分に固定し、さらに評価用半導体ウェハーをその試験機の半導体ウエハー保持試験台に設置し、押し付け圧力0.04MPa、定盤回転数45rpm、半導体ウエハー保持試験台を45rpmで同方向に5分間回転させ、研磨試験を行う。
〔研磨耐久性〕
前述した研磨試験の際に、評価用半導体ウェハーについたスクラッチ傷の数は、自動X−Yステージを具備したデジタルマイクロスコープ6300((株)キーエンス製)でカウントする。得られたスクラッチ傷の数(単位:個)について、下記評価基準に基づき評価する。
○:10個以下
×:11個以上
〔耐ダスト付着性〕
前述した研磨試験の後、評価用半導体ウェハーの表面を乾かさないようにし、すぐさま純水をかけながら、ポリビニルアルコールスポンジで表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付けて乾燥した。その後表面ゴミ検査装置((株)トプコン製、製品名:WM−3)を用いて直径が0.5μm以上の半導体ウェハー表面に付着したダストの数(単位:個)を目視にて測定する。
なお、本試験方法では、ダスト付着量が300個以下の場合は、生産上問題を生じる事がなく良である。
○:300個以下
×:301個以上
〔平坦化特性〕
評価用半導体ウェハー(4インチシリコンウェハー)を用意し、10mm角のダイを配置する。ダイの中に20μm幅、高さ0.7μmのラインを230μmのスペースで左半分にラインアンドスペースで配置し、230μm幅、高さ0.7μmのラインを20μmのスペースで右半分にラインアンドスペースで配置する。半導体ウェハーの表面を乾かさないよう、すぐさま純水をかけながら、ポリビニルアルコールスポンジで表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付けて乾燥した。評価用半導体ウェハーの20μmラインと230μmラインの酸化膜厚みをラムダエース(大日本スクリーン製造(株)製、製品名:VM−2000)を用いて測定し、それぞれの厚みの差をグローバル段差として評価する。
○:グローバル段差が450nm以下
×:グローバル段差は450nm超
(合成例1)
有機被覆シリカ(A−1)の合成
攪拌機、温度計およびコンデンサーを備えた3リットルの4ツ口フラスコに、イソプロパノールシリカゾル(分散媒:イソ−プロパノール、SiO濃度:30質量%、一次粒子径:10mμ、触媒化成工業(株)製、商品名;OSCAL1432)2,000部と、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名;SZ6030)382部を計量し、攪拌しながら昇温させ、揮発成分の還流が始まると同時に純水150部を徐々に滴下させ、滴下終了後、還流下で2時間攪拌しながら加水分解を行った。
加水分解終了後、常圧状態でアルコール、水等の揮発成分を留出させ、固形分濃度が60質量%の時点でトルエン600部を追加し、アルコール、水等をトルエンと一緒に共沸留出させた。
次に、トルエン1,500部を追加し、完全に溶媒置換を行い、トルエン分散系とした。このときの固形分濃度は約40質量%であった。
さらに、トルエンを留出させながら110℃で4時間反応を行い、固形分濃度が約60質量%の有機被覆シリカ分散体(A−1)を得た。
得られた有機被覆シリカ分散体(A−1)は、黄色状で透明、粘稠な液体であり、固形分濃度は加熱残分で60質量%であった。
また得られた有機被覆シリカ分散体(A−1)の酸価は7mgKOH/gであり、それを有機被覆シリカ単体の酸価に換算すると、14mgKOH/gであった。
なお、ここでいう加熱残分とは、(加熱後の重量(g)/加熱前重量(g))×100(質量%)の値を示すものである。なお、加熱条件は105℃で3時間である。
(実施例1:光硬化型砥石の製造)
前述した合成例1で得た有機被覆シリカ分散体(A−1)83.3部(固形分60質量%)、エチレン性不飽和化合物として2,2−ビス〔4−(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン(第一工業製薬(株)製、商品名:BPE−4)50部を混合し、トルエンを脱揮した。次いで、さらに光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.3部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF製、商品名:Lucirin TPO)0.1部を添加して混合物を得た。
この得られた混合物を80mm角の型に流し込み、その流し込み面をガラス板で封止し、ケミカルランプUV照射装置(三菱レイヨンエンジニアリング(株)製)を用いて5分間の光照射を行い、2.0mm厚の硬化物を得た。
次に、得られた硬化物に、高圧水銀UV照射装置(三菱レイヨンエンジニアリング(株)製、製品名:UV−2503)を用いて、それに3000mJ/cm2の紫外線を照射してポストキュアし、硬化物を得た。
得られた硬化物の物性は、表1に示す。
(実施例2〜4)
表1に示す組成および組成比とする以外は、実施例1と同様にして混合物を調製し、硬化物を得た。
得られた硬化物の物性は、表1に示す。
(比較例1)
2液系ポリウレタン樹脂C−4403(日本ポリウレタン(株)製)60部とN−4276(日本ポリウレタン(株)製)40部を混合してなる混合物を調製し、それを80mm角の金型に入れ、真空脱泡後、180℃、1時間、3.5MPa加圧下で成形し、2.0mm厚の硬化物を得た。
(比較例2)
比較例1で調製した混合物に十分乾燥した1μmの孔径のシリカ粒子15部を混合してなる混合物を調製する以外は、比較例1と同様にして硬化物を得た。
(比較例3)
液状フェノール樹脂(住友デュレズ(株)製、固形分70%、商品名:PR−53717)100部に対し、十分乾燥した1μmの孔径のシリカ粒子15部を混合してなる混合物を調製する以外は、比較例1と同様にして硬化物を得た。
(比較例4)
市販されている発泡ウレタン製の研磨パット(ロデール・ニッタ(株)製、IC−1000)をカッターを用いて8mm角に切り出した。
(比較例5)
トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亜合成(株)製、商品名:アロニックスM−350)50部に対し、0.25μmの孔径の金属被覆したダイヤモンド粒子50部を加えて混合物を得る以外は、実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
Figure 2005342874
表中の各成分の配合量の単位は「質量部」である。
また、表中の略号は下記の通りである。
BPE−4:2,2−ビス〔4−(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン(第一工業製薬(株)製、商品名:ニューフロンティアBPE−4)
A−PTMG65:ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルA−PTMG65)
PBOM:ポリブチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:M−650)
M−225:ポリプロピレングリコールジアクリレート(東亜合成(株)製、商品名:アロニックスM−225)
M−350:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亜合成(株)製、商品名:アロニックスM−350)
C−4403:ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン(株)製、商品名:C−4403)
N−4276:ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン(株)製、商品名:N−4276)
PR−53717:フェノール樹脂(住友デュレズ(株)製、商品名:PR−53717)
光重合開始剤1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
光重合開始剤2:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
比較例の考察:
実施例1〜4から、本発明の砥石はいずれも優れた機械的強度(引張強度、引張伸度、引張弾性率)を有し、かつ被研磨物に対する耐スクラッチ性、耐ダスト付着性、研磨耐久性、および平坦化特性に優れていた。
一方で比較例1〜5は、従来技術である熱硬化樹脂を用いた例であり、具体的には、比較例1と比較例2は特開平2002−137160号公報(特許文献3)に関する例、比較例3は特開2001−205565(特許文献1)に関する例、比較例4は特開平2001−287152(特許文献2)に関する例である。
比較例1は本発明に用いる有機被覆シリカ(A)を含まないため、硬化物の機械的強度(引張強度および引張弾性率)が不十分であった。
比較例2、3は、シリカ微粒子の表面を化学修飾していないシリカ微粒子を単独で用いた例である。そのため、貯蔵安定性が不良で、結合剤中にシリカ微粒子を十分に均一分散させることができず、硬化物の機械的強度(引張伸度)が十分に発現しなかった。
比較例4は、市販されている発泡ウレタン製の研磨パットを用いた例であるが、機械的強度および平坦化特性が不良であった。
また、比較例5は、本発明の構成成分である有機被覆シリカ(A)の代わりに、ダイヤモンド粒子を用い、かつ光硬化型結合剤を用いた例である。この場合、ダイヤモンド粒子の分散性が不良で結合剤が硬化する前に沈降してしまい、ダイヤモンド粒子が均一に分散してなる硬化物が得られなかった。

Claims (2)

  1. コロイダルシリカ微粒子(a1)および有機シラン化合物の加水分解生成物(a2)を縮合反応して得られる有機被覆シリカ(A)が、エチレン性不飽和化合物を含む樹脂からなる結合剤(B)により保持されてなる砥石。
  2. 下記(1)〜(3)の工程を含む砥石の製造方法。
    (1)コロイダルシリカ微粒子(a1)および有機シラン化合物の加水分解生成物(a2)を縮合反応して得られる有機被覆シリカ(A)を、エチレン性不飽和化合物を含む樹脂からなる未硬化の結合剤(B)中に分散させて混合物を得る工程
    (2)前記工程(1)で得られた混合物を注型する工程
    (3)前記工程(2)で注型した混合物に活性エネルギー線を照射し、該混合物を硬化させる工程
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