JP2005340229A - 電子ビーム応用装置および電子線描画装置 - Google Patents

電子ビーム応用装置および電子線描画装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子ビーム描画装置においては微細化に伴い寸法精度や位置精度への要求が厳しくなって来ている。これを満たすためには電子ビームの調整方法の高精度化が大きな課題となっている。しかしながら、従来の透過計測方法では分解能やコントラストに限界があった。
【解決手段】少なくとも2層の開口を有する散乱体と、散乱体の下流にある絞りと、絞りの下流にある電子ビーム検出器を有する電子ビーム描画装置において、開口の2つの面の大きさを変え、開口の大きな面の膜の主たる構成原子の原子番号を、開口の小さな面の膜の主たる構成原子の原子番号より大きくする。
【効果】分解能とコントラストの両立を図ることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子ビーム応用装置に係わり、特に高精度な電子ビーム応用装置に関する。
電子ビーム応用装置、特に電子ビーム描画装置においては、電子ビームを試料に照射する電子光学系の調整が重要であり、電子光学系を調整する際には、電子ビームの形状計測が非常に重要である。特に、一括図形照射法では複雑な形状の電子ビームの計測が重要となる。従来の電子ビーム形状計測法は反射率の高い物質からの反射電子と反射率の低い物質からの反射電子との強度の差を利用していたが、物質固有の反射率により、SNに限界があった。これに対して特開平6―275500において早田等が明らかにしているように微小開口からの透過電子を利用する方法が提案されている。
特開平6―275500に開示されたビーム調整方法においては、パターンを描画する試料とほぼ同一平面上に、描画図形の最小寸法より十分に小さい孔径の微小孔を有する基板を設けて、当該微小孔を通過する電子を電子検出器で検出して、電子ビームの形状を観測する。この際、微小孔を有する基板と検出器との間に制限絞りを設けて、大角度散乱された電子線が検出器に到達しないようにする。従って基板に衝突した電子のみが検出器への入射を制限され、検出器で検出される電子のコントラスト改善の上で、非常に大きな効果がある。
特開平6―275500号公報
しかしながら、上記従来技術は、電子検出の際の分解能が、形成される微小孔の大きさに依存するため、分解能を向上させるためには非常に小さな開口を製作することが必要となる。このため、微小孔が形成される基板材料は、加工性の高い軽元素(例えばシリコン)に事実上限定されていたが、軽元素では散乱能力が小さく、基板による散乱角度が小さいために制限絞りの効果に限界があり、結果としてコントラスト向上に限界があった。散乱力を大きくするために基板の厚さを厚くすると、加工精度が劣化し、形成される微少孔の大きさが大きくなる、大きな開口角の電子ビームの計測の際に側面に電子ビームが衝突してしまうなどやはり分解能に対して問題点が生じる。すなわち分解能をいかに向上させるかがこの方法の課題である。
上記課題を解決するための手段としては、対物レンズの下流に位置する、少なくとも2層の開口を有する散乱体と、散乱体の下流にある絞りと、絞りの下流にある電子ビーム検出器を有する電子ビーム描画装置において、開口の2つの面の大きさが異なり、開口の大きな面の膜の主たる構成原子の原子番号が、開口の小さな面の膜の主たる構成原子の原子番号より大きな散乱体を設けることが良い。
更に、開口を有する少なくとも3層の構造からなる散乱体とし、開口の2つの面の大きさが異なり、開口の大きな面の膜の厚さを、開口の小さな面の膜の厚さより厚い散乱体とすることも有効である。この他、絞りの制限角度が開口の側面の角度より小さくする、あるいは開口の側面の角度が検出する電子ビームの半開口角より大きくすることが望ましい。
本発明によれば電子ビーム描画装置の高精度な電子ビーム計測を行うことが出来る。
図1に本実施例での電子光学系を示す。本明細書における実施例では基本的に本電子光学系を使用している。電子銃101から放出された電子は50kVに加速され矩形開口を有する第1マスク102を直接照射する。第1マスクを透過した矩形電子ビームは2つの転写レンズ103、107により第2マスク109上に結像される。第2マスク上には中央に可変成型用の矩形開口123とその周辺に一括図形照射用の一括開口108が配置されている。第2マスク上での第1マスク像の照射位置は可変成型偏向器105と2つの図形選択偏向器104、106により制御される。
第2マスクを通過した電子ビームは2つの縮小レンズ110、111と2つの対物レンズ112、114を通して試料上に結像される。対物レンズの下流に位置するステージ116上には図2で示す開口201を有する散乱体(電子ビームを散乱する固体)202・絞り205・検出器206の組み合わせからなる検出機構207が配置されており、電子ビームの入射位置に対して移動可能となっている。本実施例では、検出機構207は、試料ステージの内部に格納された構造を取っている。なお、絞りにはモリブデンを検出器として半導体によるフォトダイオードを用いた。
本実施例では図3に示す散乱体を使用している。散乱体は2μm厚のシリコン302と0.5μm厚のタングステン303の2層構造を有している。散乱体は、電子ビームが通過するための開口を備えており、電子ビームが入射する面側の開口面積は、出射面側の開口面積よりも大きくなっている。本実施例では、開口面積は、小さな面305で0.1μm角、大きな面304で0.25μm角である。加工精度の観点から見ると軽元素(原子番号の小さな原子)からなるシリコンの方がタングステンより優れており、微細化開口の形成に適している。
しかし、高いコントラストを得るためには散乱能力に優れる原子番号の大きなタングステンを用いるのが良い。そこで分解能を決める微細開口部分はシリコンにより規定する形とし、他の部分にコントラスト向上のためのタングステンを設ける構造とした。これにより、分解能とコントラストの両立を図ることが可能となる。
5μm角内に形成された一括図形ビームの計測結果を図4に示す。(a)は全体像、(b)は1次元プロファイルである。分解能0.1μm、コントラスト0.67の結果が得られた。従来の2μm厚シリコンのみでは分解能0.1μm、コントラスト0.1であったのに対して、分解能を維持したまま7倍近いコントラストの向上を図れた。このコントラストの向上は以上のような面積の大きな電子ビームの形状を高分解能で計測する際に特に重要であり、可変成型法や一括図形照射法などで重要となる。なお絞りにより制限した検出角度は半角で40mradである。
また、本実施例では電子ビーム502の半開口角は10mradである。この電子ビームで垂直な開口断面を持つ散乱体501上を走査すると、図5のように小さな開口領域で、電子ビームが側面に直接衝突してしまう。この現象は結果として開口端での分解能の低下を招く。図5(b)には同時にポイントビームで走査した場合のビームプロファイルを示す。図の垂直断面が図5(a)に対応する。これに対して、本実施例のように、開口の2つの面の大きさが異なり、開口断面の角度(約25mrad)が電子ビームの半開口角(10mrad)より大きな場合は図5(b)の傾斜断面に見られるように小さな開口領域での側面への直接衝突によるビームプロファイルの急峻性の劣化を防ぐことが出来る。本実施例では開口の大きな面を上面(電子ビームの入射側)とした。電子の出口を絞ることで分解能の一層の向上を図るものであるが、本実施例の効果は開口角の大きな面が下面でも同様に得ることが出来る。
以上のように本実施例では電子ビーム計測のコントラストや分解能の向上を図ることが出来た。また、散乱体に用いた材料は本実施例に限らず、軽元素からなる材料としてシリコンカーバイドやカーボン、原子番号の大きな原子からなる材料としてタンタルや金などでも同様の効果を得ることが出来る。
本実施例では図6に示す散乱体を使用している。散乱体は0.02μm厚の金601と2μm厚のシリコン302と0.5μm厚のタングステン303の3層構造である。開口は小さな面305で0.1μm角、大きな面304で0.25μm角である。絞りにより制限した検出角度は実施例1より小さく半角で20mradである。前の実施例では開口断面に角度を設ける効果について述べた。但し、開口断面に角度を設けることは開口端部での散乱体の厚さを実質的に薄くすることになる。
そこで開口の小さな面に大きな原子番号からなる金を0.02μm厚形成し、散乱能力の補強を図った。開口の小さな面は分解能に大きく影響するために、余り厚くすると分解能の劣化を招いてしまう。従って、全体のコントラスト向上には0.5μm厚のタングステンを、開口端での散乱能力の補強には0.02μm厚の金と、開口面での厚さを変えることにより、対処した。また、絞りにより制限した検出角度を開口断面の角度より小さくすることで、側面での散乱電子の除去を図った。これらの結果を、図7のビームプロファイルに示す。図7での2層構造と3層構造の比較により、3層構造化で開口断面に角度を設けた場合でのビームプロファイルの急峻性を改善できること明らかになった。
本実施例では薄い金の膜を蒸着により形成したが、金に限らず白金パラジウムなどの原子番号の大きな原子からなるものであれば同様の効果が期待できる。また、金や白金パラジウムの蒸着で表面が不活性である面を形成することでチャージアップの影響の軽減も同時に図っている。この観点からは図8にように開口の側面(望ましくは側面全体)に金801や白金パラジウムのような不活性な膜を形成することも有効と考えられる。この場合も開口の大きさが2面で異なることが有効であり、大きな開口の面から蒸着することにより側面に膜を形成することが容易となる。
以上の実施例の手法により、電子ビームの高精度な計測が可能となり、これらを装置の電子光学系パラメータにフィードバックすることにより、最終的には描画精度の向上を図ることが出来た。例えば従来7nmにとどまっていた寸法精度を5nmにまで改善することが出来た。
これまでの説明では可変成型及び一括図形照射法の電子ビーム描画装置について行っていた。しかし、本発明はこれらの実施例に限らず、電子ビームマスク転写装置・ポイントビーム電子ビーム描画装置・マルチカラム描画装置・マルチビーム描画装置など全てのリソグラフィ装置に有効である。更に電子ビーム検査装置や電子ビーム計測装置など全ての電子ビーム応用装置に適用可能であることは明らかである。
本発明の実施例の装置図。 検出機構の図。 散乱体の構造図。 2次元ビームの計測結果。 開口端近傍の図。 2つ目の実施例の散乱体の図。 ビームプロファイルの図。 開口の側面に膜のある散乱体の図。
符号の説明
101−電子銃、102−第1マスク、103−第1転写レンズ、104−第1図形選択偏向器、105−可変成形偏向器、106−第2図形選択偏向器、107−第2転写レンズ、108−一括開口、109−第2マスク、110−第1縮小レンズ、111−第2縮小レンズ、112−第1対物レンズ、113−対物静電偏向器、114−第2対物レンズ、115−ウエハ、116−ステ−ジ、117−検出機構、118−図形選択・寸法制御系、119−縮小率・回転制御系、120−焦点・非点・位置制御系、120−検出信号処理系、122−回転レンズ、123−矩形開口、201−開口、202−散乱体、203−散乱して透過した電子、204−散乱せずに透過した電子、205−絞り、206−電子ビ−ム検出器、207−検出機構、301−電子ビ−ム、302−シリコン、303−タングステン、304−開口の大きな面、305−開口の小さな面、501散乱体、502電子ビ−ム、601−金、801−側面の金。

Claims (6)

  1. 電子ビームを放射する電子銃と、該電子銃から放射された電子ビームを試料上に照射するための手段と、該電子ビームが照射される試料を載置する試料ステージと、当該試料ステージ上に配置された散乱体と、前記電子ビームの進行方向に対して前記散乱体の下流側に設けられた絞りと、該絞りを通過した電子を検出する検出器とを有し、
    前記散乱体は、2種類の材料が積層された構造を有し、更に前記電子ビームが通過するための開口とを有し、
    前記開口のうち、電子ビームの入射面側に形成された開口の大きさは、電子ビームの出射面側に形成された開口の大きさよりも大きく、前記入射面側の層を構成する材料の原子番号は、前記出射面側の層を構成する材料の原子番号より大きいことを特徴とする電子ビーム応用装置。
  2. 請求項1に記載の電子ビーム応用装置において、
    前記散乱体は、更に3種類の材料が積層された構造を有し、当該3層構造の散乱体の中間層を構成する材料の原子番号は、前記電子ビームの入射面側および出射面側の層を構成する材料の原子番号よりも小さいことを特徴とする電子ビーム応用装置。
  3. 請求項1または2に記載の電子ビーム応用装置において、
    前記開口は、前記電子ビーム入射面側から出射面側にかけて開口面積が小さくなるテーパ形状を備えることを特徴とする電子ビーム応用装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の電子ビーム応用装置において、
    前記絞りの制限半角が開口の側面の角度より小さなことを特徴とする電子ビーム応用装置。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の電子ビーム応用装置において、
    前記開口の側面の角度が、前記検出器で検出する電子ビームの半開口角より大きなことを特徴とする電子ビーム応用装置。
  6. 請求項3に記載の電子ビーム応用装置において、
    前記テーパの側面に形成された薄膜を有することを特徴とする電子ビーム応用装置。
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