JP2005338233A - 液晶調光素子、レンズ鏡筒および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶調光素子16は第1、第2透明電極1606、1608と、第1、第2透明電極1606、1608の向かい合う面のそれぞれに形成される第1、第2配向膜1610、1612と、第1、第2配向膜1610、1612の間に封入される液晶層1614とを備え、液晶層1614には棒状を呈する液晶分子1615が含まれ液晶調光素子16は液晶層1614にホスト材料とゲスト材料を有するゲスト−ホスト型セルで構成されている。第1、第2透明電極1606,1608の透明導電膜の膜厚は5nm以上で30nm以下に設定される。
【選択図】 図5
Description
このような調光手段として可逆的なメッキ(RED:Reversible Electro−Deposition)が可能な電気化学材料を2つの透明電極間に挟んで構成した電気化学的調光素子が提案されている(例えば特許文献1の図14、図15参照)。
この電気化学的調光素子では、透明電極が同心円状のパターンからなる複数の電極を有し、各電極に印加する動作電圧を変化させることで、前記電気化学材料の中心部から周辺部に行くに従って着色濃度を変化させ、これにより調光素子を通過する光の光量を調整している。
したがって、透明電極の構成や透明電極に印加する動作電圧の制御が複雑となりコストを削減する上で不利があった。
一方、調光手段として、ゲスト−ホスト型液晶を用いた液晶調光素子が提案されている(例えば特許文献2参照)。
この液晶調光素子は、2つの透明電極の間にネガ型液晶をホスト材料とする液晶が封入され、各透明電極はそれぞれ単一のパターンで構成されており、透明電極間に印加する動作電圧の増減によって液晶の透過率を制御する構成となっている。
したがって、透明電極の構成や動作電圧の制御が単純でありコストを低減する上で有利となっている。
さらにこの液晶調光素子では、光透過率が波長によって変化する分光特性が透明電極を構成する透明導電膜の厚さに依存することに着目し、その厚さを一定の範囲に設定することで分光特性がなるべく平坦となるように、すなわち液晶調光素子を通過した光における色ずれが抑制されるように分光特性の向上を図っている。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、平坦な分光特性を確保しつつ、透明電極間に印加される動作電圧の変動に対する光透過率の変化量を抑制する上で有利な液晶調光素子、レンズ鏡筒および撮像装置を提供することにある。
また、本発明は、被写体像を導く光学系と、前記光学系の光軸上に設けられ撮像面を有する撮像素子と、前記光軸上で前記光学系と前記撮像素子との間に設けられた液晶調光素子とを備え、前記液晶調光素子は、ホスト材料とゲスト材料を有するゲスト−ホスト型セルで構成された液晶層と、前記液晶層を挟む2つの透明電極とを有し、前記2つの透明電極の少なくとも一方は透明導電膜で形成され、前記透明電極に印加される動作電圧により、前記液晶層の厚さ方向に透過する光の光透過量が調整されるものであって、前記透明導電膜は厚さ30nm以下で形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、被写体像を導く光学系と、前記光学系の光軸上に設けられ撮像面を有する撮像素子と、前記光軸上で前記光学系と前記撮像素子との間に設けられた液晶調光素子とを備え、前記液晶調光素子は、ホスト材料とゲスト材料を有するゲスト−ホスト型セルで構成された液晶層と、前記液晶層を挟む2つの透明電極とを有し、前記2つの透明電極の少なくとも一方は透明導電膜で形成され、前記透明電極に印加される動作電圧により、前記液晶層の厚さ方向に透過する光の光透過量が調整されるものであって、前記透明導電膜は厚さ30nm以下で形成されていることを特徴とする。
したがって、液晶調光素子が平坦な分光透過率を有しているので、液晶調光素子を通って撮像素子に導かれる被写体像に不自然な色が付くことが防止され、かつ、液晶調光素子に印加される動作電圧の変動量に対する透過率の変動量が抑制されるので、撮像素子に導かれる被写体像の光量の調整を確実に行う上で有利となり、撮像素子によって撮像される画像の画質を向上させる上で有利となる。
本実施例では、本発明のレンズ鏡筒が撮像装置に組み込まれている場合について説明する。
図1は実施例1の撮像装置を前方から見た斜視図、図2は実施例1の撮像装置を後方から見た斜視図、図3は撮像装置の制御系を示すブロック図、図4はレンズ鏡筒の断面図である。
図1に示すように、ケース102の前面の右寄り箇所にレンズ窓104が設けられ、レンズ窓104に臨むようにレンズ鏡筒10が設けられている。
レンズ窓104の上方箇所には、撮影補助光を出射するフラッシュ106が設けられている。
ケース12の上面の左寄り箇所には、シャッターボタン108などが設けられている。
ケース12の後面には静止画および動画などの画像や文字や記号などが表示されるディスプレイ110(液晶表示器)、各種操作を行なうための十字スイッチ112および複数の操作ボタン114などが設けられている。
ケース12の左側面には、静止画あるいは動画などの画像などを記録するためのメモリカード116(記憶媒体)を装脱可能に収容するメモリ収容部118が設けられている。
撮像素子18に結像された像は撮像されて撮像信号として画像処理部120に出力され、画像処理部120ではこの撮像信号に基づいて静止画あるいは動画の画像データが生成され、メモリカード116に記録される。また、前記画像データは表示処理部122によりディスプレイ110に表示される。
また、液晶調光素子16は調光制御部126から供給される動作電圧によって制御される。
さらに、撮像装置100は、シャッタボタン116、十字スイッチ112、操作ボタン114の操作に応じて、画像処理部120、表示処理部122、調光制御部126を制御するCPUなどを含む制御部124を備えている。
図4に示すように、レンズ鏡筒10は鏡筒本体1002を有し、鏡筒本体1002には、光学系14を構成する第1固定レンズ1402、第1移動レンズ1404、第2固定レンズ1406、第2移動レンズ1408が光軸方向の前方から後方に向かってこの順番で配設されている。
本実施例では、光学系14は、これら4群からなるインナーフォーカスレンズとして構成され、第1固定レンズ1402と第2固定レンズ1406は光学系14の光軸方向に移動不能に鏡筒本体1002に固定され、第1移動レンズ1404と第2移動レンズ1408はそれぞれ不図示の移動機構により光学系14の光軸方向に移動されるように構成されている。第1移動レンズ1404は光軸方向に移動されることで光学系14の焦点距離を調整するズームレンズとして構成され、第2移動レンズ1408は光軸方向に移動されることで光学系14の焦点調節がなされるフォーカスレンズとして構成されている。すなわち、第1移動レンズ1404の変位によって焦点距離を可変し、この焦点距離の変化によって生じた合焦位置のずれを第2移動レンズ1408の変位によって修正し適切に合焦させるように構成されている。
鏡筒本体1002は、例えば円筒状あるいは直方体状を呈しており、鏡筒本体1002の後端には開口1004が設けられ、撮像素子18は長方形を呈する撮像面1802を開口1004から前方に臨ませた状態で鏡筒本体1002の後端に取着されている。また、開口1004には第2移動レンズ1408を通過した光が通過する光学フィルタ1006が取着されており、光学フィルタ1006は例えばローパスフィルタ、あるいは、赤外線フィルタで構成されている。
鏡筒本体1002の第2固定レンズ1406と第2移動レンズ1408との間の箇所には鏡筒本体1002の径方向外方に開放された開口1008が設けられている。開口1008は、液晶調光素子16が挿入可能な大きさで形成され、開口1008に対向する鏡筒本体1002の内周面箇所には液晶調光素子16が接続されるコネクタ20が設けられている。開口1008は、液晶調光素子16が挿入された後に蓋体1010によって閉塞される。
図5に示すように、液晶調光素子16は、互いに間隔をおいて平行に延在する第1、第2透明基板1602、1604と、第1、第2透明基板1602、1604の互いに対面する面に形成された第1、第2透明電極1606、1608と、第1、第2透明電極1606、1608の向かい合う面のそれぞれに形成される第1、第2配向膜1610、1612と、第1、第2配向膜1610、1612の間に封入される液晶層1614とを備え、液晶層1614には棒状を呈する液晶分子1615が含まれている。
第1、第2透明電極1606、1608は、それぞれ透明導電膜で形成され、透明導電膜は、透明な導電材料が均一の厚さで薄膜状に形成されている。
前記透明な導電材料としては、例えば、ITO(Indium-doped tin oxide:錫をドープした酸化インジウム)、FTO(Fluorine-doped tin oxide:フッ素をドープした酸化錫)及びATO(Antimony-doped tin oxide:アンチモンをドープした酸化錫)のうちの少なくとも1つを用いることができる。
また、第1透明基板1602には第1透明電極1606に導通する第1接続端子1628が設けられ、第2透明基板1604には第2透明電極1608に導通する第2接続端子1630とが設けられている。
そして、第1、第2接続端子1628、1630の間に液晶駆動用の動作電圧Eが印加されるように構成されている。
液晶層1614を透過する光の光透過量の調整は、第1、第2透明電極1606、1608の間に印加される動作電圧により、液晶分子1615の長軸方向が第1、第2配向膜1610、1612で決定される配向方向に沿った状態で第1液晶層1614の厚さ方向に対する液晶分子1615の傾斜角が変化されることによりなされる。
図6(A)は動作電圧無印加時の液晶調光素子16の動作説明図、(B)は動作電圧印加時の液晶調光素子16の動作説明図、図7は印加される動作電圧の波形図、図8は液晶調光素子16に印加される動作電圧と光透過率の特性図である。
なお、図6では、説明の便宜上、偏光板1が液晶調光素子16の入射側に設けられ、偏光板1を通過した入射光5が直線偏光となって液晶調光素子16に入射するものとして説明する。
図6(A)に示すように、動作電圧無印加時には液晶分子1615の長軸方向が電界方向に向くため二色染料分子1617の長軸方向も液晶分子1615にならって電界方向を向き、二色染料分子1617の長軸方向が直線偏光の偏光方向と直角になるため、入射光5は液晶調光素子16にほとんど吸収されず透過する。
図6(B)に示すように、動作電圧印加時には液晶分子1615の長軸方向が電界方向と直交する方向に向くため二色染料分子1617の長軸方向も液晶分子1615にならって電界方向と直交する方向を向き、二色染料分子1617の長軸方向が直線偏光の偏光方向と平行になるため、入射光5は液晶調光素子16に大部分が吸収される。
第1、第2透明電極1606、1608の間に印加される動作電圧の制御は、例えば、振幅値Vp=(最大値+V)−(最小値−V)を増減するパルス電圧変調(PHM)を用いることができるが、1周期当たりにおいて最大値あるいは最小値の動作電圧が印加されている時間の割合(デューティ比)を制御するパルス幅変調(PWM)であってもよい。
このような調光素子16によれば、図8に示すように、動作電圧の増減に伴って、可視光の平均光透過率(空気中)が最大透過率約75%から数%にまで減少し、しかも光透過率の変化が比較的急峻となる。
これは、ネガ型のホスト材料を用いる場合、動作電圧無印加時に第1、第2配向膜1610,1612との界面での液晶分子1615の相互作用(interaction)が非常に弱いため、動作電圧無印加時に光が透過し易く、また動作電圧印加と共に液晶分子のダイレクタの向きが変化し易くなるからであると考えられる。このようにして、ネガ型のホスト材料を用いて液晶調光素子16を構成することにより、光透過率(特に透明時)が向上し、液晶調光素子16を撮像光学系中にそのまま位置固定して使用できコンパクトなレンズ鏡筒や撮像装置が実現可能となる。この場合、液晶素子への入射光の光路中に偏光板1を配することにより、動作電圧無印加時と動作電圧印加時の吸光度の比(即ち光学濃度の比)が一層向上し、調光装置のコントラスト比が更に大きくなり、明るい場所から暗い場所にまでにおいて、調光動作をより正常に行うことができる。
本発明者らは、液晶調光素子16に印加される動作電圧の変動に対する光透過率の変動の低減を図るために種々の事項について鋭意研究をしていたところ、第1、第2透明電極を構成する透明導電膜に最適な厚さ(以下膜厚という)の範囲(膜厚範囲)が存在することを見出した。以下最適な膜厚範囲について検討する。
図9は透明導電膜を構成する導電材料としてITOを用いたときの光透過率とシート抵抗の膜厚依存性を示す線図である。
図9より明らかなように、光透過率は、透明導電膜の膜厚増加によって一旦極小値を迎え、その後さらなる膜厚増加により極大と極小を繰り返して迎える。ITOで構成された透明導電膜の屈折率が約2.0であることから、約137nmのピッチの膜厚で光透過率の極大値が周期的に存在する。なお、図9では光の波長が550nm、透明導電膜の抵抗率が2.0×10−4Ω・cmの場合を例示している。
具体的には、第1、第2透明電極1606,1608の透明導電膜の膜厚を同一とし、これら膜厚を、5nmから、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、150nm、200nmと変えて測定し、第1、第2透明電極1606、1608の間に印加される動作電圧の制御を前記パルス電圧変調(PHM)とし動作電圧の値は動作電圧の振幅値とした。
図10から明らかなように、膜厚が厚くなるとともに、透過率対動作電圧カーブの変化量が増加する。すなわち、動作電圧の変動量に対する透過率の変動量が大きくなる。このことから、膜厚をできるだけ薄く設定することが、動作電圧の変動量に対して透過率の変動量を抑制する上で有利であることがわかる。
具体的には、第1、第2透明電極1606,1608の透明導電膜の膜厚を同一とし、これら膜厚を、5nmから、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、150nm、200nmと変えて測定し、第1、第2透明電極1606、1608の間に印加される動作電圧の制御を前記パルス幅変調(PWM)としている。
図11から明らかなように、膜厚が厚くなるとともに、透過率対デューティ比カーブの変化量が増加する。すなわち、動作電圧のデューティ比の変動量に対する透過率の変動量が大きくなる。このことから、膜厚をできるだけ薄く設定することが、動作電圧のデューティ比の変動量、すなわち動作電圧の変動量に対して透過率の変動量を抑制する上で有利であることがわかる。
具体的には、第1、第2透明電極1606,1608の透明導電膜の膜厚を同一とし、これら膜厚を、5nmから、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、150nm、200nmと変えて測定した。
図11から明らかなように、膜厚の増加とともに透過率が低下し、膜厚が30nm以下では光透過率が波長の変化(400nm〜700nm)に対してほぼ平坦であり、液晶調光素子16を通過した光に色が付くことが防止されているのに対し、膜厚が40nmを超えると短波長側で透過率の低下が起こり、これにより液晶調光素子16を通過した光に色が付く傾向にあることがわかる。
なお、膜厚が5nm以下であると、安定した電気的な導通状態が確保できないため、膜厚は5nm以上であることが好ましい。
以上のことから、動作電圧の変動量に対する透過率の変動量を抑制するため、また、平坦な分光透過率を確保するため、第1、第2透明電極1606,1608の透明導電膜の膜厚は5nm以上で30nm以下が好ましい。
このため、本実施例では、第1、第2透明電極1606,1608の透明導電膜の膜厚を、5nm以上30nm以下に設定した。
したがって、撮像装置10において、液晶調光素子16が平坦な分光透過率を有しているので、液晶調光素子16を通って撮像素子18に導かれる被写体像に不自然な色が付くことが防止され、かつ、液晶調光素子16に印加される動作電圧の変動量に対する透過率の変動量が抑制されるので、撮像素子18に導かれる被写体像の光量の調整を確実に行う上で有利となり、撮像素子18によって撮像される画像の画質を向上させる上で有利となる。
また、本実施例では、液晶分子1615の誘電率異方性が負であるネガ型の液晶分子を用いた場合について説明したが、本発明は、液晶分子1615の誘電率異方性が正であるポジ型の液晶分子を用いた場合にも無論適用可能である。
ただし、ポジ型の液晶分子1615を用いた液晶調光素子16の最大の光透過率は、ネガ型の液晶分子1615を用いた液晶調光素子16の最大の光透過率よりも低い値となることが知られている。この原因は、ネガ型のホスト材料を用いる場合、電圧無印加時に配向膜との界面での液晶分子の相互作用(interaction)が非常に弱いため、電圧無印加時に光が透過し易くなるからであると考えられる。このため、液晶調光素子16による光学的濃度比(コントラスト比)を高くする上でポジ型の液晶分子を用いた構成の方が有利である。
また、本実施例では、光学系14の光路上に偏光板を配置しない場合について説明したが、偏光板を液晶調光素子16の光入射側あるいは光出射側に設けてもよく、偏光板を設けた場合には直線偏光の偏光方向と液晶調光素子16の第1、第2配向膜1610、1612の配向方向とが直角をなすか否かにより二色染料分子1617に吸収される光量が大きく変化し、これにより光透過率が大きく変化し、液晶調光素子16による光学的濃度比(コントラスト比)を高くする上で有利である。
また、本実施例では、液晶調光素子16に対して光が一方向に通過する透過型液晶光学素子として説明したが、液晶調光素子16の第1、第2透明電極1606,1608のいずれか一方を、光を反射する反射電極に置き換えて反射型の液晶光学素子として構成してもよい。
また、本実施例においては、液晶調光素子16がレンズ鏡筒10内に移動不能に取り付けられる場合について説明したが、液晶調光素子16を光学系14の光路上に位置する動作位置と、前記光路上から退避する退避位置との移動可能に設けてもよい。
また、液晶調光素子16の前方あるいは後方に従来公知の機械式の絞り機構(アイリス機構)や様々な光学フィルターを設け、液晶調光素子16と前記絞り機構あるいは前記光学フィルターとを組み合わせて使用してもよいことはもちろんである。
また、本実施例においては、撮像装置としてデジタルスチルカメラを例示したが、本発明はビデオカメラやテレビカメラなど撮像装置やカメラ付携帯電話機、あるいはレンズ鏡筒を有する種々の電子機器に無論適用可能である。
実施例2が実施例1と異なるのは、2つの液晶調光素子が重ね合わされて液晶調光部が構成されている点である。
図13は実施例2におけるレンズ鏡筒10および液晶調光部16′の構成を示す説明図である。なお、以下では実施例1と同様の部分および部材には同一の符号を付して説明する。
図13に示すように、レンズ鏡筒10′は、被写体像を導く光学系14と、光学系14の光軸上に設けられ撮像面を有する撮像素子18と、光軸上で光学系14と撮像素子18との間に設けられた液晶調光部16′とを備え、光学系14で捉えた被写体像が液晶調光部16′を透過して撮像素子18の長方形状の撮像面1802に導かれるように構成されている。
撮像素子18から出力される撮像信号の処理は実施例1と同様である。
光学系14′は、前群レンズ1402′および後群レンズ1404′で構成され、これらレンズ1402′、1404′は鏡筒1406′で保持されている。
第1液晶調光素子16Aは、互いに間隔をおいて平行に延在する第1、第2透明基板1602、1604と、第1、第2透明基板1602、1604の互いに対面する面に形成された第1、第2透明電極1606、1608と、第1、第2透明電極1606、1608の向かい合う面のそれぞれに形成される第1、第2配向膜1610、1612と、第1、第2配向膜1610、1612の間に封入される第1液晶層1614とを備え、第1液晶層1614には棒状を呈する液晶分子1615が含まれている。
第2液晶調光素子16Bも第1液晶調光素子16Aと同様に構成されており、第2透明基板1604と、該第2透明基板1604と間隔をおいて平行に延在する第3透明基板1616と、前記第2、第3透明基板1604、1616の互いに対面する面に形成された第3、第4透明電極1618、1620と、前記第3、第4透明電極1618、1620の向かい合う面のそれぞれに形成される第3、第4配向膜1622、1624と、第3、第4配向膜1622、1624の間に封入される第2液晶層1626とを備え、第2液晶層1626には棒状を呈する液晶分子1615が含まれている。
したがって、第1、第2液晶調光素子16A、16Bが重ね合わされる箇所では、1つの第2透明基板1604が第1、第2液晶調光素子16A、16Bの各透明基板として兼用されている。
この実施例2においても、第1、第2透明電極1606、1608、第3、第4透明電極1618、1620が実施例1と同様に形成されており、すなわち、厚さ5nm以上30nm以下の透明導電膜で形成されている。また、第1、第2液晶層1614、1626は実施例1と同様のゲスト−ホスト型セルで構成されている。
第1透明基板1602には第1透明電極1606に導通する第1接続端子1628が設けられ、第2透明基板1604には第2透明電極1608に導通する第2接続端子1630と第3透明電極1618に導通する第3接続端子1632が設けられ、第3透明基板1616には第4透明電極1620に導通する第4接続端子1634が設けられている。
そして、第1、第2接続端子1628、1630の間に液晶駆動用の動作電圧Eが印加されるように構成され、同様に、第3、第4接続端子1632、1634の間に動作電圧Eが印加されるように構成されている。
したがって、第1液晶層1614を透過する光の光透過量の調整は、第1、第2透明電極1606、1608の間に印加される動作電圧Eにより、液晶分子1615の長軸方向が第1、第2配向膜1610、1612で決定される配向方向に沿った状態で第1液晶層1614の厚さ方向に対する液晶分子1615の傾斜角が変化されることによりなされる。同様に、第2液晶層1626を透過する光の光透過量の調整は、第3、第4透明電極1618、1620の間に印加される動作電圧Eにより、液晶分子1615の長軸方向が第3、第4配向膜1622、1624で決定される配向方向に沿った状態で第2液晶層1626の厚さ方向に対する液晶分子1615の傾斜角が変化されることによりなされる。
まず、図14を参照して、液晶調光部16′の液晶分子の長軸方向の傾斜と液晶調光部16′を透過する光Lとの関係について説明する。なお、図面を単純化するため図14では第1液晶層1614についてのみ示す。
以下に説明するように、液晶分子1615の傾斜と液晶調光部16′を透過する光Lとの関係は、ブラインド(日よけ用のよろい戸)を構成する各はねとこれらはねの間を透過する光との関係と類似している。なお、図14に示すように、本実施例では、第1液晶調光素子16Aの配向方向が撮像素子18の撮像面1802の短辺とほぼ平行となるように構成されている。
図14(A1)、(A2)、(A3)は第1液晶調光素子16Aに動作電圧Eが印加されていない状態を示し、図14(A1)は第1液晶調光素子16Aをその前方から見た図、(A2)は(A1)を液晶分子1615の配向方向であるY方向から見た図、(A3)は(A1)を前記配向方向と直交するX方向から見た図である。
したがって、第1液晶調光素子16Aに動作電圧Eが印加されていない状態では、各液晶分子1615の長軸方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対する傾斜角は0度である。このため、進行方向が第1液晶層1614の厚さ方向と平行な光Lが入射すると、第1液晶調光素子16Aの光透過量は光Lと液晶分子1615の長軸方向とがなす傾斜角0度に対応して最大値となる。
図14(B1)、(B2)、(B3)はそれぞれ図14(A1)、(A2)、(A3)と同様の図であるが、第1液晶調光素子16Aに中間の動作電圧Eが印加されている状態を示している。
したがって、第1液晶調光素子16Aに中間の動作電圧Eが印加されている状態では、各液晶分子1615の長軸方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対する傾斜角は例えば45度となる。このため、進行方向が第1液晶層1614の厚さ方向と平行な光Lが入射すると、第1液晶調光素子16Aの光透過量は該光Lと液晶分子1615の長軸方向とがなす傾斜角45度に対応した中間値となる。
図14(C1)、(C2)、(C3)もそれぞれ図14(A1)、(A2)、(A3)と同様の図であるが、第1液晶調光素子16Aに最大の動作電圧Eが印加されている状態を示している。
したがって、第1液晶調光素子16Aに最大の動作電圧Eが印加されている状態では、各液晶分子1615の長軸方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対する傾斜角は90度となる。このため、進行方向が第1液晶層1614の厚さ方向と平行な光Lが入射すると、第1液晶調光素子16Aの光透過量は該光Lと液晶分子1615の長軸方向とがなす傾斜角90度に対応して最小値となる。
以上のように構成された液晶調光部16′によれば、実施例1と同様の効果を奏することに加えて次の効果を奏する。
すなわち、第1液晶調光素子16Aと第2液晶調光素子16Bが第1、第2液晶層1614、1626の厚さ方向に重ね合わされているので、第1、第2液晶層1614、1626をそれらの厚さ方向に透過する光の光透過量の調整範囲が拡大される。すなわち、第1液晶調光素子16Aによる光透過率をA、第2液晶調光素子16Bによる光透過率をBとすれば、液晶調光部16′全体による光透過率はA・Bとなるため、光透過量の調整範囲を拡大することができ、低い光透過量を得ることができる。これにより、明るい環境下における撮影時においても撮像素子18に導かれる光量を適切に調整して撮像を行うことが可能となる。
ここでは、各液晶分子1615の長軸方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対してなす傾斜角がそれぞれ0度、45度、90度となった場合を例にとって説明する。なお、以下では説明の便宜上、図14に表記したように配向方向を示すY方向の一方を上、他方を下として説明する。
光Lの進行方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対して斜め上に向かって角度αで傾斜している場合を示すと、図14(A4)、(A5)、(B4)、(B5)、(C4)、(C5)となる。液晶分子1615の長軸方向の傾斜角に関していえば、図14(A4)、(A5)は図14(A1)、(A3)と同様であり、図14(B4)、(B5)は図14(B1)、(B3)と同様であり、図14(C4)、(C5)は図14(C1)、(C3)と同様である。
これに対して光Lの進行方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対して斜め下に向かって角度αで傾斜している場合を示すと、図14(A6)、(A7)、(B6)、(B7)、(C6)、(C7)となる。液晶分子1615の長軸方向の傾斜角に関していえば、図14(A6)、(A7)は図14(A1)、(A3)と同様であり、図14(B6)、(B7)は図14(B1)、(B3)と同様であり、図14(C6)、(C7)は図14(C1)、(C3)と同様である。
これらの図から、第1液晶層1614の厚さ方向に対する液晶分子1615の長軸方向の傾斜角が同一であっても、光Lの進行方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対してなす角度が変化すれば、光Lの進行方向が液晶分子1615の長軸方向に対してなす傾斜角も変化することがわかる。
前述したように光学系14から出射される光Lは撮像素子18に近づくにつれて前記光軸から次第に離れるように傾いているため、第1液晶調光素子16A上の位置に応じて光Lの進行方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対してなす傾斜角が変化することになり、したがって前記位置に応じて第1液晶調光素子16Aを透過する光Lの光透過量も変化することになる。
図15(A)〜(E)は液晶分子1615が第1液晶層1614の厚さ方向に対してなす傾斜角が0度〜90度の範囲で次第に大きくなっている状態を示している。なお、図面を単純化するため図14でも第1液晶層16Aについてのみ示す。
図16は横軸に第1液晶調光素子16A上の配向方向(Y方向)に沿った位置を示し、縦軸に第1液晶調光素子16Aを透過する光Lの光透過量を示しており、各符号A〜Eは図14(A)〜(E)に対応している。
図16のA〜Eに示すように、第1液晶調光素子16Aを透過する光透過量が第1液晶調光素子16Aの配向方向(Y方向)の位置に応じて変化していることがわかる。特に、図15のB〜Eに示すように、液晶分子1615の長軸方向の傾斜が0度以外の場合、第1液晶調光素子16Aを透過する光透過量が第1液晶調光素子16Aの配向方向(Y方向)の位置に応じて単調(無段階的にあるいは連続的)に増加あるいは減少するように変化していることがわかる。
そして、第1液晶調光素子16Aおよび第2液晶調光素子16Bの液晶分子1615の長軸方向の傾斜が図14(B)〜(E)の状態で、均一の明るさを有する被写体像を撮像し、光学系14から第1液晶調光素子16Aに対して均一の明るさの光が入射した場合について考える。
図16は撮像面1802と第1液晶調光素子16Aおよび第2液晶調光素子16Bとの位置関係を示しており、(A)は第1液晶調光素子16Aおよび第2液晶調光素子16Bの配向方向が撮像面1802の短辺方向と平行した状態を示し、(B)は第1液晶調光素子16Aおよび第2液晶調光素子16Bの配向方向が撮像面1802の長辺方向と平行した状態を示している。
図16において、ハッチングの濃淡は第1液晶調光素子16Aおよび第2液晶調光素子16Bの光透過量の大小を示しており、ハッチングが薄いが低いほど光透過量が大きいことを示し、ハッチングが濃いほど光透過量が小さいことを示している。また、図16において、実際には光透過量に境目があるわけではないが説明の都合上、濃淡が異なるハッチングの境目に境界線が表示されている。
図16(A)、(B)の何れの場合においても、撮像面1802の短辺方向あるいは長辺方向に沿って光透過量が変化している。このような光透過量の変化は撮像素子18によって撮像された画像の明るさに影響を与え画像の明るさが不自然なものとなる。
このような不都合を回避するため、第1液晶素子16Aの第1、第2配向膜1610、1612の配向方向と第2液晶素子16Bの第3、第4配向膜1622、1624の配向方向とは、第1液晶素子16Aと第2液晶素子16Bとの境に位置する第3、第4配向膜1622、1624に対して対称な向きとなるように構成する。
このような構成によれば、図18に示すように、第1液晶層1614の液晶分子1615の長軸方向が第1液晶層1614の厚さ方向に対してなす傾斜と、第2液晶層1626の液晶分子1615の長軸方向が第2液晶層1626の厚さ方向に対してなす傾斜とが対称となるので、第1液晶層1614における光透過量の変化と、第2液晶層1626における光透過量の変化が互いに打ち消しあう。したがって、光学系14の小型化を図るため光学系14から撮像素子18に導かれる光が撮像素子18に近づくにつれて前記光軸から次第に離れるように傾いている構成において、液晶調光部16′における光透過量の変化を生じさせることなく、レンズ鏡筒および撮像装置の小型化を図ることができる。
Claims (14)
- ホスト材料とゲスト材料を有するゲスト−ホスト型セルで構成された液晶層と、
前記液晶層を挟む2つの透明電極とを有し、
前記2つの透明電極の少なくとも一方は透明導電膜で形成され、
前記透明電極に印加される動作電圧により、前記液晶層の厚さ方向に透過する光の光透過量が調整される液晶調光素子であって、
前記透明導電膜は厚さ30nm以下で形成されている、
ことを特徴とする液晶調光素子。 - 前記2つの透明電極のうち少なくとも一方の透明電極が、厚さ5nm以上30nm以下の透明導電膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶調光素子。
- 前記2つの透明電極は共に透明導電膜で形成され、前記各透明導電膜は厚さ30nm以下で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶調光素子。
- 前記2つの透明電極のうち少なくとも一方の透明電極が、厚さ5nm以上30nm以下の透明導電膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶調光素子。
- 前記各透明電極はそれぞれ透明な導電材料が均一の厚さで薄膜状に形成されることで構成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶調光素子。
- 前記液晶層はホスト材料とゲスト材料を有するゲスト−ホスト型セルで構成され、前記ホスト材料は前記液晶分子で構成され、前記ゲスト材料は二色染料分子で構成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶調光素子。
- 前記液晶分子は誘電率異方性が負のネガ型であり、二色染料分子は分子長軸方向の光を吸収するポジ型色素分子であることを特徴とする請求項6記載の液晶調光素子。
- 前記液晶分子は誘電率異方性が正のポジ型であり、二色染料分子は分子長軸方向の光を吸収するポジ型色素分子であることを特徴とする請求項6記載の液晶調光素子。
- 前記液晶調光素子は、互いに間隔をおいて平行に延在する2つの透明基板を備え、前記透明電極は、前記2つ透明基板の互いに対面する面にそれぞれ形成され、前記各透明電極の向かい合う面のそれぞれに2つの配向膜が形成され、前記液晶層は前記2つの配向膜の間に封入されていることを特徴とする請求項1記載の液晶調光素子。
- 前記液晶層を透過する光の光透過量の調整は、前記透明電極に印加される電圧により、前記液晶層の厚さ方向に対する前記液晶分子の傾斜角が変化されることによりなされることを特徴とする請求項9記載の液晶調光素子。
- 前記光透過量の調整は、前記液晶分子の長軸方向が前記各配向膜で決定される配向方向に沿った状態で行われることを特徴とする請求項10記載の液晶調光素子。
- 前記液晶調光素子は、互いに間隔をおいて平行に延在する2つの透明基板を備え、前記透明電極は、前記2つ透明基板の互いに対面する面にそれぞれ形成され、前記各透明電極の向かい合う面のそれぞれに2つの配向膜が形成され、前記液晶層は前記2つの配向膜の間に封入され、
前記液晶層を透過する光の光透過量の調整は、前記透明電極に印加される電圧により、前記液晶層の厚さ方向に対する前記液晶分子の傾斜角が変化されることによりなされ、
前記光透過量の調整は、前記液晶分子の長軸方向が前記各配向膜で決定される配向方向に沿った状態で行われ、
前記2つの透明基板と前記2つの透明電極と前記2つの配向膜と前記液晶層とによって構成される前記液晶調光素子が前記液晶層の厚さ方向に2つ重ね合わされて液晶調光部が構成され、前記2つの液晶調光素子のうち一方の液晶調光素子の配向膜の配向方向と他方の液晶調光素子の配向膜の配向方向とは、双方の液晶調光素子の境に位置する配向膜に対して対称な向きとなるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の液晶調光素子。 - 被写体像を導く光学系と、
前記光学系の光軸上に設けられ撮像面を有する撮像素子と、
前記光軸上で前記光学系と前記撮像素子との間に設けられた液晶調光素子とを備え、
前記液晶調光素子は、
ホスト材料とゲスト材料を有するゲスト−ホスト型セルで構成された液晶層と、
前記液晶層を挟む2つの透明電極とを有し、
前記2つの透明電極の少なくとも一方は透明導電膜で形成され、
前記透明電極に印加される動作電圧により、前記液晶層の厚さ方向に透過する光の光透過量が調整されるものであって、
前記透明導電膜は厚さ30nm以下で形成されている、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。 - 被写体像を導く光学系と、
前記光学系の光軸上に設けられ撮像面を有する撮像素子と、
前記光軸上で前記光学系と前記撮像素子との間に設けられた液晶調光素子とを備え、
前記液晶調光素子は、
ホスト材料とゲスト材料を有するゲスト−ホスト型セルで構成された液晶層と、
前記液晶層を挟む2つの透明電極とを有し、
前記2つの透明電極の少なくとも一方は透明導電膜で形成され、
前記透明電極に印加される動作電圧により、前記液晶層の厚さ方向に透過する光の光透過量が調整されるものであって、
前記透明導電膜は厚さ30nm以下で形成されている、
ことを特徴とする撮像装置。
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