JP2005338070A - シート状プローブおよびその製造方法並びにその応用 - Google Patents

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和夫 井上
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Mutsuhiko Yoshioka
睦彦 吉岡
Hisao Igarashi
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Abstract

【課題】微小で微細ピッチな電極を有する回路装置で安定な接続状態が達成され、電極構造体が絶縁膜から脱落せず高い耐久性が得られ、大面積のウエハや検査電極のピッチが小さい回路装置に対し、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれが防止され、良好な接続状態が維持されるシート状プローブおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のシート状プローブは、厚み方向に伸びる複数の電極構造体を有する絶縁層とこれを支持する金属フレーム板とを備え、電極構造体は、絶縁層の表面から突出する表面電極部と、絶縁層の裏面に露出する裏面電極部と、表面電極部の基端から連続して絶縁層の厚み方向に伸び、裏面電極部に連結された短絡部と、表面電極部の基端部分から連続して絶縁層の表面に沿って外側に伸びる保持部とよりなり、本発明の製造方法は表面電極部と短絡部は個別に金属を充填する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば集積回路などの回路の電気的検査において、回路に対する電気的接続を行うためのプローブ装置として好適なシート状プローブおよびその製造方法並びにその応用に関する。
例えば、多数の集積回路が形成されたウエハや、半導体素子等の電子部品などの回路装置の電気的検査においては、被検査回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置された検査電極を有する検査用プローブが用いられている。
かかる検査用プローブとしては、従来、ピンまたはブレードよりなる検査電極が配列されてなるものが使用されている。
然るに、被検査回路装置が多数の集積回路が形成されたウエハである場合において、ウエハを検査するための検査用プローブを作製する場合には、非常に多数の検査電極を配列することが必要となるので、検査用プローブは極めて高価なものとなり、また、被検査電極のピッチが小さい場合には、検査用プローブを作製すること自体が困難となる。
更に、ウエハには、一般に反りが生じており、その反りの状態も製品(ウエハ)毎に異なるため、ウエハにおける多数の被検査電極に対して、検査用プローブの検査電極の各々を安定にかつ確実に接触させることは実際上困難である。
以上のような理由から、近年、ウエハに形成された集積回路を検査するための検査用プローブとして、一面に被検査電極のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極が形成された検査用回路基板と、この検査用回路基板の一面上に配置された異方導電性シートと、この異方導電性シート上に配置された、柔軟な絶縁性シートにその厚み方向に貫通して伸びる複数の電極構造体が配列されてなるシート状プローブとを備えてなるものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
図49は、検査用回路基板85、異方導電性シート80およびシート状プローブ90を備えてなる従来のプローブカードの一例における構成を示す説明用断面図である。
このプローブカードにおいては、一面に被検査回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って形成された多数の検査電極86を有する検査用回路基板85が設けられ、この検査用回路基板85の一面上に、異方導電性シート80を介してシート状プローブ90が配置されている。
異方導電性シート80は、厚み方向にのみ導電性を示すもの、または厚み方向に加圧されたときに厚み方向にのみ導電性を示す加圧導電性導電部を有するものであり、かかる異方導電性シートとしては、種々の構造のものが知られており、例えば特許文献2等には、金属粒子をエラストマー中に均一に分散して得られる異方導電性シート(以下、これを「分散型異方導電性シート」という。)が開示されている。
また、特許文献3等には、導電性磁性体粒子をエラストマー中に不均一に分布させることにより、厚み方向に伸びる多数の導電部と、これらを相互に絶縁する絶縁部とが形成されてなる異方導電性シート(以下、これを「偏在型異方導電性シート」という。)が開示され、更に、特許文献4等には、導電部の表面と絶縁部との間に段差が形成された偏在型異方導電性シートが開示されている。
シート状プローブ90は、例えば樹脂よりなる柔軟な絶縁性シート91を有し、この絶縁性シート91に、その厚み方向に伸びる複数の電極構造体95が被検査回路装置の被検査電極のパターンに対応するパターンに従って配置されて構成されている。
この電極構造体95の各々は、絶縁性シート91の表面に露出する突起状の表面電極部96と、絶縁性シート91の裏面に露出する板状の裏面電極部97とが、絶縁性シート91をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部98を介して一体に連結されて構成されている。
このようなシート状プローブ90は、一般に、以下のようにして製造される。
先ず、図50(a)に示すように、絶縁性シート91の一面に金属層92が形成されてなる積層体90Aを用意し、図50(b)に示すように、絶縁性シート91にその厚み方向に貫通する貫通孔98Hを形成する。
次いで、図50(c)に示すように、絶縁性シート91の金属層92上にレジスト膜93を形成したうえで、金属層92を共通電極として電解メッキ処理を施すことにより、絶縁性シート91の貫通孔98Hの内部に金属の堆積体が充填されて金属層92に一体に連結された短絡部98が形成されると共に、絶縁性シート91の表面に、短絡部98に一体に連結された突起状の表面電極部96が形成される。
その後、金属層92からレジスト膜93を除去し、更に、図50(d)に示すように、表面電極部96を含む絶縁性シート91の表面にレジスト膜94Aを形成すると共に、金属層92上に、形成すべき裏面電極部のパターンに対応するパターンに従ってレジスト膜94Bを形成し、金属層92に対してエッチング処理を施すことにより、図50(e)に示すように、金属層92における露出する部分が除去されて裏面電極部97が形成され、以て電極構造体95が形成される。
そして、絶縁性シート91および表面電極部96上に形成されたレジスト膜94Aを除去すると共に、裏面電極部97上に形成されたレジスト膜93を除去することにより、シート状プローブ90が得られる。
上記の検査用プローブにおいては、被検査回路装置に、例えばウエハの表面に、シート状プローブ90における電極構造体95の表面電極部96がウエハの被検査電極上に位置するよう配置される。
そして、この状態で、ウエハが検査用プローブによって押圧されることにより、異方導電性シート80が、シート状プローブ90における電極構造体95の裏面電極部97によって押圧される。
これにより、異方導電性シート80には、裏面電極部97と検査用回路基板85の検査電極86との間にその厚み方向に導電路が形成され、その結果、ウエハの被検査電極と検査用回路基板85の検査電極86との電気的接続が達成される。
そして、この状態で、ウエハについて所要の電気的検査が実行される。
そして、このような検査用プローブによれば、ウエハが検査用プローブによって押圧されたときに、ウエハの反りの大きさに応じて異方導電性シート80が変形するため、ウエハにおける多数の被検査電極の各々に対して良好な電気的接続を確実に達成することができる。
しかしながら、上記の検査用プローブにおいては、以下のような問題がある。
上記のシート状プローブ90の製造方法における短絡部98および表面電極部96を形成する工程においては、電解メッキによるメッキ層が等方的に成長するため、図51に示すように、得られる表面電極部96においては、表面電極部96の周縁から短絡部98の周縁までの距離Wは、表面電極部96の突出高さhと同等の大きさとなる。
従って、得られる表面電極部96の径Rは、突出高さhの2倍を超えて相当に大きいものとなる。
そのため、被検査回路装置における被検査電極が微小で極めて小さいピッチで配置されてなるものである場合には、隣接する電極構造体95間の離間距離を十分に確保することができず、その結果、得られるシート状プローブ90においては、絶縁性シート91による柔軟性が失われるため、被検査回路装置に対して安定した電気的接続を達成することが困難となる。
また、電解メッキ処理において、金属層92の全面に対して電流密度分布が均一な電流を供給することは実際上困難であり、この電流密度分布の不均一性により、絶縁性シート91の貫通孔98H毎にメッキ層の成長速度が異なるため、形成される表面電極部96の突出高さhや、表面電極部96の周縁から短絡部98の周縁までの距離Wすなわち径Rに大きなバラツキが生じる。
そして、表面電極部96の突出高さhに大きなバラツキがある場合には、被検査回路装置に対して安定した電気的接続が困難となり、一方、表面電極部96の径に大きなバラツキがある場合には、隣接する表面電極部96同士が短絡する恐れがある。
以上において、表面電極部96の突出高さhを小さくする手段があり、この得られる表面電極部96の径を小さくする手段としては、短絡部98の径(断面形状が円形でない場合には、最短の長さを示す。)rを小さくする、すなわち絶縁性シート91の貫通孔98Hの径を小さくする手段が考えられるが、前者の手段によって得られるシート状プローブにおいては、被検査電極に対して安定な電気的接続を確実に達成することが困難となる。
一方、後者の手段では、電解メッキ処理によって短絡部98および表面電極部96を形成すること自体が困難となる。
このような問題を解決するため、特許文献5および特許文献6において、それぞれ基端から先端に向かって小径となるテーパ状の表面電極部を有する多数の電極構造体が配置されてなるシート状プローブが提案されている。
特許文献5に記載されたシート状プローブは、以下のようにして製造される。
図52(a)に示すように、絶縁性シート91の表面にレジスト膜93Aおよび表面側金属層92Aがこの順で形成され、絶縁性シート91の裏面に裏面側金属層92Bが積層されてなる積層体90Bを用意する。
そして、図52(b)に示すように、この積層体90Bにおける裏面側金属層92B、絶縁性シート91およびレジスト膜93Aの各々に互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成する。
これによって、積層体90Bの裏面に、形成すべき電極構造体の短絡部および表面電極部に適合するテーパ状の形態を有する電極構造体形成用凹所90Kを形成する。
次いで、図52(c)に示すように、この積層体90Bにおける表面側金属層92Aを電極としてメッキ処理することにより、電極構造体形成用凹所90Kに金属を充填して表面電極部96および短絡部98を形成する。
そして、この積層体における裏面側金属層92Bにエッチング処理を施してその一部を除去することにより、図52(d)に示すように、裏面電極部97を形成し、以てシート状プローブ90が得られる。
また、特許文献6に記載されたシート状プローブは、以下のようにして製造される。
図53(a)に示すように、形成すべきシート状プローブにおける絶縁性シートより大きい厚みを有する絶縁性シート材91Aの表面に表面側金属層92Aが形成され、絶縁性シート材91Aの裏面に裏面側金属層92Bが積層されてなる積層体90Cを用意する。
そして、図53(b)に示すように、この積層体90Cにおける裏面側金属層92Bおよび絶縁性シート材91Aの各々に互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成することにより、積層体90Cの裏面に、形成すべき電極構造体の短絡部および表面電極部に適合するテーパ状の形態を有する電極構造体形成用凹所90Kを形成する。
次いで、この積層体90Cにおける表面側金属層92Aを電極としてメッキ処理することにより、図53(c)に示すように、電極構造体形成用凹所90Kに金属を充填して表面電極部96および短絡部98を形成する。
その後、この積層体90Cにおける表面側金属層92Aを除去すると共に、絶縁性シート材91Aをエッチング処理して絶縁性シートの表面側部分を除去することにより、図53(d)に示すように、所要の厚みの絶縁性シート材91を形成すると共に、表面電極部96を露出させる。
そして、裏面側金属層92Bをエッチング処理することにより、裏面電極部97を形成し、図53(e)に示したようにシート状プローブ90が得られる。
このようなシート状プローブ90によれば、表面電極部96がテーパ状のものであるため、径が小さくて突出高さが高い表面電極部96を、隣接する電極構造体の表面電極部96との離間距離が十分に確保された状態で形成することができると共に、電極構造体95の各々の表面電極部96は、積層体に形成された電極構造体形成用凹所90Kをキャビティとして成形されるため、表面電極部96の突出高さのバラツキが小さい電極構造体95が得られる。
このプローブカードのシート状プローブは、図54に示したように、ポリイミドなどの樹脂からなる柔軟な円形の絶縁シート材91を有し、この絶縁シート材91には、その厚み方向に延びる複数の電極構造体95が、被検査回路装置の被検査電極のパターンに従って配置されている。
また、絶縁シート材91の周縁部には、絶縁シート材91の熱膨張を制御する等の目的で、例えば、セラミックスからなるリング状の支持部材99が設けられている。
各電極構造体95は、絶縁シート材91の表面に露出する突起状の表面電極部96と、絶縁シート材91の裏面に露出する板状の裏面電極部97とが、絶縁シート材91をその厚み方向に貫通して延びる短絡部98を介して、一体に連結された構造になっている。また、絶縁シート材91の周縁部には、セラミックス等からなるリング状の支持部材99が設けられている。この支持部材99は、絶縁シート材91の面方向の熱膨張を制御し、バーンイン試験において温度変化による電極構造体95と被検査電極との位置ずれを防止するためのものである。
特開平7−231019号公報 特開昭51−93393号公報 特開昭53−147772号公報 特開昭61−250906号公報 特開平11−326378号公報 特開2002−196018号公報 特許第2828410号公報 特開2002−76074号公報 特願2004−131764号 特開2004−172589号公報
しかしながら、これらのシート状プローブにおいては、電極構造体における表面電極部の径が短絡部の径すなわち絶縁性シートに形成された貫通孔の径と同等またはそれより小さいものであるため、電極構造体が絶縁性シートの裏面から脱落してしまい、シート状プローブを実際上使用することは困難である。
この問題点を解決するために、例えば、特許文献10に示される電極構造体における表面電極部側に保持部を有し、電極構造体が絶縁性シートの裏面から脱落することを防止したシート状プローブが提案されている。
特許文献10に記載されたシート状プローブは、以下のようにして製造される。
図56(a)に示すように、表面側金属層122、絶縁性シート124、第1の裏面側金属層126、絶縁層128、第2の裏面側金属層130からなる5層の積層材料132を用意する。
図56(b)に示すように、この積層体132における第2の裏面側金属層130に開口部134を設け、この開口部134より絶縁層128にエッチングを行い絶縁層128に貫通孔136を設ける。
次に絶縁層128の貫通孔の底部に露出した第1の裏面側金属層126にエッチングを行って絶縁性シート124をその貫通孔136の底部に露出させる。
そして第1の裏面側金属層126の貫通孔136を通じて絶縁性シート124にエッチングを行い貫通孔136の底部に表面側金属層122を露出させる。
このように金属層と樹脂層(絶縁層128、絶縁性シート124)を交互にエッチングを行うとによって、第2の裏面側金属層130、絶縁層128、第1の裏面側金属層126、絶縁性シート124の各々に互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔138を形成し、積層体132の裏面に、形成すべき電極構造体の短絡部および表面電極部に適合するテーパ状の形態を有する電極構造体形成用凹所90Kを形成する。
次いで、この積層体132における表面側金属層122を電極としてメッキ処理することにより、図56(c)に示すように、電極構造体形成用凹所90Kに金属を充填して表面電極部96および短絡部98を形成する。
その後、この積層体132における表面側金属層122を除去すると共に、絶縁性シート124をエッチング処理して絶縁性シート124を除去して第1の裏面側金属層126を露出させる(図56(d))。
そして、第1の裏面側金属層126をエッチング処理して保持部を形成するとともに、第1の裏面側金属層126をエッチング処理してその一部を除去することにより、裏面電極部97および支持部を形成し、図56(e)に示したようにシート状プローブ90が得られる。
更に上記のようなシート状プローブにおいては、積層体90Cの裏面に、形成すべき電極構造体の短絡部および表面電極部に適合するテーパ状の形態を有する電極構造体形成用凹所90Kを形成するので、電極構造体形成用凹所の先端径92Tは積層体90Cの裏面に形成した開口部92Hの径より小さなものとなる。
従って、絶縁性シートの厚みが増せば同一の先端径92Tを得るためには裏面側に形成する開口部92Hの径も大きなものとする必要があった。
そのため、微細ピッチで高密度な電極構造体を有するシート状プローブを製造する場合、図53(e)に示したように、絶縁性シートの厚みが大きくなると積層体90Cの裏面側の隣接する開口部92H間に絶縁部92Nを確保する必要性から開口部92Hの径を大きくできないので、そのため絶縁性シートの厚みが大きくなると、電極構造体形成用凹所90Kの先端径92Tが小さくなり、表面側金属層92Aに接しない電極構造体形成用凹所90Kが形成されてしまう場合があった。
このように電極構造体形成用凹所90Kが表面側金属層92Aに十分に接しない場合、メッキにより金属を充填することができず電極構造体数が不足し使用が困難なシート状プローブが生産されてしまうことがあった。
また、電極構造体の先端部の径が小さくなると、繰り返し使用において先端部が摩耗、欠損して電極構造体の高さバラツキが大きくなる傾向があり、電極構造体強度の面から先端部の先端径や基端の径が小さくし過ぎないことも必要である。
さらに、その電極構造体の材質により先端部の径を調整することも必要である。
しかしながら、上記のシート状プローブの製造方法においては、先端部の径の調整が裏面側の開口部径により調整することになるが、積層体の厚みにより裏面側の開口部径の調節が制限され、とくに微小、微細ピッチで高密度のシート状プローブの製造において所望する先端部径の電極構造体を構成することが困難になる場合があった。
そして、このようなシート状プローブでは、以下のような問題がある。
例えば、直径が8インチ以上のウエハでは、5000個または10000個以上の被検査電極が形成されており、これらの被検査電極のピッチは160μm以下である。このようなウエハの検査を行うためのシート状プローブとしては、ウエハに対応した大面積を有し、5000個または10000個以上の電極構造体が、160μm以下のピッチで配置されたものが必要となる。
しかし、ウエハを構成する材料、例えば、シリコンの線熱膨張係数は、3.3×10-6/K程度であり、一方、シート状プローブの絶縁シートを構成する材料、例えば、ポリイミドの線熱膨張係数は4.5×10-5/K程度である。
従って、例えば、25℃において、それぞれ直径が30cmのウエハ、シート状プローブの各々を、20℃から120℃まで加熱した場合には、理論上、ウエハの直径の変化は、99μmにすぎないが、シート状プローブの絶縁シートの直径の変化は、1350μmに達し、両者の熱膨張の差は1251μmとなる。
このように、ウエハとシート状プローブの絶縁シートとの間で、面方向の熱膨張の絶対量に大きな差が生じると、絶縁シートの周縁部を、ウエハの線熱膨張係数と同等の線熱膨張係数を有する支持部材によって固定しても、バーンイン試験の際に、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することは困難であるため、良好な電気的接続状態を安定に維持することができない。
また、検査対象が小型の回路装置であっても、その被検査電極のピッチが、160μm以下である場合には、バーンイン試験の際に、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することは困難であるため、良好な電気的接続状態を安定に維持することが困難となる。
このような問題点に対して、特許文献7(特許第2828410号公報)には、絶縁シートに張力を作用させた状態で、リング状の支持部材に固定することにより、当該絶縁シートの熱膨張を緩和する方法が提案されている。
しかし、この方法では、絶縁シートに対して、その面方向の全ての方向について、均一に張力を作用させることは極めて困難であり、また、電極構造体を形成することによって、絶縁シートに作用する張力のバランスが変化し、その結果、絶縁シートは、熱膨張について異方性を有するようになる。このため、面方向の一方向の熱膨張を抑制することが可能であっても、この一方向と交差する他の方向の熱膨張を抑制することができず、結局、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを防止することができない。
また、絶縁シートをこれに張力を作用させた状態で支持部材に固定するためには、加熱下において絶縁シートを支持部材に接着する、という煩雑な工程が必要となるため、製造コストの増大を招く、という問題がある。
このため、特許文献8(特開2002−76074号公報)においては、絶縁性フィルムと導電層とを積層した構造の積層フィルムを、所定の温度でセラミックリング上に張力を持たせて張り付け、この積層フィルムにバンプホールを形成して、電気メッキを行って、バンプホール内にメッキを成長させ表面電極部を形成するとともに、導電層を選択的にエッチングして、裏面電極部を形成して電極構造体を形成している。そして、絶絶縁性フィルムを選択的にエッチングして、電極構造体の部分を避けて、リング状に残しパターンを形成している。
これにより、セラミックリングの元に戻ろうとする復元力に比べ、絶縁性フィルムの張力が非常に弱いことが、電極構造体を形成することによって、絶縁シートに作用する張力のバランスが変化し、その結果、絶縁シートは、熱膨張について異方性を有する原因であるので、絶縁性フィルム上に残しパターンを形成しておき、この残しパターンによって、セラミックリングの復元力に対抗させている。
また、本出願人は、特許文献9(特願2004−131764号)において、検査対象が、直径が8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験において、良好な電気的接続状態を安定に維持することができるプローブカードおよびその製造方法を既に提案した。
すなわち、この特許文献9では、図55(a)に示したように、フレーム板形成用金属板102と、このフレーム板形成用金属板102上に一体的に積層された絶縁膜形成用樹脂シート104とを有する積層体106を用意し、この積層体の絶縁膜形成用樹脂シート104に、貫通孔108を形成し、積層体106に対してメッキ処理を施すことにより、絶縁膜形成用樹脂シート104の貫通孔108内に、フレーム板形成用金属板102に連結された短絡部110と、短絡部110に連結された表面電極部112を形成している(図55(b)参照)。
そして、フレーム板形成用金属板102をエッチング処理することにより、貫通孔114が形成された金属フレーム板116を形成するとともに、フレーム板形成用金属板102の一部によって、短絡部110に連結された裏面電極部118を形成している。
これにより、図55(c)に示したように、表面に露出する表面電極部112と、裏面に露出する裏面電極部118を有する電極構造体120が、柔軟な樹脂よりなる絶縁膜122に保持されてなる接点膜124と、この接点膜124を支持する金属フレーム板116とから構成されるシート状プローブ100が得られるものである。
このような特許文献9のシート状プローブ100では、絶縁膜122の面方向の熱膨張が金属フレーム板116によって確実に規制されるので、検査対象が、例えば、直径が8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれが確実に防止され、その結果、良好な電気的接続状態が安定に維持されるものである。
しかしながら、特許文献8および特許文献9のいずれの場合であっても、金属フレーム板116と裏面電極部118とが、同一の金属部材であるフレーム板形成用金属板102から、エッチング処理によって選択的にエッチングすることによって構成されている。
この場合、エッチング処理においては、例えば、ポリイミドフィルムなどからなる絶縁膜形成用樹脂シート104が、エッチングされないか、または、エッチングの程度の小さいエッチング液、例えば、塩化第二鉄系エッチング液などを使用する必要がある。
このため、金属フレーム板116と裏面電極部118とを構成する金属部材であるフレーム板形成用金属板102を、このようなエッチング液にて容易にエッチングすることができる金属種、例えば、銅、鉄、ステンレス、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42合金などの合金または合金鋼から選択する必要があるとともに、エッチング性を考慮すれば、厚みなどに制約があり、例えば、曲げに対する弾性、機械的強度、入手性などからも問題がある。
さらに、裏面電極部118として、電気的特性に優れた金属である、例えば、銅、ニッケルなどは、線膨張係数が大きく、、このような金属を、フレーム板形成用金属板102の構成金属として用いることができない
しかしながら、特許文献8および特許文献9のいずれの場合であっても、絶縁膜122と、金属フレーム板116と、リング状の支持部材(図示せず)との間の熱膨張率について何ら考慮されていないものである。
従って、これらの絶縁膜122と、金属フレーム板116と、リング状の支持部材の形成材料が、例えば、
(1) 絶縁膜122が、ポリイミド系樹脂、液晶ポリマーなどの柔軟性を有する樹脂から構成され、
(2) 金属フレーム板116が、42合金、インバー、コバールなどの鉄−ニッケル合金鋼から構成され、
(3)リング状の支持部材が、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素などのセラミックス材料から構成され、
ている場合には、これらの異なる材料の間の熱膨張率を、適切な範囲に選択しない場合には、バーンイン試験の際に、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することが困難となり、良好な電気的接続状態を安定に維持することができない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、
本発明の目的は、径が小さい表面電極部を有する電極構造体を形成することが可能で、160μm以下、特に、120μm以下の小さいピッチで電極が形成された回路装置に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、電極構造体が絶縁層
から脱落することがなくて高い耐久性が得られるシート状プローブを提供することにある。
本発明の目的は、絶縁層の厚みが大きく、径が小さい表面電極部を有する電極構造体を備えた、小さいピッチで電極が形成された回路装置に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、高い耐久性を有するシート状プローブを提供することにある。
本発明の目的は、突出高さのバラツキが小さい表面電極部を有する電極構造体を形成することができ、小さいピッチで電極が形成された回路装置に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、電極構造体が絶縁層から脱落することのなくて高い耐久性が得られるシート状プローブを製造することができる方法を提供することにある。
また、本発明は、検査対象が、直径が8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが100μm以下の極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止し、これにより良好な電気的接続状態を安定に維持することができるシート状プローブおよびその製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、金属フレーム板の構成金属種、厚み等に制約がなく、例えば、線膨張係数、曲げに対する弾性、入手性などを考慮して任意の金属種で、且つ任意の厚みで金属フレーム板を形成でき、裏面電極として、金属フレーム板としての金属に制約されることがなく、好ましい金属、例えば、電気的特性に優れた銅などを裏面電極の構成金属として用いることができるシート状プローブおよびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の目的は、厚みの大きい絶縁層よりなるシート状プローブにおいて表面電極部の先端径や基端径を所望の径に調整できるシート状プローブの製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、上記のシート状プローブを備えたプローブカードを提供することにある。
本発明の目的は、上記のプローブカードを備えた回路装置の検査装置を提供することにある。
本発明のシート状プローブは、
絶縁層と、
この絶縁層にその面方向に互いに離間して配置された、当該絶縁層の厚み方向に貫通して伸びる複数の電極構造体を有するシート状プローブであって、
前記電極構造体の各々は、
前記絶縁層の表面に露出し、当該絶縁層の表面から突出する表面電極部と、
前記絶縁層の裏面に露出する裏面電極部と、
前記表面電極部の基端から連続して前記絶縁層をその厚み方向に貫通して伸び、前記裏面電極部に連結された短絡部と、
前記表面電極部の基端部分から連続して前記絶縁層の表面に沿って外方に伸びる保持部とよりなり、
前記シート状プローブが、前記絶縁層を支持する金属フレーム板を有し、
前記金属フレーム板が、貫通穴が形成された金属フレーム板と、
前記金属フレーム板の貫通穴の周縁部に支持された接点膜とを備え、
前記接点膜には、前記複数の電極構造体が、柔軟な樹脂からなる絶縁層に貫通支持されており、
前記金属フレーム板と裏面電極部とが、異なる金属部材から構成されていることを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記金属フレーム板に、複数の貫通穴が形成され、これらの各貫通穴に、前記接点膜が支持されていることを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記金属フレーム板の周縁部に、前記絶縁膜とは離間して接着固定されたリング状の支持板とを備えることを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記金属フレーム板の周縁部を支持するリング状の支持部材と、
前記金属フレーム板の貫通穴の周縁部に支持された接点膜とを備え、
前記接点膜には、前記複数の電極構造体が、柔軟な樹脂からなる絶縁層に貫通支持された回路装置の電気検査に用いられるシート状プローブであって、
前記絶縁膜の熱線膨張係数をH1とし、
前記金属フレーム板の熱線膨張係数をH2とし、
前記リング状の支持部材の熱線膨張係数をH3としたとき、下記の条件(1)〜(3)、すなわち、
条件(1):H1=0.8×10-5〜8×10-5/K
条件(2):H2/H1<1
条件(3):H3/H1<1
を満足することを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記金属フレーム板の熱線膨張係数をH2と、前記リング状の支持部材の熱線膨張係数をH3が、下記の条件(4)、すなわち、
条件(4):H2−H3=−1×10-5〜1×10-5/K
を満足することを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記金属フレーム板の熱線膨張係数H2が、下記の条件(5)、すなわち、
条件(5):H2=−1×10-7〜1×10-5/Kを満足することを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記リング状の支持部材の熱線膨張係数H3が、下記の条件(6)、すなわち、
条件(6):H3=−1×10-7〜2×10-5/K
を満足することを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記電極構造体のピッチが、40〜160μmであり、電極構造体の総数が、5000個以上であることを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記リング状の支持部材が、検査装置本体の検査電極が設けられた側に形成された位置合わせ部に係合することにより、検査装置の検査電極と絶縁膜に形成された電極構造体が位置合わせされるように構成されていることを特徴とする。
本発明のシート状プローブは、前記シート状プローブが、ウエハに形成された複数の集積回路について、集積回路の電気検査をウエハの状態で行うために用いられるものであることを特徴とする。
本発明のシート状プローブの製造方法は、
少なくとも絶縁性シートと、
この絶縁性シートの表面に形成された表面側金属層と、
前記絶縁性シートの裏面に形成された第1の裏面側金属層とを有する積層体を用意し、
この積層体における第1の裏面側金属層と絶縁性シートに互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成することにより、当該積層体の裏面に表面電極部形成用凹所を形成し、
この積層体に対し、
その表面側金属層を電極としてメッキ処理を施して表面電極部形成用凹所に金属を充填することにより絶縁層の表面から突出する表面電極部を形成した後に該積層体の裏面側に絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された第2の裏面側金属層を形成し、
この積層体における第2の裏面側金属層および絶縁層の各々に互いに連通し、底面に表面電極部を露出させた短絡部形成用凹所を形成し、
この積層体に対し、
その表面側金属層を電極としてメッキ処理を施して短絡部形成用凹所に金属を充填することにより、表面電極部の基端から連続して絶縁層をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部を形成した後、
第2の裏面側金属層にエッチング処理を施すことにより裏面電極部を形成し、
前記表面側金属層および前記絶縁性シートを除去することにより、前記表面電極部および前記第1の裏面側金属層を露出させ、
その後、当該第1の裏面側金属層にエッチング処理を施すことにより、前記表面電極部の基端部分から連続して前記絶縁性シートの表面に沿って外方に伸びる保持部を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明のシート状プローブの製造方法は、第2の裏面側金属層にエッチング処理を施し、
裏面電極部および金属フレーム板部に分割除去することを特徴とする。
本発明のシート状プローブの製造方法は、
表面電極部形成用凹所における絶縁性シートの貫通孔が、
当該絶縁性シートの裏面から表面に向かうに従って小径となる形状に形成されることを特徴とする。
本発明のシート状プローブの製造方法は、
積層体としてその絶縁性シートがエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、
表面電極部形成用凹所における絶縁性シートの貫通孔がエッチングにより形成されることを特徴とする。
本発明のシート状プローブの製造方法は、
短絡部形成用凹所における絶縁層の貫通孔が、当該絶縁層の裏面から表面に向かうに従って小径となる形状に形成されることを特徴とする。
本発明のシート状プローブの製造方法は、
積層体としてその絶縁層がエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、
短絡部形成用凹所における絶縁層の貫通孔がエッチングにより形成されることを特徴とする。
本発明のシート状プローブの製造方法は、
前記シート状プローブの製造方法が、
前記表面電極部形成用凹所に金属を充填することにより絶縁層の表面から突出する表面電極部を形成した後に、
貫通穴が形成された金属フレーム板を重ね合わせ、
前記金属フレーム板の上から絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された第2の裏面側金属層を形成することを特徴とする。
本発明のプローブカードは、
検査対象である回路装置とテスターとの電気的接続を行うためのプローブカードであって、
検査対象である回路装置の被検査電極に対応して複数の検査電極が形成された検査用回路基板と、
この検査用回路基板上に配置された異方導電性コネクターと、
この異方導電性コネクター上に配置された上記のシート状プローブと、
を備えてなることを特徴とする。
本発明のプローブカードは、
検査対象である回路装置が多数の集積回路が形成されたウエハであり、
異方導電性コネクターは、
検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路または一部の集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、
このフレーム板の各開口を塞ぐよう配置された異方導電性シートと、
を有してなることを特徴とする。
本発明のプローブカードは、
検査対象である回路装置とテスターとの電気的接続を行うためのプローブカードであって、
検査対象である回路装置の被検査電極に対応して複数の検査電極が形成された検査用回路基板と、
この検査用回路基板上に配置された異方導電性コネクターと、
この異方導電性コネクター上に配置された上記の方法にて製造されたシート状プローブと、
を備えてなることを特徴とする。
本発明のプローブカードは、
検査対象である回路装置が多数の集積回路が形成されたウエハであり、
異方導電性コネクターは、
検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路または一部の集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、
このフレーム板の各開口を塞ぐよう配置された異方導電性シートとを有してなることを特徴とする。
本発明の回路装置の検査装置は、
上記のプローブカードを備えてなることを特徴とする。
本発明のウエハの検査方法は、
複数の集積回路が形成されたウエハの各集積回路を、
上記のプローブカードを介してテスターに電気的に接続し、
前記各集積回路の電気検査を行うことを特徴とする。
本発明のシート状プローブによれば、電極構造体には、表面電極部の基端部分から連続して絶縁層の表面に沿って外方に伸びる保持部が形成されているため、表面電極部の径が小さいものであっても、電極構造体が絶縁層から脱落することがなくて高い耐久性が得られる。
また、小さい径の表面電極部を形成することが可能であることにより、隣接する表面電極部の間の離間距離が十分に確保されるため、絶縁層による柔軟性が十分に発揮され、その結果、小さいピッチで電極が形成された回路装置に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができる。
本発明に係るシート状プローブによれば、検査対象が、直径が8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを確実に防止することができ、従って、良好な電気的接続状態を安定に維持することができる。
本発明のシート状プローブによれば、金属フレーム板の貫通穴に接点膜を支持しているので、貫通穴に配置される接点膜の面積を小さくすることができる。例えば、検査対象である回路装置の被検査電極が形成された電極領域に対応して、複数の貫通穴を形成した金属フレーム板を用いれば、これらの各貫通穴に配置され、その周縁部で支持されるそれぞれの接点膜の面積を大幅に小さくすることができる。
このような面積の小さい接点膜は、その絶縁膜の面方向の熱膨張の絶対量が小さいため、絶縁膜の熱膨張を金属フレーム板によって確実に規制することが可能となる。従って、検査対象が、例えば、直径が8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験の際に、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれが確実に防止されるため、良好な電気的接続状態を安定して維持することができる。
また、金属フレーム板と裏面電極部とが、異なる金属部材から構成されているので、金属フレーム板の構成金属種、厚み等に制約がなく、例えば、曲げに対する弾性、入手性などを考慮して任意の金属種で、且つ任意の厚みで金属フレーム板を形成できる。
さらに、裏面電極部を、金属フレーム板と異なる金属部材から構成されているので、裏面電極として、金属フレーム板としての金属に制約されることがなく、好ましい金属、例えば、電気的特性に優れた銅などを裏面電極の構成金属として用いることができる。
また、絶縁膜の熱線膨張係数H1と、金属フレーム板の熱線膨張係数H2と、リング状の支持部材の熱線膨張係数H3とを、上記のような条件(1)〜(4)を満足するように、これらの部材の間の熱膨張率を設定することによって、これらの部材の熱膨張率の相違による影響、すなわち、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを抑えることができる。
本発明に係るシート状プローブの製造方法によれば、検査対象が、直径が8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれが確実に防止され、従って、良好な電気的接続状態が安定に維持されるシート状プローブを製造することができる。
本発明のシート状プローブの製造方法によれば、絶縁性シートを有する積層体に予め表面電極部形成用凹所を形成し、表面電極部形成用凹所をキャビティとして表面電極部を形成するため、径が小さくて突出高さのバラツキが小さい表面電極部が得られる。
そして表面電極部を形成した後に絶縁層を設け、該絶縁層に短絡部形成用凹所を形成し、短絡部形成用凹所をキャビティとして短絡部を形成するため、短絡部の先端の径を先端
部の基端の径より小さくして電極構造体を構成することができる。
従って、先端部と短絡部を形成するための凹所を1回で絶縁層に形成する方法に比べて、厚みの厚い絶縁層の場合でも裏面側電極部を小さく形成できる。
その結果、微細ピッチで高密度の電極構造体を有するシート状プローブを容易に製造することができる。
そして、絶縁層への先端部形成用凹所の形成と短絡部形成用凹所の形成を別途に行うので、先端部形成用凹所の形状と短絡部形成用凹所の形状が任意に設定できる。
これにより、短絡部の径を大きくしないで、短絡部の基端の径を大きくすることも可能であり、表面電極部の基端の径が大きく先端の径が小さく、かつ裏面電極部の径が小さな電極構造体を有する絶縁シートの厚みの大きいシート状プローブを製造することができる。
また、絶縁層の表面に形成された第1の裏面側金属層をエッチング処理することにより、表面電極部の基端部分から連続して絶縁層の表面に沿って外方に伸びる保持部を確実に形成することができる。
また、本発明に係るシート状プローブの製造方法によれば、予め貫通穴を形成した金属フレーム板を用いて、この金属フレーム板に対して、絶縁膜を被覆した後に、絶縁膜に電極構造体を貫通形成しているので、金属フレーム板と裏面電極部とが、異なる金属部材から構成されていることになるので、金属フレーム板の構成金属種、厚み等に制約がなく、例えば、曲げに対する弾性、入手性などを考慮して任意の金属種で、且つ任意の厚みで金属フレーム板を形成できる。
さらに、裏面電極部を、金属フレーム板と異なる金属部材から構成されているので、裏面電極として、金属フレーム板としての金属に制約されることがなく、好ましい金属、例えば、電気的特性に優れた銅などを裏面電極の構成金属として用いることができる。
このため、表面電極部の径が小さいものであっても、電極構造体が絶縁層から脱落することがなくて高い耐久性を有する。
さらに、金属フレーム板により絶縁層が支持されているため、検査対象が直径8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが100μm以下の極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験において、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれが確実に防止され、従って良好な電気的接続状態が安定に維持されるシート状プローブを製造することができる。
本発明のプローブカードによれば、上記のシート状プローブを具えてなるため、120μm以下の小さいピッチで電極が形成された回路装置に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、シート状プローブにおける電極構造体が脱落することがなく、検査対象が、直径が8インチ以上の大面積のウエハや被検査電極のピッチが100μm以下の極めて小さい回路装置であっても、バーンイン試験において、良好な電気的接続状態を安定に維持することができるので、高い耐久性が得られる。
本発明の回路装置の検査装置によれば、上記のプローブカードを備えてなるため、120μm以下の小さいピッチで電極が形成された回路装置に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、多数の回路装置の検査を行う場合でも、長期間にわたって信頼性の高い検査を実行することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<シート状プローブ>
図1は、本発明のシート状プローブの他の実施形態を示した図であり、図1(a)は平面図、図1(b)はX−X線による断面図、図2は、図1のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示した平面図、図3は、本発明に係るシート状プローブにおける構造を示す説明用断面図、図4は、本発明に係るシート状プローブの電極構造体を拡大して示す説明用断面図である。
本実施形態のシート状プローブ10は、複数の集積回路が形成された8インチ等のウエハについて、各集積回路の電気検査をウエハの状態で行うために用いられる。
このシート状プローブ10は、図1(a)に示したように、被検査対象であるウエハ上の各集積回路に対応する各位置に貫通孔が形成された金属フレーム板25を有し、この貫通孔内には接点膜9が配置されている。
接点膜9は、金属フレーム板25の貫通孔周辺の支持部22で、金属フレーム板25に支持されている。
図1(b)に示したように、この支持部22は、金属フレーム板25の上に、絶縁膜からなる接点膜9が形成され、この金属フレーム板25によって接点膜9が支持されている。
接点膜9は、図2に示したように、柔軟な絶縁層18Bに電極構造体15が貫通形成された構造になっている。
即ち、絶縁層18Bの厚み方向に延びる複数の電極構造体15が、検査対象であるウエハの被検査電極に対応するパターンに従って絶縁層18Bの面方向に互いに離間して配置されている。
また、図3に示したように、電極構造体15の各々は、絶縁層18Bの表面に露出し、絶縁層18Bの表面から突出する突起状の表面電極部16と、絶縁層18Bの裏面に露出する矩形の平板状の裏面電極部17と、表面電極部16の基端から連続して前記絶縁層18Bをその厚み方向に貫通して伸びて裏面電極部17に連結された短絡部18と、表面電極部16の基端部分の周面から連続して絶縁層18Bの表面に沿って外方に放射状に伸びる円形リング板状の保持部19とにより構成されている。
この例の電極構造体15においては、表面電極部16が、短絡部18に連続して基端から先端に向かうに従って小径となるテーパ状とされて全体が円錐台状に形成され、表面電極部16の基端に連続する短絡部18が、絶縁層18Bの裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状とされている。
また、図4に示したように、表面電極部16の基端の径R1が基端に連続する短絡部18の一端の径R3より大きくなっている。
絶縁層18Bとしては、絶縁性を有する柔軟なものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、フッ素系樹脂などよりなる樹脂シート、繊維を編んだクロスに上記の樹脂を含浸したシートなどを用いることができるが、短絡部18を形成するための貫通孔をエッチングにより容易に形成することができる点で、エッチング可能な材料よりなることが好ましく、特にポリイミドが好ましい。
また、絶縁層18Bの厚みdは、絶縁層18Bが柔軟なものであれば特に限定されないが、5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。
金属フレーム板25は絶縁層18Bと一体的に設けられるもので、絶縁層18Bと積層された状態で絶縁層18Bの表面に設けられてもよく、絶縁層18Bに中間層として含ま
れてもよい。
そして、金属フレーム板25は、電極構造体15とは離間して配置され、電極構造体15と金属フレーム板25は絶縁層18Bにより連結されるので、電極構造体15と金属フレーム板25は電気的には絶縁されている。
また、後述するシート状プローブ10の製造方法によれば、金属フレーム板25は第2の裏面側金属層17Aの一部を除去することにより形成されるものである。
金属フレーム板25となる第2の裏面側金属層17Aを構成する金属としては、鉄、銅、ニッケル、チタンまたはこれらの合金若しくは合金鋼を用いることができるが、後述する製造方法においては、エッチング処理によって容易に第2の裏面側金属層17Aを金属フレーム板25と裏面電極部17に分離分割できる点で、42合金、インバー、コバールなどの鉄−ニッケル合金鋼や銅、ニッケルおよびこれらの合金が好ましい。
また、金属フレーム板25としては、その線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは−1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは−1×10-6〜8×10-6/Kである。
このような金属フレーム板25を構成する材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42合金などの合金または合金鋼が挙げられる。
金属フレーム板25の厚みは、3〜150μmであることが好ましく、より好ましくは5〜100μmである。
この厚みが過小である場合には、シート状プローブを支持する金属フレーム板として必要な強度が得られないことがある。一方、この厚みが過大である場合には、後述する製造方法において、エッチング処理によって第2の裏面側金属層17Aより金属フレーム板25と裏面電極部17に分離分割することが困難となることがある。
また、絶縁性シートをエッチング等により、図10(a)、(b)示したように、多数の接点膜9に分離して金属フレーム板25に支持させてもよい。
この場合、金属フレーム板25の各々の開口部26に電極構造体15を保持する柔軟な接点膜9が互いに独立した状態(図10(a))、部分的に独立した状態(図10(b))で配置される。
接点膜9の各々は、図10(a)、(b)に示すように、柔軟な絶縁層18Bを有し、この絶縁層18Bには、当絶縁層18Bの厚み方向に伸びる金属よりなる複数の電極構造体15が、検査対象であるウエハの電極領域における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って、絶縁層18Bの面方向に互いに離間して配置されており、接点膜9は、金属フレーム板25の開口部内に位置するよう配置されている。
電極構造体15を構成する金属としては、ニッケル、銅、金、銀、パラジウム、鉄などを用いることができ、電極構造体15としては、全体が単一の金属よりなるものであっても、2種以上の金属の合金よりなるものまたは2種以上の金属が積層されてなるものであってもよく、表面電極部16と短絡部18が異なる金属により構成されてもよい。
また、電極構造体15における表面電極部16および裏面電極部17の表面には、電極部の酸化を防止すると共に、接触抵抗の小さい電極部を得るために、金、銀、パラジウムなどの化学的に安定で高導電性を有する金属被膜が形成されていてもよい。
電極構造体15において、表面電極部16の基端における径R1に対する先端における径R2の比(R2/R1)は、0.11〜0.9であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.6である。
電極構造体15の配置ピッチは、接続すべき回路装置の被検査電極のピッチと同一のものとされるが、40〜160μmピッチであることが好ましく、40〜120μmであることがより好ましく、特に、40〜100μmであることが好ましい。
このような条件を満足することにより接続すべき回路装置が、ピッチが120μm以下の小さくて微小な電極を有するものや、ピッチが100μm以下の極めて小さい微小な電極を有するものであっても、回路装置に対して安定な電気的接続状態が確実に得られる。
また、表面電極部16の基端の径R1は、電極構造体15のピッチの30〜70%であることが好ましく、より好ましくは35〜60%である。
また、表面電極部16の基端における径R1に対する突出高さhの比h/R1は、0.2〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.6である。
このような条件を満足することにより、接続すべき回路装置がピッチが120μm以下の小さくて微小な電極を有するものや、ピッチが100μm以下の極めて小さい微小な電極を有するものであっても、電極のパターンに対応するパターンの電極構造体15を容易に形成することができ、回路装置に対して安定な電気的接続状態が一層確実に得られる。
表面電極部16の基端の径R1は、上記の条件や接続すべき電極の直径などを勘案して設定されるが、例えば30〜80μmであり、好ましくは30〜60μmである。
表面電極部16の突出高さhの高さは、接続すべき電極に対して安定な電気的接続を達成することができる点で、12〜50μmであることが好ましく、より好ましくは15〜30μmである。
また、裏面電極部17の外径R5は、裏面電極部17に連結された短絡部18の絶縁層18Bの裏面側の径R4より大きく、かつ、電極構造体15のピッチより小さいものであればよいが、可能な限り大きいものであることが好ましく、これにより、例えば異方導電性シートに対しても安定な電気的接続を確実に達成することができる。
また、裏面電極部17の厚みd2は、強度が十分に高くて優れた繰り返し耐久性が得られる点で、10〜80μmであることが好ましく、より好ましくは12〜60μmである。
また、短絡部18の絶縁層18Bの裏面側の径R4に対する絶縁層18Bの表面側の径R3の比R3/R4は、0.2〜1であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.9である。
また、短絡部18の絶縁層18Bの表面側の径R3は、電極構造体15のピッチの10〜50%であることが好ましく、より好ましくは15〜45%である。
また、保持部19の径R6は、電極構造体15のピッチの30〜70%であることが好ましく、より好ましくは40〜60%である。
また、保持部19の厚みd1は、3〜50μmであることが好ましく、より好ましくは4〜40μmである。
また、本発明のシート状プローブ10では、金属フレーム板25と裏面電極部17とが、異なる金属部材から構成してもよい。
すなわち、後述するように、金属フレーム板25は、複数個の貫通孔12が、例えば、パンチング、レーザ加工などによって形成されている金属材料から構成されるものである。
一方、後述するように、裏面電極部17は、図21(c)、図22(a)に示したように、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所18Kおよびレジスト膜29Aの各パターン孔29H内に金属を充填することにより、裏面電極部17として形成された金属材料から構成されるものである。
このように、金属フレーム板24と裏面電極部17とが、異なる金属部材から構成されているので、金属フレーム板24の構成金属種、厚み等に制約がなく、例えば、曲げに対する弾性、入手性などを考慮して任意の金属種で、且つ任意の厚みで金属フレーム板24を形成できる。
さらに、裏面電極部17が、金属フレーム板24と異なる金属部材から構成されているので、裏面電極部17として、金属フレーム板24としての金属に制約されることがなく、好ましい金属、例えば、電気的特性に優れた銅などを裏面電極部17の構成金属として用いることができる。
この場合、金属フレーム板24を構成する金属部材の構成金属と、裏面電極部17を構成する金属部材の構成金属が、異なる金属種の構成金属から構成されていてもよい。
また、金属フレーム板24を構成する金属部材の構成金属と、裏面電極部17を構成する金属部材の構成金属が、同じ金属種の構成金属から構成されていてもよい。
シート状プローブ10の周縁部には、剛性を有する平板リング状の支持部材2が設けられている。このような支持部材2の材料としては、インバー、スーパーインバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、コバール、42アロイなどの低熱膨張金属材料、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素などのセラミックス材料が挙げられる。
また、支持部材2の厚さとしては、好ましくは、2mm以上であるのが望ましい。
このような範囲に、リング状の支持部材2の厚さを設定することによって、金属フレーム板25と、リング状の支持部材2の熱膨張率の相違による影響、すなわち、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれをさらに抑えることができる。
このような支持部材2により、その剛性でシート状プローブ10を支持することで、後述のプローブカードにおいて、例えば、支持部材2に形成した孔と、プローブカードに設けられたガイドピンとを係合させることにより、あるいは支持部材2と、プローブカード周縁部に設けられた周状の段差部とを嵌め合わせることにより、シート状プローブ10の接点膜9に設けられた電極構造体15を、被検査物の被検査電極や異方導電性コネクターの導電部と容易に位置合わせすることができ、さらに、繰り返し検査に使用する場合においても、被検査物への張り付き、電極構造体15の所定位置からの位置ずれを確実に防止できる。
また、本発明のシート状プローブ10においては、図5(b)に示したように、金属フレーム板25によって絶縁層18Bを支持する構造の他、図5(a)に示したように、絶縁層18B中に金属フレーム板24を有する構造も可能であり、この構造は、図6から図8に示した通りである。
なお、図6から図8に示した本発明のシート状プローブ10の製造方法については、後
で詳しく説明するが、金属フレーム板による絶縁層18Bを支持する形態の違い以外は、基本的に同じ構成である。
このシート状プローブ10は、被検査対象であるウエハ上の各集積回路に対応する各位置に形成された貫通孔が形成された金属フレーム板24を有し、この貫通孔内には接点膜9が配置されている。
接点膜9は、金属フレーム板24の貫通孔周辺部の支持部22で、金属フレーム板24に支持されている。
なお、金属フレーム板24を用いた場合には、図5(a)、図6(b)に示したように、支持部22は、金属フレーム板24が樹脂製の絶縁層18Bによって挟み込まれた状態で支持される。
このようなシート状プローブ10は、接点膜の各々の開口部に電極構造体15を保持する柔軟な接点膜9が互いに独立した状態(図11(a))、部分的に独立した状態(図11(b))で配置されても良い。
このようなシート状プローブ10は、接着剤8を介して金属フレーム板24が、支持部材2に接着固定されている。
このリング状の支持部材2の材料としては、インバー、スーパーインバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、コバール、42アロイなどの低熱膨張金属材料、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素などのセラミックス材料が挙げられる。
このような支持部材2により、その剛性でシート状プローブ10を支持することで、後述のプローブカードにおいて、例えばフレーム板に形成した孔と、プローブカードに設けられたガイドピンとを係合させることにより、あるいは支持部材2と、プローブカード周縁部に設けられた周状の段差部とを互いに嵌め合わせることにより、シート状プローブ10の接点膜9に設けられた電極構造体15を、被検査物の被検査電極や異方導電性コネクターの導電部と容易に位置合わせすることができる。
さらに、繰り返し検査に使用する場合においても、被検査物への張り付き、電極構造体15の所定位置からの位置ずれを確実に防止できる。
また、金属フレーム板24として金属からなるメッシュを用いてもよく、メッシュを形成する金属としては、例えばステンレス、アルミニウムが挙げられる。
このような絶縁層18B中に金属フレーム板24を有する構成のシート状プローブ10によれば、図7のように、接点膜9の支持部が、金属フレーム板24が絶縁層18Bにより挟まれた構造となっているので固定強度が高く、このシート状プローブを用いた検査装置による電気検査において高い繰り返し耐久性が得られる。
ところで、本発明のシート状プローブ10では、これらの絶縁層18Bと、金属フレーム板25(後述する金属フレーム板24を含む)と、リング状の支持部材2の熱線膨張係数を、下記のような条件に制御することによって、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを抑えるようになっている。
すなわち、本発明のシート状プローブ10では、図9に示したように、
絶縁層18Bの熱線膨張係数をH1とし、
金属フレーム板25の熱線膨張係数をH2とし、
リング状の支持部材2の熱線膨張係数をH3としたとき、下記の条件(1)〜(3)、すなわち、
条件(1):H1=0.8×10-5〜8×10-5/K
条件(2):H2/H1<1
条件(3):H3/H1<1
を満足するように設定している。
さらに、条件(2):H2/H1については、0.5未満であることが好ましく、特に好ましくは0.3未満であることが好ましい。
また、条件(3):H3/H1については、0.5未満であることが好ましく、特に好ましくは、0.3未満であることが好ましい。
さらに、本発明のシート状プローブは、金属フレーム板25の熱線膨張係数をH2と、リング状の支持部材の熱線膨張係数をH3が、下記の条件(4)、すなわち、
条件(4):H2−H3=−1×10-5〜1×10-5/K
を満足するように設定している。
さらに、条件(4):H2−H3については、H2−H3=−5×10-6〜5×10-6/Kであることがより好ましい。
このような条件を満足するように、絶縁層18Bと、金属フレーム板25と、リング状の支持部材2の材料の組み合わせを適切に選択することによって、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを抑えることができる。また、絶縁膜9と金属フレーム板25の支持部分22の剥離や、支持部材2と金属フレーム25の接着面の剥離を抑制することができる。
なお、このような絶縁層18Bと、金属フレーム板25と、リング状の支持部材2の材料の組み合わせは、上記の条件(1)〜(4)を満足するものであれば良く、特に限定されるものではない。
このような組み合わせとしては、例えば、以下の熱線膨張係数を有する材料、すなわち、
(a) 絶縁膜 H1:
ポリイミド=約5×10-5/K
(b) フレーム板 H2:
42アロイ=約5×10-6/K
インバー合金=1.2×10-6/K
エリンバー合金=8×10-6/K
コバール合金=5×10-5/K
ステンレス不変鋼=±0.1×10-6/K
(c) 支持板 H3:
窒化ケイ素=3.5×10-6/K
炭化ケイ素=4×10-6/K
インバー合金=1.2×10-6/K
ステンレス不変鋼=±0.1×10-6/K
から選択することができる。
このようにして、絶縁層18Bの熱線膨張係数H1と、金属フレーム板25の熱線膨張係数H2と、リング状の支持部材2の熱線膨張係数H3とを、上記のような条件(1)〜(4)を満足するように、これらの部材の間の熱膨張率を設定することによって、これらの部材の熱膨張率の相違による影響、すなわち、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれを抑えることができる。また、絶縁膜9と金属フレーム板25の支持部分22の剥離や、支持部材2と金属フレーム25の接着面の剥離を抑制することができる。
また、本発明のシート状プローブ10では、金属フレーム板25の熱線膨張係数H2が、下記の条件(5)、すなわち、
条件(5):H2=−1×10-7〜2×10-5/Kを満足するように設定するのが好ましい。
また、条件(5)は、H2=−1×10-7〜1×10-5/Kとすることがより好ましい。
このように、金属フレーム板25の熱線膨張係数H2を、上記のような条件(5)を満足するように、これらの部材の間の熱膨張率を設定することによって、絶縁層18Bと、金属フレーム板25と、リング状の支持部材2の熱膨張率の相違による影響、すなわち、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれをさらに抑えることができる。また、絶縁膜9と金属フレーム板25の支持部分22の剥離や、支持部材2と金属フレーム25の接着面の剥離をさらに抑制することができる。
また、本発明のシート状プローブ10では、リング状の支持部材2の熱線膨張係数H3が、下記の条件(6)、すなわち、
条件(6):H3=−1×10-7〜2×10-5/Kを満足するように設定するのが好ましい。
また、条件(6)は、H3=−1×10-7〜5×10-6/Kとすることがより好ましい。
このように、リング状の支持部材の熱線膨張係数H3を、上記のような条件(6)を満足するように、これらの部材の間の熱膨張率を設定することによって、絶縁層18Bと、金属フレーム板25と、リング状の支持部材2の熱膨張率の相違による影響、すなわち、温度変化による電極構造体と被検査電極との位置ずれをさらに抑えることができる。また、絶縁膜9と金属フレーム板25の支持部分22の剥離や、支持部材2と金属フレーム25の接着面の剥離をさらに抑制することができる。
このため、絶縁層18Bの支持方法については、製造コストなどを勘案して、適宜選択すると良い。
また、これらのシート状プローブ10は、ウエハの検査の際に、絶縁層18Bを支持する金属フレーム板25や、金属フレーム板24の外縁部分にリング状の支持部材2を備え、ウエハ検査を、良好に行うことができる。
なお、本発明の絶縁層18Bとしては、柔軟性を有する樹脂が用いられる。
絶縁層18Bの形成材料としては、電気的絶縁性を有する樹脂材料であれば特に限定されないが、例えばポリイミド系樹脂、液晶ポリマー、およびこれらの複合材料が挙げられる。
また、絶縁層18Bを構成する材料としては、エッチング可能な高分子材料を用いることが好ましく、より好ましくはポリイミドである。
ポリイミドとしては、
(1)感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニス、
(2)熱可塑性ポリイミド、
(3)ポリイミドフィルム(例えば、東レ・デュポン(株)商品名「カプトン」)
等を用いることができる。
このうち、上記(1)の感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミ
ド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニスは、粘性が低いため溶液塗布することができ、塗布後に硬化(重合)するので溶媒の蒸発、重合により体積収縮を伴うものである。
このような上記(1)の感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニスを用いる場合には、これらを積層体10Aに塗布して硬化することにより、絶縁層18Bを形成することが好ましい。
また、上記(2)の熱可塑性ポリイミドにおいては、
溶媒に溶解させてポリイミド溶液として積層体10Aに塗布した後、溶媒を蒸発させて絶縁層18Bとする方法、または、
熱可塑性ポリイミドのフィルムを積層体10Aに積層し加熱プレスすることによって、積層体10Aに一体化させて、絶縁層18Bと方法、
を採用することができる。
さらに、上記(3)のポリイミドフィルムは、熱にも溶媒にも溶けず安定なため、このようなポリイミドフィルムを用いる場合には、
上記(3)のポリイミドフィルムを、熱可塑性ポリイミドフィルムを介して、積層体10Aに積層して加熱プレスして一体化する方法、
上記(3)のポリイミドフィルムの表面に、上記(1)の感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニスによって、半硬化状態のポリイミド層を形成した後に、積層体10Aに積層して硬化して、一体化する方法、
等により絶縁層18Bを形成することができる。
このようなシート状プローブ10によれば、電極構造体15には、表面電極部16の基端部分から連続して絶縁層18Bの表面に沿って外方に伸びる保持部19が形成されているため、表面電極部16の径が小さいものであっても、保持部19が絶縁層18Bの表面に支持されている状態であるので、電極構造体15が絶縁層18Bの裏面から脱落することがなくて高い耐久性が得られる。
また、径の小さい表面電極部16を有することにより、隣接する表面電極部16の間の離間距離が十分に確保されるため、絶縁層18Bによる柔軟性が十分に発揮され、その結果、小さいピッチで電極が形成された回路装置に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができる。
<シート状プローブの製造方法>
以下、シート状プローブ10の製造方法について説明する。
まず、絶縁層18Bを金属フレーム板25にて支持する構造のシート状プローブ10の製造方法であるが、図12(a)に示すように、絶縁性シート11と、この絶縁性シート11の表面に形成された表面側金属層16Aと、絶縁性シート11の裏面に形成された第1の裏面側金属層19Aとよりなる積層体10Aを用意する。
絶縁性シート11は、絶縁性シート11の厚みと第1の裏面側金属層19Aの厚みとの合計の厚みが、形成すべき電極構造体15における表面電極部16の突出高さと同等となるものとされる。
また、絶縁性シート11を構成する材料としては、絶縁性を有する柔軟なものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエステル、フ
ッ素系樹脂などよりなる樹脂シート、繊維を編んだクロスに上記の樹脂を含浸したシートなどを用いることができるが、表面電極部16を形成するための貫通孔をエッチングにより容易に形成することができる点で、エッチング可能な材料よりなることが好ましく、特にポリイミドが好ましい。
また、絶縁性シート11の厚みは、絶縁性シート11が柔軟なものであれば特に限定されないが、10〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。
このような積層体10Aは、例えば一般に市販されている両面に例えば銅よりなる金属層が積層された積層ポリイミドシートを用いることができる。
このような積層体10Aに対し、図12(b)に示すように、その表面側金属層16Aの表面全体に保護フィルム40Aを積層すると共に、第1の裏面側金属層19Aの表面に、形成すべき電極構造体15のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔12Hが形成されたエッチング用のレジスト膜12Aを形成する。
ここで、レジスト膜12Aを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
次いで、第1の裏面側金属層19Aに対し、レジスト膜12Aのパターン孔12Hを介して露出した部分にエッチング処理を施して部分を除去することにより、図12(c)に示すように、第1の裏面側金属層19Aに、それぞれレジスト膜12Aのパターン孔12Hに連通する複数のパターン孔19Hが形成される。
その後、絶縁性シート11に対し、レジスト膜12Aの各パターン孔12Hおよび第1の裏面側金属層19Aの各パターン孔19Hを介して露出した部分に、エッチング処理を施して、部分を除去することにより、図13(a)に示すように、絶縁性シート11に、それぞれ第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hに連通する、絶縁性シート11の裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状の複数の貫通孔11Hが形成される。
これにより、積層体10Aの裏面に、それぞれ第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19H、絶縁性シート11の貫通孔11Hが連通されてなる複数の表面電極部形成用凹所10Kが形成される。
以上において、第1の裏面側金属層19Aをエッチング処理するためのエッチング剤としては、これらの金属層を構成する材料に応じて適宜選択され、これらの金属層が例えば銅よりなるものである場合には、塩化第二鉄水溶液を用いることができる。
また、絶縁性シート11をエッチング処理するためのエッチング液としては、アミン系エッチング液、ヒドラジン系水溶液や水酸化カリウム水溶液等を用いることができ、エッチング処理条件を選択することにより、絶縁性シート11に、裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状の貫通孔11Hを形成することができる。
このようにして表面電極部形成用凹所10Kが形成された積層体10Aからレジスト膜12Aを除去し、その後、図13(b)に示すように、積層体10Aに、第1の裏面側金属層19Aの表面に、形成すべき電極構造体15における保持部19のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔13Hが形成されたメッキ用のレジスト膜13Aを形成する。
ここで、レジスト膜13Aを形成する材料としては、メッキ用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができるが感光性ドライフィルムレジストが好ま
しい。
次いで、積層体10Aに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各表面電極部形成用凹所10Kおよびレジスト膜13Aの各パターン孔13H内に金属を充填することにより、図13(c)に示すように、複数の表面電極部16、表面電極部16の各々の基端に連続して絶縁性シート11の裏面に沿って外側に伸びる保持部19が形成される。ここで、保持部19の各々は、第1の裏面側金属層19Aを介して互いに連結された状態である。
そして、レジスト膜13Aを剥離する。
このようにして表面電極部16、保持部19が形成された積層体10Aに、図14(a)に示すように第1の裏面側金属層19Aと保持部19を覆うように絶縁層18Bを形成し、この絶縁層18Bの表面に第2の裏面側金属層17Aを形成し積層体10Bとする。
また、絶縁層18Bを構成する材料としては、エッチング可能な高分子材料を用いることが好ましく、より好ましくはポリイミドである。
また、絶縁層18Bを構成する材料としては、エッチング可能な高分子材料を用いることが好ましく、より好ましくはポリイミドである。
ポリイミドとしては、
(1)感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニス、
(2)熱可塑性ポリイミド、
(3)ポリイミドフィルム(例えば、東レ・デュポン(株)商品名「カプトン」)
等を用いることができる。
このうち、上記(1)の感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニスは、粘性が低いため溶液塗布することができ、塗布後に硬化(重合)するので溶媒の蒸発、重合により体積収縮を伴うものである。
このような上記(1)の感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニスを用いる場合には、これらを積層体10Aに塗布して硬化することにより、絶縁層18Bを形成することが好ましい。
また、上記(2)の熱可塑性ポリイミドにおいては、
溶媒に溶解させてポリイミド溶液として積層体10Aに塗布した後、溶媒を蒸発させて絶縁層18Bとする方法、または、
熱可塑性ポリイミドのフィルムを積層体10Aに積層し加熱プレスすることによって、積層体10Aに一体化させて、絶縁層18Bと方法、
を採用することができる。
さらに、上記(3)のポリイミドフィルムは、熱にも溶媒にも溶けず安定なため、このようなポリイミドフィルムを用いる場合には、
上記(3)のポリイミドフィルムを、熱可塑性ポリイミドフィルムを介して、積層体10Aに積層して加熱プレスして一体化する方法、
上記(3)のポリイミドフィルムの表面に、上記(1)の感光性ポリイミドの溶液、ポリイミド前駆体の溶液、ポリイミド前駆体や低分子のポリイミドを溶媒で希釈した液状ポリイミドまたはワニスによって、半硬化状態のポリイミド層を形成した後に、積層体10
Aに積層して硬化して、一体化する方法、
等により絶縁層18Bを形成することができる。
また、片面に例えば42アロイよりなる金属層が積層された積層ポリイミドシートを接着層を介して積層体10Aに積層することにより絶縁層18Bと第2の裏面側金属層17Aを形成することもできる。
第2の裏面側金属層17Aは、形成すべき金属フレーム板25の厚みと同等の厚みを有するものとされる。
その後、図14(b)に示すように積層体10Bに対し、第2の裏面側金属層17Aの表面に、形成すべき電極構造体15のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔28Hが形成されたエッチング用のレジスト膜28Aを形成する。
ここで、レジスト膜28Aを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
次いで、第2の裏面側金属層17Aに対し、レジスト膜28Aのパターン孔28Hを介して露出した部分にエッチング処理を施して部分を除去することにより、図14(c)に示すように、第2の裏面側金属層17Aに、それぞれレジスト膜28Aのパターン孔28Hに連通する複数のパターン孔17Hが形成される。
その後、絶縁層18Bに対し、レジスト膜28Aの各パターン孔28Hおよび第2の裏面側金属層17Aの各貫通孔17Hを介して露出した部分にエッチング処理を施して部分を除去することにより、図15(a)に示すように、絶縁層18Bに、それぞれ第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hに連通する、絶縁層18Bの裏面から表面に向かうに従って小径となり底面に表面電極部16が露出したテーパ状の複数の貫通孔18Hが形成される。
これにより、積層体10Bの裏面に、それぞれ第2の裏面側金属層17Aのパターン孔17H、絶縁層18Bの貫通孔18Hが連通されてなる複数の短絡部形成用凹所18Kが形成される。
以上において、第2の裏面側金属層17Aをエッチング処理するためのエッチング剤としては、これらの金属層を構成する材料に応じて適宜選択される。
絶縁層18Bをエッチング処理するためのエッチング液としては、前述の絶縁性シート11のエッチングに用いたエッチング液を用いることができる。
このようにして短絡部形成用凹所18Kが形成された積層体10Bからレジスト膜28Aを除去し、その後、図15(b)に示すように、積層体10Bに、第2の裏面側金属層17Aの表面に、形成すべき電極構造体15における裏面電極部17のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔29Hが形成されたメッキ用のレジスト膜29Aを形成する。
ここで、レジスト膜29Aを形成する材料としては、メッキ用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができるがドライフィルムレジストが好ましい。
次いで、積層体10Bに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所18Kおよびレジスト膜29Aの各パターン孔29H内に金属を充填することにより、図15(c)に示すように、表面電極部16の各々の基端に連続してその厚み方向に貫通して伸びる短絡部18および短絡部18の各々の絶縁層18Bの裏面側に連結された裏面電極部17が形成される。
ここで、裏面電極部17の各々は、第2の裏面側金属層17Aを介して互いに連結された状態である。
このようにして表面電極部16、保持部19、短絡部18および裏面電極部17が形成された積層体10Bからレジスト膜29Aを除去し、その後に図16(a)に示すように裏面電極部17と金属フレーム板25とする第2の裏面側金属層17Aの部分を覆い、除去すべき第2の裏面側金属層17Aの部分に対応するパターンに従ってパターン孔29Kを有するパターニングされたエッチング用レジスト膜29Bを形成する。
ここで、レジスト膜29Bを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
その後、表面側金属層16Aの上に設けられた保護フィルム40Aを除去し、表面側金属層16Aおよび第2の裏面側金属層17Aにエッチング処理を施すことにより、図16(b)に示すように、表面側金属層16Aを除去すると共に、第2の裏面側金属層17Aにおけるパターン孔29Kにより露出した部分を除去して開口部26を形成し、これにより、互いに分離した複数の裏面電極部17および金属フレーム板25が形成される。
更に、図16(c)に示すように、裏面側のエッチング用のレジスト膜29Bを除去した後、裏面電極部17、金属フレーム板25、開口部26を覆うように、レジスト膜17Eを形成する。
ここで、レジスト膜17Eを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
そしてレジスト膜17Eの表面全体に保護フィルム40Bを積層する。
次いで、絶縁性シート11に対してエッチング処理を施してその全部を除去し、図17(a)に示すように、表面電極部16、第1の裏面側金属層19Aを露出した積層体10Cを得た。その後、図17(b)に示すように、表面電極部16および第1の裏面側金属層19Aにおける保持部19となるべき部分を覆うよう、パターニングされたエッチング用のレジスト膜14Aを形成する。
その後、第1の裏面側金属層19Aにエッチング処理を施して露出した部分を除去することにより、図17(c)に示すように、表面電極部16の基端部分の周面から連続して絶縁層18Bの表面に沿って外方に放射状に伸びる保持部19が形成され、以って電極構造体15が形成される。
次いで、図17(d)に示すように、レジスト膜14Aを除去し、金属フレーム板25の一部を露出させるようレジスト膜17Fを積層体10Cの上面に形成する。この状態で、絶縁層18Bをエッチング処理することにより、図17(e)に示したように、金属フレーム板25の一部が露出される。
そして、絶縁層18Bの表面よりレジスト膜17Fを除去し、絶縁層18Bの裏面および裏面電極部17から、保護フィルム40Bおよびレジスト膜17Eを除去することにより、図18に示すシート状プローブ10が得られる。
また、金属フレーム板24と裏面電極部17とが、異なる金属部材から構成したシート状プローブ10の製造方法を説明する。
このようなシート状プローブ10は、図12(a)から図13(c)までの工程は、前述した絶縁層18Bを金属フレーム板25にて支持する構造のシート状プローブ10の製造方法と同様に行い、積層体10Aを獲た。
次に、図19(a)に示したように、レジスト膜13Aを除去し、図19(b)に示したように、第1の裏面側電極層19A上に保持部19を覆うように絶縁層18Bを形成した。
一方、図48(a)に示したように、被検査対象であるウエハ上の各集積回路に対応する各位置に、複数個の貫通孔12が、例えば、パンチング、レーザ加工、エッチング加工などによって形成された金属フレーム板24を用意する。
また、図19(c)に示したように、第1の裏面側電極層19A上に保持部19を覆うよう形成された絶縁層18B上に、金属フレーム板24を積層した。
さらに、図20(a)に示したように、金属フレーム板24の上から再度、絶縁層18Bを形成することによって、絶縁層18B内に金属フレーム板24を形成した積層体10Bを得た。
また、図20(b)に示したように、このような絶縁層18Bの上から、第2の裏面側金属層17Aを形成し、その後、図20(c)に示したように、積層体10Aに対し、第2の裏面側金属層17Aの表面に、形成すべき電極構造体15のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔28Hが形成されたエッチング用のレジスト膜28Aを形成する。
ここで、レジスト膜28Aを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
次いで、第2の裏面側金属層17Aに対し、レジスト膜28Aのパターン孔28Hを介して露出した部分にエッチング処理を施して部分を除去することにより、図21(a)に示したように、第2の裏面側金属層17Aに、それぞれレジスト膜28Aのパターン孔28Hに連通する複数のパターン孔17Hが形成される。
その後、絶縁層18Bに対し、レジスト膜28Aの各パターン孔28Hおよび第2の裏面側金属層17Aの各貫通孔17Hを介して露出した部分にエッチング処理を施して部分を除去することにより、図21(b)に示したように、絶縁層18Bに、それぞれ第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hに連通する、絶縁層18Bの裏面から表面に向かうに従って小径となり底面に表面電極部16が露出したテーパ状の複数の貫通孔18Hが形成される。
これにより、積層体10Bの裏面に、それぞれ第2の裏面側金属層17Aのパターン孔17H、絶縁層18Bの貫通孔18Hが連通されてなる複数の短絡部形成用凹所18Kが形成される。
以上において、第2の裏面側金属層17Aをエッチング処理するためのエッチング剤としては、これらの金属層を構成する材料に応じて適宜選択することができる。
絶縁層18Bをエッチング処理するためのエッチング液としては、前述の絶縁性シート11のエッチングに用いたエッチング液を用いることができる。
このようにして短絡部形成用凹所18Kが形成された積層体10Bからレジスト膜28Aを除去し、その後、図21(c)に示すように、積層体10Bに、第2の裏面側金属層17Aの表面に、形成すべき電極構造体15における裏面電極部17のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔29Hが形成されたメッキ用のレジスト膜29Aを形成する。
ここで、レジスト膜29Aを形成する材料としては、メッキ用のフォトレジストとして
使用されている種々のものを用いることができるがドライフィルムレジストが好ましい。
次いで、積層体10Bに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所18Kおよびレジスト膜29Aの各パターン孔29H内に金属を充填することにより、図22(a)に示すように、表面電極部16の各々の基端に連続してその厚み方向に貫通して伸びる短絡部18および短絡部18の各々の絶縁層18Bの裏面側に連結された裏面電極部17が形成された。
ここで、裏面電極部17の各々は、第2の裏面側金属層17Aを介して互いに連結された状態である。
また、図22(b)に示したように、表面電極部16、短絡部18および裏面電極部17が形成された積層体10Bからレジスト膜29Aを除去し、その後に、図22(c)に示したように、裏面電極部17の上にパターニングされたエッチング用レジスト膜29Bを形成した。
ここで、レジスト膜29Bを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
さらに図23(a)に示したように、第2の裏面側金属層17Aにエッチング処理を施すことにより、互いに分離した複数の裏面電極部17が形成された。
その後、図23(b)に示したように、レジスト膜29Bを除去し、裏面電極部17Aと絶縁層18Bを覆うようにレジスト層29Cを形成し、レジスト層29Cの表面全体に保護フィルム40Bを形成した。その後に、表面側金属層16Aの上に設けられた保護フィルム40Aを除去し、表面側金属層16Aにエッチング処理を施し、図23(c)に示したように、絶縁性シート11に対してエッチング処理を施してその全部を除去し、積層体10Cを得た。
更に、図24(a)に示したように、表面電極部16および第1の裏面側金属層19Aにおける保持部19となるべき部分を覆うよう、パターニングされたエッチング用のレジスト膜14Aを形成する。
その後、第1の裏面側金属層19Aにエッチング処理を施して露出した部分を除去することにより、図24(b)に示したように、表面電極部16の基端部分の周面から連続して当該絶縁層18Bの表面に沿って外方に放射状に伸びる保持部19が形成され、以って電極構造体15が形成される。
さらに、図24(c)に示したように、保護フィルム40Bとレジスト層29Cを除去し、金属フレーム板24の一部を露出させるよう、レジスト膜14B、17Eを積層体10Aの上下面に形成し、エッチング処理することにより、図25(a)に示したように金属フレーム板24の一部が露出される。
さらに、図25(b)に示したように、絶縁層18Bの裏面および裏面電極部17からレジスト膜14B、17Eを除去することにより、シート状プローブ10が得られる。
そして、図6(b)に示したように、必要に応じて、シート状プローブ10の周縁部、すなわち、金属フレーム板24の外周縁に、絶縁層18Bとは離間して、例えば、接着剤を介して、剛性を有する平板リング状の支持部材2を設けることができる。
このように、本発明のシート状プローブ10では、金属フレーム板24と裏面電極部17とが、異なる金属部材から構成されている。
すなわち、金属フレーム板24は、複数個の貫通孔12が、例えば、パンチング、レーザ加工などによって形成されている金属材料から構成されるものである。
一方、裏面電極部17は、図21(c)、図22(a)に示したように、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所18Kおよびレジスト膜29Aの各パターン孔29H内に金属を充填することにより、裏面電極部17として形成された金属材料から構成されるものである。
このように、金属フレーム板24と裏面電極部17とが、異なる金属部材から構成されているので、金属フレーム板24の構成金属種、厚み等に制約がなく、例えば、曲げに対する弾性、入手性などを考慮して任意の金属種で、且つ任意の厚みで金属フレーム板24を形成できる。
さらに、裏面電極部17が、金属フレーム板24と異なる金属部材から構成されているので、裏面電極部17として、金属フレーム板24としての金属に制約されることがなく、好ましい金属、例えば、電気的特性に優れた銅などを裏面電極部17の構成金属として用いることができる。
この場合、金属フレーム板24を構成する金属部材の構成金属と、裏面電極部17を構成する金属部材の構成金属が、異なる金属種の構成金属から構成されていてもよい。
また、金属フレーム板24を構成する金属部材の構成金属と、裏面電極部17を構成する金属部材の構成金属が、同じ金属種の構成金属から構成されていてもよい。

なお、図1の実施例では、図48(a)に示したように、被検査対象であるウエハ上の各集積回路に対応する各位置に、複数個の貫通孔12が形成された金属フレーム板24を用いて、これらの貫通孔12にそれぞれ、各絶縁層18Bを互いに隔離するように形成している。
しかしながら、図26のように(図26(a)は平面図、図26(b)はX−X線による断面図である)、絶縁層18Bを一体化し、連続した1つの支持部としてもよく、図27のように(図27(a)は平面図、図27(b)はX−X線による断面図である)、絶縁層18Bを複数の接点膜9を含むように分割し(同図では4分割)、複数の接点膜9について連続した支持部を形成するようにしてもよい。
さらに、図48(b)に示したように、中央に一つの大径の貫通孔12を形成したリング形状の金属フレーム板24を用いて、図28に示したように(図28(a)は平面図、図28(b)はX−X線による断面図である)、この貫通孔12に絶縁層18Bを一体化し、連続した1つの支持部として、この絶縁層18Bに、被検査対象であるウエハ上の各集積回路に対応する各位置に、複数個の電極構造体17を形成するようにすることも可能である。
また、図1の実施例では、金属フレーム板24の貫通孔12の周縁部に、絶縁層18Bによって貫通孔12の周縁部を両面側から挟み込んだ状態で、接点膜9が支持されている。
しかしながら、図5(b)に示したように、金属フレーム板24の貫通孔12の周縁部上に、絶縁層18Bによって接点膜9が支持されるように構成することも可能である。
この場合には、図29〜図36に示したように、以下の方法によって製造することができる。なお、図12〜図19(b)までは、前述した方法と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
先ず、金属フレーム板24を用意し、図29(a)(b)に示したように、貫通孔12
と、貫通孔12の周辺部に、複数の連結用の貫通孔12aを、エッチングなどにより、金属フレーム板24に形成する。
また、図30(a)(b)は、それぞれ図19(a)(b)と同様であり、この状態で、図30(c)に示したように、第1の裏面側電極層19A上に保持部19を覆うよう形成された絶縁層18B上に、金属フレーム板24を積層した。
さらに、図31(a)に示したように、金属フレーム板24の上から再度、絶縁層18Bを形成することによって、連結用の貫通孔12a内に絶縁層18Cが充填され、これにより、絶縁層18B内に金属フレーム板24を形成した積層体10Bを得た。
また、図31(b)に示したように、このような絶縁層18Bの上から、第2の裏面側金属層17Aを形成し、その後、図31(c)に示したように、積層体10Aに対し、第2の裏面側金属層17Aの表面に、形成すべき電極構造体15のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔28Hが形成されたエッチング用のレジスト膜28Aを形成する。
ここで、レジスト膜28Aを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
次いで、第2の裏面側金属層17Aに対し、レジスト膜28Aのパターン孔28Hを介して露出した部分にエッチング処理を施して部分を除去することにより、図32(a)に示したように、第2の裏面側金属層17Aに、それぞれレジスト膜28Aのパターン孔28Hに連通する複数のパターン孔17Hが形成される。
その後、絶縁層18Bに対し、レジスト膜28Aの各パターン孔28Hおよび第2の裏面側金属層17Aの各貫通孔17Hを介して露出した部分にエッチング処理を施して部分を除去することにより、図32(b)に示したように、絶縁層18Bに、それぞれ第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hに連通する、絶縁層18Bの裏面から表面に向かうに従って小径となり底面に表面電極部16が露出したテーパ状の複数の貫通孔18Hが形成される。
これにより、積層体10Bの裏面に、それぞれ第2の裏面側金属層17Aのパターン孔17H、絶縁層18Bの貫通孔18Hが連通されてなる複数の短絡部形成用凹所18Kが形成される。
以上において、第2の裏面側金属層17Aをエッチング処理するためのエッチング剤としては、これらの金属層を構成する材料に応じて適宜選択することができる。
絶縁層18Bをエッチング処理するためのエッチング液としては、前述の絶縁性シート11のエッチングに用いたエッチング液を用いることができる。
このようにして短絡部形成用凹所18Kが形成された積層体10Bからレジスト膜28Aを除去し、その後、図32(c)に示すように、積層体10Bに、第2の裏面側金属層17Aの表面に、形成すべき電極構造体15における裏面電極部17のパターンに対応するパターンに従って複数のパターン孔29Hが形成されたメッキ用のレジスト膜29Aを形成する。
ここで、レジスト膜29Aを形成する材料としては、メッキ用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができるがドライフィルムレジストが好ましい。
次いで、積層体10Bに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所18Kおよびレジスト膜29Aの各パターン孔29H内に金属を
充填することにより、図33(a)に示すように、表面電極部16の各々の基端に連続してその厚み方向に貫通して伸びる短絡部18および短絡部18の各々の絶縁層18Bの裏面側に連結された裏面電極部17が形成された。
ここで、裏面電極部17の各々は、第2の裏面側金属層17Aを介して互いに連結された状態である。
また、図33(b)に示したように、表面電極部16、短絡部18および裏面電極部17が形成された積層体10Bからレジスト膜29Aを除去し、その後に、図33(c)に示したように、裏面電極部17の上にパターニングされたエッチング用レジスト膜29Bを形成した。
ここで、レジスト膜29Bを形成する材料としては、エッチング用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができる。
さらに図34(a)に示したように、第2の裏面側金属層17Aにエッチング処理を施すことにより、互いに分離した複数の裏面電極部17が形成された。
その後、図34(b)に示したように、レジスト膜29Bを除去し、裏面電極部17Aと絶縁層18Bを覆うようにレジスト層29Cを形成し、レジスト層29Cの表面全体に保護フィルム40Bを形成した。その後に、表面側金属層16Aの上に設けられた保護フィルム40Aを除去し、表面側金属層16Aにエッチング処理を施し、図34(c)に示したように、絶縁性シート11に対してエッチング処理を施してその全部を除去し、積層体10Cを得た。
更に、図35(a)に示したように、表面電極部16および第1の裏面側金属層19Aにおける保持部19となるべき部分を覆うよう、パターニングされたエッチング用のレジスト膜14Aを形成する。
その後、第1の裏面側金属層19Aにエッチング処理を施して露出した部分を除去することにより、図35(b)に示したように、表面電極部16の基端部分の周面から連続して当該絶縁層18Bの表面に沿って外方に放射状に伸びる保持部19が形成され、以って電極構造体15が形成される。
さらに、図35(c)に示したように、保護フィルム40Bとレジスト層29Cを除去し、金属フレーム板24の一部を露出させるよう、レジスト膜14B、17Eを積層体10Cの上下面に形成する。この際、レジスト膜17Eは、連結用の貫通孔12aの部分を覆うように被覆する。そして、この状態で、エッチング処理することにより、図36(a)に示したように金属フレーム板24の一部が露出される。
さらに、図36(b)に示したように、絶縁層18Bの裏面および裏面電極部17からレジスト膜14B、17Eを除去することにより、金属フレーム板24の貫通孔12の周縁部上に、連結用の貫通孔12aを介して、絶縁層18B、18Cにより、リベット状に固定された絶縁層18Bによって接点膜9が支持されたシート状プローブ10が得られる。
そして、図6(b)に示したように、必要に応じて、シート状プローブ10の周縁部、すなわち、金属フレーム板24の外周縁に、絶縁層18Bとは離間して、例えば、接着剤を介して、剛性を有する平板リング状の支持部材2を設けることができる。
以上のような方法によれば、絶縁性シート11を有する積層体10Cに予め表面電極部形成用凹所10Kを形成し、表面電極部形成用凹所10Kをキャビティとして表面電極部
16を形成するため、径が小さくて突出高さのバラツキが小さい表面電極部16が得られる。
また、絶縁性シート11の表面に形成された第1の裏面側金属層19Aをエッチング処理することにより、表面電極部16の基端部分から連続して絶縁性シートの表面に沿って外方に伸びる保持部19を確実に形成することができるため、表面電極部16の径が小さいものであっても、電極構造体15が絶縁層18Bの裏面から脱落することがなくて高い耐久性を有するシート状プローブ10を製造することができる。
また、本発明のシート状プローブ10の製造方法によれば、表面電極部16を形成した絶縁性シート11に一体的に積層された絶縁層18Bを有する積層体10Bに短絡部形成用凹所18Kを形成した。
さらに、短絡部形成用凹所18Kをキャビティとして短絡部18を形成するため、表面電極部形成用凹所10Kと短絡部形成用凹所18Kを個別に形成するので、厚みの大きい絶縁層18Bに対しても確実に表面電極部16に連通する短絡部形成用凹所18Kが形成でき、短絡部18の厚みの大きい電極構造体15を形成できる。
そのため、厚みの大きな絶縁層18Bよりなるシート状プローブ10を確実に製造することができる。
そして、積層体10Bを構成する第2の裏面側金属層17Aをエッチング処理して、開口部を形成することにより第2の裏面側金属層17Aを分割分離して裏面電極部17と金属フレーム板25を形成するので、絶縁層18Bに一体化され、電極構造体15とは電気的に絶縁した金属よりなる金属フレーム板25を確実に製造することができる。
また、上述した以外の方法でもシート状プローブ10を得ることができ、例えば、電極構造体15が配置される貫通孔を絶縁層18Bに形成した後、貫通孔の内面から絶縁層18Bの表面に渡り無電解メッキを施し、絶縁層18Bの片面もしくは両面に、貫通孔の位置にその径と同等もしくはこれよりも大きい径の開口パターンが形成されたレジスト膜を設けた状態で、スルーホールメッキを施して電極構造体15を形成することができる。
この場合、表面電極部16もしくは裏面電極部17の突出高さはレジスト膜の高さ等で規定される。
<プローブカードおよび回路装置の検査装置>
図37は、本発明に係る回路装置の検査装置の一例における構成を示す説明用断面図であり、この回路装置の検査装置は、ウエハに形成された複数の集積回路の各々について、集積回路の電気的検査をウエハの状態で行うためのものである。
この回路装置の検査装置は、被検査回路装置であるウエハ6の被検査電極7の各々とテスターとの電気的接続を行うプローブカード1(絶縁層18Bを金属フレーム板25で支持するシート状プローブ)を有する。
このプローブカード1においては、図40にも拡大して示すように、ウエハ6に形成された全ての集積回路における被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極21が表面(図において下面)に形成された検査用回路基板20を有している。
さらに、この検査用回路基板20の表面には、異方導電性コネクター30が配置され、この異方導電性コネクター30の表面(図において下面)には、ウエハ6に形成された全ての集積回路における被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って複数の電極構造体15が配置された、図1に示す構成のシート状プローブ10が配置されている。
そして、シート状プローブ10はガイドピン50により異方導電性コネクター30と、電極構造体15と導電部36が一致するように固定された状態で保持されている。
また、プローブカード1における検査用回路基板20の裏面(図において上面)には、プローブカード1を下方に加圧する加圧板3が設けられ、プローブカード1の下方には、ウエハ6が載置されるウエハ載置台4が設けられており、加圧板3およびウエハ載置台4の各々には、加熱器5が接続されている。
また、このような回路装置の検査装置は、図38に示したように、シート状プローブ10は、適宜必要に応じて、金属フレーム板25(金属フレーム板24を含む)の外縁部に支持部材2が固定された状態で使用される。
さらに、このような回路装置の検査装置は、分解すると図39(a)、図39(b)に示したような構成であり、異方導電性コネクター30のフレーム板31に形成された貫通孔と、ガイドピン50とが嵌合することによって、位置決めを行っている。
また、シート状プローブ10は、金属フレーム板25(金属フレーム板24を含む)の外縁部に接着した支持部材2と、加圧板3の凹部とが嵌合することによって、位置決めを行うことができるようになっている。
さらに、検査用回路基板20を構成する基板材料としては、従来公知の種々の基板材料を用いることができ、その具体例としては、ガラス繊維補強型エポキシ樹脂、ガラス繊維補強型フェノール樹脂、ガラス繊維補強型ポリイミド樹脂、ガラス繊維補強型ビスマレイミドトリアジン樹脂等の複合樹脂材料、ガラス、二酸化珪素、アルミナ等のセラミックス材料などが挙げられる。
また、WLBI試験を行うための検査装置を構成する場合には、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜6×10-6/Kである。
このような基板材料の具体例としては、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、アルミナ、ベリリア、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などが挙げられる。
異方導電性コネクター30は、図42に示すように、被検査回路装置であるウエハ6に形成された全ての集積回路における被検査電極7が配置された電極領域に対応して複数の開口32が形成されたフレーム板31と、このフレーム板31に、それぞれ一の開口32を塞ぐよう配置され、フレーム板31の開口縁部に固定されて支持された複数の異方導電性シート35とにより構成されている。
フレーム板31を構成する材料としては、フレーム板31が容易に変形せず、その形状が安定に維持される程度の剛性を有するものであれば特に限定されず、例えば、金属材料、セラミックス材料、樹脂材料などの種々の材料を用いることができ、フレーム板31を例えば金属材料により構成する場合には、フレーム板31の表面に絶縁性被膜が形成されていてもよい。
フレーム板31を構成する金属材料の具体例としては、鉄、銅、ニッケル、チタン、アルミニウムなどの金属またはこれらを2種以上組み合わせた合金若しくは合金鋼などが挙げられる。
フレーム板31を構成する樹脂材料の具体例としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
また、この検査装置がWLBI(Wafer Level Burn−in)試験を行うためのものである場合には、フレーム板31を構成する材料としては、線熱膨張係数が3×10-5/K以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは−1×10-7〜1×10-5/K、特に好ましくは1×10-6〜8×10-6/Kである。
このような材料の具体例としては、インバーなどのインバー型合金、エリンバーなどのエリンバー型合金、スーパーインバー、コバール、42アロイなどの磁性金属の合金または合金鋼などが挙げられる。
フレーム板31の厚みは、その形状が維持されると共に、異方導電性シート35を支持することが可能であれば、特に限定されるものではなく、具体的な厚みは材質によって異なるが、例えば25〜600μmであることが好ましく、より好ましくは40〜400μmである。
異方導電性シート35の各々は、弾性高分子物質によって形成されており、被検査回路装置であるウエハ6に形成された一の電極領域の被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って形成された、それぞれ厚み方向に伸びる複数の導電部36と、これらの導電部36の各々を相互に絶縁する絶縁部37とにより構成されている。
また、図示の例では、異方導電性シート35の両面には、導電部36およびその周辺部分が位置する個所に、それ以外の表面から突出する突出部38が形成されている。
異方導電性シート35における導電部36の各々には、磁性を示す導電性粒子Pが厚み方向に並ぶよう配向した状態で密に含有されている。これに対して、絶縁部37は、導電性粒子Pが全く或いは殆ど含有されていないものである。
異方導電性シート35の全厚(図示の例では導電部36における厚み)は、50〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは70〜1000μm、特に好ましくは80〜500μmである。
この厚みが50μm以上であれば、異方導電性シート35には十分な強度が得られる。
一方、この厚みが2000μm以下であれば、所要の導電性特性を有する導電部36が確実に得られる。
突出部38の突出高さは、その合計が突出部38における厚みの10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。
このような突出高さを有する突出部38を形成することにより、小さい加圧力で導電部36が十分に圧縮されるため、良好な導電性が確実に得られる。
また、突出部38の突出高さは、突出部38の最短幅または直径の100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以下である。
このような突出高さを有する突出部38を形成することにより、突出部38が加圧されたときに座屈することがないため、所期の導電性が確実に得られる。
異方導電性シート35を形成する弾性高分子物質としては、架橋構造を有する耐熱性の高分子物質が好ましい。
かかる架橋高分子物質を得るために用いることができる硬化性の高分子物質形成材料としては、種々のものを用いることができるが、液状シリコーンゴムが好ましい。
導電性粒子Pを得るための磁性芯粒子は、その数平均粒子径が3〜40μmのものであることが好ましい。
ここで、磁性芯粒子の数平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定されたものをいう。
上記数平均粒子径が3μm以上であれば、加圧変形が容易で、抵抗値が低くて接続信頼性の高い導電部36が得られやすい。
一方、上記数平均粒子径が40μm以下であれば、微細な導電部36を容易に形成することができ、また、得られる導電部36は、安定な導電性を有するものとなりやすい。
磁性芯粒子を構成する材料としては、鉄、ニッケル、コバルト、これらの金属を銅、樹脂によってコーティングしたものなどを用いことができるが、その飽和磁化が0.1Wb/m2以上のものを好ましく用いることができ、より好ましくは0.3Wb/m2以上、特に好ましくは0.5Wb/m2以上のものであり、具体的には、鉄、ニッケル、コバルト
またはそれらの合金などが挙げられる。
磁性芯粒子の表面に被覆される高導電性金属としては、金、銀、ロジウム、白金、クロムなどを用いることができ、これらの中では、化学的に安定でかつ高い導電率を有する点で金を用いるが好ましい。
導電性粒子Pは、芯粒子に対する高導電性金属の割合〔(高導電性金属の質量/芯粒子の質量)×100〕が15質量%以上とされ、好ましくは25〜35質量%とされる。
高導電性金属の割合が15質量%未満である場合には、得られる異方導電性コネクター30を高温環境下に繰り返し使用したとき、導電性粒子Pの導電性が著しく低下する結果、所要の導電性を維持することができない。
また、導電性粒子Pの数平均粒子径は、3〜40μmであることが好ましく、より好ましくは6〜25μmである。
このような導電性粒子Pを用いることにより、得られる異方導電性シート35は、加圧変形が容易なものとなり、また、導電部36において導電性粒子P間に十分な電気的接触が得られる。
また、導電性粒子Pの形状は、特に限定されるものではないが、高分子物質形成材料中に容易に分散させることができる点で、球状のもの、星形状のものあるいはこれらが凝集した2次粒子による塊状のものであることが好ましい。
導電部36における導電性粒子Pの含有割合は、体積分率で10〜60%、好ましくは15〜50%となる割合で用いられることが好ましい。
この割合が10%未満の場合には、十分に電気抵抗値の小さい導電部36が得られないことがある。
一方、この割合が60%を超える場合には、得られる導電部36は脆弱なものとなりやすく、導電部36として必要な弾性が得られないことがある。
以上のような異方導電性コネクター30は、例えば特開2002−324600号公報に記載された方法によって製造することができる。
上記の検査装置においては、ウエハ載置台4上に検査対象であるウエハ6が載置され、次いで、加圧板3によってプローブカード1が下方に加圧されることにより、そのシート状プローブ10の電極構造体15における表面電極部16の各々が、ウエハ6の被検査電極7の各々に接触し、更に、表面電極部16の各々によって、ウエハ6の被検査電極7の各々が加圧される。
この状態においては、異方導電性コネクター30の異方導電性シート35における導電部36の各々は、検査用回路基板20の検査電極21とシート状プローブ10の電極構造体15の裏面電極部17とによって挟圧されて厚み方向に圧縮されている。
このため、導電部36にはその厚み方向に導電路が形成され、その結果、ウエハ6の被検査電極7と検査用回路基板20の検査電極21との電気的接続が達成される。
その後、加熱器5によって、ウエハ載置台4および加圧板3を介してウエハ6が所定の温度に加熱され、この状態で、ウエハ6における複数の集積回路の各々について所要の電気的検査が実行される。
上記のプローブカード1によれば、図1に示すシート状プローブ10を備えてなるため、小さいピッチで被検査電極7が形成されたウエハ6に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、シート状プローブ10における電極構造体15が脱落することがなく、絶縁層18Bの厚みが大きいため高い耐久性が得られる。
そして、上記の検査装置によれば、図1に示すシート状プローブ10を有するプローブカード1を備えてなるため、小さいピッチで被検査電極7が形成されたウエハ6に対しても安定な電気的接続状態を確実に達成することができ、しかも、プローブカード1が高い耐久性を有するため、多数のウエハ6の検査を行う場合でも、長期間にわたって信頼性の高い検査を実行することができる。
本発明の回路装置の検査装置は、上記の例に限定されず、以下のように、種々の変更を加えることが可能である。
(1)図37および図38に示すプローブカード1は、ウエハ6に形成された全ての集積回路の被検査電極7に対して一括して電気的接続を達成するものであるが、ウエハ6に形成された全ての集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極7に電気的に接続されるものであってもよい。
選択される集積回路の数は、ウエハ6のサイズ、ウエハ6に形成された集積回路の数、各集積回路における被検査電極7の数などを考慮して適宜選択され、例えば16個、32個、64個、128個である。
このようなプローブカード1を有する検査装置においては、ウエハ6に形成された全ての集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極7に、プローブカード1を電気的に接続して検査を行い、その後、他の集積回路の中から選択された複数の集積回路の被検査電極7に、プローブカード1を電気的に接続して検査を行う工程を繰り返すことにより、ウエハ6に形成された全ての集積回路の電気的検査を行うことができる。
そして、このような検査装置によれば、直径が8インチまたは12インチのウエハ6に高い集積度で形成された集積回路について電気的検査を行う場合において、全ての集積回路について一括して検査を行う方法と比較して、用いられる検査用回路基板20の検査電極数や配線数を少なくすることができ、これにより、検査装置の製造コストの低減化を図ることができる。
(2)本発明の検査装置の検査対象である回路装置は、多数の集積回路が形成されたウエハ6に限定されるものではなく、半導体チップや、BGA、CSPなどのパッケージLSI、CMCなどの半導体集積回路装置などに形成された回路の検査装置として構成することができる。
(3)シート状プローブ10は円筒形のセラミック等の保持体により保持された状態にて、異方導電性シート35や検査用回路基板20と、例えばガイドピン50等にて固定一体化することもできる。
(4)本発明のシート状プローブ10の製造方法において第2の裏面側金属層17Aは必須のものでなく、これを省略し短絡部形成用凹所18Kとパターン孔17Hに金属を充填することにより短絡部18と一体化した裏面電極部17を形成してもよい。
この場合、金属フレーム板25が必要な場合は別途用意した金属フレーム板25と製造したシート状プローブ10に接着剤等を用いて積層して一体化すればよい。
(5)本発明のシート状プローブ10においては、例えば図10(a)に示すような電極構造体15を有する絶縁層18Bよりなる複数の接点膜9が、金属フレーム板25の開口部26の各々に配置し金属フレーム板25により支持された状態のシート状プローブ10であってもよく、更に図10(b)に示すように一つの接点膜9が金属フレーム板25の複数の開口部26を覆うように配置されたものであってもよい。
このように独立する複数の接点膜9によりシート状プローブ10を構成することにより、例えば直径8インチ以上のウエハ検査用のシート状プローブ10を構成した場合、温度変化による接点膜9の伸縮が小さくなり電極構造体15の位置ずれが小さくなり好ましい。
このようなシート状プローブ10は本発明のシート状プローブ10の製造方法における図17(d)または図24(c)の状態で絶縁層18Bにレジストによるパターニングと、エッチングにより絶縁層18Bを任意の形状の接点膜9に分割することにより得られる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試験用ウエハの作製>
図43に示すように、直径が8インチのシリコン(線熱膨張係数3.3×10-6/K)製のウエハ6上に、それぞれ寸法が6.85mm×6.85mmの正方形の集積回路Lを合計で483個形成した。
ウエハ6に形成された集積回路Lの各々は、図44に示すように、その中央に被検査電極領域Aを2500μmの間隔で2列に有し、この被検査電極領域Aには、図45に示すように、それぞれ縦方向(図45において上下方向)の寸法が90μmで横方向(図45において左右方向)の寸法が90μmの矩形の26個の被検査電極7が120μmのピッチで横方向に一列に配列されている。
このウエハ6全体の被検査電極7の総数は26116個であり、全ての被検査電極7は互いに電気的に絶縁されている。以下、このウエハ6を「試験用ウエハW1」という。
また、全ての被検査電極7を互いに電気的に絶縁することに代えて、集積回路Lにおける26個の被検査電極のうち最も外側の被検査電極7から数えて1個おきに2個ずつを互いに電気的に接続したこと以外は、上記試験用ウエハW1と同様の構成の483個の集積回路Lをウエハ6上に形成した。
以下、このウエハを「試験用ウエハW2」という。
(実施例1)
直径が20cmで厚みが25μmのポリイミドシートの両面にそれぞれ直径が20cmで厚みが4μmの銅よりなる金属層が積層された積層ポリイミドシート(以下、「積層体10A」という。)を用意した(図12(a)参照)。
積層体10Aは、厚みが25μmのポリイミドシートよりなる絶縁性シート11の一面に厚みが4μmの銅よりなる第1の裏面側金属層19Aを有し、他面に厚みが4μmの銅
よりなる表面側金属層16Aを有するものである。
上記の積層体10Aに対し厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護シールによって表面側金属層16Aの表面全面に保護フィルム40Aを形成すると共に、第1の裏面側金属層19Aの裏面全面に、試験用ウエハW1に形成された被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って直径が55μmの円形の26116個のパターン孔12Hが形成されたレジスト膜12Aを形成した(図12(b)参照)。
ここで、レジスト膜12Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
次いで、第1の裏面側金属層19Aに対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、レジスト膜12Aのパターン孔12Hに連通する26116個のパターン孔19Hを形成した(図12(c)参照)。
その後、絶縁性シート11に対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、絶縁性シート11に、それぞれ第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hに連通する26116個の貫通孔11Hを形成した(図13(a)参照)。
この貫通孔11Hの各々は、絶縁性シート11の裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状のものであって、裏面側の開口径が55μm、表面側の開口径が20μm(平均値)のものであった。
次いで、積層体10Aを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Aからレジスト膜12Aを除去し、その後、積層体10Aに対し、厚みが10μmのドライフィルムレジスト(日立化成:フォテック RY−3210)によって、第1の裏面側金属層19Aの表面全面を覆うよう、レジスト膜13Aを形成すると共に、レジスト膜13Aに絶縁性シート11の貫通孔11Hに連通する横幅が60μm、縦幅が200μmの26116個の矩形のパターン孔13Hを形成した(図13(b)参照)。
ここで、レジスト膜13Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
このようにして、絶縁性シート11の裏面に、それぞれ絶縁性シート11の貫通孔11H、第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hおよびレジスト膜13Aのパターン孔13Hが連通されてなる26116個の表面電極部形成用凹所10Kを形成した。
次いで、積層体10Aをスルファミン酸ニッケルを含有するメッキ浴中に浸漬し、積層体10Aに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各表面電極部形成用凹所10K内に金属を充填することにより、表面電極部16および第1の裏面側金属層19Aによって互いに連結された保持部19を形成した(図13(c)参照)。
次いで、表面電極部16が形成された積層体10Aを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Aからレジスト膜13Aを除去した。
そして、積層体10Aの第1の裏面側金属層19Aおよび保持部19の表面に厚さ12
μmの液状ポリイミド層を形成した。
次に、形成した液状ポリイミド層の上に、直径が20.4cmで厚みが12.5μmのポリイミドシートを積層し、このポリイミドシートの上に厚さ12μmの液状ポリイミド層を形成した。
次いで、積層体10Aの液状ポリイミド層の表面に、直径が22cmで厚みが10μmの42アロイよりなる金属シートを積層した。
そして金属シートの周縁部分の液状ポリイミド層と接する側の面に、
内径が20.4cmで外径が22cmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護テープを配置し、この状態で熱圧着処理することにより、図14(a)に示す積層体10Bを作製した。
積層体10Bは、表面電極部16が形成された積層体10Aの一面に厚みが36μmのポリイミドシートよりなる絶縁層18Bが積層され、該絶縁層18Bの表面に42アロイよりなる第2の裏面側金属層17Aを有するものである(図14(a)参照)。
次いで、積層体10Bに対し第2の裏面側金属層17Aの表面全面に、試験用ウエハW1に形成された被検査電極のパターンに対応するパターンに従って直径が60μmの円形の26116個のパターン孔28Hが形成されたレジスト膜28Aを形成した(図14(b)参照)。
ここで、レジスト膜28Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
次いで、第2の裏面側金属層17Aに対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、第2の裏面側金属層17Aに、それぞれレジスト膜28Aのパターン孔28Hに連通する26116個のパターン孔17Hを形成した(図14(c)参照)。
その後、絶縁層18Bに対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、15分間の条件でエッチング処理を施すことにより、絶縁層18Bに、それぞれ第2の裏面側金属層17Aのパターン孔17Hに連通した26116個の貫通孔18Hを形成した(図15(a)参照)。
この貫通孔18Hの各々は、絶縁層18Bの表面に向かうに従って小径となるテーパ状のものであって、その底面に裏面電極部17が露出しており、裏面側の開口径が60μm表面側の開口径が25μmのものであった。
次いで、貫通孔18Hが形成された積層体10Bを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Bからレジスト膜28Aを除去し、その後、積層体10Bに対し、厚みが10μmのドライフィルムレジストによって、第2の裏面側金属層17Aの表面全面を覆うよう、レジスト膜29Aを形成すると共に、レジスト膜29Aに、絶縁層18Bの貫通孔18Hに連通する寸法が200μm×60μmの矩形の26116個のパターン孔29Hを形成した(図15(b)参照)。
ここで、レジスト膜29Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
このようにして、積層体10Bの裏面に、それぞれ絶縁層18Bの貫通孔18H、第2の裏面側金属層17Aのパターン孔17Hおよびレジスト膜29Aのパターン孔29Hが連通されてなる26116個の短絡部形成用凹所18Kを形成した。
次いで、積層体10Bをスルファミン酸ニッケルを含有するメッキ浴中に浸漬し、積層体10Bに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所18K内に金属を充填することにより、表面電極部16に連結された、短絡部18および第2の裏面側金属層17Aによって互いに連結された裏面電極部17を形成した(図15(c)参照)。
次いで、積層体10Bを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Bからレジスト膜29Aを除去した。その後、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、第2の裏面側金属層17Aにおける金属フレーム板25となる部分および裏面電極部17を覆うよう、パターニングされてパターン孔29Kを有するエッチング用のレジスト膜29Bを形成した(図16(a)参照)。
ここで、レジスト膜29Bの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
次いで、積層体10Bから保護フィルム40Aを除去し、その後、表面側金属層16Aおよび第2の裏面側金属層17Aに対し、アンモニア系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、表面側金属層16Aの全部を除去すると共に、第2の裏面側金属層17Aにおけるパターン孔29Kにより露出した部分を除去し、これにより、裏面電極部17の各々を互いに分離させると共に、試験用ウエハW1に形成された集積回路における電極領域のパターンに対応するパターンに従って形成された複数の開口部26を有する金属フレーム板25を形成した(図16(b)参照)。
金属フレーム板25に設けられた開口部26の各々は、横方向3600μm×縦方向1000μmである。
次いで、積層体10Bを45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、金属フレーム板25の裏面および裏面電極部17からレジスト膜29Bを除去した。
その後、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、金属フレーム板25の裏面、絶縁層18Bの裏面および裏面電極部17を覆うよう、レジスト膜17Eを形成し、このレジスト膜17Eを厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護フィルム40Bによって覆った(図16(c)参照)。
その後、積層体10Bに対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、絶縁性シート11を除去した(図17(a)参照)。
次いで、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、表面電極部16および第1の裏面側金属層19Aにおける保持部19となるべき部分を覆うよう、パターニングされたレジスト膜14Aを形成した(図17(b)参照)。
ここで、レジスト膜14Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
その後、第1の裏面側金属層19Aに対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、表面電極部16の基端部分の周面から連続して絶縁層18Bの表面に沿って外方に伸びる横幅が60μm、縦幅が200μmの矩形の保持部19を形成し、以て電極構造体15を形成した(図17(c)参照)。
その後、45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、表面電極部16および保持部19からレジスト膜14Aを除去した。
そして、積層体10Bの表面電極部16および絶縁層18Bを覆うように厚みが25μmのドライフィルムレジストによりレジスト膜を形成し、接点膜9となるべき部分を覆うように、パターニングされたレジスト膜17Fを形成した(図17(d))。
レジスト膜17Fの各々は横方向4600μmで縦方向2000μmである。
この状態で、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、金属フレーム板の各々の貫通孔に電極構造体15が形成された接点膜9を備えた積層体10Cを得た(図17(e))。
そして、積層体10Cから保護フィルム40Bを除去し、次に45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、レジスト膜17Eおよびレジスト膜17Fを除去した(図18)。
その後、金属フレーム板25における周縁部分よりポリエチレンテレフタレートよりなる保護テープを除去し、金属フレーム板25における周縁部分の表面に接着剤(セメダイン(株):2液型アクリル接着剤 Y−620)を塗布して接着剤層を形成し、外径が22cm、内径が20.5cmで厚みが2mmのリング状の窒化シリコンよりなる保持部材40を配置した後、保持部材40と金属フレーム板25とを50kgの荷重で加圧し、25℃で8時間保持することにより、保持部材40を金属フレーム板25に接合することにより、本発明に係るシート状プローブ10を製造した。
以上においてドライフィルムレジストとしては、とくに記載しなかった部分においては日立化成製のH−K350を使用した。
得られたシート状プローブ10は、一枚の接点膜9は一枚の絶縁層18Bにより構成されているものである。接点膜9における絶縁層18Bの厚みdが36μm、電極構造体15の表面電極部16の形状が円錐台状で、その基端の径R1が55μm、その先端の径R2が20μm、その突出高さhが25μm、短絡部18の形状が円錐台状で、その表面側の一端の径R3が25μm、裏面側の他端の径R4が60μm、裏面電極部17の形状が矩形の平板状で、その横幅(径R5)が60μm、縦幅が200μm、厚みd2が20μm、保持部19の形状が矩形で、その横幅(R6)が60μm、縦幅が200μm、その厚みd1が14μmのものである。
このようにして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブM1」〜「シート状プローブM4」とする。
シート状プローブMは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:42アロイ=約5×10-6/K
支持部材2 H3:窒化ケイ素=3.5×10-6/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(5×10-6)/(5×10-5)=0.1
条件(3):H3/H1=(3.5×10-6)/(5×10-5)=0.07
条件(4):H2−H3=(5×10-6)−(3.5×10-6)=1.5×10-6
(実施例2)
直径が20cmで厚みが25μmのポリイミドシートの両面にそれぞれ直径が20cmで厚みが4μmの銅よりなる金属層が積層された積層ポリイミドシート(以下、「積層体10A」という。)を用意した(図12(a)参照)。
積層体10Aは、厚みが25μmのポリイミドシートよりなる絶縁性シート11の一面に厚みが4μmの銅よりなる第1の裏面側金属層19Aを有し、他面に厚みが4μmの銅よりなる表面側金属層16Aを有するものである。
上記の積層体10Aに対し厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護シールによって表面側金属層16Aの表面全面に保護フィルム40Aを形成すると共に、第1の裏面側金属層19Aの裏面全面に、試験用ウエハW1に形成された被検査電極7のパターンに対応するパターンに従って直径が55μmの円形の26116個のパターン孔12Hが形成されたレジスト膜12Aを形成した(図12(b)参照)。
ここで、レジスト膜12Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
次いで、第1の裏面側金属層19Aに対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、レジスト膜12Aのパターン孔12Hに連通する26116個のパターン孔19Hを形成した(図12(c)参照)。
その後、絶縁性シート11に対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、絶縁性シート11に、それぞれ第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hに連通する26116個の貫通孔11Hを形成した(図13(a)参照)。
この貫通孔11Hの各々は、絶縁性シート11の裏面から表面に向かうに従って小径となるテーパ状のものであって、裏面側の開口径が55μm、表面側の開口径が20μmのものであった。
次いで、積層体10Aを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Aからレジスト膜12Aを除去し、その後、積層体10Aに対し、厚みが10μmのドライフィルムレジスト(日立化成:フォテック RY−3210)によって、第1の裏面側金属層19Aの表面全面を覆うよう、レジスト膜13Aを形成すると共に、レジスト膜13Aに絶縁性シート11の貫通孔11Hに連通する横幅が60μm、縦幅が200μmの26116個の矩形のパターン孔13Hを形成した(図13(b)参照)。
ここで、レジスト膜13Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
このようにして、絶縁性シート11の裏面に、それぞれ絶縁性シート11の貫通孔11H、第1の裏面側金属層19Aのパターン孔19Hおよびレジスト膜13Aのパターン孔13Hが連通されてなる26116個の表面電極部形成用凹所10Kを形成した。
次いで、積層体10Aをスルファミン酸ニッケルを含有するメッキ浴中に浸漬し、積層体10Aに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各表面電極部形成用凹所10K内に金属を充填することにより、表面電極部16および第1の裏面側金属層19Aによって互いに連結された保持部19を形成した(図13(c)参照)。
次いで、表面電極部16が形成された積層体10Aを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Aからレジスト膜12Aを除去した(図19(a)参照)。
そして、積層体10Aの第1の裏面側金属層19Aの表面に、厚さ12μmの液状ポリイミド層18Bを形成した(図19(b)参照)。
一方、直径が22cmで厚みが10μmの42アロイよりなり、試験用ウエハW1の集積回路Lの各々の被検査領域Aに対応する位置に、横方向3600μm×縦方向1000μmの貫通孔966個がエッチングにより穿孔され、その周縁部の両面に、内径が20.4cmで外径が22cmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護テープを備えた金属フレーム板24を用意した。
次いで、積層体10Aの液状ポリイミド層18Bの表面に、貫通孔を形成したこの金属フレーム板24を、その金属フレーム板24の貫通孔内に積層体10Aに形成された表面電極部16が位置するように位置合わせを行って重ね合わせた(図19(c)参照)。
そして、金属フレーム板24の表面から液状ポリイミドを塗布して、厚さ12μmの液状ポリイミド層を形成した(図20(a)参照)。
次いで、積層体10Aの液状ポリイミド層18Bの表面に、片面に厚さ4μmの銅よりなる金属箔層を有する厚さ12.5μmのポリイミドフィルムをそのポリイミドフィルム側面を積層体10Aの液状ポリイミド層に接するように積層し、加圧しつつ加熱し硬化させてせることにより、図20(b)に示す積層体10Bを作製した。
積層体10Bは、表面電極部16が形成された積層体10Aの一面に厚みが36μmのポリイミドよりなる絶縁層18Bが積層され、該絶縁層18Bの表面に厚さ4μmの銅よりなる第2の裏面側金属層17Aを有するものである(図20(b)参照)。
次いで、積層体10Bに対し、第2の裏面側金属層17Aの表面全面に、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、試験用ウエハW1に形成された被検査電極のパターンに対応するパターンに従って直径が60μmの円形の26116個のパターン孔28Hが形成されたレジスト膜28Aを形成した(図20(c)参照)。
ここで、レジスト膜28Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
次いで、第2の裏面側金属層17Aに対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、第2の裏面側金属層17Aに、それぞれレジスト膜28Aのパターン孔28Hに連通する26116個のパターン孔17Hを形成した(図21(a)参照)。
その後、絶縁層18Bに対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、15分間の条件でエッチング処理を施すことにより、絶縁層18Bに、それぞれ第2の裏面側金属層17Aのパターン孔17Hに連通した26116個の貫通孔18Hを形成した(図21(b)参照)。
この貫通孔18Hの各々は、絶縁層18Bの表面に向かうに従って小径となるテーパ状のものであって、その底面に裏面電極部17が露出しており、裏面側の開口径が60μm表面側の開口径が25μmのものであった。
次いで、貫通孔18Hが形成された積層体10Aを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Aからレジスト膜28Aを除去し、その後、積層体10Aに対し、厚みが10μmのドライフィルムレジストによって、第2の裏面側金属層17Aの表面全面を覆うよう、レジスト膜29Aを形成すると共に、レジスト膜29Aに、絶縁層18Bの貫通孔18Hに連通する寸法が200μm×60μmの矩形の26116個のパターン孔29Hを形成した(図21(c)参照)。
ここで、レジスト膜29Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
このようにして、積層体10Bの裏面に、それぞれ絶縁層18Bの貫通孔18H、第2の裏面側金属層17Aのパターン孔17Hおよびレジスト膜29Aのパターン孔29Hが連通されてなる26116個の短絡部形成用凹所18Kを形成した。
次いで、積層体10Bをスルファミン酸ニッケルを含有するメッキ浴中に浸漬し、積層体10Bに対し、表面側金属層16Aを電極として、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所18K内に金属を充填することにより、表面電極部16に連結された、短絡部18および第2の裏面側金属層17Aによって互いに連結された裏面電極部17を形成した(図22(a)参照)。
次いで、積層体10Aを、45℃の水酸化ナトリウム溶液に2分間浸漬させることにより、積層体10Aからレジスト膜29Aを除去した(図22(b)参照)。
その後、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、第2の裏面側金属層17Aにおける裏面電極部17を覆うよう、パターニングされたレジスト膜29Bを形成した(図22(c)参照)。
ここで、レジスト膜29Bの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
次いで、積層体10Bから保護フィルム40Aを除去し、その後、表面側金属層16Aおよび第2の裏面側金属層17Aに対し、アンモニア系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、表面側金属層16Aの全部と第2の裏面側金属17Aの一部を除去した(図23(a)参照)。
そして、レジスト膜29Bを除去した後、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、積層体10Bの絶縁層18Bおよび裏面電極部17の表面全面にレジスト膜29Cを形成し、レジスト膜29Cの全面に厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートよりなる保護シールにより保護フィルム40Bを形成した(図23(b)参照)。
その後、積層体10Bに対し、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、絶縁性シート11を除去した(図23(c)参照)。
次いで、厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、表面電極部16および第1の裏面側金属層19Aにおける保持部19となるべき部分を覆うよう、パターニングさ
れたレジスト膜14Aを形成した(図24(a)参照)。
ここで、レジスト膜14Aの形成において、露光処理は、高圧水銀灯によって80mJの紫外線を照射することにより行い、現像処理は、1%水酸化ナトリウム水溶液よりなる現像剤に40秒間浸漬する操作を2回繰り返すことによって行った。
その後、第1の裏面側金属層19Aに対し、塩化第二鉄系エッチング液を用い、50℃、30秒間の条件でエッチング処理を施すことにより、表面電極部16の基端部分の周面から連続して絶縁層18Bの表面に沿って外方に放射状に伸びる円板リング状の保持部19を形成し、以て電極構造体15を形成した。その後、45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、表面電極部16および保持部19からレジスト膜14Aを除去した。そして、保護フィルム40Bを除去し、絶縁層18Bおよび裏面電極部17の表面よりレジスト膜29Cを除去した(図24(b)参照)。
その後、積層体10Bの両面に厚みが25μmのドライフィルムレジストによって、接点膜9となるべき部分を覆うよう、パターニングされたレジスト膜14B、17Eを形成した。レジスト膜14B、17Eの各々は横方向4600μm×縦方向2000μmである。
この状態で、アミン系ポリイミドエッチング液(東レエンジニアリング株式会社製、「TPE−3000」)を用い、80℃、10分間の条件でエッチング処理を施すことにより、金属フレーム板の各々の貫通孔に電極構造体15が形成された接点膜9を備えた積層体10Cを得た(図25(a))。
そして、45℃の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬することにより、接点膜9の両面からレジスト膜14B、17Eを除去した(図25(b))。
その後、金属フレーム板24の周縁部より保護テープを除去し、金属フレーム板24における周縁部分の表面に接着剤(セメダイン(株):2液型アクリル接着剤 Y−620)を塗布して接着剤層を形成し、外径が22cm、内径が20.5cmで厚みが2mmのリング状の窒化シリコンよりなる支持部材2を配置した後、支持部材2と金属フレーム板24とを50kgの荷重で加圧し、25℃で8時間保持することにより、接着剤により接着し、本発明に係るシート状プローブ10を製造した。
以上においてドライフィルムレジストとしては、日立化成製のH−K350を使用した。
得られたシート状プローブ10は、横方向4600μm×縦方向2000μmの接点膜9を966個有し、接点膜9における絶縁層18Bの厚みdが36μm、電極構造体15の表面電極部16の形状が円錐台状で、その基端の径R1が55μm、その先端の径R2が20μm、その突出高さhが25μm、短絡部18の形状が円錐台状で、その表面側の一端の径R3が25μm、裏面側の他端の径R4が60μm、裏面電極部17の形状が矩形の平板状で、その横幅(径R5)が60μm、縦幅が200μm、厚みd2が20μm、保持部19の形状が矩形で、その横幅(R6)が60μm、縦幅が200μm、その厚みd1が14μmのものである。
このようにして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブN1」〜「シート状プローブN4」とする。
シート状プローブNは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:42アロイ=約5×10-6/K
支持部材2 H3:窒化ケイ素=3.5×10-6/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(5×10-6)/(5×10-5)=0.1
条件(3):H3/H1=(3.5×10-6)/(5×10-5)=0.07
条件(4):H2−H3=(5×10-6)−(3.5×10-6)=1.5×10-6
(実施例3)
実施例2において、厚み10μmの42アロイよりなる金属フレーム板24の代わりに、同形状で厚みが10μmのインバー(熱線膨張係数=1.2×10-6/K)よりなる金属フレーム板24を用いた以外は、実施例2と同様にして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブL1」〜「シート状プローブL4」とする。
シート状プローブLは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:インバー=1.2×10-6/K
支持部材2 H3:窒化ケイ素=3.5×10-6/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(1.2×10-6)/(5×10-5)=0.024
条件(3):H3/H1=(3.5×10-6)/(5×10-5)=0.07
条件(4):H2−H3=(1.2×10-6)−(3.5×10-6)=−2.3×10-6
(比較例1)
実施例2において、外径が22cm、内径が20.5cmで厚みが2mmのリング状の窒化シリコンよりなる支持部材2の代わりに、同形状で厚みが2mmのステンレス(SUS304)(熱線膨張係数=1.73×10-5/K)よりなる支持部材2を用いた以外は、実施例2と同様にして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブP1」〜「シート状プローブP4」とする。
シート状プローブPは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:42アロイ=約5×10-6/K
支持部材2 H3:ステンレス(SUS304)=1.73×10-5/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(5×10-6)/(5×10-5)=0.1
条件(3):H3/H1=(1.73×10-5)/(5×10-5)=0.35
条件(4):H2−H3=(5×10-6)−(1.73×10-5)=−1.23×10-5
(比較例2)
実施例2において、厚み10μmの42アロイよりなる金属フレーム板24の代わりに、同形状で厚みが10μmのステンレス(SUS304)(熱線膨張係数=1.73×10-5)よりなる金属フレーム板24を用いた以外は、実施例2と同様にして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブQ1」〜「シート状プローブQ4」と
する。
シート状プローブQは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:ステンレス(SUS304)=1.73×10-5/K
支持部材2 H3:窒化ケイ素=3.5×10-6/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(1.73×10-5)/(5×10-5)=0.35
条件(3):H3/H1=(3.5×10-6)/(5×10-5)=0.07
条件(4):H2−H3=(1.73×10-5)−(3.5×10-6)=1.38×10-5
(比較例3)
実施例2において、厚み10μmの42アロイよりなる金属フレーム板24の代わりに、同形状で厚みが10μmの銅(熱線膨張係数=1.7×10-5)よりなる金属フレーム板24を用いた以外は、実施例2と同様にして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブR1」〜「シート状プローブR4」とする。
シート状プローブRは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:銅=1.68×10-5/K
支持部材2 H3:窒化ケイ素=3.5×10-6/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(1.68×10-5)/(5×10-5)=0.34
条件(3):H3/H1=(3.5×10-6)/(5×10-5)=0.07
条件(4):H2−H3=(1.68×10-5)−(3.5×10-6)=1.33×10-5
(比較例4)
実施例2において、厚み10μmの42アロイよりなる金属フレーム板24の代わりに、同形状で厚みが10μmのアルミニウム(線膨張係数=2.5×10-5)よりなる金属フレーム板24を用いた以外は、実施例2と同様にして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブS1」〜「シート状プローブS4」とする。
シート状プローブSは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:アルミニウム=2.5×10-5/K
支持部材2 H3:窒化ケイ素=3.5×10-6/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(2.5×10-5)/(5×10-5)=0.5
条件(3):H3/H1=(3.5×10-6)/(5×10-5)=0.07
条件(4):H2−H3=(3.5×10-6)−(2.5×10-5)=2.15×10-5
(比較例5)
実施例2において、厚み10μmの42アロイよりなる金属フレーム板24の代わりに、同形状で厚みが10μmのステンレス(SUS304)(熱線膨張係数=1.73×1
-5)よりなる金属フレーム板24を用い、外径が22cm、内径が20.5cmで厚みが2mmのリング状の窒化シリコンよりなる支持部材2の代わりに、同形状で厚みが2mmのアルミニウム(熱線膨張係数=2.5×10-5)よりなる支持部材2を用いた以外は、実施例2と同様にして、合計で4枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブT1」〜「シート状プローブT4」とする。
シート状プローブTは
絶縁層18B H1:ポリイミド=約5×10-5/K
金属フレーム板24 H2:ステンレス(SUS304)=1.73×10-5/K
支持部材2 H3:アルミニウム=2.5×10-5/K
各条件の計算値
条件(1):H1=5×10-5/K
条件(2):H2/H1=(1.73×10-5)/(5×10-5)=0.35
条件(3):H3/H1=(2.5×10-5)/(5×10-5)=0.5
条件(4):H2−H3=(1.73×10-5)−(2.5×10-5)=−7.7×10-6
(比較例6)
図56の(a)に示すような表面側金属層122、第2の裏面側金属層130、第1の裏面側金属層126を有し、絶縁性シートが2層(絶縁性シート124、絶縁層128)積層体132を用意した。
積層体132は、表面側金属層122が厚さ4μmの銅よりなり、絶縁性シート124が厚さ25μmのポリイミドよりなり、第1の裏面側金属層126が厚さ4μmの銅よりなり、絶縁層128が厚さ36μmのポリイミドよりなり、第2の裏面側金属層130が厚さ10μmの42アロイよりなるものである。
この積層体132に対して、特開2004−172589号に記載された方法に従い、第2の裏面側金属層130に直径90μmのパターン孔を形成し、順次に絶縁性シート124、第1の裏面側金属層126、絶縁層128に連続する貫通孔136を形成し、貫通孔136の底面に表面側金属層122を露出させ、短絡部と表面電極部を一括して形成する電極構造体形成用凹所90Kを作成した(図56(b)参照)。
次いで、積層体132をスルファミン酸ニッケルを含有するメッキ浴中に浸漬し、積層体132に対し、表面側金属層122を電極として、電解メッキ処理を施して各短絡部形成用凹所90K内に金属を充填した(図56(c)参照)。
次いで、絶縁性シート124をエッチングにより除去した(図56(d)参照)。
次いで、第1の裏面側金属層126にエッチングを行い保持部を形成し、第2の裏面側金属層130にエッチングを行いその一部を除去することにより裏面電極部と支持部92Eを形成し、絶縁層128にエッチングを行い絶縁層を各々の接点膜に分割した(図56(e)参照)。
その後、実施例1と同様に外径が22cm、内径が20.5cmで厚みが2mmのリング状の窒化シリコンよりなる支持部材2に接着剤により接着した。
得られたシート状プローブは、絶縁層の厚みdが36μm、電極構造体の表面電極部の形状が円錐台状で、その基端の径が48μm、その先端の径が13μm(平均値)、その突出高さが25μm、保持部は横幅が60μm、縦幅が200μmでで厚みが4μm、短絡部の形状が円錐台状で、その表面側の一端の径が48μm、裏面側の他端の径が90μm、裏面電極部の形状が矩形の平板状で、その横幅が90μm、縦幅が200μm、厚みが20μmのものである。
このようにして、合計で5枚のシート状プローブを製造した。
これらのシート状プローブを「シート状プローブU1」〜「シート状プローブU4」とする。
〈異方導電性コネクターの作製〉
(1)磁性芯粒子の調製:
市販のニッケル粒子(Westaim社製、「FC1000」)を用い、以下のようにして磁性芯粒子を調製した。
日清エンジニアリング株式会社製の空気分級機「ターボクラシファイア TC−15N」によって、ニッケル粒子2kgを、比重が8.9、風量が2.5m3/min、ロータ
ー回転数が2250rpm、分級点が15μm、ニッケル粒子の供給速度が60g/minの条件で分級処理し、粒子径が15μm以下のニッケル粒子0.8kgを捕集し、更に、このニッケル粒子0.8kgを、比重が8.9、風量が2.5m3/min、ローター
回転数が2930rpm、分級点が10μm、ニッケル粒子の供給速度が30g/minの条件で分級処理し、ニッケル粒子0.5kgを捕集した。
得られたニッケル粒子は、数平均粒子径が7.4μm、粒子径の変動係数が27%、BET比表面積が0.46×1032/kg、飽和磁化が0.6Wb/m2であった。
このニッケル粒子を磁性芯粒子Qとする。
(2)導電性粒子の調製:
粉末メッキ装置の処理槽内に、磁性芯粒子Q100gを投入し、更に、0.32Nの塩酸水溶液2Lを加えて攪拌し、磁性芯粒子Qを含有するスラリーを得た。このスラリーを常温で30分間攪拌することにより、磁性芯粒子Qの酸処理を行い、その後、1分間静置して磁性芯粒子Qを沈殿させ、上澄み液を除去した。
次いで、酸処理が施された磁性芯粒子Qに純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して磁性芯粒子Qを沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返すことにより、磁性芯粒子Qの洗浄処理を行った。
そして、酸処理および洗浄処理が施された磁性芯粒子Qに、金の含有割合が20g/Lの金メッキ液2Lを加え、処理層内の温度を90℃に昇温して攪拌することにより、スラリーを調製した。この状態で、スラリーを攪拌しながら、磁性芯粒子Qに対して金の置換メッキを行った。その後、スラリーを放冷しながら静置して粒子を沈殿させ、上澄み液を除去することにより、導電性粒子Pを調製した。
このようにして得られた導電性粒子に純水2Lを加え、常温で2分間攪拌し、その後、1分間静置して導電性粒子を沈殿させ、上澄み液を除去した。この操作を更に2回繰り返し、その後、90℃に加熱した純水2Lを加えて攪拌し、得られたスラリーを濾紙によって濾過して導電性粒子を回収した。そして、この導電性粒子を、90℃に設定された乾燥機によって乾燥処理した。
得られた導電性粒子は、数平均粒子径が7.3μm、BET比表面積が0.38×1032/kg、(被覆層を形成する金の質量)/(磁性芯粒子[A]の質量)の値が0.3であった。
この導電性粒子を「導電性粒子(a)」とする。
(3)フレーム板の作製:
図46および図47に示す構成に従い、下記の条件により、上記の試験用ウエハW1における各被検査電極領域に対応して形成された966個の開口32を有する直径が8インチのフレーム板31を作製した。
このフレーム板31の材質はコバール(線熱膨張係数5×10-6/K)で、その厚みは、60μmである。
開口32の各々は、その横方向(図46および図47において左右方向)の寸法が3600μmで縦方向(図46および図47において上下方向)の寸法が900μmである。
フレーム板31の開口32は、図47に示すように試験用ウエハに形成された集積回路Lの1個に対して2個が形成されており、同一集積回路Lに対して設けられているフレーム板31の開口32は中心間距離(図47において上下方向)で2000μmピッチで配置されている。
縦方向に隣接する開口32の間の中央位置には、円形の空気流入孔33が形成されており、その直径は1000μmである。
(4)異方導電性シート用成形材料の調製:
付加型液状シリコーンゴム100重量部に、導電性粒子30重量部を添加して混合し、その後、減圧による脱泡処理を施すことにより、異方導電性シート用の成形材料を調製した。
以上において、使用した付加型液状シリコーンゴムは、それぞれ粘度が250Pa・sであるA液およびB液よりなる二液型のものであって、その硬化物の圧縮永久歪みが5%、デュロメーターA硬度が32、引裂強度が25kN/mのものである。
ここで、付加型液状シリコーンゴムおよびその硬化物の特性は、以下のようにして測定されたものである。
(i)付加型液状シリコーンゴムの粘度は、B型粘度計により、23±2℃における値を測定した。
(ii)シリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪みは、次のようにして測定した。
二液型の付加型液状シリコーンゴムにおけるA液とB液とを等量となる割合で攪拌混合した。次いで、この混合物を金型に流し込み、混合物に対して減圧による脱泡処理を行った後、120℃、30分間の条件で硬化処理を行うことにより、厚みが12.7mm、直径が29mmのシリコーンゴム硬化物よりなる円柱体を作製し、この円柱体に対して、200℃、4時間の条件でポストキュアを行った。このようにして得られた円柱体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して150±2℃における圧縮永久歪みを測定した。
(iii)シリコーンゴム硬化物の引裂強度は、次のようにして測定した。
上記(ii)と同様の条件で付加型液状シリコーンゴムの硬化処理およびポストキュアを行うことにより、厚みが2.5mmのシートを作製した。
このシートから打ち抜きによってクレセント形の試験片を作製し、JIS K 6249に準拠して23±2℃における引裂強度を測定した。
(iv)デュロメーターA硬度は、上記(iii)と同様にして作製されたシートを5枚重ね合わせ、得られた積重体を試験片として用い、JIS K 6249に準拠して23±2℃における値を測定した。
(5)異方導電性コネクターの作製:
上記(3)で作製したフレーム板31および上記(4)で調製した成形材料を用い、特開2002−324600号公報に記載された方法に従って、フレーム板31に、それぞれ一の開口32を塞ぐよう配置され、フレーム板31の開口縁部に固定されて支持された、図42に示す構成の966個の異方導電性シート35を形成することにより、異方導電性コネクター30を製造した。
ここで、成形材料層の硬化処理は、電磁石によって厚み方向に2Tの磁場を作用させながら、100℃、1時間の条件で行った。
得られた異方導電性シート35について具体的に説明すると、異方導電性シート35の各々は、横方向の寸法が6000μm、縦方向の寸法が2000μmであり、26個の導電部36が120μmのピッチで横方向に一列に配列されており、導電部36の各々は、横方向の寸法が60μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μm、突出部38の突出高さが25μm、絶縁部37の厚みが100μmである。
また、横方向において最も外側に位置する導電部36とフレーム板31の開口縁との間には、非接続用の導電部36が配置されている。
非接続用の導電部36の各々は、横方向の寸法が60μm、縦方向の寸法が200μm、厚みが150μmである。
また、各異方導電性シート35における導電部36中の導電性粒子の含有割合を調べたところ、全ての導電部36について体積分率で約25%であった。
このようにして、合計で36枚の異方導電性コネクターを製造した。
これらの異方導電性コネクターを「異方導電性コネクターC1」〜「異方導電性コネクターC36」とする。
〈検査用回路基板の作製〉
基板材料としてアルミナセラミックス(線熱膨張係数4.8×10-6/K)を用い、試験用ウエハW1における被検査電極のパターンに対応するパターンに従って検査電極21が形成された検査用回路基板20を作製した。
この検査用回路基板20は、全体の寸法が30cm×30cmの矩形であり、その検査電極は、横方向の寸法が60μmで縦方向の寸法が200μmである。得られた検査用回路基板を「検査用回路基板T1」とする。
〈シート状プローブの評価〉
(1)試験1(隣接する電極構造体間の絶縁性):
シート状プローブM1、M2、シート状プローブN1、N2、シート状プローブO1、O2、シート状プローブP1、P2、シート状プローブQ1、Q2、シート状プローブR1、R2、シート状プローブS1、S2、シート状プローブT1、T2、シート状プローブU1、U2の各々について、以下のようにして隣接する電極構造体間の絶縁性の評価を行った。
室温(25℃)下において、試験用ウエハW1を試験台に配置し、この試験用ウエハW1の表面上に、シート状プローブをその表面電極部16の各々が試験用ウエハW1の被検査電極7上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクター30をその導電部36の各々がシート状プローブの裏面電極部17上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター30上に、検査用回路基板T1をその検査電極21の各々が異方導電性コネクター30の導電部36上に位置するよう位置合わせして配置し、更に検査用回路基板T1を下方に130kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧した。
ここで、異方導電性コネクター30としては下記表1に示すものを使用した。
そして、検査用回路基板T1における26116個の検査電極21の各々に順次電圧を印加すると共に、電圧が印加された検査電極と他の検査電極との間の電気抵抗をシート状プローブにおける電極構造体15間の電気抵抗(以下、「絶縁抵抗」という。)として測定し、全測定点における絶縁抵抗が10MΩ以下である測定点の割合(以下、「絶縁不良割合」という。)を求めた。
ここで、絶縁抵抗が10MΩ以下である場合には、実際上、ウエハに形成された集積回路の電気的検査に使用することが困難である。
以上の結果を下記表1に示す。
Figure 2005338070
(2)試験2(電極構造体の接続安定性):
シート状プローブM3、M4、シート状プローブN3、N4、シート状プローブO3、O4、シート状プローブP3、P4、シート状プローブQ3、Q4、シート状プローブR3、R4、シート状プローブS3、S4、シート状プローブT3、T4、シート状プローブU3、U4の各々について、以下のようにして被検査電極に対する電極構造体15の接続安定性の評価を行った。
室温(25℃)下において、試験用ウエハW2を、電熱ヒーターを備えた試験台に配置し、この試験用ウエハW2の表面上に、シート状プローブをその表面電極部16の各々が試験用ウエハW2の被検査電極7上に位置するよう位置合わせして配置し、このシート状プローブ上に、異方導電性コネクター30をその導電部36の各々がシート状プローブの裏面電極部17上に位置するよう位置合わせして配置し、この異方導電性コネクター30上に、検査用回路基板T1をその検査電極21の各々が異方導電性コネクター30の導電部36上に位置するよう位置合わせして配置し、更に検査用回路基板T1を下方に130
kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧した。
ここで、異方導電性コネクター30としては下記表2に示すものを使用した。
そして、検査用回路基板T1における26116個の検査電極7について、シート状プローブ、異方導電性コネクター30および試験用ウエハW2を介して互いに電気的に接続された2個の検査電極21の間の電気抵抗を順次測定し、測定された電気抵抗値の2分の1の値を、検査用回路基板T1の検査電極21と試験用ウエハW2の被検査電極7との間の電気抵抗(以下、「導通抵抗」という。)として記録し、全測定点における導通抵抗が1Ω以上である測定点の割合(以下、「接続不良割合」という。)を求めた。
(2)試験2(電極構造体の接続安定性):
この操作を「操作(1)」とする。
次いで、検査用回路基板T1に対する加圧を解除し、その後、試験台を125℃に昇温してその温度が安定するまで放置し、その後、検査用回路基板T1を下方に130kgの荷重(電極構造体1個当たりに加わる荷重が平均で約5g)で加圧し、上記操作(1)と同様にして接続不良割合を求めた。この操作を「操作(2)」とする。
次いで、試験台を室温(25℃)まで冷却し、検査用回路基板T1に対する加圧を解除した。この操作を「操作(3)」とする。
そして、上記の操作(1)、操作(2)および操作(3)を1サイクルとして合計で200サイクル連続して行った。
ここで、導通抵抗が1Ω以上である場合には、実際上、ウエハに形成された集積回路の電気的検査に使用することが困難である。
以上の結果を下記表2に示す。
Figure 2005338070
比較例1に係るシート状プローブでは、シート状プローブP3ではサイクル10回にて、そしてシート状プローブP4ではサイクル1回(125℃)にて、金属フレーム板24とリング状の支持部材2との接着面において剥離が生じたため評価を中止した。
比較例4に係るシート状プローブS3,S4ではサイクル10回にて、接点膜9と金属フレーム板24の支持部において剥がれを生じているものが見出されたので評価を中止した。
また、試験2が終了した後、シート状プローブを観察したところ、実施例1、実施例2、実施例3についてのシート状プローブ、および比較例2、比較例3、比較例5、比較例6に係るいずれのシート状プローブも電極構造体15が接点膜9から脱落していなかった。
そして、実施例1、実施例2、実施例3についてのシート状プローブ、および、比較例2、比較例3、比較例5、比較例6に係るシート状コネクターについては、接点膜9と金属フレーム板の支持部における剥離、金属フレーム板24と支持部材2との接着面との剥離は認められなかった。
図1は、本発明のシート状プローブの他の実施形態を示した図であり、図1(a)は平面図、図1(b)はX−X線による断面図である。 図2は、図1のシート状プローブにおける接点膜を拡大して示した平面図である。 図3は、本発明に係るシート状プローブにおける構造を示す説明用断面図である。 図4は、本発明に係るシート状プローブの電極構造体を拡大して示す説明用断面図である。 図5(a)は、本発明のシート状プローブにおける接点膜の支持部の断面図、図5(b)は、金属フレーム板として板状金属フレーム板を用いて絶縁層をその表面で支持した場合を示した断面図である。 図6は、本発明のシート状プローブの他の実施形態を示した図であり、図6(a)は平面図、図6(b)はX−X線による断面図である。 図7は、本発明に係るシート状プローブにおける構造を示す説明用断面図である。 図8は、本発明に係るシート状プローブの電極構造体を拡大して示す説明用断面図である。 図9は、図1のシート状プローブの部分拡大断面図である。 図10は、本発明のシート状プローブの他の実施形態を示した断面図である。 図11は、本発明のシート状プローブの他の実施形態を示した断面図である。 図12は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の構成を示す説明用断面図である。 図13は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の構成を示す説明用断面図である。 図14は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の構成を示す説明用断面図である。 図15は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の構成を示す説明用断面図である。 図16は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の構成を示す説明用断面図である。 図17は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の構成を示す説明用断面図である。 図18は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の構成を示す説明用断面図である。 図19は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図20は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図21は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図22は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図23は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図24は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図25は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図26は、本発明のシート状プローブの別の実施例を示した図であり、図26(a)は平面図、図26(b)はX−X線による断面図である。 図27は、本発明のシート状プローブの別の実施例を示した図であり、図27(a)は平面図、図27(b)はX−X線による断面図である。 図28は、本発明のシート状プローブの別の実施例を示した図であり、図28(a)は平面図、図28(b)はX−X線による断面図である。 図29(a)は、本発明の実施例のシート状プローブの製造方法に用いる金属フレーム板24を説明する上面図、図29(b)は、実施例のシート状プローブの製造方法に用いる金属フレーム板24の断面図である。 図30は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図31は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図32は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図33は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図34は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図35は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図36は、本発明に係るシート状プローブを製造するための積層体の他の構成を示す説明用断面図である。 図37は、本発明の回路装置の検査装置およびそれに用いられるプローブカードの実施形態を示した断面図である。 図38は、本発明の回路装置の検査装置およびそれに用いられるプローブカードの他の実施形態を示した断面図である。 図39は、図38のプローブカードにおける組み立て前後の各状態を示した断面図である。 図40は、図38に示す検査装置におけるプローブカードを拡大して示す説明用断面図である。 図41は、図39に示す検査装置におけるプローブカードを拡大して示す説明用断面図である。 図42は、図40、図38に示すプローブカードにおける異方導電性コネクターの平面図である。 図43は、実施例で作製した試験用ウエハを示す平面図である。 図44は、図43に示す試験用ウエハに形成された集積回路の被検査電極領域の位置を示す説明図である。 図45は、図44に示す試験用ウエハに形成された集積回路の被検査電極の配置パターンを示す説明図である。 図46は、実施例で作製した異方導電性コネクターにおけるフレーム板を示す平面図である。 図47は、図46に示すフレーム板の一部を拡大して示す説明図である。 図48は、本発明のシート状プローブの金属フレーム板の形状を説明する平面図である。 図49は、従来のプローブカードの一例における構成を示す説明用断面図である。 図50は、従来のシート状プローブの製造例を示す説明用断面図である。 図51は、図50に示すプローブカードにおけるシート状プローブを拡大して示す説明用断面図である。 図52は、従来のシート状プローブの他の製造例を示す説明用断面図である。 図53は、従来のシート状プローブの他の製造例を示す説明用断面図である。 図54は、リング状の支持板を用いた従来のシート状プローブの断面図である。 図55は、従来のシート状プローブの製造方法の概略を示す断面図である。 図56は、比較例1のシート状プローブの製造方法を説明する断面図である。
符号の説明
1 プローブカード
2 支持部材
3 加圧板
4 ウエハ載置台
5 加熱器
6 ウエハ
7 被検査電極
9 接点膜
10 シート状プローブ
10A 積層体
10B 積層体
10C 積層体
10K 各表面電極部形成用凹所
11 絶縁性シート
11H 貫通孔
12A、12B レジスト膜
12H パターン孔
12 貫通孔
12a 貫通孔
14A レジスト膜
14B レジスト膜
15 電極構造体
16 表面電極部
16A 表面側金属層
17 裏面電極部
17A 第2の裏面側金属層
17E レジスト膜
17H パターン孔
18 短絡部
18B 絶縁層
18H 貫通孔
18K 短絡部形成用凹所
19 保持部
19A 第1の裏面側金属層
19H パターン孔
20 検査用回路基板
21 検査電極
22 支持部
24 金属フレーム板
25 金属フレーム板
26 開口部
28A レジスト膜
28H パターン孔
29A レジスト膜
29B エッチング用レジスト膜
29C レジスト膜
29H パターン孔
29K パターン孔
30 異方導電性コネクター
31 フレーム板
32 開口
33 空気流入孔
35 異方導電性シート
36 導電部
37 絶縁部
38 突出部
40 保持部材
40A 保護フィルム
40B 保護フィルム
50 ガイドピン
80 異方導電性シート
85 検査用回路基板
86 検査電極
90 シート状プローブ
90A 積層体
90B 積層体
90C 積層体
90K 電極構造体形成用凹所
91 絶縁性シート材
91A 絶縁性シート材
92 金属層
92T 先端径
92N 絶縁部
92A 表面側金属層
92B 裏面側金属層
92H 開口部
93 レジスト膜
93A レジスト膜
94A レジスト膜
94B レジスト膜
95 電極構造体
96 表面電極部
97 裏面電極部
98 短絡部
98H 貫通孔
99 支持部材
100 シート状プローブ
102 フレーム板形成用金属板
104 絶縁膜形成用樹脂シート
106 積層体
108 貫通孔
110 短絡部
112 表面電極部
114 貫通孔
116 金属フレーム板
118 裏面電極部
120 電極構造体
122 絶縁膜
124 接点膜

Claims (24)

  1. 絶縁層と、
    この絶縁層にその面方向に互いに離間して配置された、当該絶縁層の厚み方向に貫通して伸びる複数の電極構造体を備えた接点膜を有するシート状プローブであって、
    前記電極構造体の各々は、
    前記絶縁層の表面に露出し、当該絶縁層の表面から突出する表面電極部と、
    前記絶縁層の裏面に露出する裏面電極部と、
    前記表面電極部の基端から連続して前記絶縁層をその厚み方向に貫通して伸び、前記裏面電極部に連結された短絡部と、
    前記表面電極部の基端部分から連続して前記絶縁層の表面に沿って外方に伸びる保持部とよりなり、
    前記シート状プローブは、前記接点膜が貫通穴が形成された金属フレーム板の貫通孔の周縁部に支持され、
    前記金属フレーム板と裏面電極部とが、異なる金属部材から構成されていることを特徴とするシート状プローブ。
  2. 前記金属フレーム板に、複数の貫通穴が形成され、これらの各貫通穴に、前記接点膜が支持されていることを特徴とする請求項1に記載のシート状プローブ。
  3. 前記金属フレーム板の周縁部に、前記絶縁膜とは離間して接着固定されたリング状の支持板とを備えることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のシート状プローブ。
  4. 前記金属フレーム板の周縁部を支持するリング状の支持部材と、
    前記金属フレーム板の貫通穴の周縁部に支持された接点膜とを備え、
    前記接点膜には、前記複数の電極構造体が、柔軟な樹脂からなる絶縁層に貫通支持された回路装置の電気検査に用いられるシート状プローブであって、
    前記絶縁膜の熱線膨張係数をH1とし、
    前記金属フレーム板の熱線膨張係数をH2とし、
    前記リング状の支持部材の熱線膨張係数をH3としたとき、下記の条件(1)〜(3)、すなわち、
    条件(1):H1=0.8×10-5〜8×10-5/K
    条件(2):H2/H1<1
    条件(3):H3/H1<1
    を満足することを特徴とする請求項3に記載のシート状プローブ。
  5. 前記金属フレーム板の熱線膨張係数をH2と、前記リング状の支持部材の熱線膨張係数をH3が、下記の条件(4)、すなわち、
    条件(4):H2−H3=−1×10-5〜1×10-5/K
    を満足することを特徴とする請求項4に記載のシート状プローブ。
  6. 前記金属フレーム板の熱線膨張係数H2が、下記の条件(5)、すなわち、
    条件(5):H2=−1×10-7〜2×10-5/Kを満足することを特徴とする請求項4から5のいずれかに記載のシート状プローブ。
  7. 前記リング状の支持部材の熱線膨張係数H3が、下記の条件(6)、すなわち、
    条件(6):H3=−1×10-7〜2×10-5/K
    を満足することを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のシート状プローブ。
  8. 前記電極構造体のピッチが、40〜160μmであり、電極構造体の総数が、5000
    個以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のシート状プローブ。
  9. 前記リング状の支持部材が、検査装置本体の検査電極が設けられた側に形成された位置合わせ部に係合することにより、検査装置の検査電極と絶縁膜に形成された電極構造体が位置合わせされるように構成されていることを特徴とする請求項3から8のいずれかに記載のシート状プローブ。
  10. 前記シート状プローブが、ウエハに形成された複数の集積回路について、集積回路の電気検査をウエハの状態で行うために用いられるものであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のシート状プローブ。
  11. シート状プローブを製造する方法であって、
    少なくとも絶縁性シートと、
    この絶縁性シートの表面に形成された表面側金属層と、
    前記絶縁性シートの裏面に形成された第1の裏面側金属層とを有する積層体を用意し、
    この積層体における第1の裏面側金属層と絶縁性シートに互いに連通する厚み方向に伸びる貫通孔を形成することにより、当該積層体の裏面に表面電極部形成用凹所を形成し、
    この積層体に対し、
    その表面側金属層を電極としてメッキ処理を施して表面電極部形成用凹所に金属を充填することにより絶縁層の表面から突出する表面電極部を形成した後に該積層体の裏面側に絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された第2の裏面側金属層を形成し、
    この積層体における第2の裏面側金属層および絶縁層の各々に互いに連通し、底面に表面電極部を露出させた短絡部形成用凹所を形成し、
    この積層体に対し、
    その表面側金属層を電極としてメッキ処理を施して短絡部形成用凹所に金属を充填することにより、表面電極部の基端から連続して絶縁層をその厚み方向に貫通して伸びる短絡部を形成した後、
    第2の裏面側金属層にエッチング処理を施すことにより裏面電極部を形成し、
    前記表面側金属層および前記絶縁性シートを除去することにより、前記表面電極部および前記第1の裏面側金属層を露出させ、
    その後、当該第1の裏面側金属層にエッチング処理を施すことにより、前記表面電極部の基端部分から連続して前記絶縁性シートの表面に沿って外方に伸びる保持部を形成する工程を有することを特徴とするシート状プローブの製造方法。
  12. 第2の裏面側金属層にエッチング処理を施し、
    裏面電極部および金属フレーム板部に分割除去することを特徴とする請求項11に記載のシート状プローブの製造方法。
  13. 表面電極部形成用凹所における絶縁性シートの貫通孔が、当該絶縁性シートの裏面から表面に向かうに従って小径となる形状に形成されることを特徴とする請求項12に記載のシート状プローブの製造方法。
  14. 積層体としてその絶縁性シートがエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、
    表面電極部形成用凹所における絶縁性シートの貫通孔がエッチングにより形成されることを特徴とする請求項13に記載のシート状プローブの製造方法。
  15. 短絡部形成用凹所における絶縁層の貫通孔が、当該絶縁層の裏面から表面に向かうに従って小径となる形状に形成されることを特徴とする請求項14に記載のシート状プローブの製造方法。
  16. 積層体としてその絶縁層がエッチング可能な高分子材料よりなるものを用い、
    短絡部形成用凹所における絶縁層の貫通孔がエッチングにより形成されることを特徴とする請求項15に記載のシート状プローブの製造方法。
  17. 前記シート状プローブの製造方法が、
    前記表面電極部形成用凹所に金属を充填することにより絶縁層の表面から突出する表面電極部を形成した後に、
    貫通穴が形成された金属フレーム板を重ね合わせ、
    前記金属フレーム板の上から絶縁層と、この絶縁層の表面に形成された第2の裏面側金属層を形成することを特徴とする請求項11に記載のシート状プローブの製造方法。
  18. 検査対象である回路装置とテスターとの電気的接続を行うためのプローブカードであって、
    検査対象である回路装置の被検査電極に対応して複数の検査電極が形成された検査用回路基板と、
    この検査用回路基板上に配置された異方導電性コネクターと、
    この異方導電性コネクター上に配置された請求項1から10のいずれかに記載のシート状プローブと、
    を備えてなることを特徴とするプローブカード。
  19. 検査対象である回路装置が多数の集積回路が形成されたウエハであり、
    異方導電性コネクターは、
    検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路または一部の集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、
    このフレーム板の各開口を塞ぐよう配置された異方導電性シートと、
    を有してなることを特徴とする請求項18に記載のプローブカード。
  20. 請求項18または請求項19に記載されたプローブカードを備えてなることを特徴とする回路装置の検査装置。
  21. 検査対象である回路装置とテスターとの電気的接続を行うためのプローブカードであって、
    検査対象である回路装置の被検査電極に対応して複数の検査電極が形成された検査用回路基板と、
    この検査用回路基板上に配置された異方導電性コネクターと、
    この異方導電性コネクター上に配置された請求項11から17のいずれかの方法にて製造されたシート状プローブと、
    を備えてなることを特徴とするプローブカード。
  22. 検査対象である回路装置が多数の集積回路が形成されたウエハであり、
    異方導電性コネクターは、
    検査対象であるウエハに形成された全ての集積回路または一部の集積回路における被検査電極が配置された電極領域に対応して複数の開口が形成されたフレーム板と、
    このフレーム板の各開口を塞ぐよう配置された異方導電性シートとを有してなることを特徴とする請求項21に記載のプローブカード。
  23. 請求項21または請求項22に記載されたプローブカードを備えてなることを特徴とする回路装置の検査装置。
  24. 複数の集積回路が形成されたウエハの各集積回路を、
    請求項18、19、21、22のいずれかに記載のプローブカードを介してテスターに電気的に接続し、
    前記各集積回路の電気検査を行うことを特徴とするウエハの検査方法。

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