JP2005337355A - 車両用ホイール駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車両用ホイール駆動装置40は、ホイール30のリム31内に、ホイールを駆動するインホイールモータ50及びホイールを制動するディスクブレーキ60を組込んだものである。インホイールモータは、リムの内部に固定した筒状のアウタロータ51と、このアウタロータの内部に配置するとともに車体側に連結した筒状のインナステータ53とからなる。ディスクブレーキは、アウタロータのうち車幅方向外側の端部51aに直接に取付けた中空円盤状のブレーキディスク61と、インナステータのうち車幅方向外側の端部53cに取付けたキャリパ71と、からなる。
【選択図】 図2
Description
図7は従来の車両用ホイール駆動装置(従来技術)の概要図である。従来の車両用ホイール駆動装置100は、車体にサスペンション101のアッパアーム102及びロアアーム103を介してホイール支持部材104を懸架し、このホイール支持部材104にインホイールモータ105を介してホイール106を取付けたというものである。
ホイール支持部材104は、車幅方向内側(図7の左側)にアッパステー107及びロアステー108を延ばし、これらのアッパ・ロアステー107,108にアッパ・ロアアーム102,103を連結することで、車体にホイール106を懸架することができる。
キャリパ121は、ホイール支持部材104の内側(径内方)に配置し且つホイール支持部材104に取付けたものである。このようなキャリパ121のパッド123,123により、ブレーキディスク122における外周側のディスク面を挟み込むことで、制動できる。キャリパ121のボデイ125は、ブレーキディスク122が入り込む開口部125aを、ホイール106の回転中心RC2側に向けた断面視コ字状を呈する。
しかしながら、従来の車両用ホイール駆動装置100は、中空状のインホイールモータ105の内側(径内方)で、取付板126にて囲った閉空間に、キャリパ121やブレーキディスク122を配置したものである。閉空間の中にあるディスクブレーキ120の放熱性を高めるには、限界がある。
何故なら、インホイールモータ105の内側にインホイールモータ105の内側を配置するので、制動有効半径R2はインホイールモータ105の内径D2の制約を受ける。しかも、ボデイ125は、開口部125aをホイール106の回転中心RC2側に向けた断面視コ字状を呈するので、ホイール支持部材104の内周面に臨む外端面125bから制動位置B2までの寸法Tiは比較的大きい。
制動有効半径R2が小さいと、その分、ホイール106を制動する制動力を大きくする必要がある。このため、キャリパ121は制動力を発するピストン127の径を大きくすることになるので、大型になる。
インホイールモータが、リムの内部に固定した筒状のアウタロータと、このアウタロータの内部に配置するとともに車体側に連結した筒状のインナステータとを備えた車両用ホイール駆動装置において、
ディスクブレーキが、アウタロータのうち車幅方向外側の端部に直接に取付けた中空円盤状のブレーキディスクと、インナステータのうち車幅方向外側の端部に取付けたキャリパと、からなることを特徴とする。
さらには、リムの内側において、車幅方向内側に配置されたインホイールモータに対し、車幅方向外側にディスクブレーキを並べて配置したので、ブレーキディスク(ディスク盤)をインホイールモータの内径の制約を受けずに大径にすることができる。このため、ホイールの回転中心からディスクブレーキの制動位置までの制動有効半径を大きく設定することができる。制動有効半径が大きいので、キャリパによる制動力を小さくしても、ディスクブレーキの制動効果を十分に確保することができる。このため、キャリパにおいて制動力を発するピストンの径を小さくでき、この結果、ディスクブレーキの小型化を図ることができる。
一般にキャリパは、制動力を発するピストンを備えるので、車幅方向の寸法が大きい。
これに対して請求項3に係る発明では、インホイールモータにおけるホイール中心側の空きスペースにキャリパを配置することによって、インホイールモータの内側(径内方)にキャリパの少なくとも一部を入り込ませることができる。このため、インホイールモータとキャリパとを組み合わせた全体の、車幅方向の寸法を小さくして、薄型化を図ることができる。従って、リムの幅内にインホイールモータ及びキャリパを配置することが、より一層容易になる。
このため、ディスクブレーキで発生した熱がディスク面からブレーキディスクに伝わったときには、その熱を熱溜まり部に一時的に溜めつつ、外気に放散することができる。この結果、ディスクブレーキで発生した熱がインホイールモータに伝わることを抑制することができる。
また、インホイールモータで発生した熱が、アウタロータから取付面を介してブレーキディスクに伝わったときには、その熱を熱溜まり部に一時的に溜めつつ、外気に放散することができる。この結果、インホイールモータで発生した熱がディスク面に伝わることを抑制することができる。
このようにして、ディスクブレーキやインホイールモータの放熱性を、より高めることができる。
図1は本発明に係る車両用ホイール駆動装置を搭載した車両を後方から見た構成図であり、右側におけるサスペンション20とホイール30と車両用ホイール駆動装置40の構成を表した。図2は本発明に係る車両用ホイール駆動装置の断面図であり、図1に対応させて表した。
なお、左側におけるサスペンション20とホイール30と車両用ホイール駆動装置40も右側と同じ構成なので、図示並びに説明を省略する。
車両用ホイール駆動装置40は、ホイール30のリム31内(径内方)に、ホイール30を駆動する駆動源であるインホイールモータ50及びホイール30を制動するディスクブレーキ60を組込んだ構成である。
以下、サスペンション20、ホイール30及び車両用ホイール駆動装置40について詳しく説明する。
このような車両用ホイール駆動装置40であるから、ホイール30の回転中心RC1周りのスペースを有効に活用することができる。
これらのアッパ・ロアジョイント24,25の中心間を通る直線Kiは、サスペンション20のキングピン軸である。
図2及び図3に示すようにインホイールモータ50は、リム31の内側(径内方)において、サスペンション20で懸架される車幅方向内側(図2及び図3の左側)に寄せて配置したものである。このようなインホイールモータ50は、リム31の内部に固定した筒状のアウタロータ51と、アウタロータ51の内周面に取付けた複数の永久磁石52・・・と、アウタロータ51の内部に配置するとともに車体11側に連結した筒状のインナステータ53と、インナステータ53の外周面に取付けた複数の電気子54・・・とを備える。
アウタロータ51は、車幅方向外側(図2及び図3の右側)の端部にディスク33をボルト止めすることで、リム31の内部に固定した回転部材である。インナステータ53は外周面で、軸受55,56を介し、アウタロータ51の内周面を回転可能に且つ軸方向移動を規制して支持する。
図2及び図3に示すようにリム31の内側において、インホイールモータ50を車幅方向内側に寄せて配置したので、リム31の内側で車幅方向外側(図2及び図3の右側)には空きスペースS1ができる。この空きスペースS1にディスクブレーキ60を配置した。
ブレーキディスク61は、全体形状が中空円盤状を呈する回転部材であって、ホイール30の回転中心RC1に対して同心である。なお、キャリパ71の取付け高さは、ホイール30の回転中心RC1に対してほぼ同一高さに設定すればよい。
図3及び図4に示すようにブレーキディスク61は、アウタロータ51のうち車幅方向外側の端部(端面)51aに直接に取付ける中空円盤状のフランジ62と、フランジ62の内周部から車幅方向外側へ延びる円筒状の連結筒部63と、連結筒部63のうち車幅方向外側の端部から径内方へ延びる中空円盤状のディスク部64と、連結筒部63とディスク部64との間のコーナ部分(肩部)65から径外方へ延びる中空円盤状の熱溜まり部66と、からなる一体品である。
ボルト67の頭部67aは、図4にすようにセラミック(セラミックスとも言う)等の熱絶縁性が良好な材質のワッシャ68を介して、フランジ62に当てるようにしている。セラミックは、熱伝導率が極めて小さい。このようにすれば、アウタロータ51とフランジ62との間で、ボルト67を介して伝わる熱伝導を抑制することができる。
このようにブレーキディスク61は、フランジ62に対して、車幅方向外側(図4の右側)に離間距離Lcだけ離れた位置に、ディスク部64を配置したものである。フランジ面62aに対してディスク面64a,64aは平行である。
図4に示すように熱溜まり部66は、インホイールモータ50やディスクブレーキ60で発生した熱を一時的に溜める部分であって、(1)一定の熱量を一時的に溜めるのに必要な適度な体積Vh並びに(2)溜めた熱量を大気へ速やかに放散するのに必要な適度な放熱面積Ahを有する。一般に、体積Vhが大きいほど、熱量を溜める能力(蓄熱能力)が大きいことが知られている。また、放熱面積Ahが大きいほど、溜めた熱量を放散する能力(放散能力)は大きい。
このようなキャリパ71は、ブレーキディスク61のディスク面64a,64aが回転可能に入り込む開口部75と、この開口部75に入ったディスク面64a,64aを摩擦力で制動可能な摩擦面74a,74a(すなわち、パッド74,74の摩擦面74a,74a)とを備える。
図5は本発明に係るディスクブレーキの作用図(その1)であり、ディスクブレーキで発生した熱が放散する過程を示し、図4に合わせて表した。
図6は本発明に係るディスクブレーキの作用図(その2)であり、インホイールモータで発生した熱が放散する過程を示し、図4に合わせて表した。
これに対して本発明では、インホイールモータ50におけるホイール中心RC1側の空きスペースS2にキャリパ71を配置することによって、インホイールモータ50の内側(径内方)にキャリパ71の少なくとも一部を入り込ませることができる。このため、インホイールモータとキャリパ71とを組み合わせた全体の、車幅方向の寸法を小さくして、薄型化を図ることができる。従って、リム31の幅内にインホイールモータ50及びキャリパ71を配置することが、より一層容易になる。
具体的には、ブレーキディスク61は、アウタロータ51に取付ける取付面62aと、キャリパ71で制動されるディスク面64a,64aとの間、すなわち、コーナ部分65に熱溜まり部66を有したことを特徴とする。
これに対して、上述のようにフランジ62、連結筒部63及びディスク部64は、それぞれの体積が熱溜まり部66の体積Vhよりも十分に小さくなるように、寸法を設定してある。従って、熱溜まり部66の蓄熱能力(熱を溜める性能)に対し、フランジ62、連結筒部63及びディスク部64の蓄熱能力は極めて小さい。
この結果、取付面62aやディスク面64a,64aからブレーキディスク61へ伝わった熱を、熱溜まり部66に集中的に収集して一時的に溜めた上で、溜まった熱を大気に効率良く且つ速やかに放散することができる。
しかも、キャリパ71で制動されるディスク面64a,64aの温度上昇を抑制することができる。従って、ディスク面64a,64aとパッド74,74の摩擦面74a,74aとの間の摩擦係数を十分に確保できるので、ディスクブレーキ60の制動性能を十分に確保することができる。
しかも、インホイールモータ50の温度上昇を抑制することができるので、インホイールモータ50の性能を十分に維持することができる。
Claims (4)
- ホイールのリム内に、ホイールを駆動するインホイールモータ及びホイールを制動するディスクブレーキを組込んだ車両用ホイール駆動装置であって、
前記インホイールモータは、前記リムの内部に固定した筒状のアウタロータと、このアウタロータの内部に配置するとともに車体側に連結した筒状のインナステータとを備えた車両用ホイール駆動装置において、
前記ディスクブレーキは、前記アウタロータのうち車幅方向外側の端部に直接に取付けた中空円盤状のブレーキディスクと、前記インナステータのうち車幅方向外側の端部に取付けたキャリパと、からなることを特徴とした車両用ホイール駆動装置。 - 前記キャリパは、前記ブレーキディスクのディスク面が回転可能に入り込む開口部と、この開口部に入った前記ディスク面を摩擦力で制動可能な摩擦面とを備え、前記開口部を前記ホイールの径方向外側に向けたことを特徴とする請求項1記載の車両用ホイール駆動装置。
- 前記キャリパは、前記インナステータよりもホイール中心側に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用ホイール駆動装置。
- 前記ブレーキディスクは、前記アウタロータに取付ける取付面と、前記キャリパで制動されるディスク面との間に、前記インホイールモータや前記ディスクブレーキで発生した熱を一時的に溜める熱溜まり部を設けたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車両用ホイール駆動装置。
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