JP2005336628A - 織機 - Google Patents

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宏喜 山崎
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一明 野崎
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英之 紺谷
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Abstract

【課題】 織機において、糸に外力を作用させるアクチュエータの適切な設定値を短時間で決定できるようにする。
【解決手段】 織機は、糸に外力を作用させるアクチュエータと、アクチュエータに作用させるための設定値を設定する設定器と、設定値に従ってアクチュエータを作動させる制御装置とを含む。設定器は、設定値を1回の操作によって予め設定された増加値だけ増加させる少なくとも1つの増加キーと、設定値を1回の操作によって予め設定された減少値だけ減少させる少なくとも1つの減少キーとを有する。設定器は、増加キー又は減少キーの操作により設定値から増加又は減少した値を新たな設定値として設定する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、設定値を1回の操作によって予め設定された増加値だけ増加させる少なくとも1つの増加キーと、設定値を1回の操作によって予め設定された減少値だけ減少させる少なくとも1つの減少キーとを有する設定器を有する織機に関する。
織機は、緯糸又は経糸に外力を作用させる装置、例えば、緯入装置、キックバック装置、緯糸ブレーキ装置などを備えている。
緯入装置は、圧力弁等を介して供給される所定の圧力に圧縮した圧縮流体を電磁開閉弁を開閉させてメインノズルから流体を噴射させる(例えば、特許文献1参照)。これにより、緯糸は、供給圧力に対応する流体の力を受けて、複数の経糸が形成する開口中を飛走する。
キックバック装置は、織機の起動時に、経糸ビームを所定量だけ回転させ、織前の位置を変化させる(例えば、特許文献2参照)。これにより、経糸は経糸ビームの回転力を受ける。
緯糸ブレーキ装置は、緯入装置が緯糸を開口中に緯入れしているとき、給糸体とメインノズルとの間の緯糸を屈曲させる(例えば、特許文献3参照)。これにより、メインノズルから送り出される緯糸は、屈曲により生じる摩擦力を受けて、緯糸の飛走速度が抑制される。この結果、緯糸測長装置による緯糸の飛走を係止させる時の拘束切れを防止することができる。
上記の緯入装置、キックバック装置、緯糸ブレーキ装置は設定器を有する。設定器は、緯糸や経糸に作用させる力に応じた数値を設定値として作業者に入力させる入力部を有する。入力部としては、例えば、作業者に数値を直接入力させるテンキー又はメモリーカード等の記憶媒体が用いられる。
特開昭59−82442号公報 特開昭61−83355号公報 実公昭63−24146号公報
作業者が糸に作用させる力を変更するとき、作業者は変更後の設定値を設定器に入力する。しかし、設定値の変更量と糸に作用させる力の変化との関係は、作業者にとって、明らかでない場合がある。そのため、この作業者は設定値の変更を繰り返すことになる。
特に、織機の経験年数が短い作業者にとって、設定値の変更量と糸に作用させる力の変化との関係が明らかでないため、作業者は、入力する設定値を、所望の作用力に対応する設定値に対して過大あるいは過小に入力してしまう。この結果、作業者は、設定値の再入力と織機のテスト運転の確認とを何回も繰り返すことにより、適切な設定値を決定する。そのように繰り返す作業が完了するまでの時間は、比較的長い。
具体的には、変更する前の設定値に対応して発生する糸への作用力と作業者が新たに設定した設定値に対応して発生する糸への作用力との差が殆どない場合には、糸に作用させる力は殆ど変化しない。したがって、作業者が適切な設定値を決定するまでの時間は、長くなる。
また、変更する前の設定値に対応して発生する糸への作用力と作業者が新たに設定した設定値に対応して発生する糸への作用力との差が大きい場合には、糸に作用させる力は大きく変化する。これにより、大きな力を作用させた糸が切れてしまう場合がある。このような場合には、切れた糸を修復する作業が必要になり、作業者が適切な設定値を決定し、織機を運転させるまでの時間は、長くなる。
本発明の目的は、織機において、経験年数の短い作業者であっても、糸に外力を作用させるアクチュエータの適切な設定値を短時間で決定できるようにする。
本発明に係る織機は、糸に外力を作用させるアクチュエータと、前記アクチュエータに作用させるための設定値であって前記糸に作用する外力の大きさに対応する設定値を設定する設定器と、前記設定値に従って前記アクチュエータを作動させる制御装置とを含む。前記設定器は、前記設定値を1回の操作によって予め設定された増加値だけ増加させる少なくとも1つの増加キーと、前記設定値を1回の操作によって予め設定された減少値だけ減少させる少なくとも1つの減少キーとを有する。前記設定器は、前記増加キー又は前記減少キーの操作により前記設定値から増加又は減少した値を新たな設定値として設定する。
前記増加値又は前記減少値は、好ましくは、前記糸に外力を作用させる際の前記アクチュエータの許容作動範囲の1/4ないし1/30に相当する値である。
前記設定器は複数の増加キーを有し、該増加キーは互いに異なる増加値を有してもよい。
前記設定器は複数の減少キーを有し、該減少キーは互いに異なる減少値を有してもよい。
前記増加値又は前記減少値は、好ましくは、前記糸の種類又は製織条件に応じて予め設定される。
前記設定値は、好ましくは、緯糸ブレーキ装置、緯糸引き戻し装置、前記糸に作用するノズルの圧力を調節するアクチュエータ、前記織機の停止時に経糸ビームを正転させるフェルコントロール装置又は前記織機の起動に先立ち経糸ビーム若しくは服巻ロールを正転若しくは逆転させるキックバック装置の作動量である。
本発明によれば、増加キー及び減少キーが設定器に設けられているから、作業者は、増加キー又は減少キーを1回だけ押すことにより、設定値を予め設定された増加値又は減少値だけ増加又は減少させることができる。これにより、作業者は、設定値を増加又は減少させる程度を、試行錯誤により、又は考えることにより求める必要がないから、短時間で適切な設定値を得ることができる。そのような増加値又は減少値は、増加キー又は減少キーの操作により糸に対する外力が実質的に変わる値であり、糸に外力を作用させる際のアクチュエータの許容作動範囲に対し1/4ないし1/30に相当する値である。
また、設定値の変更は、作業者が増加キー又は減少キーを押すことにより行われるから、人間工学的に優れた操作性を有する。
図1から図3を参照するに、織機10は、2つのメインノズル12を有するいわゆる2色織機である。
給糸体14に巻かれている緯糸16は、測長貯留装置18に所定長さ分に測長され、係止ピン装置20により係止されて貯留されている。係止ピン装置20から伸びる緯糸16は、緯糸ブレーキ装置22を介して先端部をメインノズル12に通されている。
メインノズル12に通されている緯糸16は、係止ピン装置20により所定期間解舒されて、メインノズル12から圧縮空気と共に噴出され、複数のサブノズル24から噴出される圧縮空気により、複数の経糸26が形成する開口の中に緯入れされる。
緯糸ブレーキ装置22は、ブレーキ力の付与時に緯糸16と接触するロッド28を有する。緯糸ブレーキ装置22は、ブレーキ力の付与時に、ブレーキモータ30によってロッド28を回動してロッド28を緯糸16に接触させる。緯糸ブレーキ装置22は、ロッド28を緯糸16に接触させることによって、緯糸16に所定の大きさのブレーキ力を付与する。
ブレーキ力の大きさは、ブレーキモータ30によるロッド28の回動量すなわちストロークを変更することにより、緯糸16に対するロッド28の角度すなわち緯糸16の屈曲角度を変えて調節することができる。なお、ブレーキモータ30によるロッド28の回転開始時期を変更することにより、ロッド28が緯糸16に接触している時間を変えるようにしてもよい。
経糸26が形成する開口の中に緯入れされた緯糸16は、複数のサブノズル24から噴射する圧縮空気によって、開口の中を飛走する。
2つのメインノズル12及び複数のサブノズル24は、それぞれ、電磁式の開閉弁32及び34と圧力制御弁36及び38とを経て圧力源40に接続している。
圧力制御弁36及び38は、緯糸に作用するメインノズル12及びサブノズル24の圧力を調節するアクチュエータとして作用する。
図2に示すように、経糸26は、これが巻かれている送出ビーム42から、バックロール44、複数の綜絖枠46及び筬48を経て織前50に繋がっている。緯入れされた緯糸16は、筬48によって織前50に筬打ちされ、織布52とされる。送出ビーム42は、経糸ビームとして作用する。
筬打ちによって製織された織布52は、織前50から、ガイドロール54を介して服巻ロール56に達する。服巻ロール56に達した織布52は、服巻ロール56と一対のプレスロール58とにより布巻ロール60に送り出され、布巻ロール60に巻き取られる。
送出ビーム42は、送出モータ62によりギアのような送出機構64を介して回転され、複数の経糸26をシートの形で送り出す。
各綜絖枠46は、主軸66の回転運動を受ける運動変換機構(図示せず)により上下に往復運動されて、経糸26を上下に開口させる。
服巻ロール56は、服巻モータ68の出力軸の回転により服巻駆動機構70を介して回転される。布巻ロール60は、主軸66の回転により布巻トルク調整機構72を介して回転される。
バックロール44に取り付けられた経糸張力センサ73は、経糸26の張力を常に検出する。
図示はしないが、織機10は、ブレーキモータ30を介して筬打ち近傍のタイミングで緯糸を屈曲させる緯糸引き戻し装置、織機10の停止時に送出ビーム42を正転させて経糸張力を緩めるフェルコントロール装置、織機10の起動に先立ち送出ビーム42若しくは服巻ロール56を正転若しくは逆転させて織前の位置を変化させるキックバック装置を有する。
図3に示すように、主制御装置74は、運転ボタン76を押下したときの押下信号S0と、主軸66の角度を測定するエンコーダ77からの角度θとを受信する。また、主制御装置74は、設定器80と設定信号SS4によって通信し、設定器80に設定されている各種の情報を読み込む。
織機10のための各種の緯入れ条件や各種の設定値が、作業者による手動入力や、メモリーカード(図示せず)からの転送により設定器80に設定されている。
設定値は、例えば、緯糸ブレーキ装置22、緯糸引き戻し装置(図示せず)、圧力制御弁36を制御するメイン用圧力制御装置(図示せず)、圧力制御弁38を制御するサブ用圧力制御装置(図示せず)、織機10の停止時に送出ビーム42を正転させるフェルコントロール装置(図示せず)、織機10の起動に先立ち送出ビーム42若しくは服巻ロール56を正転若しくは逆転させるキックバック装置(図示せず)の作動量が該当する。
なお、実際には、緯糸引き戻しの機能は後述する緯糸ブレーキ制御装置84によって実現される。フェルコントロール機能は後述する送出制御装置78によって実現される。キックバック機能は後述する送出装置78又は服巻制御装置82によって実現される。
作業者は、これらの設定値を、設定器80に備えられた後述するタッチパネル86を用いて入力する。
主制御装置74は、運転ボタン76が作業者によって押下されたことを示す押下信号S0が入力されると、運転開始信号S1又は運転停止信号S2を送出制御装置78、服巻制御装置82及び緯糸ブレーキ制御装置84に出力する。主制御装置74は、運転開始信号S1又は運転停止信号S2を緯糸引き戻し装置、メイン用圧力制御装置、サブ用圧力制御装置、フェルコントロール装置及びキックバック装置をそれぞれ制御する制御装置にも出力する。
送出制御装置78は、さらに、経糸張力センサ73によって検出した経糸26の張力値Tを受信する。また、緯糸ブレーキ制御装置84は、さらに、エンコーダ77によって検出した主軸66の角度θを受信する。
上記制御装置のそれぞれは、設定器80に設定されている設定値(詳細せず)、運転開始信号S1、運転停止信号S2、張力値T、角度θに基づいて、各モータなどを制御する。
図4から図7を参照して、設定器80に設定されている設定値を変更する手順を説明する。図4から図7は、設定器80に設けられたタッチパネル86の画面を示す。
タッチパネル型の設定器80は、入力機能と表示機能とを兼ね備えたタッチパネル86を有している。設定器80は、その内部に、外部の装置である上記送出制御装置などへの信号を送受するためのポート(図示せず)、タッチパネル86及びポートを制御するマイコン等で構成されるCPU(図示せず)、表示機能や信号送受を制御するためのプログラムが格納されるメモリ(図示せず)等を有している。
図4は、織布52にいわゆる厚段や薄段が発生した場合に、送出モータ62及び服巻モータ68の回転量を調整するためのタッチパネル86の画面である。
図4に示すタッチパネル86の画面には、「厚段改善」、「0」、「薄段改善」の文字が表示されている。その下側には、「厚段改善」に対応する増加ボタンB1,B2、「薄段改善」に対応する減少ボタンB3,B4が表示されている。増加ボタンB1,B2は増加キーとして作用し、減少ボタンB3,B4は減少キーとして作用する。
増加ボタンB1,B2は、1回の操作によって予め設定された増加値だけ設定値を増加させて、新たな設定値とする。減少ボタンB3,B4は、1回の操作によって予め設定された減少値だけ設定値を減少させて、新たな設定値とする。
この場合の設定値は、織機10の停止時に送出ビーム42を正転させるフェルコントロール装置又は織機10の起動に先立ち送出ビーム42若しくは服巻ロール56を正転若しくは逆転させるキックバック装置の作動量に該当する。このため、作業者が上記増加ボタンB1,B2又は減少ボタンB3,B4を操作すると、上記各設定値(各作動量)は、各装置に対応する増加量又は減少量だけ変更される。
増加ボタンB1に対応する増加値は、増加ボタンB2に対応する増加値の2倍に等しい値とされる。減少ボタンB4に対応する減少値は、減少ボタンB3に対応する減少値の2倍に等しい値とされる。したがって、設定器80は2つの増加ボタンB1,B2を有し、増加ボタンB1,B2は互いに異なる増加値を有する。また、設定器80は2つの減少ボタンB3,B4を有し、減少ボタンB3,B4は互いに異なる減少値を有する。
増加ボタンB2、減少ボタンB3に対応する増加値、減少値は、フェルコントロール機能の許容作動範囲、及びキックバック機能の許容作動範囲をもとに、経糸張力が実質的に緩む値又は織前位置が実質的に変位される値に定められる。より具体的には、増加ボタンB2、減少ボタンB3に対応する増加値、減少値は、この許容作動範囲から換算された送出モータ62及び服巻モータ68の許容作動範囲の1/4ないし1/30に相当する値に設定される。
これらの許容作動範囲は、大半の織物に共通して適用することができるように、個々の織物に対して設定可能な範囲よりやや広めに定められるものである。そのような許容作動範囲の一例として、例えば、設定値に対する入力制限範囲や、織物に応じて定められる入力範囲が挙げられる。
増加ボタンB1,B2及び減少ボタンB3,B4が設定器80に設けられており、作業者は、増加ボタンB1,B2又は減少ボタンB3,B4を1回だけ押すことにより設定値を予め設定された増加値又は減少値だけ増加又は減少させることができる。これにより、作業者は、設定値をどの程度増加又は減少させる必要があるかを、試行錯誤により、又は考えることなく、短時間で適切な設定値に設定することができる。
図5は、織布52にいわゆる枕段が発生した場合に、送出モータ62及び服巻モータ68の回転量を調整するためのタッチパネル86の画面である。
図5に示すタッチパネル86の画面には、「ヨコ止」、「その他」の文字が表示されている。「ヨコ止」、「その他」の文字の下側には、「(−)」に対応する増加ボタンB1,B2、「(+)枕段改善」に対応する減少ボタンB3,B4が表示されている。
「ヨコ止」と「その他」とは修復作業の際に緯糸を除去する点と除去しない点とで相違する。そして、修復作業の際の緯糸の除去の有無の相違によって、織前の位置が変わるから、「ヨコ止」の設定値と「その他」の設定値とが独立的に設定できるようにしている。
そこで、図4における厚段・薄段対応設定も、修復作業の際の緯糸の除去によって織前の位置が変わること考慮して、修復作業の際の緯糸の除去のための停台原因に応じて独立的に設定可能にしてもよい。
また、織機が再運転するまでの停台時間は、上記緯糸を除去することにより織前の位置が変わることによって発生する織段(緯糸の密度が異なる部分)の経糸方向の幅寸法に影響を与えるから、キックバック装置のキックバック機能の作動量を停台時間に応じて設定可能にしてもよい。そのようにキックバック装置のキックバック機能の作動量を停台時間に応じて設定可能にする場合には、上記のように、タッチパネルに停台時間毎の増加ボタン及び減少ボタンを表示させるようにしてもよい。作業者は、表示された増加ボタン及び減少ボタンを操作することより上記のように停台時間毎の設定値を増減させる。
図5に示す増加ボタンB1,B2、減少ボタンB3,B4は、図4に示す増加ボタンB1,B2、減少ボタンB3,B4と同じように、増減値及び減少値が設定されている。しかし、前者と後者とは、異なる値にしてもよい。
図6及び図7は、緯糸ブレーキ装置22及び緯糸引き戻し装置の作動量を設定する設定値を修正する画面である。
この場合の設定値は、緯糸ブレーキ装置22及び緯糸引き戻し装置がブレーキ力の付与時に、ブレーキモータ30によってロッド28を回転してロッド28を緯糸16に接触させるときのロッド28のストロークに該当する。
織機10は、2色タイプであるから、図6のタッチパネル86の画面の右上には、模式的な給糸体の中に「1」、「2」が表示されている。また、図7のタッチパネル86の画面には、第1のメインノズルを示す「C1」と第2のメインノズルを示す「C2」とが表示されている。
図6に示すように、領域A及びBに、それぞれ、緯糸ブレーキ装置22及び緯糸引き戻し装置の現在の設定値が図形と共に表示されている。
図示の例では、緯糸ブレーキ装置22の設定値は「10mm」に設定され、緯糸引き戻し装置の設定値は「15mm」に設定されている。
作業者は、緯糸ブレーキ装置22及び緯糸引き戻し装置の設定値を変更するときは、タッチパネル86の画面を図7に示す設定画面に切り換える。
ここで、図7に示す「ブレーキ(動作ストローク1)」の表示は、緯糸ブレーキ装置22に対する設定値であることを示している。また、「引戻し(動作ストローク2)」の表示は、緯糸引き戻し装置22に対する設定値であることを示している。
作業者は、増加ボタンB2、減少ボタンB3を押すことにより、ロッド28の回動角度を予め設定された増加値、減少値だけ増加、減少させる。
なお、作業者が増加ボタンB2又は減少ボタンB3を長く押し続けた場合、設定値を増加ボタンB2、減少ボタンB3に応じた増加値、減少値よりも大きな増加値、減少値で増加、減少させてもよい。
具体的には、増加ボタンB2又は減少ボタンB3を押し続けている時間が2秒未満の場合は、増加ボタンB2、減少ボタンB3に応じた増加値、減少値で設定値を増加、減少させる。しかし、増加ボタンB2又は減少ボタンB3を押し続けている時間が2秒以上の場合は、増加ボタンB2、減少ボタンB3に応じた増加値、減少値の2倍の値で設定値を増加、減少させる。
また、増加値又は減少値は、緯糸、経糸の種類又は製織条件に応じて予め設定してもよい。
製織条件は、より具体的には織段防止装置として機能する上記フェルコントロール機能、キックバック機能に対し、例えばウール織物、スパン織物、化繊織物等の織物種類、平織り、綾織、朱子織又は変わり織り等の織物組織、経糸張力値等を含むことができる。また、緯糸ブレーキ装置、緯糸引き戻し装置としては、緯糸糸種や太さなどの緯糸の物性情報を含むことができる。
上記以外の緯糸に外力を作用させる装置としては、例えば緯入れ装置、緯糸ストレッチ装置、タックイン装置が挙げられる。上記各装置は、噴射される流体の力により、緯入れ、張力付与又は経糸開口内への緯糸端の折り返しを行う。
上記装置による緯糸への外力は、例えば電空比例弁等の弁の開度を、電気信号に従って調節するアクチュエータにより調節されている。すなわち、そのようなアクチュエータに供給する電気信号に対応する圧力設定値は、上記設定値に該当する。このため、上記緯糸ブレーキの場合と同様、作業者が増加ボタン又は減少ボタンを操作することにより、圧力設定値を増加又は減少するようにしてもよい。
上記装置と同様に、アクチュエータに供給する電気信号に対応する圧力設定値は、緯糸の物性に関する情報等の条件に応じて、増加値又は減少値を異ならせてもよい。
電空比例弁等を作動させるアクチュエータは、電空レギュレータに代えて、絞り弁の開度をモータ等の回転アクチュエータにしてもよい。
上記実施例について、例えば、上記緯糸ブレーキ装置又は緯糸引き戻し装置は、緯糸の屈曲量により緯糸への作用力(制動力又は所定量引き戻す際の緯糸に加わる力)に対応する設定値を設定する。換言すれば、緯糸ブレーキ装置及び引き戻し装置の動作ストロークは、糸に作用する外力の大きさに対応する設定値である。
織段防止装置として作用する上記フェルコントロール装置又はキックバック装置は、経糸ビーム又は服巻ロールを回転させて経糸の張力を変えるから、織前の位置が変位する。換言すれば、フェルコントロール機能及びキックバック機能の各設定値は、糸に作用する外力の大きさに対応する設定値である。
また、前記したように緯糸に対して噴射流体の作用力を作用させる緯入れ装置、緯糸ストレッチ装置、タックイン装置の緯糸への外力は、例えば電空比例弁など弁の開度を電気信号により調節するアクチュエータにより調節される。換言すれば、そのようなアクチュエータに供給する電気信号に対応する圧力設定値又は弁の開度を指令する信号等は、糸に作用する外力の大きさに対応する設定値である。
本発明は、上記実施例に限定されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
本発明に係る、織機の糸に外力を作用させる装置の実施例の一部を示す模式図である。 図1に示す織機の別の一部を示す模式図である。 図1に示す織機のブロック線図である。 図1に示す設定器の一実施例を示す画面である。 図1に示す設定器の別の一実施例を示す画面である。 図1に示す設定器のさらに別の一実施例を示す画面である。 図1に示す設定器のさらに別の一実施例を示す画面である。
符号の説明
T 張力値
S0 押下信号
S1 運転開始信号
S2 運転停止信号
10 織機
12 メインノズル
14 給糸体
16 緯糸
18 測長貯留装置
20 係止ピン装置
22 緯糸ブレーキ装置
24 サブノズル
26 経糸
28 ロッド
30 ブレーキモータ
32,34 開閉弁
36,38 圧力制御弁
40 圧力源
42 送出ビーム
44 バックロール
46 綜絖枠
48 筬
50 織前
52 織布
54 ガイドロール
56 服巻ロール
58 プレスロール
60 布巻ロール
62 送出モータ
64 送出機構
66 主軸
68 服巻モータ
70 服巻駆動機構
72 布巻トルク調整機構
73 経糸張力センサ
74 主制御装置
76 運転ボタン
77 エンコーダ
78 送出制御装置
80 設定器
82 服巻制御装置
84 緯糸ブレーキ制御装置
86 タッチパネル

Claims (6)

  1. 糸に外力を作用させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータに作用させるための設定値であって前記糸に作用する外力の大きさに対する設定値を設定する設定器と、
    前記設定値に従って前記アクチュエータを作動させる制御装置とを含み、
    前記設定器は、前記設定値を1回の操作によって予め設定された増加値だけ増加させる少なくとも1つの増加キーと、前記設定値を1回の操作によって予め設定された減少値だけ減少させる少なくとも1つの減少キーとを有し、
    前記設定器は、前記増加キー又は前記減少キーの操作により前記設定値から増加又は減少した値を新たな設定値として設定する、織機。
  2. 前記増加値又は前記減少値は、前記糸に外力を作用させる際の前記アクチュエータの許容作動範囲の1/4ないし1/30に相当する値である、請求項1に記載の織機。
  3. 前記設定器は複数の増加キーを有し、該増加キーは互いに異なる増加値を有する、請求項1又は2に記載の織機。
  4. 前記設定器は複数の減少キーを有し、該減少キーは互いに異なる減少値を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の織機。
  5. 前記増加値又は前記減少値は、前記糸の種類又は製織条件に応じて予め設定される、請求項1から4のいずれか1項に記載の織機。
  6. 前記設定値は、緯糸ブレーキ装置、緯糸引き戻し装置、前記糸に作用するノズルの圧力を調節するアクチュエータ、前記織機の停止時に経糸ビームを正転させるフェルコントロール装置又は前記織機の起動に先立ち経糸ビーム若しくは服巻ロールを正転若しくは逆転させるキックバック装置の少なくとも1つの作動量である、請求項1から5のいずれか1項に記載の織機。
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