JP2005336521A - 薄膜形成装置及び薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置及び薄膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 測定装置の設置個所の設計や取り付け作業、メンテナンスなどの自由度を上げて、製膜の効率化を図ることである。また、膜厚などに代表される薄膜の状態の測定精度を向上させる。
【解決手段】 この薄膜形成装置には、放電空間内に高周波電界を発生させる一対の電極と、放電空間内で一方の電極の放電面に密着するように製膜用基材を搬送させる製膜用搬送機構とが備えられている。また、薄膜形成装置には、薄膜形成ガスを含有するガスが高周波電界によって活性化されるように、放電空間にガスを供給するガス供給部と、放電空間内で他方の電極の放電面に密着するように測定用基材を搬送する測定用搬送機構と、測定用基材上に形成された薄膜の状態を測定する測定装置とが備えられている。そして、薄膜形成装置には、測定装置の測定結果に基づいて薄膜形成の条件を変更し、製膜用基材上の薄膜の膜厚を制御する膜厚制御手段が備えられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、薄膜形成装置及び薄膜形成方法に係り、特に、大気圧プラズマ放電処理を用いて薄膜を基材上に形成する薄膜形成装置及び薄膜形成方法に関する。
近年、CRT、PDP、有機ELディスプレイ、液晶など画像表示デバイスの画面について、その透過率やコントラストの向上、映り込み低減のために表面反射を減少させる反射防止技術が多数提案されている。有効な反射防止技術として、基材に積層される層の屈折率や光学膜厚を適度に異ならせて、積層体と空気界面における光の反射を減少させる反射防止層が知られている。このような反射防止層は、TiO2、ZrO2、Ta25などの高屈折率材料層と、SiO2、MgF2などの低屈折率材料層の多層の積層体にて成り立っている。
反射防止層に代表される薄膜を基材上に形成する方法には、塗布に代表される湿式製膜方法や、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、熱CVD、プラズマCVD等に代表される乾式製膜方法、あるいは大気圧プラズマ放電処理を利用した大気圧プラズマ製膜方法等が挙げられるが、近年では、高い生産性を維持しつつ高品質な薄膜を形成できる大気圧プラズマ製膜方法の使用が特に望まれている。
ここで、反射防止層などの光学薄膜の形成に際して、薄膜の膜厚ムラは色味ムラとして人の目に認識されるので好ましくない。膜厚ムラが±数%以内に抑制されていれば、品質的に問題がないとされるために、薄膜の膜厚を精密に制御することが望まれている。この制御方法としては、例えば基材上の薄膜の状態を測定し、その測定結果を基にフィードバック制御することが挙げられる。具体的に、例えば特許文献1に記載される放電プラズマ処理装置の場合には、薄膜からの反射光を分光する分光器と、分光器によって分光された光を検出するオプティカルマルチチャンネルアナライザ及びコンピュータとによって、薄膜の状態としての反射光が検出されて、その検出結果を基に基材上の薄膜をインラインで制御するようになっている。また、特許文献2に記載される薄膜形成装置の場合には、基材上の薄膜の状態としての膜厚をインラインで測定し、測定された膜厚の現在値及び前回値の差厚と、膜厚測定部及び薄膜形成部間の距離とから、薄膜形成部の現在膜厚dtを予想し、目標膜厚d0との差Δd=d0−dtが、閾値αを越えていると、薄膜形成部に対してフィードバック制御を行うようになっている。そして、特許文献3に記載される大気圧プラズマ放電薄膜形成装置の場合には、インラインの透過型光学膜厚計によって、薄膜形成後における基材上の薄膜の膜厚を計測し、その測定結果をフィードバックして諸条件を微調整するようになっている。
特開2001−181850号公報 特開2002−356780号公報 特開2003−183836号公報
ここで、反射防止層等の基材上の光学薄膜は、数百nm程度の膜厚であるが、その要求される膜厚のムラを±数%以内とすると、実質膜厚の許容範囲は数nm相当に換算される。上記のように、薄膜からの反射光を基にして間接的に膜厚を計測したり、薄膜の膜厚を直接計測する場合においては、数nm以下の誤差で膜厚を測定しなければならないために、薄膜の状態を測定する測定装置の設置個所の設計や取り付け作業、メンテナンスなどに手間がかかってしまい、結果として製膜の効率を低下させるおそれがあった。
本発明の課題は、測定装置の設置個所の設計や取り付け作業、メンテナンスなどの自由度を上げて、製膜の効率化を図ることである。また、膜厚などに代表される薄膜の状態の測定精度を向上させることである。
請求項1記載の発明における薄膜形成装置は、
互いの放電面が対向されて放電空間を形成し、前記放電空間内に高周波電界を発生させる一対の電極と、
前記放電空間内で前記一対の電極のうち、一方の電極の放電面に密着するように製膜用基材を搬送させる製膜用搬送機構と、
薄膜形成ガスを含有するガスが高周波電界によって活性化されるように、前記放電空間に前記ガスを供給し、前記活性化されたガスで前記製膜用基材を晒すことで、前記製膜用基材上に薄膜を形成するためのガス供給部と、
前記放電空間内で前記一対の電極のうち、他方の電極の放電面に密着するように測定用基材を搬送する測定用搬送機構と、
前記測定用基材上に形成された薄膜の状態を測定する測定装置と、
前記測定装置の測定結果に基づいて薄膜形成の条件を変更し、前記製膜用基材上の薄膜の膜厚を制御する膜厚制御手段とを備えることを特徴としている。
ここで、薄膜が形成された製膜用基材は製品として出荷されるので、傷などが付いて不良品になることを抑制しなければならない。したがって、製膜用基材上の薄膜の状態を直接測定する場合には、測定時に薄膜に傷を付けないように、測定装置の設置個所や取り付け作業、メンテナンスなどに様々な制限が加えられていた。
しかしながら、請求項1記載の発明のように、測定用基材が他方の電極の放電面に密着していれば、製膜用基材と同様に放電空間内で活性化されたガスに晒されることになり、測定用基材上にも薄膜が形成される。この測定用基材上の薄膜の状態を測定装置によって測定すると、製膜用基材上の薄膜の状態を間接的に確認することができる。測定用基材は製品として出荷されないために、多少傷が付いたとしても構わない。このことから、測定装置の設置個所や取り付け作業、メンテナンスなどの自由度を上げることができ、結果として、製膜を効率化することができる。
そして、上記したように測定用基材であれば、多少傷が付いたとしても問題にされないために、従来では非接触で薄膜の状態を測定することが一般的であったが、薄膜に接触させて薄膜の状態を測定することも可能となる。このように、薄膜の状態の測定の自由度をも上げることができれば、様々な観点での測定も可能となり、結果として測定精度を向上できる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の薄膜形成装置において、
前記製膜用搬送機構は、複数回前記放電空間内を通過するように、前記製膜用基材を往復又は繰り返しで搬送させ、
前記測定用搬送機構は、前記製膜用基材が前記放電空間内を複数回通過する間に、前記測定用基材を一方向に搬送させていることを特徴としている。
請求項2記載の発明によれば、製膜用基材が複数回放電空間を通過することになるので、製膜用基材上には複数層の薄膜が形成されることになる。放電空間を複数回通過させることで複数層の薄膜を形成する場合であると、従来のように製膜用基材上の薄膜の状態を測定したとしても、薄膜が積層されるために単一の層のみを測定することが困難であった。しかしながら、請求項2記載の発明であれば、測定用基材は一方向に搬送されているので、各層毎の薄膜が測定用基材上に積層されることなく、搬送方向に沿って順次形成されることになる。つまり、測定用基材上の薄膜のうち、各層に対応する部分を測定すれば、単一層のみを測定することが可能になって、各層毎の膜厚を制御できることになる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の薄膜形成装置において、
前記一対の電極が、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で前記放電空間内に高周波電界を発生させることを特徴としている。
請求項3記載の発明によれば、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で製膜を行うことができるので、真空で製膜を行う場合に比べて、高速製膜が可能となるとともに連続生産が可能となる。そして、真空にするための装置等も必要でないために、設備費を削減できる。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記測定用搬送機構は、前記製膜用搬送機構による前記製膜用基材の搬送速度よりも低速で、前記測定用基材を搬送していることを特徴としている。
請求項4記載の発明によれば、測定用基材の方が製膜用基材よりも搬送速度が低速であるために、測定用基材上の薄膜を製膜用基材上の薄膜よりも厚く形成されることになる。このように、測定用基材上の薄膜の方が厚くなれば、測定における誤差の許容量を増加させることができ、結果として測定精度を向上させることができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記測定用基材は、前記他方の電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムであることを特徴としている。
請求項5記載の発明によれば、測定用基材がクリーニングフィルムであるので、測定用基材とクリーニングフィルムとを個別に用いる場合よりも装置構成を簡略化することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記膜厚制御手段は、前記一対の電極の間隔を変化させることにより、前記薄膜形成の条件を変更することを特徴としている。
請求項6記載の発明によれば、一対の電極の間隔を、薄膜形成の条件を変更する因子としている。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の薄膜形成装置において、
前記膜厚制御手段は、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に前記間隔を変化させることを特徴としている。
請求項7記載の発明によれば、膜厚制御手段が一対の電極の延在方向及び幅手方向の少なくとも一方向で連続的に前記間隔を変化させているので、薄膜形成の条件を放電空間内で滑らかに変化させることができ、薄膜の均一化を図ることができる。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記膜厚制御手段は、前記放電空間内のガス流量を変化させることにより、前記薄膜形成条件を変更することを特徴としている。
請求項8記載の発明によれば、放電空間内のガス流量を、薄膜形成の条件を変更する因子としている。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の薄膜形成装置において、
前記膜厚制御手段は、前記ガス供給部の噴出量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量を変化させることを特徴としている。
請求項9記載の発明によれば、膜厚制御手段がガス供給部の噴出量を調整することにより、放電空間内のガス流量を変化させているので、ガス流量を変化させる専用の部材を設けなくとも、ガス流量を変化させることができる。
請求項10記載の発明は、請求項8記載の薄膜形成装置において、
前記ガス供給部及び前記放電空間の間で、前記ガスを前記放電空間まで導くように、間隔を空けて配置される一対のガス導入部材を備え、
前記膜厚制御手段は、前記一対のガス導入部の間隔を調整することにより、前記放電空間内のガス流量を変化させることを特徴としている。
請求項10記載の発明によれば、膜厚制御手段が一対のガス導入部の間隔を調整することにより、放電空間内のガス流量を変化させているので、ガス供給部からのガスの噴出量を変化させなくても放電空間内のガス流量を変化させることが可能になる。
請求項11記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記放電空間内の排気を行う排気装置を備え、
前記膜厚制御手段は、前記排気装置の排気量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量を変化させることを特徴としている。
請求項11記載の発明によれば、膜厚制御手段が排気装置の排気量を調整することにより、放電空間内のガス流量を変化させているので、排気を行いつつガス流量を変化させることが可能となる。
請求項12記載の発明は、請求項8〜11のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記膜厚制御手段は、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に前記ガス流量を変化させることを特徴としている。
請求項12記載の発明によれば、膜厚制御手段が一対の電極の延在方向及び幅手方向の少なくとも一方向で連続的にガス流量を変化させているので、薄膜形成の条件を放電空間内で滑らかに変化させることができ、薄膜の均一化を図ることができる。
請求項13記載の発明における薄膜形成方法は、
互いの放電面が対向された一対の電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、前記一対の電極のうち、一方の電極の放電面に密着させながら製膜用基材を搬送することで、前記製膜用基材を前記活性化したガスに晒して前記製膜用基材上に薄膜を形成する際に、
前記放電空間内で前記一対の電極のうち、他方の電極の放電面に密着されながら搬送される測定用基材に対する、当該測定用基材上の薄膜の状態を測定する測定装置の測定結果に基づいて、膜厚制御手段が薄膜形成の条件を変更して、前記製膜用基材上の薄膜の膜厚を制御することを特徴としている。
請求項13記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の薄膜形成方法において、
前記製膜用機材は、複数回前記放電空間内を通過することを特徴としている。
請求項14記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項15記載の発明は、請求項13又は14記載の薄膜形成方法において、
前記一対の電極が、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で前記放電空間内に高周波電界を発生させることを特徴としている。
請求項15記載の発明によれば、請求項3記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項16記載の発明は、請求項13〜15のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記測定用基材は、前記製膜用基材の搬送速度よりも低速で搬送されていることを特徴としている。
請求項16記載の発明によれば、請求項4記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項17記載の発明は、請求項13〜16のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記測定用基材は、前記他方の電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムであることを特徴としている。
請求項17記載の発明によれば、請求項5記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項18記載の発明は、請求項13〜17のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記薄膜形成の条件は、前記一対の電極の間隔長さであることを特徴としている。
請求項18記載の発明によれば、請求項6記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項19記載の発明は、請求項18記載の薄膜形成方法において、
前記一対の電極の間隔長さは、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に変化することを特徴としている。
請求項19記載の発明によれば、請求項7記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項20記載の発明は、請求項13〜19のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記薄膜形成の条件は、前記放電空間内のガス流量であることを特徴としている。
請求項20記載の発明によれば、請求項8記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項21記載の発明は、請求項20記載の薄膜形成方法において、
前記ガス供給部の噴出量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量が変化することを特徴としている。
請求項21記載の発明によれば、請求項10記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項22記載の発明は、請求項20記載の薄膜形成方法において、
前記ガス供給部及び前記放電空間の間で、前記ガスを前記放電空間まで導くように、間隔を空けて配置される一対のガス導入部材の間隔を調整することにより、前記放電空間内のガス流量が変化することを特徴としている。
請求項22記載の発明によれば、請求項9記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項23記載の発明は、請求項20〜22のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記放電空間内の排気を行う排気装置の排気量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量が変化することを特徴としている。
請求項23記載の発明によれば、請求項11記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項24記載の発明は、請求項20〜23のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記放電空間内のガス流量は、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に変化することを特徴としている。
請求項24記載の発明によれば、請求項12記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
本発明によれば、測定用基材が他方の電極の放電面に密着しているので、製膜用基材と同様に放電空間内で活性化されたガスに晒されることになり、測定用基材上にも薄膜が形成される。この測定用基材上の薄膜の状態を測定装置によって測定すると、製膜用基材上の薄膜の状態を間接的に確認することができる。測定用基材は製品として出荷されないために、多少傷が付いたとしても構わない。このことから、測定装置の設置個所や取り付け作業、メンテナンスなどの自由度を上げることができ、結果として、製膜を効率化することができる。
そして、測定用基材であれば、多少傷が付いたとしても問題にされないために、従来では非接触で薄膜の状態を測定することが一般的であったが、薄膜に接触させて薄膜の状態を測定することも可能となる。このように、薄膜の状態の測定の自由度をも上げることができれば、様々な観点での測定も可能となり、結果として測定精度を向上できる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、薄膜形成装置1の概略構成を表すの正面図である。
この薄膜形成装置1は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、放電プラズマを発生させることによって基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置である。薄膜形成装置1には、図1に示すように、放電プラズマを発生させるためのロール電極2と、ロール電極2の周面に製膜用基材3を密着させながら搬送する製膜用搬送機構4とが設けられている。
製膜用搬送機構4には、ロール状に巻かれた薄膜形成前の製膜用基材3を回転自在に保持する保持ローラ41と、薄膜形成後の製膜用基材3を巻き取る巻取ローラ42とが設けられている。保持ローラ41とロール電極2との間には、製膜用基材3をロール電極2に案内する第一ガイドローラ43が設けられている。また、ロール電極2と巻取ローラ42との間には、製膜用基材3を巻取ローラ42に案内する第二ガイドローラ44が設けられている。つまり、製膜用基材3は、保持ローラ41から引き出された後に、第一ガイドローラ43、ロール電極2、第二ガイドローラ44を通過して巻取ローラ42に巻き取られるようになっている。
ロール電極2の下方には、製膜用基材3上に薄膜を形成するための薄膜形成ユニット5が設けられている。図2は薄膜形成ユニット5の概略構成を表す正面図である。図2に示すように、薄膜形成ユニット5には、一対の小電極51が、間隔aを空けてロール電極2の周面に対向するように配置されている。このロール電極2と小電極51との間隔aが放電空間Hとなり、この放電空間Hを成す小電極51及びロール電極2の対向する面をそれぞれ放電面51a,21とする。
また、一対の小電極51の間には間隔bが設けられていて、この間隔bに向けてガスを噴出するガス供給部52が、間隔bに対向するように配置されている。これにより、間隔bがガス供給部52から供給されたガスを放電空間Hまで案内する流路となっている。この流路によって放電空間Hにガスが供給され、ロール電極2及び小電極51に電界が印加されると、放電プラズマが発生しガスが活性化されるために、ロール電極2の放電面21に密着した製膜用基材3上に薄膜が形成されることになる。つまり、ロール電極2と小電極51とが本発明に係る一対の電極である。
また、薄膜形成ユニット5には、小電極51の汚れを防止するクリーニングフィルム6を小電極51に密着させながら連続的若しくは間欠的に搬送するフィルム用搬送機構(測定用搬送機構)53が、各小電極51に対応するように設けられている。このフィルム用搬送機構53には、ガス供給部52の近傍で、ロール状に巻かれたクリーニングフィルム6を回転自在に保持するフィルム用保持ローラ54が設けられている。また、ガス供給部52に対して、フィルム用保持ローラ54よりも遠方には、クリーニングフィルム6を巻き取るフィルム用巻取ローラ55が設けられている。つまり、クリーニングフィルム6は、フィルム用保持ローラ54から引き出されると、小電極51の放電面51a以外の表面に密着してから放電面51aに密着、放電空間Hを通過し、その後フィルム用巻取ローラ55に巻き取られるようになっている。製膜用基材3に対して薄膜形成が行われているときにクリーニングフィルム6が放電空間Hを通過すると、その表面上には製膜用基材3と同様に薄膜が形成されることになる。
小電極51とフィルム用巻取ローラ55との間には、クリーニングフィルム6上に形成された薄膜の状態を測定する測定装置7が設けられている。つまり、クリーニングフィルム6が本発明に係る測定用基材となる。ここで薄膜の状態とは、薄膜の膜厚、屈折率、反射率、濁度、ヘイズ、異物混入や故障の有無のことである。これらを測定するために測定装置7には、透過型光学膜厚計、反射型光学膜厚計、接触型膜厚計、異物・故障検出計、濁度・ヘイズ検出計及びこれらの少なくとも2種からなる複合機が用いられる。透過型光学膜厚計であると膜厚、屈折率が測定でき、反射型光学膜厚計であると膜厚、反射率が測定でき、接触型膜厚計であると膜厚が測定できる。なお、クリーニングフィルム6が透過性を有している場合には反射率の測定が困難であるので、例えばクリーニングフィルム6の裏面を着色するなどのクリーニングフィルム6の透過性を低下させる処理を施す透過性低減機構を、測定装置7の上流側に設けることが好ましい。
ここで、薄膜は放電によって形成されるために、薄膜の状態には放電の影響が現れやすい。つまり、薄膜の状態を測定すれば、異常放電や放電ムラなどの放電の状態をも検出することが可能である。
図3は、薄膜形成装置1における主制御構成を表すブロック図である。この図3に示すように、薄膜形成装置1には、各駆動部を制御する制御装置8が設けられている。制御装置8には、記憶部81、ロール電極2の第一電源82、小電極51の第二電源83、ガス供給部52、巻取ローラ42の駆動源84、フィルム用巻取ローラ55の駆動源85、測定装置7が電気的に接続されている。なお、制御装置8には、これら以外にも薄膜形成装置1の各駆動部などが接続されている。そして、制御装置8は、記憶部81中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従い各種機器を制御するようになっている。
次に、ガス供給部52から供給されるガスについて説明する。
このガスに、薄膜形成可能なグロー放電を起こすことのできる放電ガスと、薄膜の原料を含有する薄膜形成ガスとが混合されたものである。
放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。本実施形態では、比較的安価な窒素を用いている。この場合、放電ガスの50〜100体積%が窒素であることが好ましく、さらに窒素に混合させるガスとして希ガスを使用し、放電ガスの50%未満を含有させることが好ましい。
薄膜形成ガスに含まれる原料としては、例えば、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等が挙げられる。
有機金属化合物としては、以下の一般式(I)で示すものが好ましい。
一般式(I) R1xMR2yR3z式中、Mは金属、R1はアルキル基、R2はアルコキシ基、R3はβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、いずれも0または正の整数である。R1のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R2のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等が挙げられる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。R3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンあるいはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等が挙げられ、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えば、アセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等が挙げられ、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等が挙げられ、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。これらの基の炭素原子数は、上記例有機金属化合物を含んで、18以下が好ましい。また例示にもあるように直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。
本発明において取り扱いの問題から、爆発の危険性の少ない有機金属化合物が好ましく、分子内に少なくとも1つ以上の酸素を有する有機金属化合物が好ましい。このようなものとしてR2のアルコキシ基を少なくとも1つを含有する有機金属化合物、またR3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機金属化合物が好ましい。
また、薄膜形成ガスに使用する有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物の金属として、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が挙げられる。
次に、本実施形態の薄膜形成装置1の作用について説明する。
先ず、薄膜形成の開始に伴って、制御装置8は、ガス供給部52からガスを噴出させて、放電空間Hにガスを供給する。放電空間Hにガスが供給されると、制御装置8は、巻取ローラ42の駆動源84を制御して、製膜用基材3を搬送させるとともに、フィルム用巻取ローラ55の駆動源85を制御して、クリーニングフィルム6を搬送させる。なお、クリーニングフィルム6の搬送速度は、製膜用基材3の搬送速度よりも低速に設定されている。
製膜用基材3の搬送が開始されると、制御装置8は、第一電源82及び第二電源83をONにする。これにより、ロール電極2と小電極51とには高周波電界が印加されて、放電空間H内ではガスが反応し放電プラズマが発生する。この放電空間H内を製膜用基材3とクリーニングフィルム6とが通過するために、製膜用基材3、クリーニングフィルム6のそれぞれの表面上には薄膜が形成されることになる。ここで、上述したようにクリーニングフィルム6の方が製膜用基材3よりも搬送速度が低速であるため、クリーニングフィルム6に形成される薄膜の膜厚の方が製膜用基材3の膜厚よりも厚くなる。このクリーニングフィルム6の薄膜の状態が測定装置7によって測定される。
制御装置8は、測定装置7の測定結果に基づいて、最適な製膜が行われるように薄膜形成の条件を変更し、製膜用基材3上の薄膜の膜厚を制御する。本実施形態では、薄膜形成の条件として放電空間H内のガス流量を変化させている。具体的には、制御装置8は、測定装置7の測定結果に基づいて、ガス供給部52におけるガスの噴出量を、調整することによって、放電空間H内のガス流量を変化させている。
このようにして薄膜が形成された製膜用基材3は、巻取ローラ42によって巻き取られ、クリーニングフィルム6もフィルム用巻取ローラ55によって巻き取られる。
以上のように、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、クリーニングフィルム6が小電極51の放電面51aに密着していれば、製膜用基材3と同様に放電空間H内で活性化されたガスに晒されることになり、クリーニングフィルム6上にも薄膜が形成される。このクリーニングフィルム上の薄膜の状態を測定装置7によって測定すると、製膜用基材3上の薄膜の状態を間接的に確認することができる。クリーニングフィルム6は製品として出荷されないために、多少傷が付いたとしても構わない。このことから、測定装置7の設置個所や取り付け作業、メンテナンスなどの自由度を上げることができ、結果として製膜を効率化することができる。
そして、上記したようにクリーニングフィルム6であれば、多少傷が付いたとしても問題にされないために、従来では非接触で薄膜の状態を測定することが一般的であったが、薄膜に接触させて薄膜の状態を測定することも可能となる。このように、薄膜の状態の測定の自由度をも上げることができれば、様々な観点での測定も可能となり、結果として測定精度を向上できる。
そして、クリーニングフィルム6上の薄膜の方が、製膜用基材3上の薄膜よりも厚いので、測定における誤差の許容量を増加させることができ、結果として測定精度を向上させることができる。
また、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で製膜が行われているので、真空で製膜を行う場合に比べて、高速製膜が可能となるとともに連続生産が可能となる。そして、真空にするための装置等も必要でないために、設備費を削減できる。
そして、クリーニングフィルムが本発明に係る測定用基材であるので、測定用基材とクリーニングフィルムとを個別に用いる場合よりも装置構成を簡略化することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、製膜用搬送機構4が製膜用基材3を一方向に搬送する場合を例示して説明したが、製膜用基材3上に複数層の薄膜を形成するために、複数回放電空間H内を通過するように製膜用基材3を往復で搬送させてもよい。こうした場合、製膜用基材3が放電空間H内を複数回通過する間に、フィルム用搬送機構53はクリーニングフィルム6を一方向に搬送させることが好ましい。例えば、製膜用基材3が放電空間H内を複数回通過すると、製膜用基材3上には図4(a)に示すように薄膜D1,D2,D3が積層されることになるが、クリーニングフィルム6上には図4(b)に示すように、製膜基材上3の薄膜D1,D2,D3に対応する薄膜d1,d2,d3が積層されずに搬送方向に沿って形成されることになる。つまり、クリーニングフィルム6上の薄膜d1,d2,d3の各層をそれぞれ測定することが可能となるために、各層毎の膜厚を制御できることになる。
また、製膜用基材3上に複数層の薄膜を形成するためには、前述の製膜用基材3を往復移動させるだけでなく、例えば図5に示すように複数のロール電極2a,2b,2cと、薄膜形成ユニット5a,5b,5cとを、製膜用搬送機構4の搬送経路上に配置することでも可能である。
さらに、製膜用基材3を往復移動させなくとも、一度放電空間H内を通過し巻取ローラ42で巻き取られた製膜用基材3を、保持ローラ41に移動させ、再度搬送を行うようにすれば、製膜用基材3上に複数層の薄膜が形成されることになる。つまり、製膜用基材3を繰り返して搬送させたとしても、往復で搬送させた場合と同様の作用、効果を得ることができる。
また、本実施形態では、薄膜形成の条件として放電空間H内のガス流量を例示したが、薄膜形成の条件としてはこれ以外にも、ロール電極2と小電極51との間隔や、各電極に対する印加電圧、ガスの原料等が挙げられる。放電空間H内に供給された原料は、放電空間H内で完全反応して製膜用基材3に均一に付着することが理想であるが、原料が供給過多であると未反応物が排気され、供給過小であると完全反応するために、幅手方向若しくは長手方向で原料の供給量を変化させれば、製膜分布を変化させることも可能である。つまり、他の要因で製膜分布が現出したとしても、原料の供給量を幅手方向若しくは長手方向で変化させれば製膜分布をなくして均一な製膜が可能になる。こうした場合、膜厚制御手段としては、原料の供給量を幅手方向若しくは長手方向で変化させることのできるガス供給部が望ましい。
以下、薄膜形成の条件としてのロール電極2と小電極51との間隔を変化させる場合について、具体例を挙げて説明する。
図6は、延在方向にわたって複数のヒートボルトが埋め込まれた小電極を表す概略図である。小電極51bにおける放電面51aの反対面には、延在方向に沿って配列される複数本のヒートボルト60が渡しプレート61を介して埋め込まれている。渡しプレート61には、小電極51より剛性の大きい材質のものが用いられている。各ヒートボルト60には、給電ケーブル62が接続されていて、制御装置8によって給電量が制御されている。制御装置8は、測定装置7の測定結果から膜厚分布が不均一となる部分を検出し、当該部分に対応するヒートボルト60の給電量を調節して、ヒートボルト60を加熱或いは冷却する。これにより、ヒートボルト60が膨張または収縮することになって、ロール電極2と小電極51bとの間隔が変化することになる。この場合においては、制御装置8、ヒートボルト60、渡しプレート61、給電ケーブル62が本発明に係る膜厚制御手段となる。
図7は、延在方向にわたって複数のプッシュプルボルトが埋め込まれた小電極を表す概略図である。この図7においては、図6のヒートボルト60をプッシュプルボルト63に変更した場合を表している。このプッシュプルボルト63のフランジ64は、制御装置8の制御に応じて自動的に回転駆動するようになっている。制御装置8は、測定装置7の測定結果から膜厚分布が不均一となる部分を検出し、当該部分に対応するプッシュプルボルト63のフランジ64を回転させる。これにより、プッシュプルボルト63が小電極51cをロール電極2から接離させることになって、ロール電極2と小電極51cとの間隔が変化することになる。この場合においては、制御装置8、プッシュプルボルト63、渡しプレート61、フランジ64が本発明に係る膜厚制御手段となる。
図8は、熱変形プレートが一体的に取り付けられた小電極を表す概略図である。小電極51dの一端部には、電極用保温媒体を貯留する第一タンクが配管65を介して接続されている。また、小電極51dの他端部には、電極用保温媒体を排出するための配管66が接続されている。小電極51dの内部には、常に電極用保温媒体が充填されている。そして、小電極51dにおける放電面51aの反対面には、熱変形プレート67が一体的に取り付けられている。熱変形プレート67の一端部には、プレート用保温媒体を貯留する第二タンクが配管68を介して接続されている。また、熱変形プレート67の他端部には、プレート用保温媒体を排出するための配管69が接続されている。熱変形プレート67の内部には、常にプレート用保温媒体が充填されている。第一タンク及び第二タンクのそれぞれには、制御装置8の制御に基づいて、保温媒体の温度を調節する温度調節部と、流量を調節する流量調節部が設けられている。制御装置8は、測定装置7の測定結果を基に、第一タンク、第二タンクそれぞれの温度調節部、流量調節部を制御して、電極用保温媒体、プレート用保温媒体の温度及び流量を調節する。電極用保温媒体、プレート用保温媒体の温度差によって、小電極51dと熱変形プレート67が変形することになって、ロール電極2と小電極51dとの間隔が変化することになる。この場合においては、制御装置8、熱変形プレート67、第一タンク、第二タンクそれぞれの温度調節部、流量調節部が本発明に係る膜厚制御手段となる。
図9は、小電極とロール電極との間隔が延在方向に連続して変化する場合を表す説明図である。図9において小電極51eの両端部には、制御装置8の制御に基づいて、ロール電極2までの間隔を変化させるアクチュエータ(図示省略)が設けられている。制御装置8は、測定装置7の測定結果に基づいて、小電極51eの両端部を移動させて、ロール電極2と小電極51eとの間隔を変化させる。これによって、薄膜形成の条件が放電空間H内で滑らかに変化することになって、薄膜の均一化を図ることができる。この場合においては、制御装置8、アクチュエータが本発明に係る膜厚制御手段となる。図9においては小電極51eの一端部とロール電極2との間隔がd0で、他端部とロール電極2との間隔がd0よりも大きいd1に調整された場合を表している。なお、小電極とロール電極との間隔は、延在方向だけでなく、延在方向に直交する幅手方向に対して連続して変化してもよい。
また、本実施形態では、薄膜形成の条件としてのガス流量を変化させる際に、放電空間H内の全体のガス流量が一定になるように変化させる場合を例示して説明したが、放電空間H内のガス流量を小電極51の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に変化させてもよい。こうした場合、薄膜形成の条件を放電空間H内で滑らかに変化させることができ、薄膜の均一化を図ることができる。具体的には、図10に示すようにガス供給部52aには複数のガス噴出口521と、各ガス噴出口521の噴出量を調整するバルブ522とが設けられていて、各バルブ522は制御装置8によって制御されるようになっている。制御装置8は、測定装置7の測定結果から膜厚分布が不均一となる部分を検出し、当該部分に対応するガス噴出口521のバルブ522を制御して、噴出量を調整する。これにより、放電空間H内のガス流量は連続して変化することになる。この場合においては、制御装置8、バルブ522が本発明に係る膜厚制御手段となる。
また、本実施形態では、ガス供給部52の噴出量を調整することでガス流量を変化させる場合を例示したが、これ以外にも、例えば、放電空間H内の排気を行う排気機構を設け、その排気機構の排気量を制御装置8が調整することにより放電空間H内のガス流量を変化させてもよい。
さらに、ガス供給部52及び放電空間Hの間に、ガスを放電空間Hまで導くように間隔を空けて配置される一対のガス導入部を設け、そのガス導入部の間隔を調整することにより放電空間内のガス流量を変化させてもよい。具体的には、図11に示すように、小電極51とガス供給部52との間には、一対の小電極51の間隔bに連続する間隔cを有する一対の板状のガス導入部70が設けられている。ガス供給部52から供給されたガスは、一対のガス導入部70の間隔c内を通過して、一対の小電極51の間隔bに到達するようになっている。この一対のガス導入部70には、延在方向に沿って複数のチョークバー71が配列されている。このチョークバー71は、図12に示すように、一方のガス導入部70に貫通されていて、制御装置8の制御に基づいて図中の左右方向に移動することで間隔cを遮蔽したり開放したりして、放電空間Hのガス流量を調節するようになっている。制御装置8は、測定装置7の測定結果から膜厚分布が不均一となる部分を検出し、当該部分に対応するチョークバー71を制御して、一対のガス導入部70の間隔cを調整する。これにより、放電空間H内のガス流量は連続して変化することになる。この場合においては、制御装置8、ガス導入部70、チョークバー71が本発明に係る膜厚制御手段となる。
この実施例では、本実施形態の薄膜形成装置1を用いて表1の条件で薄膜を形成した。比較例として、図13に示すように、測定装置7をロール電極2の下流側に配置して、製膜用基材3上の薄膜を測定する薄膜形成装置1Bを用いて、表1の条件で薄膜を形成した。
Figure 2005336521
ここで、表1に示される搬送速度は、測定対象物となる基材の搬送速度である。つまり、実施例の場合ではクリーニングフィルム6の搬送速度であり、比較例の場合では製膜用基材3の搬送速度である。このように、クリーニングフィルム6に形成された薄膜を測定するのであれば、製膜用基材3に対する製膜に影響ないために、実施例のように比較例よりも搬送速度を100分の1にすることも可能である。これだけ低速にすれば、放電空間Hを一度通過しただけで比較例よりも100倍厚い薄膜が形成されるために、品質許容範囲(%)が比較例と実施例と同じであっても、実施例の方が測定精度を高めることができる。
本実施形態に係る薄膜形成装置の概略構成を表す正面図である。 図1の薄膜形成装置に備わる薄膜形成ユニット5を表す正面図である。 図1の薄膜形成装置の主制御構成を表すブロック図である。 図1の製膜用基材に薄膜が複数層形成された場合のクリーニングフィルム上に形成される薄膜を表した説明図である。 図1の薄膜形成装置の変形例を表す正面図である。 図1の小電極の変形例としての、複数のヒートボルトが埋め込まれた小電極を表す概略図である。 図1の小電極の変形例としての、複数のプッシュプルボルトが埋め込まれた小電極を表す概略図である。 図1の小電極の変形例としての、熱変形プレートが一体的に取り付けられた小電極を表す概略図である。 小電極とロール電極との間隔が延在方向に連続して変化する場合を表す説明図である。 図2のガス供給部の変形例を表す説明図である。 図2のガス供給部の変形例を表す説明図である。 図11のガス導入部に備わるチョークバーを表す断面図である。 比較例の薄膜形成装置を表す正面図である。
符号の説明
1 薄膜形成装置
2 ロール電極(一方の電極)
3 製膜用基材
4 製膜用搬送機構
6 クリーニングフィルム(測定用基材)
7 測定装置
8 制御装置(膜厚制御手段)
51 小電極(他方の電極)
52 ガス供給部
53 フィルム用搬送機構(測定用搬送機構)

Claims (24)

  1. 互いの放電面が対向されて放電空間を形成し、前記放電空間内に高周波電界を発生させる一対の電極と、
    前記放電空間内で前記一対の電極のうち、一方の電極の放電面に密着するように製膜用基材を搬送させる製膜用搬送機構と、
    薄膜形成ガスを含有するガスが高周波電界によって活性化されるように、前記放電空間に前記ガスを供給し、前記活性化されたガスで前記製膜用基材を晒すことで、前記製膜用基材上に薄膜を形成するためのガス供給部と、
    前記放電空間内で前記一対の電極のうち、他方の電極の放電面に密着するように測定用基材を搬送する測定用搬送機構と、
    前記測定用基材上に形成された薄膜の状態を測定する測定装置と、
    前記測定装置の測定結果に基づいて薄膜形成の条件を変更し、前記製膜用基材上の薄膜の膜厚を制御する膜厚制御手段とを備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 請求項1記載の薄膜形成装置において、
    前記製膜用搬送機構は、複数回前記放電空間内を通過するように、前記製膜用基材を往復又は繰り返しで搬送させ、
    前記測定用搬送機構は、前記製膜用基材が前記放電空間内を複数回通過する間に、前記測定用基材を一方向に搬送させていることを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 請求項1又は2記載の薄膜形成装置において、
    前記一対の電極が、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で前記放電空間内に高周波電界を発生させることを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記測定用搬送機構は、前記製膜用搬送機構による前記製膜用基材の搬送速度よりも低速で、前記測定用基材を搬送していることを特徴とする薄膜形成装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記測定用基材は、前記他方の電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムであることを特徴とする薄膜形成装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記膜厚制御手段は、前記一対の電極の間隔を変化させることにより、前記薄膜形成の条件を変更することを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 請求項6記載の薄膜形成装置において、
    前記膜厚制御手段は、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に前記間隔を変化させることを特徴とする薄膜形成装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記膜厚制御手段は、前記放電空間内のガス流量を変化させることにより、前記薄膜形成条件を変更することを特徴とする薄膜形成装置。
  9. 請求項8記載の薄膜形成装置において、
    前記膜厚制御手段は、前記ガス供給部の噴出量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量を変化させることを特徴とする薄膜形成装置。
  10. 請求項8記載の薄膜形成装置において、
    前記ガス供給部及び前記放電空間の間で、前記ガスを前記放電空間まで導くように、間隔を空けて配置される一対のガス導入部材を備え、
    前記膜厚制御手段は、前記一対のガス導入部の間隔を調整することにより、前記放電空間内のガス流量を変化させることを特徴とする薄膜形成装置。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記放電空間内の排気を行う排気装置を備え、
    前記膜厚制御手段は、前記排気装置の排気量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量を変化させることを特徴とする薄膜形成装置。
  12. 請求項8〜11のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記膜厚制御手段は、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に前記ガス流量を変化させることを特徴とする薄膜形成装置。
  13. 互いの放電面が対向された一対の電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、前記一対の電極のうち、一方の電極の放電面に密着させながら製膜用基材を搬送することで、前記製膜用基材を前記活性化したガスに晒して前記製膜用基材上に薄膜を形成する際に、
    前記放電空間内で前記一対の電極のうち、他方の電極の放電面に密着されながら搬送される測定用基材に対する、当該測定用基材上の薄膜の状態を測定する測定装置の測定結果に基づいて、膜厚制御手段が薄膜形成の条件を変更して、前記製膜用基材上の薄膜の膜厚を制御することを特徴とする薄膜形成方法。
  14. 請求項13記載の薄膜形成方法において、
    前記製膜用機材は、複数回前記放電空間内を通過することを特徴とする薄膜形成方法。
  15. 請求項13又は14記載の薄膜形成方法において、
    前記一対の電極が、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で前記放電空間内に高周波電界を発生させることを特徴とする薄膜形成方法。
  16. 請求項13〜15のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記測定用基材は、前記製膜用基材の搬送速度よりも低速で搬送されていることを特徴とする薄膜形成方法。
  17. 請求項13〜16のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記測定用基材は、前記他方の電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムであることを特徴とする薄膜形成方法。
  18. 請求項13〜17のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記薄膜形成の条件は、前記一対の電極の間隔長さであることを特徴とする薄膜形成方法。
  19. 請求項18記載の薄膜形成方法において、
    前記一対の電極の間隔長さは、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に変化することを特徴とする薄膜形成方法。
  20. 請求項13〜19のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記薄膜形成の条件は、前記放電空間内のガス流量であることを特徴とする薄膜形成方法。
  21. 請求項20記載の薄膜形成方法において、
    前記ガス供給部の噴出量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量が変化することを特徴とする薄膜形成方法。
  22. 請求項20記載の薄膜形成方法において、
    前記ガス供給部及び前記放電空間の間で、前記ガスを前記放電空間まで導くように、間隔を空けて配置される一対のガス導入部材の間隔を調整することにより、前記放電空間内のガス流量が変化することを特徴とする薄膜形成方法。
  23. 請求項20〜22のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記放電空間内の排気を行う排気装置の排気量を調整することにより、前記放電空間内のガス流量が変化することを特徴とする薄膜形成方法。
  24. 請求項20〜23のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記放電空間内のガス流量は、前記一対の電極の延在方向及び当該延在方向に直交する幅手方向の少なくとも一方向で連続的に変化することを特徴とする薄膜形成方法。
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