JP2005336033A - 無機質粒状物、その製造方法およびそれを用いた重金属含有水の浄化方法 - Google Patents

無機質粒状物、その製造方法およびそれを用いた重金属含有水の浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子サイズが適切で固液分離等の取扱性が良好であるとともに、イオン交換能等の性能に優れたゼオライト構造を有する無機質粒状物とその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】比重が1.8以下であり、かつ粒径1mm以上の割合が50重量%以上である無機質粒状物であって、メタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて得られる無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を造粒し、硬化させるか、或いは硬化させた後に粉砕するかのいずれかの手段で粒状化することを特徴とする無機質粒状物などによって提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、無機質粒状物、その製造方法およびそれを用いた重金属含有水の浄化方法に関し、さらに詳しくは、粒子サイズが適切でろ過性(固液分離)等の取扱性が良好であるとともに、イオン交換能等の性能に優れたゼオライト構造を有する無機質粒状物とその効率的な製造方法、およびそれを用いてなる重金属を含有する水の浄化方法に関する。
人工ゼオライトは、近年、環境浄化用の、特に汚水中の重金属を回収することができる無機質材料として注目されている。なお、ゼオライト(沸石)は、一般式:M2/n−O・Al・xSiO・yHO(M:Na、K、Ca、Ba、nは価数、x=2〜10、y=2〜7)で表され、水分子は連続的に脱水/復水し、また陽イオン交換能を有するものである。このような状況下、人工ゼオライトの原料及び製造方法は多岐にわたっているが、それらを重金属を含有する水の浄化に用いる際に、その性能と取扱性に対して課題があげられていた。例えば、石炭焚き発電所等から多量に産出される石炭灰を原料として合成したゼオライト組成物(例えば、特許文献1参照。)では、粒子サイズが細かく取扱が困難で、例えば、水の処理に使用した場合に処理水との固液分離性が悪いため、使用に際して造粒して粒状物とすることが必要であるという問題があった。一方、天然ゼオライトでは、塊状で産出するので容易に粒状物を得ることができるが、この場合には、粒子内部まで処理水が十分に浸透しないので高性能が得られないという問題があった。
以上の状況から、性能と取扱性に優れた人工ゼオライトの効率的な製造方法が求められている。
特許第3442817号公報(第1頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、粒子サイズが適切でろ過性(固液分離)等の取扱性が良好であるとともに、イオン交換能等の性能に優れたゼオライト構造を有する無機質粒状物とその効率的な製造方法、およびそれを用いてなる重金属を含有する水の浄化方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、人工ゼオライトについて、鋭意研究を重ねた結果、メタカオリンを原料として用いて、特定の工程を組合せて無機質粒状物を得たところ、粒子サイズが適切で取扱性が良好であるとともに、性能に優れたゼオライト構造を有する無機質粒状物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、比重が1.8以下であり、かつ粒径1mm以上の割合が50重量%以上である無機質粒状物であって、
メタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて得られる無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を造粒し、硬化させるか、或いは硬化させた後に粉砕するかのいずれかの手段で粒状化することを特徴とする無機質粒状物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記メタカオリンは、カオリン鉱物を500〜900℃で加熱脱水することにより得られることを特徴とする無機質粒状物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、メタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて無機質粉体を得る工程、該無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を得る工程、及び該無機質組成物を60℃以上で加熱硬化し粒状物を得る工程を含むことを特徴とする無機質粒状物の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、さらに、前記無機質粉体を得る工程に先だって、カオリン鉱物を500〜900℃で加熱脱水してメタカオリンを得る工程を含むことを特徴とする無機質粒状物の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明の無機質粒状物を用いてなる重金属含有水の浄化方法が提供される。
本発明の無機質粒状物によれば、第1の発明においては、粒子サイズが適切で固液分離等の取扱性が良好であるとともに、イオン交換能等の性能に優れたゼオライト構造を有する無機質粒状物であるので、環境浄化用、特に汚水中の重金属を回収するために用いることができる。第2の発明においては、メタカオリンは、カオリン鉱物を特定条件で加熱脱水することにより得られるので、その原料の汎用性が大きい。
また、上記無機質粒状物の製造方法である第3の発明においては、上記無機質粒状物を効率的に製造することができるので、その工業的価値は極めて大きい。第4の発明においては、カオリン鉱物を特定条件で加熱脱水してメタカオリンを得る工程を含むので、その原料の汎用性が大きい製造方法である。第5の発明においては、第1又は2の発明の無機質粒状物を用いるので、重金属を含有する水から重金属を高除去率で分離することができる浄化方法である。
以下、本発明の無機質粒状物、その製造方法およびそれを用いた重金属含有水の浄化方法を詳細に説明する。
本発明の無機質粒状物は、比重が1.8以下であり、かつ粒径1mm以上の割合が50重量%以上である無機質粒状物であって、メタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて得られる無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を造粒し、硬化させるか、或いは硬化させた後に粉砕するかのいずれかの手段で粒状化することを特徴とする。また、その製造方法は、メタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて無機質粉体を得る工程、該無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を得る工程、及び該無機質組成物を60℃以上で加熱硬化し粒状物を得る工程を含むことを特徴とする。
以下に、まず、本発明の製造方法を説明する。
最初に、図面を用いて、その概要を説明する。図1は、本発明の無機質粒状物の製造方法の一例を表す工程図である。図1において、まず、カオリン鉱物1を加熱脱水工程2で所定の温度で加熱して、メタカオリン3を得る。次に、メタカオリン3に機械的エネルギー作用工程4で所定の機械的エネルギーを作用させて、アルカリとの反応活性の高い無機質粉体5を得る。次いで、調製工程8で無機質粉体5に所定割合の水6とアルカリ金属珪酸塩7を加えて、無機質組成物9を得る。その後、硬化/粒状化工程10で無機質組成物9を所定温度で加熱硬化してゼオライト構造物として好適な比重と粒度を有する無機質粒状物11を得る。
以下に、本発明の製造方法を各工程に沿って詳細に説明する。
(1)加熱脱水工程
本発明において、必要に応じて、無機質粉体を得る工程に先だって、加熱脱水工程を行うことができる。上記加熱脱水工程は、カオリン鉱物を500〜900℃で加熱脱水してメタカオリンを得る工程である。
上記工程で用いるカオリン鉱物としては、特に限定されるものではなく、化学式:AlSiO(OH)で表される1:1層状珪酸塩鉱物が用いられる。具体的には、カオリナイト、デッカナイト、ナクライト、ハロイサイト等が挙げられる。
上記工程で用いる加熱温度は、500〜900℃であり、600〜800℃が好ましい。すなわち、加熱温度が500℃未満では、カオリン鉱物の水酸基が脱離しないのでメタカオリンへの変成が起こらない。一方、加熱温度が900℃を超えると、結晶化がおこりアルカリとの反応性が著しく低下するので、加熱硬化でのゼオライト構造物の生成率が下がる。
上記工程で用いる加熱時間は、特に限定されるものではなく、加熱温度が高いほど短くてよいが、5分〜10時間が好ましい。すなわち、5分未満では、メタカオリンへの変成が起こらず、一方、10時間を超えると、それ以上の効果が得られない。
上記工程で得られるメタカオリンの粒径としては、特に限定されるものではないが、次工程での機械的エネルギーの有効使用の面からは、平均粒径が0.1〜500μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましい。
(2)機械的エネルギー作用工程
上記機械的エネルギー作用工程は、上記加熱脱水工程で得られるメタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させてアルカリとの反応活性の高い無機質粉体を得る工程である。
本発明に用いるメタカオリンとしては、特に限定されるものではなく、上記加熱脱水工程で得られるもののほか、市販品であるSATINTONE SP 33(エンゲルハード社製)、METAMAX(エンゲルハード社製)等が用いられる。
上記の「機械的エネルギーを作用させる」こととは、圧縮力、せん断力、衝撃力等をメタカオリンに加えることを意味する。
上記工程の具体的手段としては、特に限定されるものではなく、一般に粉砕を目的に使用されている粉砕機が用いられる。例えば、衝撃、摩擦、圧縮、せん断等が複合した粉砕機構を有するボール媒体ミル(ボールミル、振動ミル、遊星ミル等)、媒体攪拌形ミル、ローラミル、乳鉢等、又は衝撃と摩砕が主流であるジェット粉砕機が挙げられる。
上記工程の方式としては、乾式又は湿式いずれの状態で行われてもよい。また、必要に応じて、粉砕助剤として、セメントクリンカー、珪砂、石灰石等の粉砕時に使用されるメチルアルコール等のアルコール類及びトリエタノールアミン等のエタノール・アミン類を中心とした液体系、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム等の固体系、アセトン蒸気等の気体系のものを用いることができる。
上記工程において、粉体に作用させる機械的エネルギーは、0.1〜30kW・h/kgであることが重要である。これによって、アルカリとの反応活性の高い粉体が得られる。すなわち、機械的エネルギーが0.1kW・h/kg未満では、メタカオリンの活性が上がらず、アルカリとの反応性が低い。一方、30kW・h/kgを超えると、粉砕装置への負荷が大きくなり、媒体としてのボールや容器の摩耗も激しくなるとともに、メタカオリン中への汚染(コンタミ)のほか、コスト等の生産性面で問題が生じる。なお、上記の機械的エネルギーの単位は、メタカオリンを入れて運転するときに粉砕装置に投入した電力を処理粉体の単位重量当たりで表した電力量である。
また、粉体に作用させる単位時間当たりの機械的エネルギーは、特に限定されるものではなく、0.01〜40kW・h/kg・hが好ましい。単位時間当たりの機械的エネルギーが0.01kW・h/kg・h未満では、メタカオリンの活性が上がらず、一方、40kW・h/kg・hを超えると、粉砕装置への負荷が大きくなり、媒体としてのボールや容器の摩耗も激しくなるとともに、メタカオリン中への汚染(コンタミ)のほか、コスト等の生産性面で問題が生じる。
(3)調製工程
上記調製工程は、上記機械的エネルギー作用工程で得られる無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を得る工程である。
上記アルカリ金属珪酸塩の添加量は、無機質粉体100重量部に対して、1〜300重量部であり、好ましくは1〜250重量部であり、より好ましくは10〜150重量部である。すなわち、アルカリ金属珪酸塩の添加量が1重量部未満では、無機質粉体との反応性が低くなる。一方、添加量が300重量部を超えると、次工程で得られる硬化体の機械的強度が低下する。
上記水の添加量は、無機質粉体100重量部に対して、10〜1000重量部であり、好ましくは10〜750重量部であり、より好ましくは10〜400重量部である。すなわち、水の添加量が10重量部未満では、無機質粉体と混合することが不可能となる。一方、1000重量部を超えると、次工程で得られる硬化体の機械的強度が低下する。
上記アルカリ金属珪酸塩としては、特に限定されるものではなく、組成式:MO・nSiO(M:Li、K、Na又はそれらの混合物)で表され、n=0.05〜8のものが好ましく、n=0.1〜3のものがより好ましく、0.5〜2.5のものがさらに好ましい。すなわち、nが8を超えると、アルカリ金属珪酸塩の水溶液がゲル化をおこしやすく粘度が急激に上昇するため、無機質粉体との混合が困難になる恐れがある。
上記アルカリ金属珪酸塩の無機質組成物ヘの添加においては、事前に水溶液に調製してから添加されるのが好ましい。上記アルカリ金属珪酸塩の水溶液中での濃度は、特に限定されるものではないが、1%以上が好ましく、1〜70%がより好ましい。濃度が1%未満では、無機質粉体との反応性が低下し、一方、70%を超えると、粘度が上がり製造が困難になる。
また、上記アルカリ珪酸塩水溶液の調製において、アルカリ金属珪酸塩を水に溶解してもよいが、アルカリ金属水酸化物の水溶液に、珪砂、珪石粉等のSiO成分をnが所定値になるように溶解してもよい。
上記無機質組成物には、必要に応じて、無機質充填材を添加することができる。無機質充填材としては、特に限定されるものではなく、例えば、珪砂、珪石粉、結晶質アルミナ、フライアッシュ、アルミナ、タルク、マイカ、珪藻土、雲母、岩石粉末(シラス、抗火石等)、玄武岩、長石、珪灰石、粘土、ボーキサイト、セピオライト、繊維材料等、各種鉱物等を用いることができる。また、無機質充填材として、発泡体を用いることができる。例えば、前記発泡体としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、パーライト、ヒル石、粒状発泡シリカ等が挙げられる。なお、これらの充填材の選択は、本発明の無機質粒状物の使用形態に応じて適宜行われ、無機質充填材は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
上記無機質充填材の添加量は、特に限定されるものではなく、無機質粉体100重量部に対して、700重量部以下が好ましく、50〜500重量部がより好ましい。すなわち、700重量部を超えると機械的強度が低下するためである。
また、上記無機質組成物には、必要に応じて、発泡剤を添加することができる。これによって、所望の比重を有する無機質粒状物を得ることができる。無機質粒状物の比重を小さくする方法としては、組成物中の水の混合量を多くして、硬化体を作り、得られた粒状物を乾燥してもいいが、発泡剤を使うとより簡単である。
上記発泡剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、Mg、Ca、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Si、フェロシリコン等の金属粉末と過酸化水素、過酸化曹達、過酸化カリ、過ホウ酸曹達等の過酸化物が挙げられる。この中で、特にコスト、安全性、入手の容易さ等から、Al粉末、ケイ素粉末、過酸化水素が好ましい。
上記発泡剤として金属粉末を用いる際には、金属粉末の平均粒径は、特に限定されるものではないが、1〜200μmのものが好ましい。すなわち、平均粒径が1μm未満では、無機質組成物中での分散が悪いとともに、反応性が高くなりすぎる。一方、平均粒径が200μmを超えると、反応性が低下する傾向がある。また、金属粉末の添加量は、特に限定されるものではないが、無機質粉体100重量部に対して、5重量部以下が好ましい。すなわち、添加量が5重量部を超えると、発生する発泡ガスが過剰となるために破泡する傾向がある。
上記発泡剤として過酸化物を用いる際には、水溶液濃度としては、特に限定されるものではないが、0.1〜35重量%のものが好ましい。すなわち、濃度が0.1重量%未満では、粘度が低下し発泡が安定しない。一方、濃度が35重量%を超えると、発泡が速くなりすぎて安定して発泡することができなくなる傾向がある。また、過酸化物の添加量としては、無機質粉体100重量部に対して、4重量部以下が好ましい。すなわち、添加量が4重量部を超えると、発泡ガスが過剰となるため破泡する傾向がある。
さらに、発泡剤を用いる際には、必要に応じて、発泡の際の気泡形状を調整するため、発泡助剤を添加することができる。例えば、前記発泡助剤としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、アルミナゲル等の多孔質粉体、ステアリン酸金属塩、パルミチン酸金属塩等の金属石ケン等が挙げられる。上記発泡助剤の添加量は、特に限定されるものではないが、無機質粉体100重量部に対して、5重量部以下が好ましい。すなわち、添加量が5重量部を超えると、破泡が起る等、発泡に悪影響を及ぼす傾向がある。
以上のように、上記調製工程では、無機質組成物として、上記無機質粉体とアルカリ金属珪酸塩水溶液と、必要に応じて、発泡剤、発泡助剤、無機質充填材等を添加し混練した混合物が得られる。
(4)硬化/粒状化工程
上記硬化/粒状化工程は、上記調製工程で得られる無機質組成物を用いて、無機質粒状物を得る工程である。
上記硬化/粒状化工程で用いる処理方法としては、特に限定されるものではなく、上記無機質組成物から粒状物を製造する種々の方法が用いられる。例えば、硬化工程に先だって、上記無機質組成物を所定の粒径に造粒し、硬化工程で造粒物を加熱硬化して所定の粒度の無機質粒状物を得る方法を行うことができる。この方法においては、粒状化方法として、造粒を用いるので、硬化体の粉砕工程は用いなくてもよい。
また、別の方法として、まず、硬化工程において上記無機質組成物を注型法、プレス法、押出成形法等の公知の方法により板状等の所望の形状に成形した後、加熱硬化し、次いで、粉砕工程において粉砕機を用いて所望の粒度に粉砕し、必要に応じて分級する方法を採用することができる。
上記硬化工程での加熱硬化の条件としては、特に限定されるものではなく、無機質組成物を60℃以上に、好ましくは75〜100℃の範囲に加熱養生して硬化体を得るものが好ましい。すなわち、加熱温度が60℃未満では、ゼオライトの生成率が低くなる。
上記硬化体の粉砕工程で用いる粉砕機としては、特に限定されるものではなく、一般に中砕機と呼ばれる粒状のものを得る装置が用いられるが、例えば、ジャイレトリクラッシャ、クラッシングロール、ハンマーミル、ローラーミル等が挙げられる。また、これら中砕機で粉砕する前に、予めジョークラッシャー等の粗砕機を用いて小片に粉砕する方法も用いることができる。また、粉砕に際しては、分級しながら循環して粉砕を行う方法を採用することが効率的である。
次に、本発明の無機質粒状物を説明する。
本発明の無機質粒状物は、比重が1.8以下であり、かつ粒径1mm以上の割合が50重量%以上である無機質粒状物であって、上記製造方法を用いて得ることができるものである。
上記無機質粒状物の比重は、1.8以下である。すなわち、前述したように人工ゼオライトとしての取扱性を向上させるために粒状物にしているが、この形状であると、全体としての比表面積が小さくなり重量当たりの効果が小さくなるため、比重を小さくして、比表面積を大きくし重量当たりの効果を大きくすることが狙いである。比重が1.8を超えると、無機質粒状物の材料内部に重金属等の被対象物がほとんど入らなくなり、人工ゼオライトとしての性能が低くなってしまう。また、上記無機質粒状物の粒度は、粒径1mm以上の割合が50重量%以上である。すなわち、無機質粒状物の粒度が、これよりも細かくなると取扱性が悪くなる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた鉛除去率とろ過性(固液分離)の評価方法は、以下の通りである。
(1)鉛除去率の測定:得られた無機質粒状物5gを、鉛濃度100ppmの鉛含有水溶液500mlに入れて、マグネチックスタラーを用いて一時間撹拌後、ろ過し、ろ液の鉛濃度をICP発光分析法で分析して求めた。
(2)ろ過性の評価:目開き0.4mmのメッシュでろ過した際の粒状物を、105℃で24時間乾燥し、その重量が4.5g以上のときを、ろ過性良好とした。
また、実施例で用いた無機質粉体1及び2は、メタカオリンとして、エンゲルハード社製のSATINTONE SP 33(平均粒径3.3μm、比表面積13.9m/g)を用い、下記の方法で機械的エネルギーを作用させて得たものである。
[無機質粉体1]
ウルトラファインミル(三菱重工(株)製、AT―20)を用いて、以下の条件で、上記メタカオリンに所定の機械的エネルギーを作用させた。なお、このときの機械的エネルギー、単位時間当たりの機械的エネルギー及び無機質粉体の比表面積は、各々、0.8kW・h/kg、0.8kW・h/kg・h、及び16.2m/gであった。
使用ジルコニアボールの直径:10mm、ボール充填率:85%、メタカオリン投入量:1.7kg、粉砕助剤:トリエタノールアミン25重量%エタノール75重量%の混合物を10g添加。
[無機質粉体2]
ボールミル((株)マキノ製、BM150)を用いて、以下の条件で、上記メタカオリンに所定の機械的エネルギーを作用させた。なお、このときの機械的エネルギー、単位時間当たりの機械的エネルギー及び無機質粉体の比表面積は、各々、0.6kW・h/kg、0.05kW・h/kg・h、及び23.6m/gであった。
使用アルミナボールの直径:10mm、ボール充填率:60%、メタカオリン投入量:30kg。
また、実施例で無機質組成物の調整に用いたアルカリ金属珪酸塩は事前に所定量の水に添加して水溶液としたもので、KO:SiOがモル比で1:1.4であり、アルカリ金属珪酸塩の水溶液中での濃度が45重量%である。また、充填材としては、珪石粉(住友セメント製、ブレーン値5000cm/g)を、補強繊維としては、ビニロン繊維(クラレ(株)製、RM182、長さ3mm、径14μm)を、発泡剤としては、金属ケイ素粉末(キンセイマテック社製、平均粒径5μm)を用いた。
(実施例1)
まず、無機質粉体1の100重量部に上記アルカリ金属珪酸塩100重量部と上記発泡剤0.05重量部を添加し、オムニミキサーに供給し、5分間混合して無機質組成物を調整した。次に、前記無機質組成物を150×50×10mmの型枠内に注入し、その後、型枠をオーブン内に入れ、85℃で1時間養生硬化させて、型枠形状の硬化体を得た。最後に、この硬化体を粉砕機としてロールミルを用いて粉砕し、篩で分級し、所望の粒度の無機質粒状物を得た。その後、得られた無機質粒状物の鉛除去率とろ過性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、無機質粒状物の粒度と比重も同時に表1に示す。
(実施例2)
無機質粉体として、無機質粉体2を用いた以外は、実施例1と同様に行い、得られた無機質粒状物の鉛除去率とろ過性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、無機質粒状物の粒度と比重も同時に表1に示す。
(実施例3)
上記アルカリ金属珪酸塩の添加量が150重量部であること、さらに、添加物として、上記充填剤を200重量部、上記補強繊維を1重量部、及び上記発泡助剤0.5重量部を添加したこと以外は、実施例1と同様に行い、得られた無機質粒状物の鉛除去率とろ過性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、無機質粒状物の粒度と比重も同時に表1に示す。
(実施例4)
まず、無機質粉体1の100重量部に上記アルカリ金属珪酸塩40重量部、上記充填剤50重量部及び補強繊維1重量部を添加し、オムニミキサーに供給し、5分間混合して無機質組成物を調整した。次に、造粒機を用いて、所望の粒度の無機質組成物を得た。次いで、造粒物をオーブン内に入れ、85℃で1時間養生硬化させて、無機質粒状物を得た。その後、得られた無機質粒状物の鉛除去率とろ過性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、無機質粒状物の粒度と比重も同時に表1に示す。
(実施例5)
粉砕機としてクラッシャーを用いたこと以外は、実施例3と同様に行い、得られた無機質粒状物の鉛除去率とろ過性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、無機質粒状物の粒度と比重も同時に表1に示す。
(比較例1)
天然ゼオライトを粉砕し、所定粒度のものの鉛除去率とろ過性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、無機質粒状物の粒度と比重も同時に表1に示す。
(比較例2)
石炭灰から製造したCa型人工ゼオライト(中部電力製、平均粒径10〜30μm)を用いて、鉛除去率とろ過性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、無機質粒状物の粒度と比重も同時に表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5では、用いた無機質粉体、無機質組成物、硬化体及び無機質粒状物の製造で、本発明の方法に従って行われたので、ゼオライトとして良好な鉛除去率とろ過性が得られることが分かる。これに対して、比較例1又は2では、粒度又は比重がこれらの条件に合わないので、ゼオライトとして鉛除去率又はろ過性のいずれかによって満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の無機質粒状物とその製造方法は、環境浄化用の、特に重金属を含有する水の浄化用に利用されるゼオライト構造を有する無機質粒状物とその製造方法として好適である。特に、人工ゼオライトの性能と取扱性を解決する方法として有用である。
本発明の無機質粒状物の製造方法の一例を表す工程図である。
符号の説明
1 カオリン鉱物
2 加熱脱水工程
3 メタカオリン
4 機械的エネルギー作用工程
5 無機質粉体
6 水
7 アルカリ金属珪酸塩
8 調製工程
9 無機質組成物
10 硬化/粒状化工程
11 無機質粒状物

Claims (5)

  1. 比重が1.8以下であり、かつ粒径1mm以上の割合が50重量%以上である無機質粒状物であって、
    メタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて得られる無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を造粒し、硬化させるか、或いは硬化させた後に粉砕するかのいずれかの手段で粒状化することを特徴とする無機質粒状物。
  2. 前記メタカオリンは、カオリン鉱物を500〜900℃で加熱脱水することにより得られることを特徴とする請求項1に記載の無機質粒状物。
  3. メタカオリンに0.1〜30kW・h/kgの機械的エネルギーを作用させて無機質粉体を得る工程、該無機質粉体100重量部と、アルカリ金属珪酸塩1〜300重量部と、水10〜1000重量部とを含む硬化性無機質組成物を得る工程、及び該無機質組成物を60℃以上で加熱硬化し粒状物を得る工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の無機質粒状物の製造方法。
  4. さらに、前記無機質粉体を得る工程に先だって、カオリン鉱物を500〜900℃で加熱脱水してメタカオリンを得る工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の無機質粒状物の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の無機質粒状物を用いてなる重金属含有水の浄化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009128490A1 (ja) * 2008-04-16 2009-10-22 株式会社Azmec 有害物質の不溶化剤、有害物質の不溶化方法及び水処理方法
WO2011042592A1 (en) * 2009-10-05 2011-04-14 Kainuun Etu Oy Method for utilizing kaoline and metakaoline in water purifying process
JP2014028728A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Maeda Corp ジオポリマー組成物を用いたイオン交換体、当該イオン交換体の作製方法及び当該イオン交換体を用いたイオン交換ブロック

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