JP2005335124A - 型内被覆成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明によれば、樹脂成形品と固着しないシートによって被覆しない部分をカバーして、型内被服成形を行うことにより被覆する部分と被覆しない部分の境界が明確な型内被覆成形品を成形する。
また、樹脂成形品に直接固着しない塗料を用いて部分被覆する場合に、樹脂成形品と塗料の両方に固着するシートを、被覆する部分に配して型内被服成形を行うことにより、被覆する部分と被覆しない部分の境界が明確な型内被覆成形品を成形する。
さらに、樹脂成形品と固着して塗料と固着しないシートを、被覆しない部分に配して、型内被服成形を行い、該金型より樹脂成形品を取り出した後、該シートに付着した被覆膜を剥離させることによって、被覆する部分と被覆しない部分の境界が明確な型内被覆成形品を成形する。
【選択図】 図1
Description
前記型内被覆成形方法の1例を図5(2)のフローチャートを用いて以下簡略に説明する。図5(2)に示した従来の型内被覆成形方法は、熱可塑性樹脂を基材として金型内で射出成形した後、金型をわずかに開いた状態とする。金型をわずかに開くことにより型内で成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に隙間が生じるので、該隙間に塗料注入機を使用して塗料を注入する。
そして、塗料注入後に金型を再度型締することにより、樹脂成形品の表面に塗料を均一に拡張させた後、金型や樹脂の持つ熱を利用して塗料を硬化させ、塗料が硬化した後に、金型を開いて塗料で被覆した樹脂成形品を金型より取り出す。
また、他の型内被覆成形方法として、図5(1)に示すように塗料注入時に金型を開かない型内被覆成形方法が公知である。
そのため、特に、外観に対して高い品質が要求される自動車用の部品、例えば、バンパー、ドア、ドアミラーカバー、フェンダー等多くの部品には、前記型内被覆成形方法の利用が検討されている。
しかし、実際に型内被覆成形を行なう場合には、必要な部位にのみ部分的に被覆(部分被覆することもある)を施せば良い場合が多く、部分被覆を前提とした型内被覆成形方法と金型構造の開発も一部になされている。部分被覆ができる型内被覆成形方法としては、特許文献1に例を示めすような技術が公知である。
また、前記型内被覆塗装方法によって得られた部分被覆成形品は、被覆部分と被覆していない部分の境界が明確であって、優れた品質のものである。
(1) 固定型と可動型により形成される金型キャビティを有し、該金型キャビティで成形される樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用の金型を用いて、該金型を型閉する前に、塗料注入機を配した金型キャビティ面側で、該樹脂成形品の被覆しない部分を成形する金型キャビティ部分に、樹脂成形品と固着しないシートを配する第1の工程、該シートを金型キャビティに配した状態で該金型を型閉する第2の工程、該金型キャビティに樹脂を射出充填する第3の工程、該射出充填した樹脂を冷却収縮させることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程、及び被覆後の樹脂成形品を金型から取り出す第6の工程を備えて、該第1の工程から第6の工程までを順次行なう樹脂の型内被覆成形方法であって、該金型より樹脂成形品を取り出した後、該樹脂成形品からシートを離間させた。
該金型を型閉する前に、該該樹脂成形品の被覆する部分を成形する金型キャビティ部分に、樹脂成形品と固着して塗料と固着するシートを配する第1の工程、該シートを金型キャビティに配した状態で該金型を型閉する第2の工程、該金型キャビティに樹脂を射出充填する第3の工程、該射出充填した樹脂を冷却収縮させることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程、及び被覆後の樹脂成形品を金型から取り出す第6の工程を備えて、該第1の工程から第6の工程までを順次行なう樹脂の型内被覆成形方法であって、該金型より樹脂成形品を取り出した後、該樹脂成形品に付着した被覆膜を剥離させた。
該金型を型閉する前に、塗料注入機を配した金型キャビティ面側で、該該樹脂成形品の被覆しない部分を成形する金型キャビティ部分に、樹脂成形品と固着して塗料と固着しないシートを配する第1の工程、該シートを金型キャビティに配した状態で該金型を型閉する第2の工程、該金型キャビティに樹脂を射出充填する第3の工程、該射出充填した樹脂を冷却収縮させることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程、及び被覆後の樹脂成形品を金型から取り出す第6の工程を備えて、該第1の工程から第6の工程までを順次行なう樹脂の型内被覆成形方法であって、該金型より樹脂成形品を取り出した後、該シートに付着した被覆膜を剥離した。
図1〜図4は本発明の実施形態に係わり、図1は樹脂成形品とシートの関係による被覆状況の違いを説明する概念図である。
図2は本発明の実施形態に用いた金型の構造を説明する要部断面図である。
図3は本実施形態の方法によって部分被覆する際における樹脂、塗料、及びシートの挙動を説明するための概念図であり、図4は本実施形態による型内被覆成形方法の工程を説明するためのフローチャートである。
図2に示した金型100は、可動型10、固定型20、及び塗料注入機50等を備えており、可動型10と固定型20に形成したそれぞれの金型キャビティ面を対向するように組合わせて型締めすることによって、金型100内に所望する形状の金型キャビティ15を形成する構造となっている。
ここで、該くいきり構造の嵌合部(くいきり部と称することもある)は金型キャビティ15の全周にわたって形成されており、金型100はくいきり部にて金型キャビティ15に充填した樹脂Jや、塗料T(被覆膜Tと称することもある)が、金型100から漏れ出すことを防止することができる。
また、本実施形態で用いた金型100が備えるくいきり構造とは、その構成の説明から明らかなように、一般的にシェアエッジ構造と称されている金型構造を含むものであることは説明するまでもない。
本実施の形態における塗料注入機50は、可動型10に取り付けられて、可動型10の金型キャビティ面に配設された塗料注入口51より金型キャビティ15内に塗料Tを注入することができるよう構成されている。
また、塗料注入機50の塗料注入口51には図示しないバルブが取りつけられており、型内被覆成形品の基材となる樹脂成形品を形成する樹脂Jの射出成形時においては、該バルブが閉じられていることにより、金型100の金型キャビティ15内に射出された樹脂Jが、塗料注入口51より塗料注入機50内に進入することを防止している。
なお、本実施の形態における塗料注入機50は、可動型10側の金型キャビティ面より塗料Tを注入するよう構成したが、これに限るものではなく、金型キャビティ15内で成形した樹脂成形品の被覆したい側の表面と、金型キャビティ面との間に生じた空隙部分に塗料を注入できるよう構成すれば良く、その条件を満たせば塗料注入機50は固定型20に取りつけられる等しても良い。
詳細は後述するが、本発明の特徴的な点は、樹脂成形品の被覆面側を形成する金型キャビティ面において樹脂成形品を被覆する部分、あるいは被覆しない部分を形成する金型キャビティ面部分に予めシートSを配した状態で、樹脂成形品を成形することにある。
そして、前述した金型キャビティ面部分にシートSを配した状態で樹脂成形品を成形することによって、成形した樹脂成形品の表面を部分的にシートで覆った状態とし、その状態で、塗料Tを金型キャビティ15内に注入することによって、型内被覆成形品の被覆状態を制御する。
型内被覆成形品の被覆状態は、金型キャビティ15内に配するシートSの種類、型内被覆成形品の基材である樹脂成形品を成形する樹脂Jの種類、また、塗料として注入する塗料Tの種類を適宜選択することによって、(A)基材とシートSが固着せず、基材と塗料Tが固着する組み合わせ、(B)基材とシートSが固着し、シートSと塗料Tが固着し、基材と塗料Tが固着しない組み合わせ、(C)基材とシートSが固着し、シートSと塗料Tが固着せず、基材と塗料Tが固着する組み合わせ、のタイプを作り出すことによって、樹脂成形品の表面をそれぞれ異なった状態で部分被覆する。
また、ABS/PPは、ABSシートとPPシートが重ねられて2層になった多層シートであり、ABS/不織布は、ABSシートと不織布が重ねられて2層になった多層シートであり、PA/ABSは、PAシートとABSシートが重ねられて2層になった多層シートである。ABS用の塗料は、大日本塗料社製のプラグラス#8000である。
また、成形の際に溶融した樹脂JがシートSに接触する可能性があるため、樹脂Jの溶融温度で損傷しないシートSを選定することが好ましい。
なお、以下に説明する実施形態は樹脂Jの射出充填時に金型を開かない所謂通常の射出成形方法を利用したものであるが、本発明に適応できる樹脂の射出充填時における成形方法はこれに限らず、射出プレス成形方法、又射出圧縮成形方法であっても良く、特に限定されない。
ただし、本発明においては、後述する塗料注入のための隙間を形成する工程の際において、シートSが金型キャビティ面に付着せず、基材に付着する必要がある。
従って、シートSに接着剤を塗布する方法は、接着剤の種類と塗布する量によって、後の工程の妨げとなる可能性があるため、注意の必要がある。
また、真空吸引によるシートSの配設方法は、真空吸引用の穴から、塗料Tが漏れ出さないようバルブなどを配して注意する必要がある。
そして、第2の工程で金型100を型締めした後、第3の工程に進み、図3(4)に示したように基材である樹脂Jを金型キャビティ内に射出する。
また、基材を金型キャビティ内で冷却した際に生じる熱収縮により金型キャビティ面と基材との間に塗料注入用の空隙を形成した場合において、基材を形成する樹脂Jの種類や形状(主に樹脂成形品の肉厚)により、塗料Tを注入するために必要な空隙の寸法が確保できない場合がある。
そのような場合においては、第4の工程で、金型100をわずかに開いても樹脂成形品の形状が壊れない程度まで冷却してから可動型10を反固定型20側の方向に移動させて、金型100をわずかに型開することによって、塗料を注入するための空隙を確保することが好ましい。
なお、金型100をわずかに型開した場合においては、後述する塗料Tの注入中、あるいは注入後に金型100を再度型締めして、塗料Tを被覆面全体に行きわたらせることが好ましい。
本実施形態においては、前記隙間を生じさせた後、塗料注入機50によって塗料注入口51から前記隙間に対して塗料を5ml(ミリリットル)注入した。
また、第1の実施形態で用いた金型で成形する成形品の被覆表面積は500cm2であり、被覆膜の厚みは0.1mm程度となる。
この際に取り出された型内被覆成形品は、図1(A)にその要部断面図を示したように、基材、シートS、及び被覆T(塗料Tが硬化したもの)が組み合わされたものとなる。
そして、取り出した型内被覆成形品から、固着しないシートSを取り外すことによって、シートSで覆われた部分が被覆されていない型内被覆成形品が完成する。
なお、以下に説明する第2実施形態は、基材の被覆したい面にシートSを配した状態で、金型キャビティ内に樹脂を充填する点において、第1の実施形態と構成が異なっている。
第1実施形態で基材を成形する樹脂Jはポリプロピレン樹脂(三井化学社製)であり、シートSはABS/PPによる2層構造のシートSであり、塗料Tはプラグラス#8000:赤(大日本塗料株式会社製)である。
そして、取り出した型内被覆成形品から、固着していない被覆膜Tを除去することによって、シートSで覆われた部分が被覆されている型内被覆成形品が完成する。
第1実施形態で基材を成形する樹脂Jはポリアミド樹脂(宇部興産社製)であり、シートSはABS/不織布による2層構造のシートSであり、塗料Tはプラグラス#8000:赤(大日本塗料株式会社製)である。
この方法により成形された型内被覆成形品は、図1(C)にその要部断面図を示すように、基材、シートS、被覆Tが組み合わされたものとなる。
そして、取り出した型内被覆成形品において、シートSに固着していない被覆膜Tを除去することによって、シートSで覆われた部分が被覆されない型内被覆成形品が完成する。
そして、型内被覆成形方法に用いる射出成形用熱可塑性の樹脂Jは、通常その溶融温度が高いもので250℃前後であり、化学繊維以外で作られた不織布は、一般的に250℃程度の温度では損傷しないので、成形の際に損傷しにくいという点で優れている。
溶融した樹脂Jが布目に差込んで剥離しなくなるかどうかどうかは、布の厚み、布を形成する繊維の太さ等に影響されるとともに、樹脂成形品の形状、射出成形時の射出圧力、溶融した樹脂Jの温度等に影響される。
そのため、種類の違う不織布をトライアンドエラーでテストして見ることにより、成形に用いることが出来る不織布を選定することが実務上においては効率的である。
しかし、本発明に適応できる塗料注入時の金型の動作はこれに限るものではなく、他の方法であっても良く、例えば、金型を型締めする型締力より塗料注入圧力を高めることにより樹脂成形品と金型キャビティ面との間に塗料を注入する方法といった他の方法等を利用しても良い。
15 金型キャビティ
10 可動型
20 固定型
50 塗料注入機
100 型内被覆成形用金型
J 樹脂
S シート
T 塗料(乾燥硬化後は被覆膜)
Claims (4)
- 固定型と可動型により形成される金型キャビティを有し、該金型キャビティで成形される樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用の金型を用いて、該金型を型閉する前に、塗料注入機を配した金型キャビティ面側で、該樹脂成形品の被覆しない部分を成形する金型キャビティ部分に、樹脂成形品と固着しないシートを配する第1の工程、該シートを金型キャビティに配した状態で該金型を型閉する第2の工程、該金型キャビティに樹脂を射出充填する第3の工程、該射出充填した樹脂を冷却収縮させることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程、及び被覆後の樹脂成形品を金型から取り出す第6の工程を備えて、該第1の工程から第6の工程までを順次行なう樹脂の型内被覆成形方法であって、
該金型より樹脂成形品を取り出した後、該樹脂成形品からシートを離間させることを特徴とする樹脂の型内被覆成形方法。 - 固定型と可動型により形成される金型キャビティを有し、該金型キャビティで成形される樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用の金型を用いて、該樹脂成形品に直接固着しない塗料によって型内被覆成形する際において、
該金型を型閉する前に、該樹脂成形品の被覆する部分を成形する金型キャビティ部分に、樹脂成形品と固着して塗料と固着するシートを配する第1の工程、
該シートを金型キャビティに配した状態で該金型を型閉する第2の工程、該金型キャビティに樹脂を射出充填する第3の工程、該射出充填した樹脂を冷却収縮させることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程、及び被覆後の樹脂成形品を金型から取り出す第6の工程を備えて、該第1の工程から第6の工程までを順次行なう樹脂の型内被覆成形方法であって、
該金型より樹脂成形品を取り出した後、該樹脂成形品に付着した被覆膜を剥離させることを特徴とする樹脂の型内被覆成形方法。 - 固定型と可動型により形成される金型キャビティを有し、該金型キャビティで成形される樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用の金型を用いて、該樹脂成形品に直接固着する塗料によって型内被覆成形する際において、
該金型を型閉する前に、塗料注入機を配した金型キャビティ面側で、該樹脂成形品の被覆しない部分を成形する金型キャビティ部分に、樹脂成形品と固着して塗料と固着しないシートを配する第1の工程、
該シートを金型キャビティに配した状態で該金型を型閉する第2の工程、該金型キャビティに樹脂を射出充填する第3の工程、該射出充填した樹脂を冷却収縮させることにより該金型キャビティで成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に空隙を生じさせる第4の工程、該空隙に塗料を注入して樹脂成形品を被覆する第5の工程、及び被覆後の樹脂成形品を金型から取り出す第6の工程を備えて、該第1の工程から第6の工程までを順次行なう樹脂の型内被覆成形方法であって、
該金型より樹脂成形品を取り出した後、該シートに付着した被覆膜を剥離させることを特徴とする樹脂の型内被覆成形方法。 - 前記第4の工程において、金型キャビティで成形した樹脂成形品が型開しても形状を保持できるまで冷却した後、金型をわずかに開いて樹脂成形品と金型キャビティ面との間に空隙を形成するとともに、
前記第5の工程において、該空隙に塗料を注入した後、再度金型を型締めして樹脂成形品を被覆する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の型内被覆成形方法。
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