JP2005331040A - ガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パイプによる荷役が容易であるガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法を提供する。
【解決手段】メタンや天然ガスなどの炭化水素ガスと水とを反応させ、生成したガスハイドレートを輸送及び貯蔵する方法である。前記ガスハイドレートaをペレット状に成形後、シリコンオイルや灯油などの動粘性係数0.5〜5cSt のスラリー母液bに混合させてスラリー化する。スラリー化したガスハイドレートを大気圧にて、−15℃〜−10℃を中心とし、高温及び低温側に夫々5℃の範囲の低温度を保持して輸送及び貯蔵する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、メタンや天然ガスなどの炭化水素ガスを水と反応させてガスハイドレートを生成し、このガスハイドレートをスラリー母液と混合して輸送及び貯蔵する技術に関するものである。
ガスハイドレートは、低温及び高圧条件下で安定である。従って、ガスハイドレートの分解を抑制するには、氷点(0℃)以上の温度域では、大気圧以上に加圧が必要である。
他方、大気圧以下では、(1)、(4)の例のように、氷点よりも低温にすることが求められる。
また、ガスハイドレートは、(2)、(3)の例のように、自己保存効果(氷点下で分解が非線形的に遅くなる現象をいう。)があり、その効果を利用した技術が提案されている。
例えば、
(1) 分解ガスエネルギーと冷凍エネルギーとの兼ね合いからガスハイドレートを、ガス中で、−30℃〜0℃に保管する技術(例えば、特許文献1参照。)
(2) 自己保存効果を有効に発揮させるため、ガスハイドレート粒子を0.5mm以上に分級し、且つ、18〜36時間程度養生する技術(例えば、特許文献2参照。)
(3) ガスハイドレート生成水に分解抑制剤を添加する方法(例えば、特許文献3参照。)
(4) 冷却された石油相(油井からの生成物から気相を除去した油分(原油))とガスハイドレートとを混合してスラリー化し、このスラリーを大気圧に近い圧力で、且つ、0℃未満、好ましくは、−5℃〜−10℃で輸送する方法(例えば、特許文献4参照。)などが提案されている。
特開2003−343798号公報(第3頁、図4) 特開2003−287199号公報(第5頁、図6,図7) 特開2004−2754号公報(第6−10頁) 特表平11−506073号公報(第9頁、図1、図2)
しかし、ガスハイドレートを、ガス中で、−30℃〜0℃に保管する場合は、冷凍動力が嵩む。例えば、プロパン冷凍サイクル(凝縮温度30℃、吸込加熱度及び凝縮器過冷却度0℃、圧縮機効率75%)とすると、保存温度が−20℃の場合、冷凍動力が105kJ/kgとなる。
また、自己保存効果を有効に発揮させるため、ガスハイドレート粒子を0.5mm以上に分級し、且つ、18〜36時間程度養生する場合は、養成に18〜36時間が必要であるから、出荷などに支障がでる恐れがある。
また、ガスハイドレート生成水に分解抑制剤を添加する方法は、薬剤費が余分にかかると共に、分解抑制剤の分離、換言すれば、ガスハイドレート母液水の浄化が面倒になるという問題がある。
また、特許文献4に記載されたガスハイドレートの輸送方法は、スラリー母液として油井からの生成物から気相を除去した油分(原油)を使用するとともに、0℃未満、好ましくは、−5℃〜−10℃の低温で輸送するものであるが、温度を下げ過ぎると、ガスハイドレートの分解が促進され、安定な状態で輸送や貯蔵を行うことができないという問題があった。そして、原油をスラリー母液とすることからスラリーの粘度が高くなり、スラリーの流動性が大幅に低下し、パイプによる荷役が極めて困難になる。
また、荷役時に、スラリー母液である上記油分(原油)によって荷役用の機器が汚染される恐れがあり、取り扱いが非常に難しいという問題もある。
また、輸入基地において、ガスハイドレートを加熱して再ガス化する場合、再ガス化時に生じたガスハイドレート生成水と、スラリー母液である油分(原油)とが反応してエマルジョン化し、燃料に利用できない恐れもある。
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、パイプによる荷役が容易であるガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、スラリー母液の再利用が可能であると共に、スラリー母液を燃料としても利用することができるガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討した結果、ガスハイドレートをスラリー化する際に、スラリー母液にシリコンオイルや灯油などの粘性の低い母液を使用するとともに、スラリー化したガスハイドレートをある特定の温度範囲に保持して輸送及び貯蔵した場合には、スラリーの流動性を維持し、ガスハイドレートの分解を著しく抑制することができることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、次のように構成を採用するものである。
請求項1に記載の発明に係るガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法は、メタンや天然ガスなどの炭化水素ガスと水とを反応させ、生成したガスハイドレートを輸送及び貯蔵するに際し、前記ガスハイドレートをペレット状に成形後、シリコンオイルや灯油などの動粘性係数0.5〜5cSt のスラリー母液に混合させてスラリー化し、スラリー化したガスハイドレートを大気圧にて、−15℃〜−10℃を中心とし、高温及び低温側に夫々5℃の範囲の低温度を保持して輸送及び貯蔵することを特徴とするガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法である。
ここで、スラリー母液としては、シリコンオイル又は灯油が望ましい。その上、スラリー母液として、シリコンオイルを選択した時は、スラリー温度を、−17℃〜−10℃に保持することが望ましい。他方、スラリー母液として、灯油を選択した時は、スラリー温度を、−15℃〜−7℃に保持することが望ましい。
上記のように、本発明に係るガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法は、メタンや天然ガスなどの炭化水素ガスと水とを反応させ、生成したガスハイドレートを輸送及び貯蔵するに際し、前記ガスハイドレートをペレット状に成形後、シリコンオイルや灯油などの動粘性係数0.5〜5cSt のスラリー母液に混合させてスラリー化し、スラリー化したガスハイドレートを大気圧にて、−15℃〜−10℃を中心とし、高温及び低温側に夫々5℃の範囲の低温度を保持して輸送及び貯蔵することにより、スラリーの流動性を維持し、ガスハイドレートの分解を著しく抑制することができる。
したがって、パイプなどによるガスハイドレートの移送を可能とし、ガスハイドレートの分解を防止し、ガスハイドレートを安定、かつ、効果的に輸送及び貯蔵することができる。
また、本発明によれば、ガスハイドレートを加熱して再ガス化する場合、再ガス化時に生じたガスハイドレート生成水によってスラリー母液であるシリコンオイルや灯油がエマルジョン化しないため、シリコンオイルや灯油をスラリー母液として再利用することができる。また、灯油は、燃料としても利用することができる。
更に、スラリー母液であるシリコンオイルや灯油は、荷役用の機器を汚染しないため、油井からの生成物からガスを除去した油分(原油)に比べ、取り扱い易いという利点がある。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1に示すように、ガスハイドレート生成器1に供給された天然ガスgと水wとは、その内で反応し、天然ガスハイドレートaとなる。その際、図示しない冷凍機によって反応熱(生成熱)を除去することが望ましい。
この天然ガスハイドレートaは、図示しない脱水器で脱水後、造粒装置2によって所定の大きさ(例えば、直径3〜100mm程度)のペレットpに形成される。このペレットpは、混合器3に供給され、そこで、冷却器4によって、予め、所定の温度(例えば、−17℃〜−10℃)に冷却されたシリコンオイルbと混合し、スラリーsとなる。このスラリーsは、一旦、貯槽5に貯蔵された後、船積みされ、輸送される。
船積み後、スラリー母液であるシリコンオイルbは、船倉から除去されるが、船倉内では、ペレットの隙間にシリコンオイルbが残留する程度が望ましい。その理由は、ペレットpに作用する圧密が防止され、ペレットpの氷結防止が期待できるからである。また、荷揚げの際の再スラリー化が容易になるからである。
一方、輸送先では、図2に示すように、ペレットpは、一旦、貯槽11に貯蔵される。荷揚げの際、ペレットpを再スラリー化するため、シリコンオイルbが付加される。その後、ペレットpは、分解槽12に導入される。この分解槽12には、加熱器13によって加熱された加熱水cが供給されので、ペレットpが融解する。
ペレットの融解物dは、気液分離槽14に導入され、天然ガスgと液分eに分離する。は、天然ガスgは、配管15を通って需要先に供給される。一方、液分eは、分離槽16に導入され、水wとシリコンオイルbとに分離される。シリコンオイルbは、船積みされ、スラリー母液として再使用される。また、水wの一部は、ガスハイドレートの融解に使用するため、貯槽17に貯蔵される。残りの水wは、貯槽18に貯蔵された後、ガスハイドレート生成水として船積みされる。
ここで、輸送及び貯蔵中の温度は、大気圧のもとで、−17℃〜−7℃に保持される。特に、スラリー母液としてシリコンオイルを選択した時は、−17℃〜−10℃に保持される。他方、スラリー母液として灯油を選択した時は、ペレットpを、大気圧のもとで、−15℃〜−7℃に保持する。
上記の輸送及び貯蔵中の温度が−7℃を超える場合には、ペレットが融解し易くなる。他方、輸送及び貯蔵中の温度が−17℃未満の場合には、−7℃を超える場合と同様に、ペレットが融解し易くなる。
(実施例)
(1)ガスハイドレート試料の製作方法
氷粒とメタンガスから、固−気界面接触法によりパウダー状の高純度ハイドレート試料を合成した。
合成装置は、高圧容器、圧力制御部、温度制御部から構成される。高圧容器は、SUS316製、耐圧20MPa、内容積400mlである。温度制御部は、恒温槽に温度コントローラを設置しており、精度約±0.5℃で温度制御が可能である。圧力制御部は、混合ガスなどの各種ガスボンベ、圧力測定器、モーター部からなり、加圧状態のままガス管の回転が可能なスイベルをモーター部に設置している。高圧容器は、モーターにより回転し、中の試料を攪拌することで、合成の効率を向上させる仕組みとなっている。
予め、高圧容器と、攪拌促進のためのロッドを液体窒素により冷却しておく。高圧容器に氷粒15gとロッドを入れ、密閉する。高圧容器を恒温槽内部に設置し、温度が安定するまで半日ほど放置する。温度が安定したら純メタン(純度99.9%)で加圧する。
合成の温度及び圧力は、夫々、−2℃、10MPaである。得られたパウダー状ハイドレート試料をステンレス製の圧縮型枠に入れ、ペレット状の固形試料を作成した。成形されたペレットのうち、直径約12mm、高さ約6mmの円筒形で、質量が0.49〜0.51gのものを選択して試料とした。

(2)溶液
実験に用いた溶液は、シリコンオイル(SO)、灯油である。それぞれの物理化学的性状を表1及び表2に示す。なお、表1は輸送及び貯蔵により適した粘性を有するSO(KF-96L-5CS、Shin-Etsu Chemical Co.Ltd.)のデータを示している。
Figure 2005331040
Figure 2005331040
(3)実験方法
実験装置の反応容器は、設計圧力15MPa、内容積2mlのステンレス製容器で、観測のためのガラス窓と、それを保持するカバーを設けている。また、反応容器にはガスの注入、排出管と、液体の注入、排出管が設けてある。温度制御用のサーモ・モジュールには熱交換媒体としてエタノールを循環させており、測温抵抗体を用いて反応容器本体の温度を制御している。
液体の注入管は、液体用のセルにつながっている。液体用のセルは、設計圧力20MPa、内容積200mlのステンレス製であり、フランジ状のカバーを取り外すことで液体の出し入れができる。容器のカバーには、液体の出入口が1箇所、ガス排出口が1箇所、ピストンシリンダーからのガスの出入口が1箇所設けてある。ピストンシリンダーには、 圧力センサと電磁弁が設置してあり、コントローラによってシリンダー駆動用の窒素ガスを出し入れすることで、混合ガスを液体用のセルに送り込み、耐圧セルに任意の圧力で液体を注入、排出することができる。
また、液体用のセルは、エタノールを満たした恒温槽に浸かっており、ヒーターとクーラーによって液体の温度を任意にコントロールすることができる。ガスの排出管には、ガス量計(CR-700,Kojima Instrumennts Inc.)を設置しており、分解により発生するガスの瞬時値を記録する。温度、圧力センサなどは、夫々、制御のフィードバックなどに利用され、数値が計測される。
手順は、以下の通りである。予め、液体用セル中のエチレングリコール、シリコンオイル、灯油と反応容器を実験の温度条件に保っておく。ペレットを分解しないように液体窒素で冷却しながら、反応容器内に設置する。反応容器とサンプルの温度が、実験の温度で安定するまで、30分程度放置する。温度が安定したら、反応容器とガス排出管のバルブと、反応容器と液体用セル間のバルブを操作し、反応容器内部の圧力を実験の圧力条件まで下げ、同時に、液体を反応容器内部に導入する。
分解の様子は、目視により観察され、ビデオに記録される。分解の開始、すなわち、圧力条件を変化させ、減圧操作を行なってから、ペレットが完全に消失するまでの時間を測定した。また、分解により発生したガスをガス量計により測定した。ガスハイドレートの分解反応は、固体であるハイドレートから、水とガスへの相転移反応であるため、分解により発生するガス量は、ハイドレートの分解量と見做すことができる。
(4)ガス、シリコンオイル、エチレングリコール中の分解挙動比較
氷点下におけるメタンガス、エチレングリコール、シリコンオイル中のメタンハイドレート分解状態を観察した。メタンガスおよびシリコンオイルの場合は、分解反応の間、試料の変化はなく、初期の状態を保っていた。氷点下の温度条件においては、分解反応によって発生した水分子は氷となるため、MH試料表面に大きな変化は現れなかった。
一方、エチレングリコールの場合は、氷点下でもあるにもかかわらず、氷点以上の温度領域と同様に分解反応に伴って試料が小さくなり、最終的には完全に固体が消失する様子が観察された。すなわち、エチレングリコール中においては、自己保存効果が有効に働かないことが観察された。
次に、氷点下におけるメタンガス、エチレングリコール、シリコンオイル中の夫々の環境下における分解量の時間変化を図3に示す。分解量は、初期のMH量を1として、残存しているMH量の割合で示した。温度はいずれの場合も−10℃、圧力は大気圧である。図3より、周囲がメタンガス雰囲気の場合に比べて、シリコンオイルの場合は、分解が非常に遅いことが明らかである。
一方、エチレングリコールの場合は、150sec程度でほぼ全量分解しており、ガスに比べて2倍程度分解が速いことが明らかになった。
以上のことから、シリコンオイル中においては、自己保存効果が有効に働き、一方、エチレングリコール中においては、自己保存効果の影響がないか、若しくは、かなり小さいことが明らかとなった。
(5)シリコンオイル中のメタンハイドレート分解挙動
シリコンオイル中において、大気圧、−10℃の温度条件でメタンハイドレート分解させ、分解量の測定、及び分解挙動の観察を行なった。分解開始直後は、ペレット表面に分解により発生する気泡が数多く観察されることにより、非常に速やかに分解反応が進行する。
氷点下の温度条件においては、分解によって発生した水は氷となるため、ペレットに固体として止まる。そのため、分解反応の間、気泡は発生するものの、目視では、ペレットの形状に変化は観られなかった。時間の経過と共に分解速度は徐々に遅くなり、40000sec経過したところで、ほとんど分解が進行しない定常状態になった。
この状態においては、ペレット表面に気泡は、ほとんど観測されなかった。また、形状は、初期状態のままを保っていた。次に、70000sec経過したところで、セルの温度を氷点以上(2℃)に昇温した。すると、ペレットは、盛大な気泡を発生させつつ、徐々に小さくなり、残存していたハイドレートと氷とが完全に分解した。
次に、同様の実験で温度を6℃から−20℃まで変化させて分解量データを取得した結果を図4に示す。
図4より、氷点以上(6℃、2℃)においては、分解速度が非常に速く、氷点以下になるにしたがって遅くなる傾向が明らかである。
−2℃においては、10000sec程度でほとんどのハイドレートが分解したが、−4℃、−6℃では、70000sec経過後も若干のハイドレートが残存していた。−10℃、−15℃では、分解速度はさらに遅くなり、70000sec後であっても約40%程度のハイドレートが残存していた。非常に興味深いことに、−20℃まで温度を下げると、分解速度は再び速くなり、より高温の温度条件(−4℃、−6℃)の場合とほぼ同様の結果が得られた。また、70000sec後のハイドレートの残存率も10%弱であり、高温の場合(−4℃、−6℃)と同様であった。
次に、ハイドレートペレットが初期の状態(分解開始時点)から50%分解するのに要した時間と温度条件についてプロットした結果を図5に示す。
温度が低下するにしたがって50%分解に要する時間が長くなり、−15℃で最長になる。更に、温度を下げると、分解速度は復活し、再び、50%分解時間が短くなる。以上の結果から、シリコンオイル中でのハイドレート分解抑制は、−17℃〜−7℃において顕著であり、特に、−15℃程度が最適条件であると考えられる。
(6)灯油中におけるメタンハイドレート分解挙動
実際の工業化を念頭に入れた場合、シリコンオイルに比べて安価で、より手に入り易い灯油を用いることが現実的である。従って、灯油中での分解現象を把握しておくことが重要である。本項では、灯油中における純メタンハイドレートの分解現象を検討した。
灯油中において、大気圧、−10℃の温度条件でメタンハイドレート分解させ、分解量の測定、及び分解挙動の観察を行なった。シリコンオイルの場合と同様に、、ペレット表面に分解により発生する気泡が数多く観察され、非常に速やかに分解反応が進行していることが分かる。
そのため、分解反応の間、気泡は発生するものの、目視では、ペレットの形状に変化は観られず、エチレングリコールの場合とは異なり、シリコンオイルの挙動に近い状態が観察された。時間の経過と共に分解速度は徐々に遅くなり、40000sec経過したところで、ほとんど分解が進行しない定常状態になった。
この状態においては、ペレット表面に気泡は、ほとんど観測されなかった。また、形状は、初期状態のままを保っていた。次に、70000sec経過したところで、セルの温度を氷点以上(2℃)に昇温した。すると、ペレットは、盛大な気泡を発生させつつ、徐々に小さくなり、残存していたハイドレートと氷とが完全に分解した。全体にシリコンオイルの場合と同様の分解現象が見られ、シリコンオイルと同様に、分解反応に対して自己保存効果が働いていると期待される。
次に、同様の実験で温度を2℃から−20℃まで変化させて分解量データを取得した結果を図6に示す。
図6より、灯油中においてもシリコンオイルと同様に、氷点以上(2℃)においては、分解速度が非常に速く、氷点以下になるにしたがって遅くなる傾向が見られた。
−5℃においては、70000sec程度でほとんどのハイドレートが分解したが、−10℃、−15℃では、70000sec経過後も若干のハイドレートが残存していた。−10℃、−15℃では、分解速度はさらに遅くなり、70000sec後であっても約50%程度のハイドレートが残存していた。
これは、シリコンオイルの場合の残存率40%と比較しても高い値であり、この温度域おける分解抑制効果は、灯油の方が高いという結果が得られる。また、より低温で速度が復活する現象は、灯油についても同様に見られ、−20℃においては、70000sec後のハイドレート残存率が20程度であった。
次に、初期の状態から50%のハイドレートが分解する時間と温度条件についてプロットした結果を図7に示す。
温度が低下するにしたがって50%分解にようする時間が長くなり、−10℃で最長になることが明らかである。更に温度を下げると、分解速度は復活し、再び、50%分解時間が短くなる。シリコンオイルの場合と比較すると、50%分解時間が最長になる温度が若干異なるが、全体の傾向としては、ほぼ同様の結果が得られている。以上の結果から、灯油中でのハイドレート分解抑制は、−15℃〜−7℃において顕著であり、特に、−10℃程度が最適条件であると考えられる。
ガスハイドレートペレットをスラリー化する説明図である。 ガスハイドレートペレットを再ガス化する説明図である。 氷点下における各種溶液中の分解量変化(−10℃、大気圧)を示す図である。 各温度におけるシリコンオイル中のメタンハイドレート分解量時間変化(大気中)を示す図である。 50%分解に必要な時間と温度の関係(シリコンオイル/メタンハイドレート)を示す図である。 各温度における灯油中のメタンハイドレート分解量時間変化(大気中)を示す図である。 50%分解に必要な時間と温度の関係(灯油/メタンハイドレート)を示す図である。
符号の説明
a ガスハイドレート
p ペレット
b シリコンオイルや灯油などの粘性の低いスラリー母液

Claims (3)

  1. メタンや天然ガスなどの炭化水素ガスと水とを反応させ、生成したガスハイドレートを輸送及び貯蔵するに際し、前記ガスハイドレートをペレット状に成形後、シリコンオイルや灯油などの動粘性係数0.5〜5cSt のスラリー母液に混合させてスラリー化し、スラリー化したガスハイドレートを大気圧にて、−15℃〜−10℃を中心とし、高温及び低温側に夫々5℃の範囲の低温度を保持して輸送及び貯蔵することを特徴とするガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法。
  2. スラリー母液として、シリコンオイルを選択した場合、スラリー温度を、−17℃〜−10℃に保持することを特徴とする請求項1記載のガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法。
  3. スラリー母液として、灯油を選択した場合、スラリー温度を、−15℃〜−7℃に保持することを特徴とする請求項1記載のガスハイドレートの輸送及び貯蔵方法。
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