JP2005330509A - 薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents

薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2005330509A
JP2005330509A JP2004147688A JP2004147688A JP2005330509A JP 2005330509 A JP2005330509 A JP 2005330509A JP 2004147688 A JP2004147688 A JP 2004147688A JP 2004147688 A JP2004147688 A JP 2004147688A JP 2005330509 A JP2005330509 A JP 2005330509A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
substrate
electro
film forming
forming apparatus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004147688A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Yamauchi
幸夫 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2004147688A priority Critical patent/JP2005330509A/ja
Publication of JP2005330509A publication Critical patent/JP2005330509A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】 プラズマの熱の影響を抑制できる薄膜形成装置及び薄膜形成方法と、熱劣化が抑制された発光層を備える電気光学装置及びその製造方法と、当該電気光学装置を備える電子機器を提供する。
【解決手段】 成膜室内で、膜材料を収納する蒸発源にプラズマを照射して前記膜材料を蒸発させることにより、前記蒸発源に対向させた基板に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、前記成膜室は、基板上に薄膜を形成する成膜領域と、基板を待機させる待機領域と、当該成膜領域と待機領域との間に設けられたプラズマ遮蔽手段と、当該成膜領域と当該待機領域とを連通させる連通部と、を具備していることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器に関する。
近年、小型化、薄型化及び低消費電力化の観点から、自発光素子を画素に対応させて備えた電気光学装置が注目されている。この種の電気光学装置には、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)を画素に対応させて備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、有機ELディスプレイという)がある。有機ELディスプレイは、高輝度で自発光であること、応答性が高速であること等の理由で特に注目されており、その開発が盛んに行われている。この有機EL素子は、基板の上層に形成された画素電極と光透過性を有する材料で構成された共通電極との間に有機材料で構成された発光層を備えた構造をしている。
ところで、有機ELディスプレイの製造方法においては、各画素に対する共通電極を形成する方法の一つに、イオンプレーティング法が知られている。当該イオンプレーティング法は、共通電極を構成する導電性の膜材料をターゲットとし、このターゲットにプラズマを照射してターゲット材料を蒸発させ、有機材料で構成された発光層上にターゲット材料を付着させて共通電極を形成する方法である。(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−282224号公報
ところで、このようなイオンプレーティング装置においては、成膜を始める前に、照射するプラズマや、処理室内の圧力、ターゲット材料の蒸発を安定させるための安定化の工程が必要となる。しかし、この安定化の工程において処理室中に拡散したプラズマの熱によって基板が加熱されてしまい、当該基板に形成された発光層がダメージを受けてしまうという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、プラズマの熱の影響を抑制できる薄膜形成装置及び薄膜形成方法と、熱劣化が抑制された発光層を備える電気光学装置及びその製造方法と、当該電気光学装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
本発明者は、イオンプレーティング装置の安定化工程におけるプラズマの熱によって、待機中の基板の発光層がダメージを受けて劣化してしまい、作製した電気光学装置の表示品位がそれに伴って低下してしまうことを見出した。
また、このような発光層へのダメージを抑制する方法として、成膜対象の基板と、成膜後の基板及び成膜前の基板とを隔離して、当該成膜前や成膜後の基板への加熱を抑制する方法がある。しかし、イオンプレーティング装置による成膜は、処理室内の圧力、プラズマの分布等に非常に敏感であり、安定化工程後にゲートバルブの開閉を行って基板を搬送した場合、安定した膜質を得ることが困難となる。また、1枚処理を行う毎に基板の待機室からの搬送及び安定化工程を行った場合、生産効率が大きく低下してしまう。
そこで、本発明者は、上記に基づいて以下の手段を有する本発明を想到した。
即ち、本発明の薄膜形成装置は、成膜室内で、膜材料を収納する蒸発源にプラズマを照射して前記膜材料を蒸発させることにより、前記蒸発源に対向させた基板に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、前記成膜室は、基板上に薄膜を形成する成膜領域と、基板を待機させる待機領域と、当該成膜領域と待機領域との間に設けられたプラズマ遮蔽手段と、当該成膜領域と当該待機領域とを連通させる連通部と、を具備していることを特徴としている。
このように、本発明の薄膜形成装置は、通常真空加熱蒸着では成膜できない高い融点を有する材料を下地の材料を劣化させることなく成膜することができる。
また、プラズマ遮蔽手段が設けられることによって、成膜領域と待機領域との間においてプラズマが遮蔽(トラップ)されるので、待機領域側にプラズマが侵入することがない。従って、待機領域側の基板がプラズマに曝されることがないので、プラズマの熱による基板へのダメージを抑制することができる。
また、成膜領域と待機領域は連通しているので、これらの領域は全て常に同圧力となる。従って、成膜領域と待機領域との各々を圧力調整する必要がなく、成膜領域と待機領域との間における基板搬送を容易に行うことができる。従って、生産効率を低下させることなく、薄膜を形成することができる。
ここで、基板上に熱劣化が生じやすい各種機能素子、例えば、発光機能層等が予め形成されている場合について説明する。このような基板は、薄膜を形成する前に待機領域において待機され、成膜領域と同じ圧力下で保持されている。そして、上記のように、プラズマ遮蔽手段が成膜領域と待機領域の間に設けられていることから、待機領域内の基板に対するプラズマの熱のダメージを抑制することができる。従って、各種機能素子や発光機能層の熱劣化を抑制することができ、当該各種機能素子の特性や発光機能層の発光特性を向上させることができる。
また、前記薄膜形成装置は、前記連通部は前記プラズマ遮蔽手段に設けられていることを特徴としている。ここで、連通部は複数設けられていることが好ましい。
このようにプラズマ遮蔽手段に複数の連通部が設けられていることで、基板の搬送に伴いプラズマ遮蔽手段が移動した場合でも、処理室内の気体の流れやプラズマの分布等に影響を与えることがない。このため、安定化工程を行うこと無く基板の搬送を行うことが可能で、連続的に安定した膜質で成膜を行うことができる。
また、前記薄膜形成装置は、前記プラズマ遮蔽手段を冷却する冷却機構が設けられていることを特徴としている。
このようにすれば、プラズマ遮蔽手段が冷却されるので、プラズマの熱を当該冷却機構によって吸熱することができる。ここで、冷却機構を設けていない場合には、プラズマ遮蔽手段を伝熱して待機領域内の基板が加熱されてしまう恐れがある。そこで、本発明のように、冷却機構を備えることで、当該伝熱を防止することができ、待機領域内の基板への加熱を抑制することができる。
また、前記薄膜形成装置は、前記基板と前記蒸着源とを相対移動させる相対移動機構を備えることを特徴としている。
このようにすれば、先に記載した薄膜形成装置の効果が得られると共に、均一な膜厚で薄膜を形成することができる。
また、前記薄膜形成装置は、前記相対移動機構は、一点状に配置された蒸着源と、前記基板とを、当該基板面と平行な2軸方向に相対移動させることを特徴としている。
ここで、蒸着源と基板とを固定して成膜を施すと、当該蒸着源の中心部に対向する基板面の膜厚が大きくなり、また、当該中心部から離れた基板面の膜厚が放射状に薄くなってしまう。これに対して、本発明においては、2軸方向に相対移動させるので、厚膜部分と薄膜部分が相殺し、より均一な膜厚で薄膜を形成することができる。
なお、本発明における「2軸方向に相対移動させる」とは、基板面内において、2軸直線的に移動させることを限定するのではない。相対移動方向を2次元でベクトル分析した際のX軸方向とY軸方向の成分を有する方向で相対移動させることを意味する。換言すれば、基板の鉛直方向を除く軸方向において、相対移動させることを意味している。従って、「2軸方向に相対移動させる」とは、円弧を描くように相対移動させた場合の意味も含む。
また、前記薄膜形成装置は、前記相対移動機構は、一配列方向に配列された複数点状の前記蒸着源と、前記基板とを、前記配列方向とは異なる1軸方向に相対移動させることを特徴としている。
ここで、複数点状の蒸着源の配列方向に対して、相対移動方向は、略垂直であることが好ましい。
このようにすれば、一方向のみに相対移動させることによって、厚膜部分と薄膜部分が相殺し、基板全面で均一な膜厚で薄膜を形成することができる。また、基板を2軸方向に相対移動させる必要がないので基板の搬送機構が簡単になる。さらに、一方向の移動で基板の成膜が終了するため、成膜時間が短くて済み高い生産性を得ることができる。
また、前記薄膜形成装置は、前記成膜領域と前記待機領域との間で基板を搬送する搬送機構を備えることを特徴としている。
このようにすれば、先に記載した薄膜形成装置の効果が得られると共に、成膜領域と待機領域との間で基板を搬送することができる。
また、前記薄膜形成装置は、前記待機領域には複数の前記基板を待機させる待機機構が設けられていることを特徴としている。
このようにすれば、先に記載した薄膜形成装置の効果が得られると共に、複数の基板を安定化工程を行うこと無く連続的に成膜できるため、高い生産性を得ることができる。
また、上記のように成膜領域と待機領域との間にはプラズマ遮蔽手段が設けられ、プラズマが遮蔽されているので、当該待機領域に複数の基板を長時間待機させていたとしても、熱履歴による基板へのダメージを抑制することができる。
また、成膜前の複数基板や、成膜後の複数基板が待機領域内に待機されるので、換言すれば、バッチ毎に複数基板が待機されるので、成膜前の基板と、成膜後の基板の入れ替えを効率的に行うことができる。これによって、薄膜形成の生産性を向上させることができる。
また、前記薄膜形成装置は、前記成膜領域には、前記基板を保持する基板保持機構が設けられていることを特徴としている。
このようにすれば、先に記載した薄膜形成装置の効果が得られると共に、成膜領域において、基板を保持することができる。
また、本発明の薄膜形成方法は、先に記載の薄膜形成装置を用いることにより、基板に薄膜を形成することを特徴としている。
このようにすれば、先に記載の薄膜形成装置と同様の効果が得られる。即ち、通常真空加熱蒸着では成膜できない高い融点を有する材料を、下地の材料を劣化させること無く成膜することができる。また、プラズマの熱による待機中の基板へのダメージを抑制することができる。また、成膜領域と待機領域との間における基板搬送を容易に行うことができる。従って、生産効率を低下させることなく、薄膜を形成することができる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上に発光機能層を備えた電気光学装置の製造方法であって、先に記載の薄膜形成方法を用いることにより、前記発光機能層の上方に薄膜を形成することを特徴としている。
ここで、発光機能層は、熱により劣化しやすいが、上記のように待機領域内に基板を待機することにより、発光機能層へのプラズマによる熱のダメージを抑制することができる。従って、発光機能層の劣化が抑制され、発光特性を向上させることができる。また、成膜領域と待機領域との間における基板搬送を容易に行うことができるので、生産効率を低下させることなく、良好な特性の電気光学装置を製造することができる。
また、前記電気光学装置の製造方法により発光機能層の上方に形成される薄膜は透明導電膜や、発光機能層を保護する保護膜であることが好ましい。
本発明の薄膜形成装置を用いて透明導電膜や保護膜を形成することにより、発光機能層への熱のダメージを与えること無く、良好な特性の電気光学装置を提供することができる。
また、透明導電膜、保護膜として用いられる窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素等の高融点の材料は、真空加熱蒸着で成膜することが難しいが、プラズマを利用することによって蒸発させ、成膜することができる。通常この様な材料の成膜に用いられるスパッタ法と比較して、下地を劣化させずに成膜をすることができる。従って、発光機能層へのダメージを低減し、良好な特性の電気光学装置を製造することができる。
また、本発明の電気光学装置は、先に記載した製造方法を用いることにより製造されたことを特徴としている。
このようにすれば、先に記載の電気光学装置の製造方法の効果により良好な特性の電気光学装置が得られる。
また、本発明の電子機器は、先に記載した電気光学装置を具備することを特徴としている。このような電子機器としては、例えば、携帯電話機、移動体情報端末、時計、ワープロ、パソコン等の情報処理装置等を例示することができる。また、大型の表示画面を有するテレビや、大型モニタ等を例示することができる。このように電子機器の表示部に、本発明の電気光学装置を採用することによって、優れた表示特性備える電子機器を実現できる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
なお、以下に参照する図面は、各部材や各層を認識可能とするために、適宜縮尺を異ならせている。
(薄膜形成装置、薄膜形成方法)
まず、図1〜図3を参照し、薄膜形成装置について説明する。
図1は、薄膜形成装置を概略説明するための側断面図である。図2は、プラズマ遮蔽板を示す斜視図である。図3は、薄膜形成装置を上面から見た概略図である。
本実施形態の薄膜形成装置は、プラズマを利用することにより、蒸着源の膜材料を基板に蒸着させて薄膜を形成するイオンプレーティング装置である。
図1に示すように、薄膜形成装置20は、気密性の真空容器21を備えることによって、成膜室FRを規定している。
成膜室FRは、基板SPに成膜を施すための成膜領域FR1と、薄膜が形成されていない未処理基板が待機する待機領域FR2と、薄膜が形成された処理後基板が待機する待機領域FR3と、各領域間に設けられたプラズマ遮蔽板(プラズマ遮蔽手段)51a、51bが設けられている。
プラズマ遮蔽板51a、51bは、成膜領域FR1内において生成されるプラズマが待機領域FR2、待機領域FR3に侵入するのを抑制するようになっている。
また、図2に示すようにプラズマ遮蔽板51a、51bは、複数の連通孔(連通部)52を備えており両面が連通している。従って、このような連通孔52がプラズマ遮蔽板51a、51bに設けられることで、成膜領域FR1と待機領域FR2、成膜領域FR1と待機領域FR3は、それぞれ連通することとなる。
また、プラズマ遮蔽板51a、51bには、冷却機構53と、駆動機構54とが設けられている。冷却機構53は、プラズマ遮蔽板51a、51bの内部に設けられた流路内に水等の冷媒を循環させるものである。これにより、プラズマによるプラズマ遮蔽板51a、51b自体の発熱を吸熱されることとなる。また、駆動機構54は、基板SPを搬送する際に、プラズマ遮蔽板51a、51bを開閉するようになっている。これにより、成膜領域FR1と待機領域FR2、FR3との間において、容易に基板SPが搬送されるようになっている。
また、待機領域FR2、FR3の各々には、搬送機構50a、50bと、複数の基板SPを保持するカセット(待機機構)55と、が設けられている。これにより、搬送機構50a、50bは、各領域FR1、FR2、FR3の各間に基板SPを搬送するようになっている。また、カセット55は、複数の基板SPを一括的に待機させるものであり、従って基板SPに薄膜が形成されている間、即ち、プラズマが生成されている間も、未処理基板や処理後基板がここで待機するようになっている。
次に、成膜領域FR1を中心的に説明する。
真空容器21は、その一側壁M1にガイド管22を介してプラズマビーム発生器PGが取り付けられている。このプラズマビーム発生器PGはプラズマビームPBを発生させるものであって、例えば、公知の圧力勾配型プラズマ銃である。
プラズマビーム発生器PGは、第1の中間電極23及び第2の中間電極24が互いに同心的になるようにガイド管22に連結して配置されている。第1の中間電極23には永久磁石23aが内蔵されている。一方、第2の中間電極24にはコイル24aが内蔵されている。
また、プラズマビーム発生器PGには、第1の中間電極23と第2の中間電極24とで規定される通路に繋がる絶縁管(例えば、ガラス管)25が備えられている。絶縁管25内には、例えばモリブデン(Mo)で構成された第1のパイプ26が配置されている。第1のパイプ26内には、例えばタンタル(Ta)で構成された第2のパイプ27が配置されている。絶縁管25と、第1及び第2のパイプ26,27との一端には、導体板部29が取り付けられている。導体板部29には、キャリアガス導入口30が形成され、そのキャリアガス導入口30を介してキャリアガスCGが第2のパイプ27内を通過し導入される。キャリアガスCGは、本実施形態においては、アルゴン(Ar)ガスである。
また、前記導体板部29には、第1の可変電源VV1のマイナス端が接続されている。可変電源VV1のプラス端は、抵抗器Roを介して第2の中間電極24に接続されている。そして、抵抗器Roの抵抗値を所定の大きさに設定し、第1の可変電源VV1の電圧値を調整することで、第2の中間電極24にて発生する磁場の大きさを制御し、プラズマビームPBを収束することができるようになっている。
また、ガイド管22の外側には、ステアリングコイルSCが配設されている。ステアリングコイルSCは、第2の可変電源VV2を介して第2の中間電極24に電気的に接続されている。その可変電源VV2の電圧レベルを調整することによりステアリングコイルSCにて発生する磁場の大きさを所望の大きさにすることで、プラズマビームPBを所望の方向にガイドすることができるようになっている。
真空容器21の底面M2には、その外周に環状の補助陽極32が配置されたハース(陽極)31が配置されている。ハース31には膜材料Wが収納されており、当該ハース31は、本発明の蒸着源として機能するものである。また、図3(a)に示すように、ハース31は、成膜領域FR1内に複数設けられている。この場合、ハース31は、成膜中の基板SPの走査方向に対して略垂直方向に、複数点状に配列されていることが好ましい。このようにすることにより、基板SPを一方向に走査するだけで、均一な膜厚で薄膜を形成することが可能となる。このような複数のハース31を用いて薄膜を形成する際には、サセプタCSによって基板が符号A1に示す方向に走査させることにより、成膜が行われるようになっている。
ここで、サセプタCSとは、ハース31が配置されている側と対向する側に配置されたものであり、本発明の基板保持機構や相対移動機構として機能するものである。即ち、サセプタCSは、被成膜処理物体である基板SPを保持すると共に、ハース31に対して相対的に基板SPを走査させるものである。また、サセプタCSは、搬送機構50a、50bに取り付けられて、搬送機構として共用されていてもよく、この場合、搬送機構50a、50bによって、基板SPが符号A1に示すように成膜領域FR1を通り抜ける様に搬送・走査される。
なお、本実施形態においては、ハース31の配置は、図3(a)に示すように複数点状に配列されているが、図3(b)に示すように、一点状に配置してもよい。この場合、サセプタCSは、符号A2に示すようにX方向とY方向とに基板SPを相対移動させるようになっている。
また、膜材料Wは、ハース31に対向する基板SPに対して成膜される材料である。当該膜材料Wとしては、各種材料が採用される。本実施形態においては、膜材料Wとして透明導電膜として知られているインジウム−スズ酸化物(ITO)が収納されている。また、この膜材料Wとしてのインジウム−スズ酸化物は、例えば多結晶バルク形態若しくは粉状の形態を成している。なお、他の膜材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(登録商標))、ICO、IGO等の透明導電膜として知られる高融点材料が採用される。また、このような金属以外にも、SiO2、SiN、SiON等のシリコン化合物が採用される。
また、補助陽極32は、前記第1の可変電源VV1に接続され、可変電源VV1の電圧値を調整することで、ハース31と導体板部29との間の電位差を制御することができるようになっている。
また、真空容器21には、その成膜室FR内へ各種ガスを導入するための複数(本実施形態においては2つ)のガス導入管が設けられている。本実施形態においては、前記ハース31の周辺にある前記側壁M1に第1のガス導入管33aが、また、サセプタCSの周辺の上面M5に第2のガス導入管33bが、それぞれ設けられている。
第1のガス導入管33aには、図示しないマスフローコントローラーが設けられ、そのマスフローコントローラーによって成膜室FR内へ導入されるガスの導入量が制御されるようになっている。第1のガス導入管33aには、膜材料Wとの反応性を有するガスを含む反応性ガスRGが導入される。反応性ガスRGは、薄膜形成装置20では、酸素ガスである。
一方、第2のガス導入管33bには、図示しないマスフローコントローラーが設けられ、そのマスフローコントローラーによって成膜室FR内へ導入されるガスの導入量が制御されるようになっている。また、第2のガス導入管33bには、成膜室FR内の圧力を、プラズマが発生する最適な圧力に調整する調整用ガスKGが導入するためのガスを導入させる導入管であって、図示しないマスフローコントローラーによってその導入量が制御されるようになっている。調整用ガスKGは、本実施形態では、窒素ガス(N2)ガスである。
また、真空容器21の他の一側壁M4には、排気パイプ34が設けられている。排気パイプ34の排気経路上には、圧力コントロールバルブPV、ゲートバルブGV及び真空ポンプPが、それぞれ成膜室FR側から圧力コントロールバルブPV→ゲートバルブGV→真空ポンプPの順に設けられている。本実施形態の真空ポンプPは、例えばターボ分子ポンプといったオイルフリーの真空ポンプである。尚、ゲートバルブGVは、成膜時においては、全開の状態を保持するように予め設定されている。
また、前記一側壁M4には、成膜室FR内の真空度を測定する真空計VMが取り付けられている。真空計VMは、成膜室FRの外部に設けられた圧力コントローラAPCに電気的に接続され、その時々の成膜室FR内の真空度を測定する。そして、真空計VMは、その測定された真空度に関する情報を有した信号Svを圧力コントローラAPCへ出力する。
圧力コントローラAPCは、圧力コントロールバルブPVに電気的に接続され、真空計VMから出力された信号Svに基づいて圧力コントロールバルブPVの開度を制御するバルブ開度制御信号Skを生成する。本実施形態のバルブ開度制御信号Skは、成膜室FR内の圧力を、例えばプラズマビームPBが安定して発生可能な圧力(1×10−2Pa)になるように圧力コントロールバルブPVを制御する信号である。
このように構成された薄膜形成装置20は、プラズマビーム発生器PGによって発生したプラズマビームPBを第2の中間電極24、ステアリングコイルSC及び補助陽極32の磁場によってハース31に導き、膜材料Wに照射させ膜材料Wを蒸発させる。そして、その蒸発した膜材料Wの蒸発物をサセプタCSに取り付けられた被成膜処理物体としての素子基板SPに付着させて成膜させることが可能である。
そして、薄膜形成装置20は、成膜室FR内の雰囲気の排気速度(排気系のコンダクタンス)を前記圧力コントローラAPCからのバルブ開度制御信号Skによって圧力コントロールバルブPVによって制御することで、成膜室FR内の圧力(全圧)を前記した1×10−2Paに保持するように制御できる。そして、成膜室FR内の圧力(全圧)とは独立して反応性ガスRGとしての酸素ガスの導入量を制御することが可能となる。
このように構成された薄膜形成装置20と、当該薄膜形成装置20を用いた薄膜形成方法においては、プラズマを利用することによってイオン化した膜材料Wを基板SPに成膜できるので、加熱蒸着と比較して下地との密着力が強い薄膜を形成することができる。
また、プラズマ遮蔽板51a、51bが設けられることによって、成膜領域FR1と待機領域FR2、FR3との間においてプラズマPBが遮蔽(トラップ)されるので、待機領域FR2、FR3側にプラズマPBが侵入することがない。従って、待機領域FR2、FR3側の基板SP、即ち、未処理基板や処理後基板がプラズマPBに曝されることがないので、プラズマPBの熱による基板SPへのダメージを抑制することができる。
また、成膜領域FR1と待機領域FR2、FR3は連通しているので、これらの領域は全て常に同圧力となる。従って、成膜領域FR1と待機領域FR2、FR3との各々を圧力調整する必要がなく、成膜領域FR1と待機領域FR2、FR3との間における基板搬送を容易に行うことができる。従って、生産効率を低下させることなく、薄膜を形成することができる。
また、プラズマ遮蔽板には、連通孔52が設けられているので、気体の流れ方に対する動作出力への影響が少なくなる。また、プラズマ遮蔽板51a、51bに連通孔52が設けられていない場合には、当該プラズマ遮蔽板51a、51bに当ったプラズマPBが成膜領域FR1側に返ることで、プラズマPBが不安定になり、均一に成膜を行うことができないが、複数の連通孔52が設けられていることで、プラズマの安定化を図ることができ、均一に成膜を行うことができる。
また、プラズマ遮蔽板51a、51bを冷却する冷却機構53が設けられているので、プラズマ遮蔽板51a、51bにおけるプラズマPBの熱を冷却機構53によって吸熱することができる。ここで、冷却機構53を設けていない場合には、プラズマ遮蔽板51a、51bを伝熱して待機領域FR2、FR3内の基板が加熱されてしまう恐れがある。従って、冷却機構53を備えることで、当該伝熱を防止することができ、待機領域FR2、FR3内の基板SPへの加熱を抑制することができる。
また、サセプタCSを備えることにより、基板SPを保持することができると共に、基板SPとハース31とを相対移動させることができる。これにより、基板SPとハース31とを相対移動させながら薄膜を形成することができる。
ここで、ハース31が、一配列方向に複数点状に配列されている場合には、サセプタCSが一方向(符号A1)に基板SPを走査させながら成膜することで、厚膜部分と薄膜部分が相殺し、均一な膜厚で薄膜を形成することができる。また、一方向のみに走査させればよいので、移動量を最小にすることができる。
また、ハース31が、一点状に配置されている場合には、サセプタCSがX方向とY方向の2軸方向(符号A2)に基板SPを走査させながら成膜することで、厚膜部分と薄膜部分が相殺し、均一な膜厚で薄膜を形成することができる。具体的には、ハース31と基板SPとを固定して成膜を施すと、ハース31の中心部に対向する基板面の膜厚が大きくなり、また、当該中心部から離れた基板面の膜厚が放射状に薄くなってしまうが。2軸方向に走査させるので、厚膜部分と薄膜部分が相殺し、均一な膜厚で薄膜を形成することができる。
また、待機領域FR2、FR3の各々には、搬送機構50a、50bが設けられているので、成膜領域FR1と待機領域FR2、FR3との間で基板SPを搬送することができる。また、待機領域FR2、FR3には複数の未処理基板や処理後基板を待機させるカセット55が設けられているので、複数の基板を待機領域内に待機させることができる。
また、上記のように成膜領域FR1と待機領域FR2、FR3との間にはプラズマ遮蔽板51a、51bが設けられ、プラズマPBが遮蔽されているので、当該待機領域FR2、FR3に複数の基板SPを長時間待機させていたとしても、熱履歴による基板へのダメージを抑制することができる。
また、未処理の複数基板や、処理後の複数基板が、待機領域内に待機されるので、換言すれば、バッチ毎に複数基板SPが待機されるので、未処理基板と、処理後基板の入れ替えを効率的に行うことができる。これによって、薄膜形成の生産性を向上させることができる。
(電気光学装置、電気光学装置の製造方法)
次に、図4〜図7を参照し、上記の薄膜形成装置及び薄膜形成方法を利用して、電気光学装置の製造方法と、当該電気光学装置について説明する。
なお、本実施形態においては、電気光学装置として有機ELディスプレイを例示して説明する。また、図4は本発明の有機ELディスプレイの上面図である。図5は、ディスプレイ部DSの図4中a−a線での断面図である。図6及び図7は、素子基板SPの断面図である。
図4に示すように、有機ELディスプレイ1は、ディスプレイ部DSと、該ディスプレイ部DSの下側(図4中反Y矢印方向側)に接続されたフレキシブル回路基板FCとから構成されている。ディスプレイ部DSは、その略中央に表示領域Rを、また、表示領域Rを囲む表示領域R以外の領域に非表示領域Qをそれぞれ備えている。
表示領域Rには、隔壁Bによって画素形成領域2が升目状に区画形成されている。各画素形成領域2には、1個の赤、緑または青色の光を射出する有機発光材料で構成された有機EL素子3R,3G,3Bが設けられている。そして、X矢印方向に隣接して並んだ各色用有機EL素子3R,3G,3Bで1組の画素3を形成している。
非表示領域Qには、表示領域Rを挟むようにして一対の走査線駆動回路4が形成されている。各走査線駆動回路4は、図示しない走査線を介して一行の各色用有機EL素子3R,3G,3B群毎に接続されている。そして、各走査線駆動回路4は、n行ある各色用有機EL素子3R,3G,3B群を1行毎に順次選択する走査信号を出力する回路である。また、非表示領域Q上であって、表示領域Rの上側(図4中Y矢印方向側)には検査回路5が形成されている。
一方、フレキシブル回路基板FC上にはデータ線駆動回路6と制御回路7とが形成されている。データ線駆動回路6は、図示しないデータ線を介して1列の各色用有機EL素子3R,3G,3B毎に接続されており、前記走査線駆動回路4によって選択された行の各色用有機EL素子3R,3G,3Bに対応するデータ信号を出力する。
制御回路7は、走査線駆動回路4、検査回路5及びデータ線駆動回路6と図示しない制御線を介して接続されており、各回路を制御するための制御信号を生成する。
前記制御回路7から出力される制御信号によって、前記走査信号のタイミングに応じたデータ信号がデータ線駆動回路6から出力され、赤、緑及び青色用有機EL素子3R,3G,3Bは、データ信号に応じた輝度で各色の光を出射し、その結果、表示領域R上に所望の画像が表示される。
図5は、ディスプレイ部DSの図4中a−a線での断面図である。ディスプレイ部DSは、ガラスや高分子フィルムで構成された基板Sを備えている。基板S上には、回路形成層Sbが形成されている。回路形成層Sbには、薄膜トランジスタTFTといった各種回路素子が形成されている。この薄膜トランジスタTFTは、前記データ線駆動回路6(図4参照)からのデータ信号に応じた駆動電流を制御するためのトランジスタである。また、回路形成層Sbには、前記走査線駆動回路4や検査回路5を構成する回路素子の一部または全部が形成されている。
回路形成層Sb上の略中央には前記表示領域Rが形成されている。表示領域R内の回路形成層Sb上には、それぞれが略矩形状を成した複数個の画素電極10が配置されている。各画素電極10は、光反射性を有する導電性材料で構成されている。画素電極10を構成する導電性材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)などの単体材料や、マグネシウム(Mg)−アルミニウム(Al)(Mg:Al=10:1)合金が好適である。また、酸化リチウムLi2O/アルミニウム(Al)、フッ化リチウム(LiF)/アルミニウム(Al)、フッ化マグネシウム(Mg)/アルミニウム(Al)といった積層膜であってもよい。
各画素電極10は、回路形成層Sbに形成されたコンタクトホールHを介して対応する薄膜トランジスタTFTのドレインまたはソースに電気的に接続されている。画素電極10には、薄膜トランジスタTFTから供給される前記駆動電流の電流密度に応じたキャリア(電子)が供給される。
また、前記表示領域R内の回路形成層Sb上には、図5中Z矢印方向にその断面形状が略台形状である前記隔壁Bが配置されている。
隔壁Bは、アクリルやポリイミドといった有機物絶縁材料で構成されている。そして、この隔壁Bによって、図5中、その断面が凹状を成した画素形成領域2が複数個区画形成される。画素形成領域2内の各画素電極10上には、本実施形態においては、電子注入層11が形成されている。各電子注入層11上には赤、緑または青色用発光層12R,12G,12Bが形成されている。
電子注入層11は、有機材料で構成されている。電子注入層11は、対応する画素電極10から供給されるキャリア(電子)を赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bへ効率良く注入させるための層である。
赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bは、それぞれ有機材料で構成されており、本発明の発光機能層である。詳しくは、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bは、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の有機物発光材料で構成されている。具体的には、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルイオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適である。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いてもよい。
各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12B上には、本実施形態においては、正孔注入層13が形成されている。正孔注入層13上には、画素電極10に対向する対向電極としての陽極(透明導電膜)14が形成されている。
正孔注入層13は、有機材料で構成されている。正孔注入層13は、陽極14から供給されるキャリア(正孔)を赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bへ効率良く注入させるための層である。
陽極14は、隔壁B上を渡って非表示領域Qの回路形成層Sb上に至るまで形成されている。陽極14は、透明導電材料で構成されている。透明導電材料としては、インジウム−スズ酸化物(ITO)、ガリウム−酸化亜鉛(GZO)、インジウム−酸化亜鉛(IZO)、インジウム−セリウム酸化物(ICO)、酸化錫(ネサ)、酸化亜鉛等を用いることができる。本実施形態の陽極14は、インジウム−スズ酸化物(ITO)で構成されている。
このようにして、画素電極10と、陽極14と、その各画素電極10及び陽極14間に挟持されてなる電子注入層11、赤色用発光層12R及び正孔注入層13で前記赤色用有機EL素子3Rが構成される。また、画素電極10と、陽極14と、その各画素電極10及び陽極14間に挟持されてなる電子注入層11、緑色用発光層12G及び正孔注入層13で前記緑色用有機EL素子3Gが構成される。同様に、画素電極10と、陽極14と、その各画素電極10及び陽極14間に挟持されてなる電子注入層11、青色用発光層12B及び正孔注入層13とで前記青色用有機EL素子3Bが構成される。
陽極14の全面上には、パッシベーション膜(保護膜)Poが形成されている。パッシベーション膜Poは、光透過性を有する絶縁材料よりなる材料で構成されており、本実施形態においては、酸化窒化珪素で構成されている。パッシベーション膜Poにより、外界からの水分や酸素が各色用有機EL素子3R,3G,3Bを構成する有機材料で構成された各層(電子注入層11、発光層12R,12G,12B及び正孔注入層13)を劣化させるのを抑制している。また、パッシベーション膜を形成する前に、有機膜を設けても良い。有機膜の平坦化作用により、形成されるパッシベーション膜の欠陥を低減し、より水分や酸素による劣化を抑えることができる。また、複数の有機膜とパッシベーション膜を交互に積層する構造としても良い。
パッシベーション膜Poの上層には、乾燥した空間Fを介して、光透過性を有する絶縁材料よりなる封止部材FBが形成されている。封止部材FBは、パッシベーション膜Po全面を覆うように、その前記回路形成層Sbの外周縁部を接着部として接着されている。
このような構成を有したディスプレイ部DSは、その各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bに、電子注入層11から画素電極10に供給されたキャリア(電子)と、正孔注入層13からのキャリア(正孔)とがそれぞれ注入され、再結合する。これにより、各赤色用発光層12Rから赤色の光が、各緑色用発光層12Gから緑色の光が、青色用発光層12Bから青色の光が、それぞれキャリア(電子)の密度に応じた輝度で、即ち、前記駆動電流の電流密度に応じた輝度で発する。そして、その各赤、緑または青色の光は、図5中Z矢印方向に沿って陽極14→パッシベーション膜Po→空間F→封止部材FBの順に各部材を透過して外部へ出射する。また、このとき、各発光層12R,12G,12Bから基板S側(図5中反Z矢印方向側)へ発せられた各色の光は、画素電極10によって封止部材FB側(図5中Z矢印方向側)へ反射され、封止部材FBから外部へ出射する。即ち、本実施形態の有機ELディスプレイ1は、基板S側に対向する封止部材FB側に所望の画像が表示される、所謂トップエミッションタイプのディスプレイを構成している。
そして、この有機ELディスプレイ1の陽極14及びパッシベーション膜Poは、上記の薄膜形成装置20によって形成されたものである。従って、基板SP上に予め形成されている発光層12R,12G,12Bは、プラズマPBによる熱の影響が抑制された層膜となっている。従って、膜質が良好であるとともに、発光特性が優れたものとなる。また、パッシベーション膜Poにおいても、上記の薄膜形成装置20によって形成されたのであるので、欠陥密度が低く、応力の小さい良好な膜質を有するパッシベーション膜となる。従って、表示領域R上に優れた表示品位の画像を表示することが可能な有機ELディスプレイである。
次に、上記の薄膜形成装置20を用いて、基板Sの上層に陽極14及びパッシベーション膜Poを形成する方法についてそれぞれ説明する。
まず、基板Sの上層に、公知の方法を用いて回路形成層Sb、画素電極10、電子注入層11、赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12B、正孔注入層13及び隔壁Bを有する素子基板SPを形成する。
次に、図1に示すように、素子基板SPを待機領域FR2内のカセット55に配置する。ここで、待機領域FR2は、未処理基板が待機する領域であり、薄膜形成装置20においては、全ての未処理基板がバッチ毎に配置される。
次に、搬送機構50aが待機領域FR2から素子基板を1枚取り出し、サセプタCSに取り付ける。素子基板SPのサセプタCSへの取り付けは、隔壁B側(図6(a)中Z矢印方向側)を薄膜形成装置20の底面M2側に向けて行う。これにより、素子基板SP上の赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12Bはハース31に正対するように配置される。ここで、プラズマ遮蔽板51a、51bは、成膜領域FR1と待機領域FR2の間、成膜領域FR1とFR3の間に各々配置される。
次に、図1に示すように、真空容器21を密閉し、続けて、ゲートバルブGV及び圧力コントロールバルブPVをともに全開の状態にして真空ポンプPを駆動する。すると、成膜室FR内の雰囲気が排気パイプ34を介して成膜室FR外へ排出され、成膜室FR内を減圧する。そして、一旦、成膜室FR内を、1×10−2Pa以下の高真空状態にしてから、第2のガス導入管33bから調整用ガスKGとしての窒素ガス(N2)を成膜室FR内に導入する。
すると、真空計VMによって成膜室FR内の圧力が測定され、圧力コントローラAPCから成膜室FR内の圧力が、1×10−2Paになるように圧力コントロールバルブPVの開度を制御するバルブ開度制御信号Skが出力される。
これにより、成膜室FR内の圧力が1×10−2Paになる。この状態で、キャリアガス導入口30からアルゴンガス(Ar)を第2のパイプ27を介してプラズマビーム発生器PGに供給する。すると、第2のパイプ27から導入されたアルゴン(Ar)ガスによって、第1の中間電極23と第1のパイプ26との間で放電が始まり、アルゴンプラズマが発生する。
これと同時に、第1及び第2の可変電源VV1,VV2から所定レベルの電圧を供給し、コイル24a及びステアリングコイルSCにそれぞれ電流を供給し、第2の中間電極24及びステアリングコイルSCに磁場を発生させる。これにより、アルゴンプラズマをビーム状のプラズマビームPBに形成する。そして、そのプラズマビームPBを第2の中間電極24、ステアリングコイルSC及び補助陽極32の磁場によってガイドし、ハース31にプラズマビームPBを照射する。すると、ハース31に収納された膜材料Wがジュール加熱されて蒸発し、膜材料Wを構成するインジウム−スズ酸化物で構成された蒸発物が発生する。このように、プラズマビームPBによって膜材料を蒸発させるため、インジウム−スズ酸化物といった融点の高い材料で構成された蒸発物を生成することが可能である。
膜材料の蒸発等により、処理室内の圧力やプラズマの分布が変化するため、素子基板SPに成膜を行う前に、一定時間この状態膜材料を蒸発させる状態を保持する安定化工程を行う必要がある。この様な工程を設けることにより、照射するプラズマや、処理室内の圧力、膜材料の蒸発が安定し、安定した膜質で成膜を行うことができる様になる。
このような安定化工程及び膜材料Wが素子基板SPに成膜されている間は、プラズマPBが成膜領域FR1内に生成されるが、プラズマ遮蔽板51a、51bが設けられていることから、待機領域FR2、3内にプラズマPBが侵入することがない。従って、待機領域FR2、3内の素子基板SPは、プラズマPBに曝されることがないので、発光層12に対する熱の影響を抑制することができる。
そして、図6(b)に示すように、前記サセプタCSに取り付けられた素子基板SP上の各赤、緑及び青色用発光層12R,12G,12B、隔壁B及び回路形成層Sb上に、酸素が補充された状態のインジウム−スズ酸化物の蒸発物が付着され、陽極14が形成される。
このように陽極14が成膜されている間は、待機領域FR2、FR3へのプラズマPBの侵入が抑制されることから、従来のイオンプレーティング法により成膜されるものとは異なり、発光層12の熱劣化やダメージを防止し、発光特性を向上させることができる。
次に、搬送機構50bは、サセプタCSから素子基板SPを取り出し、待機領域FR3に搬送する。待機領域FR3には、陽極14が成膜された複数の基板SPがカセット55によって保持される。このように、当該待機領域FR3には、陽極14が形成された複数の素子基板SPが成膜中においても保持されるが、上記のようにプラズマ遮蔽板51bが設けられているので、当該待機領域FR3内の素子基板SPもプラズマPBの熱の影響を受けることがない。従って、発光層12の熱劣化やダメージを防止し、発光特性を向上させることができる。
また、成膜領域FR1、待機領域FR2、FR3は、プラズマ遮蔽板51a、51bに設けられた連通孔52によって連通していることから、基板の搬送に伴いプラズマ遮蔽板が開閉しても、成膜領域FR1内の気体の流れやプラズマの分布に影響を与えることがない。このため、基板SPを入れ替える際に圧力調整や安定化工程を行う必要がなく、複数の基板SPを連続的に成膜することも可能であり、高い生産性を得ることができる。
続いて、図1に示した薄膜形成装置20と同様の構成を成した別の薄膜形成装置に陽極14が形成された素子基板SPを前記と同様にそのサセプタに取り付ける。この薄膜形成装置のハースに収納された膜材料としては、多結晶バルク形態若しくは粉状の形態を成した酸化窒化珪素である。そして、上記と同様に薄膜形成を行うことにより、陽極14上にパッシベーション膜Poが形成される。
この場合においても、上記のようにプラズマ遮蔽板51a、51bによって、プラズマPBの熱の基板SPへの影響が抑制されるので、同様の効果が得られる。
その後、公知の方法により、乾燥した空間Fを介して封止部材FBをパッシベーション膜Po全面に対して覆うように回路形成層Sbに接着し封止する。
このようにして、有機ELディスプレイ1を製造することができた。
上記実施形態では、膜材料として、インジウム−スズ酸化物(ITO)であったが、そうではなく、インジウム−スズであってもよい。この場合、反応性ガスとしては、酸素ガスである。このような場合においても、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
上記実施形態では、パッシベーション膜Poの膜材料として酸化窒化珪素を用いたが、そうではなく、他の膜材料を用いてパッシベーション膜Poを形成するようにしてもよい。例えば、膜材料としては、酸化珪素若しくは窒化珪素或いはそれらの混合物であってもよい。
上記実施形態では、電気光学装置として、有機ELディスプレイ1に適応させたが、そうではなく、要は、所定の膜に対してその上層に導電性膜が形成されている構造を成すものであればどんな電気光学装置に対しても適用することができる。
(電子機器)
次に、上記の有機ELディスプレイ1を備えた電子機器の適用について図8を参照して説明する。
図8は、テレビの一例を示した斜視図である。図8において、符号1000はテレビ本体を示し、符号1001は上記の有機ELディスプレイ1を用いた表示部を示している。
当該電子機器は、上記実施の形態の有機ELディスプレイを備えているので、発光特性が向上した表示部を備えた電子機器となる。
なお、電子機器としては、上記のテレビやディスクトップ型コンピュータに限られることなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、ノート型コンピュータ、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することができる。
本発明の薄膜形成装置を概略説明するための側断面図。 本発明の薄膜形成装置におけるプラズマ遮蔽板を示す斜視図。 本発明の薄膜形成装置を上面から見た概略図。 本発明の有機ELディスプレイの上面図。 ディスプレイ部DSの図4中a−a線での断面図。 素子基板SPの断面図。 素子基板SPの断面図。 本発明の電子機器の一例として示したテレビ。
符号の説明
1 有機ELディスプレイ(電気光学装置)、14 陽極(透明導電膜)、20 薄膜形成装置、31 ハース(蒸着源)、50a、50b 搬送機構、51a、51b プラズマ遮蔽板(プラズマ遮蔽手段)、52 連通孔(連通部)、53 冷却機構、55 カセット(待機機構)、1000 テレビ(電子機器)、FR 成膜室、W 膜材料、PB プラズマビーム(プラズマ)、SP 素子基板(基板)、P 基板、FR1 成膜領域、FR2、FR3 待機領域、CS サセプタ(相対移動機構、基板保持機構)、Po パッシベーション膜(保護膜)

Claims (15)

  1. 成膜室内で、膜材料を収納する蒸発源にプラズマを照射して前記膜材料を蒸発させることにより、前記蒸発源に対向させた基板に薄膜を形成する薄膜形成装置であって、
    前記成膜室は、基板上に薄膜を形成する成膜領域と、基板を待機させる待機領域と、当該成膜領域と待機領域との間に設けられたプラズマ遮蔽手段と、当該成膜領域と当該待機領域とを連通させる連通部と、を具備していることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 前記連通部は、前記プラズマ遮蔽手段に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記プラズマ遮蔽手段を冷却する冷却機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄膜形成装置。
  4. 前記基板と前記蒸着源とを相対移動させる相対移動機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  5. 前記相対移動機構は、一点状に配置された蒸着源と、前記基板とを、当該基板面と平行な2軸方向に相対移動させることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成装置。
  6. 前記相対移動機構は、一配列方向に配列された複数点状の前記蒸着源と、前記基板とを、前記配列方向とは異なる1軸方向に相対移動させることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成装置。
  7. 前記成膜領域と前記待機領域との間で基板を搬送する搬送機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  8. 前記待機領域には、複数の前記基板を待機させる待機機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  9. 前記成膜領域には、前記基板を保持する基板保持機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の薄膜形成装置を用いることにより、基板に薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
  11. 基板上に発光機能層を備えた電気光学装置の製造方法であって、
    請求項10に記載の薄膜形成方法を用いることにより、前記発光機能層の上方に薄膜を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  12. 前記発光機能層の上方に形成する薄膜は、透明導電膜であることを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置の製造方法。
  13. 前記発光機能層の上方に形成する薄膜は、当該発光機能層を保護する保護膜であることを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置の製造方法。
  14. 請求項13に記載の電気光学装置の製造方法を用いることにより製造されたことを特徴とする電気光学装置。
  15. 請求項14に記載の電気光学装置を具備することを特徴とする電子機器。
JP2004147688A 2004-05-18 2004-05-18 薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器 Withdrawn JP2005330509A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004147688A JP2005330509A (ja) 2004-05-18 2004-05-18 薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004147688A JP2005330509A (ja) 2004-05-18 2004-05-18 薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005330509A true JP2005330509A (ja) 2005-12-02

Family

ID=35485377

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004147688A Withdrawn JP2005330509A (ja) 2004-05-18 2004-05-18 薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005330509A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009010258A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Kyocera Corp 画像表示装置
KR20210087076A (ko) * 2018-11-16 2021-07-09 가부시키가이샤 알박 진공 처리 장치

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009010258A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Kyocera Corp 画像表示装置
KR20210087076A (ko) * 2018-11-16 2021-07-09 가부시키가이샤 알박 진공 처리 장치
KR102533330B1 (ko) * 2018-11-16 2023-05-17 가부시키가이샤 알박 진공 처리 장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4463492B2 (ja) 製造装置
JP4526776B2 (ja) 発光装置及び電子機器
KR101004060B1 (ko) 제조 시스템, 발광 장치, 및 유기 화합물 함유 층의 제조방법
US8110509B2 (en) Method of fabricating light emitting devices
JP5322354B2 (ja) 製造装置
US7928652B2 (en) Organic EL emitting layer having specific concentration profile
TWI513075B (zh) 發光裝置的製造方法
JP4493926B2 (ja) 製造装置
JP2004146369A (ja) 製造装置および発光装置の作製方法
JP2004063454A (ja) 蒸着装置
KR20100117438A (ko) 플렉서블 디스플레이 제조장치
JP4252317B2 (ja) 蒸着装置および蒸着方法
JP4373235B2 (ja) 成膜装置及び成膜方法
JP4634698B2 (ja) 蒸着装置
JP2009158227A (ja) マスク蒸着方法、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、およびマスク蒸着装置
JP6185498B2 (ja) 蒸着用マスク
JP2007066564A (ja) 有機el表示装置の製造方法及び製造装置
JP4515060B2 (ja) 製造装置および有機化合物を含む層の作製方法
JP2010121215A (ja) 蒸着装置および蒸着方法
JP2005330509A (ja) 薄膜形成装置、薄膜形成方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器
JP5568683B2 (ja) 蒸着用マスク、及び当該マスクを用いた蒸着方法
JP2004288463A (ja) 製造装置
JP4742512B2 (ja) 電気光学装置の製造方法及び電子機器
JP2013067867A (ja) 容器
JP2017036512A (ja) 成膜装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070807