JP2005330320A - 車載部品成形用木質樹脂材料およびそれから成形された車載部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性および耐湿気性の高い車載部品を成形できる木質樹脂材料を提供する。また、耐熱性および耐湿気性の高い車載部品を提供する。
【解決手段】 木質材料とフェノール類との共縮合反応により得られた木質樹脂に、カルボジイミド系樹脂を配合して木質樹脂材料とする。この木質樹脂材料から、車載部品を成形する。カルボジイミド系樹脂を配合することにより、木質樹脂に架橋構造が導入され、木質樹脂の耐熱性、耐湿気性が向上する。
【選択図】 なし
【解決手段】 木質材料とフェノール類との共縮合反応により得られた木質樹脂に、カルボジイミド系樹脂を配合して木質樹脂材料とする。この木質樹脂材料から、車載部品を成形する。カルボジイミド系樹脂を配合することにより、木質樹脂に架橋構造が導入され、木質樹脂の耐熱性、耐湿気性が向上する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、車載部品を成形するために用いられる木質樹脂材料、およびそれから成形された車載部品に関する。
フェノール樹脂は、耐熱性、寸法安定性、機械的強度等に優れ、それら諸物性と価格とのバランスも良好であるため、成形材料、接着剤等に広く使用されている。通常、フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、酸性または塩基性触媒の存在下で反応させることにより製造される。一方、化石資源の枯渇問題、および地球温暖化や大気汚染等の環境問題から、より環境への負荷の少ない材料の開発が望まれる。
資源問題、環境問題を考慮し、木材資源を有効に活用するという観点から、アルデヒド類に代え、木粉等のリグノセルロース類をフェノール類と反応させ、フェノール樹脂のような熱硬化性樹脂を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開平1−158021号公報
特開平4−63834号公報
車載部品には、高い機械的強度に加え、高温高湿環境下で長期間使用してもその機械的強度を維持できること、すなわち、高い耐熱性および耐湿気性が要求される。しかしながら、木粉等の木質材料は、親水性の炭水化物を主成分とする。よって、木質材料を含む樹脂の親水性は高い。つまり、木質材料を含む樹脂は吸湿し易い。このため、木質材料を含む樹脂から成形された成形物では、耐湿気性が低い。したがって、上記特許文献1、2に記載された樹脂では、高温高湿環境での長期使用に耐え得る車載部品を成形することはできない。
本発明は、このような実状を鑑みてなされたものであり、耐熱性および耐湿気性の高い車載部品を成形できる木質樹脂材料を提供することを課題とする。また、木質樹脂材料を用い、耐熱性および耐湿気性の高い車載部品を提供することを課題とする。
(1)本発明の車載部品成形用木質樹脂材料(以下、適宜「本発明の木質樹脂材料」と称す。)は、木質材料とフェノール類との共縮合反応により得られた木質樹脂に、カルボジイミド系樹脂が配合されてなることを特徴とする。
木質材料とフェノール類との共縮合反応は、木質材料のフェノール化反応ともいう。共縮合反応では、木質材料の主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンの分子内結合が種々の度合に開裂し、リグニン側鎖等へフェノールが導入される。これにより、熱可塑性の樹脂が生成されるとともに、木質材料の溶解が促進され、より反応が進行し易くなる。本発明の木質樹脂材料を構成する木質樹脂は、このような共縮合反応により得られた樹脂であり、木質材料自体の分解物、および木質材料の成分とフェノール類との結合体等を含む。
上述したように、木質樹脂は吸湿し易い。しかし、本発明者は、木質樹脂にカルボジイミド系樹脂を配合すると、機械的強度を損なうことなく、耐湿気性を向上させることができるという知見を得た。カルボジイミド系樹脂は、分子中に「−N=C=N−」で表されるカルボジイミド基を有する。カルボジイミド基は、木質樹脂に含まれるカルボキシル基や水酸基と容易に反応し、カルバモイルアミド、イソウレアを生成する。また、カルボジイミド系樹脂は、加熱すると溶融し、内部架橋反応により硬化する。これらの反応により、木質樹脂に架橋構造を導入し、木質樹脂の耐熱性、耐湿気性を向上させる。
このように、本発明の木質樹脂材料を用いれば、耐熱性、耐湿気性の高い車載部品を成形することができる。また、木質樹脂は、従来使用していたアルデヒド類を含まない。このため、本発明の木質樹脂材料を用いても、環境への負荷は少ない。
(2)本発明の車載部品は、上記本発明の木質樹脂材料から成形されたことを特徴とする。上述したように、本発明の木質樹脂材料から成形された車載部品は、高い耐熱性、耐湿気性を有する。よって、本発明の車載部品は、高温高湿環境での長期使用にも充分耐え得る。
本発明の木質樹脂材料は、木質樹脂にカルボジイミド系樹脂が配合されてなる。カルボジイミド系樹脂が配合されるため、木質樹脂の耐熱性および耐湿性が向上する。よって、本発明の木質樹脂材料によれば、耐熱性、耐湿気性に優れた車載部品を成形することができる。また、本発明の車載部品は、高い耐熱性、耐湿気性を有する。
以下、本発明の車載部品成形用木質樹脂材料および車載部品について詳細に説明する。なお、本発明の車載部品成形用木質樹脂材料および車載部品は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
〈車載部品成形用木質樹脂材料〉
本発明の木質樹脂材料は、木質樹脂にカルボジイミド系樹脂が配合されてなる。まず、木質樹脂について説明する。
本発明の木質樹脂材料は、木質樹脂にカルボジイミド系樹脂が配合されてなる。まず、木質樹脂について説明する。
木質樹脂は、木質材料とフェノール類とを共縮合反応させて製造する。木質材料には、例えば、樹木、竹、ケナフ、木材繊維、木材チップ、おがくず、パルプ、古紙等のリグノセルロース物質を用いればよい。作業性やフェノール類との反応速度等を考慮して、これらの物質を粉砕し、砕片や粉末の状態で用いることが望ましい。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等が挙げられる。これらを単独で、または二種以上を混合して用いればよい。コストおよび反応性を考慮すれば、フェノールを用いることが望ましい。また、上記フェノール等に変性剤を共存させてもよい。変性剤としては、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素、桐油、亜麻仁油等の乾性油、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。
木質材料とフェノール類との共縮合反応は、既に公知の方法に準じて行えばよい。すなわち、木質材料とフェノール類と酸触媒とを混合し、この原料混合物を所定温度に加熱して、所定時間保持すればよい。使用する酸触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素等のルイス酸が挙げられる。なかでも硫酸は、安価で触媒活性が高いため好適である。
木質材料、フェノール類、酸触媒の仕込み量、反応条件等を調整することにより、種々の木質樹脂を製造することができる。例えば、共縮合反応における木質材料の脱水率を27%以上42%以下とし、かつ、木質材料に結合する結合フェノール量を木質材料100重量部に対して150重量部以上240重量部以下とした場合には、本発明の木質樹脂材料に好適な木質樹脂となる。すなわち、木質材料の脱水率と、結合フェノール量とを上記範囲に限定することで、木質樹脂の水分量、分子量が最適化される。
木質材料はフェノール類と反応する。同時に、木質材料自身に含まれる水酸基が、分子内および分子間の脱水、縮合反応により減少する。水酸基を少なくする、つまり、共縮合反応において、脱水率を大きくし、フェノール類との結合を多くすると、生成される木質樹脂の親水性を低くすることができる。一方、脱水率が大きくなり、フェノール類との結合が多くなると、木質樹脂の分子量は大きくなり、流動性は低下する。流動性が低いと成形性は悪くなる。また、木質樹脂の水分量が最適化されると、成形時等、木質樹脂が高温に曝された場合でも新たな脱水は生じ難い。よって、高温下での脱水による木質樹脂の分解が抑制されるため、木質樹脂の耐熱性は高くなる。
ここで、「木質材料の脱水率」は、原料の木質材料の分子から共縮合反応中にどの程度の水分が生成されるか(木質成分である炭水化物の脱水等)を示す指標であり、次式(a)で算出される。
木質材料の脱水率(%)={(反応後生成物水分量−反応前原料混合物水分量)/(仕込木質材料乾燥重量−未反応木質材料重量)}×100・・・(a)
式(a)中、「反応後生成物水分量」および「反応前原料混合物水分量」は、反応前後の原料混合物および生成物の水分量を、それぞれカールフィッシャー水分計等により測定することにより得られる。また、「未反応木質材料重量」の測定は、共縮合反応後の生成物をメタノールに溶解し、不溶解分を濾別、乾燥して秤量する(以下式(b)において同じ。)。
木質材料の脱水率(%)={(反応後生成物水分量−反応前原料混合物水分量)/(仕込木質材料乾燥重量−未反応木質材料重量)}×100・・・(a)
式(a)中、「反応後生成物水分量」および「反応前原料混合物水分量」は、反応前後の原料混合物および生成物の水分量を、それぞれカールフィッシャー水分計等により測定することにより得られる。また、「未反応木質材料重量」の測定は、共縮合反応後の生成物をメタノールに溶解し、不溶解分を濾別、乾燥して秤量する(以下式(b)において同じ。)。
木質材料の脱水率が27%未満の場合には、好適範囲の場合と比べて、木質樹脂の耐湿気性および耐熱性が低い。木質材料の脱水率を30%以上とするとより好適である。一方、木質材料の脱水率が42%を超える場合には、好適範囲の場合と比べて、木質樹脂の流動性が低下し、成形性が悪くなる。木質材料の脱水率を38%以下とするとより好適である。
また、「結合フェノール量」は、木質材料100重量部に対して結合されたフェノール類の量であり、次式(b)で算出される。
結合フェノール量(重量部)={(仕込フェノール重量−反応後残存フェノール重量)/(仕込木質材料乾燥重量−未反応木質材料重量)}×100・・・(b)
式(b)中、「反応後残存フェノール重量」は、共縮合反応後の生成物中に残存する遊離フェノール重量である。遊離フェノール重量は、ガスクロマトグラフィ、または高速液体クロマトグラフィ等により測定される。
結合フェノール量(重量部)={(仕込フェノール重量−反応後残存フェノール重量)/(仕込木質材料乾燥重量−未反応木質材料重量)}×100・・・(b)
式(b)中、「反応後残存フェノール重量」は、共縮合反応後の生成物中に残存する遊離フェノール重量である。遊離フェノール重量は、ガスクロマトグラフィ、または高速液体クロマトグラフィ等により測定される。
結合フェノール量が150重量部未満の場合には、好適範囲の場合と比べて、木質樹脂の耐湿気性および耐熱性が低い。結合フェノール量を170重量部以上とするとより好適である。一方、結合フェノール量が240重量部を超える場合には、好適範囲の場合と比べて、木質樹脂の流動性が低下し、成形性が悪くなる。結合フェノール量を210重量部以下とするとより好適である。
木質樹脂の軟化点は、特に限定されるものではない。例えば、軟化点を110℃以下とすることにより、成形性をより向上させることができる。なお、本明細書における軟化点は、JIS K6910−1999により測定される。
上記好適な木質樹脂は、以下の方法により簡便に製造することができる。すなわち、100重量部の木質材料と、200重量部以上1000重量部以下のフェノール類と、0.5重量部以上10重量部以下の酸触媒とを混合して原料混合物を調製し、調製した原料混合物を135℃以上170℃以下の温度に加熱して共縮合反応させる。共縮合反応を促進するため、加熱の際、原料混合物を攪拌、還流することが望ましい。反応時間は、木質材料の脱水率および結合フェノール量が所定の範囲内になるよう、適宜調整すればよい。
共縮合反応後の生成物には、通常、未反応のフェノール類(遊離フェノール類)が存在する。多量の遊離フェノール類は、成形性や物性を低下させる。そのため、生成物から遊離フェノール類を除去することが望ましい。遊離フェノール類の除去は、例えば、水洗、溶剤抽出、水蒸気蒸留、減圧蒸留等により行えばよい。木質樹脂中の遊離フェノール類は、木質樹脂を100wt%とした場合の5wt%以下であることが望ましい。2wt%以下とするとより好適である。
次に、カルボジイミド系樹脂について説明する。カルボジイミド系樹脂は、分子中に「−N=C=N−」で表されるカルボジイミド基を有する樹脂であり、商品としては、カルボジライト(登録商標、日清紡績株式会社製)等が挙げられる。カルボジイミド系樹脂は、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート等の有機ジイソシアネートを、不活性溶媒中、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド等のカルボジイミド化触媒の存在下で脱炭酸縮合反応させて得られる。この際、末端封止剤を用いて、分子量を適宜調整してもよい。なかでも、末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド系樹脂は、イソシアネート基と木質樹脂中の水酸基とが反応するため、木質樹脂の耐熱性、耐湿気性の向上効果が高く好適である。
カルボジイミド系樹脂は、木質樹脂への分散性を考慮して、液状あるいは粉末状で配合するとよい。耐熱性、耐湿性の向上効果を発揮させるためには、カルボジイミド系樹脂の配合割合を、本発明の木質樹脂材料全体を100重量%とした場合の0.5重量%以上とすることが望ましい。1重量%以上とするとより好適である。一方、流動性低下による成形性への影響を考慮すると、カルボジイミド系樹脂の配合割合を、本発明の木質樹脂材料全体を100重量%とした場合の30重量%以下とすることが望ましい。10重量%以下とするとより好適である。また、カルボジイミド基と、木質樹脂中のカルボキシル基や水酸基との反応を促進するために、木質樹脂とカルボジイミド系樹脂とを150℃程度に加熱して混合するとよい。
木質樹脂、カルボジイミド系樹脂の他に、さらに硬化剤と充填材とを配合して本発明の木質樹脂材料を構成してもよい。木質樹脂は、熱可塑性樹脂である。このため、本発明の木質樹脂材料では、硬化剤を配合して熱硬化性樹脂材料とする。硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、通常、フェノール樹脂の硬化剤として用いられるものを使用すればよい。硬化剤の配合量は、所望の効果が得られる範囲において適宜決定すればよい。硬化作用を充分に発揮させるためには、木質樹脂100重量部に対して、硬化剤を5重量部以上配合することが望ましい。8重量部以上とするとより好適である。また、硬化反応中のガスの発生を抑制し、成形物の欠陥を生じ難くするという観点から、硬化剤の配合量を、木質樹脂100重量部に対して25重量部以下とすることが望ましい。20重量部以下とするとより好適である。
また、充填材を配合することにより、成形された車載部品の寸法安定性、機械的強度等をより高くすることができる。充填材としては、麻繊維、ケナフ繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ホスファー繊維、ホウ素繊維等の補強性繊維、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、ホウ酸マグネシウム等の金属ホウ酸塩、シリカ、雲母、溶融シリカ、木粉、セルロース、木材パルプ等が挙げられる。なかでも、強度が高く、かつ吸湿性が低いという理由から、ガラス繊維を用いることが望ましい。また、環境への負荷が小さいという理由から、麻繊維、ケナフ繊維等の天然有機繊維を用いることが望ましい。天然有機繊維を用いる場合には、予め、繊維の表面に、吸湿性を低くするための表面処理を施しておくとよい。
充填材の配合量は、所望の効果が得られる範囲において適宜決定すればよい。成形物の機械的強度の向上等、充填材配合の効果を充分に発揮させるためには、木質樹脂と硬化剤とを併せた成分100重量部に対して、充填材を50重量部以上配合することが望ましい。70重量部以上とするとより好適である。また、成形性および成形物の物性を考慮すれば、充填材の配合量を、木質樹脂と硬化剤とを併せた成分100重量部に対して500重量部以下とすることが望ましい。400重量部以下とするとより好適である。
また、本発明の木質樹脂材料は、上記硬化剤および充填材に加えて、各種添加剤を配合してもよい。添加剤の一例として、木質樹脂の硬化を促進させる硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤としては、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物等が挙げられる。また、他の例として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の滑剤、シリコーン、ワックス等の内部離型剤、カップリング剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、顔料、増量剤等が挙げられる。これらの添加剤を、必要に応じて適宜配合すればよい。
本発明の木質樹脂材料は、例えば、木質樹脂とカルボジイミド系樹脂とを予め加熱混合しておき、その後に硬化剤、充填材、必要に応じて添加剤を加えて製造することができる。また、木質樹脂、カルボジイミド系樹脂、硬化剤、充填材、必要に応じて添加剤を一緒に混合して製造することもできる。以下、具体的な製造例を説明する。
まず、木質樹脂とカルボジイミド系樹脂とを加熱混合した後、冷却固化する。次いで、この混合物に、硬化剤、充填材、硬化促進剤等の添加剤を加えて混合する。その後、混合物を80〜100℃の熱ロール機、二軸混練機等で加熱混練する。混練物を室温に戻した後、粉砕し、顆粒状または粉末状の木質樹脂材料を得る。
〈車載部品〉
本発明の車載部品は、上記本発明の木質樹脂材料から、既に公知の各種成形法により成形すればよい。成形法としては、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出し成形等が挙げられる。車載部品としては、例えば、各種プーリ、各種ギア、ブレーキピストン、ブレーキライニング、オイルキャップ、フューエルポンプインペラー、ヒートインシュレータ、各種内装部品等が挙げられる。
本発明の車載部品は、上記本発明の木質樹脂材料から、既に公知の各種成形法により成形すればよい。成形法としては、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出し成形等が挙げられる。車載部品としては、例えば、各種プーリ、各種ギア、ブレーキピストン、ブレーキライニング、オイルキャップ、フューエルポンプインペラー、ヒートインシュレータ、各種内装部品等が挙げられる。
上記実施形態に基づいて、本発明の木質樹脂材料を製造した。また、カルボジイミド系樹脂を配合しない比較例の木質樹脂材料を製造した。これらの木質樹脂材料から、所定の試験片をそれぞれ成形し、それらの曲げ特性、耐熱性、耐湿気性を評価した。以下、順に説明する。
(1)木質樹脂の製造
まず、100重量部の乾燥米マツ木粉を、攪拌機、温度計、還流コンデンサー、仕込口を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、5重量部の硫酸を含むフェノールを500重量部加えて攪拌し、原料混合物を調製した。次いで、調製した原料混合物を、攪拌しながら145〜150℃の温度で2時間還流し、木粉とフェノールとの共縮合反応を行った。反応終了後、酸化マグネシウムを添加して、反応後の生成物を中和した。その後、最高160℃の温度下で減圧蒸留することにより、未反応のフェノールを除去し、247重量部の木質樹脂を得た。共縮合反応における木質材料の脱水率は33%、結合フェノール量は183重量部であった。また、木質樹脂中の遊離フェノールの割合は1.2%、木質樹脂の軟化点は106.3℃であった。
まず、100重量部の乾燥米マツ木粉を、攪拌機、温度計、還流コンデンサー、仕込口を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、5重量部の硫酸を含むフェノールを500重量部加えて攪拌し、原料混合物を調製した。次いで、調製した原料混合物を、攪拌しながら145〜150℃の温度で2時間還流し、木粉とフェノールとの共縮合反応を行った。反応終了後、酸化マグネシウムを添加して、反応後の生成物を中和した。その後、最高160℃の温度下で減圧蒸留することにより、未反応のフェノールを除去し、247重量部の木質樹脂を得た。共縮合反応における木質材料の脱水率は33%、結合フェノール量は183重量部であった。また、木質樹脂中の遊離フェノールの割合は1.2%、木質樹脂の軟化点は106.3℃であった。
(2)木質樹脂材料の製造
(a)実施例1の木質樹脂材料
製造した木質樹脂の100重量部に、カルボジイミド系樹脂としてカルボジライトV−05(商品名、日清紡績株式会社製)を10重量部混合した。混合は150℃で行い、その後室温まで冷却して固化した。得られた木質樹脂材料を実施例1の木質樹脂材料とした。
(a)実施例1の木質樹脂材料
製造した木質樹脂の100重量部に、カルボジイミド系樹脂としてカルボジライトV−05(商品名、日清紡績株式会社製)を10重量部混合した。混合は150℃で行い、その後室温まで冷却して固化した。得られた木質樹脂材料を実施例1の木質樹脂材料とした。
(b)実施例2の木質樹脂材料
実施例1の木質樹脂材料に、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを15重量部、硬化促進剤として水酸化カルシウムを5重量部、滑剤としてステアリン酸亜鉛を2.5重量部混合した。さらに、充填材として化粧板粉砕物を44重量部混合した。この混合物を、L/D=24の二軸混練機(東芝機械株式会社製、L/D:ロータの直径に対する長さの比)を用いて、90℃、60rpmで混練した。その後、室温まで冷却し、パワーミルで粉砕して粉末状の木質樹脂材料を得た。得られた木質樹脂材料を、実施例2の木質樹脂材料とした。
実施例1の木質樹脂材料に、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを15重量部、硬化促進剤として水酸化カルシウムを5重量部、滑剤としてステアリン酸亜鉛を2.5重量部混合した。さらに、充填材として化粧板粉砕物を44重量部混合した。この混合物を、L/D=24の二軸混練機(東芝機械株式会社製、L/D:ロータの直径に対する長さの比)を用いて、90℃、60rpmで混練した。その後、室温まで冷却し、パワーミルで粉砕して粉末状の木質樹脂材料を得た。得られた木質樹脂材料を、実施例2の木質樹脂材料とした。
(c)比較例の木質樹脂材料
製造した木質樹脂をそのまま比較例1の木質樹脂材料とした(カルボジイミド系樹脂無し)。また、この比較例1の木質樹脂材料を用いて、実施例2の木質樹脂材料の製造と同様の方法により、粉末状の木質樹脂材料を得た。得られた木質樹脂材料を、比較例2の木質樹脂材料とした。
製造した木質樹脂をそのまま比較例1の木質樹脂材料とした(カルボジイミド系樹脂無し)。また、この比較例1の木質樹脂材料を用いて、実施例2の木質樹脂材料の製造と同様の方法により、粉末状の木質樹脂材料を得た。得られた木質樹脂材料を、比較例2の木質樹脂材料とした。
(3)吸水試験
実施例2、比較例2の各木質樹脂材料から、JIS K−6911(1995年)に準拠した試験片(4×10×100mm)を成形した。試験片の成形は、圧縮成形用金型を用い、各木質樹脂材料を175℃、約29.4MPaで5分間ホットプレスして行った。成形した試験片を、使用した木質樹脂材料に対応させて、実施例2の試験片、比較例2の試験片とした。一方、実施例1、比較例1の各木質樹脂材料は、そのまま吸水試験に供した。
実施例2、比較例2の各木質樹脂材料から、JIS K−6911(1995年)に準拠した試験片(4×10×100mm)を成形した。試験片の成形は、圧縮成形用金型を用い、各木質樹脂材料を175℃、約29.4MPaで5分間ホットプレスして行った。成形した試験片を、使用した木質樹脂材料に対応させて、実施例2の試験片、比較例2の試験片とした。一方、実施例1、比較例1の各木質樹脂材料は、そのまま吸水試験に供した。
これらの試験片、木質樹脂材料を、150℃で12時間乾燥させた後、重量を測定した。測定された重量を吸水前重量とした。続いて、50℃、相対湿度95%の高温高湿下で50時間放置し、その後の重量を測定した。測定された重量を吸水後重量とした。そして、式[吸水率(%)={(吸水後重量−吸水前重量)/吸水前重量}×100]より、各試験片、木質樹脂材料の吸水率を算出した。
(4)曲げ試験
実施例2、比較例2の各試験片に対して曲げ試験を行い、それらの曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。曲げ試験の方法は、JIS K−6911(1995年)に準拠した。
実施例2、比較例2の各試験片に対して曲げ試験を行い、それらの曲げ強度、曲げ弾性率を測定した。曲げ試験の方法は、JIS K−6911(1995年)に準拠した。
(5)結果
各々の試験片、木質樹脂材料について、表1に吸水率、曲げ強度、曲げ弾性率の値を示す。
各々の試験片、木質樹脂材料について、表1に吸水率、曲げ強度、曲げ弾性率の値を示す。
Claims (6)
- 木質材料とフェノール類との共縮合反応により得られた木質樹脂に、カルボジイミド系樹脂が配合されてなる車載部品成形用木質樹脂材料。
- 前記共縮合反応における前記木質材料の脱水率は27%以上42%以下であり、該木質材料に結合された結合フェノール量は該木質材料100重量部に対して150重量部以上240重量部以下である木質樹脂を用いた請求項1に記載の車載部品成形用木質樹脂材料。
- 前記カルボジイミド系樹脂の配合割合は、当該車載部品成形用木質樹脂材料の全体を100重量%とした場合の0.5重量%以上30重量%以下である請求項1に記載の車載部品成形用木質樹脂材料。
- さらに、硬化剤と充填材とが配合されてなる請求項1に記載の車載部品成形用木質樹脂材料。
- 前記充填材は、天然有機繊維およびガラス繊維から選ばれる少なくとも一種以上を含む請求項4に記載の車載部品成形用木質樹脂材料。
- 請求項1に記載の車載部品成形用木質樹脂材料から成形された車載部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004147711A JP2005330320A (ja) | 2004-05-18 | 2004-05-18 | 車載部品成形用木質樹脂材料およびそれから成形された車載部品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004147711A JP2005330320A (ja) | 2004-05-18 | 2004-05-18 | 車載部品成形用木質樹脂材料およびそれから成形された車載部品 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103910909A (zh) * | 2014-04-02 | 2014-07-09 | 上海同化新材料科技有限公司 | 一种耐高温塑料复合材料 |
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2004
- 2004-05-18 JP JP2004147711A patent/JP2005330320A/ja active Pending
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CN103910909A (zh) * | 2014-04-02 | 2014-07-09 | 上海同化新材料科技有限公司 | 一种耐高温塑料复合材料 |
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