JP2005330247A - ポリエーテル組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)成分:
【化1】
(R1は炭化水素基であり;R2及びR3は炭素数1〜8のアルキレン基であり、同一でも異なってもよく;A及びA’は炭素数2〜4のアルキレン基の1種又は2種以上であり;n及びmは0以上の整数であり、同時に0にはならない)と、
(B)成分:
【化2】
(R4、R7及びR8は水素原子又は炭化水素基であり;R5及びR6は炭素数1〜8のアルキレン基であり;B、B’及びB”は炭素数2〜4のアルキレン基の1種又は2種以上であり;e、f及びgは0又は1の数であり、全て同時に0にはならず、e、f及びgが0の時はそれぞれに対応するR4、R7及びR8は水素原子となり、p、q及びrは0以上の整数であり、全て同時に0にはならない)
とを含有し、(B)成分の含有量が(A)成分100質量部に対して50質量部以下であるポリエーテル組成物とする。
【選択図】なし
Description
しかし、上記のような酸触媒を使用した場合には、ポリアルキレングリコールが大量に副生したり、アルキレンオキシドがエチレンオキシドの場合には、有害なジオキサンが副生したりする等の問題があり、一般的にはアルカリ金属の水酸化物等の塩基性触媒が工業用として使用されている。
また、アルキレンオキシド付加反応の触媒として、第四級アンモニウム塩に代表される相間移動触媒が知られているが、これらの触媒を使用した場合でも、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性触媒と同様にアミド交換反応が起こり、目的物の収率が低下してしまう(例えば、特許文献1及び2)。
これら副反応により生成するエステル化合物は、目的物100質量部に対して、通常65〜150質量部である。これらの副生成物は、通常、精製によって除去することができないので、最終製品にそのまま混入される。このような副反応が生じると、例えば、洗浄剤として用いた時に泡立ちが悪くなったり、乳化剤として用いた時に乳化特性が悪くなったりする等の問題が生じてしまう。
また、副反応の起きないその他の反応条件や触媒は、まだ知られていない。
下記の一般式(2)を有する(B)成分:
とを含有し、(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、50質量部以下であることを特徴とする。
また、本発明のポリエーテル組成物の製造方法は、触媒としてアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、及び水酸化テトラアルキルアンモニウムを使用し、活性水素基を持つ化合物の活性水素基にアルキレンオキシドを付加することを特徴とする
ここで(A)成分は、本発明の目的とする化合物(ポリエーテル化合物)であり、(B)成分は、副生成物(エステル結合を持つポリエーテル化合物)である。本発明のポリエーテル組成物は、(B)成分の除去困難性の観点から、副生成物(すなわち不純物)である(B)成分を(A)成分と共に含有するものである。
また、その他の不純物である複数のエステル化合物の混合物も、できるだけ少ないことが好ましい。
活性水素基を持つ化合物は、例えば一般式(3):
一般式(3)において、R1は炭化水素基であり、R2、R3は炭素数1〜8のアルキレン基であり、同一でも異なっていてもよい。ここで、R1、R2及びR3は、一般式(1)のR1、R2及びR3に対応するものであるので、上記したR1、R2及びR3と同様の例が挙げられる。
本発明において使用できる水酸化テトラアルキルアンモニウムとしては、下記一般式(4):
アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加量は、少量混入されていればよく、アルキレンオキシド付加前のアミド化合物の質量に対して、金属分換算で0.0002モル/kg〜0.04モル/kgが好ましく、0.0004モル/kg〜0.02モル/kgがより好ましく、0.001モル/kg〜0.006モル/kgが最も好ましい。0.0002モル/kg未満であると、反応速度が遅くなって製造時間が長くなる場合があるので好ましくない。一方、0.04モル/kgを超えるとになると、副反応が起こって目的物の収率が低くなることがあるので好ましくない。
ただし、通常のアルキレンオキシド付加反応と同様に、反応系内に水分が存在すると、低分子量のポリアルキレンオキシドが生成してしまうため、付加反応前に反応系内から水分を除去してやる必要がある。脱水は触媒添加前若しくは後にすることが可能であるが、触媒添加後にすることが好ましい。
脱水は加熱して減圧することが好ましい。加熱は、40〜120℃にすることが好ましく、50〜110℃がより好ましく、60〜100℃が最も好ましい。40℃未満であると、水分が完全に除去できないことがあるので好ましくない。一方、120℃を超えると、触媒の水酸化テトラアルキルアンモニウムが分解することがあるので好ましくない。減圧条件は、5KPa以下が好ましく、3KPa以下がより好ましく、1KPa以下が最も好ましい。5KPaを超えると、水分が完全に除去できない場合があるので好ましくない。
また、反応温度は40℃〜120℃が好ましく、50℃〜110℃がより好ましく、60℃〜100℃が更に好ましく、80℃〜95℃が最も好ましい。反応温度が40℃未満になると、反応速度が遅くなるために反応が終結しないことがあるので好ましくない。一方、反応温度が120℃を超えると、触媒の水酸化テトラアルキルアンモニウムが分解して反応が進まないことがあるので好ましくない。
無機吸着剤の添加量は、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物中の金属原子100質量部に対して、50〜2000質量部であることが好ましく、100〜1000質量部であることがより好ましい。添加量が50質量部未満であると金属化合物を完全に吸着することができず、一方2000質量部を超えると吸着剤に反応物目的物が大量にしみ込み、収率が低下してしまうので好ましくない。
吸着処理を行う場合は、触媒の金属化合物を含有する本発明のポリエーテル組成物に、無機吸着剤を添加し、攪拌した後、無機吸着剤を濾過・分離するのが一般的であるが、無機吸着剤が充填された容器(カラム)に金属化合物を含有する本発明のポリエーテル組成物を通過させてもよい。吸着処理の温度は、常温〜150℃程度であり、60〜120℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。温度が常温未満であると完全に吸着できないことがあり、一方150℃を超えると反応目的物が着色してしまうことがあるので好ましくない。また、処理時間は30分〜3時間がこのましい。処理時間が30分未満であると吸着処理が完全に終わらないことがあり、一方3時間を超えると吸着剤に含まれる金属分が溶出することがあるために好ましくない。
なお、以下の実施例では、実施例1〜6及び比較例1〜3を起泡剤、実施例7〜8及び比較例4〜5を乳化剤、並びに実施例9〜10及び比較例6〜7を消泡剤として調製した。
[実施例1]
攪拌装置、温度計及び窒素ガス導入管を備えた3リットルオートクレーブにラウリルジエタノールアミド287g(1モル)、及び触媒として水酸化ナトリウム0.04g(Na換算0.0035モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム12.5g(0.12モル/kg)を仕込んだ。90℃に昇温した後、2kPa以下で1時間減圧脱水し、その後80℃まで冷却して、反応温度80〜90℃でエチレンオキシド352g(8モル)を3時間かけて反応させた。反応終了後、140℃で1時間撹拌して、触媒である水酸化テトラメチルアンモニウムを分解し、更に、140℃、1kPa以下で1時間減圧して、分解物であるトリメチルアミンとメタノールを除去した。その後、無機吸着剤として合成ケイ酸アルミニウム(協和化学製、商品名キョーワード700)を5g添加して100℃で1時間攪拌してろ過し、水酸化ナトリウムを吸着させた無機吸着剤を除去した。その後、撹拌しながら100℃で1kPa以下に1時間減圧して水分を除去することによってラウリルジエタノールアミド8EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、オレイルジプロパノールアミド397g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化カリウム0.11g(K換算0.005モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム28.9g(0.2モル/kg)を使用し、エチレンオキシド660g(15モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってオレイルジプロパノールアミド15EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、ステアリルジエタノールアミド371g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.1g(Na換算0.007モル/kg)及び50%水溶液の水酸化テトラエチルアンモニウム54.5g(0.5モル/kg)を使用し、エチレンオキシド792g(18モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってステアリルジエタノールアミド18EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、ラウリルジエタノールアミド287g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.04g(Na換算0.0035モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム94.0g(0.9モル/kg)を使用し、エチレンオキシド440g(10モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってラウリルジエタノールアミド10EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、ラウリルジエタノールアミド287g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.34g(Na換算0.03モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム10.4g(0.1モル/kg)を使用し、エチレンオキシド440g(10モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってラウリルジエタノールアミド10EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、ラウリルジエタノールアミド287g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.34g(Na換算0.03モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム5.2g(0.05モル/kg)を使用し、エチレンオキシド440g(10モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってラウリルジエタノールアミド10EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、ラウリルジプロパノールアミド315g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化セシウム0.38g(Cs換算0.008モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム68.8g(0.6モル/kg)を使用し、プロピレンオキシド116g(2モル)及びエチレンオキシド660g(15モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってラウリルジプロパノールアミド2PO15EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、オレイルジエタノールアミド369g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.15g(Na換算0.01モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム8.1g(0.06モル/kg)を使用し、エチレンオキシド880g(20モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってオレイルジエタノールアミド20EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、2−エチルヘキシルジエタノールアミド231g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.018g(Na換算0.002モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム10.1g(0.12モル/kg)を使用し、プロピレンオキシド406g(7モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによって2−エチルヘキシルジエタノールアミド7PO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、オレイルジプロパノールアミド397g(1モル)を仕込み、触媒としてカリウムメトキシド1.11g(K換算0.04モル/kg)及び25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム14.5g(0.1モル/kg)を使用し、プロピレンオキシド464g(8モル)及びエチレンオキシド88g(2モル)を実施例1と同様の方法で反応・処理することによってオレイルジプロパノールアミド8PO2EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、ラウリルジエタノールアミド287g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.73g(Na換算0.064モル/kg)を使用し、エチレンオキシド440g(10モル)を実施例1と同様の方法で反応させた後、無機吸着剤として合成ケイ酸アルミニウム(協和化学製、商品名キョーワード700)を5g添加して100℃で1時間攪拌してろ過し、水酸化ナトリウムを吸着させた無機吸着剤を除去した後、撹拌しながら100℃で1kPa以下に1時間減圧して水分を除去することによってラウリルジエタノールアミド10EO付加物を得た。
比較例1と同様の方法で、オレイルジプロパノールアミド391g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化カリウム1g(K換算0.046モル/kg)を使用し、エチレンオキシド660g(15モル)を反応・処理することによってオレイルジプロパノールアミド15EO付加物を得た。
比較例1と同様の方法で、ステアリルジエタノールアミド371g(1モル)を仕込み、触媒としてナトリウムメトキシド1g(Na換算0.05モル/kg)を使用し、エチレンオキシド792g(18モル)を反応・処理することによってステアリルジエタノールアミド18EO付加物を得た。
比較例1と同様の方法で、ラウリルジプロパノールアミド315g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化セシウム1g(Cs換算0.021モル/kg)を使用し、プロピレンオキシド116g(2モル)及びエチレンオキシド660g(15モル)を反応・処理することによってラウリルジプロパノールアミド2PO15EO付加物を得た。
比較例1と同様の方法で、オレイルジエタノールアミド369g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.5g(Na換算0.102モル/kg)を使用し、エチレンオキシド880g(20モル)を反応・処理することによってオレイルジエタノールアミド20EO付加物を得た。
比較例1と同様の方法で、2−エチルヘキシルジエタノールアミド231g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.65g(Na換算0.07モル/kg)を使用し、プロピレンオキシド406g(7モル)を反応・処理することによって2−エチルヘキシルジエタノールアミド7PO付加物を得た。
比較例1と同様の方法で、オレイルジプロパノールアミド397g(1モル)を仕込み、触媒としてカリウムメトキシド1g(K換算0.036モル/kg)を使用し、プロピレンオキシド464g(8モル)及びエチレンオキシド88g(2モル)を反応・処理することによってオレイルジプロパノールアミド8PO2EO付加物を得た。
実施例1と同様の反応装置に、ラウリルジエタノールアミド287g(1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.04g(Na換算0.0035モル/kg)を使用し、エチレンオキシド440g(10モル)を実施例1と同様の方法で反応させた。しかし、20時間過ぎてもオートクレーブ内の圧力は低下せず、反応は完結しなかった。
実施例1と同様の反応装置に、ラウリルジエタノールアミド287g(1モル)を仕込み、触媒として25%水溶液の水酸化テトラメチルアンモニウム12.5g(0.12モル/kg)を使用し、エチレンオキシド440g(10モル)を実施例1と同様の方法で反応させた。しかし、20時間過ぎてもオートクレーブ内の圧力は低下せず、反応は完結しなかった。
以上、実施例1〜10及び比較例1〜9において得られた生成物を表1に示した。
界面活性剤の起泡力及び泡の安定度の測定は、JIS K3362の合成洗剤試験方法(ロスマイルス法)に基づいて行った。実施例1〜6及び比較例1〜3の起泡剤の0.1質量%水溶液を調製し、試料水溶液とした。試料水溶液50mlを試験装置下部に入れ、試料水溶液200mlを25℃の温度条件のもとで900mmの高さから30秒間で液面上に落下させたときに生じる泡の高さを測って起泡力とし、その直後、1分、3分、5分後の高さを泡の安定度とした。その結果を表2に示した。
200mlの栓付メスシリンダーに、水を60ml及びアクリル酸エチルエステルを140ml入れ、本発明品7〜8及び比較品4〜5の乳化剤を1.5g添加した。栓をして、上下に10回強振した後静置して、30秒後、1分後、3分後、5分後のメスシリンダー内の乳化状態を観察した。その結果を表3に示した。
0.01mol/lのドデシル硫酸ナトリウム水溶液を発泡液として、該水溶液200ml中に実施例9〜10及び比較例6〜7の消泡剤を0.2g加えた後、該混合物を1000mlメスシリンダーに入れ、25℃にて空気吹き込み速度1000ml/分で直径2.5cmのボールフィルターで通気した際の発泡量を、0分後から5分後まで1分ごとに測定した。その結果を表4に示した。
アシル基及び水酸基を有する脂肪族化合物がアミド化合物の場合、副反応によりエステル化合物が生成する。このエステルの生成量を測定することにより、副反応の大きさを見積もることができる。測定は、アルキレンオキシド付加反応の前後で赤外吸収分析(FT−IR−430:日本分光株式会社)を行い、1600〜1650cm−1に現れるアミド結合の吸収と、1700〜1750cm−1に現れるエステル結合の吸収との大きさを比較した。比較方法は、得られたチャートのベースラインから、それぞれの吸収ピーク頂点までの高さを測定し、エステル吸収とアミド吸収との比から、系内のアミドとエステルとの質量比を算出した。その結果を表5に示した。
Claims (6)
- 下記の一般式(1)を有する(A)成分:
下記の一般式(2)を有する(B)成分:
とを含有し、(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、50質量部以下であることを特徴とするポリエーテル組成物。 - (B)成分を含む全てのエステル結合を有するポリエーテル化合物の含有量が、(A)成分100質量部に対して、50質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテル組成物。
- 触媒としてアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、及び水酸化テトラアルキルアンモニウムを使用し、活性水素基を持つ化合物の活性水素基にアルキレンオキシドを付加することを特徴とするポリエーテルの製造方法。
- 前記水酸化テトラアルキルアンモニウムが、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム及び水酸化テトラブチルアンモニウムからなる群から選択される何れか一つであることを特徴とする請求項3に記載のポリエーテルの製造方法。
- 前記水酸化テトラアルキルアンモニウムと、前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とのモル数の比が1:1〜1:0.0005の範囲であることを特徴とする請求項3又は4に記載のポリエーテルの製造方法。
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