JP2005329577A - 金型温度の調整装置および調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金型4,5の加熱時に、金型4,5の温度が所定の樹脂充填開始温度値THから加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHを減じた値TH−ΔTHまで上昇した時点で金型4,5への高温熱媒体の供給を停止し、金型4,5の冷却時に、金型4,5の温度が所定の型開き開始温度TLに冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1を和した値TL+ΔTL1まで下降した時点で金型4,5への低温熱媒体の供給を停止する。また、成形工程における金型の実測温度変化を示す画像を表示する。
【選択図】 図3
Description
そこで、予め樹脂の熱変形温度以上の温度まで加熱した金型に溶融樹脂を充填することによって該溶融樹脂表面の固化を遅らせ、この樹脂の充填後、金型を樹脂の熱変形温度以下まで冷却してから型開きを行うという成形方法が提案されている。
この金型加熱冷却切換装置では、金型に設けられた温調通路(熱媒体通路)に高温熱媒体を通すことによって該金型が加熱され、金型が樹脂充填に適した温度に達した時点で高温熱媒体の供給が止められる。金型のキャビティに溶融樹脂が充填されると、該金型に通す熱媒体が低温熱媒体に切換えられ、これによって金型が冷却される。そして、金型が型開に適する温度に達すると、低温熱媒体の供給が止められた後、型開きおよび成形品の取出しが実行され、ついで、型閉および金型の再加熱が実行される。
また、金型の温度を低温から高温に切換えるときには、上記高温熱媒体回収タンクにおいて温調された高温の熱媒体が温調通路に供給され、これにより、該温調通路に残っている低温熱媒体が外方に押し出されて低温熱媒体回収タンクに回収される。(例えば、特許文献1参照)
また、金型の温度調整は、金型の重量、熱媒体の温度、流速、樹脂材料等を勘案して行う必要があるが、従来は試行錯誤と作業者の経験および勘に
頼って調整していたため、最適な調整を行うことが困難であった。
前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHは、前記金型の温度のオーバーシュートが抑制されるように前記高温熱媒体の供給停止時点を規定する予測上昇温度値であり、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1は、前記金型の温度のアンダーシュートが抑制されるように前記低温熱媒体の供給停止時点を規定する予測下降温度値である。
を更に備えることができる。
前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHは、前記金型の温度のオーバーシュートが抑制されるように前記高温熱媒体の供給停止時点を規定する予測上昇温度値であり、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1は、前記金型の温度のアンダーシュートが抑制されるように前記低温熱媒体の供給停止時点を規定する予測下降温度値である。
図1は第1の実施形態に係る射出成形機の要部と金型温度調整装置を示す模式図、図2はこの金型温度調整装置の温度調整制御系統を示すブロック図、図3は射出成形機の各作動工程に対する金型温度の設定値記入枠と実測値を示す画像の一例を示す図、図4は金型単体を加熱、冷却した場合の該金型の温度変化の実測波形を画像の一例を示す。
型締装置20は、基台1に固定支持された固定ダイプレート2と、この固定ダイプレート2と対向する可動ダイプレート3を備えている。可動ダイプレート3は、固定ダイプレート2に対して近接離反し得るように、基台1に敷設されたガイドレール13にリニアベアリング18を介して移動可能に支持されている。
可動ダイプレート3の移動には、例えば油圧駆動の油圧シリンダ12が用いられる。固定ダイプレート2および可動ダイプレート3の各対向面には、固定金型4および可動金型5がそれぞれ取付けられている。したがって、油圧シリンダ12による可動ダイプレート3の移動によって金型4,5が開閉される。
上記各油圧シリンダ2a内に摺動可能に配設されたラム8には、片端部にねじ溝を有するタイバー9がそれぞれ直結されている。各タイバー9の片端部は、可動ダイプレート3を貫通し、該可動ダイプレート3の反金型側に設置された半割りナット11に螺合している。したがって、各タイバー9は、可動ダイプレート3と一体移動することができる。
低温水タンク23は、低温水を低設定温度に調整する図示していない低温水温度調整器を内蔵している。この低温水タンク23の底部に取付けられた配管31aは、低温水ポンプ26、低温水配管31c、開閉弁52および供給配管31dを介して金型4、5の熱媒体入口に連結されている。一方、低温水タンク23の上部に取付けられた配管31eは、開閉弁55および戻り配管35を介して金型4、5の熱媒体出口に連結されている。
画像表示手段33は、図3に示すようなタッチキー式の画像表示パネルを備えている。この画像表示パネルの表示画像では、成形工程における金型温度の設定位置、タイマーの作動開始位置等をタッチキーで指定することができる。温度や時間の設定値は、前記設定手段46に設けられたテンキーで入力される。
なお、前記した水圧調整弁61による水圧調整作用でタンク24内の水蒸気の飽和温度を上げることにより、高温水を100度以上の高目標温度に安定保持することが可能である。
この加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHと、冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1は、以下のような方法を用いて予測することができる。
サンプル金型を用い、145℃の高温水と22℃の低温水とを使用してドライサイクルにより金型の温度を上昇、下降させた場合、画像表示パネルには該温度の測定結果が図4に例示するように画像表示される。
射出開始時の金型温度を120℃としてその付近の時間に対する温度変化を見ると、5秒間で15℃の温度上昇が見られ、冷却終了温度70℃付近では約10秒間で20℃の温度下降が見られる。そこで、金型温度制御装置32は、この金型温度の変化と上下降時間とに基づいて上記時定数を算出し、この時定数から上記オーバーシュート温度補正値(ΔTH)およびアンダーシュート温度補正値(ΔTL1)を予測する。
金型温度制御装置32は、全開閉弁52〜55を閉じた状態で、高温水温度THW、低温水温度TLWがそれぞれ設定温度に到達しているか否かを判断し、設定温度に到達していることが確認された時点で開閉弁53、54を開くとともに、高温水ポンプ28の運転を開始する。これにより、金型4、5に高温水が供給される。
その後、金型温度がTH−ΔTH(図3参照)に到達したことを金型温度制御装置32のCPUが判断すると、このCPUからの指令に基づいて開閉弁53、54が閉じられるとともに高温水ポンプ28が停止され、その結果、金型への高温水の供給が停止される。
射出ユニット10は、溶融樹脂を射出シリンダ6の先端に貯溜した状態で待機している。金型温度が値TH−ΔTHからオーバーシュート温度補正値ΔTHだけ上昇して値TH、つまり、樹脂充填開始温度値THに達すると、金型温度制御装置32から成形機制御装置15へスクリュ作動指令信号が送られる。これにより、射出スクリュ7が前進作動されて、金型キャビティ内に樹脂を充填する充填工程が開始される。
上記時間SRは、前記ドライサイクルで実測される時定数から予測することが可能である。そこで、金型4、5内の熱媒体通路の低温水への置換えが終了する時点は、上記時間SRを前記タイマーで計時することによって認識することができる。
金型温度制御装置32は、金型温度が値TL+ΔTL1に到達したとき、開閉弁52、55を閉じて低温水の金型への供給を停止し、かつ、金型温度が値TL+ΔTL2に到達した後(または、低温熱媒体の供給停止時点から図3に示す設定時間SHが経過した後)、開閉弁53を開く。これにより、高温水が金型4、5へ供給されるので、該金型内の熱媒体通路に貯溜していた低温水が排出されて、高温水に置換えられる。
なお、金型4、5の温度が値TLまで下降したことは前記金型温度センサ62の出力に基づいて知ることができる。しかし、金型温度が値TL+ΔTL1からTLまで低下する時間S2は、前記ドライサイクルで実測される時定数から予測することが可能である。そこで、金型温度が値TL+ΔTL1に到達した時点から上記時間S2を計時することによって、金型温度が値TLに到達する時点を認識するようにしても良い。この場合、時間S2は前記タイマーによって計時することができる。
前記したように、開閉弁53を開いて金型内の熱媒体通路に貯溜していた低温水を高温水により排出する。そして、高温水が低温水に置換わった時点で、開閉弁54を開くとともに、低温水配管35の開閉弁55を閉じる。これにより、高温水の循環供給が続行されて、金型の再加熱工程が進められる。
なお、高温水が低温水に置換わる時点は、前記ドライサイクルで実測される時定数から予測することが可能である。そこで、開閉弁53が開かれてから上記予測時間を前記タイマーで計時することによって上記高温水の置換え完了時点を認識することができる。
この第2の実施形態では、図1、図2に示す画像表示手段33および設定手段46を省略し、これらの機能を成形機制御装置15の設定表示手段15aに持たせるようにしている。すなわち、設定表示手段15aは、図3に示すようなタッチキー式の画像表示パネルを備え、タッチキー等の操作で第1の表示モードが設定された場合に、この図3に示す画像が表示される。この場合、前記したように成形工程における金型温度の設定位置、タイマーの作動開始位置等をタッチキーで指定することができ、かつ、その指定された位置に対応する温度や時間の設定値を図示していないテンキーで入力することができる。
成形機制御装置15は、上記画像表示パネルに表示された設定値に基づいて、前記型開閉用シリンダ12、型締用シリンダ2a、射出スクリュ7等の駆動油圧を制御し、また、射出圧力等の実測値を画像表示パネルに表示させる。
5 可動金型
10 射出ユニット
15 成形機制御装置
15a 設定表示手段
20 型締装置
23 低温水タンク
24 高温水タンク
25 回収タンク
26 低温水ポンプ
28 高温水ポンプ
32 金型温度制御装置
33 画像表示手段
52、53、55 開閉弁
61 水圧調整弁
62 金型温度センサ
63 低温水温度センサ
64 高温水温度センサ
Claims (15)
- 金型に設けられた熱媒体通路に所定温度の高温熱媒体と低温熱媒体とを選択的に流すことによって該金型の温度制御を行う金型温度調整装置であって、
前記金型の温度を実測する金型温度計測手段と、
前記金型の加熱時に、この金型の温度が所定の樹脂充填開始温度値THから加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHを減じた値TH−ΔTHまで上昇した時点で該金型への前記高温熱媒体の供給を停止し、前記金型の冷却時に、この金型の温度が所定の冷却完了型開き開始温度TLに冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1を和した値TL+ΔTL1まで下降した時点で該金型への前記低温熱媒体の供給を停止する金型温度制御手段と、を備え、
前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHは、前記金型の温度のオーバーシュートが抑制されるように前記高温熱媒体の供給停止時点を規定する予測上昇温度値であり、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1は、前記金型の温度のアンダーシュートが抑制されるように前記低温熱媒体の供給停止時点を規定する予測下降温度値であることを特徴とする金型温度の調整装置。 - 前記金型温度制御手段は、前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHに相当する温度上昇の経過を、前記金型温度計測手段で前記金型の温度を実測することによって、もしくは、前記金型の温度が前記値TH−ΔTHから値THまで上昇するのに要すると予測される時間S1を計時手段で計時することによって認識し、冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1に相当する温度下降の経過を、前記金型温度計測手段で前記金型の温度を実測することによって、もしくは、前記金型の温度が前記値TL+ΔTL1から値TLまで下降するのに要すると予測される時間S2を計時手段で計時することによって認識することを特徴とする請求項1に記載の金型温度の調整装置。
- 前記金型温度制御手段は、前記金型の温度が値TL+ΔTL2(<ΔTL1)まで下降した時点で前記金型に前記高温熱媒体の供給を開始し、前記金型の温度が値THまで上昇した時点で前記金型に前記低温熱媒体の供給を開始するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の金型温度調整装置。
- 前記金型温度制御手段は、前記金型の温度が値TL+ΔTL2(<ΔTL1)まで下降する時点を、前記金型温度計測手段で前記値TL+ΔTL2を実測することによって、もしくは、前記金型の温度が値TL+ΔTL1から値TL+ΔTL2まで降下するのに要すると予測される時間SHを計時手段で計時することによって認識することを特徴とする請求項3に記載の金型温度調整装置。
- 前記高温熱媒体の温度、前記低温熱媒体の温度、前記樹脂充填開始温度TH、前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTH、前記冷却完了型開き開始温度TL、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1、および高温熱媒体供給開始温度ΔTL2をそれぞれ金型温度制御条件として設定する金型温度制御条件設定手段と、
成形工程における前記金型温度制御条件を表示し、かつ、実成形工程における前記金型の実測温度変化を表示する表示手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の金型温度調整装置。 - 前記表示手段は、前記金型温度制御条件と前記実測温度変化とを同じ画面上で切換えて表示することが可能であるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の金型温度調整装置。
- 前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHを、前記金型単体を加熱した際の該金型の温度変化の時定数に基づいて予測し、かつ、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1を、前記金型単体を冷却した際の該金型の温度変化の時定数に基づいて予測する手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の金型温度調整装置。
- 前記金型が射出成形機の金型であり、この射出成形機を制御する成形機
制御手段に設けられた射出成形条件設定・表示手段に、
前記高温熱媒体の温度、前記低温熱媒体の温度、前記樹脂充填開始温度TH、前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTH、前記冷却完了型開き開始温度TL、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1、および高温熱媒体供給開始温度ΔTL2をそれぞれ金型温度制御条件として設定する温度制御条件設定手段を設け、
前記温度制御条件設定手段で設定された前記金型温度制御条件を、前記射出成形条件設定・表示手段に表示させるとともに、実成形工程における前記金型の実測値を前記射出成形条件設定・表示手段に表示させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の金型温度調整装置。 - 金型に設けられた熱媒体通路に所定温度の高温熱媒体と低温熱媒体とを選択的に流すことによって該金型の温度制御を行う金型温度調整方法であって、
前記金型の温度を実測するステップと、
前記金型の加熱時に、この金型の温度が所定の樹脂充填開始温度値THから加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHを減じた値TH−ΔTHまで上昇した時点で該金型への前記高温熱媒体の供給を停止するステップと、
前記金型の冷却時に、この金型の温度が所定の冷却完了型開き開始温度TLに冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1を和した値TL+ΔTL1まで下降した時点で該金型への前記低温熱媒体の供給を停止するステップと、を含み、
前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHは、前記金型の温度のオーバーシュートが抑制されるように前記高温熱媒体の供給停止時点を規定する予測上昇温度値であり、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1は、前記金型の温度のアンダーシュートが抑制されるように前記低温熱媒体の供給停止時点を規定する予測下降温度値であることを特徴とする金型温度の調整方法。 - 前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHに相当する温度上昇の経過は、前記金型温度計測手段で、前記金型の温度を実測することによって、もしくは、前記金型の温度が前記値TH−ΔTHから値THまで上昇するのに要すると予測される時間S1を計時手段で計時することによって認識され、冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1に相当する温度下降の経過は、前記金型温度計測手段で前記金型の温度を実測することによって、もしくは、前記金型の温度が前記値TL+ΔTL1から値TLまで下降するのに要すると予測される時間S2を計時手段で計時することによって認識されることを特徴とする請求項9に記載の金型温度の調整方法。
- 前記時間S1は、前記金型単体を加熱した際の該金型の温度変化の時定数に基づいて予測され、前記時間S2は、前記金型単体を冷却した際の該金型の温度変化の時定数に基づいて予測されることを特徴とする請求項10に記載の金型温度調整方法。
- 前記高温熱媒体の供給は、前記金型の温度が値TL+ΔTL2(<ΔTL1)まで下降した時点で開始され、前記低温熱媒体の供給は、前記金型の温度が値THまで上昇した時点で開始されることを特徴とする請求項10に記載の金型温度調整方法。
- 前記金型の温度が値TL+ΔTL2(<ΔTL1)まで下降する時点は、前記金型温度計測手段で前記値TL+ΔTL2を実測することによって、もしくは、前記金型の温度が値TL+ΔTL1から値TL+ΔTL2まで降下するのに要すると予測される時間SHを計時手段で計時することによって認識されることを特徴とする請求項12に記載の金型温度調整方法。
- 前記高温熱媒体の温度、前記低温熱媒体の温度、前記樹脂充填開始温度TH、前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTH、前記冷却完了型開き開始温度TL、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1、および高温熱媒体供給開始温度ΔTL2をそれぞれ金型温度制御条件として設定するステップと、
成形工程における基準金型温度曲線上に前記金型温度制御条件を付記してなる第1の画像を表示手段に表示し、かつ、実成形工程における前記金型の実測温度変化を示す第2の画像を前記表示手段に表示するステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の金型温度調整方法。 - 前記加熱オーバーシュート温度補正値ΔTHは、前記金型単体を加熱した際の該金型温度変化の時定数に基づいて予測され、前記冷却アンダーシュート温度補正値ΔTL1は、前記金型単体を冷却した際の該金型温度変化の時定数に基づいて予測されることを特徴とする請求項9に記載の金型温度調整方法。
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