JP2005322760A - 磁気記憶装置及びその製造方法 - Google Patents

磁気記憶装置及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005322760A
JP2005322760A JP2004139345A JP2004139345A JP2005322760A JP 2005322760 A JP2005322760 A JP 2005322760A JP 2004139345 A JP2004139345 A JP 2004139345A JP 2004139345 A JP2004139345 A JP 2004139345A JP 2005322760 A JP2005322760 A JP 2005322760A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wiring
layer
magnetic
soft magnetic
metal layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004139345A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Horikoshi
浩 堀越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2004139345A priority Critical patent/JP2005322760A/ja
Publication of JP2005322760A publication Critical patent/JP2005322760A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Internal Circuitry In Semiconductor Integrated Circuit Devices (AREA)
  • Semiconductor Memories (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

【課題】 ビット線の側部に選択的に良質の軟磁性体層を形成して、電流磁界を効率良く記憶素子に導くことにより、磁界を発生させるために必要な供給電流を小さくして磁気記憶装置の消費電力の低減と記憶感度の向上を図ること。
【解決手段】 ワード線12と;トンネルバリア層3を強磁性体2及び26で挟持してなり、絶縁層50によってワード線12と電気的に絶縁された磁気抵抗効果型の記憶素子10と;記憶素子10を覆う絶縁層56と;記憶素子10と電気的に接続され、記憶素子10を間にしてワード線12と立体的に交差した状態で絶縁層56に埋め込まれているビット線11と;を有する、不揮発性の磁気記憶装置において、ビット線11の側部に軟磁性体層91が金属シード層90上に無電解めっきによって形成されている磁気記憶装置、特にMRAM。
【選択図】 図4

Description

本発明は、磁気記憶装置及びその製造方法に関し、詳しくは強磁性体のスピン方向が平行もしくは反平行となることによって抵抗値が変化することを利用して情報を記憶する不揮発性の磁気記憶装置及びその製造方法に関するものである。
情報通信機器、特に携帯端末などの個人用小型機器の飛躍的な普及にともない、これを構成するメモリ素子やロジック素子等の素子には、高集積化、高速化、低消費電力化など、一層の高性能化が要求されている。特に不揮発性メモリはユビキタス時代に必要不可欠の素子と考えられている。
例えば、電源の消耗やトラブルが生じたり、サーバーとネットワークが何らかの障害により切断された場合でも、不揮発性メモリは個人の重要な情報を保護することができる。そして、不揮発性メモリの高密度化、大容量化は、可動部分の存在により本質的に小型化が不可能なハードディスクや光ディスクに置き換わる技術として、ますます重要になってきている。
また、最近の携帯機器は、不要な回路ブロックをスタンバイ状態にしてでき得る限り消費電力を抑えようと設計されているが、高速ネットワークメモリと大容量ストレージメモリを兼ねることができる不揮発性メモリが実現できれば、消費電力とメモリの無駄を無くすことができる。また、電源を入れると瞬時に起動できる、いわゆるインスタント・オン機能も、高速の大容量不揮発性メモリが実現できれば可能になってくる。
不揮発性メモリとしては、半導体を用いたフラッシュメモリや、強誘電体を用いたFRAM(Ferro Electric Random Access Memory)などがあげられる。しかしながら、フラッシュメモリは、書き込み速度がμ秒の桁であるために遅いという欠点がある。また、構造が複雑なために高集積化が困難であり、しかも、アクセス時間が100ns程度と遅いという欠点がある。一方、FRAMにおいては、書き換え可能回数が1012〜1014回で、完全にスタティックランダムアクセスメモリやダイナミックランダムアクセスメモリに置き換わるには、耐久性が低いという問題が指摘されている。また、強誘電体キャパシタの微細加工が難しいという課題も指摘されている。
これらの欠点を有さない不揮発性メモリとして注目されているのが、MRAM(Magnetic Random Access Memory )もしくはMR(Magneto Resistance)メモリと呼ばれる磁気メモリであり、近年のトンネル磁気抵抗効果素子(以下、TMR:という、TMRはTunnel Magnetic Resistanceの略)材料の特性向上により、注目を集めるようになってきている(例えば、Wang et al.,IEEE Trans. Magn. 33 (1997) p4498-4512 参照)。また、MRAMは配線部に記憶素子を形成することから、記憶部搭載の大きな自由度、容易なインテグレーション、ロジック回路との容易な混載、CMOSプロセスとのコンパティビリティー等の点で優れている。
MRAMは、構造が単純であるために、高集積化が容易であり、また磁気モーメントの回転により記憶を行うために、書き換え回数が大であると予測されている。また、アクセス時間についても、非常に高速であることが予想され、既に100MHzで動作可能であることが報告されている(例えば、R.Scheuerlein et al, ISSCC Digest of Papers (Feb.2000) p128-129参照)。また、GMR効果により高出力が得られるようになった現在では、大きく改善されてきている。
こうしたMRAMについて更に詳細に説明すると、図8に概略的に示すように、MRAMのメモリセルの記憶素子となるTMR素子10は、磁化方向が固定された磁化固定層26と、磁化が比較的容易に回転する記憶層2とがトンネルバリア層3を介して積層された構造からなるメモリ素子である。
記憶層2と磁化固定層26には、ニッケル、鉄又はコバルト、或いはこれらの合金からなる強磁性体が用いられ、またトンネルバリア層3はアルミニウム、マグネシウム、シリコン等の酸化物又は窒化物等の絶縁体からなっていて、記憶層2と磁化固定層26との磁気的結合を切るとともに、トンネル電流を流すための役割を担う。
図示省略したが、磁化固定層26は第1の磁化固定層と第2の磁化固定層とを有し、これらが反強磁性的に結合するようなルテニウム、銅、クロム、金、銀などの導体層が両磁化固定層間に挟持されていてよく、また第2の磁化固定層は、鉄、ニッケル、白金、イリジウム、ロジウムなどのマンガン合金、コバルトやニッケル酸化物などの反強磁性体層と接していて、これらの層間に働く交換相互作用によって、第2の磁化固定層は強い一方向の磁気異方性を持つことになる。
メモリセルにおいては、例えばp型シリコン半導体基板13内に形成されたp型ウェル領域内に形成されたゲート絶縁膜15、ゲート電極16、ソース領域17、ドレイン領域18よりなるn型の読み出し用電界効果トランジスタ19が配置され、その上部に、書き込み用ワード線12、TMR素子10、ビット線11が配置されている。TMR素子10は、最上層の導電層を介してビット線11に接続され、また下部では絶縁層を介してワード線12が設けられている。ソース領域17には、ソース電極20を介してセンスライン21が接続されている。電界効果トランジスタ19は、読み出しのためのスイッチング素子として機能し、ワード線12とTMR素子10との間から引き出された読み出し用配線22がドレイン電極23を介してドレイン領域18に接続されている。なお、トランジスタ19は、n型又はp型電界効果トランジスタであってよいが、その他、ダイオード、バイポーラトランジスタ、MESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)等、各種のスイッチング素子が使える。
図9は、MRAMの等価回路図を示すが、相互に交差するビット線11及び書き込み用ワード線12を有し、これらの書き込み線の交点には、記憶素子10と共に、記憶素子10に接続されて読み出しの際に素子選択を行う電界効果トランジスタ19及びセンスライン21を有する。センスライン21は、センスアンプ23に接続され、記憶された情報を検出する。なお、図中の24は双方向の書き込み用ワード線電流駆動回路、25はビット線電流駆動回路である。
図10は、MRAMの書き込み条件を示すアステロイド曲線であって、印加された磁化容易軸方向磁界HEA及び磁化困難軸方向磁界HHAによる記憶層磁化方向の反転しきい値を示している。このアステロイド曲線の外部に、相当する合成磁界ベクトルが発生すると、磁界反転を生じるが、アステロイド曲線の内部の合成磁界ベクトルは、その電流双安定状態の一方からセルを反転させることはない。また、電流を流しているワード線及びビット線の交点以外のセルにおいても、ワード線又はビット線単独で発生する磁界が印加されるため、それらの大きさが一方向反転磁界HK以上の場合は、交点以外のセルの磁化方向も反転してしまうため、合成磁界が図中の灰色の領域にある場合のみに、選択されたセルを選択書き込みが可能となるようにしておく。
このように、MRAMでは、ビット線とワード線の2本の書き込み線を使用することにより、アステロイド磁化反転特性を利用して、指定されたメモリセルだけが磁性スピンの反転により書き込むことが一般的である。単一記憶領域における合成磁化は、それに印加された磁化容易軸方向磁界HEAと磁化困難軸方向磁界HHAとのベクトル合成によって決まる。ビット線を流れる書き込み電流は、セルに磁化容易軸方向の磁界HEAを印加し、またワード線を流れる電流は、セルに磁化困難軸方向の磁界HHAを印加する。
図11は、MRAMの読み出し動作を説明するものである。即ち、上記したように、情報の書き込みは、マトリックス状に配線したビット線11とワード線12との交点の合成磁場によってセルの磁性スピンを反転させて、その向きを“1”、“0”の情報として記録する。また、読み出しは、磁気抵抗効果を応用したTMR効果を利用して行なうが、TMR効果とは、磁性スピンの向きによって抵抗値が変化する現象であり、磁性スピンが反平行の抵抗の高い状態と、磁性スピンが平行の抵抗の低い状態により、情報の“1”、“0”を検出する。この読み出しは、ワード線12とビット線11との間に読み出し電流(トンネル電流)を流し、上記の抵抗の高低に応じた出力を上記した読み出し用電界効果トランジスタ19を介してセンスライン21に読み出すことによって行う。
図12及び図13(図12のX−X線に沿う断面図)には、MRAMの要部をより詳細に示す。
これらの図は、メモリ部に配置される多数のメモリセルの1つを示し、上記したように、各メモリセルには、例えばp型シリコン半導体基板13内に形成されたp型ウェル領域14に、ドレイン電極23、ドレイン領域18、ゲート電極16、ゲート絶縁膜15、ソース領域17、及びソース電極20からなるn型の読み出し用電界効果型トランジスタ19が設けられ、その上部にセンスライン21、書き込み用ワード線12、TMR素子10、及びビット線11が配置されている。
TMR素子10は層間絶縁膜50の上に設けられるが、スパッタ法などによって、読み出し用配線22となる下地電極層としてのタンタル層の上に、反強磁性体層としての白金−マンガン合金層と、第2の磁化固定層としての鉄−コバルトの合金層と、磁性層を反強磁性的に結合する導体層としてのルテニウム層と、第1の磁化固定層としての鉄−コバルトの合金層とを積層した磁化固定層26が形成され、更にこの上に、トンネルバリア層3として酸化アルミニウム層、磁化自由層2として鉄−コバルト−ホウ素合金層(CoFe−30B)が形成され、トップコート層(図示省略)としてタンタル層が形成されている。読み出し用配線22には、下地電極層と共に磁化固定層26も用いられてよいが、この読み出し用配線22は、TMR素子10の読み出し電流を接続プラグ27及び読み出し用ランド28を経て、読み出し用トランジスタ19のドレイン電極23に伝達する働きをする。なお、図中の42、44、46、50、54、56はそれぞれ層間絶縁膜であり、ビット線11上の絶縁膜68は更に上層配線が存在する場合には層間絶縁膜となる。また、各トランジスタ間は絶縁層41によりアイソレーションされている。
一方、周辺回路部には、ビット線駆動トランジスタ30(図12)と、ワード線駆動トランジスタ40(図13)とが設けられている。これらのトランジスタ30、40は、上記した読み出し用トランジスタ19と同様に構成され、ソース電極36を接続したソース領域35と、ドレイン電極31を接続したドレイン領域32との間に、ゲート絶縁膜33を介してゲート電極34が設けられている。ドレイン電極31は、ランド37を介してビット線11又はワード線12に接続されている。
上記したように、MRAMは、今までの電子(電気)による記憶機能とは異なり、磁化方向の変動により生じる磁気抵抗変化を記憶媒体とする装置であり、磁化方向変化の応答を電子伝導の応答と同等の速度で動作させる必要がある。MRAMのTMR素子の磁化方向はメタル配線に流れる電流により変化する。即ち、配線に電流が流れることにより、配線を中心に磁界が発生する。その磁界をTMR素子(以下、MRAM素子と称することがあり、これはMTJとも称される。)が検知し、TMR素子内の磁性体が配線から発生した磁界方向にリンクした方向に磁化される。磁性体が磁化されると、磁気抵抗を発生するため、その磁気抵抗を電圧、電流変化として読み取る。発生した磁界を効率良くTMR素子に導引することが重要であり、TMR素子の動作速度及び感度を決定するものと予想される。効率良く磁界をTMR素子に導引するための因子としては、(I)強い磁界の発生、(II)磁界発散の低減、(III)MRAM素子の強磁界部への設置、(IV)高感度なMRAM(TMR)素子、等々が挙げられる。
(I)に関しては、磁界強度は電流密度に依存し、配線の電流密度増加に従い、磁界強度は増加する。電流密度の増加は配線のエレクトロマイグレーションを加速する方向であるため、アルミニウム配線ではなく、銅配線を適用することにより、改善を試みている。(III)に関しては、配線とMRAM素子を近接するように配置することにより解決される。(IV)に関しては、MRAM素子材料及び形成方法により解決される。
(II)に関して具体的に説明する。MRAMにおける記憶は、配線に電流を流すことによって発生する誘導磁場で記憶層の磁化を回転させることによって行っている。ところが、高集積化によって、配線が細くなるに伴い、書き込み線に流すことができる臨界電流値が下がるため、得られる磁界が小さくなり、被記憶領域の保磁力を小さくせざるを得ない。これは、情報記憶装置の信頼性が低下することを意味する。また、磁界は光や電子線のように絞ることができないため、高集積化した場合にはクロストークの大きな原因になると考えられる。これを防止するためにキーパ構造等も提案されている(例えば米国特許第6413788号公報参照)が、構造の複雑化は避けられない。以上のように、電流磁場による書き込みには本質的に多くの課題があり、誘導磁場による書き込みが将来のMRAMにおける大きな欠点になる恐れがある。
(II)に関しては、配線部を軟磁性体層にて囲うクラッド構造によって解決を図ろうとしている(例えば、後記の特許文献1(特開2002−246566号公報)参照)。但し、完全に配線を囲うわけではなく、MRAM素子と対向する配線面から磁界をMRAM素子へ供給しなければならないので、MRAM素子面側には軟磁性体層は形成はされない。通常、ワード線はMRAM素子の下層に設置されるため、ワード線上層には軟磁性体層を形成せず、またビット線はMRAM素子の上層に設置されるため、ビット線下層には軟磁性体層を形成しない。
図14について、こうした埋め込み配線による一般的なクラッド構造とその作用効果を説明する。
図14(A)には、クラッド構造からなるワード線12及びビット線11と、これらの配線間のTMR素子10とを概略図示しているが、素子10を上下から挟む各書き込み線12及び11がいずれも、Cu、Al又はこれらの合金等の導電性物質からなる非磁性導体層60、61と、これらを囲む高透磁率の軟磁性体層62、63(軟磁性導電層)とからなる複合構造(クラッド構造)によって形成されている。軟磁性体層62、63の構成材料としては、例えばNi、Fe、Co又はこれらを主成分とする合金を用いればよい。具体的には、パーマロイと呼ばれるNi−Fe合金(鉄−ニッケル合金)を用いる。
また、各書き込み線11、12はいずれも、その断面が略方形状に形成されており、記憶素子10側の面を除く三面が略コ字状の軟磁性体層62、63によって被覆されており、記憶素子10側の面のみに非磁性導体層60、61が露出している。従って、各書き込み線11、12同士では、非磁性導体層61、62の露出面が向き合っており、また軟磁性体層62、63が互いに対称となるように配されている。更に、各書き込み線11、12において、非磁性導体60、61の記憶素子10側に露出する部分の断面幅(図中、A、B)は、記憶素子10の素子幅(図中、a、b)以上の大きさに形成されている。
このような構成の書き込み線11、12を用いるMRAMでは、クラッド構造のうちの軟磁性体層62、63の部分で磁束が透過するので、これまでのように書き込み線の周囲に分布していた磁力線が高透磁率の軟磁性体層62、63によって収束され、非磁性導体層60、61が露出している部分、即ち記憶素子10の部分に集中して発生するようになる。
図14(B)は、書き込み線一本分における発生磁力線のシミュレーション結果の具体例を示す説明図である。図14(A)に示したように、略方形状の周囲三方を軟磁性体層62、63で被覆した場合には、書き込み電流を与えると、その周囲に均一に分布した状態で磁力線が発生するのではなく、その軟磁性体層62、63での磁束透過によって、非磁性導体層60、61の部分に集中して磁力線が発生することがわかる。具体的には、数値シミュレーションによると、書き込み線11、12の幅と厚さがそれぞれ0.25μmである場合、1mAの電流を流すと、非磁性導体層60、61に面する記憶素子10の中央部分に発生する磁界の大きさは約85Oeとなる。
これに対して、非磁性導体層のみで書き込み線を構成した場合には、その周囲に磁力線が均一に分布してしまうので、0.25μmの幅及び厚さの書き込み線に1mAの電流を流しても、記憶素子10の中央部分では、約23Oe程度の大きさの磁界しか得られない。
従って、上記のクラッド構造の書き込み線11、12を用いれば、これまでのように磁力線が均一に分布する場合よりも効率良く書き込み磁界を発生させることができるので、結果として小さな電流で記憶素子10の磁化方向を反転させ得るようになる。
このような効果を効率的に得るためには、書き込み線11、12の非磁性導体層60、61を被覆する軟磁性体層62、63の透磁率を概ね10以上とすることが望ましい。また、その被覆厚さは0.01μm以上とすれば、発生磁界増加の効果が得られることが確認されている。
また、略方形状の周囲三方を軟磁性体層62、63で被覆した場合には、略コ字状の軟磁性体層62、63の両先端部分よりも内側部分(非磁性導体層60、61の部分)に多くの磁力線が集中する。そのため、非磁性導体層60、61の断面幅A、Bを記憶素子10の素子幅a、b以上の大きさに形成すれば、軟磁性体層62、63の両先端部の間隔よりも記憶素子10の情報記憶層2の幅が短くなり、その両先端部に挟まれる形で情報記憶層2が配置されることになるので、発生した磁力線を効率良く情報記憶層2に集中して印加することができる。
図14に示したMRAMは、書き込み線11、12を非磁性導体層60、61と軟磁性体層62、63とからなる複合構造とすることによって、書き込み線に電流を与えた場合に非磁性導体の部分に集中して磁力線が発生するようになるので、これまでよりも小さい書き込み電流で記憶素子10への情報書き込みが可能となる。従って、記憶素子の保磁力を小さくすることなく、書き込み電流の低減が図れるので、書き込み線駆動回路の縮小等によるMRAMの微細化(高密度化)、低消費電力化、書き込み線のエレクトロマイグレーションによる配線破断の低減による信頼性向上等の実現が容易となる。
こうしたクラッド構造の形成に関しては、いくつかの方法が提案されているが、最も一般的な方法をワード線について説明する。
即ち、図示はしないが、(a)絶縁膜にワード線用の配線溝を形成し、(b)この配線溝の内面に拡散バリアメタル層、軟磁性体層、銅シード層を例えばスパッタリングによって順次成膜し、(c)めっき法又は化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法等により、配線溝に配線材料を埋め込み、(d)配線溝のみに配線材料を残すように、絶縁膜上の余剰の配線材料を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により除去するとともに絶縁膜表面を平坦化することによって、配線溝内に残された配線材料からなるワード線を形成する。
一方、ビット線のクラッド構造の形成方法は複雑である。その一例を図15〜図19の概略断面図について説明する。但し、これらの図は、メモリ部の1つのメモリセルについての詳細な断面図であって、図12及び図13の一部分に相当するものである(以下、同様)。
図15(1)に示すように、基板13上に、読み出し用トランジスタ19等の選択素子、センス線21等(いずれも、ここでは図示せず)を常法に従って形成し、これらを覆うように層間絶縁膜44をCVD法により形成する。そして、この絶縁膜44上に、ワード線等を埋め込むための層間絶縁膜46をCVD法により形成し、この絶縁膜に形成した溝66内に溝配線(ダマシン)構造のワード線12や、選択素子(図示せず)の電極23に接続される電極ランド28等を埋め込む。ワード線12(更にはランド28)は、Cu等の導電性物質からなる非磁性導体層61と、これを囲む高透磁率の軟磁性体層63(軟磁性導電層)とをスパッタリング法等で積層してなる複合構造(クラッド構造)によって形成するが、更に、軟磁性体層63の両面には金属原子の拡散防止用のバリアメタル層64、65をそれぞれ形成するのがよい。非磁性導体層61の下地としてCuシード層等を予め形成しておくのがよい。軟磁性体層63の構成材料としては、例えばNi、Fe、Co又はこれらを主成分とする合金を用い、具体的には、パーマロイと呼ばれるNi−Fe合金(鉄−ニッケル合金)を用いる。
そして、層間絶縁膜46上に、ワード線12、電極ランド28を被覆する層間絶縁膜50をCVD法により形成し、この絶縁膜を介して、ワード線12上に記憶素子を形成する。この記憶素子は、例えばトンネル磁気抵抗(TMR)素子10からなり、常法に従って、下地電極層、反強磁性体層、導体層、強磁性体層(磁化固定層)、トンネルバリア層、強磁性体層(記憶層)、上部電極層(トップコート層)をスパッタリング法等で順次積層した後、ドライエッチングにより各層を選択的にパターニングして、TMR素子10及び読み出し用配線22を形成する。TMR素子10の下部において反強磁性体層、導電層等で形成した読み出し用配線(バイパス線)22は、絶縁膜50に形成した接続孔67に埋め込んだプラグ27を介して電極28に接続する。このプラグ27を設けないで、配線22を接続孔67に直接被着してもよい(以下、同様)。
次いで、図15(2)に示すように、層間絶縁膜50上に、TMR素子10を被覆するように、層間絶縁膜54をCVD法により形成した後、その絶縁膜54を平坦化してTMR素子10の上面を露出させる。その後、層間絶縁膜54上に、TMR素子10を覆うように層間絶縁膜56をCVD法により成膜した後、この絶縁膜56にTMR素子10の上面を露出させるように、エッチングによりビット線形成用の配線溝69を形成するとともに、電極ランドに達する接続孔(図示せず)を形成する。
次いで、図15(3)及び図16(4)に示すように、配線溝69(及び接続孔)にバリアメタル層70、軟磁性体層71を順次成膜する。
バリアメタル層70は、スパッタリング法、化学的気相成長(CVD)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等で成膜し、その成膜方法はバリアメタル層70が形成される配線溝69の形状及び大きさにより選択する。バリアメタル層70には、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、窒化タングステン(WN)、窒化ジルコニウム(ZrN)等を用い、その膜厚は、5nm〜50nmの範囲が適当である。
軟磁性体層71の形成には、スパッタリング法等を用いる。軟磁性体層71の構成材料としては、例えばNi、Fe、Co又はこれらを主成分とする合金を用い、具体的には、パーマロイと呼ばれるNi−Fe合金(鉄−ニッケル合金)を用いる。軟磁性体層71の膜厚は、後述のエッチバック量で調整する必要がある。即ち、エッチバックでは、配線溝69の底部の軟磁性体層71を完全に除去すること、かつ配線溝69の側壁に磁束収束効果を有するための膜厚を残すことの両方を満足する必要があるためである。このことは、軟磁性体層71の膜厚だけでなく、成膜方法の有する被覆性(カバレッジ)にも影響される。例えば、スパッタリング法の場合、サイドカバレッジは多くて十数%、底部カバレッジは数十%である。このようにサイドカバレッジが悪いため、ある程度厚い膜を成膜する必要がある。
次いで、図16(5)に示すように、配線溝69の底部に成膜された軟磁性体層71を除去する。この除去には、一般的には、ドライエッチングによるエッチバックを採用する。この除去工程では、配線溝69の底部の軟磁性体層71の完全除去と、配線溝69の側壁に磁束収束効果を有するだけの膜厚に軟磁性体層71を残すことが重要である。そして、この除去工程には、異方性エッチングを用いるのが一般的であり、配線溝69の側壁に軟磁性体層71を残す必要があることから、より異方性の強いエッチングが望ましく、ICP(Inductively Coupled Plasma)、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)等の高密度エッチング種を発生させるプラズマエッチング技術や、物理的エッチング効果の大きいイオンミリングを用いる。
次いで、図16(6)に示すように、配線溝69(及び接続孔)の内面を含む面に、上記した方法によって再びバリアメタル層72を上記した材料によって形成する。
次いで、図17(7)に示すように、銅シード層80を成膜する。銅シード層80は、例えば、スパッタリング法、CVD法等を用いる。その成膜方法の選択及び膜厚は、ビット線が形成される配線溝69(及び接続孔)の形状及び大きさによって適宜選択される。
次いで、図17(8)に示すように、例えば電解めっき法(ECD:Electro-chemical Deposition)、CVD法、無電解めっき法等により、配線溝69(及び接続孔)に配線材料層60を埋め込む。この配線材料には、銅又は銅合金を用いる。
次いで、図17(9)に示すように、配線溝69(及び接続孔)の内部に配線材料60を残すように、絶縁膜56上の余剰な配線材料(銅シード層80も含む)60、バリアメタル層72、軟磁性体層71及びバリアメタル層70を化学的機械研磨(CMP)により除去し、配線溝69(及び接続孔)内に配線材料層60、バリアメタル層72、軟磁性体層71及びバリアメタル層70等を残して、ビット線11を形成するとともに、表面を平坦化する。
次いで、図18(10)に示すように、絶縁膜56上に、ビット線11を被覆する拡散バリアメタル層73及び軟磁性体層74を成膜する。これらの各層の材料及びその成膜方法に関しては、上記したものと同様である。なお、軟磁性体層74の材料によっては、デバイス中へ拡散する原子を含むものもあるので、この場合には、軟磁性体層74の下にもバリアメタル層73を設けることが好ましい。
次いで、図18(11)に示すように、レジスト塗布及びリソグラフィー技術により、ビット線11を被覆する軟磁性体層パターンを形成するためのレジストマスク75を、ビット線11上に形成する。このレジストマスク75はビット線11上を完全に覆うように形成する必要がある。何故ならば、軟磁性体層74が形成されていない部分から磁束漏れが発生し、その磁束漏れ部に磁束漏れが集中するためである。ミスアライメントによるレジストマスクずれは、磁束漏れの要因になるため、ミスアライメントが発生しても、軟磁性体層74がビット線11を覆うように、レチクルマスクにマージンを設ける必要がある。
次いで、図18(12)に示すように、レジストマスク75を用いたドライエッチングにより軟磁性体層74及びバリアメタル層73を加工した後、図19(13)に示すように、レジストマスク75をアッシングにより剥離し、更にクリーニングを行う。この結果、ビット線12の側方及び上方をそれぞれ被覆する軟磁性体層71、74(図14に示した軟磁性体層62に相当)が形成される。
なお、レジストマスク75を用いて軟磁性体層74をエッチングする際に、レジストマスク75の耐久性に問題がある場合がある。その場合には、シリコン酸化膜又は窒化膜からなるハードマスクを用いる。例えば、軟磁性体層74を成膜した後、ハードマスクとなるシリコン酸化膜又は窒化膜を成膜し、レジストマスクを用いてハードマスクを加工し、レジストマスクの剥離後に、軟磁性体層74及びバリアメタル層73のエッチングを行う。
次いで、図19(14)に示すように、ビット線11を含む上面に、ビット線上に設けられる配線(図示せず)との絶縁性を保つための絶縁膜68をCVD法により形成する。
なお、ワード線12のクラッド構造を形成することは、図15(1)で説明したように簡単なプロセスで実現することが可能であり、特に問題はない。
特開2002−246566号公報(第4頁、図6) 米国特許第6,555,858号公報(第6欄44行目〜第8欄53行目、FIG.7−13)
しかしながら、ビット線にクラッド構造を形成することに関しては、いくつかの課題がある。それらを以下に記述する。
上述の図15〜図19に示した従来技術による方法の大きな問題点は、軟磁性体層71をビット線側部(配線溝69の側壁面)にのみ形成するドライプロセスによる異方性エッチングにある。
即ち、まず、第1の課題は、軟磁性体層のドライエッチングプロセスに実績がないことである。金属のドライエッチングの場合、一般的には、蒸気圧の低い塩化物を生成させて蒸発させるが、軟磁性体層を構成する主な元素はニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)であるため、いずれの元素もその蒸気圧が高くてエッチングされにくいものである。例えば、半導体配線で使用されているアルミニウム(Al)塩化物の蒸気圧が152mmHg(100℃)であるのに対し、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)の塩化物の蒸気圧はそれぞれ、842mmHg、866mmHg(100℃)である。
一方、イオンミリングによるエッチバックの場合、スパッタリング効率が課題となる。例えば、アルゴン(Ar)イオン300eVでスパッタリングを行う場合、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)のスパッタリング効率はそれぞれ、0.7、1.6、1、0.9、0.8(任意単位)であって軟磁性体膜のスパッタリング効率は相対的に低い。アルミニウム(Al)配線の半導体ではその配線加工に異方性の(ケミカル)ドライエッチングが用いられており、イオンミリングはほとんど用いられていないが、その理由の一つに、スパッタリング効率の悪さが挙げられる。
第2の課題には、腐食の問題がある。ドライプロセス後には、反応生成物やパーティクル等の異物除去プロセスを行うことが一般的であるが、このプロセスには湿式系の洗浄プロセスが用いられる。湿式系の洗浄プロセスであるため、その薬液には、酸、アルカリ、有機酸等が用いられる。例えば、水素イオンとの共存下において、イオン化傾向が良い目安となるが、水素(H)の標準電極電位を0Vとしたとき、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)の標準電極電位は、Fe −0.44V<Co −0.287V<Ni −0.228V<H 0V<Cu 0.337Vであり、水素(H)の標準電極電位より小さいニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)は腐食する傾向になる。
第3の課題は、ビット線側部に残された軟磁性体層の膜質である。上述した従来技術におけるエッチバックでは、軟磁性体層はプラズマ活性種(イオン又はラジカル)に晒されるので、プラズマ活性種と軟磁性体層とのケミカル反応によるエッチングを小さくすること、また、ビット線側部にのみにプラズマ活性種を効率良く導入するために異方性を強くすることが必要である。強い異方性での物理的なエッチングは、スパッタリングによるエッチングが一般的である。凹部として形成される配線溝底部のスパッタリングを行うと、その凹部の側壁面の軟磁性体層に底部からスパッタリングされた物質が再付着することはよく知られている。特に、微細でかつアスペクト比の大きい溝や穴においては、平均自由工程やスパッタリング放出角度にもよるが、再付着がより顕著になる。
再付着された物質が所望の軟磁性特性を有する場合には、問題はない。しかしながら、化合物系のスパッタリングでは、成膜される膜の化合物組成と、スパッタリングターゲットの化合物組成とは異なることが一般的である。例えば、タングステンシリサイド(WSix)の場合、タングステン(W)とシリコン(Si)の組成比1:x=1:(2.1〜2.3)で成膜したい場合、そのスパッタリングターゲットのタングステン(W)とシリコン(Si)の組成比を1:(2.7〜2.9)にする必要がある。
上述した如き従来技術で必要とされる軟磁性体層の場合、高飽和磁束密度及び低保磁力が要求されるが、これらの特性は軟磁性体層の組成比に対してトレードオフであるため、最適値のウインドーが狭い。即ち、ビット線底部に成膜された軟磁性体層は特性に合致した組成比であるが、ビット線底部からエッチバックされた物質がビット線側部に再付着した軟磁性体層は、特性に合致した組成比にならないことは容易に予想できる。
また、スパッタリング効率が悪く、スパッタリング効率の違う2元素を含む軟磁性体層をエッチバックする場合、エッチバック過剰の場合も想定する必要がある。過剰のエッチバックにより、ビット線底部の軟磁性体層の下に存在するバリアメタルもスパッタリングされる可能性があるので、軟磁性体と共にバリアメタルもビット線側部に再付着し、軟磁性体層中にバリアメタル材料が混入することにより、軟磁性特性を決定する磁区の回転や磁化特性を劣化させる可能性がある。
本発明の目的は、配線の側部に選択的に良質の軟磁性体層を形成して、電流磁界を効率良く記憶素子に導くことにより、磁界を発生させるために必要な供給電流を小さくして磁気記憶装置の消費電力の低減と記憶感度の向上を図ることにある。
即ち、本発明は、
第1配線と、
トンネル絶縁層を強磁性体で挟持してなり、第1絶縁層によって前記第1配線と電気 的に絶縁された磁気抵抗効果型の記憶素子と、
前記記憶素子を覆う第2絶縁層と、
前記記憶素子と電気的に接続され、前記記憶素子を間にして前記第1配線と立体的に 交差した状態で前記第2絶縁層に埋め込まれている第2配線と
を有する、不揮発性の磁気記憶装置において、
前記第2配線の側部に軟磁性体層が無電解めっきによって形成されていること
を特徴とする、磁気記憶装置に係るものである。
また、本発明は、
第1配線を形成する工程と、
トンネル絶縁層を強磁性体で挟持してなり、第1絶縁層によって前記第1配線と電気 的に絶縁された磁気抵抗効果型の記憶素子を形成する工程と、
前記記憶素子を覆う第2絶縁層を形成する工程と、
前記記憶素子と電気的に接続され、前記記憶素子を間にして前記第1配線と立体的に 交差した第2配線を前記第2絶縁層に埋め込む工程と
を有する、不揮発性の磁気記憶装置の製造方法において、
前記第2配線の側部に軟磁性体層を無電解めっきによって形成する工程
を有することを特徴とする、磁気記憶装置の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、第2配線の側部は軟磁性体層によって被覆されるので、第2配線に電流を流すことにより発生する電流磁界を第2配線の側部から漏出することなしに効率良く記憶素子に導くことができる。また、上述した従来技術のように軟磁性体層をドライプロセスで加工せずに無電解めっきで形成するので、軟磁性特性に敏感な軟磁性体層の組成の制御が容易であると共に、軟磁性体層を形成するための下地層はデバイスに影響を与えない範囲において材質に特に制限がないため、耐腐食性、エッチングの容易性等を考慮した金属層を選択でき、ローバストなプロセス設計が可能となる。
本発明においては、前記第2配線の前記側部に前記軟磁性体層を選択的に形成させるための金属層を前記第2配線の前記側部にのみ形成し、前記金属層上に前記軟磁性体層を選択的に形成するのがよい。
この金属層は、軟磁性体層を無電解めっきにて選択的に形成するための下地層となるものであり、第2配線の底部の金属層をエッチバックにより除去することができる。
この場合、前記第1配線及び前記第2配線のうち少なくとも前記第2配線を埋め込むための凹部を絶縁層に形成し、この凹部の内壁面を含む全面に前記金属層の構成材料を被着し、異方性エッチングによって前記凹部の底面及び前記絶縁層上に存在する前記構成材料を除去して、前記凹部の側壁面にのみ前記金属層を形成するのがよい。
特に、前記凹部の内壁面を含む全面に、第1拡散バリア層と前記金属層との各構成材料を積層した後、これらの構成材料に前記異方性エッチングを施して前記凹部の側壁面にのみ前記第1拡散バリア層と前記金属層との積層体を残し、前記金属層上に前記軟磁性体層を無電解めっきによって形成し、更に全面に第2拡散バリア層を形成した後、この第2拡散バリア層上に前記第1配線を被着するのがよい。
これによって、前記第1配線及び前記第2配線のうち少なくとも前記第2配線が、絶縁層に形成された凹部内に埋め込まれ、この凹部の内壁面上に、前記第1拡散バリア層と前記金属層と前記軟磁性体層と前記第2拡散バリア層とが積層され、更にこの第2拡散バリア層に接して配線が埋め込まれる。
前記軟磁性体層を無電解めっきで形成するときには、前記金属層の表面を触媒で置換し、この触媒を核として前記軟磁性体層を無電解めっきによって形成するのがよい。
また、前記第1配線及び前記第2配線の主配線材を銅又は銅合金によって形成するのが望ましい。
本発明は、前記第1配線及び前記第2配線にそれぞれ電流を流すことによって誘起される磁界で前記記憶素子の記憶層を所定方向に磁化して情報を書き込み、この書き込み情報を前記トンネル絶縁層を介してのトンネル磁気抵抗効果によって読み出すように構成された磁気ランダムアクセスメモリに適用することが望ましい。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に説明する。
図1〜図7は、本発明の実施の形態によるMRAMをその製造方法に従って示すものである。但し、図1〜図4は、図15〜図19と同様に、ビット線幅方向の断面図を左に、その長さ方向の断面図を右に示す(以下、同様)。
図1(1)は、図15(1)及び(2)に示したと同様の工程を経て、層間絶縁膜56にビット線形成用の配線溝69及びワード線12への接続孔(図示せず)を形成した状態を示すが、層間絶縁膜56より下部の構成は既述したものと同様であり、共通部分には共通符号を付している。従って、ここでは各部の形成方法の説明は省略する。但し、記憶素子10は、例えばトンネル磁気抵抗(TMR)素子又は巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magneto Resistance)素子からなる。
次いで、図1(2)に示すように、配線溝69(及び接続孔)を含む全面にバリアメタル層70を成膜する。
このバリアメタル層70は、スパッタリング法、化学的気相成長(CVD)法、ALD法等で成膜し、その成膜方法はバリアメタル層70が形成される配線溝形状及び大きさにより選択する。このバリアメタル層70は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、窒化タングステン(WN)、窒化ジルコニウム(ZrN)等で形成し、その膜厚は、5nm〜50nmの範囲が適当である。
次いで、図1(3)に示すように、バリアメタル層70上の全面に金属層90を成膜する。この金属層90は、後述する軟磁性体層の無電解めっきのシード層であり、後述する触媒めっきにおいて触媒と置換されることになる。この置換めっきでは、イオン化傾向の大きさの違いを利用する。
この触媒めっきには、一般的には、貴な金属、例えば金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等が用いられる。パラジウム(Pd)を触媒とする場合、パラジウム(Pd)の酸化還元電位は+0.99Vであるため、+0.99Vよりも小さい酸化還元電位を有する材料がこの金属膜90に適用できる。例えば、銅(Cu:酸化還元電位+0.34V)、ニッケル(Ni:酸化還元電位−0.25V)、コバルト(Co:酸化還元電位−0.28V)、チタン(Ti:酸化還元電位−1.63V)等は金属膜90として使用できるものである。ここでは、半導体として広く使用され、その後のプロセスにおいてプロセスウィンドーの比較的広い銅(Cu)について記載する。
金属層90の成膜方法には、例えばスパッタリング法、CVD法、無電解めっき法等が用いられる。その成膜方法の選択及び膜厚は、ビット線が形成される配線溝69(及び接続孔)の形状及び大きさ、及びその後に行われる配線溝69の底部に存在する金属層90の除去工程の能力によって適宜選択される。
次いで、図2(4)に示すように、配線溝69の底部に成膜された金属層90を除去する。この工程では、配線溝69の底部の金属層90の完全除去と、配線溝69の側壁面上に後述する軟磁性体層のシード層としての役割を有する膜厚を残すこととが重要である。
従って、この工程には、異方性エッチングを用いるのが一般的であり、配線溝69の側壁面上に金属層90を残す必要があることから、より異方性の強いエッチングが望ましく、ICP(Inductively Coupled Plasma)、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)等の高密度エッチング種を発生させ、更に基板側に高いバイアスを印加させ、より異方性を強めるエッチング技術を採用する。また、物理的エッチング効果の大きいイオンミリング法を用いることも有効である。なお、配線溝69の底部をエッチングする際、同時に層間絶縁膜56の表面もエッチングされることになるが、特に問題はない。
ここで、金属層90に銅(Cu)を選択した理由を述べる。特に、従来技術で使われている軟磁性体、特に、ニッケル−鉄パーマロイ(Ni−Fe)との比較を行う。
まず、配線溝69の側壁面上にのみ残す除去プロセスにおいて、上記の異方性反応性エッチングを用いる場合について考察する。金属層のエッチングの場合、エッチングを容易にするために、塩素(Cl)又はその化合物をエッチングガスに導入し、塩素(Cl)と当該金属との化合物を生成させる。銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)の単体の蒸気圧(60℃)はそれぞれ、2127、2289、2283mmHgであり、その塩化物の蒸気圧(60℃)はそれぞれ、886、840、805mmHgである。いずれも同じような数値であり、特に有意な差は見られない。上記のイオンミリング法の場合においては、スパッタリング効率がプロセス優位性を決定するパラメータであり、それぞれのアルゴン(Ar)イオン300eVにおけるスパッタリング効率は、1.6、1、0.8(任意単位)であり、銅(Cu)のスパッタリング効率は他のそれを上回っている。
ここで、異方性反応性エッチングとイオンミリング法による配線溝底部のエッチングに関して考えてみる。このエッチングにおける目標となる形状は、配線溝底部の金属層の完全除去と、配線溝側壁面上の金属層の残存である。この目標を達成するためには、配線溝69に対して垂直方向の活性種を多くし、かつ、全体の活性種に対する垂直方向の活性種の比率を多くすることが必要である。イオンミリング法を異方性反応性エッチング法と比較すると、イオンミリング法は低圧プロセスであるために、エッチングに寄与する活性種の平均自由工程が長く、またアルゴン(Ar)イオンによる物理的エッチングによるものである。このような観点から、配線溝底部の金属層の除去にはイオンミリング法の方が望ましく、イオンミリング法によるエッチングに適しているのはスパッタリング効率の高い銅(Cu)であることが分る。
また、ドライエッチングプロセス後には、通常、パーティクル除去等の湿式プロセスが導入される。例えば、純水による洗浄について考察する。純水の場合、僅かではあるが、水素イオン(H)、水酸基イオン(OH)に電離している。イオン化傾向を考えると、鉄(Fe)−0.44V<ニッケル(Ni)−0.25V<水素(H)±0V<銅(Cu)+0.34Vであり、水素(H)の還元により、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)がイオン化、即ち、溶出する可能性がある。一方、銅(Cu)の酸化還元電位は水素(H)のそれより大きいので、銅(Cu)からは水素(H)還元のための電子供給はない。従って、銅(Cu)は溶出しないので、プロセス的に安定である。
次に、配線溝69の側壁面上に形成された金属層90をシード層として、図2(6)に示すように軟磁性体層91を形成する場合、前記した銅をシード層としたときのプロセスを説明する。まず、図2(5)に示すように、シード銅90上に触媒100を形成する。
この触媒には、貴な金属である金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)等が用いられる。ここでは、パラジウム(Pd)触媒を例として、そのプロセスを説明する。パラジウム(Pd)をシード銅90上のみに選択的に形成するには、置換めっきが有効である。置換めっきとは、イオン化傾向の違いを利用したものであり、貴な金属がイオン化されているめっき液に卑な金属を浸漬すると、卑な金属はイオン化溶解し、溶解した卑な金属のところに貴な金属が置換される現象である。
例えば、パラジウム(Pd)の場合、硫酸パラジウム、塩化パラジウムが置換めっき用の薬液であり、それらはペーハー(pH)2以上の強酸である。強酸中においてシードである銅は容易に溶解する。即ち、硫酸パラジウム、塩化パラジウム液にシード銅を浸漬すると、シード銅はイオン化溶解し、その溶解した銅のところには、パラジウムが置換析出することになる。また、硫酸パラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム含有溶液に溶解しない部分では、この置換めっき現象は起こらない。即ち、置換めっきされる部分は配線溝69の側壁面上のシード銅90の領域だけである。そのため、配線溝69の側壁面上のみに触媒100が被着することになる。
このパラジウム置換めっきでは、硫酸パラジウム、塩酸パラジウム等の強酸の薬品を使用するため、シード銅の過剰なエッチングは、特に、配線溝69の側壁面上のシード銅層90の膜厚は30nm以下と薄いので、十分に注意する必要がある。即ち、パラジウム置換めっきによるシード銅の溶解速度がパラジウムの置換速度より大きいとパラジウムの置換めっきができない。逆に、シード銅の溶解速度が小さく、部分的に不均一になり、パラジウム形成の均一性が悪くなると、触媒を核にして無電解めっきにより成長する軟磁性体層91の膜厚均一性が劣化することになる。従って、この両者を調整して、満足するように条件を決定する必要がある。1つの方法としては、パラジウム濃度を下げて(pHを上げて)処理時間を延ばすか、或いは、パラジウム濃度を上げて処理時間を短くする方法も選択肢の一つである。一例として、前者ではパラジウム濃度1〜10ppm/処理時間60〜180秒、後者ではパラジウム濃度150〜400ppm/処理時間1〜10秒が挙げられる。
このパラジウム置換めっき終了後、純水にてクリーニングを行う。純水のみの洗浄では不十分な場合、例えば、パラジウムめっき液中に溶解した銅の再付着等もありうるので、有機酸、キレート剤等によるクリーニングも有効な手段である。更に、超音波洗浄等を併用することによって、洗浄効果が一層向上する。
次いで、図2(6)に示すように、無電解めっきによる軟磁性体層91の形成を行う。上記した工程までは前処理のような形を呈しているが、これらの前処理を怠ると、以下の無電解めっきによる選択成膜に不備を生じ易い。一般的な無電解めっきでは、ナトリウム(Na)等のアルカリ金属を含有するめっき液を使用するが、半導体においては、アルカリ金属は界面準位の増加を招き、半導体にピットを形成する等、悪影響をもたらす。従って、アルカリ金属が混入した薬液を使用することができない。本発明者は、「ADMETA(Advanced Metallization Conference)2001、アジアンセッション予稿集、USセッション編」、p.90−91に記載されているように、アルカリフリーの薬液にて、Co−W−P(コバルト-タングステン-リン)の成膜に成功しており、このプロセスを応用することにより、軟磁性体層91を形成した。
軟磁性体層91の材料には、ニッケル−鉄(Ni−Fe)、コバルト−鉄(Co−Fe)、ニッケル−コバルト−鉄(Ni−Co−Fe)等が代表例として挙げられ、また、これらの軟磁性体にホウ素(B)、リン(P)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)等の添加物が混入したものでもよい(これらの添加物は無電解めっき膜である軟磁性体層91中に残留する)。ここでは、ニッケル-鉄(Ni−Fe)を主成分とし、還元剤としてジメチルアミンボラン(DMAB)を用いたニッケル−鉄−ホウ素(Ni−Fe−B)の軟磁性体層形成について示す。図5には、ニッケル−鉄−ホウ素(Ni−Fe−B)の無電解めっき成膜条件の一例を示す。
また、図6には、無電解めっきで成膜されたニッケル−鉄−ホウ素膜(軟磁性体層)の組成変化を示し、図7には、その磁気特性を示す。これによれば、アニール後には、軟磁性特性を示す保磁力の小さい磁気特性を有していることが分る。
この無電解めっきプロセス後には、被めっき物にめっき液が付着しているので、十分に純水洗浄を行い、めっき液を洗い流す。より洗浄効果を高めるには有機酸洗浄、有機酸にキレート剤、界面活性剤等が混入した洗浄液による洗浄が有利であり、物理的洗浄効果を有する超音波洗浄との併用は有効である。
次いで、図3(7)に示すように、底部の金属層90が除去され、その側壁面上に軟磁性体層91が形成された配線溝69を含む全面に、バリアメタル層72及び銅シード層80を成膜する。
バリアメタル層72には前記のバリアメタル層70と同様の成膜方法を適用するが、配線溝69(及び接続孔)の形状及び大きさによって適宜選択される。例えば、配線溝69の底部の金属層90の除去において、配線溝69(及び接続孔)が小さくなり、バリアメタル層70の成膜方法を適用できない場合には、別の方法を採用してもよい。
銅シード層80の形成には、例えば、スパッタリング法、CVD法、無電解めっき法等を用いる。その成膜方法の選択及び膜厚は、ビット線が形成される配線溝69及び(及び接続孔)の形状や大きさによって適宜選択される。
次いで、図3(8)に示すように、銅シード層80を核として、例えば、電解めっき法(ECD:electro-chemical deposition)、CVD法、無電解めっき法等により、配線溝69(及び接続孔)に配線材料60を埋め込む。
次いで、図3(9)に示すように、配線溝69(及び接続孔)の内部に配線材料80を残すように、層間絶縁膜56上の余剰な配線材料(銅シード層80も含む。)60、バリアメタル層72及び70を化学的機械研磨(CMP)により除去し、配線溝69(及び接続孔)内に配線材料60、バリアメタル層72、70、軟磁性体層91等を残して、ビット線(第2配線)11を形成するとともに、表面を平坦化する。
ここで、無電解めっきによる軟磁性体層91が無電解めっきの選択性劣化のために、上記の余剰配線材料の除去部に残っている可能性があるが、これは以下の理由により問題はない。この除去工程で使用される薬液には、一般的に強酸が用いられる。そのため、軟磁性体を形成している材料は容易にエッチングされる。また、選択性劣化で残存する軟磁性体は層状に残留するのではなく、島状に残留し、その厚さもせいぜい例えば50nmであり、バリアメタル層70、72と比較して同等又はそれ以下である。このように、軟磁性体層の無電解めっき選択性が劣化しても、この余剰配線材料除去工程でリカバリーができるので、プロセスウインドーは広くなる。
次いで、図4(10)、(11)に示すように、ビット線11の上部からの磁束漏れを防ぐために、ビット線11上部のみにバリアメタル層73及び軟磁性体層74を形成する。
ビット線11の上部のバリアメタル層73及び軟磁性体層74の形成方法はいくつかあるが、ここでは、どのような方法を採用してもかまわない。図4(11)には、一例として、バリアメタル層73及び軟磁性体層74をドライエッチングで加工したときの構造を示す。
その工程を簡単に示すと、まず、バリアメタル層73、続いて軟磁性体層74を成膜する。次に、レジスト塗布(図示せず)、続いてビット線11を完全に覆うように露光/現像(図示せず)を行う。次に、加工されたレジスト(図示せず)をマスクとして、バリアメタル層73及び軟磁性体層74をドライエッチングし、最後にマスクであるレジストをアッシング等で除去する。ここで、マスクであるレジスト(図示せず)がドライエッチング耐性に乏しい場合には、軟磁性体層74の上層に軟磁性体との相互拡散を及ぼさない絶縁層(図示せず)、例えばシリコン窒化膜(SiN)、シリコンカーボン膜(SiC)、アモルファスカーボン膜(a−C)等を成膜し、その絶縁膜をハードマスクとしてドライエッチングする方法も採用される。
また、バリアメタル層73及び軟磁性体層74をビット線11上部に埋め込む方法(図示せず)も用いることができる(米国特許第6555858号参照)。この方法は次のような工程である。まず、ビット線11の上部にバリアメタル層73及び軟磁性体層74を埋め込むためのリセスを形成し、続いて、バリアメタル層73及び軟磁性体層74を成膜する。最後に、ビット線11上部のリセス部分のみにバリアメタル層73及び軟磁性体層74を残すように、全面を化学的機械研磨法又はドライエッチング法によりエッチバックする。
次いで、図4(12)に示すように、ビット線11を含む上面に、ビット線上に設けられる配線(図示せず)との絶縁性を保つための絶縁膜68をCVD法により形成する。
本実施の形態において、図1(3)の工程における金属層90の成膜工程では、金属層として銅(Cu)を使用した例を述べた。それは、その後の触媒付与工程を考慮したためである。しかしながら、この金属層はどのような金属で形成してもよい。即ち、軟磁性体層91を成膜するために触媒付与を行い、更に触媒付与ができるように金属層の成膜及びエッチバックを行っているが、こうした金属層を触媒となる金属自体(例えばパラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag))のスパッタリング等で成膜することも可能である。その場合には、触媒が含有された薬液による触媒置換めっき工程は省略することが可能である。
上述したように、本実施の形態によれば、ビット線側部に形成する軟磁性体層91には加工を施さないので、ビット線側部に形成される軟磁性体層91として、制御可能な所望の軟磁性体特性を示す膜を形成できる。既述した従来技術では、ビット線底部に軟磁性体層を残さないようにするために、ビット線底部に成膜された軟磁性体層をエッチバックしているので、そのエッチバックされた軟磁性体は、ビット線外部に飛散するものや、ビット線側部に再付着してしまうものもあり、特に、ビット線が微細化するにつれて、ビット線側部への再付着は顕著になる。このようにビット線側部に再付着した場合、軟磁性体層の膜質がエッチバック前の(ビット線底部に成膜されたときの)膜質と同等であれば問題はないが、スパッタリングの場合、スパッタリングにより成膜された膜の組成比は、スパッタリング前の膜(スパッタリングされる膜)の組成比と異なることはよく知られている。即ち、エッチバックにより物質が再付着したビット線側部の軟磁性体層の組成比は、もともとビット線側部に形成されている軟磁性体層の組成比と異なる。特に、軟磁性体層については、軟磁性体を構成する元素の組成比により軟磁性特性が大きく変化する。以上のような観点から、軟磁性体層のエッチバックによってビット線側部に軟磁性体層を形成することには問題があった。
また、本実施の形態では、エッチバック技術を採用してはいるが、既述した従来技術と比べてエッチバックする材料に違いがある。即ち、従来技術では軟磁性体層であり、本実施の形態では銅(金属層90)である。軟磁性体層と銅のエッチバックの容易さについては、前述したように、スパッタリング効率によるところが大きく、その効率は2倍近く銅の方が良好である。また、エッチバック後に何らかの湿式洗浄が導入されるが、その湿式洗浄に含まれる水素イオンに着目すると、イオン化傾向の観点から、軟磁性体層を構成する元素(ニッケルや鉄)の酸化還元電位が水素のそれより小さいため、水素イオンの還元により、軟磁性体を構成する元素が溶解する可能性がある。一方、銅の酸化還元電位は水素のそれより大きいため、銅が湿式環境において溶解することはない。従って、上記に示したように、エッチバック工程の観点から鑑みたプロセスの容易さを比較すると、従来技術における軟磁性体層のエッチバックより、本実施の形態の方が有利である。
本実施の形態による磁気記憶装置の製造方法は、磁気抵抗効果を利用して情報の書き込みを行う磁気記憶装置のビット線に対して適用することができる。従って、ビット線より下層の構成は上記の実施の形態で説明した構成に限定されることはない。また、本発明はMRAMに好適であるが、磁化可能な磁性層を有するメモリ素子からなる他の磁気メモリ装置にも適用可能であり、またこのMRAMは磁化方向を固定してROM的に使用することもできる。
以上に説明したように、本発明の磁気記憶装置及びその製造方法によれば、ビット線の側部のみに選択的に軟磁性体層を形成することができるので、ビット線で発生される電流磁界を効率良く記憶素子に導くことができる。従って、磁界を発生させるために必要なビット線への供給電流を小さくすることができるので、磁気記憶装置の消費電力の低減が図れるとともに、記憶感度を高めることができる。また、ビット線による書き込み効率を向上させるために、ビット線と記憶素子との間の距離を短くする必要がないので、その間の絶縁層を形成するときのプロセスマージンを広げることができる。
本発明の実施の形態による磁気記憶装置の製造方法の工程断面図である。 同、磁気記憶装置の製造方法の工程断面図である。 同、磁気記憶装置の製造方法の工程断面図である。 同、磁気記憶装置の製造方法の工程断面図である。 同、軟磁性体層(ニッケル−鉄−ホウ素)の無電解めっき条件の一例を示す表である。 同、無電解めっきで形成された軟磁性体層(ニッケル−鉄−ホウ素)の組成変化を示すグラフである。 同、軟磁性体層の磁気特性を示すヒステリシス曲線図である。 MRAMのメモリセルの概略断面図である。 MRAMの等価回路図である。 MRAMの書き込み時の臨界応答特性図である。 MRAMの読み出し動作原理図である。 従来例によるMRAMの要部断面図である。 同、図12のX−X線断面図である。 同、MRAMの要部断面斜視図(A)と、配線による誘導磁場発生状態を示す断面図(B)である。 同、MRAMの製造方法を工程順に示す断面図である。 同、MRAMの製造方法を工程順に示す断面図である。 同、MRAMの製造方法を工程順に示す断面図である。 同、MRAMの製造方法を工程順に示す断面図である。 同、MRAMの製造方法を工程順に示す断面図である。
符号の説明
2…記憶層(フリー層)、2…トンネルバリア層、10…TMR素子、
11…ビット線、12…書き込み用ワード線、22…読み出し用配線、
26…磁化固定層、27…接続プラグ、44、50、54、56…層間絶縁膜、
60、61…配線材料層又は非磁性層(銅層)、
64、65、70、72、73…バリアメタル層、
62、63、71、74、91…軟磁性体層、66、69…配線溝、80…シード層、
90…金属層(シード層)

Claims (13)

  1. 第1配線と、
    トンネル絶縁層を強磁性体で挟持してなり、第1絶縁層によって前記第1配線と電気 的に絶縁された磁気抵抗効果型の記憶素子と、
    前記記憶素子を覆う第2絶縁層と、
    前記記憶素子と電気的に接続され、前記記憶素子を間にして前記第1配線と立体的に 交差した状態で前記第2絶縁層に埋め込まれている第2配線と
    を有する、不揮発性の磁気記録装置において、
    前記第2配線の側部に軟磁性体層が無電解めっきによって形成されていること
    を特徴とする、磁気記憶装置。
  2. 前記第2配線の前記側部に前記軟磁性体層を選択的に形成させるための金属層が前記第2配線の前記側部にのみ形成され、前記金属層上に前記軟磁性体層が選択的に形成されている、請求項1に記載した磁気記憶装置。
  3. 前記金属層の表面が触媒で置換され、この触媒を核として前記軟磁性体層が無電解めっきによって形成されている、請求項2に記載した磁気記憶装置。
  4. 前記第1配線及び前記第2配線のうち少なくとも前記第2配線が、絶縁層に形成された凹部内に埋め込まれており、この凹部の内壁面上に、第1拡散バリア層と前記金属層と前記軟磁性体層と第2拡散バリア層とが積層され、更にこの第2拡散バリア層に接して配線が埋め込まれることによって前記第2配線が形成されている、請求項2に記載した磁気記憶装置。
  5. 前記第1配線及び前記第2配線の主配線材が銅又は銅合金からなっている、請求項1に記載した磁気記憶装置。
  6. 前記第1配線及び前記第2配線にそれぞれ電流を流すことによって誘起される磁界で前記記憶素子の記憶層を所定方向に磁化して情報を書き込み、この書き込み情報を前記トンネル絶縁層を介してのトンネル磁気抵抗効果によって読み出すように構成された磁気ランダムアクセスメモリである、請求項1に記載した磁気記憶装置。
  7. 第1配線を形成する工程と、
    トンネル絶縁層を強磁性体で挟持してなり、第1絶縁層によって前記第1配線と電気 的に絶縁された磁気抵抗効果型の記憶素子を形成する工程と、
    前記記憶素子を覆う第2絶縁層を形成する工程と、
    前記記憶素子と電気的に接続され、前記記憶素子を間にして前記第1配線と立体的に 交差した第2配線を前記第2絶縁層に埋め込む工程と
    を有する、不揮発性の磁気記憶装置の製造方法において、
    前記第2配線の側部に軟磁性体層を無電解めっきによって形成する工程
    を有することを特徴とする、磁気記憶装置の製造方法。
  8. 前記第2配線の前記側部に前記軟磁性体層を選択的に形成させるための金属層を前記第2配線の前記側部にのみ形成し、前記金属層上に前記軟磁性体層を選択的に形成する、請求項7に記載した磁気記憶装置の製造方法。
  9. 前記金属層の表面を触媒で置換し、この触媒を核として前記軟磁性体層を無電解めっきによって形成する、請求項8に記載した磁気記憶装置の製造方法。
  10. 前記第1配線及び前記第2配線のうち少なくとも前記第2配線を埋め込むための凹部を絶縁層に形成し、この凹部の内壁面を含む全面に前記金属層の構成材料を被着し、異方性エッチングによって前記凹部の底面及び前記絶縁層上に存在する前記構成材料を除去して、前記凹部の側壁面にのみ前記金属層を形成する、請求項8に記載した磁気記憶装置の製造方法。
  11. 前記凹部の内壁面を含む全面に、第1拡散バリア層と前記金属層との各構成材料を積層した後、これらの構成材料に前記異方性エッチングを施して前記凹部の側壁面にのみ前記第1拡散バリア層と前記金属層との積層体を残し、前記金属層上に前記軟磁性体層を無電解めっきによって形成し、更に全面に第2拡散バリア層を形成した後、この第2拡散バリア層上に前記第1配線を被着する、請求項10に記載した磁気記憶装置の製造方法。
  12. 前記第1配線及び前記第2配線の主配線材を銅又は銅合金によって形成する、請求項7に記載した磁気記憶装置の製造方法。
  13. 前記第1配線及び前記第2配線にそれぞれ電流を流すことによって誘起される磁界で前記記憶素子の記憶層を所定方向に磁化して情報を書き込み、この書き込み情報を前記トンネル絶縁層を介してのトンネル磁気抵抗効果によって読み出すように構成された磁気ランダムアクセスメモリを製造する、請求項7に記載した磁気記憶装置の製造方法。



JP2004139345A 2004-05-10 2004-05-10 磁気記憶装置及びその製造方法 Pending JP2005322760A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139345A JP2005322760A (ja) 2004-05-10 2004-05-10 磁気記憶装置及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139345A JP2005322760A (ja) 2004-05-10 2004-05-10 磁気記憶装置及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005322760A true JP2005322760A (ja) 2005-11-17

Family

ID=35469810

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004139345A Pending JP2005322760A (ja) 2004-05-10 2004-05-10 磁気記憶装置及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005322760A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012517107A (ja) * 2009-02-02 2012-07-26 クアルコム,インコーポレイテッド ダマシンタイププロセスで形成されたトンネル障壁とピンド層と頂部電極とを備えた磁気トンネル接合
KR20160070695A (ko) * 2014-12-10 2016-06-20 가부시키가이샤 제이디바이스 불휘발성 자기 메모리 소자의 자기 실드 패키지
CN113632239A (zh) * 2020-01-24 2021-11-09 Tdk株式会社 自旋元件及储备池元件

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012517107A (ja) * 2009-02-02 2012-07-26 クアルコム,インコーポレイテッド ダマシンタイププロセスで形成されたトンネル障壁とピンド層と頂部電極とを備えた磁気トンネル接合
US9368716B2 (en) 2009-02-02 2016-06-14 Qualcomm Incorporated Magnetic tunnel junction (MTJ) storage element and spin transfer torque magnetoresistive random access memory (STT-MRAM) cells having an MTJ
KR20160070695A (ko) * 2014-12-10 2016-06-20 가부시키가이샤 제이디바이스 불휘발성 자기 메모리 소자의 자기 실드 패키지
KR102509425B1 (ko) * 2014-12-10 2023-03-13 가부시키가이샤 앰코테크놀로지재팬 불휘발성 자기 메모리 소자의 자기 실드 패키지
CN113632239A (zh) * 2020-01-24 2021-11-09 Tdk株式会社 自旋元件及储备池元件
CN113632239B (zh) * 2020-01-24 2024-04-12 Tdk株式会社 自旋元件及储备池元件

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7352041B2 (en) Magnetic memory device
US8716034B2 (en) Method of manufacturing magnetic memory
US20060094130A1 (en) Method for manufacturing a magnetic memory device, and a magnetic memory device
JP3993522B2 (ja) 磁気記憶装置の製造方法
TWI392013B (zh) Dry etching method and manufacturing method of magnetic memory device
JP2003324187A (ja) 磁気メモリ装置の製造方法および磁気メモリ装置
JP2006278645A (ja) 磁気メモリ装置
US6958503B2 (en) Nonvolatile magnetic memory device
KR20040108575A (ko) 자기기억장치 및 자기기억장치의 제조방법
JP4590862B2 (ja) 磁気メモリ装置及びその製造方法
JP2005166896A (ja) 磁気メモリ
JP4341355B2 (ja) 磁気記憶装置、磁気記憶装置の書き込み方法および磁気記憶装置の製造方法
US7345367B2 (en) Magnetic memory device and producing method thereof
JP2005322760A (ja) 磁気記憶装置及びその製造方法
JP2003282837A (ja) 磁気メモリ装置およびその製造方法
JP2002246566A (ja) 磁気メモリ装置
JP2003133527A (ja) 磁気メモリ装置、その書き込み方法およびその製造方法
JP2008021816A (ja) 不揮発性磁気記憶装置の製造方法
JP2003188439A (ja) 磁気抵抗効果素子およびその製造方法並びに磁気メモリ装置
JP2005285932A (ja) 磁気記憶装置及びその製造方法
JP2004259912A (ja) 磁気記憶装置およびその製造方法
JP2005056976A (ja) 磁気メモリ装置及びその製造方法
JP2005340366A (ja) 磁気記憶装置およびその製造方法
JP2005064211A (ja) 磁気記憶装置およびその製造方法
JP2003332650A (ja) トンネル磁気抵抗素子とその製造方法および磁気メモリ装置とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20070125