JP2005319852A - 自動車の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
自動車盗難発生時に、該自動車を危険な状況に陥らせることが無いように該自動車の走行性能を低下させ、それにより該自動車を発見する確率を高くする。
【解決手段】
複数の変速線情報を記憶するROM50と、自動車の不正使用を検知する盗難検知装置2からの信号に基づいて、ROM50に記憶された正常使用時とは異なるアップシフト側変速線を選択し、当該アップシフト側変速線に基づいて自動変速機を制御する制御部52を有する自動車の制御装置。
【選択図】図2
自動車盗難発生時に、該自動車を危険な状況に陥らせることが無いように該自動車の走行性能を低下させ、それにより該自動車を発見する確率を高くする。
【解決手段】
複数の変速線情報を記憶するROM50と、自動車の不正使用を検知する盗難検知装置2からの信号に基づいて、ROM50に記憶された正常使用時とは異なるアップシフト側変速線を選択し、当該アップシフト側変速線に基づいて自動変速機を制御する制御部52を有する自動車の制御装置。
【選択図】図2
Description
本発明は、自動車盗難発生時における自動車の制御装置に係り、特に自動変速機を制御するものに関する。
近年、自動車の盗難は増加傾向にあり、一旦盗難された自動車が発見されることは極めて稀であるため、自動車の所有者はもとより保険会社の被害も甚大であり、無視できない問題となってきている。
車室内への不正な侵入を防ぐ方法として、車体の振動を検知するセンサを取り付け、ドアが開かれる前に所定以上の振動を検知した場合に、警報を鳴らす装置がよく知られている。これにより、窓ガラスを壊してエンジンを始動し、自動車を運転し持ち去る手口には対処できるが、実際には警報の誤動作が多いためユーザーが装置の作動を意図的に停止する場合が多く、また、合鍵を不正に作製しドアロックを解除する手口には対処できない。
車室内に不正に侵入された場合に備えて、ステアリングロック装置やシフトロック装置を取り付け、侵入者による運転動作を阻止することにより車両走行を妨げる方法がある。しかしながら、ステアリングロック装置やシフトロック装置は、取り外しが比較的容易なため効果的ではない。
車室内に不正に侵入された場合に備えて、ステアリングロック装置やシフトロック装置を取り付け、侵入者による運転動作を阻止することにより車両走行を妨げる方法がある。しかしながら、ステアリングロック装置やシフトロック装置は、取り外しが比較的容易なため効果的ではない。
そこで更に効果的な方法として、イモビライザと呼ばれる盗難防止用の制御装置を用いて、自動車の不正利用時にエンジンの始動を禁止する方法が増えてきている。具体的には、イモビライザとキーとで暗号照合を行い、イグニッションスイッチに暗号が一致しない不正なキーが差し込まれたときには、イモビライザからエンジンの制御装置に信号が送られ、エンジンが始動しないようにする方法が用いられている。
イモビライザの使用はある程度の効果を挙げているが、運転者がイグニッションスイッチにキーを差した状態でほんの僅かの時間だけ自動車から離れたときに盗難される場合や、レッカー車を用いて強引に自動車を盗難する手口には対処できない。そこで更なる方法として、携帯電話通信網やGPS等を用いた監視・追跡システムがある。すなわち、盗難が発生したとき自動車の所有者が警備会社に連絡し、警備会社は携帯電話通信網やGPS等を用いて盗難自動車を追跡し現在位置を特定することで、盗難自動車を発見し易くしている。また、携帯電話通信網やGPS等を用いて、盗難自動車に対して遠隔操作を行い、エンジンを停止させ自動車を強制的に停止させる方法もある。
このように、自動車盗難の対策方法は数多く提案され、その対策方法自体は複雑化する傾向にある。しかし、盗難の手口も巧妙さを増しており、自動車盗難を完全に防止する方法は今のところ無い。現状では、いくつかの方法を併用することにより、自動車が盗難される確率を低くする、もしくは、自動車が盗難された時に発見される確率を高くすることが有効である。
そこで、自動変速機の制御方法を工夫することによる自動車用盗難防止システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。すなわち、運転者によって操作される作動可能/作動不能ユニットを設置し、作動可能/作動不能ユニットからの信号を自動変速機の制御装置に入力させ、入力信号が基準に合致する場合には自動変速機のシフト動作を許容し、基準に合致しない場合には、該自動車が停止している時はニュートラルを選択した上で全てのギアシフトもしくは始動ギア範囲より上のギアシフトを禁止し、該自動車が停止していない時はアップシフトを禁止した上で漸進的なダウンシフトを最低ギアに到達するまで行う、といった手段が提案されている。
特許文献1に記載の自動車用盗難防止システムによれば、アップシフトが禁止されるので、一度自動車が停止した後はニュートラル以外を選択できなくなり、車両の移動が不可能となる。従って、例えば盗難車が停止してはならない場所(例えば高速道路の中央等)に停止した場合に、他社の通行の阻害となって危険である。
また、アップシフト禁止後最低ギアに到達するまで漸進的なダウンシフトを行うため、走行状態によっては危険な状況を発生させ得るという欠点がある。例えば、アップシフト禁止後、該自動車が非常に長い急な下り坂を下る場合に、時間の経過と共にダウンシフトを強制的に行うため、ダウンシフトが行われる度にエンジン回転数が段階的に上昇し、エンジンが高回転状態であるにも拘らず強制的にダウンシフトを行うことになり、最悪は該自動車のエンジンもしくは変速機を破損させてしまう可能性がある。
そこで本発明は、自動車盗難発生時に、該自動車を危険な状況に陥らせることが無いように該自動車の走行性能を低下させ、それにより該自動車を発見する確率を高くすることを目的とする。
本発明は、複数の変速線情報を記憶する記憶部と、自動車の不正使用を検知する盗難検知装置からの信号に基づいて、前記記憶装置に記憶された正常使用時とは異なるアップシフト側変速線を選択し、当該アップシフト側変速線に基づいて自動変速機を制御する制御部と、を有する自動車の制御装置である。
本発明によれば、自動車盗難発生時に、該自動車を危険な状況に陥らせることが無いように該自動車の走行性能を低下させ、該自動車を発見する確率を高くすることができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される自動車用自動変速機の制御装置を用いた盗難防止システムの全体の概略を示している。図1において、1はイグニッションスイッチ、2は自動車の正常使用又は不正使用を検知する盗難検知装置、3はエンジン制御装置、4は自動変速機制御装置である。
イグニッションスイッチ1は、キーを利用してON・OFFされるキースイッチ5,主電源スイッチ6,スタータースイッチ7を有し、それぞれはバッテリー8に接続されている。キースイッチ5は、キーがイグニッションスイッチ1に完全に差し込まれた時にONとなるものであり、この位置でのみキーの抜き差しが可能となるようになっている。なお、キースイッチ5は、キーが主電源スイッチ6やスタータースイッチ7の位置に回動されてもONされ続ける。
主電源スイッチ6は、キーがキースイッチ5の位置から所定方向に回動されてONとなるもので、ONとなった時に盗難検知装置2,エンジン制御装置3,自動変速機制御装置4等の自動車の走行に必要な制御装置やカーオーディオ,カーナビゲーション等の付帯機器に電源が供給される。なお、主電源スイッチ6は、キーがスタータースイッチ7の位置に回動されても、ONされ続ける。
スタータースイッチ7は、キーが主電源スイッチ6の位置から更に所定方向に回動されてONとなるもので、エンジン12を始動するスターター9に給電するのに用いられ、キーから手を離すことにより自動的に主電源スイッチ6の位置にキーが復帰する。スターター9への電源供給は、スタータースイッチ7からスターターカットリレー10を介して行われるようになっている。
盗難検知装置2は、イグニッションスイッチ1に差し込まれたキーが正常なものか偽造されたものかを判別するためにあり、キースイッチ5および主電源スイッチ6を介してバッテリー8と接続されている。これにより、盗難検知装置2はキーをイグニッションスイッチ1に差し込むことにより制御が開始され、同時にキー位置の確認が行われることになる。キーには他のキーと識別するためのIDコードが記憶されており、このIDコードを盗難検知装置2に送信するためにトランスポンダ11が付設されている。
また、盗難検知装置2は、キーが送信したIDコードを受信する機能を有し、キーがイグニッションスイッチ1に完全に差し込まれると、トランスポンダ11が送信するIDコードを盗難検知装置2が読み込むことが可能となって、IDコードが盗難検知装置2に入力される。入力されたIDコードは、所定の処理に従い照合され、その結果、正しいIDコードであることが判定されれば、スターターカットリレー10をONとする。差し込まれたキーが正しいIDコードを持つことを検知することで、自動車が正常使用か不正使用かが判別できる。IDコードの照合方法には数々の方法があり、予め正しいIDコードを盗難検知装置2に記憶しておきキーが差し込まれたときに受信したIDコードとの一致を確認するという簡単な方法から、乱数を用いた暗号照合のような複雑な方法等があるが、本実施形態ではどの方法を用いても差し支えない。
盗難検知装置2には通信装置21を内蔵しているものがあり、GPSや携帯電話通信網のような通信媒体を介して、指示装置22から送られた指令を受け取ることができる。すなわち、運転者がイグニッションスイッチにキーを差した状態でほんの僅かの時間だけ自動車から離れたときに盗難された場合に、該自動車の所有者が、車外から指示装置22を用いて自動車の不正使用を意味する所定の信号を盗難検知装置2に送信することにより、盗難検知装置2が自動車の不正使用を検知することができる。
盗難検知装置2は、スターターカットリレー10のON・OFFを制御するが、その初期状態はOFFとなるように設定されていて、自動車の正常使用を判定したときにONとする。また、自動変速機制御装置4に対しては、自動車の使用状態(正常使用または不正使用)の判定結果を伝達する。その判定結果の伝達媒体は、単純なスイッチのようなON・OFFの2つの状態を持つ線とし、ONが正常使用、OFFが不正使用とする。当然、OFFを正常使用、ONを正常使用としても良いし、あるいは、CAN通信やシリアル通信のような通信手段を用いても、本発明の適用には何ら差し支えない。
エンジン制御装置3は、エンジン12を制御するためのもので、水温センサやO2 センサ等の各種センサからの信号に基づき、適切な燃料噴射量や点火時期等を演算し、インジェクタや点火プラグ等のエンジンに付設されている各種アクチュエータに対し、好適な制御を行っている。エンジン制御装置3は、主電源スイッチ6を介してバッテリー8と接続されており、イグニッションスイッチ1にキーが差し込まれ主電源スイッチ6に回動されたときに電源が供給され、制御が開始される。
なお、図1では原動機としてエンジンを用いているが、エンジンの代わりにモーターを用いても、本発明の適用には何ら差し支えなく、その場合には、エンジン制御装置3の代わりにモーター制御装置となる。
自動変速機制御装置4は、自動変速機13を制御するためのもので、主電源スイッチ6を介してバッテリー8と接続されており、イグニッションスイッチ1にキーが差し込まれ主電源スイッチ6に回動されたときに電源が供給され、制御が開始される。自動変速機制御装置4はエンジン制御装置3とエンジントルク,レンジ位置,変速中フラグ等の情報を相互に授受することにより、協調した制御を行う。また、盗難検知装置2から自動車の使用状態の判定結果を収受できるように構成し、自動変速機制御装置4が盗難検知装置2から不正使用の情報を収受した場合には、図6〜図12で説明するような所定の制御を行う。
次に自動変速機制御装置4の内部構成について、図2を用いて説明する。自動変速機制御装置4は、入力回路41,マイクロコンピュータ42,EEPROM43、及び出力回路44により構成されている。入力回路41は、アクセル開度センサ45,車速センサ
46,エンジン回転センサ47,AT油温センサ48,レンジスイッチ49,主電源スイッチ6等の信号を受け付けて、該信号からノイズ成分の除去等により波形の整形を行い、マイクロコンピュータ42の入力端子に出力するためのものである。
46,エンジン回転センサ47,AT油温センサ48,レンジスイッチ49,主電源スイッチ6等の信号を受け付けて、該信号からノイズ成分の除去等により波形の整形を行い、マイクロコンピュータ42の入力端子に出力するためのものである。
マイクロコンピュータ42は記憶部を構成するROM50,RAM51,制御部であるCPU52等を含み、各センサ45〜48及び各スイッチ6,49等の波形整形後の信号入力に対し、A/D変換等の処理を行い、ROM50に記憶された制御プログラムを
CPU52が実行することにより所定の演算を行う。この演算結果や前記信号入力等の情報はRAM51に一時保管されるとともに、演算結果は出力回路44を経て、シフトソレノイドA53,シフトソレノイドB54,シフトソレノイドC55,ライン圧ソレノイド56等のアクチュエータに信号として出力される。
CPU52が実行することにより所定の演算を行う。この演算結果や前記信号入力等の情報はRAM51に一時保管されるとともに、演算結果は出力回路44を経て、シフトソレノイドA53,シフトソレノイドB54,シフトソレノイドC55,ライン圧ソレノイド56等のアクチュエータに信号として出力される。
シフトソレノイドA53,シフトソレノイドB54,シフトソレノイドC55はそれぞれON・OFFの出力を行い、ライン圧ソレノイド56はON・OFFのデューティー出力を行う。各シフトソレノイドの所定のON・OFFの組み合わせ、及びライン圧ソレノイド56の所定のONデューティー値によって、自動変速機内の油圧回路に所定の油圧がかかり、変速歯車機構における摩擦係合要素が作動され所定のギア段が実現される。
マイクロコンピュータ42で実行された制御演算の結果について、RAM51に保管された内容は、主電源スイッチ6がOFFされ自動変速機制御装置4への電源供給が断たれると消去されるが、制御演算の内容によっては主電源スイッチ6がOFFされた後、再度主電源スイッチ6がONされたときにも演算結果を保持しなければならないものがある。例えば、自己診断制御による異常を検知した結果情報は、主電源スイッチ6がOFFされた後でも保持しなければならない。そのため、記憶部の一部であるEEPROM43を備え、主電源スイッチ6がOFFされた後、所定時間だけ自動変速機制御装置4への電源供給が継続されるような回路構成とし、主電源スイッチ6がOFFされた時に、保持が必要な演算結果をEEPROM43に記憶する。
なお、自動変速機制御装置4には、アクセル開度センサ45,車速センサ46,エンジン回転センサ47による信号が入力されるが、これらのセンサはエンジン制御装置3でも信号の入力を行っており、センサや回路のコストダウンを図るために、エンジン制御装置3で入力処理を行った結果情報をCAN通信等の通信手段を用いて自動変速機制御装置4が収受する方法が考えられる。そのような方法を用いたとしても、本発明の適用には何ら差し支えはない。また、例えばCVTのマニュアルミッションモードや歯車式自動変速機等、変速線が設けられる変速機であれば、本実施形態を適用可能である。
次に、自動変速機制御装置4が行う変速制御の概略を図3のフローチャートを用いて説明する。以下に示す変速制御の内容は、自動変速機制御装置4のマイクロコンピュータ
42内のROM50にプログラムとして記憶され、予め定められた周期で繰り返し実行される。
42内のROM50にプログラムとして記憶され、予め定められた周期で繰り返し実行される。
図3のフローチャートにおいて、まずステップS101では、各センサや各スイッチから入力された信号から車速,アクセル開度,レンジ位置等の車両状態情報を演算する。そして、それら車両状態情報を基に、ステップS102で走行パターンを判別する。ここで走行パターンとは、走行性能や燃料消費率を向上させることを目的として、走行状態をいくつかのパターンに分類し、その各パターンに応じてそれぞれ異なるギア段の設定を行うためのものである。例えば、自動車が坂を登り降りしている時は「登降坂モード」、外気温が低温の時は「低温モード」、というように走行状態や周囲の状況に応じてパターン分けを行う。
次にステップS103で、目標ギア段を決定する。目標ギア段の決定は、図4,図5に示すような変速線マップを用いて行われる。変速線マップは、車速とアクセル開度とをパラメーターとしており、アップシフト(図4)とダウンシフト(図5)とで同じギア段における車速及びアクセル開度の設定値が異なる。また、走行パターンにより変速線マップは異なり、例えば「登降坂モード」では変速線が低車速側に平行移動しており、同じギア段における車速及びアクセル開度の設定値が異なる。この変速線マップは自動変速機制御装置の記憶部の一つであるROM50に記憶される。尚、変速線マップは、ROM50に限られるものではなく、自動車内の他の記憶装置内に記憶されていても良い。
次にステップS104で、各ソレノイドの出力値の演算を行う。各ギア段を実現するためのシフトソレノイドA53,シフトソレノイドB54,シフトソレノイドC55,ライン圧ソレノイド56の設定値は変速歯車機構における摩擦係合要素の構造によって一意に決まっており、ステップS103で決定された目標ギア段に基づき、各ソレノイドの出力値が決定される。そして、決定された各ソレノイドの出力値に基づき、ステップS105で各ソレノイドに出力が行われ、変速が実現する。尚、ここではライン圧ソレノイドを例示したが、電動アクチュエータによって制御されるものでも本実施形態は適用可能である。
次に自動変速機制御装置4において、自動車が不正使用されているか否かを判定する処理について図6に示すフローチャートを用いて説明する。図6に示す処理は、図3に示すフローチャート中のステップS101の入力処理にて実行される。
図6において、まずステップS201で、盗難検知装置2から伝達された自動車使用状態判定結果を参照する。自動車使用状態判定結果は、正常使用または不正使用の二値情報とする。もし正常使用であればステップS202に進み、不正使用であればステップS204に進み、自動車不正使用フラグを1とする。ステップS202では、EEPROM43に記憶されている自動車不正使用フラグが0か否かを判定する。0であればステップS203に進み、自動車不正使用フラグを0とし、1であればステップS204に進み、自動車不正使用フラグを1とする。自動車不正使用フラグの値は、図7に示すシャットオフ処理のフローチャートに示すように、自動変速機制御装置4がシャットオフする(ステップS601)前にEEPROM43に記憶する(ステップS602)。自動車不正使用フラグの状態をEEPROMに記憶することで、イグニッションスイッチ1がOFFされ自動変速機制御装置4への電源供給が断たれた後、再びイグニッションスイッチ1がONされても、自動車の不正使用者の運転操作に従った自動変速機に対する制御を無効にすることができる。
次に、自動車不正使用フラグを用いてどのような制御を行うかについて、図8及び図9に示すフローチャートを用いて説明する。
図8は、走行パターン判別処理のフローチャートである。まず、ステップS301で自動車不正使用フラグが1か否かを判定する。自動車不正使用フラグが1であれば、自動車不正使用時用の変速線マップを選択するために、ステップS302で走行パターンを「自動車不正使用モード」にする。自動車不正使用フラグが0であれば自動車が正常使用されているので、ステップS303にて、通常の走行パターン判別、例えば「登降坂モード」や「低温モード」等の判別を行う。
図9は、目標ギア段決定処理のフローチャートである。まず、ステップS401で走行パターンが「自動車不正使用モード」であるか否かを判定する。走行パターンが「自動車不正使用モード」であれば、ステップS402に進み、「自動車不正使用モード」用の変速線マップに従い、現在の車速及びアクセル開度の値に基づいて、目標ギア段を決定する。ここで、「自動車不正使用モード」用の変速線マップは図10のように、自動車正常使用時の通常の変速線と比較してアップシフト側の変速線が高車速側へ大きく移動させるように設定したものである。変速線を高車速側へ大きく移動させることにより、車速が大きくならない限りはギア段がアップしないため、実質的に高速走行が困難になる。
また、ステップS401にて走行パターンが「自動車不正使用モード」以外であれば、ステップS403に進み、そのときの走行パターンに応じた変速線マップに従い、目標ギア段を決定する。
上記実施例は、該自動車が停車中に不正使用を検知した場合における自動変速機の制御方法についてであるが、該自動車が走行中に不正使用を検知した場合、すなわち指示装置22から不正使用を示す情報が送信された場合に、該自動車の高速走行を妨げるような変速動作を行えば、より効果的である。
そのためには、図10のようなアップシフト側変速線を用いるとともに、ダウンシフト側変速線も図11のように高車速側へ大きく移動させるように設定する。図11の変速線は、エンジン回転数が上昇し過ぎて変速機やエンジンが破損しない程度に、可能な限り低いギア段に変速するような設定値とすることが望ましい。すなわち、特許文献1のように、時間の経過に応じてダウンシフトさせるのではなく、アクセル開度,車速に応じてダウンシフトを行う変速線が望ましい。これにより、該自動車が走行中に不正使用を検知したとき、ダウンシフトを強制的に行うことができ、エンジンブレーキがかかり車速が減少するが、アップシフト側変速線の設定により実質的にアップシフトが行われないため、高速走行が不可能となる。尚、情報送信前後で2段以上の変速段差があった場合、例えば3速から1速への変速は、エンジン回転数がいきなり上昇して危険な場合があるので、一度中間段の2速を経由させることが好ましい。
また、アップシフト側変速線の設定値によっては、一旦ダウンシフトしてもその直後に再びアップシフトしてしまうことがあり、高速走行を妨げる効果が損なわれる可能性がある。そこで、該自動車が走行中に不正使用を検知した場合には、図10記載のアップシフト側変速線よりも更に高車速側へ移動させた変速線を用い、該自動車が停車した時点で、図10記載のアップシフト側変速線に切り換える手段もある。
上記実施例では、該自動車が盗難に遭ったときの変速制御について記載したが、該自動車が所有者の元に返還されたときには、不正使用時の変速制御を止め、正常の変速制御に復帰できるようにしなければならない。そのためには図12に記載の正常使用復帰処理のフローチャートに従った処理を行う。
図12において、まずステップS501で、盗難検知装置2から正常使用復帰指示が到着したか否かを判定する。ここで正常使用復帰指示とは、盗難検知装置2から自動変速機制御装置4に対し伝達された所定の信号のことで、盗難に遭った該自動車が所有者の元に返還された時に、所有者が指示装置22を用いて盗難検知装置2に対し不正使用時の制御を解除する指示を出し、盗難検知装置2がその指示を受信した時に、自動変速機制御装置4に対し伝達する。正常使用復帰指示の信号の形態は、所定のパルス状の信号でも良いし、シリアルもしくはCANを用いた通信を介した形態でもよい。ステップS501で、正常使用復帰指示が到着したと判定されれば、ステップS502に進み、EEPROM43に記憶されている自動車不正使用フラグを0にする。この処理を行うことにより、図6〜図11に記載の不正使用時の変速制御を行わないようにすることができる。また、ステップS501で正常使用復帰指示が到着していないと判定されれば、EEPROM43に記憶されている自動車不正使用フラグはそのままとし、正常使用復帰処理を終了する。
このように本実施形態によれば、自動車の不正使用時には、実質的に高速走行を不可能とすることができるため、自動車盗難時に該自動車の移動範囲を限定し、該自動車の発見確率を高くすることができる。
また、運転者がイグニッションスイッチにキーを差した状態でほんの僅かの時間だけ自動車から離れたときに盗難された場合に、車外からの遠隔操作により実質的に高速走行を不可能とすることができるため、該自動車の移動範囲を限定し、該自動車の発見確率を高くすることができる。
また、イグニッションスイッチをOFFした後でも、該自動車の高速走行が不可能である状態を継続できる。更に、請求項4に記載された発明により、該自動車が所有者の元に返還された後、高速走行が可能なように復帰操作を行うことができる。
2…盗難検知装置、4…自動変速機制御装置、43…EEPROM、50…ROM、
51…RAM。
51…RAM。
Claims (4)
- 複数の変速線情報を記憶する記憶部と、
自動車の不正使用を検知する盗難検知装置からの信号に基づいて、前記記憶装置に記憶された正常使用時とは異なるアップシフト側変速線を選択し、当該アップシフト側変速線に基づいて自動変速機を制御する制御部と、を有する自動車の制御装置。 - 請求項1記載の自動車の制御装置であって、
前記制御部は、さらに正常使用時とは異なる所定のダウンシフト側変速線を選択し、前記アップシフト側変速線と、当該ダウンシフト側変速線の双方に基づいて自動変速機を制御する自動車の制御装置。 - 請求項1記載の自動車の制御装置であって、
前記記憶部は、前記盗難検知装置からの信号を記憶する不揮発性記憶部を有し、
前記制御部は、当該制御部の電源供給が断たれ、再び電源供給が行われた後、前記不揮発性記憶部を参照して電源供給前の変速線を保持する自動車の制御装置。 - 請求項3記載の自動車の制御装置であって、
前記制御部は、前記不揮発性記憶部に記憶された不正使用信号を消去する手段を有し、記憶された前記不正使用信号が消去された場合は、正常使用時の変速線に従った変速動作に復帰する自動車の制御装置。
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---|---|---|---|---|
JP2008126336A (ja) * | 2006-11-17 | 2008-06-05 | Nakamura Tome Precision Ind Co Ltd | 工作機械の移設検出装置 |
JP2020051582A (ja) * | 2018-09-28 | 2020-04-02 | 株式会社Subaru | 盗難防止装置 |
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