JP2008239073A - 車両制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】自動変速機の搭載車両の盗難を防止する車両制御システムの提供。
【解決手段】車両の搭乗者により入力されるシフト指令に応じて自動変速機3のシフトレンジを切換制御するシフト制御装置20は、パーキングレンジへの切換指令が入力された場合に自動変速機3の出力軸をロックし、パーキングレンジの解除指令が入力された場合に当該出力軸のロックを解除する。情報照合装置60は、車両内送受信機62及び生体センサ64により取得された搭乗者の電子キー9の固有情報及び生体情報と、個別照合コンピュータ66,67に記憶されている正規使用者の電子キー9の固有情報及び生体情報とを照合し、その結果、一致判定が下された場合にシフト制御装置20のシフト制御コンピュータ34はパーキングレンジの解除指令を受容するが、不一致判定が下された場合にシフト制御コンピュータ34は当該解除指令を拒絶する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の搭乗者により入力される指令に応じて車両を制御する車両制御システムに関する。
従来、車両が盗難されて不正使用されることを防止するために、セキュリティ性を高めた車両制御システムの開発が広く行われている。
例えば特許文献1には、車両の搭乗者が携帯する携帯機から発信された固有情報を車両メモリに記憶の正規の固有情報と照合し、それらの情報が一致しない場合にはエンジンのオンを禁止する車両制御システムが開示されている。
特許第3415278号公報
ところで、上記特許文献1に開示されるように携帯機及び車両メモリの各固有情報の不一致によってエンジンのオンを禁止する、所謂イモビライザ機能によれば、車両の盗難に対して一定の効果を挙げることができる。しかしながら、自動変速機を搭載した車両の場合には、次の問題が発生することが判明したのである。
一般に自動変速機では、シフトレンジがパーキングレンジへ切り換えられると、車両の駆動輪に繋がる出力軸がロックされるようになっている。そのため、本来、エンジンのオフ状態においてパーキングレンジが実現されていれば、イモビライザ機能と相俟って車両の移動が禁止されるのであるが、パーキングレンジが解除されてしまうと、エンジンオンの禁止にも拘らず車両を牽引して移動させることが可能となる。即ち、車両の盗難を防止し得なくなるおそれがあった。
また、そのような問題の他、上記特許文献1に開示の如くイモビライザ機能を実現する車両制御システムでは、次の問題が発生することも判明したのである。
日常生活においては、携帯機を携帯した車両の正規使用者がエンジンを正常にオンした後、当該携帯機が車両外へ持ち出された状態で車両を発進させてしまうことがある。例えば、正規使用者が暖気のためにエンジンをオンしてから一旦車両外の家屋内へ入った後、当該家屋内に携帯機を忘れたまま車両を発進させる場合や、正規使用者がエンジンをオンしてから携帯機を鞄に入れた後、当該鞄を誤って車両外の者に渡してしまい、そのまま車両を発進させる場合等である。こうした場合に正規使用者は、携帯機の不携帯状態にあることを、目的地に到着してエンジンをオフしてから気付くことも少なくない。しかしながら、オフしたエンジンについては、携帯機がないと、再度オンすることができなくなるため、車両に対する信頼性を低下させる要因となっていた。
本発明は、以上説明した問題に鑑みてされたものであって、その目的は、自動変速機を搭載した車両の盗難を防止する車両制御システムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、車両の盗難を防止しつつ車両に対する信頼性を確保する車両制御システムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、車両の搭乗者により入力されるシフト指令に応じて車両の自動変速機のシフトレンジを切換制御するシフト制御手段であって、シフト指令のうちパーキングレンジへの切換指令が入力された場合に、自動変速機の出力軸をロックし、シフト指令のうちパーキングレンジの解除指令が入力された場合に、当該出力軸のロックを解除するシフト制御手段と、搭乗者を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、車両の正規使用者を特定した特定情報を記憶している特定情報記憶手段と、識別情報取得手段により取得された識別情報と特定情報記憶手段に記憶されている特定情報とを照合する情報照合手段と、情報照合手段により識別情報と特定情報との一致判定が下された場合に、パーキングレンジの解除指令を受容し、情報照合手段により識別情報と特定情報との不一致判定が下された場合に、当該解除指令を拒絶する解除指令処理手段と、を備えることを特徴とする。
こうした特徴を有する請求項1に記載の発明によると、車両の搭乗者を識別する識別情報と同車両の正規使用者を特定した特定情報とが一致しない場合には、パーキングレンジの解除指令が拒絶されるので、自動変速機の出力軸のロックは解除されることがない。これによれば、車両を不正に移動させることができなくなるで、車両の盗難防止性が確保され得る。また一方、搭乗者の識別情報と正規使用者の特定情報とが一致した場合には、パーキングレンジの解除指令が受容されるので、自動変速機の出力軸のロック解除によって車両の正常走行が可能となる。
請求項2に記載の発明は、搭乗者により入力されるスイッチ指令に応じて車両のエンジンのオンオフを切換制御するエンジン制御手段と、情報照合手段により識別情報と特定情報との一致判定が下された場合に、スイッチ指令のうちエンジンのオン指令を受容し、情報照合手段により識別情報と特定情報との不一致判定が下された場合に、当該オン指令を拒絶するスイッチ指令処理手段と、を備える。これによれば、車両の搭乗者を識別する識別情報と同車両の正規使用者を特定した特定情報とが一致しない場合には、パーキングレンジの解除指令のみならず、エンジンのオン指令も拒絶されるので、車両の盗難防止性をさらに高めることができる。また一方、搭乗者の識別情報と正規使用者の特定情報とが一致した場合には、パーキングレンジの解除指令のみならず、エンジンのオン指令も受容されるので、自動変速機の出力軸のロック解除と共にエンジンをオンして車両を正常に走行させることができる。
請求項3に記載の発明によると、情報照合手段は、識別情報と特定情報との照合を個別に行う複数の個別照合回路を有し、解除指令処理手段は、全ての個別照合回路により識別情報と特定情報との一致判定が下された場合に、パーキングレンジの解除指令を受容し、少なくとも一つの個別照合回路により識別情報と特定情報との不一致判定が下された場合に、当該解除指令を拒絶する。これによれば、識別情報と特定情報との照合が複数の個別照合回路により行われ、それら全ての個別照合回路により一致判定が下されない限り、パーキングレンジが解除されなくなるので、個別照合回路の不正交換による車両盗難を防止することができる。
請求項4,6に記載の発明によると、シフト制御手段は、シフト指令の入力のために搭乗者により操作される操作部を有し、識別情報取得手段は、操作部に設けられ搭乗者の生体情報を識別情報として取得する生体情報取得部を有する。これによれば、シフト操作の入力のために必然的に操作部を操作することとなる搭乗者の識別情報を、当該操作部に設けられた生体情報取得部により確実に取得することができる。また、そうした識別情報としての生体情報は、生体である搭乗者から直接的に取得されるので、偽造され難いものとなる。
請求項5,6に記載の発明によると、識別情報取得手段は、搭乗者により携帯される携帯機の固有情報を識別情報として取得する固有情報取得部を有する。これによれば、搭乗者の携帯機の固有情報を識別情報として、それに対応した正規使用者の特定情報と照合させることができる。故に、例えば既存のイモビライザ機能を利用して本発明を実現することで、開発コストの低減が可能となる。
シフト制御手段が操作部を、また識別情報取得手段が生体情報取得部及び固有情報取得部を有する請求項6に記載の発明によると、特定情報記憶手段は、正規使用者の生体情報を特定情報として記憶している生体情報記憶部と、正規使用者により携帯される携帯機の固有情報を特定情報として記憶している固有情報記憶部とを有し、解除指令処理手段は、生体情報取得部により取得された搭乗者の生体情報と生体情報記憶部に記憶されている正規使用者の生体情報との一致判定、並びに固有情報取得部により取得された搭乗者の携帯機の固有情報と固有情報記憶部に記憶されている正規使用者の携帯機の固有情報との一致判定が情報照合手段により下された場合に、パーキングレンジの解除指令を受容し、搭乗者の生体情報と正規使用者の生体情報との不一致判定、又は搭乗者の携帯機の固有情報と正規使用者の携帯機の固有情報との不一致判定が情報照合手段により下された場合に、パーキングレンジの解除指令を拒絶する。これによれば、搭乗者の生体情報と正規使用者の生体情報とが一致するのみならず、搭乗者の携帯機の固有情報と正規使用者の携帯機の固有情報とも一致しない限り、パーキングレンジが解除されなくなるので、車両の盗難防止性をより高いレベルにて享受することができる。
請求項7に記載の発明は、車両の搭乗者により入力されるスイッチ指令に応じて車両のエンジンのオンオフを切換制御するエンジン制御手段と、搭乗者を識別する識別情報として、搭乗者により携帯される携帯機の固有情報を取得する識別情報取得手段と、車両の正規使用者を特定した特定情報として、正規使用者により携帯される携帯機の固有情報を記憶している特定情報記憶手段と、識別情報取得手段により識別情報として取得された搭乗者の携帯機の固有情報と特定情報記憶手段に特定情報として記憶されている正規使用者の携帯機の固有情報とを照合する情報照合手段と、情報照合手段により固有情報同士の一致判定が下された場合に、スイッチ指令のうちエンジンのオン指令を受容し、情報照合手段により固有情報同士の不一致判定が下された場合に、オン指令を拒絶するスイッチ指令処理手段と、エンジンのオン状態において要求信号を車両内へ送出する要求信号送出手段と、要求信号に対して携帯機からの応答がない場合に、車両内において異常を警告する警告手段と、を備えることを特徴とする。
こうした特徴を有する請求項7に記載の発明によると、車両の搭乗者を識別する識別情報である搭乗者の携帯機の固有情報と、同車両の正規使用者を特定した特定情報である正規使用者の携帯機の固有情報とが一致しない場合には、エンジンのオン指令が拒絶される。故に、エンジンをオンして車両を不正に走行させることができなくなるで、車両盗難を防止することが可能となる。また一方、搭乗者の携帯機の固有情報と正規使用者の携帯機の固有情報とが一致した場合には、エンジンのオン指令が受容されるので、エンジンをオンして車両を正常に走行させることができる。しかも、このようにしてエンジンがオンした状態下、車両内へ送出された要求信号に対して携帯機からの応答がない場合には、車両内にて異常が警告されることになる。故に、車両の正規使用者は、車両の搭乗者としてエンジンをオンした後に携帯機の不携帯状態となったとしても、当該不携帯状態にあることを異常警告によって気付くことができる。したがって、車両の搭乗車が正規使用者であるにも拘らずエンジンをオンし得なくなる事態を回避して、車両に対する信頼性を確保することが可能となる。
請求項8に記載の発明によると、要求信号送出手段は、エンジンのオン状態において車両が走行を開始した後に、要求信号を車両内へ送出する。これによれば、正規使用者はエンジンのオン後に携帯機の不携帯状態となり、そのままの状態で車両を発進させたとしても、車両内への要求信号に対して応答する携帯機が存在しないことにより異常警告を受けることになるので、当該不携帯状態にあることを早期に気付くことができる。
請求項9に記載の発明は、エンジンのオン状態において車両のドアの開放及び閉成を検出するドア開閉検出手段を備え、要求信号送出手段は、ドア開閉検出手段によりドアの開放及び閉成が順次検出された後に、要求信号を車両内へ送出する。これによれば、正規使用者はエンジンオン状態の車両のドアを開放及び閉成して携帯機の不携帯状態にて乗車したとしても、車両内への要求信号に対して応答する携帯機が存在しないことにより異常警告を受けることになるので、当該不携帯状態にあることを早期に気付くことができる。
請求項10に記載の発明は、エンジンのオン状態において車両の窓の開放及び閉成を検出する窓開閉検出手段を備え、要求信号送出手段は、窓開閉検出手段により窓の開放及び閉成が順次検出された後に、要求信号を車両内へ送出する。これによれば、正規使用者がエンジンオン状態の車両の窓を開放及び閉成する間に携帯機が誤って車両外へと持ち出されることになったとしても、当該正規使用者は、車両内への要求信号に対して応答する携帯機が存在しないことにより異常警告を受けることになるので、携帯機の不携帯状態にあることを早期に気付くことができる。
請求項11に記載の発明によると、要求信号送出手段は、エンジンのオン状態においてスイッチ指令のうちエンジンのオフ指令が入力された場合に、要求信号を車両内へ送出し、エンジン制御手段は、警告手段による警告に対してオフ指令が再入力された場合に、エンジンをオフし、警告手段による警告に対してオフ指令が再入力されない場合に、エンジンのオフを禁止する。これによれば、正規使用者は携帯機の不携帯状態にてエンジンのオフ指令を入力したとしても、車両内への要求信号に対して応答する携帯機が存在しないことにより異常警告を受けることになる。したがって、正規使用者は、異常警告に対してオフ指令を再入力しないことでエンジンのオフを禁止して、携帯機の存在場所まで戻ることができる。また一方、正規使用者は異常警告を受けたとしても、オフ指令を再入力することでエンジンのオフを優先させることもできるのである。
請求項12に記載の発明は、警告手段による警告に伴って、携帯機により異常を警告するための異常信号を車両外へ送出する異常信号送出手段を、備える。これにより、エンジンのオン後に携帯機が車両外へ持ち出されるような場合には、車両内への要求信号に対して応答する携帯機が存在しないことにより、当該車両内に加え、車両外においても異常が警告されることとなる。したがって、車両内の正規使用者が携帯機の不携帯状態にあることを、その正規使用者本人のみならず、車両外の携帯機周囲の者も気付くことができるので、エンジンをオンし得なくなる事態の回避性を高めることができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態による車両制御システム2の概略構成を示している。車両制御システム2は、自動変速機3及び内燃式エンジン4と共に車両1(図2参照)に搭載されている。
まず、車両制御システム2の基本構成について説明する。図1に示すように車両制御システム2は、自動変速機制御装置10、シフト制御装置20、エンジン制御装置50及び情報照合装置60等から構成されている。
自動変速機制御装置10は、自動変速機3を駆動する油圧回路12を備えている。油圧回路12のマニュアル弁14は、直線運動するスプールを備えたスプール弁からなり、当該スプールの移動位置に応じた出力油圧によって自動変速機3のシフトレンジを切り換える。ここで自動変速機3には、エンジン4の回転出力を車両1の駆動輪側へ伝達するシフトレンジとして、リバース(R)レンジ及びドライブ(D)レンジの二種類の走行レンジが用意されている。また、自動変速機3には、エンジン4の回転出力を車両1の駆動輪側へ伝達しないシフトレンジとして、ニュートラル(N)レンジ及びパーキング(P)レンジの二種類の非走行レンジが用意されている。
シフト制御装置20は、レンジセレクタ31、シフトアクチュエータ32、変換機構33及びシフト制御コンピュータ34を備えている。
レンジセレクタ31は、シフトレバー22及びシフトセンサ24を備えている。
シフトレバー22には、車両1の搭乗者が指令を入力するための操作位置として、自動変速機3のシフトレンジを選択可能な四つのレンジ選択位置P,R,N,Dが設定されている。シフトセンサ24は、シフトレバー22の各レンジ選択位置P,R,N,Dにそれぞれ対応して設けられたレンジ検出器24P,24R,24N,24Dを有している。各レンジ検出器24P,24R,24N,24Dは車両1に搭載のバッテリ7に電気的に接続されており、それぞれ対応するレンジ選択位置P,R,N,Dへシフトレバー22が操作された場合にオンして検出信号を出力し、それ以外の場合にオフして検出信号の出力を零にする。即ち、各レンジ検出器24P,24R,24N,24Dの検出信号は、車両1の搭乗者により選択されたシフトレンジ(以下、「選択レンジ」という)を表すものとなる。
シフトレバー22にはさらに、指令を入力するための操作位置として、エンジン4のオンオフをスイッチ可能なスイッチ位置が設定されており、シフトセンサ24は、当該スイッチ位置に対応して設けられたオンオフ検出器24Cを有している。オンオフ検出器24Cはバッテリ7に電気的に接続されており、スイッチ位置へシフトレバー22が操作された場合にオンして検出信号を出力し、それ以外の場合にオフして検出信号の出力を零にする。
シフトアクチュエータ32は、例えば電動モータ及び減速機構等から構成される電動アクチュエータであり、通電によって回転出力を発生する。変換機構33は、シフトアクチュエータ32の発生した回転出力をマニュアル弁14のスプールの直線運動へ変換する。したがって、シフトアクチュエータ32の回転位置に応じて自動変速機3のシフトレンジが切り換わることとなる。そこで、本実施形態のシフトアクチュエータ32には、自動変速機3の実際のシフトレンジ(以下、「実レンジ」という)を表す回転位置を検出するために、ロータリエンコーダ等の回転位置センサ36が設けられている。
シフト制御コンピュータ34はマイクロコンピュータを主体に構成された電気回路であり、バッテリ7、シフトアクチュエータ32、回転位置センサ36及びシフトセンサ24のレンジ検出器24P,24R,24N,24Dと電気的に接続されている。シフト制御コンピュータ34は、回転位置センサ36及びレンジ検出器24P,24R,24N,24Dの検出信号に基づいてシフトアクチュエータ32の回転位置を制御することにより、自動変速機3のシフトレンジを切換制御する。このように本実施形態のシフトレンジの切換制御は、所謂シフトバイワイヤ方式によって実現されている。
シフト制御コンピュータ34はさらに、LAN回線38を介してエンジン制御装置50と電気的又は光学的に接続されていると共に、シフトセンサ24のオンオフ検出器24Cと電気的に接続されている。シフト制御コンピュータ34は、検出器24C,24R,24D及び回転位置センサ36の検出信号をエンジン制御装置50へ送信する。
エンジン制御装置50は、シフト制御コンピュータ34と接続されて検出器24C,24R,24D及び回転位置センサ36の検出信号を受信するエンジン制御コンピュータ52を備えている。
エンジン制御コンピュータ52はマイクロコンピュータを主体に構成された電気回路であり、車両1のブレーキセンサ8a、車速センサ8b及び着座センサ8cと電気的に接続されている。ここでブレーキセンサ8aは、例えばブレーキペダルの操作位置に基づいて車両1のブレーキのオンオフ状態を検出する。車速センサ8bは、例えば自動変速機3の回転軸の回転数等に基づいて車両1の走行速度を検出する。車両1の運転席1a(図2参照)に設けられる着座センサ8cは、運転席1aに搭乗者が着座した場合にオンして検出信号を出力し、運転席1aから搭乗者が離座した場合にオフして検出信号の出力を零にする。
エンジン制御コンピュータ52はさらに、エンジン4のスタータ4a、イグナイタ4b、燃料噴射弁4c及び吸気スロットル4d等の電装品と電気的に接続されている。ここでスタータ4aは、停止状態にあるエンジン4を始動させるための回転出力をセルモータによって発生する。イグナイタ4bは、エンジン4の気筒内において燃料を点火するための火花放電を発生する。燃料噴射弁4cは、エンジン4の吸気管又は気筒内への燃料噴射量を調整する。吸気スロットル4dは、エンジン4の吸気通路においてスロットル開度を調整する。
以上の構成によりエンジン制御コンピュータ52は、検出器24C,24R,24D及びセンサ8a,8b,8c,36の各検出信号に基づいて、エンジン4の電装品4a,4b,4c,4dのオンオフを切換制御する。また、エンジン4のオン状態においてエンジン制御コンピュータ52は、電装品4b,4c,4dの作動を車両1の運転状態に応じて制御する。
情報照合装置60は、車両内送受信機62、生体センサ64及び二つの個別照合コンピュータ66,67を備えている。
車両内送受信機62は、個別照合コンピュータ66,67及びバッテリ7と電気的に接続されており、車両1内の搭乗者によって携帯される「携帯機」としての電子キー9との間で双方向のデータ通信を実現する。ここで、本実施形態の車両内送受信機62は、車両1内の電子キー9へ要求信号を送出し、当該信号に対して応答した電子キー9から発信される固有情報(例えばID等)を、車両1の搭乗者を識別する識別情報として取得する。そして、この取得した電子キー9の固有情報を車両内送受信機62は、各個別照合コンピュータ66,67へ適時に送信する。
生体センサ64は、シフトレバー22に設けられて個別照合コンピュータ66,67及びバッテリ7と電気的に接続されており、車両1の搭乗者の生体情報を取得する。ここで、本実施形態の生体センサ64は、シフトレバー22を操作する搭乗者の手に赤外光等の検査光を照射して得られる静脈パターンを、搭乗者を識別する生体情報(識別情報)として取得する。そして、この取得した搭乗者の生体情報を生体センサ64は、各個別照合コンピュータ66,67へ適時に送信する。
各個別照合コンピュータ66,67はマイクロコンピュータを主体に構成された電気回路であり、バッテリ7に電気的に接続されている。各個別照合コンピュータ66,67は、必要な情報を記憶するためのメモリ68,69をそれぞれ有している。各個別照合コンピュータ66,67のメモリ68,69は、車両1の正規使用者を特定した特定情報として、当該使用者により携帯される正規電子キー9の固有情報(例えばID等)をそれぞれ記憶領域68a,69aに記憶している。また、各個別照合コンピュータ66,67のメモリ68,69は、車両1の正規使用者を特定した生体情報(特定情報)として、当該使用者の手の静脈パターンをそれぞれ記憶領域68b,69bに記憶している。
各個別照合コンピュータ66,67はさらに、LAN回線38を介してシフト制御コンピュータ34及びエンジン制御コンピュータ52と電気的又は光学的に接続されている。各個別照合コンピュータ66,67は、車両内送受信機62を通じて取得した搭乗者の電子キー9の固定情報と、メモリ68,69に記憶されている正規使用者の電子キー9の固有情報とを照合し、その照合結果をシフト制御コンピュータ34及びエンジン制御コンピュータ52へ適時に送信する。また、各個別照合コンピュータ66,67は、生体センサ64を通じて取得した搭乗者の生体情報と、メモリ68,69に記憶されている正規使用者の生体情報とを照合し、その照合結果をシフト制御コンピュータ34及びエンジン制御コンピュータ52へ適時に送信する。
次に、変換機構33の詳細について説明する。図3に示すように変換機構33は、ディテントプレート80、ディテントスプリング81、パークロッド82、パークポール83、パークギア84等から構成されている。
ディテントプレート80の駆動軸86は回転自在に設けられ、シフトアクチュエータ32の出力端に固定されている。ディテントプレート80には、マニュアル弁14のスプール14aが連繋している。したがって、本実施形態では、ディテントプレート80に連繋するシフトアクチュエータ32の回転に応じて当該プレート80が回転することにより、スプール14aが軸方向移動して自動変速機3のシフトレンジが切り換わるようになっている。
図4に示すようにディテントプレート80の外周縁部には、その回転方向に沿って四つの溝80P,80R,80N,80Dが形成されている。これらの溝80P,80R,80N,80Dは、それぞれ自動変速機3のP,R,N,Dの各レンジと対応しており、ディテントスプリング81は、ディテントプレート80の回転位置に応じたいずれかの溝80P,80R,80N,80Dと係合可能に設けられている。以上により、ディテントスプリング81が溝80Pと嵌合するディテントプレート80の回転位置においては、Pレンジが実現されることになる。また同様に、ディテントスプリング81が溝80R、溝80N及び溝80Dと嵌合するディテントプレート80の回転位置においては、それぞれRレンジ、Nレンジ及びDレンジが実現されることになる。
図3に示すようにディテントプレート80には、パークロッド82が固定されており、このパークロッド82に設けられた円錐部88がパークポール83に当接している。パークポール83は、揺動自在に且つパークギア84に対して噛合可能に設けられている。パークギア84は、車両1の駆動輪に繋がる自動変速機3の出力軸3aに固定されており、パークポール83がその揺動位置に応じて噛合又は離脱することによってロック又はロック解除されるようになっている。
ここで具体的には、Pレンジの実現位置にディテントプレート80が回転した状態では、パークロッド82がパークポール83側へ移動して円錐部88がパークポール83をパークギア84に噛み合わせさせることになるため、当該ギア84と共に出力軸3aがロックされる。また一方、Pレンジの実現位置よりもRレンジの実現位置側にディテントプレート80が回転した状態では、パークロッド82がパークポール83と反対側へ移動して円錐部88がパークポール83をパークギア84から離脱させることになるため、当該ギア84及び出力軸3aのロックが解除される。
次に、レンジセレクタ31について詳細に説明する。図2に示すようにレンジセレクタ31は、車両1のステアリング1bの中心線Aに対して助手席1cとは反対側となる領域(図2に斜線を付した領域)内に設けられている。これにより、ステアリング1bと対向する運転席1aに着座した搭乗者によって、レンジセレクタ31のシフトレバー22の操作(以下、単に「レバー操作」ともいう)が可能となっている。
図5,6に示すようにレンジセレクタ31は、シフトレバー22及びシフトセンサ24に加えて、ハウジング26を備えている。
ハウジング26は矩形箱状を呈し、車両1内に露出する一壁部により案内壁部27を形成している。案内壁部27は、L字溝状の案内孔部28P,28R,28N,28Dと、それら案内孔部28P,28R,28N,28Dの一端部同士を接続する接続孔部28Cとを有している。各案内孔部28P,28R,28N,28Dは、それぞれ接続孔部28Cとは反対側の端部により、シフトレバー22の対応するレンジ選択位置P,R,N,Dを規定している。
シフトレバー22は、それぞれ別体に形成されたレバーロッド22a及びレバーグリップ22bを組み合わせてなる。
レバーロッド22aは中空の円筒状を呈し、案内壁部27を貫通する形態で配置されている。レバーロッド22aの一端部側はハウジング26内に挿入されており、ハウジング26に装着されたボールジョイント29によって当該一端部側が任意方向へ傾動可能に支持されている。レバーロッド22aのボールジョイント29と反対側は、ハウジング26外へ突出して車両1内に露出している。レバーロッド22aは、径方向の操作力が作用しない状態では、図7に示すように、接続孔部28Cを貫通する中立位置にスプリング(図示しない)の付勢力によって定位する。一方、レバーロッド22aは、径方向の操作力が作用することにより、図7に破線矢印で示すように案内孔部28P,28R,28N,28Dのいずれかに沿ってレンジ選択位置P,R,N,Dのいずれかまで傾動可能である。即ち本実施形態では、レバーロッド22aをレンジ選択位置P,R,N,Dまで傾動させる操作が、レンジ選択位置P,R,N,Dへのレバー操作となっている。
図5に示すように、レバーグリップ22bは中空の略球状を呈し、レバーロッド22aのボールジョイント29とは反対側端部に外嵌されている。レバーグリップ22bは、レバーロッド22aに対して離脱不能且つレバーロッド22aの軸方向に所定範囲内で往復移動可能に設けられており、当該レバーグリップ22bのレバーロッド22a側の移動端にシフトレバー22のスイッチ位置が規定されている。レバーグリップ22bは、レバーロッド22aの軸方向へ操作力が作用しない状態では、レバーロッド22aとは反対側の移動端にスプリング25の付勢力によって定位する。一方、レバーグリップ22bは、レバーロッド22aの軸方向において操作力が当該ロッド22a側(図7の実線矢印側)へ作用することにより、スイッチ位置まで移動可能である。即ち本実施形態では、レバーグリップ22bをスイッチ位置まで移動させる操作が、スイッチ位置へのレバー操作となっている。尚、本実施形態では、レバーグリップ22bが誤操作によってスイッチ位置まで操作されることを防止するため、スプリング25による移動端からスイッチ位置までのレバーグリップ22bのストローク長さが可及的に長く設定されている。
図5,6に示すように、シフトセンサ24の各レンジ検出器24P,24R,24N,24Dは例えばリミットスイッチ等であり、ハウジング26内に位置決めして収容されている。各レンジ検出器24P,24R,24N,24Dは、対応する案内孔部28P,28R,28N,28Dのレンジ選択位置P,R,N,Dまで達したレバーロッド22aを検知してオンし、当該レンジ選択位置からレバーロッド22aが離間することでオフする。
図6に示すように、シフトセンサ24のオンオフ検出器24Cは例えばリミットスイッチであり、レバーロッド22a内に位置決めして収容されている。オンオフ検出器24Cは、レバーロッド22a側の移動端、即ちスイッチ位置まで押し込まれたレバーグリップ22bを検知してオンし、当該スイッチ位置からレバーグリップ22bから離間することでオフする。尚、ハウジング26に対して傾動するレバーロッド22a内のオンオフ検出器24Cは、例えばボールジョイント29において非接触の電力供給及び信号伝送を実現すること等により、シフト制御コンピュータ34及びバッテリ7と電気的に接続される。
図5,7に示すようにレバーグリップ22bには、生体センサ64が設置されている。ここで本実施形態では、レバーグリップ22bを握る搭乗者の手の静脈パターンを適確に取得するために、レバーグリップ22bにおいてレバーロッド22aとは反対側の中心部分に生体センサ64を設置している。尚、レバーロッド22aに対して往復移動するレバーグリップ22bに設置の生体センサ64は、例えばボールジョイント29において非接触の電力供給及び信号伝送を実現すること等により、レバーロッド22a内を通じて個別照合コンピュータ66,67及びバッテリ7と電気的に接続される。
次に、各個別照合コンピュータ66,67による照合処理について詳細に説明する。この照合処理は図8に示す処理フローに従うものであり、例えば搭乗者の乗車から降車までの間において各個別照合コンピュータ66,67が制御コンピュータ34,52のうち少なくとも一方から照合信号を受信してコンピュータプログラムの実行を開始することにより、実施される。尚、本実施形態において制御コンピュータ34,52からの照合信号としては、固有情報照合信号SIと、生体情報照合信号SLの二種類が用意されている。
まず、ステップS101では、制御コンピュータ34,52から受信した照合信号の種類が、固有情報照合信号SI及び生体情報照合信号SLのうちいずれであるかを判定する。
ステップS101で固有情報照合信号SIを受信したとの判定がなされると、ステップS102へ移行する。このステップS102では、車両内送受信機62を制御して車両1内へ要求信号を送出し、それに応答した搭乗者の電子キー9の固有情報を車両内送受信機62を通じて読み込む。続いてステップS103では、読み込んだ搭乗者の電子キー9の固有情報を、メモリ68,69に記憶の正規電子キー9の固有情報と対比し、それら固有情報が互いに一致しているか否かを判定する。
ステップS103で肯定判定、即ち搭乗者の電子キー9の固有情報と正規電子キー9の固有情報との一致判定がなされた場合には、ステップS104へ移行する。このステップS104では、制御コンピュータ34,52のうち固有情報照合信号SIの送信元へ固有情報一致フラグFAIを返信し、本処理フローを終了する。
一方、ステップS103で否定判定、即ち搭乗者の電子キー9の固有情報と正規電子キー9の固有情報との不一致判定がなされた場合には、ステップS105へ移行する。このステップS105では、制御コンピュータ34,52のうち固有情報照合信号SIの送信元へ固有情報不一致フラグFDIを返信し、本処理フローを終了する。
以上、ステップS101で固有情報照合信号SIを受信したと判定された場合について説明したが、ステップS101で生体情報照合信号SLを受信したとの判定がなされると、ステップS106へ移行する。このステップS106では、生体センサ64を制御して搭乗者の手に検査光を照射し、それにより得られた生体情報(静脈パターン)を生体センサ64から読み込む。続いてステップS107では、読み込んだ搭乗者の生体情報を、メモリ68,69に記憶の正規使用者の生体情報と対比し、それら生体情報が互いに一致しているか否かを判定する。
ステップS107で肯定判定、即ち搭乗者の生体情報と正規使用者の生体情報との一致判定がなされた場合には、ステップS108へ移行する。このステップS108では、制御コンピュータ34,52のうち生体情報照合信号SLの送信元へ生体情報一致フラグFALを返信し、本処理フローを終了する。
一方、ステップS107で否定判定、即ち搭乗者の生体情報と正規使用者の生体情報との不一致判定がなされた場合には、ステップS109へ移行する。このステップS109では、制御コンピュータ34,52のうち生体情報照合信号SLの送信元へ生体情報不一致フラグFDLを返信し、本処理フローを終了する。
次に、シフト制御コンピュータ34によるシフトレンジの切換制御について詳細に説明する。この切換制御は図9に示す制御フローに従うものであり、例えば搭乗者の乗車から降車までの間においてシフト制御コンピュータ34がコンピュータプログラムを実行することにより、実施される。尚、本制御フローの開始時点においては、エンジン4のオフ状態において実レンジがPレンジになっているものとする。
まず、ステップS201では、実レンジであるPレンジを解除して、選択レンジであるR,N,Dレンジのいずれかへ切り換えるためのシフト指令が、入力されたか否かを判定する。ここで本実施形態では、レンジ選択位置R,N,Dのいずれかへのレバー操作によってレンジ検出器24R,24N,24Dのいずれかから検出信号が出力されたか否かにより、指令入力の有無を判定する。
ステップS201は肯定判定がなされるまで繰り返され、ステップS201で肯定判定がなされると、ステップS202へ移行する。このステップS202では、各個別照合コンピュータ66,67へ固有情報照合信号SIを送信することにより、搭乗者の電子キー9の固有情報を正規電子キー9の固有情報と照合させる。続いてステップS203では、固有情報の照合により各個別照合コンピュータ66,67から返信されたフラグの相関を判定する。
ステップS203において、フラグ相関が以下の正常相関NCIであると判定されると、現在の搭乗者は正規使用者であると仮判断して、ステップS204へ移行する。
(NCI)個別照合コンピュータ66,67の双方からのフラグが固有情報一致フラグFAIである。
搭乗者は正規使用者であると仮判断された後のステップS204では、各個別照合コンピュータ66,67へ生体情報照合信号SLを送信することにより、搭乗者の生体情報を正規使用者の生体情報と照合させる。続いてステップS205では、生体情報の照合により各個別照合コンピュータ66,67から返信されたフラグの相関を判定する。
ステップS205において、フラグ相関が以下の正常相関NCLであると判定されると、搭乗者は正規使用者であると最終判断してステップS206へ移行する。
(NCL)個別照合コンピュータ66,67の双方からのフラグが生体情報一致フラグFALである。
搭乗者は正規使用者であると最終判断された後のステップS206では、Pレンジを解除して選択レンジへ切り換えるためのシフト指令を受容し、回転位置センサ36の検出信号が表す回転位置と当該選択レンジに対応の回転位置とが一致するようにシフトアクチュエータ32の回転出力を制御する。その結果、自動変速機3のPレンジが解除されて選択レンジへと切り換えられるため、自動変速機3の出力軸3aのロックも解除されることなる。
この後、ステップS207では、回転位置センサ36の検出信号に基づいて自動変速機3の実レンジを算出する。また続いてステップS208では、現在の実レンジを解除して、当該実レンジとは異なる選択レンジへ切り換えるためのシフト指令が、入力されたか否かを判定する。ここで本実施形態では、レンジ選択位置P,R,N,Dのいずれかへのレバー操作によって選択レンジに対応の検出信号がレンジ検出器24P,24R,24N,24Dのいずれかから出力されたか否かにより、指令入力の有無を判定する。
ステップS208で肯定判定がなされた場合には、ステップS209へ移行する。このステップS209では、回転位置センサ36の検出信号が表す回転位置と選択レンジに対応する回転位置とが一致するように、シフトアクチュエータ32の回転出力を制御する。その結果、自動変速機3の実レンジが選択レンジへと切り換えられ、その後、ステップS207へ戻ることとなる。
一方、ステップS208で否定判定がなされた場合には、ステップS209をスキップしてステップS207へと戻る。
以上、ステップS203においてフラグ相関が上記正常相関NCIであると判定され、且つステップS205においてフラグ相関が上記正常相関NCLであると判定された場合について説明した。これに対し、ステップS203においてフラグ相関が以下の不正相関UCIであると判定された場合、又はステップS205においてフラグ相関が以下の不正相関UCLであると判定された場合には、搭乗者は不正使用者であると最終判断してステップS210へと移行する。
(UCI)個別照合コンピュータ66,67のうち少なくとも一方からのフラグが固有情報不一致フラグFDIである。
(UCL)個別照合コンピュータ66,67のうち少なくとも一方からのフラグが生体情報不一致フラグFDLである。
搭乗者が不正使用者であると最終判断された後のステップS210では、Pレンジを解除して選択レンジへ切り換えるためのシフト指令を拒絶し、直ちに本制御フローを終了する。したがって、自動変速機3のPレンジの解除、さらには自動変速機3の出力軸3aのロック解除が禁止されることとなる。
次に、エンジン制御コンピュータ52によるエンジン4のオンオフの切換制御について詳細に説明する。この切換制御は図10に示す制御フローに従うものであり、例えば搭乗者の乗車から降車までの間においてエンジン制御コンピュータ52がコンピュータプログラムを実行することにより、実施される。尚、本制御フローの開始時点においては、エンジン4のオフ状態において実レンジがPレンジになっているものとする。
まず、ステップS301では、エンジン4のオフ状態においてエンジン4をオンするためのスイッチ指令が入力されたか否かを判定する。ここで本実施形態では、検出器24C,24R,24D及びブレーキセンサ8aの各検出信号に基づいて、以下のエンジンオン条件EON1,2のいずれか一つが成立したか否かを判定することにより、指令入力の有無を判定する。尚、ここでエンジンオン条件EON1については、レバーグリップ22bの誤操作に起因する誤判定を防止するため、例えば設定時間の間にオンオフ検出器24Cからのオン入力が複数回あった場合又はオンオフ検出器24Cのオン状態が設定時間継続した場合に、オンオフ検出器24Cがオンであると最終判断されるようになっている。
(EON1)車両1のブレーキがオンした状態において、スイッチ位置へのレバー操作によりオンオフ検出器24Cがオン。
(EON2)車両1のブレーキがオンした状態において、レンジ選択位置R,Dの一方へのレバー操作によりレンジ検出器24R,24Dの一方がオン。
ステップS301は肯定判定がなされるまで繰り返され、ステップS301で肯定判定がなされると、ステップS302へ移行する。このステップS302及びその後続ステップS303,S304,S305は、それぞれ図9のステップS202及びその後続ステップS203,S204,S205に準じて実行される。
したがって、ステップS303においてフラグ相関が上記正常相関NCIであると判定され、且つステップS305においてフラグ相関が上記正常相関NCLであると判定された場合には、搭乗者は正規使用者であると最終判断して、ステップS306へと移行する。このステップS306では、エンジン4をオンするためのスイッチ指令を受容して、エンジン4の電装品4a,4b,4c,4dをオンする。その結果、エンジン4がクランキングされて完爆状態となる。尚、エンジン4の電装品のうちスタータ4aについては、エンジン4の完爆後、自己制御によりオフするようになっている。
この後、ステップS307では、エンジン4のオン状態においてエンジン4をオフするためのスイッチ指令が入力されたか否かを判定する。ここで本実施形態では、オンオフ検出器24C及びセンサ8b,36,8cの各検出信号に基づいて、以下のエンジンオフ条件EOFF1,2,3のいずれか一つが成立したか否かを判定することにより、指令入力の有無を判定する。尚、ここでエンジンオフ条件EOFF1,2については、上記エンジンオン条件EON1の場合と同様、例えば設定時間の間にオンオフ検出器24Cからのオン入力が複数回あった場合又はオンオフ検出器24Cのオン状態が設定時間継続した場合に、オンオフ検出器24Cがオンであると最終判断されるようになっている。
(EOFF1)車両1の走行速度が零である状態において、スイッチ位置へのレバー操作によりオンオフ検出器24Cがオン。
(EOFF2)実レンジがP,Nの一方である状態において、スイッチ位置へのレバー操作によりオンオフ検出器24Cがオン。
(EOFF3)実レンジがPレンジである状態において、運転席1aからの搭乗者の離座により着座センサ8cがオフ。
ステップS307は肯定判定がなされるまで繰り返し実行され、ステップS307で肯定判定がなされると、ステップS308へ移行する。このステップS308では、エンジン4の電装品4b,4c,4dをオフし、その後、ステップS306へと戻る。
以上、ステップS303においてフラグ相関が上記正常相関NCIであると判定され、且つステップS305においてフラグ相関が上記正常相関NCLであると判定された場合について説明した。これに対し、ステップS303においてフラグ相関が上記不正相関UCIであると判定された場合、又はステップS305においてフラグ相関が上記不正相関UCLであると判定された場合には、搭乗者は不正使用者であると最終判断してステップS309へ移行する。このステップS309では、エンジン4をオンするためのスイッチ指令を拒絶し、直ちに本制御フローを終了する。したがって、エンジン4のオンが禁止されることとなる。
ここまで説明した第一実施形態によると、車両1の搭乗者が不正使用者である場合には、エンジン4のオンのみならず、自動変速機3の出力軸3aのロック解除も禁止される。したがって、不正使用者は、車両1を自走させることは勿論、牽引により車両1を移動させることもできなくなる。即ち、車両1の盗難を確実に防止することができる。また一方、車両1の搭乗者が正規使用者である場合には、エンジン4のオン並びに出力軸3aのロック解除が許可されることとなるので、当該正規使用者は、不都合を感じることなく正常に車両1を走行させることができるのである。
さらに、第一実施形態によると、搭乗者が正規使用者であることは、搭乗者が携帯する電子キー9の固有情報と搭乗者自身の生体情報との双方が正規使用者の情報と一致しない限り、認証されない。しかも生体情報としては、体内にある静脈のパターンを採用しているので、偽造が難しく、また静脈パターン自体が経年変化し難いので、信頼性の優れたものとなる。これらのことから、車両1の盗難防止性を高めることができるのである。
加えて、第一実施形態によると、固有情報についての照合は二つの個別照合コンピュータ66,67のそれぞれにより行われ、それらコンピュータ66,67の双方による一致判定が搭乗者を認証する上での仮要件となる。また同様に、生体情報についての照合は、二つの個別照合コンピュータ66,67のそれぞれにより行われ、それらコンピュータ66,67の双方による一致判定が搭乗者を認証する上での最終要件となる。したがって、個別照合コンピュータ66,67の一方を不正交換しただけでは、エンジン4をオンすることも出力軸3aのロックを解除することもできないので、それらコンピュータ66,67の不正交換による車両1の盗難に対して抑止力を発揮することができる。
以上、第一実施形態では、生体センサ64及び車両内送受信機62が「識別情報取得手段」に相当し、生体センサ64が「生体情報取得部」に相当し、車両内送受信機62が「固有情報取得部」に相当する。また、個別照合コンピュータ66,67のメモリ68,69が「特定情報記憶手段」に相当し、当該メモリ68,69の領域68b,69bが「生体情報記憶部」に相当し、当該メモリ68,69の領域68a,69aが「固有情報記憶部」に相当する。さらに、図8のステップS101〜S109を個別照合コンピュータ66,67により実行する情報照合装置60が「情報照合手段」に相当し、それら個別照合コンピュータ66,67がそれぞれ「個別照合回路」に相当する。またさらに、シフトレバー22が「操作部」に相当し、図9のステップS201,S206〜S209,S210をシフト制御コンピュータ34により実行するシフト制御装置20が「シフト制御手段」に相当し、図9のステップS202〜S206,S210をシフト制御コンピュータ34により実行するシフト制御装置20が「解除指令処理手段」に相当する。加えて、図10のステップS301,S306〜S308,S309をエンジン制御コンピュータ52により実行するエンジン制御装置50が「エンジン制御手段」に相当し、図10のステップS302〜S306,S309をエンジン制御コンピュータ52により実行するエンジン制御装置50が「スイッチ指令処理手段」に相当する。
(第二実施形態)
図11に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態の車両制御システム100には、異常警告装置101が追加されている。この異常警告装置101は、車両外送受信機102、表示部104及び音響部106を備えている。
車両外送受信機102は、LAN回線38を介してエンジン制御装置110のエンジン制御コンピュータ112と電気的又は光学的に接続されていると共に、バッテリ7と電気的に接続されている。車両外送受信機102は、車両1外にある「携帯機」としての電子キー109との間で双方向のデータ通信を実現するためのものである。ここで、本実施形態の車両外送受信機102は、エンジン制御コンピュータ112の制御に従って異常信号を車両1外の電子キー109へ送出することにより、当該電子キー109の内蔵ブザー109aを作動させて警告音を発生させる。尚、異常信号については、車両外送受信機102から車両1外の電子キー109へ直接的に届くものであってもよいし、車両外送受信機102から既設のネットワーク回線を介して電子キー109まで届くものであってもよい。
表示部104は、LAN回線38を介してエンジン制御コンピュータ112と電気的又は光学的に接続されていると共に、バッテリ7と電気的に接続されている。この表示部104は、車両1内のメータ、ナビゲーションモニタ等に設けられた警告灯104aをエンジン制御コンピュータ112の制御に従って点灯させることにより、車両1内に警告を発する。
音響部106は、LAN回線38を介してエンジン制御コンピュータ112と電気的又は光学的に接続されていると共に、バッテリ7と電気的に接続されている。この音響部106は、車両1内に設けられた室内ブザー106aをエンジン制御コンピュータ112の制御に従って作動させることにより、車両1内に警告音を発生させる。
第二実施形態において情報照合装置120の車両内送受信機122は、LAN回線38を介して個別照合コンピュータ126,127及びエンジン制御コンピュータ112と電気的又は光学的に接続されている。これにより車両内送受信機122は、取得した電子キー109の固有情報を個別照合コンピュータ126,127へ送信する機能に加え、エンジン制御コンピュータ112の制御に従って要求信号を車両1内へ送出し、それに対する電子キー109の応答結果を当該コンピュータ112へ通知する機能も有している。
第二実施形態においてエンジン制御コンピュータ112には、ドアセンサ108a及び窓センサ108bが電気的に接続されている。ここでドアセンサ108aは、車両1の運転席ドア1d(図2参照)の開放及び閉成を検出し、その検出信号をエンジン制御コンピュータ112へ送信する。窓センサ108bは、車両1の運転席窓1e(図2参照)の開放及び閉成を検出し、その検出信号をエンジン制御コンピュータ112へ送信する。
第二実施形態においてシフト制御装置140のシフト制御コンピュータ144は、図12に示すようにシフトレンジの切換制御として、第一実施形態のステップS207〜S209に準ずるステップS501〜S503のみを実行する。また、エンジン制御コンピュータ112は、図13に示すようにエンジン4のオンオフの切換制御(但し、エンジン4のオフからオンへの切換制御のみ)として、第一実施形態のステップS301〜S306,S309に準ずるステップS601〜S607を実行する。したがって、照合信号SI,SL及びフラグFAI,FDI,FAL,FDLの送受信は、エンジン制御コンピュータ112と個別照合コンピュータ126,127との間でのみ、実現されることになる。またその結果として、個別照合コンピュータ126,127の双方により車両1の搭乗者が正規使用者であると認証された場合に限り、エンジン4のオンが許可されることになるので、車両1の盗難防止に貢献することができるのである。
さて、このような第二実施形態では、車両1の搭乗者となった正規使用者がエンジン4を正常にオンした後に電子キー109の不携帯状態となると、エンジン制御コンピュータ112が異常警告装置101及び情報照合装置120を制御して異常警告処理(エンジン4のオンからオフへの切換制御を含む)を実施する。以下、エンジン制御コンピュータ112による異常警告処理について詳細に説明する。この異常警告処理は図14に示す処理フローに従うものであり、例えばエンジン4のオン毎にエンジン制御コンピュータ112がコンピュータプログラムを実行することによって、実施される。
まず、ステップS701では、以下の異常警告条件WC1,2,3のいずれか一つが成立したか否かを、センサ8b,108a,108bの各検出信号に基づいて判定する。
(WC1)車両1の走行開始により、所定値を超える走行速度がエンジン4のオン後に初めて検出される。
(WC2)車両1の運転席ドア1dの開放及び閉成が順次検出される。
(WC3)車両1の運転席窓1eの開放及び閉成が順次検出される。
ステップS701で肯定判定がなされると、所定時間(例えば3秒程度)が経過するのをステップS702の実行によって待った後、ステップS703へ移行する。このステップS703では、情報照合装置120の車両内送受信機122を制御して要求信号を車両1内へ送出する。続いてステップS704では、要求信号に対する電子キー109の応答の有無を、車両内送受信機122からの通知に基づいて判定する。
ステップS704で応答なしとの判定がなされると、車両1内の正規使用者は電子キー109の不携帯状態にあると判断して、ステップS705へ移行する。このステップS705では、異常警告装置101の表示部104を制御して警告灯104aを点灯させると共に、同装置101の音響部106を制御して室内ブザー106aを作動させることにより、車両1内の正規使用者へ電子キー109の不携帯異常を警告する。それに伴ってステップS705では、異常警告装置101の車両外送受信機102を制御して異常信号を車両1外へ送出することにより、車両1外にある電子キー109の内蔵ブザー109aを作動させて、その周囲の者へ電子キー109の不携帯異常を警告する。そして、以上の警告を所定時間(例えば10秒程度)継続させた後、ステップS701へと戻る。
一方、ステップS704で応答ありとの判定がなされると、ステップS705をスキップしてステップS701へと戻ることとなる。
以上、ステップS701で肯定判定がなされた場合について説明したが、ステップS701で否定判定がなされた場合には、ステップS706へ移行する。このステップS706では、エンジン4のオン状態においてエンジン4をオフするためのスイッチ指令が入力されたか否かを判定する。ここで本実施形態では、オンオフ検出器24C及びセンサ8b,36,8cの各検出信号に基づいて、上記エンジンオフ条件EOFF1,2,3とそれぞれ同じ異常警告条件WC4,WC5,WC6のいずれか一つが成立したか否かを判定することにより、指令入力の有無を判定する。
ステップS706で否定判定がなされた場合には、ステップS701へと戻るが、ステップS706で肯定判定がなされると、ステップS707へ移行する。このステップS707では、ステップS703と同様にして、車両内送受信機122から車両1内へ要求信号を送出する。続いてステップS708では、ステップS704と同様にして、要求信号に対する電子キー109の応答の有無を判定する。
ステップS708で応答なしとの判定がなされると、ステップS709へ移行する。このステップS709では、表示部104を制御して警告灯104aを点灯させると共に、音響部106を制御して室内ブザー106aを作動させることにより、車両1内の正規使用者へ電子キー109の不携帯異常を警告する。続いてステップS710では、この異常警告に対して所定時間(例えば5秒程度)内に、エンジン4をオフするためのスイッチ指令が再入力されたか否かを判定する。ここで本実施形態では、オンオフ検出器24C及びセンサ8b,36,8cの各検出信号に基づいて、上記異常警告条件WC4,WC5,WC6のいずれか一つが成立したか否かを判定することにより、指令入力の有無を判定する。
ステップS710で肯定判定がなされると、ステップS711,S712を順次実行する。具体的にステップS711では、エンジン4をオフするためのスイッチ指令を受容して、エンジン4の電装品4b,4c,4dをオフする。また、ステップS712では、警告灯104aの点灯及び室内ブザー106aの作動による異常警告を停止し、本処理フローを終了する。
一方、ステップS710で否定判定がなされると、ステップS713,S714を順次実行する。具体的にステップS713では、エンジン4をオフするためのスイッチ指令を拒絶して当該オフを禁止する。また、ステップS714では、警告灯104aの点灯及び室内ブザー106aの作動による異常警告を停止し、本処理フローを終了する。
尚、ステップS708で応答ありとの判定がなされた場合には、エンジン4をそのままオフしても問題がないので、ステップS711に準ずるステップS715によりエンジン4をオフし、本処理フローを終了することとなる。
ここまで説明した第二実施形態によると、車両1内において正規使用者は、エンジン4をオンした後に電子キー109の不携帯状態となったとしても、車両1の走行開始後や運転席ドア1d又は運転席窓1eの開閉後において異常警告を受けることになる。また、そうした車両1内での異常警告に伴い、車両1外でも電子キー109によって異常警告が行われることになる。したがって、車両1内の正規使用者自身のみならず、車両1外の者によっても、電子キー109の不携帯異常に早期に気付くことができる。
さらに、第二実施形態によると、エンジン4のオン後に電子キー109の不携帯状態となった正規使用者は、エンジン4のオフ指令を入力した場合においても車両1内で異常警告を受けることとなる。その結果、電子キー109の不携帯異常に気付いた正規使用者は、エンジン4のオフ指令を再入力しないことによりエンジン4のオフを取り止めて、電子キー109の存在場所まで戻ることができる。
これらのことから、第二実施形態によれば、車両1の搭乗車が正規使用者であるにも拘らずエンジン4をオンし得なくなる事態を回避して、車両1に対する信頼性を確保することができる。
尚、正規使用者は、エンジン4のオフ指令の入力に対して異常警告を受けたものの、エンジン4のオフを優先させたい場合には、エンジン4のオフ指令を再入力すればよい。これにより、正規使用者がエンジン4をオフし得なくなることで逆に困惑するような事態を回避できるのである。
以上、第二実施形態では、図13のステップS601,S606,S607及び図14のステップS706,S710,S711,S713,S715をエンジン制御コンピュータ112により実行するエンジン制御装置110が「エンジン制御手段」に相当し、図13のステップS602〜S607をエンジン制御コンピュータ112により実行するエンジン制御装置110が「スイッチ指令処理手段」に相当する。また、車両内送受信機122が「識別情報取得手段」に相当し、個別照合コンピュータ126,127のメモリ68,69が「特定情報記憶手段」に相当し、図8のステップS101〜S105を個別照合コンピュータ126,127により実行する情報照合装置120が「情報照合手段」に相当する。さらに、図14のステップS701〜703,S706,S707をエンジン制御コンピュータ112により実行するエンジン制御装置110及び車両内送受信機122が「要求信号送出手段」に相当し、図14のステップS704,S705,S708,S709,S712,S714をエンジン制御コンピュータ112により実行するエンジン制御装置110並びに異常警告装置101の表示部104及び音響部106が「警告手段」に相当する。またさらに、ドアセンサ108aが「ドア開閉検出手段」に相当し、窓センサ108bが「窓開閉検出手段」に相当し、図14のステップS705をエンジン制御コンピュータ112により実行するエンジン制御装置110及び異常警告装置101の車両外送受信機102が「異常信号送出手段」に相当する。
(他の実施形態)
さて、ここまで本発明の複数の実施形態について説明してきたが、本発明はそれらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用可能である。
例えば第一及び第二実施形態では、自動変速機3のシフトレンジ及びレンジセレクタ31のレンジ選択位置について、P,R,N,D以外、例えば走行レンジ及びそのレンジ選択位置としてのロー(L)等を追加してもよい。また、第一及び第二実施形態では、シフトレバー22の配設箇所について、ステアリング1bよりも助手席1c側に設定してもよい。
第一及び第二実施形態では、シフト制御コンピュータ34,144及びエンジン制御コンピュータ52,112の一方の機能を、それらの他方により実現してもよい。また、第一及び第二実施形態では、センサ24,36の検出信号について、シフト制御コンピュータ34,144を経由させることなく、直接的にエンジン制御コンピュータ52,112へ送信させてもよい。さらに、第二実施形態では、シフト制御装置140の構成として、シフトレバー22に連結された機構によってマニュアル弁14のスプールを機械的に直線運動させる構成を採用してもよい。尚、この場合、シフト制御コンピュータ144は必ずしも必要ではなく、センサ24,36の検出信号等をエンジン制御コンピュータ52,112へ直接的に送信させることでシフト制御コンピュータ144をシフト制御装置140の構成要素から除外してもよい。
第一及び第二実施形態では、シフトレバー22のレバーグリップ22bが例えばレバーロッド22aとは反対側へ引っ張られる又はレバーロッド22aに対して捻られることにより、エンジン4をオンオフするスイッチ指令が入力されるようにしてもよい。また、第一及び第二実施形態では、シフトレバー22の操作以外、例えばイグニッションスイッチの操作や、電子キー9,109の操作、車両1への電子キー9,109の接近等により、スイッチ指令が入力されるようにしてもよい。さらに、第一及び第二実施形態では、エンジンオン条件をEON1,2のうち一つに限定してもよいし、エンジンオフ条件をEOFF1,2,3のうち一つ又は二つに限定してもよい。
第一及び第二実施形態では、車両1の搭乗者の認証を、電子キー9,109の固有情報及び搭乗者自身の生体情報のうち一方のみに基づいて行ってもよい。また、第一及び第二実施形態では、情報照合装置60,120の個別照合コンピュータを一つにしてもよいし、三つ以上としてもよい。尚、前者の場合には、一個別照合コンピュータの照合結果のみから搭乗者を認証することができ、また後者の場合には、各個別照合コンピュータの照合結果から例えば全一致により搭乗者を認証することができる。さらに、第一及び第二実施形態では、情報照合装置60,120の個別照合コンピュータの機能を、シフト制御コンピュータ34,144及びエンジン制御コンピュータ52,112の少なくとも一方により実現してもよい。
第一及び第二実施形態では、車両1の電子キー9,109以外にも、例えば携帯電話等を「携帯機」として用いてもよい。また、第二実施形態では、電子キー109のバイブレーション機能により異常警告を行うようにしてもよい。
第二実施形態では、ステップS701における異常警告条件をWC1,2,3のうち一つ又は二つに限定してもよいし、ステップS706における異常警告条件をWC4,5,6のうち一つ又は二つに限定してもよい。また、第二実施形態では、ステップS701〜S705を省略してもよいし、ステップS706〜S715を省略してもよい。尚、後者の場合には、エンジン制御コンピュータ112によるエンジン4のオンオフ切換制御として、第一実施形態のステップS301〜S309をそのまま実行することで、エンジン4をオフすることができる。さらに、第二実施形態のステップS709では、ステップS705と同様にして、電子キー109による異常警告を行うようにしてもよい。
第二実施形態では、「ドア開閉検出手段」としてのドアセンサ108aについて、車両1における運転席ドア1d以外にも、車両1におけるいずれかのドアの開放及び閉成を検出するようにしてもよい。また、第二実施形態では、「窓開閉検出手段」としての窓センサ108bについて、車両1における運転席窓1e以外にも、車両1におけるいずれかの窓の開放及び閉成を検出するようにしてもよい。
本発明の第一実施形態による車両制御システムを示す概略構成図である。 本発明の第一及び第二実施形態による車両制御システムが搭載される車両を示す透視図である。 本発明の第一実施形態による変換機構の詳細構成を示す斜視図である。 図3のIV−IV線断面図である。 本発明の第一実施形態によるレンジセレクタを示す概略構成図であって、図6のV−V線断面図である。 本発明の第一実施形態によるレンジセレクタを示す概略構成図であって、図5のVI−VI線断面である。 本発明の第一実施形態によるレンジセレクタの作動を説明するための斜視図である。 本発明の第一実施形態の個別照合コンピュータによる照合処理フローを示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態のシフト制御コンピュータによるシフトレンジの切換制御フローを示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態のエンジン制御コンピュータによるエンジンのオンオフの切換制御フローを示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態による車両制御システムを示す概略構成図である。 本発明の第二実施形態のシフト制御コンピュータによるシフトレンジの切換制御フローを示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態のエンジン制御コンピュータによるエンジンのオンオフの切換制御フローを示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態のエンジン制御コンピュータによる異常警告処理フローを示すフローチャートである。
符号の説明
1 車両、1d 運転席ドア、1e 運転席窓、2 車両制御システム、3 自動変速機、3a 出力軸、4 エンジン、4a スタータ・電装品、4b イグナイタ・電装品、4c 燃料噴射弁・電装品、4d 吸気スロットル・電装品、7 バッテリ、8a ブレーキセンサ、8b 車速センサ、8c 着座センサ、9 電子キー、10 自動変速機制御装置、12 油圧回路、14 マニュアル弁、14a スプール、20 シフト制御装置(シフト制御手段・解除指令処理手段)、22 シフトレバー(操作部)、22a レバーロッド、22b レバーグリップ、24 シフトセンサ、24P,24R,24N,24D レンジ検出器、24C オンオフ検出器、31 レンジセレクタ、32 シフトアクチュエータ、33 変換機構、34 シフト制御コンピュータ、36 回転位置センサ、50 エンジン制御装置(エンジン制御手段・スイッチ指令処理手段)、52 エンジン制御コンピュータ、60 情報照合装置(情報照合手段)、62 車両内送受信機(識別情報取得手段・固有情報取得部)、64 生体センサ(識別情報取得手段・生体情報取得部)、66,67 個別照合コンピュータ(個別照合回路)、68,69 メモリ(特定情報記憶手段)、68a,69a 記憶領域(固有情報記憶部)、68b,69b 記憶領域(生体情報記憶部)、80 ディテントプレート、80P,80R,80N,80D 溝、81 ディテントスプリング、82 パークロッド、83 パークポール、84 パークギア、86 駆動軸、88 円錐部、100 車両制御システム、101 異常警告装置、102 車両外送受信機(異常信号送出手段)、104 表示部(警告手段)、104a 警告灯、106 音響部(警告手段)、106a 室内ブザー、108a ドアセンサ(ドア開閉検出手段)、108b 窓センサ(窓開閉検出手段)、109 電子キー、109a 内蔵ブザー、110 エンジン制御装置(エンジン制御手段・スイッチ指令処理手段・要求信号送出手段・警告手段・異常信号送出手段)、112 エンジン制御コンピュータ、120 情報照合装置(情報照合手段)、122 車両内送受信機(識別情報取得手段・要求信号送出手段)、126,127 個別照合コンピュータ、140 シフト制御装置、144 シフト制御コンピュータ

Claims (12)

  1. 車両の搭乗者により入力されるシフト指令に応じて前記車両の自動変速機のシフトレンジを切換制御するシフト制御手段であって、前記シフト指令のうちパーキングレンジへの切換指令が入力された場合に、前記自動変速機の出力軸をロックし、前記シフト指令のうちパーキングレンジの解除指令が入力された場合に、前記出力軸のロックを解除するシフト制御手段と、
    前記搭乗者を識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
    前記車両の正規使用者を特定した特定情報を記憶している特定情報記憶手段と、
    前記識別情報取得手段により取得された前記識別情報と前記特定情報記憶手段に記憶されている前記特定情報とを照合する情報照合手段と、
    前記情報照合手段により前記識別情報と前記特定情報との一致判定が下された場合に、前記解除指令を受容し、前記情報照合手段により前記識別情報と前記特定情報との不一致判定が下された場合に、前記解除指令を拒絶する解除指令処理手段と、
    を備えることを特徴とする車両制御システム。
  2. 前記搭乗者により入力されるスイッチ指令に応じて前記車両のエンジンのオンオフを切換制御するエンジン制御手段と、
    前記情報照合手段により前記識別情報と前記特定情報との一致判定が下された場合に、前記スイッチ指令のうち前記エンジンのオン指令を受容し、前記情報照合手段により前記識別情報と前記特定情報との不一致判定が下された場合に、前記オン指令を拒絶するスイッチ指令処理手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
  3. 前記情報照合手段は、前記識別情報と前記特定情報との照合を個別に行う複数の個別照合回路を有し、
    前記解除指令処理手段は、全ての前記個別照合回路により前記識別情報と前記特定情報との一致判定が下された場合に、前記解除指令を受容し、少なくとも一つの前記個別照合回路により前記識別情報と前記特定情報との不一致判定が下された場合に、前記解除指令を拒絶することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御システム。
  4. 前記シフト制御手段は、前記シフト指令の入力のために前記搭乗者により操作される操作部を有し、
    前記識別情報取得手段は、前記操作部に設けられ前記搭乗者の生体情報を前記識別情報として取得する生体情報取得部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両制御システム。
  5. 前記識別情報取得手段は、前記搭乗者により携帯される携帯機の固有情報を前記識別情報として取得する固有情報取得部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両制御システム。
  6. 前記シフト制御手段は、前記シフト指令の入力のために前記搭乗者により操作される操作部を有し、
    前記識別情報取得手段は、前記操作部に設けられ前記搭乗者の生体情報を前記識別情報として取得する生体情報取得部と、前記搭乗者により携帯される携帯機の固有情報を前記識別情報として取得する固有情報取得部とを有し、
    前記特定情報記憶手段は、前記正規使用者の生体情報を前記特定情報として記憶している生体情報記憶部と、前記正規使用者により携帯される携帯機の固有情報を前記特定情報として記憶している固有情報記憶部とを有し、
    前記解除指令処理手段は、前記生体情報取得部により取得された前記搭乗者の生体情報と前記生体情報記憶部に記憶されている前記正規使用者の生体情報との一致判定、並びに前記固有情報取得部により取得された前記搭乗者の携帯機の固有情報と前記固有情報記憶部に記憶されている前記正規使用者の携帯機の固有情報との一致判定が前記情報照合手段により下された場合に、前記解除指令を受容し、前記搭乗者の生体情報と前記正規使用者の生体情報との不一致判定、又は前記搭乗者の携帯機の固有情報と前記正規使用者の携帯機の固有情報との不一致判定が前記情報照合手段により下された場合に、前記解除指令を拒絶することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両制御システム。
  7. 車両の搭乗者により入力されるスイッチ指令に応じて前記車両のエンジンのオンオフを切換制御するエンジン制御手段と、
    前記搭乗者を識別する識別情報として、前記搭乗者により携帯される携帯機の固有情報を取得する識別情報取得手段と、
    前記車両の正規使用者を特定した特定情報として、前記正規使用者により携帯される携帯機の固有情報を記憶している特定情報記憶手段と、
    前記識別情報取得手段により前記識別情報として取得された前記搭乗者の携帯機の固有情報と前記特定情報記憶手段に前記特定情報として記憶されている前記正規使用者の携帯機の固有情報とを照合する情報照合手段と、
    前記情報照合手段により固有情報同士の一致判定が下された場合に、前記スイッチ指令のうち前記エンジンのオン指令を受容し、情報照合手段により固有情報同士の不一致判定が下された場合に、前記オン指令を拒絶するスイッチ指令処理手段と、
    前記エンジンのオン状態において要求信号を前記車両内へ送出する要求信号送出手段と、
    前記要求信号に対して携帯機からの応答がない場合に、前記車両内において異常を警告する警告手段と、
    を備えることを特徴とする車両制御システム。
  8. 前記要求信号送出手段は、前記エンジンのオン状態において車両が走行を開始した後に、前記要求信号を前記車両内へ送出することを特徴とする請求項7に記載の車両制御システム。
  9. 前記車両のドアの開放及び閉成を検出するドア開閉検出手段を備え、
    前記要求信号送出手段は、前記エンジンのオン状態において前記ドア開閉検出手段により前記ドアの開放及び閉成が順次検出された後に、前記要求信号を前記車両内へ送出することを特徴とする請求項7又は8に記載の車両制御システム。
  10. 前記車両の窓の開放及び閉成を検出する窓開閉検出手段を備え、
    前記要求信号送出手段は、前記エンジンのオン状態において前記窓開閉検出手段により前記窓の開放及び閉成が順次検出された後に、前記要求信号を前記車両内へ送出することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の車両制御システム。
  11. 前記要求信号送出手段は、前記エンジンのオン状態において前記スイッチ指令のうち前記エンジンのオフ指令が入力された場合に、前記要求信号を前記車両内へ送出し、
    前記エンジン制御手段は、前記警告手段による警告に対して前記オフ指令が再入力された場合に、前記エンジンをオフし、前記警告手段による警告に対して前記オフ指令が再入力されない場合に、前記エンジンのオフを禁止することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の車両制御システム。
  12. 前記警告手段による警告に伴って、携帯機により異常を警告するための異常信号を前記車両外へ送出する異常信号送出手段を、
    備えることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の車両制御システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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