JP2005317525A - 角型蓄電池の外装ケース及び角型蓄電池の配列方法 - Google Patents

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範史 安田
Koichi Yamamoto
康一 山本
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有寿 木村
Hisashi Kato
久 加藤
Tatsuya Kouda
達也 古宇田
Kei Ohori
圭 大堀
Makoto Oura
真 大浦
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Abstract

【課題】 角型蓄電池において、重量増加を伴わずに剛性を増すことのできる外装ケースを提供することを課題とする。
【解決手段】 外装ケース10は、図示せぬ蓄電エレメントを収納する角筒部11と、この角筒部11の全周に亘って一体形成した環状リブ12と、からなる。
【効果】 環状リブは、面の中央においては撓みを下げ、コーナー部においては応力を下げる作用を発揮する。すなわち、環状リブで撓み剛性並びに曲げ剛性を高めることができたので、板厚はそのままで、大きな内圧に耐える外装ケースを提供することができる。板厚が増加しないので、重量が増える心配はない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、角型蓄電池の外装ケース及び角型蓄電池の配列方法の改良に関する。
自動車機器の電気・電子化に伴って二次電池、電解コンデンサー、キャパシタなど充電可能な電気品(これらを蓄電池と呼ぶ)の用途が増加しつつある。
このような蓄電池には、円筒型電池と角型電池とがあり、角型電池は多数個を集中して配置することができるため、需要は多く、その構造についても各種提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−343310公報(図1)
特許文献1に明示されているように、従来の角型蓄電池の外装ケースは、薄い金属板を絞り成形してなる、肉厚一様の密閉箱体である。
ところで、蓄電池では、充放電に伴う発熱で密閉箱体の内部のガスが膨張し、内圧が上昇することがある。
そこで、発明者らは、内圧の上昇に対処するために、先ず従来の密閉箱体の剛性を検討した。
図8は従来の角型蓄電池の外装ケースのモデル図であり、(a)は撓み、(b)は応力を示すモデル図である。
(a)において、外装ケース100は、板厚が0.5mmで、材質がアルミニウム合金の箱であり、上下面を拘束し、他の4面に作用するように内圧をかけた。結果として面101の中央に、最大撓みδmaxが発生した。
(b)において、面101と面101のコーナー部102に最大応力σmaxが発生することが判明した。
最大撓みδmaxと最大応力σmaxとの両方が、許容撓みや許容応力以下になるように、板厚を増加するという対策を講じる必要がある。
しかし、板厚を増すと、比例して重量が増加し、車両重量の増加の要因となり、好ましくない。
図9は従来の角型蓄電池の配列図である。
(a)において、角型蓄電池の利点を生かすために、複数の角型蓄電池110、110を密に配列する。ただし、周知の通り二次電池は、充放電に伴って発熱する。また、キャパシタは、周囲からの受熱で温度上昇することは好ましくない。これらの発熱/受熱対策として幅Lの通風通路111を確保して通風冷却を実施する。
ところで、充放電に伴ってガスが発生して内圧が上昇すると、(b)に示すように側面112、112が外へ膨らむ。すなわち、上部の蓋113と下部の底114が丈夫であるため、側面112、112が顕著に変形する。
この変形の結果、側面112、112同士が接する若しくは近接するため(a)に示した通風通路111は、(b)ではごく小さな通路115、116に変わる。
この小さな通路115、116では冷却が不十分になり角型蓄電池の熱的劣化が進行し、電池寿命が短くなる。
(a)において側面112、112の変形を見込んで幅Lを増加すると、角型蓄電池1110、110を密に配列することができなくなる。そこで、密に配列しても通風通路を確保することができる技術が必要になる。
本発明は、角型蓄電池において、重量増加を伴わずに剛性を増すことのできる外装ケースを提供すること、冷却効率の向上及び密に配列しても通風通路を確保することができる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、蓄電エレメントを収納する蓄電池の外装ケースにおいて、
この外装ケースは、角筒部と、この角筒部の一般面より筒の外方及び/又は内方へ突出させると共に角筒部の全周に亘って前記角筒部に一体形成した環状リブと、を含むことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、角筒部は内面が平坦面であり、筒の外方へ環状リブを膨出形成したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、角筒部の側面が山部と谷部を交互に連続させた波形断面で構成してなる角型蓄電池の配列方法において、前記角型蓄電池を複数個準備し、一方の角型蓄電池の側面の山部に他方の角型蓄電池の側面の山部を対向させ、一方の角型蓄電池の側面の谷部に他方の角型蓄電池の側面の谷部を対向させることで、複数個の角型蓄電池を並列に配置することを特徴とする。
請求項1に係る発明では、外装ケースは、角筒部の全周に亘って一体形成した環状リブを備える。
環状リブは、面の中央においては撓みを下げ、コーナー部においては応力を下げる作用を発揮する。すなわち、環状リブで撓み剛性並びに曲げ剛性を高めることができたので、板厚はそのままで、大きな内圧に耐える外装ケースを提供することができる。板厚が増加しないので、重量が増える心配はない。
また、該環状リブは副次的効果として、外装ケース側面の表面積を増やし、凹及び/又は凸溝によって流体の整流フィンの役割を兼ね備えることによる冷却効率の向上も挙げられる。
請求項2に係る発明では、環状リブは筒の外方へ膨出させた。ケースの内面が平坦面であって、ケースの内容積を確保することができるため、十分な大きさの蓄電エレメントを収納することができ、蓄電池の充放電性能を高めることができる。
請求項3に係る発明では、側面の山部と山部を対向させ、谷部と谷部を対向させるようにした複数個の角型蓄電池を並列に配置する。内圧が上昇して側面が外へ膨出すると、山部と山部とが当たることはある。この状態でも、谷部と谷部とで通風通路を確保することができる。したがって、通風通路を確保しつつ、隣り合う角型蓄電池を密に収納することができる、又は密に収納しても通風通路を確保することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る蓄電池の外装ケースの斜視図であり、外装ケース10は、図示せぬ蓄電エレメントを収納する角筒部11と、この角筒部11の全周に亘って一体形成した環状リブ12・・・(・・・は複数を示す。)と、からなる。
より正確に説明すると環状リブ12は、角筒部11の長手中心軸13に直交する面を通る。
図2は本発明に係る外装ケースの拡大断面図であり、角筒部11の一般面14より筒の外方へ環状リブ12を膨出形成したことを特徴とする。
角筒部11の基準厚さをT、環状リブ12の厚さをM1、環状リブ12のピッチをP1、環状リブ12の山の曲率半径(以下、アールという)をR1、同谷のアールをr1、谷底から内面15までの距離をt1と符号化する。
この例では、前記符号同士の関係を次の通りに定める。
環状リブ12の厚さM1=t1+R1
ピッチP1=2×(R1+r1)×α、(ただしα=0.9〜1.1の補正係数)
R1=2×T
r1=T
t1=T
一例として、基準厚さTを0.5mm、補正係数αを0.93とすれば、各数値は次の通りになる。
R1=2×T=1.0mm
r1=T=0.5mm
t1=T=0.5mm
M1=t1+R1=1.5mm
P1=2×(R1+r1)×α=2.8mm
図1に戻って、以上の形状からなる外装ケース10に内圧をかけたところ、面の中央に最大撓みδmax、コーナー部に最大応力σmaxが発生した。この傾向は、従来の構造と同一であるが、撓み及び応力は従来より格段に小さかった(詳細後述)。
本発明の別実施例を次に述べる。
図3は図1の別実施例図であり、角筒部11の一般面14より筒の外方へ環状リブ12を膨出形成したことを特徴とする。
角筒部11の基準厚さをT、環状リブ12の厚さをM2、環状リブ12のピッチをP2、環状リブ12の山のアールをR2、同谷のアールをr2、谷底から内面15までの距離をt2と符号化する。
この例では、前記符号同士の関係を次の通りに定める。
環状リブ12の厚さM2=t2+R2
ピッチP2=2×(R2+r2)×α、(ただしα=0.9〜1.1の補正係数)
R2=2×T
r2=T
t2=0.5×T
一例として、基準厚さTを0.5mm、補正係数αを0.93とすれば、各数値は次の通りになる。
R2=2×T=1.0mm
r2=T=0.5mm
t2=0.5×T=0.25mm
M2=t2+R2=1.25mm
P2=2×(R2+r2)×α=2.8mm
この場合も外装ケース10(図1参照)に内圧をかけたところ、面の中央に最大撓みδmax、コーナー部に最大応力σmaxが発生した。この傾向は、従来の構造と同一であるが、撓み及び応力は従来より格段に小さかった(詳細後述)。
図4は図1の更なる別実施例図であり、角筒部11に蛇腹状の環状リブ12を形成した。蛇腹であるから環状リブ12は一般面14より筒の外方及び内側へ膨出する。
角筒部11の基準厚さをT、蛇腹の厚さをM3、環状リブ12のピッチをP3、環状リブ12の山のアールをR3、同谷のアールをr3と符号化する。
この例では、前記符号同士の関係を次の通りに定める。
蛇腹の厚さM3=3×T
ピッチP3=2×(R3+r3)×α、(ただしα=0.9〜1.1の補正係数)
R3=2×T
r3=T
一例として、基準厚さTを0.5mm、補正係数αを0.93とすれば、各数値は次の通りになる。
R3=2×T=1.0mm
r3=T=0.5mm
M3=3×T=1.5mm
P3=2×(R3+r3)×α=2.8mm
この場合も外装ケース10(図1参照)に内圧をかけたところ、面の中央に最大撓みδmax、コーナー部に最大応力σmaxが発生した。この傾向は、従来の構造と同一であるが、撓み及び応力は従来より格段に小さかった(詳細後述)。
次に、図2〜図4の実施例、及び図5、その他の従来例における最大撓み及び最大応力を比較する。
Figure 2005317525
比較例1は、図5の構造、すなわち平坦な壁で構成した外装ケースでの最大撓み及び最大応力を求めた。ただし、以下の相対比較を行うために、最大撓みδmaxを「100」、最大応力σmaxを「100」とする。
比較例2は、外装ケースの上端及び下端が拘束されることに着目し、上端から下端へ繋がる縦リブを角筒部に設けた。ブリッジ効果により、最大撓みδmaxは比較例1を100としたときに「56」に収まった。しかし、最大応力σmaxは比較例1を100としたときに「154」と増大した。縦リブではコーナー部を補強する効果が乏しく、逆に応力を集中させるという逆効果を発揮することが判明した。
そこで、比較例3では、面の対角線上に大きなXリブを設けた。最大撓みδmaxは比較例1を100としたときに「99」、最大応力σmaxは比較例1を100としたときに「116」であり、あまり効果は認められなかった。
そこで、本実施例では、縦リブやXリブに代わるものとして、横リブを試みた。
実施例1は、図2の断面構造、すなわち一般面から外方へ突出する環状リブを備えた。最大撓みδmaxは比較例1を100としたときに「17」、最大応力σmaxは比較例1を100としたときに「54」であった。
実施例1の構造にすれば、面中央に発生する最大撓みδmaxは、比較例1の1/5以下となり、コーナー部に発生する最大応力σmaxは、比較例1の約1/2になるため、実施例1は撓み剛性及び曲げ剛性を大いに高めることができる。
実施例2は、図3の断面構造、すなわち一般面から外方へ突出する環状リブを備えた。最大撓みδmaxは比較例1を100としたときに「31」、最大応力σmaxは比較例1を100としたときに「84」であった。
最大応力σmaxは実施例1より大きくなった。これは、図3においてt2が小さいことに起因する。
実施例3は、図4の断面構造、すなわち蛇腹状の環状リブを備えた。最大撓みδmaxは比較例1を100としたときに「34」、最大応力σmaxは比較例1を100としたときに「64」であった。
実施例1〜3は、いずれも比較例1よりも最大撓みδmax及び最大応力σmaxを下げことができるので、いずれも採用可能である。
しかし、外装ケースの内容積を確保することやケース内部での電気化学的変化を円滑に行わせるためには、内面が平坦であることが望ましい。この点から、実施例1、2の構造が望まれる。
さらに、剛性の点では実施例2より実施例1が勝っており、実施例1の構造が最良であると言える。
本発明の角型蓄電池は側面に環状リブを設けた、独特の形状にしたために、複数の角型蓄電池を密に配列することができるという効果も期待できる。
そこで、角型蓄電池の配列技術を次に説明する。
図5は本発明に係る角型蓄電池の組合せ体の基本構造図であり、この組合せ体20は、外装ケース10(図1参照)を基本要素として正極端子21及び負極端子22を備える角型蓄電池23、24と、これらの角型蓄電池23、24を収納し得る大きさの筐体25と、この筐体25の底部に付設した導電部26と、筐体25に被せる蓋27と、この蓋27に開けた孔28、29とからなる。
環状リブを山部31、32、環状リブと環状リブとの間を谷部33、34と読み替えるときに、一方の角型蓄電池23の山部31が、他方の角型蓄電池24の山部32に対向し、一方の角型蓄電池23の谷部33が、他方の角型蓄電池24の谷部34に対向するように、角型蓄電池23、24を並列に配置しながら、筐体25に収め、蓋27を被せたことを特徴とする。
角型蓄電池23、24は、充放電に伴って発熱するため、図面表から奥へ冷却空気を強制的に流して冷却する。35、36、37が通風通路となる。このうちで中央の通風通路37が角型蓄電池23、24の変形の影響を顕著に受ける。
図6は図5の6部拡大断面図であり、山部31と山部32とを対向させるとともに間隔をL1に設定したことを示す。この間隔L1を小さく設定した場合には、通風通路(図5の符号37)は、谷部33と谷部34とで囲った菱形面積S1が主要素となる。この菱形面積S1に冷却空気が流れる。
図7は図6の作用図であり、電池の内圧が著しく高まると電池の側面が膨出し、この側面を構成する山部31、32が接近し、極端な場合には山部31、32の頂同士が接触する。この接触が発生すると、山部31、32がストッパとなって側面の膨出はそれ以上進行しない。
この状態では、谷部33と谷部34とで囲った菱形面積S2は、図6での菱形面積S1より若干小さくなるものの、まだ十分に大きな面積を確保する。
そして、この菱形面積S2に冷却空気が流れるため、空気による冷却作用を維持することができる。
図6から明らかなように本発明によれば、一対の電池の間隔L1は限りなく小さくすることが可能となる。極端にはL1がゼロであっても良い。
したがって、図5において複数の角型蓄電池23、24を密に配列することができ、筐体25を小型化することができる。
尚、環状リブの段数、本数は任意である。ただし、角筒部の両端は蓋で補強するため、本数が少ないときには角筒部の高さ方向中央付近に設けることが望ましい。
また、環状リブの断面形状は、実施例で説明した円弧断面の他、角断面、横棒状断面の何れでも良い。
本発明は、車両に搭載する蓄電池に好適である。
本発明に係る蓄電池の外装ケースの斜視図である。 本発明に係る外装ケースの拡大断面図である。 図1の別実施例図である。 図1の更なる別実施例図である。 本発明に係る角型蓄電池の組合せ体の基本構造図である。 図5の6部拡大断面図である。 図6の作用図である。 従来の角型蓄電池の外装ケースのモデル図である。 従来の角型蓄電池の配列図である。
符号の説明
10…蓄電池の外装ケース、11…角筒部、12…環状リブ、14…一般面、15…内面、20…組合せ体、23、24…角型蓄電池、31、32…山部、33、34…谷部、37…通風通路、S1、S2…菱形面積。

Claims (3)

  1. 蓄電エレメントを収納する蓄電池の外装ケースにおいて、
    この外装ケースは、角筒部と、この角筒部の一般面より筒の外方及び/又は内方へ突出させると共に角筒部の全周に亘って前記角筒部に一体形成した環状リブと、を含むことを特徴とする角型蓄電池の外装ケース。
  2. 前記角筒部は内面が平坦面であり、筒の外方へ前記環状リブを膨出形成したことを特徴とする請求項1記載の角型蓄電池の外装ケース。
  3. 角筒部の側面が山部と谷部を交互に連続させた波形断面で構成してなる角型蓄電池の配列方法において、
    前記角型蓄電池を複数個準備し、一方の角型蓄電池の側面の山部に他方の角型蓄電池の側面の山部を対向させ、一方の角型蓄電池の側面の谷部に他方の角型蓄電池の側面の谷部を対向させることで、複数個の角型蓄電池を並列に配置することを特徴とする角型蓄電池の配列方法。
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