JP2005314924A - 庇の取付け構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】庇パネルを建物の壁面に支持させて取り付けるようにした庇の取付け構造において、十分な支持強度が確保できるとともに、精度誤差等による問題を解消して設置を容易化し、かつ庇パネルの両側縁部を支持する構造部分を極力露出させないようにする。
【解決手段】庇パネル1の両側縁部にそれぞれ溝付枠材2,2を設けるとともに、前記建物の壁面側に前記庇パネル1の建物側端部を嵌合させるためのパネル嵌合部Mが形成された水平枠材12を設けておき、前記庇パネル1の建物側端部を前記水平枠材12のパネル嵌合部Mに嵌合させて設置するとともに、前記庇パネル1を水平方向に並べて設置したパネル境界部において、隣接する庇パネル1,1の溝付枠材2,2にそれぞれ端部を係合させた連結軸部材5を設けるとともに、この連結軸部材5に下端が連結された吊材4の上端を建物壁面部に連結固定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ビル等において、庇パネルを建物の壁面に支持させて取り付けるようにした庇の取付け構造に関する。
従来より、ビル等においては、庇ユニット又は庇パネルを建物本体へ取付けることが行われているが、この庇ユニット等の取付けは、庇ユニットをクレーン等で吊り上げたり、複数の作業者によって差し上げして位置決めを行い、その状態で作業者が庇ユニット等を建物本体の柱や梁等の構造体にボルト等によって接合していた。
しかしながら、前記庇ユニット等が大型でかつ重量がある場合には、クレーン等で吊り上げたり、作業者が差し上げしたりした状態で正確に位置決めすることが困難であるとともに、施工性が非常に悪いという問題があった。
そこで、下記特許文献1においては、庇ユニットの位置決めが簡単にでき、取付け施工を少人数で容易に行えるように、建物本体より突設させて設けた複数本の片持ち梁に、庇ユニットをその背面開放部側から差込み、庇ユニットに内蔵された複数本の支持フレームの両端部を片持ち梁の上下フランジ間に挿入して建物本体方向にスライドさせ、庇ユニットが建物本体に略当接した位置で、片持ち梁の下フランジと支持フレームの両端部を庇ユニットの下面開放部より接合して庇ユニットを建物本体に取付けるようにした庇施工方法が開示されている。
特開2000−17765号公報
しかしながら、上記特許文献1の庇施工方法は、片持ち梁構造の支持フレームに庇ユニットの重量を支持させる構造であり、庇ユニットが大型化した場合には支持強度に不安が残る。また、予め壁面に支持フレームを取り付けておくことにより、庇ユニットの設置が容易になるものの、調整代を確保しずらい構造であるため、精度誤差などにより庇ユニットを支持フレームに挿入できない、或いはボルト孔にズレが生じているため、ボルトを取り付けることができないなどの問題が生じることがあった。
一方で、ビル等の壁面が凹状に構成されている部位などにおいて、両側壁面及び奥側壁面の3辺を支持面として庇パネルを取り付け、屋根や庇として利用することがある。
この場合の支持構造は、両側壁面及び奥側壁面のそれぞれに溝付の支持枠を固定し、これら両側壁に固定した支持枠の溝部に庇パネルの両側縁を嵌合させ、建物側に差込み固定することが多い。この支持構造の場合は、庇パネルが大型化しても庇パネルの3辺を夫々支持する構造であるため支持強度に問題はないものの、両側壁面の間隔が大きい場合には中間部において十分な支持強度を確保することができない。また、支持枠の位置調整が難しく、庇パネルが挿入不能であったりすることがあるとともに、前記両側壁面に固定した支持枠が、外部から見えるため見栄えやデザイン性が悪くなるなどの問題があった。
そこで本発明の主たる課題は、庇パネルを建物の壁面に支持させて取り付けるようにした庇の取付け構造において、十分な支持強度が確保できるとともに、精度誤差等による問題を解消して設置を容易化し、かつ庇パネルの両側縁部を支持する構造部分を極力露出させないようにすることでデザイン性を向上させること等にある。
第2に、端部庇パネルにおいて、躯体精度等に拘わらず調整代を十分に確保でき、かつ調整手間が少なくて済むようにした庇の取付け構造を提供すること等にある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、庇パネルを建物の壁面に支持させて取り付けるようにした庇の取付け構造であって、
前記庇パネルの両側縁部にそれぞれ溝付枠材を設けるとともに、前記建物の壁面側に前記庇パネルの建物側端部を嵌合させるためのパネル嵌合部が形成された水平枠材を設けておき、
前記庇パネルの建物側端部を前記水平枠材のパネル嵌合部に嵌合させて設置するとともに、前記庇パネルを水平方向に並べて設置したパネル境界部において、隣接する庇パネルの溝付枠材にそれぞれ端部を係合させた連結軸部材を設けるとともに、この連結軸部材に下端が連結された吊材の上端を建物壁面部に連結したことを特徴とする庇の取付け構造が提供される。
上記請求項1記載の本発明においては、庇パネルの両側縁部にそれぞれ溝付枠材を設けるとともに、前記建物の壁面側に前記庇パネルの建物側端部を嵌合させるためのパネル嵌合部が形成された水平枠材を設けておく。そして、各庇パネルの建物側端部を前記水平枠材のパネル嵌合部に嵌合させて設置するとともに、庇パネルの隣接境界においては、隣接する庇パネルの溝付枠材にそれぞれ端部を係合させた連結軸部材を設けるとともに、この連結軸部材に下端が連結された吊材の上端を前記建物壁面側に連結した構造としてある。
従って、各庇パネルが前記吊材によって両側が吊持されることにより、パネルが大型化しても十分な支持強度を確保することができる。また、前記吊材と庇パネルとの連結部は、対面する溝付枠材同士にそれぞれ端部を係合させた連結軸部材を配設し、これに前記吊材の下端を連結するようにしてあるため、支持する構造部分を極力露出させないようにすることができ、デザイン性を向上させることができるようになる。更に、前記連結軸部材は溝付枠材の溝に沿って移動可能であるため、従来のように、庇ユニットを支持フレームに挿入できない、或いはボルト孔にズレが生じているため、ボルトを取り付けることができないなどの各種問題を解消することができるとともに、調整代を十分に確保できるようになり、調整手間も少なくて済むようになる。
請求項2に係る本発明として、前記連結軸部材と吊材の下端とは、直接的、または板状部材を介して間接的に連結されている請求項1記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項2記載の本発明においては、前記連結軸部材と吊材の下端との連結構造に関して、連結軸部材と吊材の下端とを直接的に連結する以外に、板状部材を介して間接的に連結するものである。吊材の下端を庇パネル間に挿入して前記連結軸部材と連結する場合には、庇パネル間に吊材幅の間隙が形成されることになるが、板状部材を介して間接的に連結する場合には、庇パネル間の間隙をほぼ板状部材の板幅まで縮小できるようになる。
請求項3に係る本発明として、前記吊材は所定範囲で伸縮調整自在とされる請求項1、2いずれかに記載の庇の取付け構造が提供される。庇パネルの若干の傾斜調整や吊材の応力調整のために、吊材は所定範囲で伸縮調整自在とするのが望ましい。具体的な調整構造としては、後述するように、ターンバックル構造とするのが望ましい。
請求項4に係る本発明として、前記連結軸部材の先端部は軸部よりも大きくし、前記溝付枠材の溝部に前記先端部を嵌入させてある請求項1〜3いずれかに記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項4記載の本発明においては、前記連結軸部材の先端部は軸部よりも大径の係合部、例えば六角形状又は矩形の頭部形状とし、この頭部を溝付枠材の溝部に嵌合させるようにしたため、連結軸部材と庇パネルとの係合が確実に図れるため、抜け落ちることが無くなる。
請求項5に係る本発明として、前記庇パネルの建物側端部に第2の溝付枠材を設けるとともに、この第2の溝付枠材の溝部に頭部を嵌合させた締結ボルトを所要数取り付けておき、前記庇パネルの建物側端部を前記水平枠材のパネル嵌合部に嵌合させて設置した状態で、前記締結ボルトを前記水平枠材にナット締結してある請求項1〜4いずれかに記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項5記載の本発明においては、前記庇パネルの建物側端部に第2の溝付枠材を設け、この第2溝付枠材の溝部に頭部を嵌合させた締結ボルトを取り付けておき、庇パネルの両側縁に設けられた溝付枠材に軸状支持具の先端部を係合させながら建物側に庇パネルを差し込んで設置した状態で、室内側から前記締結ボルトを前記水平枠材にナット締結するようにした。これにより確実に庇パネルの脱落防止が図れるようになる。
請求項6に係る本発明として、前記吊材の配設位置に対応する建物壁面には、外部に縦方向溝を臨ませた鉛直配向部材が配設され、前記縦方向溝に嵌合させた第2の連結軸部材と、前記吊材の上端とが連結されている請求項1〜5いずれかに記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項6記載の本発明においては、吊材の配設位置に対応する建物壁面に、外部に縦方向溝を臨ませた鉛直配向部材、具体的には方立或いは別途追加した形材などを配設し、前記縦方向溝に嵌合させた第2の連結軸部材と、前記吊材の上端とを連結するようにした。前記第2連結軸部材は、前記鉛直配向部材に沿って移動自在であり、吊材の上端の固定位置が任意に調整可能となり、デザインの自由度が向上するようになる。
請求項7に係る本発明として、水平方向に並べて設置された庇パネルの内、端部に設置される端部庇パネルは、該端部庇パネルの外側側縁部位置に存在する建物躯体又は別途設置された支持部材に、先端部分が前記溝付枠材の溝部に係合可能とされるとともに、出没方向に出入り調整可能とされる軸状支持具を1又は水平方向に間隔を空けて複数設けておき、
前記端部庇パネルを、室外側から該端部庇パネルの一方側溝付枠材に前記軸状支持具の先端部を係合させるとともに、他方側の溝付枠材に前記連結軸部材の先端部を係合させながら建物側に差込んで取り付けた請求項1〜6いずれかに記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項7記載の本発明においては、端部庇パネルの支持を前記軸状支持具により行うようにしたため、庇パネルの両側縁部を支持する構造部分を極力露出させないようにすることができ、デザイン性を向上させることができるようになる。更には、前記軸状支持具は出没方向に出入り調整可能としたため、躯体精度に拘わらず調整代を十分に確保できるようになり、かつ調整手間も少なくて済むようになる。
請求項8に係る本発明として、前記軸状支持具の先端部は軸部よりも大きくし、前記溝付枠材の溝部に前記先端部を嵌入させてある請求項7記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項8記載の本発明においては、前記軸状支持具の先端部は軸部よりも大径の係合部、例えば六角形状又は矩形の頭部形状とし、この頭部を溝付枠材の溝部に嵌合させるようにしたため、軸状支持具と庇パネルとの係合が確実に図れるため、抜け落ちることが無くなる。
請求項9に係る本発明として、前記支持部材は、仕上げパネル、柱部材、片持ち梁状のブラケットのいずれかとし、これら支持部材に貫通状態で前記軸状支持具を設けてある請求項7〜8いずれかに記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項9記載の本発明においては、前記軸状支持具を支持する支持部材としては、例えば仕上げパネル、柱部材、片持ち梁状のブラケットのいずれかとし、これら支持部材に貫通状態で前記軸状支持具を設けるようにしてある。この場合、前記軸状支持具は、前記仕上げパネルを貫通させて設けたボルト状部材と、仕上げパネルの背面側において前記ボルト状部材に螺設したナット部材とすることができ、螺入量を調整することにより出没方向の出入り調整が成される。
請求項10に係る本発明として、前記軸状支持具を建物躯体に設ける場合は、該躯体に後付け雌ネジアンカーを埋設し、軸状支持具のネジ部を螺入させ設置してある請求項1〜3いずれかに記載の庇の取付け構造が提供される。
上記請求項10記載の本発明においては、前記軸状支持具を建物の躯体に設ける場合には、躯体に後付け雌ネジアンカー(ホールインアンカー等)を埋設した上で、この後付け雌ネジアンカーの雌ネジ孔に軸状支持具のネジ部を螺入させて設置することができる。この場合にも、螺入量を調整することにより軸状支持具の出入り調整が成される。
以上詳説のとおり本発明によれば、庇パネルを建物の壁面に支持させて取り付けるようにした庇の取付け構造において、十分な支持強度が確保できるとともに、精度誤差等による問題を解消して設置を容易化でき、かつ庇パネルの両側縁部を支持する構造部分を極力露出させないようにすることでデザイン性を向上させることができる。
また、端部庇パネルにおいては、躯体精度等に拘わらず調整代を十分に確保でき、かつ調整手間が少なくて済むようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1に示される庇の取付け構造は、中間部では庇パネル1の建物側端部を、建物壁面に予め設けてある水平枠材12に嵌合させて支持するとともに、庇パネル1の両側部を夫々吊材4により吊持するようにし、端部では建物側端部を、前記水平枠材12に嵌合させて支持するとともに、庇パネル1’の一方側側部を吊材4により吊持する一方、他方側側部を建物の側壁面に設けた軸状支持具22、22により支持するようにしたものである。以下、中間部庇パネル1と、端部庇パネル1’とに分けて具体的に詳述する。
〔中間部庇パネルの取付け構造〕
図2は中間部の庇パネル1の取付け要領を示す要部斜視図、図3は庇パネル1の両側縁部に設けられる溝付枠材2の斜視図、図4は庇パネル1の建物側端部に設けられる第2溝付枠材3の斜視図である。
前記庇パネル1の両側縁部にそれぞれ溝付枠材2,2を設けるとともに、前記建物壁面側に前記庇パネル1の建物側端部を嵌合させるためのパネル嵌合部Mが形成された水平枠材12を設けておき、前記庇パネル1の建物側端部を前記水平枠材12のパネル嵌合部Mに嵌合させて設置するとともに、前記庇パネル1を水平方向に並べて設置したパネル境界部において、隣接する庇パネル1,1の溝付枠材2,2にそれぞれ端部5Bを係合させた連結軸部材5を設けるとともに、この連結軸部材5に下端が連結された吊材4の上端を前記建物壁面側に連結した構造となっている。
以下、更に具体的に詳述する。
前記庇パネル1には、パネルの両側縁部に溝付枠材2、2が設けられるとともに、その建物側端部に第2溝付枠材3が設けられる。
前記溝付枠材2は、詳細には図3に示されるように、略H断面形状を成す形材であり、ウエブ2aを境に一方側に上フランジ2b、下フランジ2cにより凹状のパネル呑込み溝Mが形成されるとともに、他方側に前記上フランジ2b及び下フランジ2cの側端部が夫々L字状に屈曲することにより部材長手方向に沿って、後述する連結軸部材5の端部5Bが嵌合される嵌合溝Mが形成されている。庇パネル1への取付けは、前記パネル呑込み溝M内に庇パネル1の側縁部を嵌合させ一体的に取り付けられる。なお、前記嵌合溝Mの内部においては、前記上フランジ2bの内面及び下フランジ2cの内面に夫々突片2d、2eが設けられることにより空間が区画され、連結軸部材5の端部5Bがガタ付かないよう保持されるようになっている。
前記第2溝付枠材3は、詳細には図4に示されるように、ウエブ3a、上フランジ3b、下フランジ3cによりコ字状断面を成し、パネル呑込み溝Mが形成されるとともに、ウエブ3aの背面側にL字状リップ片3d、3eを対向配置することによりボルト頭部の嵌合溝Mが形成された形材である。庇パネル1への取付けは、前記パネル呑込み溝M内に庇パネル1の奥側縁部を嵌合させ一体的に取り付けられる。なお、前記パネル呑込み溝Mの上面、奥面及び下面の3辺に亘り、水密性を確保するために断面コ字状の固形シール材20が嵌設されている。
前記吊材4は、図5に示されるように、雌ネジ中空管4Aと、この雌ネジ中空管4Aの両端部に夫々螺設される連結具4B、4Bとから構成されている。前記連結具4Bは、水平方向に貫通孔4cが形成された連結具本体4aの基端部にネジ軸4bを備えた部材であり、前記雄ネジ中空管4Aの端部にネジ軸4bが螺入されることにより組み立てられる。取付け状態では、前記雌ネジ中空管4Aを軸芯回りに回転させることにより、所謂ターンバックル方式により前記ネジ軸4bの長さ範囲内で吊材4の長さが伸縮調整自在となっている。
前記吊材4の両端にはそれぞれ、図2に示されるように、連結軸部材5,7が設けられる。代表的に連結軸部材5について説明すると、同部材は、図6に示されるように、軸部5Aと、両側に螺設されるワッシャー付ナット5B、5Bとからなる部材であり、図示されるように、軸部5Aを前記連結具4Bの貫通孔4cに挿通させた後、両側に前記ワッシャー付ナット5B、5B(端部)を螺設して組み立てられる。吊材4の下端側に設けられる連結軸部材5は、隣接する庇パネル1,1の境界部において、溝付枠材2,2に前記ワッシャー付ナット5B、5Bが夫々嵌合され、吊材4の上端側に設けられる連結軸部材7は、後述の鉛直配向部材9に形成された挿入溝Mに対して前記ワッシャー付ナット5B、5Bが夫々嵌入され、庇パネル1,1が吊持される。
一方、前記庇パネル1,1の境界部(前記吊材4配設位置)に対応する建物壁面には、外部に縦方向溝を臨ませた鉛直配向部材9が配設されている。この鉛直配向部材9は、図示例では方立10の室外面側に一体的に固定された方形状形材とされ、室外面側に断面L字状のリップ片9a、9aを対向させて設けることにより、吊材4の上端に連結される連結軸部材7の挿入溝Mが形成されている。
また、前記建物の壁面側には、図1に示されるように、前記庇パネル1の奥端部を嵌合させるためのパネル嵌合部Mが形成された水平枠材12が設置されている。なお、図1にも示されるように、前記水平枠材12の隣接位置には、前記パネル嵌合部Mの上部側に配置される壁面パネルPの下縁を支持するパネル支持枠14が設けられるとともに、前記パネル嵌合部Mの下部側に配置される壁面パネルPの上縁を支持するパネル支持枠15が設けられている。
前記庇パネル1を建物壁面に取付けるに当たっては、庇パネル1の第2溝付枠材3の嵌合溝Mに頭部を嵌合させた締結ボルト13,13を所要数だけ、図示例では3個の締結ボルト13,13…を取り付けておくとともに、隣接する一方側には既に設置済みの庇パネル1が存在しているとすれば、他方側位置に吊材4を取り付けておく。前記吊材4は、上端側に設けられた連結軸部材7を鉛直配向部材9の溝部Mに挿入し取り付けられる。
そして、図2に示されるように、室外側から、前記庇パネル1の一方側側縁部に設けられた溝付枠材2に既設庇パネル1を吊持している連結軸部材5の端部5Bを嵌入させるとともに、他方側側縁部に設けられた溝付枠材2に、直前に取付けた前記吊材4の連結軸部材5の端部5Bを嵌入させ、そのまま建物側に差し込んで設置する。この際、前記連結軸部材5以外の箇所で前記溝付枠材2,2同士を結合するために、同図に示されるように、溝付枠材2,2間に横架させるように連結軸部材6,6を配設するのが望ましい。なお、前記連結軸部材6は前記連結軸部材5と同構造の部材であり、所定位置に位置決めしたならば、軸部材6を軸芯回りに回転させることによって溝付枠材2,2を引寄せ位置固定が成される。
図1に示されるように、庇パネル1の奥端部を水平枠材12のパネル嵌合部Mに嵌入させるまで差し込んだならば、第2溝付枠材3に取り付けてある前記締結ボルト13,13…を水平枠材12にナットにより締結するようにする。
具体的には、図7(A)に示されるように、水平枠材12の中間締結部においては、水平枠材12の裏面側に予め開口12aを形成しておき、前記締結ボルト13のネジ部を水平枠材12の隔壁孔12bを貫通させた状態とした後、室内側から前記開口12aからワッシャー16、ナット17を締結ボルト13に設置し堅固に締結する。なお、図7(B)に示されるように、端部締結部においては、水平枠材12の小口からワッシャー16、ナット17を締結ボルト13に設置し締結する。
さらに、前記吊材4の上端では、固定点位置が決定したならば、上端側連結具4Bに対して外側から固定ビス8,8を螺入させて固定を図るようにする。
〔端部庇パネルの取付け構造〕
次いで、端部庇パネル1’の取付け構造について図8〜図10に基づいて詳述する。
端部の庇パネル1’においても中間部庇パネル1と同様に、その両側縁部に溝付枠材2、2が設けられるとともに、その建物側端部に第2溝付枠材3が設けられ、建物の凹状空間を形成している両側壁面には、躯体の外面に仕上げパネル21が貼設される。この仕上げパネル21には、庇パネル1’の設置位置に対応して、水平方向に間隔を空けて複数の、図示例では2本の軸状支持具22,22が設けられている。
前記軸状支持具22は、図9に示されるように、主に仕上げパネル21を貫通して設けられたボルト状部材とナット部材からなる部材であり、仕上げパネル21に貫通孔を形成したならば、この貫通孔部分にスペーサとして筒状体23を埋設し、建物の凹状空間側から頭部を有するボルト状部材24を挿通し、仕上げパネル21の背面側においてワッシャー25を通し、ナット部材26を螺設し取り付けられている。なお、図示例では出入り調整後の固定のために、前記ナット部材26の外周から回り止めビス27を螺入させるようになっている。
前記ボルト状部材24は、相対的に大径の頭部24a(先端部)を有し(図示例ではワッシャーをも備える。)、前記ナット部材26に対する螺入量を調整することにより仕上げパネル21からの突出量が調整自在となっており、予め前記突出量を調整した上で、仕上げパネル21が建物躯体の外面に貼設される。なお、本例では前記ボルト状部材24の頭部24aを六角形状としたが、締結ボルト13と同様に矩形状としてもよい。
ところで、前記仕上げパネル21を有さず、建物躯体に直接、軸状支持具22を設けることもできる。この場合には、図10に示されるように、躯体にホールインアンカー28(後付け雌ネジアンカー)を埋設しておき、このホールインアンカー28の雌ネジ孔に、前記ボルト状部材24のネジ部を螺入し取り付けるようにすればよい。この場合も、前記ボルト状部材24の出入り調整は螺入量を調整することにより成される。
前記庇パネル1を取付けるに当たっては、庇パネル1の第2溝付枠材3の嵌合溝Mに頭部を嵌合させた締結ボルト13,13を所要数だけ、図示例では3個の締結ボルト13,13…を取り付けておき、室外側から、前記庇パネル1’の一方側の溝付枠材2に前記軸状支持具22の先端部24aを係合させるとともに、他方側の溝付枠材2に前記連結軸部材5の先端部5Bを係合させながら建物側に差込んで設置する。
後は、中間部庇パネル1と同様に、庇パネル1’の奥端部を水平枠材12のパネル嵌合部Mに嵌入させるまで差し込んだならば、第2溝付枠材3に取り付けてある前記締結ボルト13,13…を水平枠材12にナットにより締結するようにする。
〔他の形態例〕
(1)上記吊材4は、上端側の連結軸部材7が鉛直配向部材9の嵌合溝Mに沿って移動可能であり、かつ下端側の連結軸部材5が溝付枠材2の嵌合溝Mに沿って移動可能であるため、図11に示されるように、設置傾斜角度は任意に調節することが可能である。
(2)上記形態例においては、吊材4の下端に設けられた連結具4Bが庇パネル1,1間に挿入されることになり、隣接する庇パネル1,1間に連結具相当幅の間隙が形成されるようになるが、図12及び図13に示されるように、連結軸部材5との連結具4Bとの連結を、板状部材30を介して間接的に行うようにすれば、庇パネル1,1間の間隙は前記板状部材30のほぼ板厚まで縮小できるようになる。
(3)上記形態例において、仕上げパネル21には庇パネル1’の設置位置に対応して、水平方向に間隔を空けて2本の軸状支持具22,22を設けるようにしたが、前記軸状支持具22は3以上設けるようにしてもよいし、場合によっては1本のみとしてもよい。
(4)上記形態例においては、前記軸状支持具22は大径の頭部を有するボルト状部材24としたが、頭部を有しない同径の連結軸部材としてもよい。
(5)上記形態例においては、庇パネル1の建物側端部に第2溝付枠材3を設け、この第2溝付枠材3の溝部に頭部を嵌合させて締結ボルト13を所要数だけ取り付けておき、庇パネル1を設置した状態で、前記締結ボルト13を前記水平枠材12にナット締結するようにしたが、前記第2溝付枠材3及び締結ボルト13を省略し、水平枠材12に庇パネル1の建物側端部を嵌合させた状態で、水平枠材12及び庇パネル1の建物側端部を共に貫通するように設けた締結ボルトによって固定するようにしてもよい。
(6)上記〔端部庇パネルの取付け構造〕の形態例では、建物の凹状空間部分において、該凹状空間を構成している両側壁面及び奥側壁面の3辺に、庇パネル1を支持させ取り付けるようにしたが、建物壁面は一般的な鉛直壁面であってもよい。この場合には、前記軸状支持具5、5を支持するための支持部材を別途設置するようにする。具体的には、前記仕上げパネル21を別途設置してもよいし、図14に示されるように、前記軸状支持具5,5を支持するために柱部材21A、21Aを別途設置するようにしてもよいし、図15に示されるように、建物側から片持ち梁状のブラケット21Bを別途設置するようにしてもよい。
本発明に係る庇の取付け構造を示す要部斜視図である。 中間部庇パネル1の取付け要領を示す斜視図である。 庇パネル1の両側縁部に設けられる溝付枠材2の斜視図である。 庇パネル1の建物側端部に設けられる第2溝付枠材3の斜視図である。 吊材4の分解図である。 吊材4の下端と連結軸部材5との結合構造を示す分解図である。 庇パネル1と水平枠材12との締結要領を示す図であり、(A)は中間締結部を示し、(B)は端部締結部を示す図である。 端部庇パネル1’の取付け要領を示す斜視図である。 仕上げパネル21に設けられる軸状支持具22の取付け要領を示す斜視図である。 躯体に軸状支持具5を設ける場合の縦断面図である。 吊材4の設置傾斜角度を変更した場合の変形例図である。 吊材下端と連結軸部材とを板状部材30を介して連結した場合の庇取付け状態斜視図である。 吊材下端と連結軸部材5とを板状部材30を介して連結する場合の結合構造を示す分解図である。 前記軸状支持具5を柱部材21Aによって支持した場合の庇の取付け要領を示す斜視図である。 前記軸状支持具5をブラケット21Bによって支持した場合の庇の取付け要領を示す斜視図である。
符号の説明
1…庇パネル、2…溝付枠材、3…第2溝付枠材、4…吊材、4A…雌ネジ中空管、4B…連結具、5・6・7…連結軸部材、9…鉛直配向部材、10…方立、12…水平枠材、13…締結ボルト、21…仕上げパネル、21A…柱部材、21B…ブラケット、22…軸状支持具、23…筒状体(スペーサ)、24…ボルト状部材、24a…頭部、25…ワッシャー、26…ナット部材、28…ホールインアンカー(後付け雌ネジアンカー)

Claims (10)

  1. 庇パネルを建物の壁面に支持させて取り付けるようにした庇の取付け構造であって、
    前記庇パネルの両側縁部にそれぞれ溝付枠材を設けるとともに、前記建物の壁面側に前記庇パネルの建物側端部を嵌合させるためのパネル嵌合部が形成された水平枠材を設けておき、
    前記庇パネルの建物側端部を前記水平枠材のパネル嵌合部に嵌合させて設置するとともに、前記庇パネルを水平方向に並べて設置したパネル境界部において、隣接する庇パネルの溝付枠材にそれぞれ端部を係合させた連結軸部材を設けるとともに、この連結軸部材に下端が連結された吊材の上端を建物壁面部に連結したことを特徴とする庇の取付け構造。
  2. 前記連結軸部材と吊材の下端とは、直接的、または板状部材を介して間接的に連結されている請求項1記載の庇の取付け構造。
  3. 前記吊材は所定範囲で伸縮調整自在とされる請求項1、2いずれかに記載の庇の取付け構造。
  4. 前記連結軸部材の先端部は軸部よりも大きくし、前記溝付枠材の溝部に前記先端部を嵌入させてある請求項1〜3いずれかに記載の庇の取付け構造。
  5. 前記庇パネルの建物側端部に第2の溝付枠材を設けるとともに、この第2の溝付枠材の溝部に頭部を嵌合させた締結ボルトを所要数取り付けておき、前記庇パネルの建物側端部を前記水平枠材のパネル嵌合部に嵌合させて設置した状態で、前記締結ボルトを前記水平枠材にナット締結してある請求項1〜4いずれかに記載の庇の取付け構造。
  6. 前記吊材の配設位置に対応する建物壁面には、外部に縦方向溝を臨ませた鉛直配向部材が配設され、前記縦方向溝に嵌合させた第2の連結軸部材と、前記吊材の上端とが連結されている請求項1〜5いずれかに記載の庇の取付け構造。
  7. 水平方向に並べて設置された庇パネルの内、端部に設置される端部庇パネルは、該端部庇パネルの外側側縁部位置に存在する建物躯体又は別途設置された支持部材に、先端部分が前記溝付枠材の溝部に係合可能とされるとともに、出没方向に出入り調整可能とされる軸状支持具を1又は水平方向に間隔を空けて複数設けておき、
    前記端部庇パネルを、室外側から該端部庇パネルの一方側溝付枠材に前記軸状支持具の先端部を係合させるとともに、他方側の溝付枠材に前記連結軸部材の先端部を係合させながら建物側に差込んで取り付けた請求項1〜6いずれかに記載の庇の取付け構造。
  8. 前記軸状支持具の先端部は軸部よりも大きくし、前記溝付枠材の溝部に前記先端部を嵌入させてある請求項7記載の庇の取付け構造。
  9. 前記支持部材は、仕上げパネル、柱部材、片持ち梁状のブラケットのいずれかとし、これら支持部材に貫通状態で前記軸状支持具を設けてある請求項7〜8いずれかに記載の庇の取付け構造。
  10. 前記軸状支持具を建物躯体に設ける場合は、該躯体に後付け雌ネジアンカーを埋設し、軸状支持具のネジ部を螺入させ設置してある請求項7〜8いずれかに記載の庇の取付け構造。
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