JPH11343690A - 外壁パネルの支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 梁の上部フランジに床材を設置する場合にお
いて、外壁パネルの上端を下部フランジに簡単にしかも
安定して支持することができるようにする。 【解決手段】 梁(11)の下部フランジ(13)に支持金具(1
0)を取り付けるとともに、この下部フランジ(13)よりも
下方で梁(11)外方に突出した支持金具(10)の支持プレー
ト(21)のボルト穴(23)に、外壁パネル(１)から上方に突
出した支持ボルト(25)の上端を挿通し、その支持ボルト
(25)の上端に螺合したナット(27)で支持ボルト(25)が落
下しないように保持して外壁パネル(１)上端部分を吊り
下げ支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カーテンウォール
構造の建築物に用いられる外壁パネルの支持装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】カーテンウォール構造の建築物において
は、梁のフランジへ取付けた金具からボルトを吊下げ
て、そのボルトの下端で外壁パネル上端を吊り下げ支持
するようにしたものがある。この場合、大地震の際のロ
ッキング動作を許容するため、ボルトが金具に対して上
方へ移動することで、外壁パネルが回転できるようにし
ている。

【０００３】このような外壁パネルの支持構造におい
て、梁の上部フランジにバルコニー床等の床材を設置す
るため、その上部フランジに外壁パネル上端を吊り下げ
支持することができないような場合には、梁の下部フラ
ンジに吊り下げ支持するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、梁の上
部フランジに床材を設置する場合、外壁パネル上端だけ
でなく、床材の下方を覆うサイディング材等の床下部材
の端部も下部フランジに支持させるようになるため、下
部フランジ部分に部材が入り組んだ状態となり、外壁パ
ネルの上端や床下部材の端部を支持するための金具を下
部フランジに取り付けるにあたり、ボルト等による締付
け作業が非常に煩雑となるといった欠点があった。

【０００５】本発明は、このような不具合を解消して、
梁の上部フランジに床材を設置する場合において、梁の
下部フランジに外壁パネルを簡単に支持することができ
るとともに、床下に配される部材の下部フランジへの支
持も簡単に行うことができる外壁パネルの支持装置を提
供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、フランジが上下平行となるようにして配
置されたＨ形鋼からなる梁の上部フランジに床材が設置
されたものにおいて、略Ｚ字形の支持金具を梁の下部フ
ランジに取り付けるとともに、この下部フランジよりも
下方で梁外方に突出した支持金具の支持プレートのボル
ト穴に、外壁パネルから上方に突出した支持ボルトの上
端を挿通し、その支持ボルトの上端に螺合したナットで
支持ボルトが落下しないように保持して外壁パネル上端
部分を吊り下げ支持することを特徴とする。

【０００７】また、前記支持金具には、建物内外方向に
延びる長穴が形成され、このボルト穴に挿入された取付
ボルトで支持金具と梁とを連結している。

【０００８】さらに、前記外壁パネルは、コンクリート
板等のサイディング材と、そのサイディング材の裏面に
取り付けた枠状フレームとからなり、前記支持ボルトが
前記枠状フレームの上部横フレーム材へ取り付けてある
ようにしている。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図１は本発明の一実施形態に
係る外壁パネルを示している。この外壁パネル(１)は、
軽量コンクリート板等の無機質材からなる方形のサイデ
ィング材(２)と、このサイディング材(２)の裏面に取り
付けられた方形枠状の金属製フレーム(３)とからなる。

【００１０】金属製フレーム(３)は、左右一対の縦フレ
ーム材(４)(４)と、これら縦フレーム材(４)(４)の上端
間を連結する上部横フレーム材(５)と、同じくこれら縦
フレーム材(４)(４)の下端間を連結する下部横フレーム
材(６)と、縦フレーム材(４)(４)の上下方向の中間部同
士を連結する中桟(７)とから構成されている。

【００１１】縦フレーム材(４)(４)は、リップ付きの溝
形鋼からなるものであって、それらの溝部(８)(８)は内
向きとなって互いに対向して配置されている。上部横フ
レーム材(５)もリップ付きの溝形鋼からなり、その下向
きの溝部の両端面を縦フレーム材(４)(４)上端の内側面
すなわちリップの外側面に当接したいわゆる縦勝ちの状
態で連結されている。中桟(７)も同様にリップ付き溝形
鋼からなり、その下向きの溝部の両端面を縦フレーム材
(４)(４)の内側面へ連結している。下部横フレーム材
(６)は、断面が略Ｚ字形に形成され、縦フレーム材(４)
(４)の下端面へ連結されている。

【００１２】図１において、(10)(10)は、上記構成から
なる外壁パネル(１)を梁(11)へ吊り下げるための支持金
具であって、その支持金具(10)による支持構造を以下に
説明する。

【００１３】支持金具(10)は、図２に示すように、梁(1
1)側に取り付けられる水平な取付プレート(20)と、外壁
パネル(１)側に取り付けられる水平な支持プレート(21)
とが段差状に一体的に連続して、全体的に略Ｚ字形に形
成されている。そして、取付プレート(20)には、建物内
外方向に延びるボルト挿入用の長穴(22)が形成され、支
持プレート(21)には、円形のボルト穴(23)が形成されて
いる。

【００１４】他方、外壁パネル(１)の上部横フレーム材
(５)のウエブには、複数のボルト穴(24)(24)…が形成さ
れており、これらボルト穴(24)(24)…のうちの両端のボ
ルト穴(24)(24)に下側から支持ボルト(25)を夫々差し込
むとともに、ウエブの上部側において支持ボルト(25)へ
螺合したナット(26)を締め付けて、その支持ボルト(25)
を、先端が上方へ突出した状態で上部横フレーム材(５)
へ固定するようにしている。更に、この支持ボルト(25)
の上部先端を、前記支持金具(10)の支持プレート(21)の
ボルト穴(23)へ下側から差し込み、その上端へ別のナッ
ト(27)を螺合して、支持金具(10)を外壁パネル(１)へ予
め仮付けしておくものである。

【００１５】そして、この状態で、外壁パネル(１)をク
レーンなどで吊り込んで、支持金具(10)を梁(11)へ固定
する。梁(11)は、図３に示すように、フランジ(12)(13)
が上下平行となるようにして配置されたＨ形鋼からなる
ものであり、この梁(11)の下部フランジ(13)に形成した
ボルト穴(30)と、前記支持金具(10)の取付プレート(20)
の長穴(22)が一致するようにして、取付プレート(20)を
その下部フランジ(13)下面に当接させ、下部フランジ(1
3)の上側からこれらボルト穴(30)及び長穴(22)に差し込
んだ取付ボルト(31)先端へ、ナット(32)を螺合して締め
付けることにより、この支持金具(10)を梁(11)の下部フ
ランジ(13)に固定するようにしている。なお、取付ボル
ト(31)は、取付プレート(20)の下側から長穴(22)及びボ
ルト穴(30)に差し込むこともある。

【００１６】その際、取付プレート(20)の長穴(22)の長
さの範囲内で、支持金具(10)の出入りすなわち外壁パネ
ル(１)の建物内外方向の出入りを調整することができ
る。また、支持ボルト(25)を支持している上端のナット
(27)を回転させることで、外壁パネル(１)全体の高さ調
整を行うことができる。

【００１７】上記において、図３に示すように、支持ボ
ルト(25)を上部横フレーム材(５)へ固定しているナット
(26)と支持金具(10)の支持プレート(21)下面との間には
間隙があり、この間隙の範囲内で、支持ボルト(25)は支
持金具(10)に対して上下動できるようになっている。即
ち、地震などの際に躯体が揺れたときは、外壁パネル
(１)はその躯体の揺れに抵抗することなく、上記の範囲
内で揺動することで、外壁パネル(１)の脱落や破損を防
止するロッキング動作を行うことになる。

【００１８】そして、このように外壁パネル(１)を梁(1
1)に取り付けた後に、バルコニー床等の床材(40)が梁(1
1)の上部フランジ(12)上面に設置され、これに伴って床
材(40)の下側を覆うサイディング材等が取り付けられ
る。このサイディング材は野縁下面に固定されるが、こ
の野縁の取付けに際しては、その端部を吊下げ金具によ
って梁(11)の下部フランジ(13)に支持させることにな
る。上記した外壁パネル(１)の支持状態においては、外
壁パネル(１)上端が、下部フランジ(13)よりも下方で、
しかも下部フランジ(13)よりも建物外方向に突出した支
持金具(10)の支持プレート(21)から吊り下げられている
ので、下部フランジ(13)は外壁パネル(１)に覆われるこ
となく露出した状態となっており、従って前記の吊下げ
金具を下部フランジ(13)に取り付ける際のボルト等の締
付け作業を外壁パネル(１)上端に干渉することなく簡単
に行うことができる。

【００１９】また、図４は、野縁(41)端部の支持構造の
一例を示しており、この場合、支持ボルト(25)を上部横
フレーム材(５)へ固定しているナット(26)を弛めて、こ
のナット(26)と上部横フレーム材(５)との間に略Ｚ字形
の吊下げ金具(42)のスリット(43)を側方より挿入して、
再びナット(26)を締め付けることによって吊下げ金具(4
2)を支持ボルト(25)に固定し、この吊下げ金具(42)のボ
ルト穴(44)に挿入した吊下げボルト(45)の下端で野縁(4
1)の端部を吊り下げ支持するようにして、この野縁(41)
の下面にサイディング材(46)を固定するようにしてい
る。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると、外壁パネル上端が、梁の下部フランジよりも
下方でしかも梁外方に突出した支持金具の支持プレート
から吊り下げられるので、下部フランジに対して外壁パ
ネル上端が下方及び外方向にずれた位置で支持されるこ
とになって、下部フランジは外壁パネルに覆われること
なく露出した状態となる。

【００２１】このため、支持金具を下部フランジに取り
付ける際のボルト等の締付け作業を、外壁パネルに干渉
することなく行うことができ、これによって外壁パネル
を下部フランジに簡単に支持することができる。しか
も、外壁パネルの取り付け後に、床下に配される部材端
部を下部フランジに吊り下げ支持する場合にも、その吊
下げ金具を下部フランジに取り付ける際のボルト等の締
付け作業を上記と同様に外壁パネルに干渉することなく
行うことができ、これによって床下部材も下部フランジ
に簡単に支持することができる。特に、外壁パネル上端
を吊り下げる支持ボルトを利用して、床下部材の吊下げ
金具を取り付けるようにすれば、取付作業をより簡単に
行うことができるとともに、吊下げ金具を下部フランジ
に取り付けるためのボルトを不要とすることができる。

【００２２】また、支持金具をこのような略Ｚ字形とし
ているので、梁の下部フランジに取り付けるブレースと
の干渉を防ぐことができるとともに、単に水平なプレー
ト状としたものと比べて、曲げや変形に対する抵抗力が
強く、外壁パネルの安定して支持することができる。

【００２３】さらに、支持金具の長穴に挿入された取付
ボルトで、支持金具と梁とを連結するようにしているの
で、この長穴の長さの範囲内で、支持金具の出入りすな
わち外壁パネルの建物内外方向の出入りを調整すること
ができ、設計上の誤差等を吸収した精度の高いカーテン
ウォール構造を実現することができる。

【００２４】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の外壁パネルを裏面側から見た全体の斜
視図である。

【図２】梁の下部フランジへの支持金具の取付構造を示
す分解斜視図である。

【図３】外壁パネル支持部分の要部縦断面図である。

【図４】支持ボルトを利用して野縁の吊下げ金具を取り
付けたときの外壁パネル支持部分の要部縦断面図であ
る。

【符号の説明】

(１) 外壁パネル (２) サイディング材 (３) 枠状フレーム (５) 上部横フレーム材 (10) 支持金具 (11) 梁 (12) 上部フランジ (13) 下部フランジ (20) 取付プレート (21) 支持プレート (22) 長穴 (23) ボルト穴 (25) 支持ボルト (27) ナット (31) 取付ボルト (40) 床材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フランジが上下平行となるようにして配
   置されたＨ形鋼からなる梁の上部フランジに床材が設置
   されたものにおいて、略Ｚ字形の支持金具を梁の下部フ
   ランジに取り付けるとともに、この下部フランジよりも
   下方で梁外方に突出した支持金具の支持プレートのボル
   ト穴に、外壁パネルから上方に突出した支持ボルトの上
   端を挿通し、その支持ボルトの上端に螺合したナットで
   支持ボルトが落下しないように保持して外壁パネル上端
   部分を吊り下げ支持することを特徴とする外壁パネルの
   支持装置。
2. 【請求項２】 前記支持金具には、建物内外方向に延び
   る長穴が形成され、この長穴に挿入された取付ボルトで
   支持金具と梁とを連結した請求項１記載の外壁パネルの
   支持装置。
3. 【請求項３】 前記外壁パネルは、コンクリート板等の
   サイディング材と、そのサイディング材の裏面に取り付
   けた枠状フレームとからなり、前記支持ボルトが前記枠
   状フレームの上部横フレーム材へ取り付けてある請求項
   １又は２記載の外壁パネルの支持装置。