JP2005314593A - 二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜とその製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜とその製造方法 Download PDF

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文弘 林
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Abstract

【課題】 柔軟性を損なうことなく、スーチャー引裂強度や引張強度の方向による異方性が実質的に解消され、これらの強度自体も改善され、しかも気孔率や孔径を自由に設計することができる二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を提供する。
【解決手段】 スーチャー引裂強度が縦方向及び横方向のいずれにおいても300gf以上で、かつ縦方向と横方向でのスーチャー引裂強度差が20%以下である二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜、及び延伸工程と焼結工程との間に二軸延伸シートを圧縮する工程を配置した該多孔質膜の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜が本来有する柔軟性を損なうことなく、力学的異方性が実質的に解消され、かつ気孔率を自由に設計することができる二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜とその製造方法に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略記)の延伸により製造した延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質体は、多数の微細なフィブリル(微小繊維)と該フィブリルによって互いに連結された多数のノード(結節)とからなる微細構造を有しており、この微細構造が連続気孔性の多孔質構造を形成している。延伸PTFE多孔質体は、延伸条件を制御することにより孔径や気孔率などの多孔質構造を任意に設定することができる。
延伸PTFE多孔質体は、PTFE自体が有する耐熱性、耐薬品性などの特性と、低摩擦係数、撥水性、非粘着性などの表面特性に加えて、多孔質構造を有することから、柔軟性、流体透過性、微粒子の捕集性、濾過性、低誘電率、低誘電正接などの特性が付加されている。PTFE自体は、硬くて脆い樹脂であるが、延伸PTFE多孔質体は、多孔質構造を有するため柔軟性が良好である。
延伸PTFE多孔質体は、このような独自の優れた特性を有することから、一般工業分野や医療分野などでの用途が拡大している。延伸PTFE多孔質体は、例えば、クッション材、シール材、スペーサーとして汎用されている。衣料用途において、延伸PTFE多孔質体は、透湿性、耐水性、保温性などを併せ持つため、例えば、トレッキングウエア、レインウエア、スキーウエア、シューズ、グローブなどの各種衣料品の製造に使用されている。
医療分野において、延伸PTFE多孔質体は、化学的な安定性、生体に対する無毒性、非分解性、抗血栓性などの特性を有しているため、生体内組織に直接触れる用途に最適な材料である。しかも、延伸PTFE多孔質体は、様々な生体内の組織形状に合わせてその形状を柔軟に変化させることができるため、シート状や管状などの構造を有する多孔質体として、パッチ材や人工血管、カテーテル、人工軟骨代替材料などの医療用高分子材料として使用されている。
高気孔率で孔径の大きな延伸PTFE多孔質体は、人工血管などの生体内埋植材料として使用すると、周囲組織が多孔質構造内に侵入し一体となって、良好な治癒状態を形成させることができる。他方、心膜、胸膜、横隔膜、腹膜、腱の鞘などを補修する用途で用いられるパッチ材では、周囲組織の侵入や癒着を避ける必要がある。このような組織遮断性が求められる移植材料としては、孔径の小さな延伸PTFE多孔質体が好適である。
延伸PTFE多孔質体は、一般に、チューブやシート(フィルムを含む)、モノフィラメントなどの形態で製造されているが、それらの中でも、シート状の延伸PTFE多孔質膜は、クッション材、シール材、衣料用材料、医療用材料など用途に汎用されている。延伸PTFE多孔質膜は、初めからシート状として成形されたものだけではなく、チューブを切り開いてシート状にしたものもある。また、延伸PTFE多孔質膜を用いて、チューブや各種構造物を形成することもできる。例えば、延伸PTFE多孔質膜を棒状支持体の外周面に巻き付けて、端部同士や重ね合わせ部を熱融着させたり、接着剤で接着すれば、チューブを形成することができる。
ところが、延伸PTFE多孔質膜は、一般に、力学的異方性が強いという特徴を有している。一般に、延伸PTFE多孔質膜は、未焼結のPTFE粉末と潤滑剤との混合物を押出して、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する押出工程、該押出成形物を圧延して圧延シートを作製する圧延工程、圧延シートを延伸して未焼結の延伸PTFE多孔質膜を作製する延伸工程、及び未焼結の延伸PTFE多孔質膜を加熱して焼結する焼結工程により製造されている。
このような製造方法により得られる延伸PTFE多孔質膜は、通常、押出工程や延伸工程で、その縦方向(MD:長手方向)に強く配向する。特に、延伸工程では、多数の微細なフィブリルと該フィブリルによって互いに連結された多数のノードとからなる微細構造が形成されるが、その際、延伸方向にフィブリルが強く配向する。そのため、延伸PTFE多孔質膜は、引張強度に方向による異方性が現れる。二軸延伸PTFE多孔質膜の引張強度は、縦方向(MD)の方が横方向(MD)よりも大きな値を示す。
延伸PTFE多孔質膜は、縫合針や縫合糸による生体組織への縫着時に裂けやすい。フィブリルは、それ自体は非常に強固であり、縫合糸を用いた縫合時に、フィブリルを切断する方向(横方向:TD)での引裂強度が強いものの、MD方向での引裂強度が弱い。
そのため、延伸PTFE多孔質膜は、一般に、力学的異方性が大きい。その傾向は、圧延シートを縦方向に一軸延伸して得られる一軸延伸PTFE多孔質膜において顕著である。特にチューブ状の延伸PTFE多孔質体は、フィブリルがチューブの長手方向(MD)に強く配向しているため、前記の如き力学的異方性が極めて強い。したがって、延伸PTFE多孔質チューブを切り開いて作製したシートも、力学的異方性が強いものである。
このような引張強度や引裂強度などにおける力学的異方性は、二軸延伸PTFE多孔質膜にも強く現れる。しかも、このような力学的異方性は、二軸延伸時に縦方向(MD)の延伸倍率よりも横方向(TD)の延伸倍率を大きくしても、解消されることがない。
延伸PTFE多孔質膜の多くの用途において、このような力学的異方性が問題になることが多い。例えば、衣料用途では、縫製時に、延伸PTFE多孔質膜が針や糸で裂けたり、破れが生じたりしないことが求められている。延伸PTE多孔質膜に力学的異方性があり、糸によって裂けやすい方向があると、このような要求に十分に応えることができない。生体内埋植材料の分野では、縫合糸による縫着時に、どの方向でも糸に対する引裂強度が強いことが求められる。また、パッチ材では、膜面での物性が均質であることが要求されている。
従来、2枚以上の延伸PTFE多孔質膜を、それらの主延伸方向を互いに任意の角度で交差させて積層し、全体一体化させてなる医療用補綴材料が提案されている(特許文献1)。この方法によれば、縫合糸による引裂強度が改善された積層シートを得ることができる。しかし、特許文献1に記載の方法は、2枚以上の延伸PTFE多孔質膜の延伸方向を任意の角度で交差させて積層する必要があるため、工程が煩雑で、コスト高になる。それに加えて、この方法では、2枚以上の延伸PTFE多孔質膜を長尺方向に揃えて積層することができないため、長尺品や大面積品を製造することができない。また、この積層シートは、ハサミで所望の形状にトリミングを行うと、切断面とその近傍において界面剥離が起こりやすく、縫合に対して十分な強度が維持できない場合がある。
延伸PTFE多孔質膜に、網状の固体構造物を密着させた状態で、300℃以上に加熱することにより、結節凝集部と該結節凝集部よりも結節間距離が長い非結節凝集部とを形成する方法が提案されている(特許文献2)。この方法によれば、多孔質構造や柔軟性を損なうことなく、引裂強度や引張強度が改善された延伸PTFE多孔質膜を得ることができる。しかし、特許文献2に記載の方法で得られた延伸PTFE多孔質膜は、結節の凝集部分と非凝集部分が混在するため、強度が不均一であり、非凝集部分は強度が低く裂けやすい。さらに、この方法では、延伸PTFE多孔質膜の孔径を自由に設定することが困難である。
延伸PTFE多孔質体の外表面に、孔径が0.05〜0.5μmのフッ素樹脂層を形成した生体内移植材料が提案されている(特許文献3)。この方法によれば、柔軟性と体液との交通性を保持しながら、周囲組織の侵入や癒着を抑制し、縫合糸に対する引裂強度、すなわちスーチャー引裂強度が改善された生体内移植材料を得ることができる。しかし、この方法では、生体内移植材料の孔径を自由に設定することができない。また、この方法では、延伸PTFE多孔質膜自体の力学的異方性を改善することができない。
特開昭54−90897号公報 特開平7−82399号公報 特開平9−173438号公報
本発明の課題は、柔軟性を損なうことなく、スーチャー引裂強度の方向による異方性が実質的に解消され、かつスーチャー引裂強度自体も改善された二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を提供することにある。
また、本発明の課題は、柔軟性を損なうことなく、引張強度の方向による異方性が実質的に解消され、かつ引張強度自体も改善された二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を提供することにある。
本発明の他の課題は、柔軟性を損なうことなく、スーチャー引裂強度や引張強度の方向による異方性が実質的に解消され、これらの強度自体も改善され、しかも気孔率や孔径を自由に設計することができる二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、二軸延伸PTFE多孔質膜の製造工程において、延伸工程後に、未焼結状態の二軸延伸PTFE多孔質膜を膜厚方向に圧縮する工程を配置することにより、延伸PTFE多孔質膜が本来有する柔軟性を損なうことなく、スーチャー引裂強度や引張強度などの強度特性の方向による異方性が実質的に解消され、強度自体も改善された二軸延伸PTFE多孔質膜の得られることを見出した。
本発明の製造方法によれば、気孔率を自由に設計することができる。また、本発明の製造方法によれば、二軸延伸PTFE多孔質膜を複数枚重ね合わせてから膜厚方向に圧縮し、次いで、加熱焼結して各層間を熱融着して一体化することにより、膜厚を自由に設計した均質な二軸延伸PTFE多孔質膜を得ることができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜であって、スーチャー引裂強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても300gf以上で、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)でのスーチャー引裂強度差が20%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜が提供される。
また、本発明によれば、微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜であって、引張強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても幅1cm当たり2.5kgf以上であり、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)での引張強度差が20%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜が提供される。
さらに、本発明によれば、微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法であって、下記工程1〜5:
(1)未焼結ポリテトラフルオロエチレン粉末と潤滑剤との混合物を押出して、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する押出工程1;
(2)押出成形物を圧延して圧延シートを作製する圧延工程2;
(3)圧延シートを縦方向及び横方向に二軸延伸して二軸延伸シートを作製する延伸工程3;
(4)二軸延伸シートを膜厚方向に圧縮して圧縮シートを作製する圧縮工程4;
(5)圧縮シートを、収縮しないように固定した状態で、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱して焼結する焼結工程5;
により、二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得ることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法が提供される。
さらにまた、本発明によれば、微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法であって、下記工程I〜VI:
(1)未焼結ポリテトラフルオロエチレン粉末と潤滑剤との混合物を押出して、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する押出工程I;
(2)押出成形物を圧延して圧延シートを作製する圧延工程II;
(3)圧延シートを縦方向及び横方向に二軸延伸して二軸延伸シートを作製する延伸工程III;
(4)二軸延伸シートを2枚以上重ね合わせて多層シートを作製する工程IV;
(5)多層シートを膜厚方向に圧縮して圧縮多層シートを作製する圧縮工程V;
(6)圧縮多層シートを、その全層を収縮しないように固定した状態で、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱して焼結すると同時に、各層間を熱融着して一体化する焼結工程VI;
により、二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得ることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法が提供される。
本発明によれば、二軸延伸PTFE多孔質膜が本来有する柔軟性を損なうことなく、スーチャー引裂強度や引張強度の方向による異方性が実質的に解消され、これらの機械的強度自体も改善され、しかも気孔率や孔径を自由に設計することができる二軸延伸PTFE多孔質膜が提供される。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、単層膜または多層が一体化された実質的に単層膜であり、均質で高い強度を有するので、寸法調整、トリミングを自由に行うことができる。本発明によれば、力学的異方性がなく、高強度で、長尺または大面積の二軸延伸PTFE多孔質膜を低コストで大量に製造することができる。
本発明の力学的異方性が実質的に解消された二軸延伸PTFE多孔質膜は、以下の方法により製造することができる。すなわち、本発明の第一製造方法は、下記工程1〜5を有するものである。
(1)未焼結ポリテトラフルオロエチレン粉末と潤滑剤との混合物を押出して、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する押出工程1;
(2)押出成形物を圧延して圧延シートを作製する圧延工程2;
(3)圧延シートを縦方向及び横方向に二軸延伸して二軸延伸シートを作製する延伸工程3;
(4)二軸延伸シートを膜厚方向に圧縮して圧縮シートを作製する圧縮工程4;
(5)圧縮シートを、収縮しないように固定した状態で、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱して焼結する焼結工程5。
押出工程1は、この技術分野で周知の方法に従って実施することができる。具体例としては、未焼結PTFE粉末(ペースト押出用ファインパウダー)と潤滑剤(例えば、ソルベントナフサ、石油など)との混合物をシリンダー内で圧縮して円筒状に予備成形した後、得られた予備成形物(ビレット)を押出シリンダーに投入し、ラムで加圧してダイスから押出し、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する。シート状押出成形物を得るには、押出シリンダーの先端にT型ダイスを連結し、ロッド状押出成形物を得るには、円形に開口したダイスを用いる。
圧延工程2も、定法に従って行うことができる。押出工程で得られたシート状またはロッド状の押出成形物を、潤滑剤が揮散しないうちにロールやプレスなどの圧延装置を用いて圧延し、所定厚みの圧延シートを作製する。圧延比率は、大きいほど好ましい。例えば、押出成形物がシート状である場合には、圧延前の膜厚T1を圧延後の膜厚T2で除した値で表わされる圧延比率T1/T2を好ましくは1.3倍超過、より好ましくは1.6倍以上、特に好ましくは2.0倍以上となるように圧延する。
圧延比率が小さすぎると、延伸工程で二軸延伸PTFE多孔質膜に延伸ムラが生じやすくなる。圧延比率を大きくすることにより、延伸ムラを抑制するとともに、他の工程と相まって、力学的異方性や機械的強度も改善することができる。圧延比率の上限は、通常10倍、好ましくは8倍、より好ましくは5倍程度である。押出成形物がロッド状である場合には、該ロッドをシートにした場合の厚みを勘案して、圧延比率を調整する。
圧延シートの膜厚は、必要に応じて適宜設定することができるが、通常0.3〜2.0mm、好ましくは0.4〜1.5mm、特に好ましくは0.5〜1.3mmの範囲である。圧延シートの膜厚が薄すぎると、延伸倍率を高めることが困難になったり、二軸延伸PTFE多孔質膜(未焼結の二軸延伸シート)の膜厚が薄くなりすぎる。圧延シートの膜厚が厚すぎると、均一な延伸が困難になることがある。
圧延シートから潤滑剤を除去し、または除去することなく、圧延シートを二軸延伸する。圧延シートから潤滑剤を除去しない場合には、延伸工程など後の工程で潤滑剤が除去される。圧延シートから潤滑剤を除去する場合には、例えば、圧延シートを100〜300℃の乾燥炉を通して潤滑剤を揮散させる方法を採用することができる。
延伸工程3では、圧延シートを縦方向及び横方向に二軸延伸して未焼結状態の二軸延伸PTFE多孔質膜(以下、「二軸延伸シート」という)を作製する。圧延シートの二軸延伸法としては、同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法を採用することができるが、先ず、縦方向(MD;長手方向または長尺方向)に延伸し、次いで、横方向(TD;幅方向)に延伸する逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。逐次二軸延伸法では、例えば、低速ロールと高速ロール間で縦方向(MD)に延伸し、次いで、テンターを用いて横方向(TD)に延伸する方法を採用することが好ましい。
二軸延伸における縦方向(MD)延伸倍率は、通常1.2〜10.0倍、好ましくは1.5〜8.0倍、より好ましくは2.0〜5.0倍である。また、横方向(TD)延伸倍率は、通常3.0〜20.0倍、好ましくは4.0〜15.0倍、より好ましくは5.0〜13.0倍である。本発明の製造方法では、MD延伸倍率よりもTD延伸倍率の方が大きくなるように二軸延伸することが、後の圧縮工程及び焼結工程を経て、力学的異方性が小さな二軸延伸PTFE多孔質膜が得られやすいので、好ましい。
延伸工程3において、MD延伸倍率E1とTD延伸倍率E2との積で表わされる総延伸倍率E1×E2が通常12倍以上、好ましくは15倍以上、より好ましくは20倍以上となるように二軸延伸を行うことが望ましい。総延伸倍率が小さすぎると、二軸延伸シートを圧縮しても、柔軟性を損なうことなく、力学的異方性を十分に改善することができない。総延伸倍率の上限は、通常40倍、好ましくは30倍程度である。総延伸倍率は、MD延伸倍率とTD延伸倍率を前記範囲内で調整することにより、所望の範囲に制御することができる。
延伸工程3で得られる未焼結状態の二軸延伸シートは、気孔率が70%以上であることが好ましい。二軸延伸シートの気孔率の上限は、通常90%、好ましくは87%程度である。総延伸倍率を高く設定し、得られる二軸延伸シートの気孔率を高くすることによって、後の圧縮工程及び焼結工程で得られる二軸延伸PTFE多孔質膜における気孔率を高めることができる。最終製品である二軸延伸PTFE多孔質膜の気孔率を高くすることにより、柔軟性を高度に保持し、多孔質体としての特性を十分に発揮することができる。
圧縮工程4では、未焼結状態の二軸延伸シートを膜厚方向に圧縮し、膜厚を薄くする。圧縮工程では、圧延ロールやプレスを用いて、二軸延伸シートを圧縮する。本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜の製造工程では、圧縮工程4の前に既に圧延工程2で一度圧延処理を行っているため、圧縮工程での圧縮を「再圧延」と呼び、圧縮工程を「再圧延工程」と呼ぶことがある。
圧縮工程4において、圧縮前の膜厚t1を圧縮後の膜厚t2で除した値で表わされる圧縮比率t1/t2が通常1.2以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、特に好ましくは2.0以上となるように、二軸延伸シートを圧縮する。圧縮比率の上限は、通常4.0、好ましくは3.0程度である。
圧縮工程4での圧縮比率が小さすぎると、力学的異方性の抑制効果が不十分となり、機械的強度の改善効果も低くなる。圧縮比率が大きすぎると、膜厚が薄くなりすぎたり、気孔率が小さくなりすぎる。
焼結工程5では、圧縮された未焼結状態の圧縮シートを、収縮しないように固定した状態で、PTFEの融点(327℃)以上の温度に加熱して焼結する。この焼結工程は、通常330〜500℃、好ましくは340〜400℃の雰囲気の炉内に圧縮シートを通して行うことができる。焼結により、二軸延伸し、圧縮した状態が焼結固定され、力学的異方性が抑制され、かつ強度が向上した二軸延伸PTFE多孔質膜を得ることができる。
焼結工程5において、気孔率が好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、特に好ましくは50%以上の二軸延伸PTFE多孔質膜を作製する。焼結した二軸延伸PTFE多孔質膜の気孔率の上限は、通常80%、好ましくは75%程度である。総延伸倍率を高く設定して二軸延伸シートの気孔率を高くすることによって、後の圧縮工程で比較的高い気孔率を有し、柔軟性に優れた二軸延伸PTFE多孔質膜が得られやすくなる。
焼結により得られた二軸延伸PTFE多孔質膜の膜厚は、通常0.02〜1.0mm、好ましくは0.03〜0.8mm、より好ましくは0.04〜0.5mm、特に好ましくは0.05〜0.3mmである。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜の孔径は、延伸工程での延伸条件を制御することにより、自由に設定することが可能である。二軸延伸PTFE多孔質膜を移植材料として使用する場合には、その孔径を使用する部位や目的によって選択する必要がある。
二軸延伸PTFE多孔質膜を組織侵入を抑えながら柔軟性を維持することが求められる用途に適用するには、気孔率を40%以上、厚さを1mm以下とすることが好ましい。また、イソプロピルアルコールを用いたバブリングポイントが100kPa以上、孔径が0.45μm以下、繊維長が10μm以下であることが好ましい。
二軸延伸PTFE多孔質膜を組織治癒性が必要な用途に適用する場合には、バブリングポイントが50kPa以下、孔径が1μm以上、繊維長が20μm以上であることが好ましく、バブリングポイントが1kPa以下、孔径が5μm以上、繊維長60μm以上であることが治癒性を高める上でより好ましい。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する多孔質体である。本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、スーチャー引裂強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても300gf以上で、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)でのスーチャー引裂強度差が20%以下である。
スーチャー引裂強度は、後記の実施例に記載された測定法により測定した値である。スーチャー(suture)とは、縫合糸のことであり、二軸延伸PTFE多孔質膜に縫合糸を貫通させ、測定装置(島津製作所製オートグラフAG500E)を用いて、貫通した縫合糸の両端をロードセル側のグリップに固定し、20mm/分の速度で縫合糸を引っ張り、縫合糸が完全にシートと分離するまで引っ張ったときに生じた最大荷重をスーチャー引裂強度とする。スーチャー引裂強度を二軸延伸PTFE多孔質膜のMD方向とTD方向について測定することにより、その異方性の程度を評価することができる。
スーチャー引裂強度は、二軸延伸PTFE多孔質膜を針と糸を用いて縫合する際の実用的な強度特性を示すものである。本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜のスーチャー引裂強度は、MD及びTDのいずれにおいても、好ましくは400gf以上、より好ましくは450gf以上である。また、MDとTDでのスーチャー引裂強度差は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。
従来の製造方法によれば、横方向(TD)の延伸倍率を縦方向(MD)の延伸倍率より大きくしても、縦方向(MD)のスーチャー引裂強度が極めて低い二軸延伸PTFE多孔質膜しか得ることができなかった。これに対して、延伸工程後に圧縮工程を配置した本発明の製造方法によれば、このような方向によるスーチャー引裂強度の異方性を実質的に解消することができ、しかもスーチャー引裂強度の値自体を高くすることができる。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、引張強度の異方性も実質的に解消されたものである。すなわち、本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、引張強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても幅1cm当たり2.5kgf以上であり、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)での引張強度差が20%以下である。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜の引張強度は、MD及びTDのいずれにおいても、好ましくは2.8kgf/cm以上、より好ましくは3.0kgf/cm以上である。また、MDとTDでの引張強度差は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。
従来の製造方法によれば、横方向(TD)の延伸倍率を縦方向(MD)の延伸倍率より大きくしても、横方向(TD)の引張強度が低い二軸延伸PTFE多孔質膜しか得ることができなかった。これに対して、延伸工程後に圧縮工程を配置した本発明の製造方法によれば、このような方向による引張強度の異方性を実質的に解消することができ、しかも引張強度の値自体を高くすることができる。
本発明の第一製造方法では、圧延比率、延伸倍率及び圧縮比率を大きくすることが好ましいため、得られる単層の二軸延伸PTFE多孔質膜の膜厚が薄くなることが多い。膜厚が大きい二軸延伸PTFE多孔質膜が求められる用途には、多層化工程を配置して、膜厚を大きくすることができる。すなわち、本発明の第二製造方法は、下記工程I〜VIを有するものである。
(1)未焼結ポリテトラフルオロエチレン粉末と潤滑剤との混合物を押出して、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する押出工程I;
(2)押出成形物を圧延して圧延シートを作製する圧延工程II;
(3)圧延シートを縦方向及び横方向に二軸延伸して二軸延伸シートを作製する延伸工程III;
(4)二軸延伸シートを2枚以上重ね合わせて多層シートを作製する工程IV;
(5)多層シートを膜厚方向に圧縮して圧縮多層シートを作製する圧縮工程V;
(6)圧縮多層シートを、その全層を収縮しないように固定した状態で、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱して焼結すると同時に、各層間を熱融着して一体化する焼結工程VI。
第二製造方法における押出工程I、圧延工程II、及び延伸工程IIIは、それぞれ第一製造方法における押出工程1、圧延工程2、及び延伸工程3に対応するものである。本発明の第二製造方法は、多層化工程IVを配置した点と、多層シートを圧縮する工程Vと、焼結と同時に各層間を熱融着して一体化させる焼結工程VIを配置した点に特徴を有している。
多層化工程では、延伸工程で得られた未焼結の二軸延伸シートを2枚以上重ね合わせて多層シートを作製する。この多層シートは、各層間がばらばらの状態で一体化されていない。多層シートの作製に使用する未焼結の二軸延伸シートの枚数は、その膜厚と最終的に必要とされる二軸延伸PTFE多孔質膜の膜厚などを考慮して適宜定めることができる。この枚数は、通常2〜30枚、好ましくは2〜20枚、より好ましくは3〜15枚程度であるが、これらの枚数に限定されるものではない。
圧縮工程Vでは、多層シートを膜厚方向に圧縮し、膜厚を薄くする。圧縮工程において、圧縮比率が通常1.2以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、特に好ましくは2.0以上となるように、多層シートを圧縮する。圧縮比率の上限は、通常4.0、好ましくは3.0程度である。
焼結工程VIでは、圧縮多層シートを、その全層を収縮しないように固定した状態で、PTFEの融点以上の温度に加熱して焼結すると同時に、各層間を熱融着して一体化した二軸延伸PTFE多孔質膜を作製する。焼結温度などの焼結条件は、第一製造方法の焼結工程におけるのと同様であるが、第二製造方法では、焼結工程において、焼結のための加熱を利用して、各層間を熱融着させる。各層間が熱融着すると、全層が一体化した1枚の二軸延伸PTFE多孔質膜が得られる。
焼結工程VIにおいて、気孔率が好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、特に好ましくは50%以上の二軸延伸PTFE多孔質膜を作製する。焼結した二軸延伸PTFE多孔質膜の気孔率の上限は、通常80%、好ましくは75%程度である。総延伸倍率を高く設定して二軸延伸シートの気孔率を高くすることによって、後の圧縮工程で比較的高い気孔率を有し、柔軟性に優れた二軸延伸PTFE多孔質膜が得られやすくなる。
焼結工程VIで得られる二軸延伸PTFE多孔質膜の膜厚は、用途に応じて設定することがきるが、通常0.04〜2.0mm、好ましくは0.06〜1.6mm、より好ましくは0.08〜1.3mm、特に好ましくは0.1〜1.1mmである。圧縮工程後に得られる二軸延伸PTFE多孔質膜をクッション材やシール材として使用する場合、2.0mm以上、さらには3.0〜10.0mm程度の製品厚さが求められることがあり、そのような場合には、多層シートの膜厚を2.0mm超過、さらには5.0〜30.0mmとなるように調整することが望ましい。
第二製造方法によって得られる二軸延伸PTFE多孔質膜も、力学的異方性が実質的に解消されたものであって、第一製造方法で得られた二軸延伸PTFE多孔質膜と同様のスーチャー引裂強度と引張強度の各特性を示すものである。しかも、多層化の後、圧縮し、さらに焼結しているため、各層間が融着して一体化しており、層間剥離することがない。
本発明の第二製造方法によれば、複数枚の長尺の二軸延伸シートを、縦方向(MD;長尺方向)に重ね合わせることができるため、多層化操作が簡単で、連続的に長尺製品や大面積の製品を容易に製造することができる。
本発明の第一及び第二の製造方法で得られた二軸延伸PTFE多孔質膜は、そのまま各種用途に使用してもよいし、必要に応じて、他の層や基材との積層、親水化処理などを施すことができる。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、シール材やクッション材、スペーサーとして、適当な形状と大きさに裁断して使用することができる。本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、トレッキングウエア、レインウエア、スキーウエア、シューズ、グローブなどの各種衣料品の製造に使用することができる。本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、実質的に力学的異方性が解消されており、単層膜または実質的に層間が融着一体化した膜で、かつ強度が高く均質なため、ハサミなどの裁断具等を用いて、所望の形状にトリミングして使用することができ、それによって、層間剥離したり、強度が低下したり、強度に方向による異方性が生じることがない。また、本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、縫合性に優れているため、各種衣料品への加工が容易である。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、膜状のままで、あるいは適当な形状の構造物に成形加工したり、各種二次加工を行うことにより、生体内埋植材料として使用することができる。本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、膜面での全方向の物性が実質的に均一であり、スーチャー引裂強度、引張強度にも優れているため、心膜、胸膜、横隔膜、腹膜、腱の鞘などを補修する用途で用いられるパッチ材として好適である。この他、本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、二次加工することにより、人工血管、カテーテル、人工軟骨代替材料などの医療用高分子材料として使用することもできる。本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、縫合糸による生体組織への縫着が容易である。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、異方性導電膜の基膜として使用することができる。異方性導電膜は、例えば、二軸延伸PTFE多孔質膜に複数の貫通孔を形成し、各貫通孔の壁面のみに選択的に導電性金属を付着させる方法により製造することができる。各貫通孔の壁面のみに選択的に導電性金属を付着させるには、めっき用マスク材料を両面に配置し、各貫通孔のみにめっき触媒を付与し、マスクを剥離後、無電解めっきを行い、さらに必要に応じて電解めっきを行う方法が挙げられる。このような異方性導電膜は、半導体デバイス等における回路素子相互間の電気的接合や回路基板等における電気的信頼性の検査に使用することができるものである。
さらに、本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、強度特性に優れるため、それ単独で使用できるだけではなく、例えば、生体内埋植材料としたとき治癒性の高い大孔径で高気孔率の延伸PTFE多孔質体の補強材や、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂製の織布や不織布の補強材などとして使用することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。本発明における各種特性の測定法は、以下のとおりである。
(1)圧延比率及び再圧延比率:
押出シートの圧延前の膜厚T1を圧延後の膜厚T2で除した値T1/T2を圧延比率とした。二軸延伸PTFE多孔質膜の再圧延前の膜厚t1を再圧延後の膜厚t2で除した値t1/t2を再圧延比率(圧縮比率)とした。
(2)延伸倍率:
2−1.縦方向(MD)延伸倍率:
縦方向延伸倍率は、下記式(i)により算出した。
縦方向(MD)延伸倍率=延伸品の仕上がり速度(巻き取り速度)/延伸前の材料の供給速度・・・(i)
2−2.横方向(TD)延伸倍率:
横方向延伸倍率は、下記式(ii)により算出した。
横方向(TD)延伸倍率=延伸前のテンターチャック間距離/延伸後のテンターチャック間距離・・・(ii)
2−3.総延伸倍率:
総延伸倍率は、下記式(iii)により算出した。
総延伸倍率=MD延伸倍率×TD延伸倍率・・・(iii)
(3)気孔率:
二軸延伸PTFE多孔質膜の乾燥重量と水中重量との差に基づいて体積を求めた。PTFEの真比重を2.25g/ccとし、この真比重と二軸延伸PTFE多孔質膜の乾燥重量から樹脂の容積を算出した。二軸延伸PTFE多孔質膜の体積から樹脂の容積を引いて、空隙容積を算出した。
気孔率(%)は、下記式(iv)により算出した。
(空隙容積/体積)×100・・・(iv)
(4)膜厚:
ダイヤルゲージ(ミツトヨ製型番547−301)を用いて、試料の膜厚を4点測定し、平均値を試料の膜厚とした。
(5)スーチャー引裂強度:
二軸延伸PTFE多孔質膜を、その縦方向(MD:長手方向)と横方向(TD:幅方向)に沿って、それぞれ長さ2cmと幅1cmの長方形となるように切り出して、シート状試料を作製した。プラスチック製針付き縫合糸(エチコン製プロリーン6−0品番M8307)の針を、シートの一方の端縁から2mmで、両側縁から中央となる地点に穿刺することにより、シートに縫合糸を通した。
測定装置として島津製作所製オートグラフAG500Eを使用した。シートの他端をクロスヘッド側のグリップに固定し、シートに通した縫合糸の両端をロードセル側のグリップに固定して、20mm/分の速度で縫合糸を引っ張り、縫合糸が完全にシートと分離するまで引っ張ったときに生じた最大荷重をスーチャー(suture:縫合糸)引裂強度(単位=gf)とした。
スーチャ−引裂強度の測定は、シートの縦方向(MD)と横方向(TD)について、それぞれ6点ずつ行い、それぞれの平均値を縦方向(MD)スーチャー引裂強度及び横方向(TD)スーチャー引裂強度とした。引裂強度差(%)は、下記式(v)により算出した。
√{(MD引裂強度−TD引裂強度)}÷(MD引裂強度+TD引裂強度)×100%・・・(v)
(6)引張強度:
二軸延伸PTFE多孔質膜を、その縦方向(MD:長手方向)と横方向(TD:幅方向)に沿って、それぞれ長さ6cmと幅1cmの長方形となるように切り出して、シート状試料を作製した。測定装置として島津製作所製オートグラフAG500Eを使用した。グリップ間隔を20mmに設定し、シートをクロスヘッド側のグリップとロードセル側のグリップに片端ずつ固定して、20mm/分の速度でシートが破断するまで引っ張り歪みを加えた。
引張強度の測定は、シートの縦方向(MD)と横方向(TD)について、それぞれ4点ずつ行い、それぞれの平均値を縦方向(MD)引張強度及び横方向(TD)引張強度とした(単位=kgf/cm)。引張強度差(%)は、下記式(vi)により算出した。
√{(MD引張強度−TD引張強度)}÷(MD引張強度+TD引張強度)×100%・・・(vi)
[実施例1]
ダイキン工業製PTFEファインパウダー(F104)100重量部に対し、ナフサ20重量部を配合し、混合した。この混合物を60℃で約24時間放置して、各成分をなじませた。次に、この混合物を内径が約130mmのシリンダー内で圧縮して予備成形を行った。円筒形の予備成形物を内径130mmの押出シリンダーに投入し、T型ダイスから幅150mm、厚さ2mmのシート状に押出成形を行った。次に、シート状押出成形物を圧延比率2.0で、膜厚が1.00mmとなるように圧延を行った。
上記で得られた圧延シートを、縦方向(MD)に200℃で2.25倍、次いで200℃で横方向(TD)に11.00倍の各延伸倍率で逐次二軸延伸した。総延伸倍率は24.75であった。得られた延伸シートの気孔率は83%で、膜厚は0.27mmであった。この延伸シートをロール圧延機で膜厚が0.11mmとなるように再圧延を行った(再圧延比率2.5)。次に、得られた再圧延シートを350℃の雰囲気の炉内に通して焼結を行った。このようにして得られた二軸延伸PTFE多孔質膜は、非常に柔軟であり、その気孔率は56%で、膜厚は0.10mmであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
ダイキン工業製PTFEファインパウダー(F104)100重量部に対し、ナフサ20重量部を配合し、混合した。この混合物を60℃で約24時間放置して、各成分をなじませた。次に、この混合物を内径が約130mmのシリンダー内で圧縮して予備成形を行った。円筒形の予備成形物を内径130mmの押出シリンダーに投入し、T型ダイスから幅150mm、厚さ2mmのシート状に押出成形を行った。次に、シート状押出成形物を圧延比率1.6で、膜厚が1.25mmとなるように圧延を行った。
上記で得られた圧延シートを、縦方向に200℃で2.25倍、次いで200℃で横方向に11.00倍の各延伸倍率で逐次二軸延伸した。総延伸倍率は24.75であった。得られた延伸シートの気孔率は84%で、膜厚は0.35mmであった。この延伸シートをロール圧延機で膜厚が0.16mmとなるように再圧延を行った(再圧延比率2.2)。次に、得られた再圧延シートを350℃の雰囲気の炉内に通して焼結を行った。このようにして得られた二軸延伸PTFE多孔質膜は、非常に柔軟であり、その気孔率は58%で、膜厚は0.14mmであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
ダイキン工業製PTFEファインパウダー(F104)100重量部に対し、ナフサ20重量部を配合し、混合した。この混合物を60℃で約24時間放置して、各成分をなじませた。次に、この混合物を内径が約130mmのシリンダー内で圧縮して予備成形を行った。円筒形の予備成形物を内径130mmの押出シリンダーに投入し、T型ダイスから幅150mm、厚さ2mmのシート状に押出成形を行った。次に、シート状押出成形物を圧延比率2.0で、膜厚が1.00mmとなるように圧延を行った。
上記で得られた圧延シートを、縦方向に200℃で2.25倍、次いで200℃で横方向に11.00倍の各延伸倍率で逐次二軸延伸した。総延伸倍率は24.75であった。得られた延伸シートの気孔率は83%で、膜厚は0.27mmであった。次に、延伸シートを350℃の雰囲気の炉内に通して焼結を行った。このようにして得られた二軸延伸PTFE多孔質膜は、非常に柔軟であり、その気孔率は72%で、膜厚は0.18mmであった。結果を表1に示す。
[比較例2]
ダイキン工業製PTFEファインパウダー(F104)100重量部に対し、ナフサ20重量部を配合し、混合した。この混合物を60℃で約24時間放置して、各成分をなじませた。次に、この混合物を内径が約130mmのシリンダー内で圧縮して予備成形を行った。円筒形の予備成形物を内径130mmの押出シリンダーに投入し、T型ダイスから幅150mm、厚さ2mmのシート状に押出成形を行った。次に、シート状押出成形物を圧延比率1.6で、膜厚が1.25mmとなるように圧延を行った。
上記で得られた圧延シートを、縦方向に200℃で2.25倍、次いで200℃で横方向に11.00倍の各延伸倍率で逐次二軸延伸した。総延伸倍率は24.75であった。得られた延伸シートの気孔率は84%で、膜厚は0.35mmであった。次に、延伸シートを350℃の雰囲気の炉内に通して焼結を行った。このようにして得られた二軸延伸PTFE多孔質膜は、非常に柔軟であり、その気孔率は72%で、膜厚は0.26mmであった。結果を表1に示す。
[比較例3]
ダイキン工業製PTFEファインパウダー(F104)100重量部に対し、ナフサ20重量部を配合し、混合した。この混合物を60℃で約24時間放置して、各成分をなじませた。次に、この混合物を内径が約130mmのシリンダー内で圧縮して予備成形を行った。円筒形の予備成形物を内径130mmの押出シリンダーに投入し、T型ダイスから幅150mm、厚さ2mmのシート状に押出成形を行った。次に、シート状押出成形物を圧延比率1.3で、膜厚が1.50mmとなるように圧延を行った。
上記で得られた圧延シートを、縦方向に200℃で2.25倍、次いで200℃で横方向に11.00倍の各延伸倍率で逐次二軸延伸した。総延伸倍率は24.75であった。得られた延伸シートの気孔率は86%で、膜厚は0.48mmであった。次に、延伸シートを350℃の雰囲気の炉内に通して焼結を行った。このようにして得られた二軸延伸PTFE多孔質膜は、非常に柔軟であり、その気孔率は72%で、膜厚は0.28mmであった。ただし、この二軸延伸PTFE多孔質膜は、目視で観察したところ、延伸ムラが生じていることが判明した。結果を表1に示す。
Figure 2005314593
<考察>
延伸PTFE多孔質膜は、通常、押出工程及び延伸工程での縦方向(MD:長手方向)に強く配向する。そのため、延伸PTFE多孔質膜は、一般に、力学的異方性が大きい。その傾向は、押出工程後に押出シートまたは圧延シートを縦方向に一軸延伸して得られる一軸延伸PTFE多孔質膜において特に顕著である。
二軸延伸PTFE多孔質膜においても、力学的異方性を小さくすることは困難である。すなわち、比較例1〜3に示すように、横方向(TD:幅方向)の延伸倍率を縦方向(MD)の延伸倍率よりもかなり大きくして、横方向(TD)の配向を強くしても、二軸延伸PTFE多孔質膜の力学的異方性を解消することができず、縦方向(MD)に裂けやすい。そのため、これらの二軸延伸PTFE多孔質膜のスーチャー引裂強度は、横方向(TD)には強いが、縦方向(MD)には弱い。
これらの二軸延伸PTFE多孔質膜の引張強度は、縦方向(MD)には高く、横方向(TD)には低い(比較例1)。このように、引張強度についても異方性が大きいことが分かる。なお、比較例2及び3の二軸延伸PTFE多孔質膜については、引張強度を測定しなかったが、比較例1のものと同様に、スーチャー引裂強度の異方性が大きいため、引張強度についても異方性が大きいことが推定される。比較例3で延伸ムラが生じたことから、押出シートの圧延比率を1.3よりも大きくした方が良いことが分かる。
これに対して、実施例1では、二軸延伸工程まで比較例1と同様の条件で操作しているが、延伸工程後に再圧延工程を配置し、焼結前の二軸延伸PTFE多孔質膜を膜厚方向に圧縮しているため、焼結後に得られる二軸延伸PTFE多孔質膜は、縦方向(MD)と横方向(TD)の力学的異方性が実質的に解消されている。具体的に、実施例1の二軸延伸PTFE多孔質膜は、スーチャー引裂強度や引張強度の方向による強度差が著しく小さくなっており、しかもこれらの強度自体が大幅に向上している。
実施例2の二軸延伸PTFE多孔質膜も、延伸工程後に圧縮工程を配置しているため、スーチャー引裂強度の方向による強度差が著しく小さくなっており、しかも引裂強度自体が大幅に向上している。実施例2では、引張強度の測定を行っていないが、スーチャー引裂強度の方向による異方性が小さく、かつ実施例1と同様の操作を行っていることから、引張強度についても同様の傾向になることが明らかである。
本発明の製造方法によれば、単層膜で十分な強度の二軸延伸PTFE多孔質膜が得られるため、低コストで大量、長尺、大面積の製品を製造することが可能になる。また、本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、実質的に力学的異方性が解消されており、単層膜で強度が均質なため、ハサミなどの裁断具等を用いて、所望の形状にトリミングして使用することができ、それによって、強度が低下したり、強度に方向による異方性が生じることがない。
本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、例えば、(1)シール材やクッション材、スペーサー、(2)トレッキングウエア、レインウエア、スキーウエア、シューズ、グローブなどの各種衣料品、(3)パッチ材、人工血管、カテーテル、人工軟骨代替材料などの医療用高分子材料、(4)異方性導電膜の基膜などとして利用することができる。
特に、本発明の二軸延伸PTFE多孔質膜は、衣料用途や、人工血管やパッチ等の疾病あるいは傷害で失われた生体の管状構造物や隔壁を代替する用途に用いられる移植材料など、縫合操作が行われる用途に好適に利用することができる。

Claims (14)

  1. 微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜であって、スーチャー引裂強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても300gf以上で、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)でのスーチャー引裂強度差が20%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜。
  2. 微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜であって、引張強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても幅1cm当たり2.5kgf以上であり、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)での引張強度差が20%以下であることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜。
  3. 微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法であって、下記工程1〜5:
    (1)未焼結ポリテトラフルオロエチレン粉末と潤滑剤との混合物を押出して、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する押出工程1;
    (2)押出成形物を圧延して圧延シートを作製する圧延工程2;
    (3)圧延シートを縦方向及び横方向に二軸延伸して二軸延伸シートを作製する延伸工程3;
    (4)二軸延伸シートを膜厚方向に圧縮して圧縮シートを作製する圧縮工程4;
    (5)圧縮シートを、収縮しないように固定した状態で、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱して焼結する焼結工程5;
    により、二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得ることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  4. 微細なフィブリルと該フィブリルにより連結されたノードとからなる微細構造を有する二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法であって、下記工程I〜VI:
    (1)未焼結ポリテトラフルオロエチレン粉末と潤滑剤との混合物を押出して、シート状またはロッド状の押出成形物を作製する押出工程I;
    (2)押出成形物を圧延して圧延シートを作製する圧延工程II;
    (3)圧延シートを縦方向及び横方向に二軸延伸して二軸延伸シートを作製する延伸工程III;
    (4)二軸延伸シートを2枚以上重ね合わせて多層シートを作製する工程IV;
    (5)多層シートを膜厚方向に圧縮して圧縮多層シートを作製する圧縮工程V;
    (6)圧縮多層シートを、その全層を収縮しないように固定した状態で、ポリテトラフルオロエチレンの融点以上の温度に加熱して焼結すると同時に、各層間を熱融着して一体化する焼結工程VI;
    により、二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得ることを特徴とする二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  5. 圧延工程2またはIIにおいて、押出成形物を圧延比率1.3倍超過で圧延する請求項3または4記載の製造方法。
  6. 延伸工程3またはIIIにおいて、総延伸倍率が12倍以上となるように二軸延伸する請求項3または4記載の製造方法。
  7. 延伸工程3またはIIIにおいて、縦方向(MD)延伸倍率を1.2〜10.0倍とし、横方向(TD)延伸倍率を3.0〜20.0倍とし、かつ、MD延伸倍率よりもTD延伸倍率の方が大きくなるように二軸延伸する請求項3または4記載の製造方法。
  8. 延伸工程3またはIIIにおいて、気孔率70%以上の二軸延伸シートを作製する請求項3または4記載の製造方法。
  9. 圧縮工程4またはVにおいて、圧縮比率1.5以上で二軸延伸シートまたは多層シートを圧縮する請求項3または4記載の製造方法。
  10. 焼結工程5またはVIにおいて、気孔率40%以上の焼結した二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得る請求項3または4記載の製造方法。
  11. 焼結工程5またはVIにおいて、スーチャー引裂強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても300gf以上で、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)でのスーチャー引裂強度差が20%以下の焼結した二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得る請求項3または4記載の製造方法。
  12. 焼結工程5またはVIにおいて、引張強度が縦方向(MD)及び横方向(TD)のいずれにおいても幅1cm当たり2.5kgf以上であり、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)での引張強度差が20%以下の焼結した二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得る請求項3または4記載の製造方法。
  13. 請求項1または2に記載の二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を使用して作製した衣料品。
  14. 請求項1または2に記載の二軸延伸ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を使用して作製した生体内埋植材料。
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