JP2005314238A - 多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 不純物の含有量が少ない多環式(メタ)アクリル酸エステルを工業的に実施可能な方法で製造する。
【解決手段】 下記一般式(1)
Figure 2005314238

(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、nは0又は1を示す。)で表されるラクトン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により、下記一般式(2)及び/又は(3)
Figure 2005314238

(式(2)及び(3)中、R1、R2及びnは式(1)におけるのと同義であり、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表される多環式(メタ)アクリル酸エステルを製造するにあたり、水及び硫酸を、反応系内における水の量が水及び硫酸の合計量100重量%に対し5重量%以上となるように存在させ、且つ該水及び硫酸と混和しない有機溶媒を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明はエチレン性不飽和結合とラクトン構造とを有する多環式化合物にアクリル酸又はメタクリル酸を付加することにより得られる、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関するものである。
これらの化合物は、機能性化学品の中間体として利用され、特に電子材料や光関連材料としてのアクリル樹脂の原料モノマーとして好適である。
(メタ)アクリル系ポリマーの中でも,特に電子材料や光関連材料に使用されるポリマー中に不純物や未反応の原料モノマーが残存していると、性能の低下に大きく関与することがしばしば問題となっている。目的とするポリマーの単離精製は,一般に重合反応液にメタノールや脂肪族炭化水素など(以下展開溶媒と呼ぶ)を加えることによって,目的とするポリマーを析出させる操作によってなされている。しかしながら展開溶媒への溶解度が低い原料モノマー中の不純物は最終製品にまで残存してしまうことになる。よってモノマーの製造段階で、これらの不純物の含有量が少ないモノマーの製造法が求められている。
(メタ)アクリル系ポリマーの一種としてエチレン性不飽和結合を有する多環式化合物類とカルボン酸とを酸触媒存在下の付加反応により、多環式(メタ)アクリル酸エステルが得られることが知られており、この反応においては触媒として濃硫酸が好適であることが開示されている。(例えば、特許文献1及び2等参照)。
しかしながら本発明者らの検討によれば、濃硫酸(重量比で水/硫酸=0/100〜2/98の硫酸)を使用した場合、得られる反応液のクロマトグラムを観察すると,目的物のオリゴマーを含む多くの副生成物が存在することが明らかとなった。とりわけ下記一般式(4)に示されるような多環式化合物2分子がエーテル結合でつながれた化合物(以下、エーテル体と記す)が顕著に副生する。
Figure 2005314238
(式(4)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、nは0又は1を示す。)
この化合物は展開溶媒に対する溶解度が低く(後述する参考例1を参照)、後工程で除去が困難であることから、原料モノマーの製造工程において製品から除去することが望まれる化合物である。
一方、エチレン性不飽和結合を有する多環式化合物類と(メタ)アクリル酸との酸触媒存在下での付加反応において、多環式化合物2分子がエーテル結合でつながれた化合物の副生を抑制する方法としては、予め系内から水を排除する方法が知られている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法においては、触媒として、高価な活性白土を用いており、また反応の選択性が充分でない。
特開昭63−8355号公報 特開2003−226670号公報 特開平3−148239号公報
本発明の目的は、エチレン性不飽和結合を有する多環式化合物類に(メタ)アクリル酸を酸触媒存在下で付加して多環式(メタ)アクリル酸を製造する方法において、展開溶媒に対する溶解度が低い副生物の含有量が少ない(メタ)アクリル酸エステルを安価で簡便かつ効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリル化反応において、触媒として、特定量の水を含有する硫酸を用いることにより、展開溶媒に対して溶解度が低い副生物の生成が抑えられることを見出した。さらに、反応終了後、中和操作前に目的物が含まれる有機層と硫酸を含有する水層を予め分離する工程や、粗生成物を硫酸で洗浄する及び/又は有機層に反応副生物の溶解度が低い溶媒を加え、反応副生物を析出させ除去する工程を経由させることによって上記副生物をより効率的に除去できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明の第1の要旨は、下記一般式(1)
Figure 2005314238
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、nは0又は1を示す。)で表されるエチレン性不飽和結合を有する多環式ラクトン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により、下記一般式(2)及び/又は(3)
Figure 2005314238
(式(2)及び(3)中、R1、R2及びnは式(1)におけるのと同義であり、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表される多環式(メタ)アクリル酸エステルを製造するにあたり、水及び硫酸を、反応系内における水の量が水及び硫酸の合計量100重量%に対し5重量%以上となるように存在させ、且つ該水及び硫酸と混和しない有機溶媒を用いることを特徴とする多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法、に存する。
本発明の第2の要旨は、付加反応終了後、多環式(メタ)アクリル酸エステルを含有す
る有機層と硫酸を含有する水層とを分液し、水層を分離除去した後、該有機層の中和を行う工程を有する、上記多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法、に存する。
本発明の第3の要旨は、付加反応終了後、多環式(メタ)アクリル酸エステルを含有する有機層を硫酸により洗浄する工程を有する、上記多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法、に存する。
本発明の第4の要旨は、付加反応終了後、多環式(メタ)アクリル酸エステルが含まれる有機層に反応副生物の溶解度が低い溶媒をを添加して反応副生物を析出させた後、除去する工程を有する、上記多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法、に存する。
本発明によれば、工業的に容易に実施可能な方法で、高純度で、特にポリマーの展開溶媒に対する溶解度の小さい不純物の含有量が少ない多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造を可能とする。本発明によって製造された多環式(メタ)アクリル酸エステルは、電子材料や光関連材料用途ポリマーのモノマーとして非常に好適である。
<本発明の原理>
1)基質であるアルケン、(メタ)アクリル酸、水、硫酸が共存する場合には様々な反応
の進行が考えられる。それをあげると次の通りである(例えばJerry March, "Advanc
ed Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure", McGrawhill, p.6
72-702(1977))。アルケンへの硫酸の付加によるアルキル硫酸エステルの生成
2)上記硫酸エステルと水の反応によるアルコールの生成
3)上記2)で生成したアルコールのアルケンへの付加によるエーテルの生成
4)アルケンへの(メタ)アクリル酸の付加による(メタ)アクリル酸エステルの生成
本発明の反応では原料と触媒が層分離した条件で操作されており,各反応は下図に示すように水層および有機層で進行すると考えられる。
Figure 2005314238
実線矢印の反応は有機層で進行し,破線矢印の反応は水層で進行する。本発明の反応条件では原料(1)および(メタ)アクリル酸は有機層に,硫酸は水層に存在するので硫酸エステルの生成速度は(2)および/または(3)の生成速度に比して十分に遅くなる。従って、硫酸エステルを出発物質とする反応(アルコールおよびエーテルの生成反応)は大きく抑制されることとなる。
<ラクトン化合物>
本発明の製造方法に用いられるエチレン性不飽和結合を有する多環式ラクトン化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2005314238
式(1)中R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基等の直鎖、分岐鎖もしくは環状の炭素数1〜12のアルキル基を示し、このうち好ましくは水素原子又は炭素数1〜4の直鎖のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子である。nは0または1を示し、このうち好ましくは0である。該ラクトン化合物は下記一般式(5)
Figure 2005314238
(式(5)及び(3)中、R1、R2及びnは式(1)におけるのと同義である。)
で表される化合物の1つのカルボニル基を公知の方法又はそれに準じた方法に従い還元することにより得ることができる。ここで、上記一般式(5)で表される化合物は、対応する無水マレイン酸類とシクロペンタジエン類との Diels-Alder反応させるなど公知の方法に従って製造することができる。
上記還元反応に用いられる還元剤としては、カルボニル基の還元に用いられるものであれば特に限定されないが、好ましい具体例としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムといったホウ素又はアルミニウムの水素化物、又は、水素化ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム(Red−Al)等、上記金属水素化物における活性水素の一部をアルコキシドで置換した化合物等が挙げられる。ここで用いたホウ素やアルミニウムといった還元剤由来の金属元素がエステル化反応の際に残存していると、上述した副生物の生成量を増加させる要因となるので予め除去されていることが望ましい。
<水及び硫酸>
本発明においては、上記ラクトン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応を行うにあたり、反応系内に触媒として水及び硫酸を存在させる。この際、反応系内における水の量は水及び硫酸の合計量100重量%に対し、下限が5重量%以上であることが必要であり、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。上限は、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。水の量が少なすぎると上述した副生物の生成量が多く、さらに反応終了後有機層と硫酸を含有する水層の分離が難しくなる傾向がある。また多すぎると顕著に反応速度が低下し、後述する反応終了後の有機層と硫酸を含有する水層を分離させる効果が薄れる傾向がある。水と硫酸との量を上記範囲にする方法としては、予め通常市販されている重量比で水/硫酸=0/100〜2/98の硫酸に水を加えて所定の濃度に調整してから用いても良いし、先に反応系に所定量の水を加えておいて後から硫酸を系内へ投入する、もしくは先に反応系に硫酸を加えておいて後から水を加えるというように、反応系内で所定濃度に調整して用いても良い。硫酸の使
用量については、原料のラクトン化合物に対して、下限が通常0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、上限が通常100モル%以下、好ましくは50モル%以下である。
<有機溶媒>
本反応では、反応条件下で触媒である硫酸及び水と混和しない有機溶媒を用いるが、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒や、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。有機溶媒の使用量は、ラクトン化合物に対して、下限が通常0.01倍重量以上、好ましくは1倍重量以上であり、上限が通常100倍重量以下、好ましくは10倍重量以下である。
<ラクトン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応>
本発明においては、上記ラクトン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により、下記一般式(2)及び/又は(3)
Figure 2005314238
(式(2)及び(3)中、R1、R2及びnは式(1)におけるのと同義であり、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表される多環式(メタ)アクリル酸エステルを製造する。
ここで、(メタ)アクリル酸は原料のラクトン化合物に対して通常1〜10倍モルを用いる。また本反応においては重合禁止剤を通常100〜10000ppm存在させるのが好ましい。反応は通常、撹拌下に行い、反応温度は通常、室温〜200℃、特に50〜150℃で行うのが好ましい。
反応開始方法としては、室温で原料をすべて仕込んでから所定温度に昇温しても良いし、一部を仕込んだ後昇温し、反応基質や後述する触媒などを滴下しても良い。反応時間は、下限が通常0.1時間以上、好ましくは1時間以上であり、上限が通常100時間以下、好ましくは20時間以下である。
反応の終了は、撹拌を停止し、温度を下げることによって行われる。
<(メタ)アクリル酸エステルの分離>
付加反応終了後は、通常、反応液を静置した後、硫酸を含有する水層を分離するが、分離する温度は安全面を考慮すると充分低い温度で行うのが好ましい。この場合の温度は、下限は通常0℃以上、好ましくは15℃以上である。上限は通常100℃以下であるが、作業上の安全を考えると35℃以下が好ましい。しかし、硫酸を含有する水層の粘性が高く、抜き出しが難しい場合は50℃程度で行っても良い。また、有機層と硫酸を含有する水層の分液性が悪く、層分離に時間がかかる場合は、必要に応じてトルエン等の溶媒や硫酸、水を添加し、分液性を上げても良い。
硫酸を含有する水層を分離除去した後、多環式(メタ)アクリル酸エステルを含有する有機層を塩基で中和する。この場合の中和方法としては、有機層を有機層と混和しない塩基性水溶液で接触処理する方法が好ましく、塩基性水溶液に用いる塩基性化合物としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸
水素塩、又は、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などが挙げられるが、この中でも炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが特に好ましい。
この後水で洗浄し、次いで反応に用いた溶媒を蒸留等で除去することによって目的の多環式(メタ)アクリル酸エステルが得られる。
ここで、得られた多環式(メタ)アクリル酸エステルの純度が用途目的に対して不充分である場合、特に展開溶媒に対する溶解度の低いエーテル体の含有量が充分に低減されていない場合は後述する精製を行うのが好ましい。
<多環式(メタ)アクリル酸エステルの精製>
効果的な精製方法として(A)多環式(メタ)アクリル酸が含まれる有機層を硫酸で洗浄する方法、(B)有機層に反応副生物の溶解度が低い溶媒を添加し、反応副生物を析出させた後、除去する方法が挙げられる。
(A)硫酸での洗浄は、目的物である多環式(メタ)アクリル酸エステルが重合してしまう危険性を考え、トルエン等の溶媒に溶解させた状態で行うのが好ましい。実施形態としては、多環式(メタ)アクリル酸エステルが含まれる有機層に硫酸を加え、撹拌した後静置させ、硫酸を含有する水層を取り除く。用いる硫酸は市販の重量比で水/硫酸=2/98の濃硫酸でも良いし、水で希釈された硫酸でも良いが、水及び硫酸の合計量100重量%に対し5重量%以上45重量%以下の水を含有する硫酸を用いるのが好ましい。
この使用量は硫酸の量として、多環式(メタ)アクリル酸エステルに対し、下限が通常0.001モル比以上、好ましくは0.05モル比以上であり、上限が通常2モル比以下、好ましくは0.5モル比以下である。
撹拌時間は特に限定されないが、5〜60分程度が好ましい。処理温度は目的物が変化を起こさない限り制約はないが、通常、室温〜70℃程度で行う。処理後は、エステル化反応終了後と同様に硫酸を含有する水層を除去した後、有機層をアルカリで中和し、次いで水で洗浄し、溶媒を蒸留等で除去することによって目的の多環式(メタ)アクリル酸エステルが得られる。
(B)有機層に反応副生物の溶解度が低い溶媒を加え、反応副生物を析出させ除去する方法とは、多環式(メタ)アクリル酸エステルの粗品そのもの、もしくはトルエン等の溶液に、反応副生物の溶解度が低い溶媒を加え、反応副生物をオイル状もしくは固形分として析出させ、取り除く方法である。ここで反応副生物とは、上記した一般式(4)で表されるエーテル体、目的物である多環式(メタ)アクリル酸エステルのオリゴマー等が挙げられる。
また、「溶解度が低い」とは、上記反応副生物を析出させることができるものであればよく、副生物の溶解度が通常10%程度以下であるものをいう。
添加する溶媒としては、目的物である多環式(メタ)アクリル酸エステルの溶解度が高く、不純物の溶解度が低い溶媒を選定するのが良いが、具体例としては、n―ヘプタンのような炭素数5〜16の脂肪族炭化水素、メタノールのような炭素数1〜10の脂肪族モノアルコール等の展開溶媒が好適である。
この溶媒の使用量は、添加前の多環式(メタ)アクリル酸エステルの濃度によって異なるが、多環式(メタ)アクリル酸エステルに対して、下限が通常0.1倍重量以上、好ましくは1重量倍以上であり、上限が通常20倍重量以下、好ましくは10倍重量以下である。
処理温度は目的物が変化を起こさない限り制約はないが、室温〜70℃程度で行うのが好ましい。析出する不純物の形状は、加える溶媒の種類や分量、処理温度等によってオイ
ル状であったり固形であったりするが、除去の方法が異なるだけで製品の純度には問題はない。
これらの(A)及び(B)の精製法はどちらかを単独で行っても良く、組み合わせて行っても良い。行うタイミングとしては、硫酸を含有する水層を除去した後、中和処理及び水洗浄を行った後、溶媒を除去した後のいずれでも構わないが、溶媒の存在下で行うのが好ましい。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
<原料ラクトン化合物の製造>
500mlの金属製反応器に、市販のエンド−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物100g、トルエン200gを仕込んだ。攪拌下、190℃に昇温し、1時間保持した。90℃まで冷却後、10℃/時間の降温速度で25℃まで冷却し、析出した結晶をろ過、乾燥させることで、白色固体としてエキソ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物を得た。生成物のエキソ/エンド比は98/2であった。
5Lのガラス製反応器に窒素雰囲気下で水素化ホウ素ナトリウム46.1gとテトラヒドロフラン660gを仕込んだ。この敷き液に対して、撹拌下、上記の方法で得られたエキソ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物200g、メタノール39g、テトラヒドロフラン1200gを上限温度25℃の条件で2時間かけて滴下した。さらに25℃で2時間撹拌させた。後、重量比で水/硫酸=90/10の希硫酸720gを3時間かけて滴下することで反応を停止させた。水500g、トルエン500gを添加した後、層分離させ水層を除去し、有機層の溶媒、特にテトラヒドロフランを留去した。溶媒留去後、トルエンを900g添加し、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄し、トルエンを留去することで粗エキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−エンを得た。これを単蒸留で精製した。
上記の手法で得られた原料エキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−エン中に含まれる残留ホウ素を除去するため、さらに以下の精製を
行った。単蒸留後のエキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6
デカン−8−エン50gのトルエン200g溶液に、5重量%水酸化ナトリウム水溶液347gを加え、25℃で30分間撹拌させた後、静置、分液させた。水層を回収し、トルエン200gで2回洗浄した。洗浄後、50℃に昇温し、重量比で水/硫酸=70/30の硫酸85gを30分かけて滴下し、さらに30分撹拌させた。後、25℃まで冷却しつつ静置させ、水層を除去し、トルエン層を水で洗浄した。トルエンを留去することによって、ホウ素を元素分析において検出限界以下まで除去した原料エキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−エンを得た。
<エステル化反応>
ジムロート管、温度計を付した200mlフラスコに、上記の方法でホウ素を元素分析において検出限界以下まで除去したエキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−エン15.0g(99.9mmol)、メタクリル酸51.
6g(599.3mmol;6モル比)、トルエン52.5g(3.5重量比)、重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.015gを25℃で仕込み、撹拌させながら重量比で水/硫酸=30/70の硫酸5.59g(40.0mmol;0.4モル比)を加えた後、90℃まで昇温し、6.5時間撹拌した。終了後、50℃まで冷却し、静置した。下層の硫酸を含有する水層を除去し、トルエン層をさらに25℃まで冷却した。冷却後6
0gのトルエンを添加した後、トルエン層を75gの水へ加え、10分撹拌の後、静置させた。水層を除去後、トルエン層を5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液170gで7回(未反応のメタクリル酸が除去されるまで)、次いで水170gで7回洗浄した後、溶媒のトルエンを留去したところ、白色の固体として、目的物であるエキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレート及びエキソ−
5−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イルメタクリレ
ートの混合物を得た。収率は74.7%であった。得られた白色固体をガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)で分析すると、99.5面積%の純度であった。また、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略す)で分析すると98.3面積%の純度であり、不純物のうちオリゴマーは0.028面積%、エーテル体は0.19面積%であった。
実施例2
実施例1と同様の手法で、ホウ素を3ppmまで除去したエキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−エン15.0g(99.9mmol
)、メタクリル酸17.2g(199.8mmol;2モル比)、トルエン30.0g(2重量比)、重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.015gを25℃で仕込み、撹拌させながら重量比で水/硫酸=30/70の硫酸5.59g(40.0mmol;0.4モル比)を加えた後、90℃まで昇温し、4時間撹拌した。終了後、実施例1と同様に硫酸を含有する水層を除去し、中和処理、水洗浄、溶媒留去を行ったところ、微黄色の液体として目的物を得た。生成物のGC純度は97.2面積%、GPC純度は93.3面積%であり、不純物のうちオリゴマーは0.033面積%、エーテル体は3.9面積%であった。
比較例1
触媒に重量比で水/硫酸=2/98の硫酸を用いた以外は、実施例2と同様にエステル化反応を行い、終了後静置させたが二層に分離しなかったので、系全体に対して同様に後処理を行ったところ、濃茶色の液体が得られた。生成物のGC純度は78.3面積%、GPC純度は50.8面積%であり、不純物のうちオリゴマーは0.87面積%、エーテル体は46.5面積%であった。
実施例3
実施例1と同様の手法で、ホウ素を1ppmまで除去したエキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−エン15.0g(99.9mmol
)、メタクリル酸17.2g(199.8mmol;2モル比)、トルエン52.5g(3.5重量比)、重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.015gを25℃で仕込み、撹拌させながら重量比で水/硫酸=10/90の硫酸4.35g(40.0mmol;0.4モル比)を加えた後、90℃まで昇温し、6時間撹拌した。終了後、実施例1と同様に硫酸を含有する水層を除去し、中和処理、水洗浄、溶媒留去を行ったところ、微黄色の液体として目的物を得た。生成物のGC純度は94.7面積%、GPC純度は79.3面積%であり、不純物のうちオリゴマーは0.24面積%、エーテル体は18.5面積%であった。
比較例2
実施例3と同様にエステル化反応を行い、終了後硫酸を含有する水層の除去を行わずに、系全体を中和処理し、後に水洗浄、溶媒留去を行ったところ、褐色の液体として目的物を得た。生成物のGC純度は95.0面積%、GPC純度は69.1面積%であり、不純物のうちオリゴマーは0.56面積%、エーテル体は27.7面積%であった。
実施例4
実施例1と同様の手法で、ホウ素を3ppmまで除去したエキソ−3−オキソ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−エン15.0g(99.9mmol
)のスケールでのエステル化反応で得られたメタクリレートの粗品のトルエン溶液(トルエン145g)を70℃に加温し、重量比で水/硫酸=30/70の硫酸2.06gを加え、30分撹拌させた後、硫酸を含有する水層を分離した。トルエン層に含まれているメタクリレートの純度は、硫酸での処理前が、GC純度95.3面積%、GPC純度90.9面積%、不純物のうちオリゴマーが0.24面積%、エーテル体が8.2面積%だったのに対し、硫酸での処理後はGC純度が94.9面積%、GPC純度が96.8面積%、不純物のうちオリゴマーが0.11面積%、エーテル体が2.0面積%であった。
実施例5
実施例4と同様に得られたメタクリレートの粗品のトルエン溶液に、25℃でn−ヘプタン30.0gを加えたところ、黄色のオイルが析出したので除去した。トルエン層に含まれているメタクリレートの純度は、処理前がGC純度93.4面積%、GPC純度87.4面積%、不純物のうちオリゴマーが0.081面積%、エーテル体が10.7面積%だったのに対し、処理後はGC純度が93.1面積%、GPC純度が93.6面積%、不純物のうちオリゴマーが0.087面積%、エーテル体3.8面積%であった。さらにトルエン層にn−ヘプタン42.6gを加えたところ、黄色のオイル及び固体が析出したので除去した。トルエン層に含まれているメタクリレートの純度はGC純度が94.0面積%、GPC純度が96.4面積%、不純物のうちオリゴマーは痕跡程度、エーテル体は1.7面積%までに向上した。
参考例1(エーテル体の溶解度)
下記構造式(6)で表される実施例1〜5に登場するエーテル体121.4mgにメタノール1.00gを加え、室温で1時間攪拌した。不溶分は底に白色ペースト状に付着したので、上澄みをデカント分離し、濃縮乾固して秤量すると、71.8mgであった。溶け残り分も回収し濃縮乾固して秤量したところ52.2mgであった。この結果よりエーテル体のメタノールへの溶解度を計算すると6.7%となった。
Figure 2005314238

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2005314238
    (式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、nは0又は1を示す。)で表されるエチレン性不飽和結合を有する多環式ラクトン化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応により、下記一般式(2)及び/又は(3)
    Figure 2005314238
    (式(2)及び(3)中、R1、R2及びnは式(1)におけるのと同義であり、Rは水素原子又はメチル基を示す。)で表される多環式(メタ)アクリル酸エステルを製造するにあたり、水及び硫酸を、反応系内における水の量が水及び硫酸の合計量100重量%に対し5重量%以上となるように存在させ、且つ該水及び硫酸と混和しない有機溶媒を用いることを特徴とする多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  2. 反応系内における水の量が水及び硫酸の合計量100重量%に対し5重量%以上45重量%以下となるように存在させる、請求項1に記載の多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  3. 付加反応終了後、多環式(メタ)アクリル酸エステルを含有する有機層と硫酸を含有する水層とを分液し、水層を分離除去した後、該有機層の中和を行う工程を有する、請求項1または2に記載の多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  4. 付加反応終了後、多環式(メタ)アクリル酸エステルを含有する有機層を硫酸により洗浄する工程を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  5. 付加反応終了後、多環式(メタ)アクリル酸エステルが含まれる有機層に反応副生物の溶解度が低い溶媒を添加して反応副生物を析出させた後、除去する工程を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の多環式(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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