JP2005310293A - 光ディスク記録方式 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速記録可能な書換え型相変化光ディスクにおいて、記録速度が高速化するに従って結晶化速度と熱拡散速度の高速化の度合いが異なることと、レーザパルスの立上り及び立下り時間が有限であることによって、記録パワーPwと消去パワーPeの比が大きくなる。
【解決手段】記録パワーPwと消去パワーPeの比を、レーザ波長が赤色の相変化ディスクでは4以上、青色光源を用いる相変化ディスクでは3以上とする。
【選択図】図1
【解決手段】記録パワーPwと消去パワーPeの比を、レーザ波長が赤色の相変化ディスクでは4以上、青色光源を用いる相変化ディスクでは3以上とする。
【選択図】図1
Description
本発明は光ディスク、特に書換え型相変化光ディスクのデータ記録方式に関わる。
現在光ディスクの分野では、ユーザが何度もデータを書き換えることのできるディスクの一つとして、相変化記録が用いられている。現在製品化されている光ディスクの中では、CD-RW、DVD-RAM、DVD±RW、及びBlu-ray Discにおいて相変化記録が用いられている。典型的な相変化記録では、記録膜の初期状態を結晶とし、その中にアモルファスのマークを記録することによってデータを記録する。記録の際には、記録膜を局所的に融解し、その後急冷する。通常、物質の原子配列は、アモルファスよりも結晶状態の方がエネルギーが低く安定であるが、急冷することにより、原子が安定な配列をとる前に原子の運動が抑制され、アモルファス状態が形成される。結晶とアモルファスは一般的に異なる光学定数を有するため、相変化マーク列上に光を走査させ、反射光量を検出することにより、マークの有無を検出する、即ち記録データを再生することができる。
記録の際には、例えば図2に示すようなパルスのレーザ光を入射する。この形のパルスは、例えばディスク上に既にデータに対応する相変化マークが記録されており、そのデータを消去しながら新しいデータを記録する際に、消去と記録を同時に行うことを可能とする。そのことを以下に説明する。
記録の際には、例えば図2に示すようなパルスのレーザ光を入射する。この形のパルスは、例えばディスク上に既にデータに対応する相変化マークが記録されており、そのデータを消去しながら新しいデータを記録する際に、消去と記録を同時に行うことを可能とする。そのことを以下に説明する。
図2のレーザパルスは、記録パワー(write power)Pw、消去パワー(erase power)、ボトムパワー(bottom power)Pbの3つのパワーレベルから成る。データの検出窓幅をTwと書く。記録の際には、1Twの中にPwとPbの2つのパワーレベルが存在し、それをパルスの一つの単位とする。図2は2Twマーク(以後これを単に2Tマークと記す)を最短マークとする場合について記載したが、その場合、2Tマークは1単位、3Tマークは2単位、nTマークは(n-1)単位のパルスでデータを記録する。
記録パワーPwは、記録膜を融解するに十分なパワーとする。一方、Pbは記録膜を融解するパワーよりも低くし、一般的には下に述べる消去パワーと同等か、それ以下にする。例えば5Tマークを記録する際、ボトムパワーを設けず、5Tの長さの記録パワーを常に投入し続けた場合、5Tの間に記録膜内に発生した熱が蓄積され、マークの幅は一定にはならず、後端が極端に大きくなるが、図2のようなパルスにすることにより、蓄熱が抑制され、幅が一定なマークを記録することができる。また相変化の場合、記録膜が融解しても、その場所が徐々に冷却されれば結晶化される。これを再結晶化と呼ぶ。一定なパワーのレーザを投入すると、融解後、通過したスポットが記録膜内に発生させる熱が伝導するため、融解した場所の熱が十分に拡散せずに、再結晶化することがある。図2のような形のパルスは、記録パワー投入による記録膜の融解後、ボトムパワーによってその場所は急冷されるため、再結晶化を抑制してアモルファス状態を形成することができる。
記録パワーPwは、記録膜を融解するに十分なパワーとする。一方、Pbは記録膜を融解するパワーよりも低くし、一般的には下に述べる消去パワーと同等か、それ以下にする。例えば5Tマークを記録する際、ボトムパワーを設けず、5Tの長さの記録パワーを常に投入し続けた場合、5Tの間に記録膜内に発生した熱が蓄積され、マークの幅は一定にはならず、後端が極端に大きくなるが、図2のようなパルスにすることにより、蓄熱が抑制され、幅が一定なマークを記録することができる。また相変化の場合、記録膜が融解しても、その場所が徐々に冷却されれば結晶化される。これを再結晶化と呼ぶ。一定なパワーのレーザを投入すると、融解後、通過したスポットが記録膜内に発生させる熱が伝導するため、融解した場所の熱が十分に拡散せずに、再結晶化することがある。図2のような形のパルスは、記録パワー投入による記録膜の融解後、ボトムパワーによってその場所は急冷されるため、再結晶化を抑制してアモルファス状態を形成することができる。
マークを記録しない部分をスペースと呼ぶ。スペース部分には、消去パワーPeのレーザ光を投入する。この消去パワーは、記録膜を結晶化させるに十分なパワーレベルとする。即ち、既にマークが記録されていたとしても、この消去パワーによってそのマークは結晶化によって消去され、スペースを形成することができる。また、既にマークが記録されている場所にマークを記録する際も、その場所を融解して急冷すれば、予め記録されていたマークは消去される。このように、図2のレーザパルスは、データの上書き(オーバーライト)を可能とする。
相変化ディスクの記録膜は、その結晶化特性から大きく二通りに分けられる。GeTeとSb2Te3の化合物である擬二元系記録膜と、SbTeの共晶組成であるSb7Te3に近い組成比を有する共晶系記録膜である。擬二元系記録膜の組成は、(GeTe)x(Sb2Te3)とした場合、xは典型的に1から5の値をとる。この記録膜は、結晶化過程において、まず核生成を行い、その核から結晶が成長するという二段階の過程を経る。一方、共晶系記録膜の結晶化では、核生成が殆ど行われず、結晶成長速度が非常に速いという特徴がある。このことは、例えば、非特許文献1Proceedings of SPIE 4342巻Optical Data Storage 2001 76頁〜87頁において解説されている。擬二元系記録膜は主にDVD-RAM、共晶系記録膜は主にCD-RWやDVD±RWに用いられている。
共晶系記録膜を用いたディスク(以後「共晶系ディスク」)をオーバーライトする場合、通常はPeレベルで記録膜を融解することによって、既に記録されたマークを消去する。Peレベルのレーザ光の入射によって記録膜は融解するが、DCパワーであるため、融解領域の温度低下が比較的ゆっくりであるため、その領域はアモルファス化されずに結晶化され、マークは消去される。このようなマーク消去方法を溶融消去と呼ぶ。共晶系記録膜は結晶化過程において殆ど結晶核を生成しないが、溶融消去による融解後に固化する際に、融解領域の周辺の結晶を核として結晶が成長する。これに対し、擬二元系記録膜の場合には、Peレベルのレーザ光入射によって記録膜は融解せず、結晶核が生成し、その核から結晶が成長するため、マークが消去される。これを固相消去と呼ぶ。
アモルファスが結晶化するには、ある程度の時間がかかる。即ち、アモルファス膜を加熱して結晶化する場合、膜が結晶化することのできる温度領域(結晶化温度領域)にある程度の時間とどまる必要がある。結晶化するために結晶化温度領域にとどまっている必要のある時間が長い材料は、結晶化速度が遅いと言われ、逆に結晶化温度領域にとどまる時間が短くても結晶化する材料は、結晶化速度が速いと言われる。結晶化温度領域や結晶化速度は材料に依存するが、相変化記録膜の場合、結晶化温度領域は典型的には200℃〜550℃である。結晶化速度は、例えば記録膜にSbを増やすことなどによって高速にすることができる。このことは、非特許文献1において解説されている。
高品質なオーバーライトを行うには、結晶化特性とディスク線速度が適合している必要がある。例えばディスクの結晶化速度がディスク線速度に比べて遅い場合は、既にデータが記録されている領域をオーバーライトする際に、そのデータの消去が不十分となり、新たに記録されたデータが古いデータによって乱され、データ再生時のエラーの原因となる。逆に結晶化速度がディスク線速度に比べて速い場合には、データ記録時に記録マークが収縮し、記録マーク品質の低下を招く。この理由を以下に述べる。マークを記録する際、レーザ光入射によってディスクに熱を発生させるが、その際に発生する熱分布は、マーク中心で最高温度となり、中心から周辺に行くに従って温度は低下する。レーザ光入射が停止すると、温度は室温付近まで降下するが、その際、マーク中心は急冷されるためアモルファス状態になるが、マーク周辺部分は上昇温度が低いために徐冷されるため、結晶状態となる。この現象を再結晶化と呼ぶ。再結晶化のメカニズムに関しては、例えば、非特許文献2Japanese Journal of Applied Physics第41巻631頁〜635頁(2002)に報告されている。結晶化は確率過程であるので、再結晶化領域はマーク形状の揺らぎの原因となる。この揺らぎはデータ再生時のエラーの原因となるため、望ましくない。
即ち、データの消去と記録マーク形状の揺らぎの抑制は相反関係にあるが、この2つの要素のバランスを保ちながらディスクを設計することが必要となる。そのためには、記録膜の結晶化速度と熱拡散速度のバランスを確保する必要がある。そして、結晶化速度と熱拡散速度のバランスは、ディスク線速度に対して最適化する必要がある。
光ディスクの記録再生速度は年々上昇している。例えばDVDでは約11Mbpsを1倍速とするが、相変化ディスクでは現在4倍速記録再生が可能となっている。更なる高速化技術が発表されており、例えば16倍速記録が可能な追記型DVDが、非特許文献3International Symposium on Optical Memory 2003 We-PP-01において報告されている。相変化ディスクの分野でもそれに伴い、高速記録が可能なディスクの開発が進んでいる。例えば、青色レーザ対応の光ディスクであるBlu-ray Disc(BD)は、データ転送レート36Mbpsを1倍速とするが、6倍速のBDの書き換え型相変化ディスク技術が、非特許文献4Proceedings of SPIE 第5069巻 Optical Data Storage 2003 130頁〜136頁(2003)に報告されている。
光ディスクの記録再生速度は年々上昇している。例えばDVDでは約11Mbpsを1倍速とするが、相変化ディスクでは現在4倍速記録再生が可能となっている。更なる高速化技術が発表されており、例えば16倍速記録が可能な追記型DVDが、非特許文献3International Symposium on Optical Memory 2003 We-PP-01において報告されている。相変化ディスクの分野でもそれに伴い、高速記録が可能なディスクの開発が進んでいる。例えば、青色レーザ対応の光ディスクであるBlu-ray Disc(BD)は、データ転送レート36Mbpsを1倍速とするが、6倍速のBDの書き換え型相変化ディスク技術が、非特許文献4Proceedings of SPIE 第5069巻 Optical Data Storage 2003 130頁〜136頁(2003)に報告されている。
Proceedings of SPIE 4342巻Optical Data Storage 2001 76頁〜87頁
Japanese Journal of Applied Physics第41巻631頁〜635頁(2002)
International Symposium on Optical Memory 2003 We-PP-01
Proceedings of SPIE 第5069巻 Optical Data Storage 2003 130頁〜136頁(2003)
書換え型相変化ディスクでは、記録速度が高速化されるに従って、熱拡散速度と結晶化速度のバランスを確保することが困難となる。その理由は、結晶化速度のみを高速にすることは、例えば記録膜中のSbの量を向上させることなどで可能であるが、熱拡散速度を高速にすることが非常に困難であるからである。その理由を説明する。
相変化ディスクの典型的な構造は以下の通りである:ポリカーボネート基板/下部保護膜/記録膜/上部保護膜/反射膜。保護膜は、典型的には透明、或いは殆ど透明に近い誘電体であり、光学干渉によるマークとスペースの反射率を増大させると同時に、記録時に記録膜内に発生する熱の拡散速度を制御する目的を有する。また反射膜は金属膜であり、反射率を向上させる目的と同時に、記録膜内の熱を高速に拡散させる目的を有する。即ち、保護膜と反射膜は、光学定数と熱拡散速度の両方の要請を満たす必要がある。光は基板側から入射するので、2つある保護膜のうち、基板側に近いものを下部保護層、反射膜に近い側を上部保護層と呼ぶ。
相変化ディスクの典型的な構造は以下の通りである:ポリカーボネート基板/下部保護膜/記録膜/上部保護膜/反射膜。保護膜は、典型的には透明、或いは殆ど透明に近い誘電体であり、光学干渉によるマークとスペースの反射率を増大させると同時に、記録時に記録膜内に発生する熱の拡散速度を制御する目的を有する。また反射膜は金属膜であり、反射率を向上させる目的と同時に、記録膜内の熱を高速に拡散させる目的を有する。即ち、保護膜と反射膜は、光学定数と熱拡散速度の両方の要請を満たす必要がある。光は基板側から入射するので、2つある保護膜のうち、基板側に近いものを下部保護層、反射膜に近い側を上部保護層と呼ぶ。
ここで、熱拡散速度を向上させるには、反射膜に熱を高速に拡散させることが望ましい。そのためには、大きく以下の3つの方法がある:(1)保護層の熱拡散定数を向上させる、(2)反射膜の熱拡散定数を向上させる、(3)上部保護膜の膜厚を薄くする。
上記(1)について考察する。現在、相変化ディスクにおいて典型的に用いられる保護膜材料は(ZnS)80(SiO2)20であり、この熱伝導率は概ね0.7J/sec/m/Kである。この代わりに、透明であり、かつ熱伝導率が高いAl2O3を用いることがJapanese Journal of Applied Physics第41巻1664頁〜1667頁(2002)において提案されている。多結晶状態のAl2O3の熱伝導率は約7J/sec/m/Kであり、(ZnS)80(SiO2)20の約10倍にもなる。よってAl2O3によって、記録膜内で発生した熱が上部保護層を通過して反射膜へ拡散する速度は約10倍になるが、ディスク全体の熱拡散速度は10倍にならない。何故ならば、下部保護層へ拡散する熱はディスク基板の熱拡散速度によって制限されるからである。このことにより、記録膜の膜厚方向に注目した場合、記録膜の上部の結晶化特性は高速化されるが、記録膜の下部では再結晶化を抑制することができない。また、保護膜材料は、記録膜や反射膜との接着性なども考慮して選択する必要があるため、保護膜の熱伝導率を向上させるのはAl2O3かそれと同程度の増分が限界であると考えられる。
上記(1)について考察する。現在、相変化ディスクにおいて典型的に用いられる保護膜材料は(ZnS)80(SiO2)20であり、この熱伝導率は概ね0.7J/sec/m/Kである。この代わりに、透明であり、かつ熱伝導率が高いAl2O3を用いることがJapanese Journal of Applied Physics第41巻1664頁〜1667頁(2002)において提案されている。多結晶状態のAl2O3の熱伝導率は約7J/sec/m/Kであり、(ZnS)80(SiO2)20の約10倍にもなる。よってAl2O3によって、記録膜内で発生した熱が上部保護層を通過して反射膜へ拡散する速度は約10倍になるが、ディスク全体の熱拡散速度は10倍にならない。何故ならば、下部保護層へ拡散する熱はディスク基板の熱拡散速度によって制限されるからである。このことにより、記録膜の膜厚方向に注目した場合、記録膜の上部の結晶化特性は高速化されるが、記録膜の下部では再結晶化を抑制することができない。また、保護膜材料は、記録膜や反射膜との接着性なども考慮して選択する必要があるため、保護膜の熱伝導率を向上させるのはAl2O3かそれと同程度の増分が限界であると考えられる。
上記(2)の反射膜の熱拡散速度についても、上記と同様の議論が成り立つ。即ち、下部へ拡散する熱は完全には抑制されない。また、現在反射率に用いられている典型的な材料はAl合金やAg合金であり、金属の中でも高熱伝導率を有するものである。よって更に高い熱伝導率を有する材料を選択するのは困難である。
(3)の薄膜化にも限界がある。何故ならば、上部保護膜を極端に薄膜化すると、記録時の熱干渉が増大し、高品質なマークの記録が困難となるからである。記録膜内に発生した熱が、保護膜を通過して反射膜に達すると、反射膜の熱伝導率が高いために、熱は3次元的に急激に拡散する。今、上部保護膜の膜厚が極端に薄い場合を考える。ディスク上のある場所にマークAを記録した場合、その熱は反射膜に到達し、高速に拡散する。光スポットがディスク上を動き、次のマークBを記録する際、その場所には、マークAを記録した際の熱が反射膜内に残留しており、マークBはその残留熱によって乱され、その形状は歪み、データ再生時のエラーの原因となる。上部保護層が厚い場合でも残留熱は存在するが、上部保護層が薄い場合、反射膜内を伝導した熱の影響が強くなり、残留熱の影響がより強く現れる。
上記のように、ディスクの熱拡散速度を向上させるのは限界がある。このため、相変化ディスクの記録速度を向上させる際、結晶化速度と熱拡散速度のバランスが崩れ、マーク記録の際の再結晶化を抑制することが困難となる。
本発明は、上記課題に鑑み、高速記録可能な書換え型相変化ディスクにおいて高品質なマークを記録し得る記録方式を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題に鑑み、高速記録可能な書換え型相変化ディスクにおいて高品質なマークを記録し得る記録方式を提供することを目的とする。
本発明は、書換えが可能な相変化光ディスクを記録する方式において、特に、データ記録のためにディスクに入射するレーザ光が少なくとも記録パワーと消去パワーの2つの異なるパワーレベルを有し、且つこれら記録パワーと消去パワーの比が、前記レーザ光の波長が630nm以上670nm以下の場合、即ち、赤色光源対応相変化ディスクの場合には4以上であり、前記レーザ光の波長が390nm以上420nm以下の場合、即ち、青色光源対応相変化ディスクの場合には3以上であるようにすることを特徴とする。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。相変化ディスクの記録速度を向上させる際、結晶化速度と熱拡散速度のバランスが崩れ、マーク記録の際の再結晶化を抑制することが困難となる課題を解決するためには、記録パワーPwと消去パワーPeの設定値の比を向上させればよい。高線速度でマークを消去するために結晶化速度は高速化されているので、消去パワーPeは現方式に比較して極端に高める必要はない。マーク記録の際には再結晶化のためにマークが収縮するので、大きな領域を融解し、再結晶化後に形成されるアモルファスマークを適切な大きさにする必要がある。そのためには記録パワーを大きくする必要がある。
また、光源である半導体レーザの光パワーの立上り及び立下りの時間は有限であり、その値は半導体レーザやレーザ駆動回路に依存するが、典型的には1.5〜2ns程度である。即ち時間幅が3〜4ns以下のパルス発光時には、そのパルスの形は三角形になり、設定したパワーには達しない。記録速度を高速化した場合、図2のTwの値が小さくなり、それに伴い、記録パルスの幅も小さくなる。記録パルスが非常に小さくなった場合、十分な熱をディスク内に発生させるためには、パワーの設定値を高くすれば、十分な光エネルギーをディスクに照射することができる。
図1(a)に青色光源対応相変化ディスクに記録した場合の記録線速度と、各線速度で最良なジッタ値が得られたPw、Pe、及びPw/Peの関係を示す。用いたディスクテスターの光源波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85である。横軸は1倍速記録時の線速度で規格化した。1倍速は線速度5.28m/sとした。ここで記録のために用いたレーザパルス波形(記録波形)は各線速度で調節したが、パルスの時間幅が短くてレーザパワーが十分に出射されない場合には、2Twで一回パルスを出射する、いわゆる2T系記録波形を用いた。2T系記録波形については、例えば前出の非特許文献1において報告されている。図1(a)では、記録速度の向上にしたがってPwとPeの両方が上昇しているが、Peの上昇はPwの上昇よりも緩やかであるので、Pw/Peが大きく上昇する。Peの上昇が緩やかな理由は、記録膜の結晶化速度とディスクの熱拡散速度の比が大きくなっているため、線速度に比較してPeが大きくならなくてもマークが十分に消去される。逆にPwは再結晶化を抑制するために最適パワーが大きくなる。
現在の相変化ディスクでは、Pw/Peの値が概ね2〜2.5である。図1(a)より、この値が例えば4倍速記録において3倍以上になっていることがわかる。
同様の実験を、書換え型DVD(赤色光源対応相変化ディスク)についても行った。その結果を図1(b)に示す。この場合も上記の場合と同様、記録線速度の向上に伴うレーザパワーの上昇が、PeよりもPwの方が大きい。
これらのことから、青色光源対応ディスクでは4倍速以上でPw/Peを3以上、赤色光源対応ディスクでは6倍速以上でPw/Peを4以上とすることが望ましいことがわかる。尚、ここで、赤色光源からのレーザ光の波長は、630nmから670nm、青色光源からのレーザ光の波長は、390nmから420nmであるとする。
同様の実験を、書換え型DVD(赤色光源対応相変化ディスク)についても行った。その結果を図1(b)に示す。この場合も上記の場合と同様、記録線速度の向上に伴うレーザパワーの上昇が、PeよりもPwの方が大きい。
これらのことから、青色光源対応ディスクでは4倍速以上でPw/Peを3以上、赤色光源対応ディスクでは6倍速以上でPw/Peを4以上とすることが望ましいことがわかる。尚、ここで、赤色光源からのレーザ光の波長は、630nmから670nm、青色光源からのレーザ光の波長は、390nmから420nmであるとする。
厳密な最適パワーはディスクに依存する。その対策として、ディスクドライブがディスク記録前に試験記録を行い、最良のジッタが得られるパワー或いはエラー率が最小となるパワーを見出すか、かつ/又は、ディスク上に何らかの方法で最適記録パワーを記録しておき、それをドライブが読み出す機構を設けることが望ましい。ディスク上にパワーを記録しておくならば、図1(a)ないしは(b)のPw/Peか、或いはその値を中心として±10%のパワーを記録しておくことが望ましい。ドライブで試験記録を行う際には、図1(a)ないしは(b)のPw/Peから±10%の範囲内でパワーを変化させて記録すれば、最適パワーを見出すことができる。
本発明を12倍速記録が可能な書換え型DVD(赤色光源対応相変化ディスク)に適用した実施例を説明する。ディスク基板にディスクの推奨記録パワーを記録しておき、その値としてPwを140mW、Peを6mW、Pbを0.5mWとした。ディスクはその推奨記録パワーを読み取り、その付近の条件でディスク上に試験記録を行い、データ再生のエラー率が最小となるパワーを選択するように設計した。
試験記録の条件は、Pbの値は固定し、Pwを126mWから154mWの間を2mW刻みで、Peを5.5mWから6.5mWの間を0.5mW刻みで変化させた。即ち、45パターンの記録を行った。
試験記録の条件は、Pbの値は固定し、Pwを126mWから154mWの間を2mW刻みで、Peを5.5mWから6.5mWの間を0.5mW刻みで変化させた。即ち、45パターンの記録を行った。
図3に本実施例において用いた記録パルスパターンを示す。nを2以上の整数とし、2nTマークと(2n+1)Tマークで記録パターンを変えた。図にはn=3の場合を示した。パルスの数はnに等しくした。ここでTwは約3.2nsに等しい。両者とも1/2Twのパルスで構成されているが、(2n+1)Tマークの場合は、第1パルスと第2パルスの間を2nTマークの場合に比較して1Tw長くした。このことにより、(2n+1)Tマークでは第2パルスによって生じる熱によるマーク先端部分の再結晶化を抑制することができる。最短マークである3Tマークは、第1パルスの開始のタイミングをクロックに対して1/3Twだけ遅らせた。3Tマークは最後のPbレベル(クーリングパルス)が長いため、再結晶化が抑制され、マークは他の長さのマークよりも長くなる。第1パルスの開始タイミングを1/3Twだけ遅らせることによって、3Tマークの長さを調節した。
試験記録の際、1パターンに1トラック用い、そのトラックは全て隣接しているようにした。試験記録は、あるトラック上に記録した後、次はその隣接のトラック上に記録していくようにした。記録パワーのパターンの順番は、まずPeを5.5mWに固定し、Pwを126mWから154mWに順番に上昇させ、次にPeを6mWに固定してPwを同様に順番に変えるようにした。全てのパターンを記録した後に、各トラックの再生を行い、エラー率を測定した。このことにより、再生したデータのエラー率はクロストーク及びクロスイレーズを含んだ値となる。実際は同一条件で3トラック記録して測定すべきであるが、それには時間がかかり、かつ試験記録用のトラックが多数必要となる。上記の手順では、厳密には各記録パワーに起因するクロストークとクロスイレーズの影響を測定することはできないが、隣接トラックの記録パワーがそのトラックの記録パワーに近いため、測定すべきエラー率に近い値を得ることができる。
この方法によってドライブが見出した最適パワーは、Pwが144mW、Peが6mWであった。その条件で記録したデータの再生信号のジッタは、隣接トラックに記録されていない場合は6.5%、隣接トラックに記録されている場合には6.7%であった。両隣の隣接トラックに記録した後、中心トラックにマークを10回記録した場合のジッタ値は、6.2%であった。このことにより、良好なオーバーライト特性が得られていることがわかる。
本発明を8倍速記録が可能な青色光源対応相変化光ディスクに適用した実施例を説明する。ディスク基板に記録した推奨記録パワーは、Pwを20mW、Peを3.7mW、Pbを0.3mWとした。ドライブは第1形態と同じ手順でPwとPeを変えてエラー率を測定し、最適記録パワーを決定した。ただしここでは、Pwを18mWから22mWまで0.2mW刻みで、Peを3.4mWから4mWまで0.2mW刻みで変えた、84パターンを記録した。
図4に本実施例で用いた記録パルス波形を示す。nを1以上の整数とし、3nTマーク、(3n+1)Tマーク、及び(3n+2)Tマークで記録波形を変えた。図にはn=2の場合を示した。パルスの数はnに等しくした。(3n+1)Tマークと(3n+2)Tマークは全て1Twの長さのパルスから成り、第1パルスと第2パルスの間のPbレベルの長さでマーク長さを調節する。3nTマークは第1パルスの開始タイミングをクロックに対して1/2Tw進め、第1パルスと第2パルスの間のPbレベルを長くすることによって、マーク先頭の再結晶化を抑制した。しかしこのPbレベルの長さは完全には再結晶化を抑制することができず、マーク先頭の記録がクロックに対して1/2Tw早く始まっている分が再結晶化によって削られ、結果的に適切なマーク長さが得られる。最短マークである2Tマークも、3nTマークの場合と同様の理由で、第1パルスの開始タイミングをクロックに対して1/2Tw進めた。
この方法によってドライブが見出した最適パワーは、Pwが20.8mW、Peが4mWであった。その条件で記録したデータの再生信号のジッタは、隣接トラックに記録されていない場合は4.5%、隣接トラックに記録されている場合は5.0%であった。両隣の隣接トラックにマークを記録し、その後、中心トラックにマークを10回オーバーライトした場合のジッタは、4.9%であった。
Claims (2)
- データの書換えが可能な相変化光ディスクを記録する方式において、データ記録のためにディスクに入射するレーザ光が少なくとも記録パワーと消去パワーの2つの異なるパワーレベルを有し、且つ前記記録パワーと消去パワーの比が、前記レーザ光の波長が630nm以上670nm以下の場合には4以上であり、前記レーザ光の波長が390nm以上420nm以下の場合には3以上であることを特徴とする相変化光ディスク記録方式。
- 前記記録パワーは前記相変化光ディスクの記録膜を融解し得るレベルのパワーであり、且つ、前記消去パワーは、前記相変化光ディスクの記録膜を結晶化し得るレベルのパワーであることを特徴とする請求項1記載の相変化光ディスク記録方式。
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2004
- 2004-04-23 JP JP2004127563A patent/JP2005310293A/ja active Pending
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