JP2005309228A - 表面処理コンタクトレンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】 レンズ本来の機能が損なわれることなく、摩擦などの外力が加わっても、あるいは薬剤などと接触しても長期間にわたって高い親水性とタンパク吸着抑制能を保持することのできる表面処理レンズを提供する。
【解決手段】 下記式(1)で表される共重合体を放射線照射によりレンズ表面に固定化して得られる。
Figure 2005309228

は、脂肪族炭化水素基であり、Rは、水素または脂肪族炭化水素基であり、Rは、脂肪族化合物に由来する官能基である。また、l+m=100、かつ0.1≦l/m≦100、共重合体の重量平均分子量は1000以上500000以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、レンズとエチレンオキサイド誘導体とを放射線照射することによってレンズ表面に固定化して得られる表面処理コンタクトレンズに関する。詳しくは、該誘導体をコンタクトレンズ表面に固定化することにより、長期間親水性表面を維持する表面処理コンタクトレンズに関する。
ポリマー成形品の表面を改質して、成形品本体を構成するポリマーが有していない新しい機能を付与することは広く行われており、特に医療用具においては、生体とポリマーとの適合性を向上させる目的で種々の表面改質法が試みられている。
医療用具の中でも、コンタクトレンズや眼内レンズなどの生体用レンズでは、レンズ素材としてシリコン樹脂やケイ素および/またはフッ素元素を含有するアクリル樹脂が多く用いられているが、これらの素材は疎水性が強く、角膜へのレンズの固着、レンズの曇り、装用感の不良などを生じやすい。
そのため、これらの素材から得られるコンタクトレンズなどでは、表面を親水化処理することにより、角膜へのレンズの固着、レンズの曇りなどの欠点をなくし、かつ装用感を向上される試みがなされている。
コンタクトレンズや眼内レンズの表面の親水化方法には、下記の3種類の方法に分けることができる。
(A)あらかじめ製造されたポリマーの架橋およびレンズへの賦形を行うと同時にその表面を親水化する方法。
(B)重合性モノマーを用いてレンズをモールド成形する際に同時にその表面の親水化を行う方法。
(C)レンズ形状物をあらかじめ製造した後に、その表面を親水化する方法。
上記(A)の従来方法としては、あらかじめ製造されたポリシロキサンの表面に親水性重合体を与えるラジカル重合性前駆物質を被覆し、次いで該前駆物質およびポリシロキサンに放射線を照射して、ポリシロキサンを架橋するとともにレンズに賦形し、それと同時にポリシロキサンの表面に該前駆物質をグラフト重合させて親水性重合体で被覆されたコンタクトレンズを製造する方法が知られている。(特許文献1)
しかしながら、この従来法では、ラジカル重合性前駆物質のポリシロキサンへのグラフト重合による接着が不十分であり、該前駆物質から形成された親水性重合体はポリシロキサンから分離しやすいため、耐久性がなく、実用レベルに達していない。
上記(B)の従来方法としては、(a)型の表面を共重合性官能基を有する親水性重合体からなる被膜で被覆し、その型内に疎水性ポリマーを形成するのに必要なモノマーまたはモノマー混合物を注入し、型表面に設けた被膜中に存在する官能基と共重合させることにより、その親水性重合体からなる被膜と疎水性ポリマーとを化学的に結合させて親水性ポリマー被膜を表面に有するコンタクトレンズを製造する方法(特許文献2)および(b)成形面を離型性および親水性を有するポリマーで被覆したレンズ成形用型中で(メタ)アクリル酸エステルと架橋性モノマーを主成分とするモノマー混合物を共重合してコンタクトレンズ形状の共重合体を製造した後に、その表面をプラズマ処理する方法(特許文献3)などが知られている。
しかしながら、(a)の従来法では、疎水性ポリマー成形品の表面上に均一な親水性ポリマー層を形成しにくく、しかも親水性ポリマー層と疎水性ポリマー成形品との結合も不十分であるため、耐久性に劣り、手擦り程度の摩擦で水濡れ性(親水性)が低下するという問題点がある。また、(b)の従来法では、共重合性官能基を有しない親水性ポリマーを使用して型の成形面の被覆を行っているために、重合段階では親水性ポリマー層とレンズ基材の接着界面に化学結合が実質的に形成されず、かつその後のプラズマ処理においても、プラズマにより生じた親水性ポリマー層表面の活性点が、そしたのレンズ基材と反応・結合する可能性が高い。そのため、親水性ポリマー層とレンズ基材の接着性が不十分であり、親水性ポリマー層はレンズ基材から分離しやすく、耐久性がなく、実用レベルに達していない。
上記(C)の従来方法としては、(c)アルカリ水溶液や熱塩水などによりレンズ形状物を処理する方法や(d)コンタクトレンズを希薄ガス中で放電処理する方法(特許文献4)、(e)コンタクトレンズ表面にリン酸エステル基を有する特定の親水性モノマーまたは特定のリン脂質類似構造を有するビニルモノマーをグラフト重合させる方法(特許文献5および6)、(f)親水基を有するモノマーが存在する雰囲気中にコンタクトレンズを入れて、無電極グロー放電により該モノマーを重合させてコンタクトレンズ表面に親水性ポリマー被膜を形成。接着させる方法(特許文献7)がある。
しかしながら、(c)および(d)の従来法では、レンズ表面に形成された親水性表面の親水特性が持続せず、短期間に親水性が失われるという欠点がある。また、上記(e)の従来法では、コンタクトレンズ本体を構成するポリマーとグラフト重合により形成した親水性ポリマーの結合が不十分で、親水性ポリマーの耐久性に問題があり、短期間に親水性が失われやすい。また、上記(f)の従来法では、コンタクトレンズ表面に形成させた親水性ポリマー被膜のレンズ本体への接着が不十分であり、レンズ本体から剥離しやすいため、表面の親水化が長期間持続しにくく、摩擦などの外力が加わると親水性が失われなすいという欠点がある。
特開昭48−7755号公報 特開平2−124523号公報 特開平7−266443号公報 特公昭55−49288号公報 特開平6−122779号公報 特開平7−72430号公報 特開昭53−83642号公報
本発明の課題は、レンズ本来の機能が損なわれることなく、摩擦などの外力が加わっても、あるいは薬剤などと接触しても長期間にわたって高い親水性とタンパク吸着抑制能を保持することのできるコンタクトレンズを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レンズに特定のエチレンオキサイド誘導体を接触させた状態で放射線照射する場合にのみ、レンズ表面に固定化することができ、長期間にわたって高い親水性とタンパク吸着抑制能を保持することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記発明1.〜4.である。
1.コンタクトレンズに下記化学式(1)で表される共重合体を接触させた状態で放射線照射することによって得られることを特徴とする表面処理コンタクトレンズ。
Figure 2005309228
[化学式(1)は共重合体の組成式を表わす。l、mは高分子主鎖に含有される各繰返し単位のmol%を表わす。
は、炭素数2以上、15以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、水素または炭素数1以上、14以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、不飽和結合を一つ以上有する炭素数3以上、15以下の脂肪族化合物に由来する官能基である。
ただし、l+m=100、かつ0.1≦l/m≦100、共重合体の重量平均分子量は1000以上500000以下である。]
2. 該Rが、下記式(2)で表される共重合体であることを特徴とする請求項1記載の表面処理コンタクトレンズ。
Figure 2005309228
(ただし、Rは、不飽和結合を一つ以上有する炭素数2以上、14以下の炭化水素基である。)
3.該Rが炭素数が、2または3である脂肪族炭化水素基であることを特徴とする前記1.または2.記載の表面処理コンタクトレンズ。
4.前記1.記載の接触させた状態が、該コンタクトレンズを共重合体を含む溶液に浸漬することによってなされることを特徴とする前記1.から3.のいずれかに記載の表面処理コンタクトレンズ。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の共重合体の構成成分である下記式(3)からなる繰り返し単位は炭素数2以上、15以下のアルキレンオキサイドのような単量体を用いて形成される。
Figure 2005309228
具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1−ドデセンオキサイド、1−ヘキセンオキサイド、1−オクテンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−メチルブチレン−2−オキサイド、シクロデセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、シクロペンテンオキサイドなどが例示される。入手の容易さ、取り扱いの良さなどから、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。更に、生体適合性の観点からエチレンオキサイドが特に好ましい。
本発明の共重合体の構成成分である下記式(4)からなる繰り返し単位は、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのような単量体を用いて形成される。入手の容易さ、取り扱いの良さなどから、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが好ましい。さらに、生体適合性の観点から、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
Figure 2005309228
本発明における高分子主鎖に含有される各繰返し単位のmol%であるl、mはl+m=100かつ0.1≦l/m≦100であれば十分に生体適合性と放射線による共重合体のコンタクトレンズ表面への固定化が期待可能である。l/mが0.1以上であれば、生体適合性を発揮する炭素数2以上、15以下のアルキレンオキサイド単量体に由来する繰り返し単位の割合が十分大きく、必要な生体適合性が発現する。また、l/mが100以下の場合、炭素数3以上、15以下の不飽和結合を一つ以上有する脂肪族化合物に由来する官能基の割合が十分に大きいため、放射線によるコンタクトレンズ表面への固定化が可能である。生体適合性と放射線によるレンズ表面への固定化効果のバランスを向上させるには1≦l/m≦50であることが好ましく、更に好ましくは2≦l/m≦45である。
本発明における重合体の重量平均分子量は1000以上500000以下であれば特に限定はされない。1000以上であれば十分な生体適合性効果が期待できる。また500000以下であれば、重合時の反応液粘度は十分に低粘度であり、反応系の均一性が確保可能で生産性に優れるので好ましい。更に、生体適合性と生産性を鑑みた場合、望ましい重量平均分子量の範囲は1000以上300000、特に好ましくは2000以上200000以下である。
本発明の共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても良い。反応制御の観点から、ランダム共重合体が好ましい。
また、本発明の共重合体は、その他の単量体に由来する繰返し単位を、共重合体の特性に悪影響を及ぼさない範囲で含むことが可能である。
その他単量体とは、炭素数2以上、15以下のアルキレンオキサイド単量体および下記式(5)からなる繰り返し単位に由来する単量体と共重合可能な単量体であり、エポキシ基を有する化合物である。
Figure 2005309228
具体的にはn−ブチルグリシジルエーテル、sec−ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルへキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルトリメチルシリルエーテル、グリシジルテトラヒドロピラニルエーテル、(1−エトキシ)エチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。
また、本発明の共重合体に含まれるその他単量体に由来する繰り返し単位の量としては、本発明の共重合体に含まれる全ての単量体に由来する繰り返し単位を100mol%とした場合、生体適合性の観点から、15mol%以下であることが好ましい。
以下に本発明の共重合体の製造方法を説明する。
本発明の共重合体の製造方法には、開環重合が好適である。
本発明に使用される開環重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の形態で適宜実施可能であるが、反応熱の制御と重合触媒除去の観点から、溶液重合が好ましい。そこで、以下に溶液重合による開環重合によって共重合体を得る方法を例にあげて本発明に用いることができる共重合体の製造条件について説明する。
本発明において使用される重合溶媒としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物、アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物、ノーマルペンタン、シクロペンタン、ノーマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルのような炭素数3以上6以下のエステル化合物、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物、ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物が挙げられる。
また、無溶媒中でも実施される。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能であり、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としてはエーテル化合物および炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物が挙げられる。
本発明における重合触媒は特に制限されないが、トリアルキルアルミニウム、水酸化物、アルカリ金属アルコキシドなどの公知の化合物から適宜選択できる。具体的なこれらの化合物には、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムや三フッ化ホウ素エーテル錯体、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどの水酸化物、あるいはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウムプロポキシド、カリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-2−メチル−2−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。また、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。この中でも特に、入手の容易さや反応の制御の観点からカリウム-tert-ブトキシド、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリブチルアルミニウムが好ましい。
本発明における重合温度は15℃以上、120℃以下で実施することが好ましい。15℃以上あれば重合が開始され、また120℃以下であれば重合触媒の失活が無い。好ましくは20℃以上、100℃以下、さらに好ましくは20℃以上、80℃以下である。
重合反応に要する時間は、目的あるいは重合条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
重合終了後における、本発明の共重合体の回収は、重合溶液中の固体を減圧濾過することに行うことができる。
本発明の共重合体の精製方法としては、共重合体を溶解させた後に、蒸留水を外液とする透析により行うことができる。得られた透析液を0.22μmのフィルターを用いて濾過することにより、更に精製することができる。これらの精製方法を繰り返すことにより、残留金属原子を必要十分な濃度に達するまで除去することができる。更に特別に高純度な共重合体が必要な場合は二酸化炭素超臨界法による抽出法も可能である。重合体中の残量金属原子濃度は上記の精製法を用いて0.01wtppm以上、1500wtppm以下にすることができる。好ましくは0.01wtppm以上、300wtppm以下、更に好ましくは0.01wtppm以上、10wtppm以下である。
以上、本発明に用いる共重合体を溶液重合方法による開環重合で得る方法を例として記載した。
次に上記の方法で得られた共重合体を用いてコンタクトレンズを表面処理する方法について説明する。
本発明の表面処理方法はレンズと共重合体とを放射線照射することによりレンズ表面に固定化する方法であれば、特に限定はされない。
放射線照射により表面処理する方法ではレンズ表面と該共重合体を接触させた状態で放射線を照射させても(同時照射法)、レンズ表面に共重合体をコートした後に放射線を照射しても(後照射法)、レンズ表面に放射線を照射した後に、該共重合体と接触させても構わず、いずれの方法を用いても、長期間にわたって高い親水性およびタンパク吸着抑制能を発現することができる。
表面処理に用いる放射線には、γ線照射、電子線照射、プラズマ照射などが挙げられる。この中で、レンズ表面への該共重合体の固定化効率の良さの観点から、γ線照射または電子線照射が好ましい。その中で、取り扱いの良さなどから、γ線照射が特に好ましい。
同時照射法の具体例としては、共重合体の溶液にレンズを浸漬させた状態で放射線を照射する方法を挙げることができる。
同時照射法に用いる溶媒としては、レンズの機能を損なわない溶媒であれば限定はされないが、水が好適に用いられる。
また、後照射法の具体例としては、ディップコートなどの一般に公知の方法を用いてレンズに該共重合体を表面コートした後に、照射する方法を挙げることができる。
該表面コート用の溶媒としてはレンズの機能を損なわない溶媒であれば限定はされないが、水が好適に用いられる。
なお、レンズ表面に放射線を照射した後に、該共重合体と接触させる方法(前照射法)も用いることが可能である。
前照射法については、不活性ガス雰囲気下にレンズを封入し、放射線を照射した後に、該共重合体を含む溶液と接触させることにより行うことができる。
該前照射法に用いる溶媒としても、レンズの機能を損なわない溶媒であれば限定はされないが、水が好適に用いられる。
γ線照射の照射線量については、レンズ表面に該共重合体が固定化される線量であれば、特に限定はされない。その中で、1kGy以上であればレンズに固定化可能であり、200kGy以下であれば、照射によりレンズが変質しない。好ましくは、2kGy以上、150kGy以下であり、より好ましくは、5kGy以上、100kGy以下である。
電子線の照射線量については、レンズに該共重合体が固定化される線量であれば、特に限定はされない。その中で、1Mrad以上であればレンズに固定化可能であり、200Mrad以下であれば、照射によりレンズが変質しない。好ましくは、2Mrad以上、150Mrad以下であり、より好ましくは5Mrad以上、100Mrad以下である。
本発明に用いることができるコンタクトレンズの素材については、該共重合体がレンズ表面に固定化可能なレンズであれば特に限定されない。例えば、ポリメチルメタアクリレート、ポリシロキサニル(メタ)アクリレート、ポリフルオロ(メタ)アクリレート、ポリ2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、ポリメタアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリグリセロールメタアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。レンズの汎用性の高さから、ポリメチルメタアクリレート、ポリシロキサニル(メタ)アクリレート、ポリフルオロ(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましく、取り扱いの良さ等からポリシロキサニルメタアクリレートが特に好ましい。
本発明の表面処理レンズは、医療用具として好適に用いられる。
本発明において、医療用具とは人または動物の、疾病の診断、治療、または予防に使用されること、または人あるいは動物の、身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている器具機械である。医療用具の例として、コンタクトレンズ、眼内レンズなどが挙げられる。
本発明の表面処理コンタクトレンズは、レンズ本来の機能が損なわれることなく、表面を極めて親水化することができ、かつタンパク吸着量を抑制することができる。また、この親水性表面およびタンパク吸着抑制能は、摩擦などの外力が加わっても、あるいは薬剤などと接触しても長期間にわたって保持される。
以下実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
<反応に使用する機器>
10気圧まで耐えうる耐圧反応容器にて、反応を行った。
<重合に用いた触媒、単量体>
本発明に使用したヘキサン(和光純薬工業社製、特級)溶媒は、特別な精製を実施せずに重合に用いた。
重合触媒に用いたトリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液(Aldrich社製)およびカリウムt-ブトキシド1MTHF溶液(Aldrich社製)は特別な精製を実施せずに、重合に用いた。
本発明に用いたエチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル(Aldrich社製)、ブチルグリシジルエーテル(Aldrich社製)は、特別な精製を実施せずに、重合に用いた。
重量終了後の目的共重合体の回収は、重合溶液中の固体を減圧濾過することにより行った。
<共重合体の精製>
重合により得られた共重合体を、蒸留水(共栄製薬社製)に溶解した後に、Spetra/Por Membrane(スペクトラポア社製、MWCO:12000−14000)(商標)に入れ、蒸留水を外液とする透析を2日間行った。次いで得られた水溶液をDURAPORE MEMBRANE FILTERS(MILLIPORE社製、フィルタータイプ0.22μm GV)(商標)により濾過し、凍結乾燥することにより精製を行った。
<重量平均分子量測定>
本発明におけるPEG換算重量平均分子量測定の手法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の条件は、以下のとおりである。
カラム:G4000PWXL(東ソー(株)製)、
G5000PWXL(東ソー(株)製)
移動相:20%アセトニトリル(50mM塩化リチウムを含む)
流速:毎分0.8mL
カラム温度:40℃
ポンプ:L−6200((株)日立製作所製)
検出器:L−3300(RI:示差屈折計、(株)日立製作所製)
L−4200(UV−VIS:紫外可視吸光計、(株)日立製作所製)
分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリエチレンオキサイド(TOSOH製、重量平均分子量が2.40×10、 5.00×10、 1.07×10、1.40×10、2.5×10、5.4×10の6種類)を用いて作成する。
<NMR測定>
本発明におけるNMR測定は、JEOL社製、JNM−GSX400を用いた。測定に用いた重溶媒は、重メタノール(Cambridge Isotope Laboratories社製、純度99.9wt%、内部標準0.05wt%テトラメチルシラン含有)であり、共重合体5.0×10−3gに対して重メタノール5.0×10−4リットルの濃度で測定を行った。測定温度は30℃にて行った。
<共重合体の組成割合の測定>
本発明における炭素数2以上、15以下のアルキレンオキサイド単量体に由来する繰り返し単位の組成割合lおよび(CHCRO)に由来する繰り返し単位の組成割合mは、上記NMR測定により求めた。上記測定条件において、アリル基に由来する多重ピークは、δ3.95、δ5.10〜5.30および、δ5.80〜5.90に観測された。また、ポリエチレングリコールに由来するピークは、δ3.40〜4.15に観測された。そしてこれらの積分比から、組成割合を求めた。
<表面処理に用いたレンズ>
本発明における表面処理に用いたコンタクトレンズは、アイミーサプリーム(商標)(旭化成アイミー社製)レンズを用いた。
<液滴法による接触角測定>
本発明の表面処理レンズの液滴法による接触角測定は、表面自由エネルギー測定装置(協和界面化学社製、CA−VE型)を用いて行い、20.1秒後の値を測定値とした。表面処理レンズと水との接触角を測定することにより測定を行った。
<気泡法による接触角測定>
本発明の表面処理レンズの気泡法による接触角測定は、表面自由エネルギー測定装置(協和界面化学社製、CA−VE型)を用いて行った。表面処理レンズと水中での気泡との接触角を測定することにより測定を行った。
<レンズ表面への共重合体固定化方法>
本発明の共重合体をレンズに接触させた状態で放射線を照射させる方法としては、下記の方法により行った。
ハードコンタクトレンズ用ケースにアイミーサプリーム(商標)(旭化成アイミー株式会社製)レンズおよび0.1wt%の共重合体水溶液(3.0mL、蒸留水は共栄製薬社製のものを使用)を入れた。このハードコンタクトレンズ用ケースをコバルト60を線源とするγ線(照射線量20KGy)を照射することにより共重合体をハードコンタクトレンズ表面に固定化した。得られたハードコンタクトレンズを、蒸留水中で37℃24時間加熱撹拌することにより、ハードコンタクトレンズ表面に固定化していない共重合体を除去した。洗浄後のハードコンタクトレンズを室温で乾燥することにより、表面処理ハードコンタクトレンズを得た。
<血漿タンパク吸着量測定>
本発明における血漿タンパク吸着量は、酵素免疫定量法を用いて行った。
血漿タンパクとしては、ヒトアルブミンを用いた。
上記の固定化方法にて共重合体を固定化した表面処理ハードコンタクトレンズを、Costar 24穴プレート(商標)(コーニング社製、商品番号3542)に入れた。該プレートに、ヒトアルブミン(カペル社製)の1.0μg/ml溶液を400μl/穴の割合で添加し、37℃で2時間ハードコンタクトレンズ表面と接触させた。その後、ブロックエース溶液(大日本製薬社製)を400μl/穴の割合で添加し、37℃で30分間接触させることによりハードコンタクトレンズ表面をブロッキングした。その後に西洋わさび過酸化酵素標識ヤギ抗ヒトアルブミン(カペル社製、1000倍希釈したものを使用)溶液を400μl/穴の割合で添加し、37℃で1時間ハードコンタクトレンズ表面と接触させた。このハードコンタクトレンズに発色剤としてオルトフェニレンジアミン(SIGMA社製)を用いる酵素免疫定量法により評価を行った。
<人工涙液接触方法およびタンパク吸着量測定>
アルブミン0.388g(SIGMA社製)およびリゾチーム0.120g(SIGMA社製)をリン酸緩衝液0.1Lに溶解した人工涙液(1.0mL)をおよび表面処理ハードコンタクトレンズをCostar 24穴プレート(商標)(コーニング社製、商品番号3542)に入れ、37℃で22時間で接触させた。人工涙液と接触させたハードコンタクトレンズを、蒸留水でよく洗浄した後に、Micro BCA Protein Assay Reagent Kit(商標)(PIERCE社製)を用いてタンパク吸着量を測定した。
<表面処理レンズの洗浄方法>
本発明における共重合体を固定化した表面処理レンズの洗浄方法については、上記血漿タンパク吸着量および人工涙液接触後のタンパク吸着量測定終了後に、該表面処理レンズと1wt%ドデシル硫酸ナトリウムー炭酸ナトリウム水溶液(ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製、生化学用、1.0g)と炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製、試薬特級、1.0g)を蒸留水98.0gに溶解させたもの)を37℃で16時間接触させた後に、蒸留水にて洗浄することにより行った。
[実施例1]
耐圧反応容器に、アリルグリシジルエーテル(0.018mol)、エチレンオキサイド(0.424mol)、トリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液(4.5×10−3mol)、カリウムt-ブトキシド1MTHF溶液(0.5×10−3mol)、ヘキサン(250mL)を加え、25℃で20時間反応を行った。析出した固体を減圧濾過した後に、蒸留水(共栄製薬社製)に溶解させ、Spetra/Por Membrane(スペクトラポア社製、MWCO:12000−14000)(商標)に入れ、蒸留水を外液とする透析を2日間行った。次いで得られた水溶液をDURAPORE MEMBRANE FILTERS(MILLIPORE社製、フィルタータイプ0.22μm GV)(商標)により濾過し、凍結乾燥することにより目的の共重合体(1)を得た。
[実施例2]
耐圧反応容器に、アリルグリシジルエーテル(0.042mol)、エチレンオキサイド(0.424mol)、トリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液(4.5×10−3mol)、カリウムt-ブトキシド1MTHF溶液(0.5×10−3mol)、ヘキサン(250mL)を加え、25℃で20時間反応を行った。実施例1と同様の条件で回収、精製を行い、目的の共重合体(2)を得た。
[実施例3]
耐圧反応容器に、アリルグリシジルエーテル(0.023mol)、n−ブチルグリシジルエーテル(0.019mol)、エチレンオキサイド(0.424mol)、トリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液(4.5×10−3mol)、カリウムt-ブトキシド1MTHF溶液(0.5×10−3mol)、ヘキサン(250mL)を加え、25℃で20時間反応を行った。実施例1と同様の条件で回収、精製を行い、目的の共重合体(3)を得た。表1に、本発明の共重合体(共重合体(1)〜(3))の重量平均分子量およびl/mの値を記した。
[実施例4]
実施例1、2および3の共重合体を0.05Lのサンプル瓶に0.05g計り取り、蒸留水0.05L(共栄製薬社製)を加え、室温で溶解させた。この溶液をハードコンタクトレンズケースに入れ、アルゴンガスにより30分間バブリングを行った。続いてアイミーサプリーム(商標)(旭化成アイミー社製)レンズを入れた。このハードコンタクトレンズケースにコバルト60を線源とするγ線(照射線量20KGy)を照射することにより、ハードコンタクトレンズ表面に共重合体を固定化した。照射後に蒸留水中37℃で24時間加熱撹拌することにより、ハードコンタクトレンズ表面に固定化されていない共重合体を除去した。洗浄後のハードコンタクトレンズを室温で乾燥することにより、表面処理レンズ(1)、(2)および(3)得た。
[実施例5]
表面処理レンズ(1)〜(3)を表面自由エネルギー測定装置(協和界面化学社製、CA−VE型)を用いて液滴法および気泡法による接触角測定を行った。表2に測定結果を示す(液滴法については、20.1秒後の値を測定値とした)。
[実施例6]
表面処理レンズ(1)〜(3)を、Costar 24穴プレート(商標)(コーニング社製、商品番号3542)に入れた。該プレートに、ヒトアルブミン(カペル社製)の1.0μg/ml溶液(炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製、4.0g)と炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業社製、7.3g)を0.25リットルの蒸留水(共栄製薬社製)に溶解させ、pHを9.6に調整後にさらに蒸留水を用いて10倍希釈した溶液にて希釈)を400μl/穴の割合で添加し、37℃で2時間ハードコンタクトレンズ表面と接触させた。その後、ブロックエース溶液(ブロックエース(大日本製薬社製)を蒸留水にて4倍希釈したもの)を400μl/穴の割合で添加し、37℃で30分間接触させることによりハードコンタクトレンズ表面をブロッキングした。その後に西洋わさび過酸化酵素標識ヤギ抗ヒトアルブミン(カペル社製、1000倍希釈したものを使用)溶液(リン酸二水素ナトリウム・二水和物(和光純薬工業社製、0.49g)とリン酸水素二ナトリウム・12水(和光純薬工業社製、15.08g)と塩化ナトリウム(和光純薬工業社製、90.0g)を蒸留水1.0リットルに溶解させた溶液0.1リットルとTween20(Bio Rad Laboratories社製、50μL)を蒸留水で1.0Lに希釈したもの)を400μl/穴の割合で添加し、37℃で1時間ハードコンタクトレンズ表面と接触させた。このハードコンタクトレンズに発色液(クエン酸水和物(和光純薬工業社製、3.2g)とリン酸水素二ナトリウム・12水(和光純薬工業社製、3.2g)を蒸留水(0.2L)にて希釈して溶液を用いて、オルトフェニレンジアミン(SIGMA社製、1錠)と過酸化水素水(和光純薬工業社製、7.0μL)を溶解させたもの)を用いる酵素免疫定量法により評価を行った。
[実施例7]
塩化ナトリウム9.0g(和光純薬工業社製、特級)、リン酸二水素ナトリウム・二水和物0.2392g(和光純薬工業社製、特級)およびリン酸水素二ナトリウム・12水1.9099g(和光純薬工業社製、特級)、アルブミン0.388g(SIGMA社製)とリゾチーム0.120g(SIGMA社製)蒸留水0.10L(共栄製薬社製)に溶解させた。この溶液に、塩化カルシウム0.06148g(和光純薬工業社製、特級)を加え、溶解させることにより、人工涙液を調整した。
上記で調整した人工涙液(1.0mL)および表面処理レンズ(1)〜(3)を24穴プレート(商標)(コーニング社製、商品番号3542)に入れ、37℃で22時間で接触させた。人工涙液と接触させた表面処理レンズを、蒸留水中に10分間浸漬し、撹拌することにより洗浄を行い、Micro BCA Protein Assay Reagent Kit(商標)(PIERCE社製)を用いてタンパク吸着量を測定した。測定結果を表2に示す。
[実施例8]
表面処理レンズ(1)を実施例6の酵素免疫定量法および実施例7の人工涙液接触後のタンパク吸着量測定を行った後に、1wt%ドデシル硫酸ナトリウムー炭酸ナトリウム水溶液(ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製、生化学用、1.0g)と炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製、試薬特級、1.0g)を蒸留水98.0gに溶解させたもの)と37℃で16時間接触させた後に、蒸留水にて洗浄し、室温で乾燥した。得られた洗浄後の表面処理レンズ(1)を、再び同様の酵素免疫定量法および人工涙液接触後のタンパク吸着量測定を行った後に、同様の洗浄を行った。この操作を10回繰り返した。洗浄後の接触角の測定結果を表3に、また、洗浄後のアルブミン吸着量の測定結果を表4に、人工涙液接触後のタンパク吸着量の測定結果を表5に示した。
[比較例1]
実施例1、2および3の共重合体を0.05Lのサンプル瓶に0.05gまたは計り取り、蒸留水0.05L(共栄製薬社製)を加え、室温で溶解させた。この溶液をハードコンタクトレンズケースに入れ、アルゴンガスにより30分間バブリングを行った。続いてアイミーサプリーム(商標)(旭化成アイミー社製)を入れた。このハードコンタクトレンズケースを室温で一週間静置した後に、蒸留水中37℃で24時間加熱撹拌し、室温で乾燥することにより、比較サンプル(1)、(2)および(3)得た。
[比較例2]
ハードコンタクトレンズケースに、蒸留水を入れ、アルゴンガスにより30分間バブリングを行った。続いてアイミーサプリーム(商標)(旭化成アイミー社製)を入れた。このサンプル瓶にコバルト60を線源とするγ線(照射線量20KGy)を照射することにより、ハードコンタクトレンズにγ線を照射した。蒸留水中37℃で24時間加熱撹拌し、室温で乾燥することにより、γ線を照射したハードコンタクトレンズを得た。
[比較例3]
比較サンプル(1)を実施例6の酵素免疫定量法および実施例7の人工涙液接触後のタンパク吸着量測定を行った後に、1wt%ドデシル硫酸ナトリウムー炭酸ナトリウム水溶液(ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製、生化学用、1.0g)と炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製、試薬特級、1.0g)を蒸留水98.0gに溶解させたもの)と37℃で16時間接触させた後に、蒸留水にて洗浄し、室温で乾燥した。得られた洗浄後の比較サンプル(1)を、再び同様の酵素免疫定量法を行った後に、同様の洗浄を行った。この操作を10回繰り返した。洗浄後の接触角の測定結果を表3に、また、洗浄後のアルブミン吸着量の測定結果を表4に、人工涙液接触後のタンパク吸着量の測定結果を表5に示した。
表2における表面処理レンズ(1)、(2)および(3)は、比較サンプル(1)、(2)および(3)と比較して液滴法の接触角が低い値となっており、また、気泡法の接触角が高い値となっていることから該表面処理レンズ(1)、(2)および(3)は、γ線を照射することにより、レンズ表面に共重合体が固定化されていることがわかる。また、アルブミン吸着量測定でのタンパク吸着量測定の結果から、未処理レンズを100とした場合の本発明の表面処理レンズの吸着率(%)は、未処理レンズおよび比較サンプル(1)、(2)および(3)と比較して低い値となっていることおよび人工涙液接触後のタンパク吸着量測定の結果から、未処理レンズおよび比較サンプル(1)、(2)および(3)と比較して低い値となっていることから、レンズ表面に共重合体が固定化されていることにより、吸着を抑制していることがわかる。
表3における洗浄後に得られた表面処理レンズ(1)の液滴法による接触角は、洗浄を10回繰り返し行っても、比較サンプル(1)および未処理レンズと比較して低い値となっており、洗浄によっても共重合体の剥がれがなく、親水性表面の効果が持続していることがわかる。
表4における洗浄後に得られた表面処理レンズ(1)のアルブミン吸着量は、洗浄を10回繰り返し行っても、比較サンプル(1)および未処理レンズと比較して低い値となっている。表3の結果とあわせて、表面処理レンズ(1)は、洗浄によっても親水性表面の効果が持続し、その結果タンパク吸着量も抑制することがわかる。
表5における洗浄後に得られた表面処理レンズ(1)の人工涙液中でのタンパク吸着量は、洗浄を10回繰り返し行っても、比較サンプル(1)および未処理レンズと比較して低い値となっている。表3の結果とあわせて、表面処理レンズ(1)は、洗浄によっても親水性表面の効果が持続し、その結果タンパク吸着量も抑制することがわかる。
Figure 2005309228
Figure 2005309228
Figure 2005309228
Figure 2005309228
Figure 2005309228
本発明の表面処理レンズは、疎水性レンズ表面を、レンズの機能を損ねることなく長期間親水性およびタンパク吸着抑制能を保持することから、装用感に優れ、汚れにくい親水性レンズとして使用される。また、本発明の表面処理レンズは、医療用具、特にコンタクトレンズや眼内レンズとして使用される。

Claims (4)

  1. コンタクトレンズに下記化学式(1)で表される共重合体を接触させた状態で放射線照射することによって得られることを特徴とする表面処理コンタクトレンズ。
    Figure 2005309228
    [化学式(1)は共重合体の組成式を表わす。l、mは高分子主鎖に含有される各繰返し単位のmol%を表わす。
    は、炭素数2以上、15以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、水素または炭素数1以上、14以下の脂肪族炭化水素基であり、Rは、不飽和結合を一つ以上有する炭素数3以上、15以下の脂肪族化合物に由来する官能基である。
    ただし、l+m=100、かつ0.1≦l/m≦100、共重合体の重量平均分子量は1000以上500000以下である。]
  2. 該Rが、下記式(2)で表される共重合体であることを特徴とする請求項1記載の表面処理コンタクトレンズ。
    Figure 2005309228
    (ただし、Rは、不飽和結合を一つ以上有する炭素数2以上、14以下の炭化水素基である。)
  3. 該Rが炭素数が、2または3である脂肪族炭化水素基であることを特徴とする請求項1または2記載の表面処理コンタクトレンズ。
  4. 請求項1記載の接触させた状態が、該コンタクトレンズを共重合体を含む溶液に浸漬することによってなされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表面処理コンタクトレンズ。
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