JP2005308191A - グリース封入玉軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸受サイズ等を変更することなく、高速回転下での耐久寿命に優れるグリース封入玉軸受を提供する。
【解決手段】 外輪と外輪との間に複数の転動体が周方向に転動自在に配設され、潤滑剤としてグリースが封入されたグリース封入玉軸受において、前記転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えばクリーナモータ、エアコンファンモータ、工作機械、電気自動車、ハイブリット車、自動車用エンジン補機(オルタネータ、アイドラプーリ、電磁クラッチ、ウォーターポンプ等)等の各種機械装置の回転支持部に組み込まれるグリース封入玉軸受に関する。
近年、クリーナモータ、エアコンファンモータ、自動車のオルタネータ、電気自動車、ハイブリッド車等において、小型軽量化、高性能化を背景として、これらの各種機械装置の回転支持部に組み込まれるグリース封入玉軸受に対して益々高速化の要求がある。
一般に、軸受を運転した場合、その回転速度が速くなるにしたがって、軸受内部の摩擦熱による温度上昇が大きくなり、軸受が許容し得る最高回転数(以下、許容回転数と略称する)を超えた条件下で運転され続けると、最終的には焼付きに至る。
そこで、ある限度以上の発熱を生じさせないで、軸受を長時間安全に運転できる経験的な回転数の許容値として、許容回転数が定められている。
この許容回転数は、軸受の形式や寸法、軸受荷重、潤滑方法、軸受周辺を含めた冷却状況等によっても異なり、グリースを封入した玉軸受の場合には、長時間安全に運転できる限界のdm n値(ここで、dm は玉セットのピッチ径(mm):JIS B0104、nは回転速度(min-1))は、60万dm n程度とされている。
ところで、先に述べたように各種機械装置の小型軽量化、高性能化に伴って、これらの回転支持部に組み込まれるグリース封入玉軸受に対して、より高速条件下での長寿命化が求められている。
高速回転で使用されるグリース封入玉軸受においては、油潤滑と比べると、接触面へのグリース供給が難しく、これまではグリースを構成する増ちよう剤組成、基油の種類、基油動粘度を選定することで、長寿命化が図られてきたが、回転トルクの低減化のために、グリース封入量が制限される場合もあり、潤滑面での対策だけでは、今後の高速化に対する要求に十分に応えることができないケースが想定される。
一方、このような問題を解決するために、例えば、転動体にセラミックスを用いたグリース封入玉軸受が提案されている(例えば特許文献1参照)
特開平7―332374号公報
しかしながら、上記特許文献1のように、転動体にセラミックスを用いたグリース封入玉軸受においては、高速条件下での耐久寿命は向上するが、セラミックス製の玉は、鋼球に比較して非常に高価であり、軸受コストが大幅増となる。
また、各種機械装置の高速化への対応としては、許容範囲内でモータ等のシャフト径を小さくして、軸受内径を小さくすることも考えられる。この場合、dm n値が小さくなるので、軸受の許容回転数は大きくなり、より高速条件下での運転が可能となる。しかしながら、シャフト径が小さすぎると、軸剛性の関係から軸振れが生じたり、軸受の負荷容量が低下することにより、転がり疲れ寿命が低下するといった問題もあり、軸受のサイズダウンによる対応では製品の品質低下につながる場合もある。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、軸受サイズ等を変更することなく、高速回転下での耐久寿命に優れるグリース封入玉軸受を提供することを目的とする。
本発明者らは、グリースを封入した玉軸受の高速回転下での耐久寿命について、主として材料面からアプローチし、長寿命化が達成できないか鋭意検討を行なった。その結果、幾つかの寿命延長効果を知見し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外輪と外輪との間に複数の転動体が周方向に転動自在に配設され、潤滑剤としてグリースが封入されたグリース封入玉軸受において、
前記転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成したことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、外輪と外輪との間に複数の転動体が周方向に転動自在に配設され、潤滑剤としてグリースが封入されたグリース封入玉軸受において、
前記転動体及び前記内輪の平均残留オーステナイト量を共に0〜6体積%としたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成したことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、ラジアルすき間δと玉セットのピッチ径(JIS B0104)dm との比δ/dm を、1.5×10-4〜1.0×10-3としたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成することで、転動体の凝着抑制効果を高め、これにより、軸受サイズ等を変更することなく、高速回転下での耐久寿命を優れたものとすることができる。
請求項2の発明では、転動体及び内輪の平均残留オーステナイト量を共に0〜6体積%に制限することで、転動体及び内輪の残留オーステナイトの熱分解に起因したラジアルすき間の減少を極力抑制して、すき間詰まりによる摩擦熱の増大を効果的に抑制し、これにより、軸受サイズ等を変更することなく、高速回転下での耐久寿命を優れたものとすることができる。
請求項3の発明では、請求項2の発明に加えて、転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成することで、転動体の凝着抑制効果を高め、これにより、高速回転下での耐久寿命をより優れたものとすることができる。
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれか一項の発明に加えて、ラジアルすき間δと玉セットのピッチ径(JIS B0104)dm との比δ/dm を、1.5×10-4〜1.0×10-3とすることで、転がり疲れ寿命を十分確保しつつ、転動体の熱膨張あるいは残留オーステナイトの熱分解等に起因するラジアルすき間の減少を考慮した最適すき間を与えることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
一般に、軸受の回転により発生した摩擦熱は、軸及びハウジングを通して放熱されるが、軸よりハウジングの方が放熱条件が良好なため、外輪よりも内輪及び転動体の方が温度が高くなりやすい。また、高速回転の場合には、さらに摩擦熱は大きくなり、この温度差もより顕著となる。これは、摩擦熱によって軸受温度が上昇すると、潤滑に寄与している基油の粘度が低下するとともに、特に高速回転の場合には、遠心力によって、内輪側の接触面に潤滑油が供給されにくく、外輪よりも内輪の方が潤滑が厳しくなることも一つの要因と考えられる。
また、外輪と内輪及び転動体との間に温度差が生じると、これらの熱膨張量に差が生じることでラジアルすき間が減少してさらに摩擦熱を増大させ、一層焼付きが生じやすくなる。
焼付きの主たる原因は、接触面において十分な潤滑膜が形成されず、鋼同士が凝着を起こすためであり、凝着によって増大する摩擦力が、運転時の回転を推進する力を上回ることで生じる。従って、本発明では、摩擦熱の増大を抑制するとともに、凝着抑制効果の高い材料を適用することで、本発明の目的を達成する。
まず、本発明の第1の態様の実施の形態であるグリース封入玉軸受は、転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成することで、転動体の凝着抑制効果を高め、これにより、軸受サイズ等を変更することなく、高速回転下での耐久寿命を優れたものとする。
また、ラジアルすき間δと玉セットのピッチ径(JIS B0104)dm との比δ/dm を、1.5×10-4〜1.0×10-3とすることで、転がり疲れ寿命を十分確保しつつ、転動体の熱膨張あるいは残留オーステナイトの熱分解等に起因するラジアルすき間の減少を考慮した最適すき間を与える。
以下、転動体の合金成分及びその他の数値限定理由について述べる。
(C含有量:0.3〜1.2重量%)
C(炭素)は、鋼に必要な強度と寿命を得るために必要な元素であるが、これが少なすぎると、十分な強度が得られないだけでなく、後述する浸炭窒化処理の際に、必要な硬化層深さを得るための熱処理時間が長くなり、熱処理コストの増大につながる。そのため、炭素含有量は0.3重量%以上、好ましくは、0.6重量%以上とする。また、逆に、C含有量が多すぎると、製鋼時に巨大炭化物が生成され、その後の焼入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を与えたり、ヘッダー性が低下してコストの上昇を招く虞れがあるため、上限を1.2重量%とした。
(Si含有量:0.5〜2.0重量%)
Siは、製鋼時に脱酸剤として必要であるだけでなく、基地マルテンサイトを強化するとともに、組織安定性、焼戻し軟化抵抗性を高め、疲労寿命を延長したり、経時的な寸法や形状、精度変化を抑制するのに極めて有効な元素である。また、浸炭窒化層の諸特性を満足するための、表面窒素濃度を確保するためには、なくてはならない必須元素である。その効果を十分に発揮させるためには、少なくとも0.5重量%以上、好ましくは、0.8重量%以上が必要である。しかしながら、Siは含有量が多すぎると、ヘッダー性、被削性等を低下させるだけでなく、浸炭窒化処理特性が低下して十分な硬化層深さや窒素拡散深さを確保できなくなる場合があり、完成品鋼球においては、後述する所定の表面品質が得られない場合があるため、上限を2.0重量%以下、好ましくは1.5重量%以下とする。
(Mn含有量:0.2〜2.0重量%)
Mnは、Siと同様に、脱酸剤としての働きがある他、焼入れ性や転がり寿命を向上させる作用があり、0.2重量%以上は必要である。しかし、Mnは含有量が多すぎると、被削性、ヘッダー性を低下させるだけでなく、多量の残留オーステナイトが生成したりして、寸法安定性や耐疲労性が低下して良好な寿命が得られなくなる場合もあるため、上限を2.0重量%以下、好ましくは0.7重量%以下とする。
(Cr含有量:0.5〜2.0重量%)
Crは、基地に固溶して焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性などを高めるとともに、高硬度の微細な炭化物または炭窒化物を形成して、軸受材料の硬さや熱処理時の結晶粒粗大化を防止して軸受寿命を高める作用がある。また、焼戻し軟化抵抗性を高め、疲労寿命を延長したり、組織安定性を高め、経時的な寸法や形状、精度変化を抑制するのに有効な元素である。その効果を出すためには少なくとも0.5重量%以上、好ましくは1.3重量%以上必要であるが、2.0重量%を超えると、製鋼過程で巨大炭化物が生成して、その後の焼入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を与えたり、ヘッダー性や被削性が低下するため、その上限は、2.0重量%以下、好まいくは1.6重量%以下とする。
その他、MoやV等の炭化物形成促進元素もCrと同様の作用効果が得られるので、素材費や加工性低下によるコストアップが生じない範囲で、それぞれ選択的に0〜2重量%程度低下しても良い。
また、その他残部は、実質的にFeからなるが、不可避不純物としてS、P、Al、Ti、O等を含有する。これらの元素は、表面起点型フレーキングには特に際立った影響はないとされているが、その品質が著しく悪い場合には、内部起点型フレーキングが生じるようになるので、コストアップを招くような厳しい不純物規制は行なわないが、通常、軸受材料として使用できる清浄度規制(JIS G 4805)を満足する品質(ベアリング クオリティー)レベルとする。
(転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成)
本発明においては、まず、上記組成の線材をヘッダー加工及びフラッシング加工等によって、素球を製作し、その後、表面層に所定の窒素を富化させるために浸炭窒化処理を行なう。
窒素は、炭素と同しように、マルテンサイトの固溶強化に作用するだけでなく、窒化物または炭窒化物を形成して、摩擦摩耗特性を著しく高める作用がある。その効果を十分に発揮させるためには、少なくとも0.3重量%以上、好ましくは0.5重量%以上が必要である。ただし、必要以上に添加されると、窒化物または炭窒化物の析出量が増大して、焼入れ性が低下して、十分な耐疲労性が得られない場合がある。そこで、上限を2.0重量%以下とする。
また、浸炭窒化処理は、具体的には、RXガス、エンリッチガス及びアンモニアガスの混合ガス雰囲気中で行なわれるが、アンモニアガスは処理温度が高くなるほど分解しやすく、その結果、前記混合ガス中の残留アンモニアガスの濃度が小さくなり、十分な窒素量を転動体表面に富化できなくなる場合がある。また、温度が低いと、十分な炭素と窒素を基地組織に固溶させることができず、耐疲労性確保が難しくなる。そこで、浸炭窒化処理は、820〜850°C程度で実施されることが好ましい。
また、浸炭窒化処理した後は、油焼入れし、組織の安定化のため200〜270°C程度の焼戻しに供され、平均残留オーステナイト量を12体積%以下、好ましくは6体積%とする。その結果、JIS B 1501の高炭素クロム軸受鋼からなる玉軸受用鋼球の場合に比較して、より摩擦摩耗特性が優れるだけでなく、熱的安定性にも優れ、すきま変化による影響も含めて高速回転下での寿命を飛躍的に向上できる。
なお、その後、ボール疵の発生防止等の観点から、タンブリング加工あるいはボールピーニング加工等を行なうことで表面硬さを向上させ、最終的に、残留する加工歪による経時的な表面のウェービネス変化を抑制するため、140〜180°C程度で焼戻しを行ない、ラップ加工に供される。なお、完成鋼球の表面硬さは、好ましくは、Hv800〜1000程度とする。
また、転動体の表面粗さが大きくなると、高温高速条件下で十分な油膜が確保できずに金属接触が生じ、摩耗紛等の影響によりグリース劣化が生じて、十分な寿命改善効果が得られない場合がある。そのため、鋼球表面の粗さを、0.03μmRa以下、好ましくは0.01μmRa以下とする。
(δ/dm :1.5×10-4〜1.0×10-3
軸受の初期すき間が小さいと、温度が上昇した際にラジアルすき間が一層減少し、焼付きが発生しやすくなり、また大きすぎると、負荷容量が減少して転がり疲れ寿命が低下したり、振動や騒音が大きくなって軸受機能が低下する。そこで、転がり疲れ寿命を十分確保しつつ、転動体の熱膨張あるいは残留オーステナイトの熱分解等に起因するラジアルすき間の減少を考慮した最適すき間を与えるため、ラジアル隙間δと玉セットのピッチ径dm との比δ/dm を1.5×10-4〜1.0×10-3、好ましくは、2.0×10-4〜1.0×10-3とする。
次に、本発明の第2の態様の実施の形態であるグリース封入玉軸受を説明する。
本発明の第2の態様の実施の形態であるグリース封入玉軸受は、特に内輪及び転動体の熱膨張あるいは残留オーステナイトの熱分解による膨張等に起因したラジアルすき間の変化が、グリース封入玉軸受の高速回転時の寿命に大きく影響しているとの知見に基づいてなされたもので、残留オーステナイトの熱分解に起因するラジアルすき間の減少を極力抑制し、摩擦熱の―層の増大を効果的に抑止するため、内輪と転動体の残留オーステナイト量を共に0〜6体積%とし、これにより、軸受サイズ等を変更することなく、高速回転下での耐久寿命を優れたものとする。
前述したように、高速回転になると、すべり速度が増加し、摩擦熱が増大するが、この際、放熱条件や遠心力による接触面への潤滑油の供給能力の違い等により、軸受内部には温度差が生じ、内輪と転動体の温度が外輪の温度より高温になりやすい。このような温度差が存在することにより、ラジアルすき間が小さくなり、一層発熱が大きくなって焼付きを引き起こす。このラジアルすき間が小さくなる原因としては、温度差に起因して軸受部材の熱膨張量に差が生じることと、残留オーステナイト自体が熱分解して膨張する場合の2つがある。―般に、高炭素クロム軸受鋼においては、残留オーステナイト量は8〜l2体積%程度含有される。
そこで、特に発熱量の大きい、内輪と転動体の平均残留オーステナイト量を共に0〜6体積%、このましくは3体積%以下とし、残留オーステナイトの分解によるラジアルすき間の減少を図り、摩擦熱の増大を抑制する。但し、上記第1の態様の実施の形態の転動体の場合には、高炭素クロム軸受鋼の場合よりも熱安定性に優れるため、残留オーステナイト量は12体積%まで許容できるものとする。
また、この第2の態様の実施の形態についても、上記第1の態様の実施の形態と同様に、転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成することで、転動体の凝着抑制効果を高め、これにより、高速回転下での耐久寿命をより優れたものとするようにしてもよく、また、ラジアルすき間δと玉セットのピッチ径(JIS B0104)dm との比δ/dm を、1.5×10-4〜1.0×10-3、好ましくは、2.0×10-4〜1.0×10-3とすることで、転がり疲れ寿命を十分確保しつつ、転動体の熱膨張あるいは残留オーステナイトの熱分解等に起因するラジアルすき間の減少を考慮した最適すき間を与えるようにしてもよい。転動体の合金成分及びその他の数値限定理由については、上記第1の態様の実施の形態と同様である。
次に、本発明の効果を確認するための試験を行った。なお、試験軸受には、深溝玉軸受6303を用いた。
外輪及び内輪には、高炭素クロム軸受鋼を用い、焼入れ、焼戻しにより、硬さをHRC58〜62程度としたのものを使用した。なお、内輪については、焼戻し温度を170〜240°Cの範囲で変えることにより、鋼中に含有される残留オーステナイト量γR を調整した。
転動体には高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)及び1.0重量%C−1.0重量%Si−0.4重量%Mn−1.5重量%Cr組成の鋼(以下、鋼材Aと称する)を用い、まず、線材をヘッダー加工、フラッシング加工、粗旋削加工して素球を製作し、次に示す熱処理及び後工程を行なった後、タンブラー加工(バレル加工)を行ない、その後、再度、150〜170°Cで焼戻しを行ない、0.01μmRa以下までラップ仕上げして完成球とした。
なお、熱処理品質の影響を確認するために、浸炭窒化処理の際にはアンモニアガスの流量をコントロールして表面層のN(窒素)濃度を種々変えたもの、及び焼戻し温度により残留オーステナイト量γR を種々変えたものを作製した。
(転動体の熱処理方法)
1.浸炭窒化焼入れ(830°C×3hr、RXガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気)、200〜270°C焼戻し
2.焼入れ(840°C×0.5hr、RXガス雰囲気)、200〜270°C焼戻し
なお、内輪及び外輪の硬さは、ビッカース硬度計を用い、荷重9.8Nで測定した後、ロックウェル硬さに換算した値を用いた。また、内輪及び外輪の残留オーステナイト量γR は、50μm電解研磨して加工影響層を除去した後、X線回折により測定した。
転動体の硬さは、転動体表面を直接ビッカース硬度計を用いて9.8Nの荷重で測定した後、ロックウェル硬さに換算した値を用いた。なお、転動体の場合、残留オーステナイト量γR が、浸炭窒化処理、タンブラー加工あるいはボールピーニングの影響により、深さ方向に分布をもつため、電解研磨を用いて深さ方向に残留オーステナイト量γR を測定して、単位体積あたりの平均残留オーステナイト量として算定した。また、浸炭窒化した転動体の表面の窒素(N)濃度の測定には、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用い、定量分析も行った。
以上のようにして得られた各軸受部品と樹脂製の保持器を用いて、所望のラジアルすき間となるように深溝玉軸受6303を組み立て、40°Cにおける基油動粘度が31.6×10-62 /sのウレア系グリースを軸受空間容積の35〜40%となるように注入し、接触式シールで封入した。
試験条件は次の通りである。
(耐久寿命試験条件)
試験軸受:深溝玉軸受6303
荷重 :ラジアル荷重1710N、アキシャル荷重680N
回転数 : 20000min-1(20hrON−4hrOFF繰り返し)
温度 : 160°C
なお、寿命判定は、外輪温度が設定温度よりも10°C以上高くなった場合、あるいはメーターリレーによりトルク過大(初期トルクの1.5倍)となった場合とした。
表1に試験結果を示す。なお、表1の寿命比はいずれも比較例B−1の寿命を1としたときの相対比で示してある。
Figure 2005308191
表1から明らかなように、本発明の第1の態様の実施形態に対応する実施例A−1〜A−13は、比較例B−1に比較して、1.8〜4.5倍程度の寿命が得られている。これらの実施例A−1〜A−13においては、転動体に前記鋼材Aを用い、且つ浸炭窒化処理によりその表面に高濃度の窒素を付加したことで、凝着抑制効果が高く寿命が向上した。また、中でも、転動体の残留オーステナイト量γR を低減した実施例A−12、A−13で、特に寿命延長効果が大きかった。
また、本発明の第2の態様の実施形態に対応する実施例A−14〜A−24は、比較例B−1に対して、2.1〜8.2倍程度の寿命延長効果が得られている。これらの実施例A−14〜A−24においては、内輪及び転動体に含まれる残留オーステナイト量γR を共に6%以下としており、ラジアルすき間の減少によるすき間詰まりを抑制したことで、大きな寿命延長効果が得られた。
特に、実施例A−20〜A−24が比較例B−1に対して5倍以上の長寿命効果が得られているのは、先に述べた凝着抑制効果と残留オーステナイトの熱分解によるすき間詰まり防止の効果の両方が寄与したことが長寿命の原因と考えられる。
これに対して、比較例B−1〜B−4は、内輪及び転動体共に従来の焼入れ、焼戻しが施されたSUJ2の場合の例であるが、いずれも本発明に比較して寿命が劣っている。
また、比較例B−5、B−6は、前記鋼材Aからなる転動体を用いた場合の例であるが、転動体表面に付加された窒素濃度が十分ではなく、十分な寿命延長効果が得られていない。
図1に、ラジアルすき間δと玉セットのピッチ径(JIS B0104)dm との比δ/dm と、軸受寿命との関係を示す。なお、図中には、実施例A−1〜A−13(凝着抑制効果の高い転動体を用いた場合)及び実施例A−14〜A−19(内輪及び転動体に含まれる残留オーステナイト量γR を共に6%以下として、すき間詰まりを抑制した場合)、実施例A―20〜A―24(凝着抑制効果と残留オーステナイトの熱分解によるすき間詰まり防止効果の両方の効果を用いた場合)と、本発明外の比較例B−1〜B−6とに分類してδ/dm と軸受寿命との関係を示した。
図より、δ/dm が1.5×10-4から大きくなるに従って、寿命が長い傾向にあり、特に、実施例A−20〜A−24については、特に寿命延長効果が高いことが判る。
δ/dm と軸受寿命比との関係を示すグラフ図である。

Claims (4)

  1. 外輪と外輪との間に複数の転動体が周方向に転動自在に配設され、潤滑剤としてグリースが封入されたグリース封入玉軸受において、
    前記転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成したことを特徴とするグリース封入玉軸受。
  2. 外輪と外輪との間に複数の転動体が周方向に転動自在に配設され、潤滑剤としてグリースが封入されたグリース封入玉軸受において、
    前記転動体及び前記内輪の平均残留オーステナイト量を共に0〜6体積%としたことを特徴とするグリース封入玉軸受。
  3. 前記転動体として、少なくともC:0.3〜1.2重量%、Si:0.5〜2.0重量%、Mn:0.2〜2.0重量%、Cr:0.5〜2.0重量%を含有する鋼を用い、且つ転動面表面に窒素濃度:0.3〜2.0重量%の浸炭窒化層を形成したことを特徴とする請求項2に記載したグリース封入玉軸受。
  4. ラジアルすき間δと玉セットのピッチ径(JIS B0104)dm との比δ/dm を、1.5×10-4〜1.0×10-3としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載したグリース封入玉軸受。
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