JP2005307379A - ワイピング用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、従来のマイクロファイバー使いのワイピングクロスよりも拭き取り性に優れ、しかも対象物を傷つけにくい優れたワイピング用具を提供するものである。
【解決手段】有機ポリマーからなり数平均による単繊維直径が1〜500nmであるナノファイバーを含むワイピング用具。
【選択図】なし

Description

本発明は、従来のマイクロファイバー使いのワイピングクロスよりも拭き取り性能が高く、しかも対象物を傷つけにくい、優れた性能を有するワイピング用具に関するものである。
単繊維直径が2〜5μmのマイクロファイバーは、従来からめがね拭きやレンズ、電子機器のディスプレイ用のワイピングクロスに好適に利用されている。最近では、さらに布帛の緻密化により拭き取り性や寸法安定性を向上させるため、マイクロファイバーと高収縮糸の混繊糸からなるものも提案されている(特許文献1)。
しかし、従来のワイピングクロスはワイピング操作により、対象物によっては、対象物そのものを傷付けやすい場合があった。さらに、日常生活中のワイピングでは、ワイピング中にワイピングクロスと対象物の間に異物が混入し、さらに大きなスクラッチ傷を作りやすいものであった。このため、適用範囲がメガネや家庭用デジタルビデオカメラの液晶画面などに限定されており、例えばコンタクトレンズや銀製品などの柔らかで傷つきやすい対象物には適用できないという問題があった。さらに対象物中の微細な凹凸に入り込んだ汚れに対しての拭き取り性も充分とは言えないものであった。
従来のマイクロファイバーは単繊維直径が2〜5μm程度であり、対象物に押しつけた場合、対象物表面に応力集中が起こりやすいことが傷を付けやすい一因と考えられる。また、ワイピングクロスと対象物の間に異物が混入した場合は、さらに異物が押しつけられるため、異物により研磨している状態となり、スクラッチ傷が発生しやすいと考えられる。また、対象物のミクロンレベルの凹凸に汚れが入り込んでいる場合は、凹凸のサイズよりもマイクロファイバー単繊維が小さいとしても、マイクロファイバーの曲げ剛性がまだ大きく、凹凸に沿ってたわんで入り込めないため、汚れを掻き出せないものと考えられる。
以上の問題点より、従来のマイクロファイバーよりも応力を分散しやすく、しかもしなやかな繊維からなるワイピング用具が求められていた。
特開平9−19393号公報(1〜6ページ)
本発明は、従来のマイクロファイバー使いのワイピングクロスよりも拭き取り性に優れ、しかも対象物を傷つけにくい優れたワイピング用具を提供するものである。
上記目的は、有機ポリマーからなり数平均による単繊維直径が1〜500nmであるナノファイバーを含むワイピング用具により達成される。
本発明のナノファイバーからなるワイピング用具により、従来のマイクロファイバー使いのワイピングクロスよりも拭き取り性に優れ、しかも対象物を傷つけにくい優れたワイピングが可能となり、コンタクトレンズや銀製品、宝飾品など、繊細で柔らかな物をワイピングすることができる。
本発明で言うワイピング用具とは、対象物の汚れを拭き取る用具のことを言い、具体的な形態としてはワイピングクロスやブラシ、ワイピング棒等が挙げられる。また、対象物としては、人間以外のものであれば何でも対象となり得る。より、具体的に柔らかで傷つきやすい材料としては、真珠や珊瑚などの宝石類、また金、銀、アルミなどの金属類、またポリマー製品類などモース硬度の低い材料、また漆や塗料などの剥がれやすいものを挙げることができる。また、細かな物として、コンタクトレンズなどのレンズ類、宝飾品、食器類、光ファイバーなどの通信設備や情報伝達設備のコネクター部などが挙げられる。また、表面形状に溝が多い物としては、研磨仕上げしたガラス類や金属類、また焼き物などを挙げることができる。また、ワイピング中に異物を混入し易い対象としては、車輌外装や車輌のガラス類、またカメラのレンズや液晶画面、またコンタクトレンズやICカードの読み取り機など屋外で使用する機会が多い物が挙げられる。
また、本発明のワイピング用具においては、ワイピング機能は主としてナノファイバーが担当するものである。ワイピング用具は、例えばワイピングクロスのようにナノファイバーを含む布帛からだけで成り立っていても、ブラシのように用具の一部にナノファイバーが搭載されている物でも良い。
本発明で言う有機ポリマーとは、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、生体ポリマーなどが挙げられるが、成形性の点から熱可塑性ポリマーが好ましい。また、熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフィン等が挙げられる。また、ポリマーの融点は165℃以上であるとナノファイバーの耐熱性が良好であり好ましい。例えば、ポリ乳酸(PLA)は170℃、PETは255℃、N6は220℃である。また、ポリマーには粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加物を含有させていても良い。またポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。
本発明で言うナノファイバーとは単繊維直径が1nm以上1000nm未満の単繊維のことを言うものである。
本発明では、数平均による単繊維直径が1〜500nmのナノファイバーをワイピング用具に含むことが重要である。繊維のしなやかさは単繊維直径に大きく影響され、曲げに対する抵抗力の指標となる断面二次モーメントは直径の4乗に比例するため、単繊維直径が1/10になれば断面二次モーメントは1万分の1となる。すなわち、単繊維直径が1/10になれば、しなやかさは1万倍と考えることができる。この観点から、ナノファイバーの数平均による単繊維直径はより小さい方が好ましく、好ましくは25〜200nm、より好ましくは30〜100nm、さらに好ましくは30〜80nmである。
ここで、数平均による単繊維直径は以下のようにして求めることができる。すなわち、単繊維束の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単繊維直径を測定し、これらの単純に平均することで求めることができる。
このような極めて細い繊維とすることで、従来のマイクロファイバーとは異なり、ナノファイバーが対象物表面の細かな凹凸に容易に入り込み、汚れを除去し易くなるのである。さらに、特に織編物ではナノファイバー同士が集合し、ナノファイバー束を形成している場合があるが、このナノファイバー束中の単繊維の数が多い(1万〜200万本程度)ため、ナノファイバー束が容易に変形することができ、ワイピング中に応力分散しやすく、対象物に傷を付けにくいのである。一方、従来のマイクロファイバーではマイクロファイバー束中の単繊維の数が少ない(数十〜2000本程度)ため、マイクロファイバー束の変形に制限があり、ワイピング中に応力集中が起こりやすく、これにより対象物に傷を付ける場合があるのである。
また、繊維のしなやかさを保証する観点から、太繊度の単繊維がほとんど存在しないことが好ましい。より具体的には、単繊維直径が500nm以上の単繊維のナノファイバー全体に対する繊維比率が3%以下であることが好ましく、単繊維直径が200nm以上の単繊維のナノファイバー全体に対する繊維比率が3%以下であることがより好ましく、単繊維直径が100nm以上の単繊維のナノファイバー全体に対する繊維比率が3%以下であることがさらに好ましい。
ここで、繊維比率とは、上記TEM観察の単繊維直径データを用い、ナノファイバーそれぞれの単繊維の面積をSとしその総和を総面積(S+S+…+S)とする。また、同じ単繊維直径を持つナノファイバーの頻度(個数)を数え、その積を総面積で割ったものをその単繊維の繊維比率とする。これは全体(ナノファイバー束)に対する各単繊維直径成分の重量分率(体積分率)に相当し、これが大きい単繊維直径成分がナノファイバー束の性質に対する寄与が大きいことになる。
また、本発明のナノファイバーにおいて、特に単繊維直径が200nm以下となると、比表面積が飛躍的に大きくなるだけでなく繊維間に無数の数nm〜数百nmの空隙を有するため、従来のマイクロファイバーでは見られなかったナノファイバー特有の優れた吸着・吸収特性を示す。
このため、ナノファイバーは汚れを吸着・吸収しやすくなり、擦って汚れを除去するだけでなく、吸着・吸収というより対象物に損傷を与えないメカニズムでも汚れを除去することができるのである。吸着・吸収特性をさらに活かすためには、疎水的な汚れに対してはポリエステルやポリオレフィンなどの疎水性ポリマーを、親水的な汚れに対してはポリアミドなどの親水性ポリマーからなるナノファイバーを含むワイピング用具とすることが好ましい。
さらに、上記吸着・吸収特性は、ナノファイバーに様々なガスや液体、また機能分性薬剤を坦持することができることを意味するだけでなく、それらの徐放性にも優れているのである。
また、液体が単繊維間に坦持されるため、液体保持性能が従来のマイクロファイバーに比べ飛躍的に向上し、多量の液体を坦持できるだけでなく、ナノファイバー束からこぼれにくいという好ましい性質を示すようになる。
本発明で用いるナノファイバーはワイピング用具の使い勝手に応じて、糸(いと)、綿(わた)、布帛などの任意の形状に加工されていることが好ましい。ここで、糸とはナノファイバーを含む1次元構造体のことを言い、より具体的には長繊維、短繊維、紡績糸のことを言う。また、綿(わた)とは短繊維に捲縮を施し、開繊させた物のことを言う。糸の場合には、弓の弦のような形態、電植などによりパイル状にすることが使い勝手の点から好ましい。布帛としては、織編物やパイル布帛あるいは不織布、紙など多様な形態を採ることができる。例えば、ある程度のストレッチ性や布帛としての形状追従性を付与するためには編物とすることが好ましく、布帛の寸法安定性を向上させるためには織物や不織布、紙とすることが好ましい。また、布帛を厚くし、手持ち感を充実させワイピングの操作性を向上させるには不織布とすることが好ましい。また、ナノファイバーをなるべく単繊維分散させ、拭き取り性を向上させるためには、湿式抄紙などにより紙とすることが好ましい。
また、本発明のワイピング用具に用いる布帛の目付は用途に応じて任意に選択することができるが、目付が20g/m以上100g/m以下のような薄地とすると、指などに巻き付けて使用したりする際、指などに布帛が貼り付きやすいのでワイピング操作しやすく好ましい。一方、目付を100g/mより大きく300g/m以下ような中厚地とすると、布帛を手に持ってワイピング操作しやすく好ましい。
本発明のワイピング用具に用いる糸、綿、布帛はナノファイバーのみから構成されていても良いが、形態安定性や嵩高性を確保するため、単繊維直径が1〜50μmの繊維が混用されていても良い。このような混用品中のナノファイバーの存在形態は、混繊、カバリング、合撚、混綿、混紗、積層、コーティングなど多様な形態を採ることができる。特に、混綿、混紗、コーティングの時には、混用する繊維は単繊維直径が1〜7μmのマイクロファイバーとすることが、ナノファイバーとの馴染みの点から好ましい。
本発明で用いるナノファイバーの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法を採用することができる。
すなわち、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なるポリマーをアロイ化したポリマーアロイ溶融体となし、これを紡糸した後、冷却固化して繊維化する。そして必要に応じて延伸・熱処理を施しポリマーアロイ繊維を得る。そして、易溶解性ポリマーを溶剤で除去することにより本発明のナノファイバー束を得ることができる。
ここで、ナノファイバー集合体の前駆体であるポリマーアロイ繊維中で易溶解性ポリマーが海(マトリックス)、難溶解性ポリマーが島(ドメイン)となし、その島サイズを制御することが重要である。ここで、島サイズは、ポリマーアロイ繊維の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察し、直径換算で評価したものである。前駆体中での島サイズによりナノファイバーの直径がほぼ決定されるため、島サイズの分布は本発明のナノファイバーの直径分布に準じて設計される。このため、アロイ化するポリマーの混練が極めて重要であり、本発明では混練押出機や静止混練器等によって高度に混練することが好ましい。なお、単純なチップブレンド(例えば特開平6−272114号公報)では混練が不足するため、本発明のような数十nmサイズで島を分散させることは困難である。
具体的に混練を行う際の目安としては、組み合わせるポリマーにもよるが、混練押出機を用いる場合は、2軸押出混練機を用いることが好ましく、静止混練器を用いる場合は、その分割数は100万以上とすることが好ましい。また、ブレンド斑や経時的なブレンド比率の変動を避けるため、それぞれのポリマーを独立に計量し、独立にポリマーを混練装置に供給することが好ましい。このとき、ポリマーはペレットとして別々に供給しても良く、あるいは、溶融状態で別々に供給しても良い。また、2種以上のポリマーを押出混練機の根本に供給しても良いし、あるいは、一成分を押出混練機の途中から供給するサイドフィードとしても良い。
混練装置として二軸押出混練機を使用する場合には、高度の混練とポリマー滞留時間の抑制を両立させることが好ましい。スクリューは、送り部と混練部から構成されているが、混練部の長さをスクリューの有効長さの20%以上とすることで高混練とすることができ好ましい。また、混練部の長さがスクリュー有効長さの40%以下とすることで、過度の剪断応力を避け、しかも滞留時間を短くすることができ、ポリマーの熱劣化やポリアミド成分等のゲル化を抑制することができる。また、混練部はなるべく二軸押出機の吐出側に位置させることで、混練後の滞留時間を短くし、島ポリマーの再凝集を抑制することができる。加えて、混練を強化する場合は、押出混練機中でポリマーを逆方向に送るバックフロー機能のあるスクリューを設けることもできる。
また、島を数十nmサイズで超微分散させるには、ポリマーの組み合わせも重要である。
島ドメイン(ナノファイバー断面)を円形状に近づけるためには、島ポリマーと海ポリマーは非相溶であることが好ましい。しかしながら、単なる非相溶ポリマーの組み合わせでは島ポリマーが充分超微分散化し難い。このため、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメータ(SP値)である。SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近い物同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は種々のポリマーで知られているが、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m1/2であると、非相溶化による島ドメインの円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えばナイロン6(N6)とPETはSP値の差が6(MJ/m1/2程度であり好ましい例であるが、N6とポリエチレン(PE)はSP値の差が11(MJ/m1/2程度であり好ましくない例として挙げられる。
また、ポリマー同士の融点差が20℃以下であると、特に押出混練機を用いた混練の際、押出混練機中での融解状況に差を生じにくいため高効率混練しやすく、好ましい。
また、熱分解や熱劣化し易いポリマーを1成分に用いる際は、混練や紡糸温度を低く抑える必要があるが、これにも有利となるのである。ここで、非晶性ポリマーの場合は融点が存在しないためガラス転移温度あるいはビカット軟化温度あるいは熱変形温度でこれに代える。
さらに、溶融粘度も重要であり、島を形成するポリマーの方を低く設定すると剪断力による島ポリマーの変形が起こりやすいため、島ポリマーの微分散化が進みやすくナノファイバー化の観点からは好ましい。ただし、島ポリマーを過度に低粘度にすると海化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、島ポリマー粘度は海ポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。また、海ポリマーの溶融粘度は紡糸性に大きな影響を与える場合があり、海ポリマーとして100Pa・s以下の低粘度ポリマーを用いると島ポリマーを分散させ易く好ましい。また、これにより紡糸性を著しく向上できるのである。この時、溶融粘度は紡糸の際の口金面温度で剪断速度1216sec−1での値である。
本発明で用いる超微分散化したポリマーアロイを紡糸する際は、紡糸口金設計が重要であるが、糸の冷却条件も重要である。上記したようにポリマーアロイは非常に不安定な溶融流体であるため、口金から吐出した後に速やかに冷却固化させることが好ましい。このため、口金から冷却開始までの距離は1〜15cmとすることが好ましい。ここで、冷却開始とは糸の積極的な冷却が開始される位置のことを意味するが、実際の溶融紡糸装置ではチムニー上端部でこれに代える。
また、紡糸されたポリマーアロイ繊維には延伸・熱処理を施すことが好ましいが、延伸の際の予熱温度は島ポリマーのガラス転移温度(T)以上の温度することで、糸斑を小さくすることができ、好ましい。
このようにして得られたポリマーアロイ繊維は、公知の方法にしたがい織編物にしたり、パイル布帛や不織布にすることができる。不織布にする際は、ニードルパンチ法や水流交絡法などの公知の方法を利用することができる。
このようにして得られたポリマーアロイ繊維や布帛から海ポリマーである易溶解ポリマーを溶剤で溶出することで、ナノファイバーやそれからなる布帛を得るのであるが、その際、溶剤としては水溶液系のものを用いることが環境負荷を低減する観点から好ましい。具体的にはアルカリ水溶液や熱水を用いることが好ましい。このため、易溶解ポリマーとしては、ポリエステルやポリカーボネート(PC)等のアルカリ加水分解されるポリマーやポリアルキレングリコールやポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体等の熱水可溶性ポリマーが好ましい。
ところで、ナノファイバーを一本一本までに単繊維分散させるためには、例えば以下のような湿式抄紙法により達成することができる。すなわち、本発明のポリマーアロイ繊維を合糸してトウとなし、その後易溶解性ポリマーを溶出する。次に、このナノファイバー束からなる短繊維を叩解機によって単繊維までバラバラにする。フィブリル化は、生産レベルではナイアガラビータ、リファイナーで加工され、実験的には、家庭用ミキサーやカッター、ラボ用粉砕器やミキサーやカッター、バイオミキサー、ロールミル、乳鉢、抄紙用PFI叩解機などがある。そして、これを液体に投入し、必要に応じ分散剤を用いて、ナノファイバー液体分散体を得る。そして、これを抄紙することによって単繊維分散したナノファイバー紙を得ることができる。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.ポリマーの溶融粘度
東洋精機キャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
B.融点
Perkin Elmaer DSC−7を用いて2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
C.ポリマーアロイ繊維のウースター斑(U%)
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
D.TEMによる繊維横断面観察
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
TEM装置 : 日立社製H−7100FA型
E.ナノファイバーの数平均による単繊維直径
TEMによる繊維横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単繊維直径を計算し、それの単純な平均値を求めた。これを「数平均による単繊維直径」とした。この時、平均に用いるナノファイバー数は同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単繊維直径を測定した。
F.繊維比率
上記TEM観察の単繊維直径データを用い、ナノファイバーそれぞれの単繊維の面積をSとしその総和を総面積(S+S+…+S)とする。また、同じ単繊維直径を持つナノファイバーの頻度(個数)を数え、その積を総面積で割ったものをその単繊維の繊維比率とした。
G.SEM観察
繊維に白金−パラジウム合金を蒸着し、走査型電子顕微鏡で繊維側面を観察した。
SEM装置 : 日立社製S−4000型
H.力学特性
室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。

実施例に用いたナノファイバーの原糸であるポリマーアロイ繊維の製造を以下の参考例に示した。
参考例1
溶融粘度53Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度310Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を2軸押し出し混練機で260℃で混練してポリマーアロイチップを得た。なお、この共重合PETの262℃、1216sec−1での溶融粘度は180Pa・sであった。このときの混練条件は以下のとおりであった。
スクリュー型式 同方向完全噛合型 2条ネジ
スクリュー 直径37mm、有効長さ1670mm、L/D=45.1
混練部長さはスクリュー有効長さの28%
混練部はスクリュー有効長さの1/3より吐出側に位置させた。
途中3個所のバックフロー部有り
ポリマー供給 N6と共重合PETを別々に計量し、別々に混練機に供給した。
温度 260℃
ベント 2個所
このポリマーアロイを275℃で溶融し、紡糸温度280℃のスピンブロックに導いた。そして、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体を濾過した後、口金面温度262℃とした口金から溶融紡糸した。この時、口金としては、吐出孔上部に直径0.3mmの計量部を備えた、吐出孔径が0.7mm、吐出孔長が1.85mmのものを用いた。そして、この時の単孔あたりの吐出量は2.9g/分とした。さらに、口金下面から冷却開始点までの距離は9cmであった。吐出された糸条は20℃の冷却風で1mにわたって冷却固化され、口金から1.8m下方に設置した給油ガイドで給油された後、非加熱の第1引き取りローラーおよび第2引き取りローラーを介して900m/分で巻き取られた。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これを第1ホットローラーの温度を90℃、第2ホットローラーの温度を130℃として延伸熱処理した。この時、第1ホットローラーと第2ホットローラー間の延伸倍率を3.2倍とした。得られたポリマーアロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%、U%=1.7%の優れた特性を示した。また、得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、共重合PETが海(薄い部分)、N6(濃い部分)が島の海島構造を示し、島N6の数平均による直径は55nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
参考例2
溶融粘度212Pa・s(262℃、剪断速度121.6sec−1)、融点220℃のN6と重量平均分子量12万、溶融粘度30Pa・s(240℃、2432sec−1)、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)を用い、N6の含有率を45重量%とし、混練温度を220℃として参考例1と同様に溶融混練し、ポリマーアロイチップを得た。なお、ポリ乳酸の重量平均分子量は以下のようにして求めた。試料のクロロホルム溶液にTHF(テトラヒドロフラン)を混合し測定溶液とした。これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)Waters2690を用いて25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。また、このポリL乳酸の215℃、1216sec−1での溶融粘度は86Pa・sであった。
これを溶融温度230℃、紡糸温度230℃(口金面温度215℃)、紡糸速度3500m/分で参考例1と同様に溶融紡糸を行った。この時、口金として口金孔径0.3mm、孔長0.55mmの通常の紡糸口金を使用したが、バラス現象はほとんど観察されず、参考例1に比べても大幅に紡糸性が向上し、1tの紡糸で糸切れは0回であった。この時の単孔吐出量は0.94g/分とした。これにより、92dtex、36フィラメントの高配向未延伸糸を得たが、これの強度は2.4cN/dtex、伸度90%、沸騰水収縮率43%、U%=0.7%と高配向未延伸糸として極めて優れたものであった。特に、バラスが大幅に減少したのに伴い、糸斑が大幅に改善された。
この高配向未延伸糸を延伸温度90℃、延伸倍率1.39倍、熱セット温度130℃として参考例1と同様に延伸熱処理した。得られた延伸糸は67dtex、36フィラメントであり、強度3.6cN/dtex、伸度40%、沸騰水収縮率9%、U%=0.7%の優れた特性を示した。またこのポリマーアロイ繊維中でN6は数平均による直径が110nmで均一に分散していた。
参考例3
溶融粘度120Pa・s(262℃、121.6sec−1)、融点225℃のPBTと2−エチルヘキシルアクリレートを22%共重合したポリスチレン(PS)を、PBTの含有率を25重量%とし、混練温度を240℃として参考例1と同様に溶融混練し、ポリマーアロイチップを得た。この時、共重合PSの262℃、121.6sec−1での溶融粘度は140Pa・s、245℃、1216sec−1での溶融粘度は60Pa・sであった。
これを溶融温度260℃、紡糸温度260℃(口金面温度245℃)、紡糸速度1200m/分で参考例1と同様に溶融紡糸を行った。この時、口金として参考例1で用いたものと同様の紡糸口金を使用した。紡糸性は良好であり、1tの紡糸で糸切れは1回であった。この時の単孔吐出量は1.0g/分とした。得られた未延伸糸を参考例1と同様に延伸熱処理した。得られた延伸糸は161dtex、36フィラメントであり、強度1.4cN/dtex、伸度33%、U%=2.0%であった。
得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、共重合PSが海(薄い部分)、PBTが島(濃い部分)の海島構造を示し、PBTの数平均による直径は70nmであり、PBTがナノサイズで均一分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
参考例4
溶融粘度220Pa・s(262℃、121.6sec−1)、融点225℃のPTTと新日鐵化学社製共重合PS(“エスチレン”KS−18、メチルメタクリレート共重合、溶融粘度110Pa・s、262℃、121.6sec−1)を、PTTの含有率を25重量%とし、混練温度を240℃として参考例1と同様に溶融混練し、ポリマーアロイチップを得た。また、この共重合PSの245℃、1216sec−1での溶融粘度は76Pa・sであった。
これを溶融温度260℃、紡糸温度260℃(口金面温度245℃)、紡糸速度1200m/分で参考例3と同様に溶融紡糸を行った。この時、口金として参考例1で用いたものと同様に吐出孔上部に直径0.23mmの計量部を備えた、吐出孔径が2mm、吐出孔長が3mmの紡糸口金を使用した。紡糸性は良好であり、1tの紡糸で糸切れは1回であった。この時の単孔吐出量は1.0g/分とした。得られた未延伸糸を90℃の温水バス中で2.6倍延伸を行った。これの横断面をTEMで観察したところ、共重合PSが海(薄い部分)、PTTが島(濃い部分)の海島構造を示し、PTTの数平均による直径は75nmであり、PTTがナノサイズで均一分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。また、これは単糸繊度3.9dtex、強度1.3cN/dtex、伸度25%であった。
参考例5
溶融粘度350Pa・s(220℃、剪断速度121.6sec−1)、融点162℃のポリプロピレン(PP)(22重量%)と参考例2で使用したPLA(78重量%)を混練温度を220℃として、参考例1と同様に溶融混練しポリマーアロイペレットを得た。なお、このPLAの220℃、121.6sec−1における溶融粘度は107Pa・sであり、215℃、1216sec−1での溶融粘度は86Pa・sであった。
このポリマーアロイペレット、溶融温度230℃、紡糸温度230℃(口金面温度215℃)、単孔吐出量1.50g/分、紡糸速度900m/分として参考例2と同様に溶融紡糸を行った。得られた未延伸糸を延伸温度90℃、延伸倍率2.7倍、熱セット温度130℃の条件で延伸熱処理し、ポリマーアロイ繊維を得た。
参考例6
特開平9−19393号公報の実施例1に準じ、ホモPET(島成分)とアルカリ熱水可溶型ポリエステル(海成分)からなる海島複合糸の仮撚り加工糸を作製した。さらに、やはり特開平9−19393号公報の実施例1に準じ、この海島複合糸と高収縮ポリエステル糸をエア混繊した。
実施例1〜5および比較例1
参考例1〜6で得られたポリマーアロイ繊維を丸編みした。そして、参考例1、2、5の繊維を用いた丸編みを3%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)で2時間浸漬することでポリマーアロイ繊維中の海ポリマーの99%以上を加水分解除去した。また、参考例3、4の繊維を用いた丸編みをトリクロロエチレンで処理することで海ポリマーの99%以上を溶出した。この結果得られた丸編み中から繊維を引き出し、繊維横断面をTEM観察することでナノファイバーの単繊維直径を求め、表1に示した。
この丸編みを市販の化粧用パフに両面テープで貼り付け、ワイピング用具を作製した。これらを水に30分間浸漬した後、拭き取りテストを行った。テストは以下のようにして行った。まず、表面にミクロン単位の細かい傷が付いた金属(SUS316)製の板の傷と順方向に油性マジック(サクラペンタッチ#36)で汚れを付けた(図1)。ここで、図1のスケール格子は1マスが625μmを示している。そして傷と順方向にワイピング用具を300往復させてマジック汚れを拭き取り、その前後での汚れの状態変化をマイクロスコープ(KEYENCE社製DIGITAL MICROSCOPE VHX−100)で観察した。例として参考例1の繊維を用いたものと参考例6の繊維を用いたものの比較を図2〜5に示すが、本発明である参考例1の繊維を用いたものでは、ミクロン単位の細かい溝中の汚れまである程度拭き取れている(図3)が、比較例である参考例6の繊維を用いたものではほとんど拭き取れていないことがわかった(図5)。
拭き取り状況を表1にまとめたが、より細いナノファイバー拭き取り性に優れていた。また、油性マジック汚れに対しては、疎水性ポリマーを用いると、単繊維直径が太目でも一定の拭き取り効果が得られることがわかった。
Figure 2005307379
実施例6
参考例1で作製したポリマーアロイ繊維を用いて丸編みを作製し、これを3%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)で2時間浸漬することでポリマーアロイ繊維中の共重合PETの99%以上を加水分解除去した。この結果得られた、N6単独糸からなる丸編みは、海ポリマーである共重合PETが除去されたにもかかわらず、丸編み形状を保っていた。また、この丸編みの目付は60g/mであった。
このN6単独糸からなる丸編みから糸を引きだし、繊維側面をSEMにより観察したところ、この糸は1本の糸ではなく無数のナノファイバーが集合して全体としては無限に連続するナノファイバー束であることが分かった。また、このN6ナノファイバー束のナノファイバー同士の間隔は数nm〜数100nm程度であり、極めて微小な空隙が存在していた。さらにこれの繊維横断面をTEMによって観察した結果、このN6ナノファイバーは単繊維直径が数十nm程度であることがわかった。そして、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が100nm以上の単繊維の繊維比率は0%であった。
この丸編みを用いて指サック型のワイピング用具を作製した。このナノファイバー編物からなる指サックは、水に濡らすと指に貼り付き、しかも薄いため、ワイピイング時の繊細な力加減が容易であり、細かいワイピング作業に好適なワイピング用具であった。
実際に、これを親指と中指にはめ、装用後のコンタクトレンズのワイピングテストを行ったところ、従来マイクロファイバー使いのワイピング用具(比較例2)ではクロスが厚いため微妙な力加減が難しく、しばしばコンタクトレンズを裏返してしまったり、無理な力を掛けることがあったのに対し、この指サックはコンタクトレンズを裏返すことはなく、無理な力を掛けることもなかった。
また、コンタクトレンズ10枚の拭き取りテストにおいて、汚れの拭き取り性に優れ、しかもスクラッチ傷も皆無であった。
なお、このワイピングテストは、ワイピング用具を30分、25℃の水に浸漬させた後行った。
比較例2
特開平9−19393号公報の実施例1に準じ、参考例6で得られた混繊糸を丸編みした後、海成分を除去し、水流交絡加工を施し、130℃で熱セットし、目付210g/mのワイピングクロスを得た。このマイクロファイバーの単繊維直径は2.8μmであった。これを用い、実施例6と同様に指サックを作製したが、厚ぼったく繊細なワイピングには不向きな物であった。これを親指と中指にはめ、コンタクトレンズのワイピングテストを行ったところ、クロスが厚いため微妙な力加減が難しく、しばしばコンタクトレンズを裏返しになり、無理な力を掛けることがあった。
また、コンタクトレンズ10枚を拭いた時にスクラッチ傷が付いてしまった物が2枚あった。
実施例7
参考例2で作製したポリマーアロイ繊維を経糸および緯糸に用いて平織りを作製した。これを1%の水酸化ナトリウム水溶液(90℃、浴比1:100)で1時間浸漬することでポリマーアロイ繊維中のPLAの99%以上を加水分解除去した。この結果得られた、N6単独糸からなる平織りは、海ポリマーであるPLAが除去されたにもかかわらず、織物形状を保っていた。また、この織物の目付は95g/mであった。
このN6単独糸からなる織物から糸を引きだし、繊維側面をSEMにより観察したところ、この糸は1本の糸ではなく無数のナノファイバーが集合して全体としては無限に連続するナノファイバー束であることが分かった。また、このN6ナノファイバー束のナノファイバー同士の間隔は数nm〜数100nm程度であり、極めて微小な空隙が存在していた。さらにこれの繊維横断面をTEMによって観察したところ、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は120nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が200nm以上の単繊維の繊維比率は1%であった。
この織物はそのままでは手持ち感が無く、ワイピング操作しにくかったので、これを市販のパフに両面テープで貼り付け、ワイピング用具を作製した。これを用いて銀製の皿(直径15cm)のワイピングを10枚行ったが、汚れの拭き取り性に優れ、しかもスクラッチ傷は皆無であった。
なお、このワイピングテストは、ワイピング用具を30分、25℃の水に浸漬させた後行った。
実施例8
参考例1で作製したポリマーアロイ繊維を2糸条と参考例6で用いた高収縮ポリエステル繊維1糸条を参考例7と同様にエア交絡した。市販のN6繊維(44dtex、34フィラメント)を経糸に、得られた混繊糸を緯糸に用い5枚バックサテンを製織した。この後、実施例1と同様に海ポリマーを除去し、目付140g/mの織物を得た。
この織物から緯糸を引きだし、繊維横断面をTEMによって観察した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が100nm以上の単繊維の繊維比率は0%であった。
この織物はそのままでも手持ち感があるものであった。これを用いて、実施例7と同様に銀製の皿のワイピングを10枚行ったが、汚れの拭き取り性に優れ、しかもスクラッチ傷は皆無であった。
比較例3
参考例6で得られた海島複合糸(仮撚り加工糸)を経糸および緯糸に用い、実施例7と同様に平織りを作製した後、比較例1と同様に海成分を除去し、さらに180℃で熱セットして目付180g/mの織物を得た。これを用いて実施例7と同様に銀製の皿のワイピングテストを10枚行ったが、2枚にスクラッチ傷が付いてしまった。
実施例9、10
参考例3および4で作製したポリマーアロイ繊維を合糸して7万dtexのトウとし、さらに機械捲縮を施した。さらに繊維長51mmにカットした後、カットファイバーをカードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、400g/mの繊維絡合不織布とした。さらにポリエーテル系ポリウレタンを主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布にトリクレン処理を行い、共重合PSを溶出することでPBTおよびPTTナノファイバーとPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。この1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー集合体立毛面を形成し、さらに染色して意匠性に優れた不織布を得た。これは、従来のマイクロファイバーからなる不織布に比べ柔らかできめ細かいだけでなく弾力性にも富む優れた風合いの物であった。
また、カットファイバーとする前の糸をサンプリングし、このポリマーアロイ繊維を実施例1と同様に丸編み後、トリクレンに浸漬する事により、海成分である共重合PSの99%以上を溶出した。これによりPBTおよびPTTナノファイバー集合体を得たが、ナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1と同様に解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径はPBTで85nm、PTTで95nmと従来にない細さであり、単繊維直径200nm以上の太繊度糸の繊維比率は双方とも0%であった。
これらのナノファイバー不織布は目付が150g/mと手持ち感が充分であり、そのままワイピングクロスとして利用できるものであった。これらを用いて実施例7と同様に銀製の皿のワイピングテストを10枚行ったが、スクラッチ傷が付いたものは皆無であった。
実施例11
実施例7で作製した混繊糸を丸編みした後、実施例7と同様にアルカリ処理を行い、ナノファイバーを含む丸編みを得た(目付90g/m)。この丸編みからナノファイバー束を引き出し、単繊維直径を解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は120nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が200nm以上の単繊維の繊維比率は1%であった。
通常パイル織物が用いられる靴のポリッシュ用ブラシの先にこの丸編みを縫いつけ、さらにこの丸編み部分にシリコーンオイルを染みこませた。これを用いて黒の革靴をワイピングしたところ、色落ちがほとんど無いものであった。
実施例12
参考例1で作製したポリマーアロイ繊維を合糸し、4000dtexのトウした後、ギロチンカッターで2mmにカットし、これを98℃、10%水酸化ナトリウムで1時間処理し、海ポリマーを除去した。残った繊維をフィルターで濾過し、さらに、これを含水率が約100%まで遠心分離器で脱水した後、水洗と脱水を5回繰返し水酸化ナトリウムを除去しナノファイバー束からなる短繊維を得た。これをナイアガラビータの容器に約20リットルの水と30gの該短繊維を投入し、繊維を10分間1次叩解した。この繊維を遠心分離器で水分を除去し、繊維濃度が10%の1次叩解繊維を得た。この1次叩解繊維をPFI叩解装置で10分間2次叩解した後、脱水しナノファイバーの10%濃度フィブリル繊維を得た。
さらに、この10%濃度フィブリル繊維5.5gとアニオン系分散剤を1リットルの水と共に離解機機に入れ5分間分散させた。該離解機中の溶液を実験用抄紙機の容器に入れ、水を追加し20リットルの溶液とする。溶液を事前に抄紙用金網ネット上にのせた25cm角の通常のPPメルトブロー不織布上に抄紙しメルトブロー不織布上にN6ナノファイバーが単繊維分散した複合不織布を得た。この時のPPの単繊維直径は数平均で3μmであった。
これの目付は60g/mであったので、市販の化粧用パフに両面テープで貼り付けた。これの拭き取り性を実施例1と同様に評価したところ、拭き取り性は5級と優れたものであった。
なお、叩解前のナノファイバー束の単繊維直径を解析した結果、ナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が100nm以上の単繊維の繊維比率は0%であった。
実施例13
参考例1で得たポリマーアロイ繊維を用いて実施例7と同様に平織りを作製した。これを1%の水酸化ナトリウム溶液(80℃、浴比1:40)で処理することで、海ポリマーの50%を除去して、ポリマーアロイ繊維の表面だけにナノファイバーを発生させた。このナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が100nm以上の単繊維の繊維比率は0%であった。また、この織物の目付は120g/mであったため、ワイピングクロス単独でも手持ち感は充分なものであった。
これを用いて実施例7と同様にワイピングテストを行ったが、スクラッチ傷は皆無であった。
実施例14
参考例2で作製したポリマーアロイ繊維を4本合撚した後、1重にカセ取りした。このカセを実施例2と同様にアルカリ処理し、海ポリマーの99%以上を除去し、ナノファイバー束を得た。このナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が100nm以上の単繊維の繊維比率は0%であった。
このナノファイバー束を市販の舌ブラシ用の弓形の枠に張り、丸棒状のものをワイピングするのに適したワイピング用具を作製した。
実施例15
参考例2で作製したポリマーアロイ繊維を3000dtexに合糸とした後、機械捲縮を施し、さらに先染め用のパッケージに巻き取った。これを先染め用の装置を用い、実施例2と同様にアルカリ処理し、海ポリマーの99%以上を除去し、ナノファイバー束を得た。このナノファイバーの数平均による単繊維直径は60nmと従来にない細さであった。また、単繊維直径が100nm以上の単繊維の繊維比率は0%であった。さらにこのナノファイバー束を繊維長51mmにカットした後、カードで解繊し、ナノファイバー綿(わた)を作製した。この綿を束ねて食器洗い用のワイピング用具を作製した。
実施例16
実施例6で作製した丸編みを用いて、長さ1cm、直径2.1mmの袋を作製し、これを直径2mm、長さ4cmの棒の先端にかぶせ、綿棒状のワイピング用具を作製した。この時、袋の端はヒートシールとし、これの棒への固定もヒートシールを利用した。このワイピング用具は光ファイバーなどのコネクター部などの細い穴状個所のワイピングに好適な物であった。
実施例1で用いた金属板状に付けた汚れを示す図である。 実施例1で拭き取り前の汚れの状態を示す図である。 実施例1で拭き取り後の汚れの状態を示す図である。 比較例1で拭き取り前の汚れの状態を示す図である。 比較例1で拭き取り後の汚れの状態を示す図である。

Claims (13)

  1. 有機ポリマーからなり数平均による単繊維直径が1〜500nmであるナノファイバーを含むワイピング用具。
  2. ナノファイバーが糸(いと)、綿(わた)、あるいは布帛から選ばれる形状に加工されている請求項1記載のワイピング用具。
  3. ナノファイバー布帛が織編物である請求項2記載のワイピング用具。
  4. ナノファイバー布帛が不織布または紙である請求項2記載のワイピング用具。
  5. ナノファイバー布帛の目付が20g/m以上100g/m以下である請求項2〜4のいずれか1項記載のワイピング用具。
  6. ナノファイバー布帛の目付が100g/mより大きく300g/m以下である請求項2〜4のいずれか1項記載のワイピング用具。
  7. 単繊維直径が1〜50μmの繊維が混用されている請求項1〜6のいずれか1項記載のワイピング用具。
  8. 有機ポリマーが疎水性ポリマーである請求項1〜7のいずれか1項記載のワイピング用具。
  9. 有機ポリマーが親水性ポリマーである請求項1〜7のいずれか1項記載のワイピング用具。
  10. 有機ポリマーからなり数平均による単繊維直径が1〜500nmであるワイピング用具用ナノファイバー。
  11. 有機ポリマーからなり数平均による単繊維直径が1〜500nmであるナノファイバーを含むワイピング用具用の糸(いと)。
  12. 有機ポリマーからなり数平均による短繊維直径が1〜500nmであるナノファイバーを含むワイピング用具用の綿(わた)。
  13. 有機ポリマーからなり数平均による短繊維直径が1〜500nmであるナノファイバーを含むワイピング用具用の布帛。
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