JP2005307273A - 金属管の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面清浄度および耐食性に優れたステンレス鋼管を始めとする金属管の製造方法を提供する。
【解決手段】熱間加工により製管した金属素管を冷間加工して金属管とする際に、下記(1)〜(3)の工程を含む方法を採用する。
(1)油潤滑処理を施して断面減少率が20%以上の冷間加工を行う冷間加工工程
(2)アルカリ脱脂および温水洗浄により、または、必要に応じ、さらに酸洗により、脱 脂を行う脱脂工程
(3)圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉を用いて熱処理を行う熱処理工程
【選択図】なし

Description

本発明は、金属管の製造方法に関し、特に、半導体製造、化学工業、食品産業、火力または原子力発電設備等の分野で広く用いられている表面清浄度および耐食性に優れたステンレス鋼鋼管を始めとする金属管の製造方法に関する。
各種の合金鋼、チタンその他の非鉄金属またはそれらの合金からなる金属管が、その特性に応じて種々の産業分野で使用されている。特に、ステンレス鋼製の鋼管(以下、「ステンレス鋼管」という)は、高強度を有し、耐食性に優れていることから、半導体製造、化学工業、食品産業、火力または原子力発電設備等の産業分野で、配管用の部材として広く使用されている。
しかし、高耐食性を備えるステンレス鋼管であっても、管の内外表面にフッ化物、塩化物等のハロゲン化合物や、燐酸塩、硫酸塩等が付着すると、表面清浄度が低下し、耐食性が劣化する。特に管内面の付着物は除去されにくく、その部分が腐食して金属イオンが溶出する場合もある。
また、例えば、ステンレス鋼管の冷間加工時に、その内外表面に潤滑剤として塗布した炭素や炭素化合物が、その後の洗浄(脱脂)処理で完全には除去されず、一部が残留した場合、そのままの状態で熱処理すると、管の表面からの炭素の浸入拡散によって炭素濃度が上昇する(浸炭が発生する)ことがある。表面に浸炭が発生した鋼管は、溶接などの熱影響により鋭敏化しやすく、粒界腐食が発生するおそれがある。前記の塩化物や硫化物が応力腐食割れ(SCC)を加速する作用があることもよく知られている。
さらに、金属加工用の潤滑油は、一般的に油脂を主成分とし、それに添加される極圧添加剤は、F、Cl、S、Pなどの化合物を含んでおり、脱脂後、僅かではあるが残留した潤滑油が管の内外面に付着している場合がある。熱処理時に、管外面の残留潤滑油(付着物)から発生したガスは炉内に飛散するとともに、連続的に供給される雰囲気ガスで希釈されるので、清浄度や耐食性に及ぼす影響は少ない。しかし、管内面の残留付着物から発生したガスは管内に滞留しやすく、滞留したガスは温度が低下すると凝縮して管内面に付着し、配管として使用する際に再びガス発生し、管内を通過する物質に汚染を生じさせる。
また、ステンレス鋼管においては、溶接時における熱影響によって、あるいは、装置に組み込まれ長時間の使用による熱影響によって、粒界にCrカーバイドが析出し、その付近にCr欠乏層が出現して耐食性が著しく劣化する恐れもある。そのような場合、前記残留付着物等に起因して表面清浄度が低下していると、特にその部分で腐食が生じやすい。
このようなステンレス鋼管が本来有している優れた耐食性の発現が阻害されるのを防止するために、従来は、管表面の付着物を洗浄により除去する方法が主として採られてきた。すなわち、洗浄に用いる薬品の成分管理、洗浄液の頻繁な更新、洗浄処理時間と回数の増加、付着物の除去等の確認、付着物の分析および付着量の把握、腐食試験の実施等である。しかし、この方法(付着物の洗浄除去)には作業のバラツキ、確認作業での抜け(見落とし)があり、費用と労力を要するだけではなく、信頼性の面でも不安があった。
切削・研削加工により表面の平滑性と清浄度を高めて耐食性を確保する方法も考えられるが、切削・研削加工は、能率が悪く、切粉が排出することから歩留も悪く、結果として製造コストが上昇する。
一方、前述した管内面の残留付着物から発生したガス(F、Cl、S、Pなどの化合物や、炭素化合物等)に起因する管内通過物質の汚染や浸炭の発生を防止するためには、熱処理する際に、管内のガスを雰囲気ガスで完全に置換する方法が有効であり、従来から、そのための種々の対策が提案されている。
例えば、特許文献1では、弾性パッドが対向部に設けられた一対の開閉扉をパージ室の入口部の上下に夫々上下動するように設け、搬入される直管を入口部にて一時停止させ、上下から開閉扉により挟んでパージ室の雰囲気ガスの圧力を高くすることにより、直管内を雰囲気ガスに置換するようにした管内ガスパージ装置が提案されている。
特許文献2に開示される熱処理装置では、直状管を雰囲気ガス中で熱処理するための熱処理炉の側方には、直状管の入口に向けて直状管を送り込む為の装入テーブルを配設し、この装入テーブルには、直状管の先端が上記熱処理炉内に入った状態において、その直状管の後端が位置する場所を負圧にする為の負圧手段を設けている。これにより、直状管内のパージ作業を極めて簡易に行えるとしている。
しかしながら、特許文献1で提案された装置では、パージ室の入口部でその都度直管の装入を停止させる必要があるため、熱処理能率が著しく低下すると同時に、加熱雰囲気での弾性パッドの品質劣化が激しく、要求性能が得られない場合や、頻繁に交換を要するという問題がある。また、特許文献2が開示する装置は、大容量の負圧手段を必要とするため、大がかりな設備投資を要し、鋼管製造費が高コストになるという問題がある。
また、耐食性を高めるためには、酸化被膜の形成が有効であり、例えば、特許文献3には、Ni基合金管内に、露点が−60℃から+20℃までの範囲内にある水素を主体とする雰囲気ガスを供給しつつ管を連続式熱処理炉内に装入し、所定の条件で加熱して管内表面に高温水環境でNiの溶出を抑制する酸化被膜を生成させる熱処理方法が記載されている。
また、特許文献4では、所定の化学組成を有する二相ステンレス鋼製の鋼材に、露点が−30℃以下のガス雰囲気(H2濃度が実質的に100%)中で熱処理を施して、表面から少なくとも50μmにわたる表層がフェライト単相である高純度ガス用二相ステンレス鋼材の製造方法が提案されている。この二相ステンレス鋼材を10〜1000ppmの水蒸気を含む不活性ガス雰囲気中で500〜1000℃に加熱保持することにより、その表面にCr濃度の均一なCr酸化物を生成させることができるとしている。
しかし、特許文献3に記載される熱処理方法では、雰囲気ガスの管内への供給を、2基のガス供給装置とガス導入管とを用い、被処理管の進行に合わせて一方のガス供給装置から他方のガス供給装置へ切り替えながら行わなければならない。また、特許文献4に記載の二相ステンレス鋼材の製造方法では、熱処理とは別に酸化皮膜形成処理を行う必要があり、工程数の増大は避けられない。
特開平5−320745号公報
特開平6−128645号公報 特開2003−239060号公報 特開平10−88288号公報
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、半導体製造、化学工業、食品産業、火力または原子力発電設備等の分野で好適に使用できる表面清浄度および耐食性に優れたステンレス鋼管を始めとする金属管の製造方法、特に、製造時における管内面の洗浄作業が困難な小径かつ長尺の伝熱管であっても、優れた表面清浄度および耐食性を有する伝熱管とすることができる金属管の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記の課題を解決するため、ステンレス鋼管について検討を重ねた結果、下記の知見を得た。
(イ)熱間加工ままでは、スケールの生成とその除去のための酸洗によって管表面の結晶粒界に深さが数マイクロメートル〜数十マイクロメートルの溝状腐食部分が生じており、この溝の部分(いわば、汚染物質の「ポケット」となる部分)に汚染物質が捕捉される。ポケットが大きいと汚染の程度も大きく、表面清浄度および耐食性が大きく損なわれる。
(ロ)この溝状腐食部分は、冷間加工で押し潰すことが可能である。
(ハ)熱処理炉として、500℃以上で管内に雰囲気ガスの通気のある構造の熱処理炉を用いることにより、管内の付着物のガス化により生じた発生ガスを管内から完全に排出することができる。
(ニ)熱処理時の雰囲気ガスとしては、i)水素を主体とする雰囲気ガス、または、ii)大気と燃料であるLNGの燃焼ガスまたは不活性ガスを使用する。
(ホ)前記の(ハ)および(ニ)の条件を満たした熱処理を実施すれば、管内面の付着物のガス化・除去と熱処理とを同時に行うことができる。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、下記の金属管の製造方法を要旨としている。
『熱間加工により製管した金属素管を冷間加工して金属管を製造する方法であって、下記(1)〜(3)の工程を含む金属管の製造方法。
(1)油潤滑処理を施して断面減少率が20%以上の冷間加工を行う冷間加工工程
(2)脱脂工程
(3)圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉を用いて熱処理を行う熱処理工程』
本発明の金属管の製造方法によれば、表面清浄度および耐食性に優れたステンレス鋼管を始めとする金属管、特に、製造の対象が管内面の洗浄作業が困難な小径かつ長尺の伝熱管であっても、優れた表面清浄度および耐食性を有する伝熱管を製造することができる。
前記のように、本発明の金属管の製造方法は、『熱間加工により製管した金属素管を冷間加工して金属管を製造する方法であって、
(1)油潤滑処理を施して断面減少率が20%以上の冷間加工を行う冷間加工工程
(2)脱脂工程
(3)圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉を用いて熱処理を行う熱処理工程
の各工程を含む製造方法』である。
図1は、本発明の金属管の製造方法を適用した一般的なステンレス鋼管の製管工程例を示す図で、(a)は従来方式の工程例、(b)と(c)は本発明の製造方法を適用した工程例である。(b)は熱間加工により製管した(つまり、「熱間製管」した)金属素管に対して1パスの冷間加工を行う場合、(c)は同素管に対して2パス以上の冷間加工を行う場合である。
図1(b)において、破線で囲んだ部分が本発明で規定する(1)〜(3)の工程に該当する。すなわち、図中の破線内に示した(1)、(2)および(3)が、それぞれ本発明で規定する(1)、(2)および(3)に対応する工程である。図1(c)では、仕上げパスで、本発明で規定する(1)〜(3)の工程を実施している。
以下に、本発明の金属管の製造方法で規定する(1)〜(3)の工程について詳細に説明する。
前記(1)の工程は、「油潤滑処理を施して断面減少率が20%以上の冷間加工を行う冷間加工工程」である。
熱間製管法で得られたステンレス鋼管素管の表面は、スケールの生成に起因して表面粗さは粗く、かつバラツキも大きい。表面にはスケール生成に伴う脱Cr層があり、粒界部分ではこの脱Cr層がより深くまで達している。
図2は、このステンレス鋼管素管のスケールを除去した後のSEM写真の一例で、(a)は管の表面のSEM写真、(b)は断面のSEM写真である。図2に矢印を付して例示(上下矢印の間の部分)するように、結晶粒界が酸洗による脱スケールの際の腐食によって溝状に掘られた状態になっている。
図3は、結晶粒界の状態を模式的に示す図で、(a)は熱間製管して、スケールを除去した後の状態、(b)は冷間加工後の状態を示す。なお、図3(a)および(b)において、管の表面と断面を同じ平面に示している。図3(a)の「管の表面」が、図2(a)の管の表面のSEM写真に対応する模式図であり、同じく図3(a)の「管の断面」が、図2(b)の管の断面のSEM写真に対応する模式図である。
前記の結晶粒界が腐食されて生じた溝は、図3(a)に示すように、全面にわたって網目状に存在している。溝の深さd(図3(a)参照)は、熱間加工時に高温にさらされた時間、加工度や雰囲気にも依存するが、通常は、数μm〜数十μm程度に達しており、潤滑剤や汚染物が溜まりやすい形状になっている。
本発明の金属管の製造方法では、このような表面状態にあるステンレス鋼管素管に、図1(b)に示すように、「油潤滑処理」を施す。この場合は、潤滑剤(油)が管表面に物理的に付着しているだけなので、「冷間加工」後、次の(2)の工程の「脱脂」処理により潤滑剤はほとんど除去される。このとき、「脱脂」処理は、アルカリ脱脂および温水洗浄により行うこと(アルカリ脱脂→温水洗浄)が望ましい。さらに、必要により「酸洗」による脱脂処理を施してもよい。
これに対して、従来は、図1(a)に示すように、通常、「化成皮膜潤滑処理」を行っていた。化成皮膜潤滑処理は、化学反応により化成皮膜を形成させて潤滑性を付与する潤滑方法である。すなわち表面を腐食して粗くし、腐食生成物により表面を覆うものであり、密着性良く表面を覆い、潤滑性を付与させたものである。冷間加工時には工具と材料表面の間に皮膜が介在するため、摩擦せん断力は比較的弱くかつ皮膜が詰まった状態の表面凹部(ポケット)はすり潰され難い。また、潤滑膜(化成皮膜)の除去は困難で、冷間加工後は、アルカリ脱脂および温水洗浄に加え、「酸洗」による脱皮膜処理が必要になる(図1(a)参照)。このような処理の後も表面凹部には皮膜残存物があり、熱処理時に熱分解により発生するガスの増大をまねく。
本発明の油潤滑処理を施したステンレス鋼管に冷間加工を加えると、表面は工具により高い面圧を受けて延伸されるが、その際、摩擦力でせん断変形を受け、溝状部分は擦り潰されるように変形し、図3(b)に示すように、溝状に開口した部分は密着した状態になる。すなわち、溝に溜まっていた潤滑剤や汚れは搾り出されてしまい、かつ表面の粗さも改善される。これは加工度が高いほど顕著である。
耐食性が要求される用途向けの金属管においては、このように、表面の平滑性と清浄度を高めることが重要である。これは、先に述べたように、切削・研削加工によっても得られるが、冷間加工に比べて能率が悪く、歩留まりの低下も大きい。
「冷間加工」は少なくとも1回実施する。冷間加工の加工率は断面減少率で20%以上とする。望ましくは、40%以上である。これによって、管の内外表面に新生面が創出され、脱Cr層が押し潰され、平均化されてCr濃度が正常化する。それと同時に、表面の粗さが改善され、溝に溜まっていた潤滑剤や汚れ等が表面部分から除去される。
加工方法は引抜き、圧延のいずれでもよく、引抜きと圧延を組み合わせてもよい。引抜きは管内に工具を挿入する芯金引きとする。空引きは、内面における新生面の生成が不十分であるため、望ましくない。
良好な新生面を得るためには、断面減少率を大きく取れる圧延を少なくとも1回実施するのが望ましい。
複数回(2パス以上)の冷間加工を行う場合は、図1(c)に例示すように、最終のパスを「油潤滑処理」をして行い、最終パス後の「脱脂」処理を、酸洗を含まない非酸洗脱脂(アルカリ脱脂→温水洗浄)とするのが望ましい。複数回の冷間加工でこの方法(油潤滑処理→非酸洗脱脂)を実施し、中間での熱処理も後述する本発明で使用する連続熱処理炉を適用して行うのが、より望ましい。
前記(2)の工程は、「脱脂工程」である。
冷間加工前の潤滑処理が油潤滑の場合は、前述のように、潤滑剤(油)が管表面に物理的に付着しているだけなので、「アルカリ脱脂→温水洗浄」処理により潤滑剤はほとんど除去される。したがって、「酸洗」による脱脂処理を要しない。ただし、「酸洗」を実施しても、表面清浄度良好であったものなので悪影響はない。なお、アルカリ脱脂は、通常用いられている方法で行えばよい。
図4は、冷間加工後、脱脂処理した後のステンレス鋼管の断面のSEM写真(二次電子像)で、(a)は油潤滑処理を行った場合、(b)は化成皮膜潤滑処理を行った場合である。化成皮膜潤滑処理を行った場合は、前述のとおり工具と材料表面の間に皮膜を介在させた加工なので、表面の凹凸の改善が少ない。
前記(3)の工程は、「圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉を用いて熱処理を行う熱処理工程」である。
前記の「圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉」とは、例えば、入口帯、加熱帯、冷却帯および出口帯で構成される熱処理炉において、入口帯の内圧が、炉外圧以上で加熱帯の圧力以下となるように設定された(この場合は、2段階に変化する)熱処理炉である。
このような熱処理炉を用いるのは、冷間加工を行い、脱脂(非酸洗脱脂)処理した後の金属管の内外表面では、通常、脱脂剤(油潤滑処理に用いた潤滑油)は、見かけ上は除去されていると判断されても、僅かではあるが残存(付着)しており、加熱すると残留付着物からガスが発生し、管内に滞留するからである。
すなわち、油潤滑処理を施して冷間加工を行った後のステンレス鋼管を、雰囲気ガスとして水素を使用する従来の水素炉(「光輝炉」ともいう)で熱処理した際の管内のガスを採取し、分析した結果、炉内を十分に水素で置換した後に被処理材を炉内に装入して熱処理をしても、炭化水素、CO、CO2、N2、O2を主体とするガスが合わせて6〜10体積%(残部は、雰囲気ガスのH2)含まれていることが判明した。炭化水素、CO、CO2は、脱脂後の残留付着物から発生したガスであり、N2、O2は装入前の管内に存在していた空気に由来するものと考えられる。また、微量ではあるが、潤滑油中の極圧剤に含まれるF、Cl、S等を含有するガスが残留付着物から発生し、管内に滞留することも確認された。なお、これらの成分は、管内通過物質に対する“汚染”という観点からは、微量でも問題となる成分である。
さらに、このような残留付着物からのガスの発生は、200℃を超えると認められ、300℃を超えるとその発生量が次第に減少し、500℃以上では殆ど発生しなくなることが判明した。
これらのガスが管内に滞留したままであると、ガスのC活量が高まり、例えばステンレス鋼のC活量より高くなると浸炭が生じるおそれがある。また、フッ化物、塩化物等のハロゲン化合物は、熱処理の冷却時に再付着する。再付着したものは、配管等としての使用時に悪影響を及ぼすことは前述したとおりである。したがって、残留付着物からのガスの発生が終了する500℃以上で炉内の雰囲気ガスを管内に通気させ、管内から完全に排出する必要がある。
図5(イ)は、本発明の金属管の製造方法で使用する、圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉の断面構成例を模式的に示す図である。この(イ)図、ならびに、この熱処理炉を用いた場合の金属管(例えば、ステンレス鋼管)の温度パターン、炉内圧力分布および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果をそれぞれ模式的に示す図5の(ロ)、(ハ)および(ニ)を参照して、「圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉」を用いることにより、管内の残留付着物から発生するガスを滞留させず、管外へ完全に排出することができる理由、すなわち、この熱処理炉の作用効果を説明する。
図5(イ)に示す熱処理炉は、入口帯1、加熱帯2、冷却帯3および出口帯4を有しており、加熱帯2に雰囲気ガスを導入して、金属管をその軸方向に沿って入口帯1から連続的に炉内に装入し、所定の熱処理を施し、出口帯4から搬出する構造になっている。炉床には、金属管を搬送するための送管用ローラ(図示せず)が配置されている。
入口帯1の入側と、加熱帯2の入側近傍および出口帯4の出側にそれぞれシールカーテン5a、5bおよび5cが取り付けられている。
図5(ハ)は、炉内の圧力分布で、前記のようにシールカーテン5a、5bおよび5cを取り付けることにより、シールカーテン5aを挟んで入口帯1と連続熱処理炉外との間で圧力差が生じ、シールカーテン5bを挟んで加熱帯2と入口帯1との間で圧力差が生じる。すなわち、炉内圧を炉外の圧力に対して入口帯1の部分と加熱帯2の部分とで2段階に変化させることができる。なお、シールカーテン5bとシールカーテン5cの間には圧力差はなく、シールカーテン5cを挟んで出口帯4と炉外との間に前記2段階分の圧力差が存在する。
図5(ロ)は、金属管の温度パターンである。金属管は、加熱帯2で加熱され、シールカーテン5bの手前で500℃に達し、さらに昇温して、固溶化熱処理温度で所定時間保持された後、冷却帯3で所定温度まで冷却され、その後は徐々に冷却される。なお、前記の500℃とは、先に述べたように、残留付着物からのF、Cl、S等を含有するガスの発生がこの温度までには終了する“ガス発生の上限温度”である。
図5(ニ)は、管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果を説明するための図で、連続熱処理炉に装入された金属管が、金属管6aの位置から6eの位置まで炉内を搬送されていく間に、管内のガスが管外へ排出される状態を表している。金属管6aの全体、または管6bの後端側半分等の薄黒色を施した部分は、残留付着物から未だガスが発生していないか、発生していても、完全には排出されておらず、管内に滞留していることを表す。また、金属管6aから6eの先端および後端に記した薄黒色の矢印は、管内を流れる雰囲気ガスの流れの方向を示している。
図5(ニ)において、金属管6aは、その先端側3/4程度が炉内に装入され、管の先端がシールカーテン5bに達する直前の状態にある。管の大部分がまだ加熱されておらず、先端部でも500℃に昇温していない。炉外と入口帯1との間には圧力差があるので雰囲気ガスは管の先端から後端に向かって流れてはいるが、管内面の残留付着物からのガス発生は管の先端近傍で始まったばかりで、管の大部分では未だガス発生は起こっていない。
金属管6bは、管の先端が加熱帯2にあり、管の後端が入口帯1にある状態で、管の先端側の半分は既に500℃以上に昇温して残留付着物からのガス発生が終わっており、一方、管の先端と後端との間には圧力差があるので、雰囲気ガスは管の先端から後端に向かって流れ、管の先端側半分の発生ガスは管外へ排出される。金属管6cは、この管外への排出が更に進んだ状態を示している。
金属管6dは、管全体が500℃以上に昇温して残留付着物からのガス発生が終わり、雰囲気ガスの管先端から後端への流れにより発生ガスが管外へ排出された状態を表している。そして、金属管6eは管の先端が炉外へ搬出された状態で、未だ炉内にある管の後端側の方が圧力が高いので、雰囲気ガスは逆に管の後端から先端へ流れる(薄黒色の矢印参照)。
図6は、本発明の金属管の製造方法で使用する他の連続熱処理炉の断面構成例(図6(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図である。図6の(ロ)〜(ニ)における横方向の長さはいずれも(イ)のそれに対応している。
図6に示した熱処理炉と前記図5に示した炉との違いは、図6に示した熱処理炉においては、さらに、出口帯4の入側(換言すれば、冷却帯3の出側)にシールカーテン5dが取り付けられている点である。そのため、図6(ハ)に示すように、炉内の圧力分布が炉の出口帯4側でも2段階に変化している。
管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果に関しては、図6(ニ)に示すように、前記図5に示した熱処理炉の場合と同等である。
図7は、本発明の金属管の製造方法で使用するさらに他の連続熱処理炉の断面構成例(図7(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図で、(ロ)〜(ニ)における横方向の長さはいずれも(イ)のそれに対応している。
図7に示した熱処理炉と前記図5に示した炉との違いは、入口帯1のシールカーテンの取り付け位置で、図7に示した熱処理炉では、入口帯1の入側ではなく、後端にシールカーテン5a′が取り付けられている。そのため、図7(ハ)に示すように、炉内の圧力分布が若干相違し、炉内の1段目の圧力の範囲が狭くなっている。
管内面の残留付着物からのガスの排出効果に関しては、図7(ニ)に示すように、前記図5に示した熱処理炉の場合と同じである。
図8は、本発明の金属管の製造方法で使用するさらに他の連続熱処理炉の断面構成例(図8(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図で、(ロ)〜(ニ)における横方向の長さはいずれも(イ)のそれに対応している。
図8に示した熱処理炉と前記図5に示した炉との違いは、入口帯1に予熱器7を設け、加熱帯2のシールカーテン5bを外して、入口帯1の後端にシールカーテン5a′を取り付けた点である。そのため、図8(ハ)に示すように、金属管の温度が500℃に到達する領域が入口帯1側へ移行するとともに、炉内の2段目の圧力の範囲が広くなっている。
その結果、管内面の残留付着物からのガスの排出効果に関しては、図7(ニ)に示すように、残留付着物からのガス発生が早期に起こるので、発生ガスの管外への排出が迅速に行われる。これによって、熱処理炉内への送管速度の上昇が可能となる。
シールカーテンの材質、形状等について特に限定はなく、従来使用されている耐熱性のカーテンが使用できる。複数枚を重ね、更にそれを複数セットで使用すれば、シールカーテンの前後における圧力差の維持に効果的である。
前記の説明は、炉内の圧力が入口帯と加熱帯とで2段階に変化している例であるが、3段階以上に変化する炉を用いてもよい。
図9は、従来使用されてきた連続熱処理炉の断面構成例(図9(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図で、本発明の被膜形成方法で使用する連続熱処理炉との比較のためにここで説明する。なお、図9の(ロ)〜(ニ)における横方向の長さはいずれも(イ)のそれに対応している。
図9に示した熱処理炉と前記図5〜図8に示した熱処理炉との違いは、加熱帯2のシールカーテン5bと、入口帯1の後端におけるシールカーテン5a′の有無である。すなわち、図5〜図8に示した熱処理炉はシールカーテン5bまたはシールカーテン5a′を備えているので、炉内の圧力を2段階に変化させることが可能であるが、図9に示した従来の熱処理炉では、図9(ハ)に示すように、炉内の圧力分布は1段である。
そのため、図9(ニ)に示すように、金属管全体が炉内に装入された状態(金属管6b、6c、6d)では、炉内雰囲気ガスの管先端から後端へ向かう流れは生じず、残留付着物から発生したガスが管内に滞留したままで固溶化熱処理を受け、浸炭が発生したり、熱処理の冷却時にフッ化物、塩化物等のハロゲン化合物が再付着したりすることになる。
金属管6eの状態になると管の先端部分が炉外に搬出されるので、管の後端から先端へ向かう雰囲気ガスの流れが生じるが、発生ガスが完全に排出(除去)される前に管全体が炉外へ搬出されると、発生ガスが一部管内に残留し、管内表面に凝縮、付着し、配管として使用する際に、管内を通過する物質に汚染を生じさせることになる。
以上説明したように、図5〜図8に例示した連続熱処理炉を用いれば、金属管内部に管の進行方向先端から後端に向かう雰囲気ガスの流れを自然に生じさせることができる。したがって、冷間加工後の洗浄工程を「アルカリ脱脂→温水洗浄」のみとした場合であっても、金属管の温度が熱処理温度(この例では、固溶化熱処理温度)に達する前に管内部の残留付着物を気化し、雰囲気ガスにより完全に置換、除去することができる。
熱処理時の雰囲気ガスとしては、水素を主体とする雰囲気ガスや、大気と燃焼ガス、または不活性ガスを使用する。
水素を主体とする雰囲気ガスを使用するのは、表面酸化を抑えるためである。この場合は、水素のみでもよいし、水素に、例えば、He、Ar等の不活性ガスを混合してもよい。ただ、不活性ガスは高価なので、通常は積極的には添加しない。
窒素は、不活性なガスで、かつ安価であり、水素に混合して用いることは可能であるが、ステンレス鋼管の窒素含有レベルによっては、母材への浸透(窒化)または脱窒を生じる。したがって、その混合割合は、母材の窒素レベルに応じて0〜10体積%の範囲で調整するのがよい。なお、これらのガスの他、不可避的に混入する不純物は許容される。
大気と燃焼ガスを使用すれば、すなわち、熱処理炉内に例えば、燃料であるLNGの燃焼排ガスを通過させる方法を採用すれば、熱処理コストを低下させることができる。しかし、この場合は、例えば、ステンレス鋼への浸炭を防止すべく、ステンレス鋼のC活量よりも雰囲気ガスのC活量を下げておくことが必要である。そのためには、燃料ガスを完全燃焼させて雰囲気ガス中の一酸化炭素濃度を低減するのがよい。通常は、燃焼用空気の供給量を理論空気量以上としておけば問題ない。
また、材料面その他の要請から、水素の使用が忌避される場合は、例えば、Ar等の不活性ガスを使用することも可能である。
これらの雰囲気ガスを用いた場合、非酸化性ガス(水素、窒素や、He、Ar等の不活性ガス)においては材料表面にスケールが形成されることはないので、熱処理後の酸洗は必要ない(ただし、酸洗を行っても差し支えない)。大気と燃焼ガスを雰囲気ガスとして使用する場合も、燃焼ガスが主体で、スケールの形成はほんの僅かなので、金属管の用途等に応じ酸洗の要否を選択する。
なお、雰囲気ガスについては、金属管の製造上の制約、製品の用途等に応じて、前記各種のガスから適宜選択して使用すればよい。
以上述べた「圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉を用いて熱処理を行う」ことにより、脱脂(非酸洗脱脂)の際に管の表面(特に、管内面)に残存した付着物をガス化除去し、加熱を継続したまま清浄な表面を維持しつつ熱処理を行うことができる。すなわち、通常のアルカリ脱脂および温水洗浄では完全に除去することが困難な残留付着物のガス化除去と、固溶化等の熱処理とを同時に行うことが可能である。
前記図1(b)、(c)では、この(3)の工程で行う熱処理を、「管内に雰囲気ガスの通気のある熱処理」と表示している。なお、図1(a)に示した従来例における熱処理は、炉内の圧力の段階的な変化がなく、大気雰囲気下で行う「大気炉熱処理」で、この場合は、生成するスケールを除去するための「酸洗」処理が必要になる。また、図1(c)の「仕上げパス」前の冷間加工時の熱処理、すなわち「大気炉熱処理または光輝熱処理」における「光輝熱処理」とは、炉内の圧力の段階的な変化がなく、水素または水素主体の雰囲気下で行う熱処理で、この場合はスケールが生成しないので、「酸洗」処理は不要である。更に表面の清浄度を高める為に、酸洗および純水等により洗浄を追加して行ってもよい。この場合、本発明の方法で得た金属管は、洗浄の手間が少なく良好な清浄度を得ることができる。
前記(1)〜(3)の工程を経た後、図1に示すように、「精整」工程、「検査」工程で、常法に従って曲がり矯正、切断、管端仕上げ等の「精整」や、「検査」を行い、さらに、必要に応じ、Uベンド加工と精整検査を行う。
以上、主としてステンレス鋼管について説明したが、本発明の製造方法は、その他の合金鋼、あるいはNi基合金、その他の非鉄金属を素材とする金属管の製造にも適用することができる。
SUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)を素材とするステンレス鋼管(以下、単に「管」ともいう)を、前記図1(b)または(c)に例示した製管工程に準じた工程で製造し、表面粒界腐食深さ、表面粗さ、カーバイド析出(10%蓚酸による腐食試験)および付着物(塩化物、硫化物)量を調査した。なお、前記製造した管の寸法は、外径16mm、厚さ1.2mm、長さ14〜20mである。
評価方法は次のとおりである。
〔表面粒界腐食深さ〕
管の縦断面のミクロ観察を行い、表面(縦断面)における結晶粒界に沿った浸食深さのうち最大深さを求めて、これを表面粒界腐食深さとし、この深さが1/100mm以下の場合「◎印(極めて良好)」、1/100mmを超え2/100mm以下の場合「○印(良好)」、2/100mmを超える場合「×印(不良)」とした。
〔表面粗さ〕
管の内面3箇所の表面粗さを中心線平均粗さRa(μm)で表示し、その平均値が0.5μm以下であれば「◎印(極めて良好)」、0.5μm超え1μm以下であれば「○印(良好)」、1μm超えであれば「×印(不良)」とした。
〔カーバイド析出(10%蓚酸による腐食試験)〕
冷間加工後の熱処理を施した前記ステンレス鋼管20本のそれぞれについて、長さ方向に5mの等間隔で試験片を採取し、625℃×2時間の鋭敏化処理を行って、粒界にCrカーバイドを析出させ、粒界隣接部にCr欠乏層(領域)を生じさせた後、10%蓚酸による腐食試験を実施した。試験は、JIS G 0571(ステンレス鋼の10%しゅう酸エッチ試験方法)に規定される方法に準じて行った。
前記試験において、いずれの結晶粒においても粒界に溝状組織が認められなければ「◎印(極めて良好)」、溝状組織が認められた場合であっても、いずれの結晶粒においても溝状組織が粒界の5%以下でしか認められなければ「○印(良好)」、溝状組織が粒界の5%以上に認められる結晶粒が1個でもあれば「×印(不良)」とした。
〔付着物量(塩化物および硫化物量)〕
管内に純水を封入し、内面の付着物を溶出させた後、封入水中のClイオン、SO4イオンの濃度をイオンクロマトグラフィーにより求め、封入水量と管内の表面積から単位表面積当たりの塩化物量(mg/m2)、および硫化物量(mg/m2)を算出した。塩化物および硫化物の合計量が1mg/m2以下であれば「○印(良好)」、1mg/m2超えであれば「×印(不良)」とした。
製管条件を表1に、調査結果を表2に示す。
Figure 2005307273
Figure 2005307273
表1の「炉の形式」の欄の「2段階炉内圧1」とは、炉内圧力が図5の(ハ)のような分布を示す炉であり、「2段階炉内圧2」とは、同じく図6の(ハ)、「2段階炉内圧4」とは、同じく図8の(ハ)のような炉内圧分布を示す炉である。そして、比較例の「従来水素炉」とは、炉内の圧力の段階的な変化のない水素炉(光輝炉)である。また、「雰囲気ガス」の欄の「水素」は、H2が実質的に100体積%であることを意味する。
表1および表2から明らかなように、圧力が炉内で2段階に変化する熱処理炉を用いた本発明例1〜9では、表面粒界腐食深さ、表面粗さRa、カーバイド析出(10%蓚酸による腐食試験)および付着物量のいずれも良好であった。
これに対して、冷間加工前に「化成皮膜潤滑処理」を行い、熱処理炉として「従来水素炉(光輝炉)」を用いた比較例1では、表面粗さRaが劣り、10%蓚酸による腐食試験でも良好な結果は得られなかった。また、「油潤滑処理」を行ったが、「従来水素炉(光輝炉)」を用いた比較例2、3では、「熱処理」工程での管内残留付着物のガス化除去が十分ではなかったことに起因して、管内に付着物が認められた。
なお、この実施例は、SUS304を素材とするステンレス鋼管についての調査結果であるが、これ以外のオーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼などクロムを含むステンレス鋼やNi基合金についても、同様の結果が得られる。
本発明の金属管の製造方法は、半導体製造、化学工業、食品産業、火力または原子力発電設備等の分野で広く用いられている表面清浄度および耐食性に優れたステンレス鋼管を始めとする金属管の製造、特に、製造時における管内面の洗浄作業が困難な、小径かつ長尺の伝熱管の製造等に好適に利用することが可能である。
本発明の金属管の製造方法を適用した一般的なステンレス鋼管の製管工程例を示す図で、(a)は従来方式の工程例、(b)と(c)は本発明の製造方法を適用した工程例である。 熱間製管法で得られたステンレス鋼管素管のスケールを除去した後のSEM写真の一例で、(a)は管の表面のSEM写真、(b)は断面のSEM写真である。 ステンレス鋼管の結晶粒界の状態を模式的に示す図で、(a)は熱間製管して、スケールを除去した後の状態、(b)は冷間加工後の状態を示す図である。 冷間加工後、脱脂処理した後のステンレス鋼管の断面のSEM写真(二次電子像)で、(a)は油潤滑処理を行った場合、(b)は化成皮膜潤滑処理を行った場合である。 本発明の金属管の製造方法で使用する連続熱処理炉の断面構成例(図5(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図である。 本発明の被膜形成方法で使用する他の連続熱処理炉の断面構成例(図6(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図である。 本発明の被膜形成方法で使用するさらに他の連続熱処理炉の断面構成例(図7(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図である。 本発明の被膜形成方法で使用するさらに他の連続熱処理炉の断面構成例(図5(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図である。 従来使用されてきた連続熱処理炉の断面構成例(図6(イ))、金属管の温度パターン(同(ロ))、炉内圧力分布(同(ハ))および管内面の残留付着物から発生するガスの排出効果(同(ニ))を模式的に示す図である。
符号の説明
1:入口帯
2:加熱帯
3:冷却帯
4:出口帯
5a、5a′、5b、5c、5d:シールカーテン
6a、6b、6c、6d、6e:金属管
7:予熱器

Claims (1)

  1. 熱間加工により製管した金属素管を冷間加工して金属管を製造する方法であって、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする金属管の製造方法。
    (1)油潤滑処理を施して断面減少率が20%以上の冷間加工を行う冷間加工工程
    (2)脱脂工程
    (3)圧力が炉内で2段階以上に変化する連続熱処理炉を用いて熱処理を行う熱処理工 程
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