JP2005306986A - ポリオレフィン系樹脂用着色剤とその製法 - Google Patents
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Abstract
従来よりフラッシング法により得られる着色剤は、ナチュラル樹脂との着色成形で顔料分散性に富んだ製品が容易に得られることから、盛んに使用されている。 しかし、該着色剤の製造では、溶融混練装置が大きく製造操作も容易でない欠点があり、改善が求められている。
そこで本発明では、ポリオレフィン系樹脂に顔料を一定層流の周速度により混合攪拌するのみで、従来法のフラッシング法で製造のマスタ−バッチに匹敵する顔料分散性に富んだポリオレフィン系樹脂用着色剤とその造法を開発したのである。
【解決手段】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂に顔料を加えた混合物を、攪拌羽根の先端部と攪拌槽内壁面との間隙が3〜30mmであり回転する攪拌羽根の先端速度が8m/sec以上を有する高速型混合機を用い、該ポリオレフィン系樹脂の軟化点以下で層流混合して得ることを特徴とするポリオレフィン系樹脂用着色剤及び製造方法を開発したのである。
【選択図】 なし
Description
有機顔料や無機顔料等の単独使用では、それ自体は微粒子であるが包装、運搬、貯蔵の際に凝集を生じ易く巨大な粒子に成長し易いという性質があり、一旦凝集が起こると通常の着色されるべきポリオレフィン系樹脂とブレンドする工程のみではこの凝集はほぐれず、従って着色されるべきポリオレフィン系樹脂中への分散が悪くなり、かかる着色剤配合のポリオレフィン系樹脂組成物から得られる着色成形品にはカラ−スペック、カラ−ストリ−ク等を生じて、品質が不安定となって好ましくない。
ドライカラ−は、顔料にステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石鹸等を混合機を用い、配合処理した粉末状着色剤であり、製造が容易な樹脂用着色剤として使用されている。
しかし、ドライカラ−は、製品として包装の仕方、包装品の貯蔵状態、貯蔵期間、季節等によって影響を受け凝集を生じ易く巨大な粒子に成長し易いという性質があり、これを防ぐことは困難なことである。
具体的には、樹脂の着色成形の際に、混合機・成形機周辺の汚れ、作業者の汚れ、粉塵の吸い込みが問題となり、労働安全衛生上からも成形の際には細心の注意をもって作業を行うことが必要になっている。
該マスタ−バッチを製造する際には、顔料粉末と分散剤を、ロ−ル、ニ−ダ−、押出機等の高剪断力により混練して顔料の分散を図っているが、一旦乾燥した顔料粉末は粗大な二次凝集粒子として存在し易く、これら粗大粒子を改めて微細な粒子にして分散することは非常に困難である。しかも、有機顔料の場合には、吸油量が大であるため更に高濃度微分散が困難である。
更に、近年、水を分散剤として使用した所謂フラッシング法による着色剤の製造法、即ち担体樹脂と粉末顔料を加熱混練する際に水を加えることで、粉末顔料の凝集体に水分が浸透・破壊して得られる顔料合成時に近い粒径の顔料を担体樹脂中に配合した、分散性の良好な着色剤が得られるフラッシング法によるマスタ−バッチが盛ん商品化されている。
しかし、フラッシング法によるマスタ−バッチの製造は、他の着色剤の製造工程に比べ、製造ライン及び作業が複雑であり、製造コストも著しく高価になっている。
また、マスタ−バッチの製造では、製造ライン及び製造作業が複雑であるため、顔料品種の交換や色替えに変更することに多くの時間を要し、生産ラインの変更は容易でない欠点がある。
しかも、フラッシング法によるマスタ−バッチの製造では、混練→練肉→賦形工程と製造ラインが複雑で、それぞれで熱履歴をうけることが多く、担体樹脂自体も熱劣化を生じ、着色に際して被着色樹脂の物性を低下させる欠点がある。
更に、特許文献1及び2では、マスタ−バッチとして使用する分散剤として、エチレンビスアマイド、ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックス等低分子量樹脂ワックス類を使用する方法と、水を主成分とするフラッシング法によるマスタ−バッチの製法が記載されており、分散剤に水を使用して得られるマスタ−バッチが、顔料分散性が非常に良好であると述べられている。
そこで本発明者らは、ドライカラ−を製造の際に使用する混合機についての攪拌条件を特定することで、マスタ−バッチと同等の顔料分散性に富み、しかも、ドライカラ−製造と同様な生産方法で容易に、本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を製造することを検討したのである。
この事実は、非特許文献2でも、最上段の攪拌羽根より上面では攪拌により作り出された空気流のために混合物が浮遊した状態になり層流状流動化が悪くなっていると、記載されている。
特に、ポリオレフィン系ポリオレフィン系樹脂について詳細に記述すると、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、プロピレン単独重合体等が挙げられる。
更に、該モデルGシリ−ズの混合機では、投入口が混合機上部に設置されたホッパ−型であり、最初から8m/sec以上の一定スピ−ドの周速度が容易に得られ好ましい。
尚、攪拌軸及び円筒形の槽が基盤(地面)に対し縦型である縦型ミキサ−の場合でも、8m/sec以上の一定スピ−ドの周速度が得られる様に設計されたものであれば良く、例えば、ヘンシェルミキサ−の様な筒形槽が縦に設置された場合でも、円筒槽の内側面のみに沿った攪拌を使用したもので一方向の層流攪拌ができれば、本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤は、容易に得られるものである。
尚、本発明品のポリオレフィン系樹脂用着色剤製造に適した混合機として周速度が90m/secより大きい市販品は見当たらない。
請求項1で記載の周速度に特定して得られた本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤には、従来から分散剤として使用のエチレンビスアマイドや、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等低分子量樹脂ワックス等の分散剤を全く配合せずに、これら樹脂用着色剤に劣らぬ顔料分散性を提供するものである。
従って、本発明品は、上記の特徴を生かして各種成形品の用途に使用可能であり、特に紡糸やフィルム成形品として最適である。
本発明品は、分散剤使用した場合に発生する耐熱性や耐候性等の低下の心配も全く心配の必要がない。
該ポリオレフィン系樹脂用着色剤での顔料混合割合は、従来より市販されている有機顔料含有の高濃度品の製造も可能であることを示すものであり、品質も従来製品に劣らぬ優れた製品が、簡便な混合攪拌のみで容易に得られるものである。
即ち、ポリオレフィン系樹脂100部に対し顔料を2〜50部配合しているが、この限定は本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤製品として、従来品(フラッシング法製品)に全く劣らぬ顔料分散性、着色力等を発揮する範囲として定めたものである。
請求項3のポリオレフィン系樹脂用着色剤の製造は、混合機の条件として、請求項1記載の通り混合物が周速度8m/sec以上で一定方向に層流回転する装置で良い。
本発明では、攪拌槽内で回転する攪拌羽根先端速度が8m/sec以上を有する高速型混合機を用い、有機顔料と無機顔料を混合したポリオレフィン系樹脂用着色剤の製造では、非常に顔料分散性が向上しており、請求項3記載の範囲数値より高濃度でも優れた製品が容易に得られる。
本発明で得られる請求項5記載のポリオレフィン系樹脂用着色剤は、紡糸やフイルムの製造でも、長時間操業でも何ら支障を生じない作業性に富んだ製品を提供するものである。
本発明品は、従来よりポリプロピレン樹脂の着色に使用の着色剤にかえて、十分に使用できるものである。
本発明品は、請求項5及び6にも記載の通り、広範囲の用途で使用可能である着色剤を提供するものである。
本発明で得られる請求項5記載のポリオレフィン系樹脂用着色剤は、紡糸やフイルムの製造でも、長時間操業でも何ら支障を生じない作業性に富んだ製品を提供するものである。
しかも、本発明の製造操作は、従来から行われているフラッシング法に比較し非常に簡便であり、小ロット製造が容易で、製造の合理化に大いに貢献するものである。
更に、本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤は、フラッシング法マスタ−バッチでの重要な用途である、紡糸や高級フィルムの用途に使用可能なな樹脂用着色剤を提供するものである。
以下に実施例及び比較例を記載する。尚、重量部は部と記載する。
実施例1
攪拌羽根の先端部と攪拌槽内面の間隔を10mmに調節した容量5リットルの横型高速型混合機(米国DRAISWERKE社製:G5シリ−ズ)のホッパ−口より、MFR5g/10分(JIS-K-7210に準拠)、軟化点100.2℃(JIS-K-7206に準拠)の低密度ポリエチレンペレット(宇部ポリエチレン社製商品:F522N、3mm径ペレット)を100部、及びフタロシアニンブル−(C.I.Pigment Blue15:1)45部を投入して、回転羽根の先端速度を10m/secとして5分間攪拌し混合分散して、粉末状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
該着色剤について、下記に記載の(a)グリッド個数の測定と(b)昇圧試験の測定を行い、その結果を表1に記載する。尚、実施例2〜10及び比較例1〜5についても、同様に(a)と(b)を測定し、その結果を表1に記載する。
試料について厚さ30μmのインフレションフイルムを作成し、容積10cc中のフィルムに存在する0.1mm2以上のグリット個数を測定する。
その結果について、次の基準で顔料分散性の評価を行った。
○‥‥‥10個/cm3未満であり、あらゆる用途に使用可能である
△‥‥‥10個/cm3〜50個/cm3未満であり、分散性が若干劣りフイルムなどの 薄物には不適当である。
×‥‥‥50個/cm3以上であり、使用不可能
スクリュ−径15mm単軸押出機の先端に325メッシュの金網を装着し、試料1kgを
押出し、金網の目詰まり状態をダイス部での圧力上昇値(MPa)を測定する。
実施例1で得られたポリオレフィン系樹脂用着色剤に、上記(a)及び(b)の測定結果からは、比較例4のフラッシング法と変わらぬ着色剤(マスタ−バッチ)が容易に得られる事実を証明している。
攪拌羽根が上下2段からなり攪拌羽根の先端部と攪拌槽内面の間隔を10mmに調節しており、下段攪拌羽が底部材に平行に取り付けられた容量1リットルの縦型円筒槽である攪拌羽根が2段からなる実験用高速型混合機(以後ラボミキサ−と称する)を用い、周速度26m/secに調節一定層流で5分間攪拌混合した以外は実施例1同様にして、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例1で使用の高速型混合機の周速度を40m/secとした以外は、実施例1同様の操作により、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例4
実施例1で使用の高速型混合機の周速度を90m/secとした以外は、実施例1同様にして、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例1で使用の高速型混合機の攪拌羽根の先端部と攪拌槽内面の間隔を5mmに調節した以外は、実施例1同様にして、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例6
実施例1で使用の高速型混合機の攪拌羽根の先端部と攪拌槽内面の間隔を28mmに調節した以外は、実施例1同様にして、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例1において使用の低密度ポリエチレンをMFR7g/10分、軟化点115℃の線状低密度ポリエチレンに代える以外は、実施例1と同様にして、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例8
実施例1において使用の低密度ポリエチレンをMFR19g/10分、軟化点155.9℃のポリプロピレン(出光石油化学株式会社製J2000GP)に代える以外は、実施例1と同様にして、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例1で使用の高速型混合機を用いて、MFR30g/10分間、軟化点100.2℃の低密度ポリエチレン(宇部ポリエチレン社製商品:F522N、3mm径ペレット)100部、及び、カ−ボンブラック(比表面積140m2/g、粒子径19mm、給油量114cc/100g)40部を、周速度40m/secとして5分間攪拌分散して、塊状である本発明のポリオレフィン系樹脂用着色剤を得た。
実施例1で使用の高速型混合機の攪拌羽根の先端部と攪拌槽内面の間隔を2mmに調節した以外は、実施例1と同じである。
比較例2
実施例1で使用の高速型混合機の攪拌羽根の先端部と攪拌槽内面の間隔を35mmに調節した以外は、実施例1と同じである。
比較例3
実施例1で使用の高速型混合機の攪拌羽根先端部における周速度を6m/secとする以外は、実施例1と同じである。
ACポリエチレン6A(アライドケミカル&ダイコ−ポレション社製)100部、フタロシアニンブル−(CIピグメントブル−15:1)10部、及び蒸留水50部をニ−ダ−に仕込み加熱混練した後、水分を蒸発させて得られた混合物を3本ロ−ルを用い混練して、フラッシング法によるカラ−マスタ−バッチを得た。
比較例5
比較例4で使用のACポリエチレン6A100部とフタロシアニンブル−10部を予備混合した後に、ニーダーに代えて3本ロ−ルを用いて、加熱混練してカラ−マスタ−バッチを得た。
Claims (7)
- ポリオレフィン系樹脂及び顔料を、攪拌羽根先端部と攪拌槽内壁面との間隙が3〜30mmであり回転する攪拌羽根の先端速度が8m/sec以上を有する高速型混合機を用い、該ポリオレフィン系樹脂の軟化点以下で層流混合して得ることを特徴とするポリオレフィン系樹脂用着色剤。
- ポリオレフィン系樹脂及び顔料を、攪拌羽根先端部と攪拌槽内壁面との間隙が3〜30mmであり回転する攪拌羽根の先端速度が8m/sec以上を有する高速型混合機を用い、該ポリオレフィン系樹脂の軟化点以下で層流混合して得ることを特徴とするポリオレフィン系樹脂用着色剤の製造方法。
- 請求項1記載のポリオレフィン系樹脂と顔料の混合割合が、100:2〜100:60であるポリオレフィン系樹脂用着色剤。
- 請求項1又は3記載の顔料が、有機顔料及び無機顔料からなるポリオレフィン系樹脂用着色剤。
- 請求項1、3又は4記載のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレンであるポリオレフィン系樹脂用着色剤。
- 請求項1、3又は4記載のポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンであるポリオレフィン系樹脂用着色剤。
- 請求項1、3、4、5又は6記載のポリオレフィン系樹脂用着色剤を用いて得られる成形品。
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