JP2005306231A - 運転者知覚制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者の平衡感覚を保つために最適な運転環境を構築し、運転者の運転操作の安定度を向上させる。
【解決手段】CPUが、仮想壁面Wを想定し、仮想壁面Wからの反射音がスピーカ5の出力音声に含まれるようにDSPを制御することにより仮想壁面Wを運転者6に知覚させ、仮想壁面Wによって運転者6の進行方向知覚を制御する。このような構成によれば、実際の走行環境や車室内の形状に係わらず、仮想壁面Wによって運転者の平衡感覚を保つために最適な運転環境を擬似的に構築することができるので、運転操作の安定度を高めることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、運転者の知覚を制御することによって、運転者の平衡感覚を保つために最適な運転環境を構築し、運転者の運転操作の安定度を高める運転者知覚制御装置に関する。
一般に、車両運転中においては、運転者が注意を向けるべき対象は、障害物を避ける、標識を確認する等のように、運転状況に応じて様々に変化する。一方、車両を安定に走行させるためには、運転者は、車両進行方向に対して注意を向けることが必要である。従って、車両運転中において、運転者は、注意に関する二つのタスクを同時に行わなければならない。
特開2000−236598号公報 特開2000−36998号公報 特開2000−235684号公報
しかしながら、従来までの車両においては、運転者は、上記二つのタスクを全て自身の視覚により行わなければならないために、どちらか一方のタスクに無理が生じ、運転操作の安定度が低下することがある。なお、上記特許文献1,2には、音像の位置や周波数を変化させることにより注意を向けるべき方向を運転者に知覚させるシステムが開示されている。また、上記特許文献3には、運転者の視野角を推定し、推定結果に基づいて音像位置を変化させることにより、視野角が狭くなる高速走行の場合においても音像の位置を運転者に正確に認識させるシステムが開示されている。しかしながら、これらのシステムは、車両の状態や外界の変化を運転者に知覚させるための警報装置としての手段でしかなく、運転者の知覚を制御することにより、運手操作の安定度を高めるものではない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、運転者の平衡感覚を保つために最適な運転環境を構築し、運転者の運転操作の安定度を向上させることが可能な運転者知覚制御装置を提供することにある。
本願発明の発明者らは、精力的な研究を重ねてきた結果、車両を安定に走行さるために必要な方向に運転者の注意を聴覚によって誘導することにより、運転者は、上述の二つのタスクを無理なく同時に行い、車両を安定に走行させることができることを知見した。また、聴覚によって運転者の注意の方向を車両を安定に走行さるため必要な方向に誘導した場合には、注意の方向と視線の方向とを独立に制御した際に運転者は注意を向けた方向に車両が動いたと錯覚する現象によって、車両の進行方向へ車両が積極的に動いていることをより強く運転者に知覚させることができることを発明者らは知見した。
上述知見に基づいてなされた本発明に係る運転者知覚制御装置の第1の態様は、車両に備えられ、車室内に音声を出力する音声出力手段と、仮想壁面を想定し、仮想壁面からの音声の反射音が含まれるように音声出力手段を制御することにより、仮想壁面を運転者に知覚させ、仮想壁面によって運転者の進行方向知覚を制御する制御手段とを備える。
また、上述知見に基づいてなされた本発明に係る運転者知覚制御装置の第2の態様は、車両に備えられ、車室内に定位音像を生成する音声出力手段と、車両状態量、車両操作量、及び周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、音声出力手段により生成される定位音像の位置、音量、周波数のうちの少なくとも一つを変化させることにより、運転者の進行方向知覚を制御する制御手段とを備える。
なお、上記「進行方向知覚」とは、自己運動知覚とも呼ばれ、人間が、自らの運動(移動)方向を、前庭器官(三半規管と耳石)で検出される加速度情報と、視覚や聴覚からの情報を統合して知覚していることを指す。例えば一定速で走行する自動車から前方景色を見ている場合には、体感できる加速度が存在しないため、前庭器官からの情報では進行方向を知覚できないが、無限遠方から後方へと流れる景色が視覚により認識されるため、人間自身が前方へ移動を続けていることを知覚できる。これは、視覚に依存した進行方向知覚が存在していることを表している。(詳しくは、例えば「視覚情報処理ハンドブック」日本視覚学会編参照)。
本発明に係る運転者知覚制御装置によれば、仮想壁面や定位音像によって運転者の進行方向知覚を制御することにより、運転者の平衡感覚を保つために最適な運転環境を構築することができるので、運転者の運転操作の安定度を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の第1乃至第15の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。
始めに、図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。
本発明の第1の実施形態となる運転者知覚制御装置は、図1に示すように、車両1に設けられたカーオーディオ装置等の音響再生装置により構成され、音源2と、DSP(Digital Signal Processor)3と、CPU(Central Processing Unit)4と、車両1の運転者の頭部位置P周部に設けられたスピーカ5とを主な構成要素として備える。なお、音源2,DSP3,及びスピーカ5は、本発明に係る音声出力手段として機能し、CPU4は、本発明に係る制御手段として機能する。
上記音源2は、音楽やラジオ放送の再生音により構成される。具体的には、音源2が音楽の再生音である場合、音源2は、コンパクトディスク等の記録媒体に記録された音声信号を読み出し、復号することにより、スピーカ5から出力できる状態となった音声信号により構成される。
上記DSP3は、CPU4の制御に従って、音源2の音声信号をスピーカ5を介して出力する。なお、この実施形態では、CPU4は、図2に示すように、運転者6の頭上に壁面Wを仮想的に想定し、スピーカ5を介して運転者6の耳7に伝達される音声Bの中に、この壁面(以下、仮想壁面と表記)Wによって反射された音声Aが含まれるように、DSP3の特性を制御する。即ち、CPU4は、頭上に仮想壁面Wが実際に存在すると運転者6に知覚させるようにDSP3の特性を制御する。そして、CPU4は、この仮想壁面Wによって運転者6の進行方向知覚を制御する。
なお、DSP3の特性の制御方法については、本願発明の出願時点で既に公知であるので、説明を省略する。また、図2に示す例では、仮想壁面Wによって反射された音声Aと、反射することなく、スピーカ5から直接届いた音声Bが運転者6の耳7に伝達されるが、実際には、図3に示すように、車両1の天井やサイドウインド等の壁面Rからの反射音Cも運転者6の耳7に伝達される。従って、CPU4は、運転者6が実際の壁面Rより仮想壁面Wを支配的に知覚するように、即ち、運転者6が実際の壁面Rよりも仮想壁面Wを近い位置に感じるように、DSP3の特性を制御することが望ましい。
また、一般に、車室内の形状は複雑であるために、2〜6[個]程度のスピーカでは、仮想壁面Wを運転者6に確実に知覚させることは難しいと考えられる。しかしながら、発明者らは、以下に示す検証実験により、運転者6が仮想壁面Wを明確に知覚していない場合であっても、運転者6の進行方向知覚を制御できることを確認した。以下、図4を参照して、この検証実験結果について説明する。
この検証実験においては、始めに、図4(a)に示すように、シグナルジェネレータ11により生成されたホワイトノイズをスピーカ5から出力し、スピーカ5から離れた位置に配置された2つのマイクロフォン12によってスピーカ5の出力音を集音し、記録装置13によって集音された出力音をステレオ録音する。またこの時、マイクロフォン12を挟んでスピーカ5と反対側に硬質板14を配置し、この硬質板14を揺動させる。
次に、図4(b)に示すように、再生装置14を利用して、記録装置13によってステレオ録音された音声を再生し、二つのスピーカ5を介して再生音を被験者8に提示する。この時、被験者8は、硬質板14の存在と共に、硬質板14の揺動の方向を再生音から認識することができた。この結果から、精密な音場制御を行わない場合であっても、運転者6の進行方向知覚を制御できることが示唆される。
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、仮想壁面Wを想定し、仮想壁面Wからの反射音Aがスピーカ5の出力音声Bに含まれるようにDSP3を制御することにより仮想壁面Wを運転者6に知覚させ、この仮想壁面Wによって運転者6の進行方向知覚を制御する。このような構成によれば、実際の走行環境や車室内の形状に係わらず、仮想壁面Wによって運転者6の平衡感覚を保つために最適な運転環境を擬似的に構築することができるので、運転操作の安定度を高めることができる。
なお、従来より、DSPを利用した音響再生装置は存在し、このような音響再生装置によれば、DSP特性を制御することによりコンサートホールのような音響特性を再生音に与えることにより、運転者は実際にコンサートホールにいるかのような臨場感を車両内で体験することができた。しかしながら、本発明の第1の実施形態となる運転者知覚制御装置は、上述のように、仮想壁面Wを運転者6に知覚させるようにDSP3の特性を制御することにより、運転者6の進行方向知覚を制御するものであるので、その目的効果及び作用効果は従来技術のそれと明らかに異なることに留意されたい。
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。
近年、車室空間を最大限確保するために、図5(a)に示すように、車両1のサイドウインドガラス面Gが水平面に対して垂直に近い形状とされることが多く、この場合には、図5(b)に示すように、運転者6の頭部とサイドウインドガラス面Gとの間の距離D1は従来までの車両と比較して大きくなる。一方、一般に、旋回走行時には、運転者6は自らの頭部を旋回方向内側へ傾斜させる姿勢を取るが、運転者6の頭部とサイドウインドガラス面Gとの間の距離が大きくなると、運転者6の頭部傾斜量は大きくなる。これは、運転者6が頭部の周辺環境を広いと認識するためである。そして、頭部傾斜量が大きくなると、運転者6の視界が傾くことにより、前方視界が乱れ、運転操作の安定度が低下する原因となる。
そこで、本発明の第2の実施形態となる進行運転者知覚制御装置では、CPU4が、DSP3を制御することにより、図5(c)に示すように、サイドウインドガラス面Gの位置から車室内側へ傾斜した仮想壁面Wを運転者6に知覚させる。このような構成によれば、運転者6は、頭部とサイドウインドガラス面Gとの間の距離を実際の距離D1よりも短く(距離D2)認識することにより、頭部周辺環境を実際よりも狭く認識するようになるので、旋回時の頭部傾斜角を小さく抑え、前方視界の乱れを小さくすることができる。なお、図5(c)に示す例では、仮想壁面Wは、サイドウインガラスド面G、すなわち、垂直面の位置から車室内側へ傾斜しているものとしたが、本発明はこの構成に限られることはなく、例えば、車室内壁の形状に応じて、車室外側に傾斜するものであってもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、垂直面に対して傾斜した仮想壁面Wを運転者6に知覚させるので、運転者6に適度な圧迫感を与え、運転者6の頭部運動が安定する効果が得られる。そして、この結果、運転操作の安定度を高めることができる。
次に、図6を参照して、本発明の第3の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。
本発明の第3の実施形態となる運転者知覚制御装置は、図6に示すように、本発明の第1の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成要素に加えて、走行状態検知部31と車体姿勢推定部32とを構成要素として備える。なお、走行状態検知部31及び車体姿勢推定部32はそれぞれ、本発明に係る走行状態検知手段及び車体姿勢検知手段として機能する。
上記走行状態検知部31は、車両1の車速を車両状態量情報として検知し、検知した車速、若しくは、検知した車速から演算された信号をCPU4に入力する。上記車体姿勢推定部32は、車両操作量情報として車両1の操舵角を検知し、検知された操舵角、若しくは、検知された操舵角から演算された信号をCPU4に入力する。そして、CPU4は、走行状態検知部31及び車体姿勢推定部32から入力された車速及び操舵角に基づいて仮想壁面Wの位置,角度,反射特性を変化させるように、DSP3の特性を制御する。
なお、この実施形態では、CPU4は、車速と操舵角に基づいてDSP3の特性を制御することとしたが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、車両1の前方や後方にレーザレーダを設け、このレーザレーダによって他車との相対位置関係を周囲環境情報として測定し、測定された相対位置関係に基づいてDSP3の特性を制御してもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第3の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、車両状態量、車両操作量、及び周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、仮想壁面Wの位置、角度、及び反射特性のうちの少なくとも一つを変化させるので、旋回状態に応じて運転者の注意を適切な方向に誘導する等して、いかなる走行場面においても運転操作の安定度を向上させることができる。
次に、図7を参照して、本発明の第4の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。
本発明の第4の実施形態となる運転者知覚制御装置では、走行状態検知部31及び車体姿勢検知部32の構成が本発明の第3の実施形態となる運転者知覚制御装置のそれと異なる。そこで、以下では、図7を参照して、走行状態検知部31及び車体姿勢検知部32の構成についてのみ説明し、その他の構成要素の説明は省略する。
本発明の第4の実施形態となる運転者知覚制御装置では、走行状態検知部31は、図7に示すように、操舵角と旋回横加速度(旋回横G)の比例関係を表す比例定数が記述された車速−横Gゲインマップ41と、車速−横Gゲインマップ41を参照して現在の車速に対応する旋回横Gゲインを算出する横Gゲイン算出部42と、横Gゲイン算出部42により算出された旋回横Gゲインに現在の操舵角を乗算することにより、車両1の旋回状態を表す旋回横Gを算出する乗算部43を備える。さらに、走行状態検知部31は、乗算部43のサンプリング周期に応じて、1サンプリング前の車速を記憶するメモリ44と、メモリ44に記憶された車速と現在の車速の差を算出する減算部45と、減算部45の演算値をサンプリング周期で除算することにより、車両1の加速度(減速度)を算出する除算部46とを有する。そして、走行状態検知部31は、算出された車両1の旋回横Gと加速度(減速度)をCPU4に入力する。
車体姿勢検知部32は、旋回横Gに対する車体ロール角が記述された横G−ロール角マップ47と、加速度(減速度)に対する車体ピッチ角が記述された加速G(減速G)−ピッチ角マップ48と、横G−ロール角マップ47と加速G(減速G)−ピッチ角マップ48を参照して、走行状態検知部32が算出した旋回横G及び加速度(減速度)に対応するロール角及びピッチ角を算出する算出部49とを備える。そして、車体姿勢検知部32は、算出されたロール角及びピッチ角を地球座標に対する車体姿勢を表す情報としてCPU4に入力する。なお、アクティブサ制御のサスペンションを有さない車両においては、単一の車両モデルを用いることにより旋回横G又は加減速度に対する車体姿勢を演算してもよい。
CPU4は、走行状態検知部31から入力された旋回横G及び加速度が所定の閾値以下であるか否かを判別することにより、車両1が安定的に直進走行している状態(以下、安定的直進状態と略記)にあるか否かを判別する。そして、旋回横G及び加速度が所定の閾値以下である場合、CPU4は、車両1が安定的直進状態にあると判断し、DSP3の特性を固定することにより、仮想壁面Wを車体に対して相対的に固定する。一方、旋回横G及び加速度が所定の閾値以上である場合には、CPU4は、車両1が安定的直進状態にないと判断して、ロール角及びピッチ角に応じてDSP3の特性を変化させることにより、仮想壁面Wの位置、角度、又は反射特性を車体に対して相対的に変化させる。
なお、この実施形態では、車体姿勢検知部32は、旋回横G又は加減速度に基づいて車体姿勢を検出したが、本発明はこれに限られることはなく、例えば、サスペンションのストローク量を検出するセンサを設け、このセンサの検出値を参照して車体姿勢を直接検出してもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第4の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、走行状態検知部31が、車両1の旋回状態と加減速状態の少なくとも一方を検知し、車体姿勢推定部32が、地球座標に対する車体姿勢を検知、若しくは、推定し、CPU4は、走行状態検知部31により車両1が安定的に直進走行していると判断された場合、仮想壁面Wを車体に対して相対的に固定し、走行状態検知部31により車両1が旋回状態、若しくは、加減速状態であると判断された場合、又は、車体姿勢推定部32により地球座標に対する車体姿勢が変動していると判断された場合には、車体姿勢に応じて仮想壁面Wの位置及び角度を車体に対して相対的に変化させる、若しくは、仮想壁面Wの反射特性を変化させるので、旋回や加速といった急激な姿勢変化を伴う車両運動が発生した場合であっても、運転者の平衡感覚を保つために最適な運転環境を構築することができる。
次に、図8を参照して、本発明の第5の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第5の実施形態となる運転者知覚制御装置は、仮想壁面Wの提示方法のみが上記第4の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では仮想壁面Wの提示方法についてのみ説明する。
本発明の第5の実施形態となる運転者知覚制御装置では、車両1が安定的直進状態である場合、CPU4は、図8(a)に示すように、仮想壁面Wを車体に対して略水平に保つ。一方、車両1が旋回状態となり、水平軸L1に対しロール角θ1が発生した場合には、CPU4は、図8(b)に示すように、水平軸L1に対しロール角θ1と逆方向に仮想壁面Wを傾斜させる。なお、車体にロール角θ1が発生する旋回状態においては、図8(b)に示すように、運転者6の頭部51の中心軸L3は、車両上下軸L4に対し旋回方向内側に角度θ2傾斜するが、このとき、仮想壁面Wの傾斜角度は中心軸L3と直交する角度にすることが望ましい。
なお、この実施形態では、車両1が安定的直進状態から旋回状態に移行する際に仮想壁面Wを傾斜させたが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、車両1が旋回状態から安定的直進状態に移行する際に仮想壁面Wを傾斜させてもよい。また、この実施形態では、仮想壁面Wの初期位置は運転者6の頭部51よりも下方に位置するが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、例えば、車両1が安定的直進状態である場合は、図9(a)に示すように運転者6の頭部51とほぼ同じ高さに仮想壁面Wを知覚させ、車体にロール角が発生するのに応じて、図9(b)に示すように仮想壁面Wを傾斜させてもよい。また、車両1が安定的直進状態である場合は、図10(a)に示すように車室内の天井面とほぼ同じ高さに仮想壁面Wを知覚させ、車体にロール角が発生するのに応じて、図10(b)に示すように仮想壁面Wを傾斜させてもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第5の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、走行状態検知部31により車両1が安定的に直進走行していると判断された場合、走行路面に対して略平行に仮想壁面Wを想定し、走行状態検知部31により、車両1が、直進走行状態から旋回状態、若しくは、旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、車体に対する仮想壁面Wの相対的角度を、車両1のロール角度θ1の変化方向と逆方向に変化させる。このような構成によれば、ロール角度θ1が発生する旋回時において仮想壁面Wが運転者6の平衡感覚の基準線としての役割を果たすので、運転姿勢が安定して操舵の乱れを抑制することができる。なお、基準線提示による運転姿勢の安定化効果の詳細については、本願発明の発明者らの以前の出願(特願2003−156980号)を参照されたい。
次に、図11を参照して、本発明の第6の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第6の実施形態となる運転者知覚制御装置は、仮想壁面Wの提示方法のみが上記第4の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では仮想壁面Wの提示方法についてのみ説明する。
本発明の第6の実施形態となる運転者知覚制御装置では、車両1が安定的直進状態である場合、CPU4は、図11(a),(b)に示すように、車室内のサイドウインドガラス面とほぼ同じ位置に仮想壁面Wを提示する。そして、車両1が旋回するのに応じて、CPU4は、図11(c)に示すように、サイドウインドガラス面の位置から旋回方向内側に仮想壁面Wを変位させるようにDSP3を制御することにより、運転者の注意を旋回方向内側に向ける。
なお、一般の走行場面を考えると、図12(a)に示すように、運転者6は、コーナー内側のラインL5を注視することが望ましいが、実際には、他車両の存在等の理由によってコーナー内側のラインL5を注視することは難しい。しかしながら、この実施形態によれば、運転者の注意を旋回方向内側へ向かわせることができるので、運転操作が安定し、車両の運動が安定的に推移する。また、これにより、運転者の平衡感覚が安定に保たれ、さらに運転操作が安定する好循環の効果が得られる。
また、旋回時には、車体が沈み込みながらロールすることが運転者にとって快適な運転姿勢であることが知られている。しかしながら、実際にこのような車両姿勢となるようにサスペンション特性を設定すると、乗り心地や操縦安定性等の要素にトレードオフが生じてしまうので、現状の車両では必ずしも旋回時に沈み込みロール姿勢になっていない。しかしながら、この実施形態によれば、図12(b)に示すように、旋回時に仮想壁面Wを下方に動かすことにより、旋回時に運転者の注意を下方に誘導することができるので、車体があたかも沈み込むような感覚を運転者に付与することができる。
なお、この実施形態では、旋回時に仮想壁面Wを旋回方向内側や下方に変位させたが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、車体姿勢に応じて、車体固体座標系からみて左右方向、上下方向、及び前後方向のいずれの方向に仮想壁面Wを変位させてもよい。また、この実施形態では、車両1が安定的直進状態から旋回状態に移行する際に仮想壁面Wを変位させたが、車両1が旋回状態から安定的直進状態に移行する際には、仮想壁面Wを安定的直進状態時の初期位置に戻すことが望ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第6の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、走行状態検知部31により車両1が安定的に直進走行していると判断された場合、車室内壁と略同一位置となる初期位置に仮想壁面Wを固定し、走行状態検知部31により車両1が直進走行状態から旋回状態へと移行すると判断された場合、車体姿勢推定部32により検知される地球座標に対する車体姿勢に応じて、車体固定座標系からみて左右方向、上下方向、及び前後方向のうちの少なくとも一つの方向に仮想壁面Wを変位させ、走行状態検知部31により車両1が旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、車体姿勢推定部32により検知される地球座標に対する車体姿勢に応じて、初期位置に仮想壁面Wを戻す。このような構成によれば、車両1の旋回状態に応じて仮想壁面Wが変位するので、運転者の運転負荷が高い条件下においても運転者の注意方向を適切な方向へ誘導することができる。
次に、図13を参照して、本発明の第7の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第7の実施形態となる運転者知覚制御装置は、仮想壁面Wの提示方法のみが上記第4の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では仮想壁面Wの提示方法についてのみ説明する。
一般に、車体は、制動時には、図13(a)に示すように車体前方が沈み込むノーズダイブ姿勢となる。そこで、本発明の第7の実施形態となる運転者知覚制御装置では、直進時、CPU4が、図13(b)に示すように、車室内床面と略同じ高さ、且つ、走行路面Rと略平行となる位置及び角度に仮想壁面Wを提示、車体71に対して固定する。一方、制動時には、CPU4は、図13(c)に示すように、発生する車体ピッチ角θ3と逆方向に仮想壁面Wの角度をθ4変位させる。このような構成によれば、制動時に車体姿勢が変化した場合であっても、運転者の感覚上の車体姿勢変化を小さく保つことができるので、運転者は制動時においても安定に運転することができる。
なお、この実施形態では、制動時における仮想壁面Wの制御について述べたが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、加速時についても同様の方法(但し、角度変化の方向は逆)により運転者の感覚を調整することができる。また、この実施形態では、仮想壁面Wの位置は、車室内床面の位置と略同じであるとしたが、車室内の天井と略同じ位置等、他の位置であってもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第7の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、走行状態検知部31により車両1が安定的に直進走行していると判断された場合、走行路面に対して略平行に仮想壁面Wを想定し、走行状態検知部31により車両1が減速状態若しくは加速状態にあると判断された場合、車体に対する仮想壁面Wの相対的角度を車両1のピッチ角度θ3の変化方向と逆方向に変化させる。このような構成によれば、仮想壁面Wがピッチ角θ3とは逆方向に傾斜するので、仮想壁面Wが平衡感覚の基準線としての役割を果たし、運転姿勢が安定して操舵の乱れを抑制することができる。なお、基準線提示による運転姿勢の安定化効果の詳細については、本願発明の発明者らの以前の出願(特願2003−156980号)を参照されたい。
次に、図14を参照して、本発明の第8の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第8の実施形態となる運転者知覚制御装置は、仮想壁面Wの提示方法のみが上記第4の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では仮想壁面Wの提示方法についてのみ説明する。
本発明の第8の実施形態となる運転者知覚制御装置では、直進時、CPU4は、図14(a)に示すように、車室内床面と略同じ高さ、且つ、走行路面と略平行となる位置及び角度に仮想壁面Wを提示、車体71に対して固定する。一方、車両1が凹凸のある路面を走行している場合等、車体71が上下動を行っていることが車体姿勢推定部32により判断された場合には、CPU4は、図14(c)に示すように、車体1の上下動の方向と逆方向に仮想壁面Wを変位させる。このような構成によれば、実際の車体姿勢が変化しても、運転者の感覚上の車体姿勢変化を小さく保つことができるので、運転者は制動時においても安定に運転することができる。なお、この実施形態では、説明を簡単にするために車体71が単純に上下動する場合について述べたが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、ピッチあるいはロール方向の運動が発生する場合においても同様の方法により制御することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の第8の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、車体姿勢推定部32により車体姿勢が変動していると判断された場合、車体に対する仮想壁面Wの位置及び角度を、地球座標系に対する車体の位置及び角度の変化と逆方向に変化させる。このような構成によれば、実際の車体姿勢が変化しても、運転者の感覚上の車体姿勢変化を小さく保ち、運転者は制動時においても安定に運転することができる。
次に、図15乃至図17を参照して、本発明の第9の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第9の実施形態となる運転者知覚制御装置は、仮想壁面Wの提示方法のみが上記第4の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では仮想壁面Wの提示方法についてのみ説明する。
一般に、車両1のロール軸は、図15(a)に示すフロントウインドガラス枠Fの下端部により下に存在する。そして、車両1がロールした場合には、フロントウインドガラス枠Fは、ロール軸を中心として揺動を行う。また、フロントウインドガラス枠Fが図15(b)に示すロール軸P1を中心として揺動を行うとすると、運転席が車体中央から左右いずれかにオフセットしている車両においては、運転者の頭部位置Pも同様にロール軸P1を中心とした揺動運動を行う。
さらに、旋回時、運転者は、図16(a),(b)に示すように、旋回方向内側よりのフロントウインドガラス下端線L6,L7を自身の平衡感覚の基準線とするが、この時、フロントウインドガラス枠Fの動きを頭部位置Pを基準として見ると、見切り線と頭部位置Pとの間の距離は、図16(c)に示すように、左旋回時(距離D3)及び右旋回時(距離D4)とで異なることになる。すなわち、旋回時の運転者の感覚には左右差が生じる。なお、図15に示す例では、説明を簡単にするために、車両ロール軸P1をフロントウインドガラスの下端部に設定すると共に、ロールに伴う運転者の車両1に対する相対変位は無いものとする。
そこで、本発明の第9の実施形態となる運転者知覚制御装置では、直進時には、CPU4が、図17(a)に示すように、走行路面と略水平となる位置に仮想壁面Wを固定する。一方、車両1が旋回状態となる際には、CPU4は、仮想壁面Wをロール角と反対方向に傾斜させると同時に、仮想壁面Wを下方に変位させることにより沈み込みロールを運転者に体感させる。また、運転席が車体中央から右へオフセットしている車両においては、CPU4は、図17(b),(c)に示すように、右旋回時の下方移動ゲインD5を左旋回時の下方移動ゲインD6よりも小さく設定する。これにより、左右旋回時の視界の差に由来する運転者の左右旋回の感覚差を聴覚により補正し、運転者に左右いずれも等しい旋回感覚を付与することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の第9の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、運転席が車両中央から左右いずれかにオフセットした位置に取り付けられている車両においては、車体姿勢変化に応じた仮想壁面Wの位置及び角度の変化ゲインを左旋回時と右旋回時とで異ならせるので、左右旋回時の視界の差に由来する運転者の左右旋回の感覚差を聴覚により補正し、運転者に左右いずれも等しい旋回感覚を付与することができる。
また、本発明の第9の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、運転席が車両中央から右にオフセットした位置に取り付けられている車両においては、運転席側へ旋回する際の車体のロール角に対する仮想壁面の上下方向変化ゲインを、助手席側へ旋回する際の車体のロール角に対する仮想壁面の上下方向変化ゲインより小さくするので、左右旋回時の視界の差に由来する運転者の左右旋回の感覚差を聴覚により補正し、運転者に左右いずれも等しい旋回感覚を付与することができる。
次に、図18を参照して、本発明の第10の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。
本発明の第10の実施形態となる運転者知覚制御装置では、図18に示すように、図6に示す第3の実施形態となる運転者知覚制御装置におけるDSP3が、スピーカ5を駆動するアンプ101に置き換わっている。そして、この実施形態では、車両1が安定的直進状態の場合、CPU4が、アンプ101の特性を固定として、定位音像の位置を車体に対して固定する。一方、車両1が旋回状態、若しくは、加減速状態であると判断された場合、又は、車体姿勢が変動していると判断された場合、CPU4は、定位音像の位置,音量,若しくは周波数特性を変化させる。なお、この実施形態では、スピーカ5を駆動するアンプ101の特性を制御することにより定位音像を調整したが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、アナログ回路やDSPを用いることにより定位音像を調整してもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第10の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、車両状態量、車両操作量、及び周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、定位音像の位置、音量、及び周波数のうちの少なくとも一つを変化させるので、旋回状態に応じて運転者の注意を適切な方向に誘導する等して、いかなる走行場面においても運転操作の安定度を向上させることができる。
また、本発明の第10の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、車両1が安定的に直進走行していると判断された場合、定位音像を車体に対して相対的に固定し、車両1が旋回状態、若しくは、加減速状態であると判断された場合、又は、車体姿勢が変動していると判断された場合、車体姿勢推定部32により検知される地球座標に対する車体姿勢に応じて、定位音像の位置、音量、及び周波数のうちの少なくとも一つを車体に対して相対的に変化させるので、定位音源によって運転者の注意を適切な方向に誘導し、運転操作の安定度を高めることができる。また、旋回や加速といった急激な姿勢変化を伴う車両運動が発生した場合であっても、定位音源を適切な位置に保つことができる。
次に、図19を参照して、本発明の第11の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第11の実施形態となる運転者知覚制御装置は、定位音像の提示方法のみが上記第10の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では定位音像の提示方法についてのみ説明する。
本発明の第11の実施形態となる運転者知覚制御装置では、車両1が安定的直進状態の場合、CPU4が、運転者の頭部位置Pに音像を定位させる。一方、車両1が右方向に旋回する場合には、CPU4は、図19(a)に示すように、定位音像を頭部位置Pから旋回方向内側、且つ、前方の位置O1に変位させる。また同時に、CPU4は、図19(b)に示すように、定位音像を下方位置O1へと移動させる。そして、車両1が旋回状態から直進走行状態へと移行する場合、CPU4は、定位音像の位置を頭部位置Pまで戻す。なお、この実施形態では、定位音像を旋回方向内側の前方、且つ、下方の3軸方向へ同時に移動させたが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、定位音像の移動方向は1軸又は2軸方向であってもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第11の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4は、車両1が安定的に直進走行していると判断された場合、運転者の頭部位置Pに定位音像を固定し、直進走行状態から旋回状態へと移行すると判断された場合、車体固定座標系からみて左右方向、上下方向、前後方向のうちの少なくとも一つの方向へ定位音像の位置を変位させ、車両1が旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、定位音像の位置を運転者の頭部位置Pまで戻すので、運転者の運転負荷が高い条件においても、運転者の注意の方向を適切な方向に誘導することができる。また、音像が下方に移動することにより、旋回時に車体が沈み込むような感覚を運転者に付与することができるので、旋回時のロール感を向上させることができる。
次に、図20を参照して、本発明の第12の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第12の実施形態となる運転者知覚制御装置は、定位音像の提示方法のみが上記第10の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では定位音像の提示方法についてのみ説明する。
本発明の第12の実施形態となる運転者知覚制御装置では、車両1が安定的直進状態にある場合、CPU4が、運転者の頭部位置Pに音像を定位させる。一方、車両1が右方向に旋回する場合には、CPU4は、図20(a),(b)に示すように、定位音像を頭部位置Pから旋回方向内側、且つ、前方の位置O2へ変位させると同時に、定位音像の音量を下げる。このような構成によれば、音量が下方に移動するのと同様に、あたかも車体が沈み込むような感覚を運転者に付与することができる。そして、車両1が旋回状態から直進走行状態へと移行する場合、CPU4は、定位音像を安定的直進状態時の位置に戻す。
ここで、CPU4は、直進状態と旋回状態とを識別するしきい値を有し、図20(c)に示すように、旋回横加速度がしきい値以上である場合、定位音像の音量を直線的に下げる。一方、旋回横加速度がしきい値以上でない場合には、CPU4は、定位音像の位置及び音量を固定する。なお、この実施形態では、CPU4は定位音像の音量を直線的に下げることとしたが、この音量の下げ方は旋回横加速度に対する車両のロール角の特性が線形である場合に適用される。旋回横加速度に対する車両のロール角の特性が非線形であるある場合には、音量の減少特性も非線形とすることが望ましい。また、この実施形態では、音像の音量を下げたが、本発明はこの実施形態に限られることはなく、例えば音像の周波数を減少させるようにしてもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第12の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、車両1が安定的に直進走行していると判断された場合における音像の音量と周波数を初期状態とした時、CPU4が、車両1が直進走行状態から旋回状態へと移行すると判断された場合、定位音像の音量と周波数の少なくとも一方を初期状態より小さく、若しくは、大きくし、車両1が旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、定位音像の音量と周波数の少なくとも一方を初期状態に戻すので、車体が沈み込むような感覚を運転者に付与し、旋回時のロール感を向上させることができる。
次に、図21を参照して、本発明の第13の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第13の実施形態となる運転者知覚制御装置は、定位音像の提示方法のみが上記第10の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では定位音像の提示方法についてのみ説明する。
本発明の第13の実施形態となる運転者知覚制御装置では、車両1が安定的直進状態にある場合、CPU4が、図21(a)に示すように、運転者の頭部位置Pに音像を定位させる。一方、車両が凹凸のある路面を走行する場合等、車体が上下動を行う場合には、CPU4は、図21(b)に示すように、車体の上下動の方向とは逆方向の位置O3に定位音像を変位させる。このような構成によれば、実際の車体姿勢が変化しても、運転者の感覚上の車体姿勢変化を小さく保つことができるので、運転者は安定に運転することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の第13の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、車体姿勢が変動している場合、定位音像の車体に対する位置を、地球座標系に対する車体の位置の変化と逆方向に制御するので、車体の上下動が発生した場合であっても、走行路面に対して一定の位置に定位音像を保ち、運転者の体感上の車体上下動を実際の上下動よりも小さくすることができる。
次に、図22を参照して、本発明の第14の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第14の実施形態となる運転者知覚制御装置は、定位音像の提示方法のみが上記第10の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では定位音像の提示方法についてのみ説明する。
本発明の第14の実施形態となる運転者知覚制御装置では、車両1が安定的直進状態にある場合、CPU4が、図22(a)に示すように、運転者6の前方位置O4に音像を定位させる。一方、ノーズダイブ姿勢時には、CPU4は、定位音像の位置を運転者6の前方位置O4から上方の位置O5に変位させる。なお、定位音像の移動量は、車体のピッチ方向の瞬間回転中心(ピッチ中心)P2を算出し、車体ピッチ角θ3が発生した際に、ピッチ中心P2と定位音像の位置O5を結ぶ直線Lがピッチ中心P2と定位音像の初期位置O4と成す角度αが車体ピッチ角度θ3と略等しくなるようにすることが望ましい。また、ノーズリフト姿勢が生じた際には、CPU4は、定位音像を初期位置O4から下方の位置へ移動することが望ましい。さらに、CPU4は、車体がノーズダイブ姿勢になっている場合、定位音像を初期位置O4から下方へ移動し、ノーズリフト姿勢になっている場合、定位音像を初期位置O4から上方へ移動してもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の第14の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、車両1が安定的に直進走行している場合、運転者より前方の初期位置O4に前記定位音像を固定し、車体がノーズダイブ姿勢になっている場合、定位音像を初期位置O4から上方の位置O5へ移動し、ノーズリフト姿勢になっている場合、定位音像を初期位置O4から下方の位置へ移動するので、定位音像がピッチ角と逆方向に変位することにより、運転者の体感においてピッチング挙動をうち消す効果が得られ、加減速時の平衡感覚を安定に保つことができる。
また、本発明の第14の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、CPU4が、車両1が安定的に直進走行している場合、運転者より後方の初期位置に定位音像を固定し、車体がノーズダイブ姿勢になっている場合、定位音像を初期位置から下方へ移動し、車体がノーズリフト姿勢になっている場合、定位音像を初期位置から上方へ移動するので、運転者の体感においてピッチング挙動をうち消す効果が得られ、加減速時の平衡感覚を安定に保つことができる。
最後に、図23を参照して、本発明の第15の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成について説明する。なお、本発明の第15の実施形態となる運転者知覚制御装置は、定位音像の提示方法のみが上記第10の実施形態となる運転者知覚制御装置と異なるので、以下では定位音像の提示方法についてのみ説明する。
本発明の第15の実施形態となる運転者知覚制御装置では、車両1が安定的直進状態にある場合、CPU4が、図23(a)に示すように、定位音像の位置O6を車体1に対して固定させる。一方、車両1が旋回状態となる際には、CPU4は、定位音像を下方位置O7に移動させることにより、沈み込みロールを運転者に体感させる。またこの時、CPU4は、運転席が車体中央部から右へオフセットした車両においては、図23(b),(c)に示すように、右旋回時の下方移動ゲインD7を左旋回時の下方移動ゲインD8よりも小さく設定する。これにより、左右旋回時の視界の差に由来する運転者の左右旋回の感覚差を聴覚により補正し、運転者に左右いずれも等しい旋回感覚を付与することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の第15の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、運転席が車両中央から左右いずれかへオフセットした位置に取り付けらた車両において、CPU4が、車体姿勢変化に応じた定位音像の位置、音量、及び周波数の変化ゲインを左旋回時と右旋回時で異ならせるので、左右旋回時の視界の差に由来する運転者の左右旋回の感覚差を聴覚により補正し、運転者に左右いずれも等しい旋回感覚を付与することができる。
また、本発明の第15の実施形態となる運転者知覚制御装置によれば、運転席が車両中央から右にオフセットした位置に取り付けらた車両において、CPU4が、運転席側へ旋回する際の車体のロール角に対する定位音像の上下方向変化ゲインが、助手席側へ旋回する際の車体のロール角に対する定位音像の上下方向変化ゲインより小さくなるように制御するので、左右旋回時の視界の差に由来する運転者の左右旋回の感覚差を聴覚により補正し、運転者に左右いずれも等しい旋回感覚を付与することができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば、上記実施形態では、仮想壁面若しくは定位音像を車両状態量や運転操作量に応じて変化させたが、運転者の頭部の動きを検出し、運転者の頭部の動きに応じて仮想壁面や定位音像を調整するようにしてもよい。これにより、運転者の運転操作をより安定させることができる。
また、上記実施形態では、車両が安定的な直進状態から旋回状態に遷移する場合や安定的な直進状態から制動,加速状態に遷移する場合についての処理であったが、旋回状態から安定的な直進状態に復帰する時には、仮想壁面や定位音像の角度や位置の変化特性に適当な時間遅れを与える、若しくは、ヒステリシス特性を持たせることが望ましい。例えば、移動する車両の車内から外の景色を長時間見つめた後に、外の景色を見つめたままで車両を停止した場合には、車両があたかも逆方向に動いているように錯覚する現象が生じ、この現象は運動残効として一般によく知られている。このような錯覚現象は、視覚のみならず聴覚でも生じるが、上記のように変化特性にヒステリシス特性を与えることにより、この錯覚現象を抑制することができる。
ここで、図24を参照して、本発明の第5の実施形態となる運転者知覚制御装置に上記ヒステリシス特性を与える場合を例として、ヒステリシス特性の付加方法について説明する。なお、ここでは第5の実施形態となる運転者知覚制御装置に上記ヒステリシス特性を与える場合を例するが、他の実施形態にも同様の方法により上記ヒステリシス特性を与えることができることは勿論である。
上記ヒステリシス特性を与える場合には、旋回が開始されると(図24(c)の時刻T=T1)、図24(a)に示す安定的直進状態から図24(b)に示す旋回状態になるように、仮想壁面Wの角度をロール角度の変化に応じて水平から変化させる。そして、ロール角度が最大値から減少を開始し、車両が直進状態に戻り始めるのに応じて(図24(c)の時刻T=T2)、図24(b)に示す旋回状態から図24(a)に示す安定的直進状態になるように、仮想壁面Wの角度をロール角度の変化に応じて変化させる。この時、仮想壁面Wの角度は、ロール角度が0になった時点(図24(c)の時刻T=T3)で水平に戻さす、ロール角度が0になった時点から所定遅れ時間後(図24(c)の時刻T=T4)に水平に戻す。これにより、ヒステリシス特性を付加することができる。ここで、上記所定遅れ時間は、一次遅れのフィルタを挿入したり、仮想壁面を決定するマップにヒステリシス特性を与えることにより設定することができるが、安定的直進状態に戻る際の時間遅れが与えられさえすれば、どのような方法により設定してもよい。
このように、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
本発明の第1の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の位置を示す図である。 図1に示す運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の位置を示す図である。 検証実験の一例を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の位置を示す図である。 本発明の第3の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第5の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の動きを示す図である。 図8に示す仮装壁面の動きの応用例を説明するための図である。 図8に示す仮装壁面の動きの応用例を説明するための図である。 本発明の第6の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の動きを示す図である。 図11に示す仮装壁面による技術的効果を説明するための図である。 本発明の第7の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の動きを示す図である。 本発明の第8の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の動きを示す図である。 車両がロールするのに応じて、運転者の頭部位置が揺動運動を行う様子を説明するための図である。 平衡感覚の基準線が左旋回時と右旋回時で異なる様子を説明するための図である。 本発明の第9の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる仮想壁面の動きを示す図である。 本発明の第10の実施形態となる運転者知覚制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第11の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる定位音像の動きを示す図である。 本発明の第12の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる定位音像の動きを示す図である。 本発明の第13の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる定位音像の動きを示す図である。 本発明の第14の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる定位音像の動きを示す図である。 本発明の第15の実施形態となる運転者知覚制御装置が運転者に知覚させる定位音像の動きを示す図である。 本発明の第5の実施形態となる運転者知覚制御装置の応用例を説明するための図である。
符号の説明
1:車両
2:音源
3:DSP(Digital Signal Processor)
4:CPU(Central Processing Unit)
5:スピーカ
6:運転者
W:仮想壁面

Claims (19)

  1. 車両に備えられ、車室内に音声を出力する音声出力手段と、
    仮想壁面を想定し、当該仮想壁面からの反射音が前記音声に含まれるように前記音声出力手段を制御することにより当該仮想壁面を運転者に知覚させ、当該仮想壁面によって運転者の進行方向知覚を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする運転者知覚制御装置。
  2. 請求項1に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、垂直面に対して傾斜した仮想壁面を運転者に知覚させること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  3. 請求項1に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、車両状態量、車両操作量、及び周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、前記仮想壁面の位置、角度、及び反射特性のうちの少なくとも一つを変化させること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  4. 請求項3に記載の運転者知覚制御装置において、
    車両の旋回状態と加減速状態の少なくとも一方を検知する走行状態検知手段と、
    地球座標に対する車体姿勢を検知、若しくは、推定する車体姿勢検知手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、前記仮想壁面を車体に対して相対的に固定し、
    前記走行状態検知手段により車両が旋回状態、若しくは、加減速状態であると判断された場合、又は、前記車体姿勢検知手段により車体姿勢が変動していると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、前記仮想壁面の位置及び角度を車体に対して相対的に変化させる、若しくは、仮想壁面の反射特性を変化させること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  5. 請求項4に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、走行路面に対して略平行に前記仮想壁面を想定し、
    前記走行状態検知手段により、車両が、直進走行状態から旋回状態、若しくは、旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、車体に対する前記仮想壁面の相対的角度を、車両のロール角度の変化方向と逆方向に変化させること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  6. 請求項4に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、車室内壁と略同一位置となる初期位置に前記仮想壁面を想定し、
    前記走行状態検知手段により車両が直進走行状態から旋回状態へと移行すると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、車体固定座標系からみて左右方向、上下方向、及び前後方向のうちの少なくとも一つの方向に前記仮想壁面を変位させ、
    前記走行状態検知手段により車両が旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、前記初期位置に前記仮想壁面を戻すこと
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  7. 請求項4に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、走行路面に対して略平行に前記仮想壁面を想定し、
    前記走行状態検知手段により車両が減速状態若しくは加速状態にあると判断された場合、車体に対する前記仮想壁面の相対的角度を車両のピッチ角度の変化方向と逆方向に変化させること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  8. 請求項4に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、前記車体姿勢検知手段により車体姿勢が変動していると判断された場合、車体に対する前記仮想壁面の位置及び角度を、地球座標系に対する車体の位置及び角度の変化と逆方向に変化させること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  9. 請求項5又は請求項6に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記車両の運転席は、車両中央から左右いずれかにオフセットした位置に取り付けられ、前記制御手段は、車体姿勢の変化に応じた仮想壁面の位置及び角度の変化ゲインを左旋回時と右旋回時で異ならせること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  10. 請求項9に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記車両の運転席は、車両中央から右にオフセットした位置に取り付けられ、
    前記制御手段は、運転席側へ旋回する際の車体のロール角に対する仮想壁面の上下方向変化ゲインを、助手席側へ旋回する際の車体のロール角に対する仮想壁面の上下方向変化ゲインより小さくすること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  11. 車両に備えられ、車室内に定位音像を生成する音声出力手段と、
    車両状態量、車両操作量、及び周囲環境のうちの少なくとも一つに応じて、前記音声出力手段により生成される定位音像の位置、音量、周波数のうちの少なくとも一つを変化させることにより、運転者の進行方向知覚を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする運転者知覚制御装置。
  12. 請求項11に記載の運転者知覚制御装置において、
    車両の旋回状態と加減速状態の少なくとも一方を検知する走行状態検知手段と、
    地球座標に対する車体姿勢を検知、若しくは、推定する車体姿勢検知手段とを備え、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、前記定位音像を車体に対して相対的に固定し、
    前記走行状態検知手段により車両が旋回状態、若しくは、加減速状態であると判断された場合、又は、前記車体姿勢検知手段により車体姿勢が変動していると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、前記定位音像の位置、音量、及び周波数のうちの少なくとも一つを車体に対して相対的に変化させること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  13. 請求項12に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、車体に対する任意の初期位置に前記定位音像を固定し、
    前記走行状態検知手段により車両が直進走行状態から旋回状態へと移行すると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、車体固定座標系からみて左右方向、上下方向、及び前後方向のうちの少なくとも一つの方向へ前記定位音像を移動し、
    前記走行状態検知手段により車両が旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、前記初期位置に前記定位音像を戻すこと
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  14. 請求項12に記載の運転者知覚制御装置において、
    車両が安定的に直進走行していると判断された場合における前記定位音像の音量と周波数を初期状態とした時、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が直進走行状態から旋回状態へと移行すると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、前記定位音像の音量と周波数の少なくとも一方を初期状態から変化させ、
    前記走行状態検知手段により車両が旋回状態から直進走行状態へと移行すると判断された場合、前記車体姿勢に応じて、前記定位音像の音量と周波数の少なくとも一方を初期状態に戻すこと
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  15. 請求項12に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、前記車体姿勢検知手段により車体姿勢が変動していると判断された場合、車体に対する前記定位音像の位置を、地球座標系に対する車体の位置の変化と逆方向に変位させる
    ことを特徴とする運転者知覚制御装置。
  16. 請求項12に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、運転者より前方の初期位置に前記定位音像を固定し、
    前記車体姿勢検知手段により車体がノーズダイブ姿勢になっていると判断された場合、前記定位音像を前記初期位置から上方へ移動し、
    前記車体姿勢検知手段により車体がノーズリフト姿勢になっていると判断された場合、前記定位音像を前記初期位置から下方へ移動すること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  17. 請求項12に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記走行状態検知手段により車両が安定的に直進走行していると判断された場合、運転者より後方の初期位置に前記定位音像を固定し、
    前記車体姿勢検知手段により車体がノーズダイブ姿勢になっていると判断された場合、前記定位音像を初期位置から下方へ移動し、
    前記車体姿勢検知手段により車体がノーズリフト姿勢になっていると判断された場合、前記定位音像を初期位置から上方へ移動すること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  18. 請求項13又は請求項14に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記車両の運転席は、車両中央から左右いずれかへオフセットした位置に取り付けられ、前記制御手段は、車体姿勢変化に応じた定位音像の位置、音量、及び周波数の変化ゲインを左旋回時と右旋回時で異ならせること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
  19. 請求項18に記載の運転者知覚制御装置において、
    前記車両の運転席は、車両中央から右にオフセットした位置に取り付けられ、
    前記制御手段は、運転席側へ旋回する際の車体のロール角に対する前記定位音像の上下方向変化ゲインを、助手席側へ旋回する際の車体のロール角に対する定位音像の上下方向変化ゲインより小さくすること
    を特徴とする運転者知覚制御装置。
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