本発明の特徴は、磁性トナー粉面のレベルを検知するための磁性トナー残量検知手段と板状の撹拌搬送部材とを現像容器内部に有しており、該撹拌搬送部材を回転させて磁性トナーを磁性トナー担持体へ搬送し、該磁性トナー担持体に担持される磁性トナーを規制部材により規制して薄層を形成し、該薄層を形成する磁性トナーによって、静電荷像を現像する現像装置を用いる現像方法であって、
該撹拌搬送部材は、磁性トナー残量検知手段よりも上部に回転中心軸を有しており、
該磁性トナー担持体は、該撹拌搬送部材の回転中心軸よりも上部に下端を有するように配置されており、且つ固定磁石を内包しており、
該磁性トナーは、少なくとも結着樹脂、磁性体、離型剤成分を有し、
該磁性トナーの、示差走査熱量計(DSC)によって測定される昇温時の吸熱チャートにおける吸熱ピーク面積ΔHが、4mJ/mg乃至40mJ/mgであり、
該磁性トナーの圧縮指数が10乃至30%であることである。
上記構成のように現像器内の磁性トナーの粉面位置を、磁性トナー担持体よりも鉛直方向の下方にて制御し、磁性トナーを撹拌・搬送部材にて汲み上げ供給し、且つ磁性トナーの粉体特性を制御し磁性トナーのパッキング状態を防ぐことにより、ワックス成分を多量に含有した磁性トナーにおいても長期の使用において磁性トナー担持体をワックス成分で汚染することなく良好な画像を出力することが可能となることを見出した。
現像器内での磁性トナーの粉面を磁性トナー担持体よりも下方に制御することで、磁性トナー担持体近傍の磁性トナーは、磁性トナー担持体に内包された固定磁石の磁気的拘束力のみにより捕獲され、トナーの自重や撹拌・搬送部材による圧迫を受けにくい。そのため磁性トナーへの過剰な圧力から発生する、パッキング現象や、トナー同士或いは、容器内部材との摩擦よりおこるトナー劣化が発生しずらい。
また、現像容器内でのトナー充填率が小さくなるため、補給トナーが残存トナーと十分に撹拌・混合することができ、現像器内の磁性トナーの帯電を均一化させ、カブリ、画像むらなどの発生を抑えることができる。
一方、現像器内のトナーは、上記のように撹拌や、磁気的拘束力により、圧縮と流動とを繰り返している。また、現像により消費されるトナー量は、画像比率により変化し一定でないため、トナー補給も不規則になり、現像器内のトナーの状態も不規則なものとなり易い。そのため、現像器内のトナー循環制御は、一般的なタップ密度のような極度にトナーの締まった状態をあらわす物性値を用いることでは困難であった。しかしながら、本発明者等は一定時間内のトナーの圧縮比率に着目し、それを制御することにより現像器内でのトナーの循環性を制御することを可能にすることを見出した。
本発明の特徴の一つは、磁性トナーの圧縮指数が10乃至30%、好ましくは15乃至25(%)であることである。
圧縮指数が10%未満である場合、現像器内でトナーがフラッシング状態になり、トナーの循環が不十分なまま、現像スリーブローラーに供給され、補給直後のトナーと、残存するトナーとで帯電量が異なり、画像むらを起こしたり、カブリを発生させたりする。また、圧縮指数が30%超である場合、トナーが現像器内で締まり易く、現像スリーブローラー近傍に蓄積しパッキングして、トナーの供給を阻害したり、スリーブをトナー組成物にて汚染したりする。また撹拌・搬送部材の届かないスペースに堆積し、現像器内でのトナーの循環性を損ねたりする。
また、本発明の特徴のひとつは、該磁性トナーが示差走査熱量計(DSC)によって測定される昇温時の吸熱チャートにおける吸熱ピーク面積ΔHが4mJ/mg乃至40mJ/mgであることである。ΔHが4mJ/mg未満である場合、定着性が悪化すると共に定着部材等に付着し削れ及び傷の発生原因となり易く、ΔHが40mJ/mg超である場合、ワックスの可塑効果が大きくなり、耐オフセット性が悪化する。
本発明に用いられるトナー用結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、及びビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットを有しているハイブリット樹脂成分を含む結着樹脂が好ましい。
結着樹脂としてポリエステル系の樹脂を用いる場合は、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物;が挙げられる。
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸および、これらの無水物やエステル化合物が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分の使用量は、全モノマー基準で0.1〜1.9mol%が好ましい。
それらの中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、良好な帯電特性を有するので好ましい。
また、本発明の樹脂にビニル系共重合体樹脂を用いる場合、ビニル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーに用いることのできるビニル系共重合体樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明のビニル重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
さらに結着樹脂としてポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂を用いる場合、さらに良好なワックス分散性と、低温定着性,耐オフセット性の向上が期待できる。本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂成分」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
尚、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系共重合体ユニット」とはビニル系共重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーは、上述した多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系共重合体ユニットを構成するモノマーは、上述したビニル基を有するモノマー成分である。
本発明において、ハイブリット樹脂を用いる場合はビニル系重合体成分及び/又はポリエステル樹脂成分中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明のトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されるエステル化合物を用いることができる。
(2)ビニル系重合体製造後に、これの存在下にポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステルユニットとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
(4)ビニル系重合体樹脂及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)乃至(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
本発明のトナーに含有される結着樹脂のガラス転移温度は40〜90℃が好ましく、より好ましくは45〜85℃である。樹脂の酸価は1〜40mgKOH/gであることが好ましい。
本発明に用いられる離型剤としては次のものが挙げられる。このうち必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。
また、これらの離型剤は、通常、樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させることができる。
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.5〜10質量部使用するのが好ましい。0.5質量部未満となる場合には、十分な帯電特性が得られない場合があり好ましくなく、10質量部を超える場合には、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりする場合があり好ましくない。
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤として、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する正荷電性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのキレート顔料として、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等)、高級脂肪酸の金属塩として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキシド等のジオルガノスズオキサイドやジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが挙げられる。
本発明に用いられる磁性体は、マグネタイト、マグヘマタイト、フェライト等の磁性酸化物及びその混合物が好ましく用いられる。
例えば、リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、イオウ、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ガリウム、インジウム、銀、パラジウム、金、白金、タングステン、モリブデン、ニオブ、オスミニウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ビスマス等から選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄である。リチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、バリウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ストロンチウム、ビスマス及び亜鉛が好ましい。特に好ましくは、異種元素としてマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン及びジルコニウムから選択される元素を含有する磁性酸化鉄である。これらの元素は酸化鉄結晶格子に取り込まれても良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていても良いし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良いが、酸化物として含有されるのが好ましい。
これらの元素は、磁性体生成時に各々の元素の塩を混在させpH調整により、粒子中に取り込むことが出来る。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより粒子表面に析出させることが出来る。
これらの元素を含有する磁性体は、一般的にトナーの結着樹脂との親和性が良好であり特定の酸価を有する結着樹脂ではより効果的である。また、これらの磁性体の粒度分布は狭く、かつ結着樹脂への分散性も良好であることからトナーの帯電均一化及び安定化を改善する効果も有する。本発明のトナーの重量平均粒径は4乃至12μmであり、粒径10.1μm以上の粒子を10体積%未満含有するものであるが、好ましくは重量平均粒径5乃至9μmであり、粒径10.1μm以上の粒子を8体積%未満含有する場合であり、更に好ましくは重量平均粒径5.5乃至8μmであり、粒径10.1μm以上の粒子を5体積%未満含有する場合であり、トナー粒子の重量平均粒径が12μm超であり、粒径10.1μm以上の粒子を10体積%超含有する場合には、帯電性の不均一性が生じる場合があり好ましくない。
これらの異種元素の含有率は、磁性酸化鉄の鉄元素を基準として0.05〜10質量%であればよいが、好ましくは0.1〜7質量%含有する場合であり、特に好ましくは0.2〜5質量%含有する場合であり、さらには、0.3〜4質量%含有する場合である。含有量が0.05質量%未満となる場合には、上記、これらの元素の含有効果がなく、良好な分散性、帯電均一性が得られなくなる。また、10質量%より多くなると電荷の放出が多くなり帯電不足を生じ、画像濃度の低下、カブリの増加等があり好ましくない。
また、これらの異種元素の含有分布において、磁性体の表面近傍に多く存在しているのが好ましい。例えば、酸化鉄に含有される鉄元素の溶解率が20質量%のときに、異種元素の溶解率が、全異種元素の存在量の20〜100質量%であればよいが、好ましくは25〜100質量%となる場合であり、特に好ましくは30〜100質量%となる場合である。異種元素の表面存在量を多くすることにより分散効果及び電気的拡散効果をより向上することができる。
これらの磁性体の個数平均粒径は0.05〜1.0μmが好ましく、さらには0.1〜0.5μmのものが好ましい。磁性体のBET比表面積2〜40m2/gが好ましく、さらには4〜20m2/gのものが好ましい。磁性体の磁気特性は、磁場795.8kA/mで測定した飽和磁化が10〜200Am2/kgが好ましく、さらには70〜100Am2/kgがより好ましい。残留磁化は1〜100Am2/kgが好ましく、さらには2〜20Am2/kgが好ましい。抗磁力は1〜30kA/mが好ましく、さらには2〜15kA/mがより好ましい。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対して20〜200質量部添加して用いられる。
本発明のトナーには任意の適当な顔料または染料を着色剤として使用できる。顔料としては例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンイエロー、アリザリンイエロー、ベンガラ、フタロシアニンブルー等が使用でき、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部添加すればよいが、好ましくは0.2〜10質量部添加することである。また、同様にして、染料としては例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料等が使用でき、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部添加すればよいが、好ましくは0.3〜10質量部添加することである。
本発明のトナーにおいて、流動性付与効果及び、トナー圧縮指数制御のためシリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機酸化物、カーボンブラック、フッ化カーボン等の微粒径の無機微粉体を外添することができる。
シリカ微粉体、アルミナ微粉体または酸化チタン微粉体は、トナー粒子表面に分散させた時に細かい粒子となる方がトナーへの流動性付与効果が高く好ましく、個数平均粒径は5〜100nmになるのがよく、さらには5〜50nmとなる方が好ましい。
これらの微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.03〜5質量部が好ましい、0.03質量部未満である場合、十分な流動性付与効果を得ることができないことが多い、また、5.0質量部超である場合、トナーの圧縮指数が、高くなりトナーが締まり易くなるとともに、過剰な外添剤が、遊離し悪影響を及ぼし易い。
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ等がある。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体とし
ては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
AEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84; Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5; (WACKER−CHEMIE GMBH社)HDK、N20、15、N20E、T30、T40; D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社); Fransol(Fransil社)
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
本発明のトナーに用いられる無機微粉体の疎水化度は、メタノールウェッタビリティーは30%以上となればよいが、好ましくは50%以上となる場合である。疎水化処理剤としては、含ケイ素表面処理剤であるシラン化合物とシリコーンオイルが好ましい。
例えば、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン当のアルキルアルコキシシラン;ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチレンジメチルクロルシラン、アリルフェニルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジビニルクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。
本発明のトナーにおいて、圧縮指数制御及び各種特性付与を目的として種々の添加剤を使用することができ、例えば、以下に示す添加剤である。
(1)研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム等)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)等がある。
(2)滑剤としてはフッ素系樹脂粉末(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪族金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)等がある。
(3)荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)、カーボンブラック、樹脂粒子等がある。
これらの添加剤は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜10質量部添加されるが、好ましくは0.1〜5質量部添加することであり、これらの添加剤は単独または複数種を混合して使用してもよいが、添加量を調節し圧縮指数を制御することが必要である。
磁性トナーの場合には、2種以上の無機酸化物あるいは金属酸化物の微粉体を用いることが現像の耐久安定性及び放置後の現像安定性の観点から好ましい。非磁性一成分現像方法の場合には、酸化チタンまたはアルミナを用いるのが、流動性向上、圧縮指数安定化及び画像均一性の観点から好ましい。
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後粉砕及び分級を行い、更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合し、本発明のトナーを得ることができる。
特に、トナーの圧縮指数を制御するうえで得られたトナーの添加剤を混合する工程を調整することが好ましい。
混合機としては、例えばヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサ一(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製)が挙げられ、分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
本発明における測定法について以下に説明する。
1)トナーの最大吸熱ピーク面積(ΔH)の測定
温度曲線:昇温I (30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
降温I (200℃〜30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
トナーの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温IIの過程において比熱変化が得られ、このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、トナーのガラス転移温度Tgとする。トナーの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、トナーTgの吸熱ピーク以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものを、若しくはトナーTgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものを本発明のトナーの最大吸熱ピークとし、最大吸熱ピークとベースラインとの面積を吸熱ピーク面積ΔHとする。
2)トナーの圧縮指数の測定
トナー50gをメスシリンダーに入れ封をし、振とう機YS−LD型((株)ヤヨイ製を用いて振動回転数200rpmにて、5分間振とうさせた後、静置し、振とう後10秒後における、トナーの嵩密度ρa(cm3/g)と、振とう後180秒後のトナー嵩密度ρb(cm3/g)において、下記式によりトナーの圧縮係数Dt(%)を算出する。
Dt = (ρb−ρa)/ρb ×100
3)トナー及び結着樹脂成分のGPC測定による分子量分布
トナー及びの結着樹脂の樹脂成分におけるGPCによる分子量分布は、下記の通り、トナーをTHF溶媒に溶解させて得られたTHF可溶成分を用いて、GPCにより測定する。
すなわち、トナーをTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ 0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマンサイエンスジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
上記の方法で調製された試料のGPCの測定は、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×104、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
4)トナー粒度分布の測定
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから本発明に係る体積分布から求めた重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
図1を用いて本発明の画像形成方法の最良の実施の形態について詳細に説明する。
この現像装置は、現像容器1の開口部に回転自在に配置された磁性トナー担持体である現像スリーブローラー2、現像スリーブローラー2内部に磁石ローラー3、現像スリーブローラー2と100〜300μmのクリアランスを有し現像スリーブローラー2上表面にトナーを層厚規制してコートする層厚規制ブレード4、現像スリーブローラー2より下方に配置され、現像剤を該現像スリーブローラーに供給するための現像剤持ち上げ手段である回転自在な撹拌パドル5、トナー容器から現像容器1内の撹拌パドル5にトナーを搬送する搬送スクリュー6、現像容器1内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサー7を備えている。
なお、上記撹拌パドル5にはマイラー等の非磁性弾性部材の弾性シート8が設けられている。このトナー濃度検知センサー7の位置に現像器内のトナー粉面を保持するよう、トナー搬送スクリュー6により、不足量のトナーを補給する。補給された現像器内のトナーは撹拌、搬送部材である撹拌パドル5に設けられた非磁性部材の弾性体シート8の反時計方向への回転動作と弾性力によって、上方向へ跳ね上げられ、時計方向に回転する磁石ローラー3を配置した現像ローラー2で捕集される。捕集されたトナーは現像スリーブローラー2の回転によって、層厚規制ブレード4の部分に搬送蓄積されて電荷を蓄える。現像スリーブローラー2表面に捕集されたトナーは、感光ドラムに形成された潜像を現像して可視像化する。
また本発明は、前記撹拌、搬送部材の回転数R1(rpm)と前記磁性トナー担持体の回転数R2(rpm)が
2×R1<R2<12×R1(好ましくは、4×R1<R2<10×R1)
を満たすことが現像スリーブローラーへのトナーの安定供給をする上で好ましい。2×R1≧R2となる場合、現像スリーブローラーへのトナー供給が過剰となり、撹拌・搬送部材の回転により現像スリーブローラー近傍にトナーが押し付けられパッキングされ易く、それにより、トナー不動層が発生し、トナーの循環性が悪化しトナーの帯電ムラが発生し易くなるばかりか、長期にわたりトナーが現像スリーブローラーに押し付けられた状態になり、トナー構成成分が現像スリーブローラーに固着し現像スリーブを汚染することが多い。
また、R2≧12×R1である場合、現像スリーブローラーへのトナーの供給不足が発生し易く、画像比率の高い画像を連続でプリントする場合、トナー供給不測からくる白抜け等が発生し易い。
さらに本発明は、図2において、現像容器最下部位置から該撹拌、搬送部材の回転中心までの鉛直方向の距離をLa(mm)、該現像容器最下部から該現像剤担持体最下端までの鉛直方向の距離をLb(mm)、前記現像容器最下部から前記トナー粉面検知手段最上部までの鉛直方向の距離をLc(mm)
としたとき、以下の式を満足することが、現像器内のトナー循環性向上のため好ましい。
5.0<Lb−La<30.0 (1)(好ましくは、10.0<Lb−La<20.0)
0<La−Lc<10.0 (2)(好ましくは、2.0<La−Lc<8.0)
まず、(Lb−La)が5.0mm以下、つまり撹拌・搬送部材回転中心の高さが、トナー担持体の高さに近い場合、トナーの供給が汲み上げ式から横流れ方式に以降し易く、トナー担持体へのトナーの押し付けが強くなる傾向がある。これにより、同様にトナーパッキングが発生し易く、スリーブ汚染等になり易い。また、(Lb−La)が30mm以上である場合、汲み上げるトナーが十分に現像スリーブローラーに供給不足が発生し易く、供給するために撹拌・搬送部材を大きくすると、トナーを搬送するための負荷が大きくなると共に、トナー循環が一様に行われないことが多い。
一方、(La−Lc)が0未満、つまりトナー残量検知センサーが撹拌・搬送部材よりも鉛直方向上部にある場合、現像器内のトナー粉面が撹拌・搬送部材の多くを覆うようになり、撹拌・搬送部材の回転負荷が大きくなると共に、トナー循環性が不十分となり、トナーの帯電不良が発生し易い。また(La−Lc)が10mm以上である場合、トナー粉面が低くなりすぎ十分に現像スリーブローラーにトナーを配給できなくなり易く好ましくない。
さらに、本発明は、該現像容器最下部位置から該撹拌、搬送部材の回転中心までの鉛直方向の距離をLa(mm)、該撹拌・搬送部材回転中心よりの板状部材の末端までの距離をLd(mm)としたとき、
La ≧ Ld
を満足することが、トナーの循環性向上と、現像器内での磁性トナーのダメージを軽減する上で好ましい。La<Ldつまり、撹拌・搬送部材の板状部材が、現像容器に接触する場合、接触部分で磁性トナーがダメージを受けたり、その部分で凝集、凝固を起こし、粗粒を発生させ易い。できた粗粒は、層厚規制ブレードと現像スリーブ間に挟まり、現像スリーブ表面を傷つけたり、汚染の発生原因となり易い。
ここで、本発明に用いることのできる磁性トナー担持体としては、例えば、金属、或いはその合金またはその化合物を円筒状に成形し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗さになるように処理したもの等が用いられる。スリーブ基体の材質としては、例えばステンレス鋼、アルミニウム、胴合金等を用いることができる。その表面を、必要に応じ、金属メッキ処理や、樹脂層により被覆してもよい。また担持体表面に所望の表面粗さを出すためにアルミナ粒子や、ガラスビーズ等の球状粒子にてブラスト処理を行っても良い。
スリーブ基体を樹脂により被覆する場合、被覆用結着樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂の如き樹脂が用いられる。特に熱硬化性もしくは光硬化性の樹脂が好ましい。
また、結着樹脂の他に必要に応じて導電性物質、充填剤、固体潤滑剤等を含有しても良い。
本発明のスリーブにおいて、樹脂層に導電性物質を含有させる場合、該樹脂層の体積抵抗が106Ω・cm以下、好ましくは103Ω・cm以下であるものがよい。樹脂層の体積抵抗が106Ω・cmを超える場合には、トナーのチャージアップが発生しやすくなり、ブロッチの発生や現像特性の劣化を引き起こすことがある。
導電性物質としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、銀の如き金属粉体;酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズの如き金属酸化物;カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイトの如き炭素同素体が挙げられる。
充填剤としては、公知のトナー用ネガ帯電性荷電制御剤、あるいはポジ帯電性荷電制御剤を添加しても良い。このほかの物質として、例えばアルミナ、アスベスト、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、シリカ、ケイ酸カルシウムの如き無機化合物;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、PMMA、メタクリレートのターポリマー(例えばポリスチレン/n−ブチルメタクリレート/シランターポリマー)、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリカプロラクトン;ポリカプロラクタム、ポリビニルピリジン、ポリアミドの如き含窒素化合物;ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラクロロフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシル化エチレン、ポリテトラフルオロアルコキシエチレン、フッ素化エチレンプロピレン−ポリテトラフルオロエチレン共重合体、トリフルオロクロロエチレン−塩化ビニル共重合体といった高度にハロゲン化された重合体;ポリカーボネート、ポリエステルが挙げられる。
固体潤滑剤としては、例えば二硫化モリブデン、窒化硼素、グラファイト、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石が挙げられる。このうちグラファイトは潤滑性と共に導電性を有し、高すぎる電荷を有するトナーを減少させ、現像に好適な帯電量を持たせる働きがあることから好適に用いられる。
また、本発明に用いることのできるトナー層厚規制ブレードとしては、現像スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレード、或いは現像スリーブ表面に弾性力で当接される弾性ブレードのいずれも可能である。
金属ブレード又は磁性ブレードの場合、現像スリーブとの間隙は50〜500μm、好ましくは100〜400μmの時に良好な結果を与える。
また、現像容器内に収容している磁性トナー残量検知装置手段は、圧電センサー、ピエゾ素子等、或いはアンテナ残検等を用いることができる。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
[樹脂製造例1]
(ハイブリッド樹脂)
(1)ポリエステル樹脂の製造
・テレフタル酸 :6.1mol
・無水ドデセニルコハク酸 :3.8mol
・無水トリメリット酸 :3.1mol
・PO−BPA :7.2mol
・EO−BPA :3.0mol
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置,水分離装置,窒素ガス導入装置,温度測定装置及び撹拌装置を付し、窒素ガス雰囲気下で210℃まで加熱しながら縮重合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
(2)ハイブリッド樹脂成分の製造
上記ポリエステル樹脂80質量部をキシレン100質量部に溶解・膨潤した。次に、スチレン15質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル5質量部、エステル化触媒としてジブチルスズオキサイド0.1質量部を添加してキシレンの還流温度まで加熱してポリエステル樹脂のカルボン酸とアクリル酸2−エチルヘキシルとのエステル交換反応を開始した。更にラジカル重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド1質量部をキシレン30質量部に溶解したキシレン溶液を約1時間かけて滴下した。その温度で6時間保持してラジカル重合反応を終了し、減圧下210℃まで加熱して脱溶剤することによりポリエステル樹脂の水酸基とビニル系重合体ユニットの共重合モノマーであるアクリル酸2−エチルヘキシルとのエステル交換反応を行うことにより、ポリエステル樹脂、ビニル系重合体及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットがエステル結合することにより生成したハイブリッド樹脂1を得た。
ハイブリッド樹脂1は酸価が28mgKOH/gであり、Tgが59℃であり、ピーク分子量は7300、重量平均分子量(Mw)は43000、Mw/Mnは8.5、THF不溶分を約13質量%含有していた。
[樹脂の製造例2]
(ポリエステル樹脂)
・テレフタル酸 10mol%
・フマル酸 25mol%
・無水トリメリット酸 5mol%
・PO−BPO 35mol%
・EO−BPA 25mol%
上記ポリエステルモノマーをエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置,水分離装置,窒素ガス導入装置,温度測定装置及び撹拌装置を付し、窒素ガス雰囲気下で230℃まで加熱しながら縮重合反応を行い、Mnが2,500であり、Mwが10,000であり、Tgが57℃であり、THF不溶分が0%であり、酸価が28であり、水酸基価が40である第1のポリエステル樹脂Aを得た。
次に、
・フマル酸 32mol%
・無水トリメリット酸 10mol%
・PO−BPO 35mol%
・EO−BPA 23mol%
これらを同様に縮合重合反応を行い、重合途中で無水トリメリット酸を2mol%をさらに追加し、Mnが3,500であり、Mwが150,000であり、Tgが63℃であり、THF不溶分が28質量%、酸価が25であり、水酸基価が32である第2のポリエステル樹脂Bを得た。
得られたポリエステル樹脂A及びBを50重量部づつヘンシェルミキサーで混合し、Mnが2,800であり、Mwが82,000であり、Tgが60℃、THF不溶分が14wt%であり、酸価が26であり、水酸基価が36であるポリエステル樹脂2を得た。
[樹脂の製造例3]
(スチレン−アクリル樹脂)
・スチレン 70質量部
・アクリル酸n−ブチル 24質量部
・マレイン酸モノブチル 6質量部
・ジーt−ブチルパーオキサイド 1質量部
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後3.5時間かけて滴下した。更にキシレン還流後下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、スチレン−アクリル樹脂3を得た。得られたスチレン−アクリル樹脂は、酸価が28mgKOH/gであり、Tgが58℃であり、ピーク分子量は13000、重量平均分子量(Mw)は77000、Mw/Mnは12.0であった。
(トナーの製造例1)
上記ハイブリット樹脂1 100質量部
低分子量エチレン−プロピレン共重合体 8質量部
・荷電制御剤(アゾ系鉄錯体化合物) 2質量部
・磁性酸化鉄 90質量部
(平均粒径0.18μm、保磁力10.7KA/m、残留磁化11.2Am2/kg、飽和磁化81.5Am2/kg)
上記混合物を、130℃に加熱された二軸混練機で溶融混練して、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。粗粉砕物をターボミルT−250型(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、重量平均径7.7μm、10.1μm以上の粒子が、6.6体積%である磁性トナー(磁性トナー粒子)を得た。
この磁性トナー100質量部に対して、疎水性乾式シリカ(BET比表面積;300m2/g)1.0質量部をヘンシェルミキサーFM500(三井三池社製)により、撹拌羽根回転速度1200rpmにて5分間回転させ外添添加して本発明の磁性トナー(1)を得た。得られた磁性トナー(1)の物性を表1に示す。
(トナーの製造例2〜11)
表1に示すように、樹脂成分、離型剤成分、外添の疎水性シリカの添加量及び混合条件を変更する以外はトナーの製造例1と同様にして、磁性トナー(2)〜(11)を得た。得られた磁性トナーの物性を表1に示す。
〔実施例1〕
上記磁性トナー(1)を用いて以下に示す評価を行った。評価結果を表2に示す。
<画像評価試験>
図1に示す現像器を表1に示すように設定し、市販の複写機IR−3300(キヤノン(株)社製)に装備できるよう改造を加え、以下の設定条件にて、高温高湿環境下(40℃/90%RH)において、印字比率6%のテストチャートを用いて、100,000枚複写を行い、画像濃度、カブリ、面内一様性、ドット再現性、スリーブ汚染などの評価を行った。
1)画像濃度
「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)で、SPIフィルターを使用して、直径5mm丸の画像の反射濃度を5点測定し、その平均値により評価を行った。
ランク5:反射濃度 1.45以上
ランク4:反射濃度 1.40〜1.44
ランク3:反射濃度 1.35〜1.39
ランク2:反射濃度 1.30〜1.34
ランク1:反射濃度 1.29未満
2)面内濃度一様性
「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)で、SPIフィルターを使用して、ベタ黒画像の反射濃度を測定し、その反射濃度の最高値Dmaxと、最低値(Dmin)の差分(Dmax−Dmin)により、面内濃度一様性を評価した。
ランク5:面内濃度一様性 0.02未満
ランク4:面内濃度一様性 0.03〜0.05
ランク3:面内濃度一様性 0.06〜0.10
ランク2:面内濃度一様性 0.11〜0.20
ランク1:面内濃度一様性 0.21以上
3)カブリ
「反射濃度計」(リフレクトメーター モデルTC−6DS 東京電色社製)を用いで、画像形成前の転写紙の反射濃度(Dr)と、ベタ白画像をコピーした後の反射濃度の最悪値を(Ds)とを測定し、その差分(Ds−Dr)をカプリ値として評値した。
ランク5:カブリ0.1%未満
ランク4:カブリ0.1〜0.5%
ランク3:カブリ0.5〜1.5%
ランク2:カブリ1.5〜2.0%
ランク1:カブリ2.0%以上
4)ドット再現性評価
図3に示す1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構成される市松模様の潜像を感光体上にレーザーで形成される画像を測定サンプルとした。このサンプルを拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像のドット数をもってドット再現性とする。この数字が小さいほどドット再現性に優れていることを示す。
ランク5:原稿に忠実な画像である。
ランク4:画像をルーペで拡大すると、多少飛び散りが見られる
ランク3:画像をルーペで拡大すると、飛び散り、乱れが見られる
ランク2:目視により、飛び散り、画像の乱れが見られる
ランク1:原稿を再現していない。
5)スリーブ汚染試験
高温高湿環境下(40℃/90%RH)において、100,000枚複写後、ハーフトーン画像と現像スリーブ上でのトナーコート性及び現像スリーブをシルボン紙で乾拭きし、スリーブの表面を目視観察し評価した。
ランク5:スリーブ表面に全くトナーの付着物はなく汚染は発生していない。
ランク4:スリーブ端部表面に極僅かにトナー付着物が存在する。
ランク3:スリーブ表面にトナー付着物が僅かに存在するが、トナーコート性は乱れてい
ない。
ランク2:スリーブ表面にトナー付着物が存在して、トナーコート性を乱しているが、画
像には影響ない
ランク1:スリーブ全体にトナー付着物が存在して、トナーコート性を乱し、画像にも悪
影響を及ぼしている。
<定着性評価試験>
トナーの定着性は、キヤノン製複写機IR3300の定着器を取り外し、外部駆動装置及び定着器の温度制御装置を取り付けた定着試験装置にて、定着器の温度を変えてハーフトーン画像部(画像濃度:0.6)を通紙して、定着性試験を行った。
定着下限温度は、定着画像に、4900N/m2(50g/cm2)の荷重をかけ、柔和な薄紙により定着画像を擦り、その前後の画像濃度の低下率が20%以下になった温度とした。定着上限温度は、目視で転写紙上にホットオフセットが発生した温度を観察することにより評価した。
〔実施例2〜13及び比較例1〜6〕
上記のトナー製造例2〜11により得られた磁性トナー(2)〜(11)を用いて、表1に示すように、現像器構成を変更する以外は、実施例1と同様にして、上記画像評価試験をおこなった。評価結果を表2に示す。