JP2005300325A - 電磁流量計 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確なスパン補正を自動的に行い、高精度の流量計測を行う。
【解決手段】電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管1と、流体に印加される磁場と流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極2a,2bと、電極2a,2bを含む、測定管の軸方向と垂直な平面PLNに対して非対称かつ時間変化する磁場を流体に印加する励磁コイル3と、電極2a,2bで検出される、流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、∂A/∂t成分を抽出する信号変換部5と、∂A/∂t成分に基づいて、合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電磁流量計に係り、特に電極で検出される電極間起電力のうち被測定流体の流量に起因する成分の流速にかかる係数を自動的に補正するスパン補正の技術に関するものである。
従来技術と本発明を理解するために必要な両者に共通する理論的前提部分について説明する。まず、一般に知られている数学的基礎知識について説明する。
同一周波数で異なる振幅の余弦波P・cos(ω・t)、正弦波Q・sin(ω・t)は、以下のような余弦波に合成される。P,Qは振幅、ωは角周波数である。
P・cos(ω・t)+Q・sin(ω・t)=(P2+Q21/2 ・cos(ω・t−ε)
ただし、ε=tan-1(Q/P) ・・・(1)
式(1)の合成を分析するには、余弦波P・cos(ω・t)の振幅Pを実軸、正弦波Q・sin(ω・t)の振幅Qを虚軸にとるように複素座標平面に写像すると都合がよい。すなわち、複素座標平面上において、原点からの距離(P2+Q21/2 が合成波の振幅を与え、実軸との角度ε=tan-1(Q/P)が合成波とω・tとの位相差を与えることになる。
また、複素座標平面上においては、以下の関係式が成り立つ。
L・exp(j・ε)=L・cos(ε)+j・L・sin(ε) ・・・(2)
式(2)は複素ベクトルに関する表記であり、jは虚数単位である。Lは複素ベクトルの長さを与え、εは複素ベクトルの方向を与える。したがって、複素座標平面上の幾何学的関係を分析するには、複素ベクトルへの変換を活用すると都合がよい。
以下の説明では、電極間起電力がどのような挙動を示し、従来技術はこの挙動をどのように利用しているかを説明するために、上記のような複素座標平面への写像と、複素ベクトルによる幾何学的分析を採用する。
次に、発明者が提案した電磁流量計(特許文献1参照)におけるコイル1組、電極1対の場合の複素ベクトル配置について説明する。
図25は、特許文献1の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。この電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管1の軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する一対の電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3とを有する。
ここで、励磁コイル3から発生する磁場Baのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(3)
式(3)において、b1は磁束密度B1の振幅、ω0は角周波数、θ1はω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B1を次式のように微分する。
dB1/dt=−ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(4)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Baの変化による渦電流Iは、図26に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、図26に示すような向きとなる。この向きをマイナス方向とする。
このとき、電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB1/dtに係数k(被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
E=k・ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(5)
そして、式(5)を変形すると次式となる。
E=k・ω0・b1・{sin(−θ1)}・cos(ω0・t)
+k・ω0・b1・{cos(−θ1)}・sin(ω0・t)
=k・ω0・b1・{−sin(θ1)}・cos(ω0・t)
+k・ω0・b1・{cos(θ1)}・sin(ω0・t) ・・・(6)
ここで、式(6)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Ex、虚軸成分Eyは次式となる。
Ex=k・ω0・b1・{−sin(θ1)}
=k・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)} ・・・(7)
Ey=k・ω0・b1・{cos(θ1)}
=k・ω0・b1・{sin(π/2+θ1)} ・・・(8)
さらに、式(7)、式(8)に示したEx,Eyを次式に示す複素ベクトルEcに変換する。
Ec=Ex+j・Ey
=k・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)}
+j・k・ω0・b1・{sin(π/2+θ1)}
=k・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)+j・sin(π/2+θ1)}
=k・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(9)
また、前述の係数kを複素ベクトルに変換すると次式となる。
k=rk・cos(θ00)+j・rk・sin(θ00)
=rk・exp(j・θ00) ・・・(10)
式(10)において、rkは比例係数、θ00は実軸に対するベクトルkの角度である。
式(10)を式(9)に代入することにより、複素座標に変換された電極間起電力Ec(磁場の時間変化のみに起因し、流速とは無関係な電極間起電力)が以下のように得られる。
Ec=rk・exp(j・θ00)・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)} ・・・(11)
式(11)のrk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}は、長さがrk・ω0・b1、実軸からの角度がπ/2+θ1+θ00の複素ベクトルである。
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、図27に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Baによって発生する電極間起電力Evは時間変化によって発生する電極間起電力Eと逆向きとなり、Evの方向をプラス方向とする。
このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように、磁場B1に係数kv(流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a、2bの配置を含む測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
Ev=kv・{b1・cos(ω0・t−θ1)} ・・・(12)
式(12)を変形すると次式となる。
Ev=kv・b1・cos(ω0・t)・cos(−θ1)
−kv・b1・sin(ω0・t)・sin(−θ1)
=kv・b1・{cos(θ1)}・cos(ω0・t)
+kv・b1・{sin(θ1)}・sin(ω0・t) ・・・(13)
ここで、式(13)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Evx、虚軸成分Evyは次式となる。
Evx=kv・b1・{cos(θ1)} ・・・(14)
Evy=kv・b1・{sin(θ1)} ・・・(15)
さらに、式(14)、式(15)に示したEvx,Evyを次式に示す複素ベクトルEvcに変換する。
Evc=Evx+j・Evy
=kv・b1・{cos(θ1)}+j・kv・b1・{sin(θ1)}
=kv・b1・{cos(θ1)+j・sin(θ1)}
=kv・b1・exp(j・θ1) ・・・(16)
また、前述の係数kvを複素ベクトルに変換すると次式となる。
kv=rkv・cos(θ01)+j・rkv・sin(θ01)
=rkv・exp(j・θ01) ・・・(17)
式(17)において、rkvは比例係数、θ01は実軸に対するベクトルkvの角度である。ここで、rkvは、前記比例係数rk(式(10)参照)に流速の大きさVと比例係数γをかけたものに相当する。すなわち、次式が成立する。
rkv=γ・rk・V ・・・(18)
式(17)を式(16)に代入することにより、複素座標に変換された電極間起電力Evcが以下のように得られる。
Evc=kv・b1・exp(j・θ1)
=rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(19)
式(19)のrkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)}は、長さがrkv・b1、実軸からの角度がθ1+θ01の複素ベクトルである。
磁場の時間変化に起因する電極間起電力Ecと流体の流速に起因する電極間起電力Evcとを合わせた全体の電極間起電力Eacは、式(11)、式(19)により次式のようになる。
Eac=Ec+Evc
=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(20)
式(20)から分かるように、電極間起電力Eacは、rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}とrkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)}の2個の複素ベクトルにより記述される。そして、この2個の複素ベクトルを合成した合成ベクトルの長さが出力(電極間起電力Eac)の振幅を表し、この合成ベクトルの角度φが入力(励磁電流)の位相ω0・tに対する電極間起電力Eacの位相差(位相遅れ)を表す。なお、流量は流速に測定管の断面積をかけたものとなるため、通常、初期状態での校正において流速と流量は一対一の関係となり、流速を求めることと流量を求めることは同等に扱えるので、以下(流量を求めるために)流速を求める方式として説明を進める。
特許文献1の電磁流量計は、上記のような原理を背景に、スパンのシフトに影響されないパラメータ(非対称励磁パラメータ)を抽出し、これに基づき流量を出力することで、スパンのシフトの問題を解決している。
ここで、図28を用いてスパンのシフトについて説明する。被測定流体の流速が変化していないにもかかわらず、電磁流量計によって計測される流速の大きさVが変化したとすると、この出力変動の要因としてスパンのシフトが考えられる。
例えば、初期状態において被測定流体の流速が0のときに電磁流量計の出力が0(v)となり、流速が1(m/sec)のときに出力が1(v)となるように校正したとする。ここでの電磁流量計の出力は、流速の大きさVを表す電圧である。このような校正により、被測定流体の流速が1(m/sec)であれば、電磁流量計の出力は当然1(v)になるはずである。ところが、ある時間t1が経過したところで、被測定流体の流速が同じく1(m/sec)であるにもかかわらず、電磁流量計の出力が1.2(v)になることがある。この出力変動の要因として考えられるのが、スパンのシフトである。スパンのシフトという現象は、例えば電磁流量計の周囲温度の変化などにより、励磁コイルを流れる励磁電流値が一定値を維持できなくなるなどの原因により発生する。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
WO 03/027614
まず説明に必要な物理現象について説明しておく。
変化する磁場中を物体が移動する場合、電磁誘導によって2種類の電界、(a) 磁場の時間変化によって発生する電界E(i)=∂A/∂t 、(b) 磁場中を物体が動くことにより発生する電界E(v)=v×B が発生する。v×BはvとBの外積を示し、∂A/∂tはAの時間による偏微分を示す。v、B、Aはそれぞれ下記に対応しており、3次元(x、y、z)に方向をもつベクトルである(v:流速、B:磁束密度、A:ベクトルポテンシャル(磁束密度とはB=rotAの関係がある))。ただし、ここでの3次元ベクトルは複素平面上のベクトルとは意味が異なる。この2種類の電界によって、電位分布が流体中に発生し、この電位は電極によって検出することができる。
特許文献1の電磁流量計では、基本的な理論展開においては実軸に対するベクトルkの角度θ00、実軸に対するベクトルkvの角度θ01を考慮しているが、スパンのシフトの問題を解決できる電磁流量計の制約条件として、θ00=θ01=0を前提においている。すなわち、上記前提が成立するように電磁流量計の条件を整えることが制約条件になる。なお、θ1は初期位相であり、励磁電流と電極間起電力に共通の位相部分である。ゆえに、従来技術および本発明のように、励磁電流と電極間起電力の位相差のみを考える場合は、理解を容易にするためθ1=0とする。
前記制約条件が流量計測に与える影響について、図29を用いて複素ベクトルの考え方で説明する。図29において、Reは実軸、Imは虚軸である。まず、磁場の時間変化のみに依存し、被測定流体の流速に依存しない電極間起電力Ecを∂A/∂t成分と呼び、この∂A/∂t成分をベクトルVaで表すと共に、被測定流体の流速に依存する電極間起電力Evcをv×B成分と呼び、このv×B成分をベクトルVbで表す。前述のスパンとは、この被測定流体の流速に依存するv×B成分の流速の大きさVにかかる係数である。なお、θ00,θ01の前述の定義を言い換えると、θ00は虚軸に対するベクトルVaの角度、θ01は実軸に対するベクトルVbの角度である。
図25に示した電磁流量計の構成において、θ00=θ01=0ということは、ベクトルVaが虚軸Im上に存在し、ベクトルVbが実軸Re上に存在することを意味する。すなわち、ベクトルVaとVbは直交する位置関係にある。このように、特許文献1の電磁流量計は、∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbが直交することを前提としている。
しかしながら、現実の電磁流量計において、上記前提は必ずしも常に成立するとは限らない。その理由は、ミクロ的には∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbの直交性は保証されるが、マクロ的に見ると、被測定流体に印加される磁場が理想的な分布になっていないため、電極で検出されるマクロ的な∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbが若干のゆがみを含むと考えなければならないからである。したがって、ベクトルVaとVbは直交しないし、θ00≠0、θ01≠0、θ00≠θ01と考えなければならない。
以上の説明から明らかなように、高精度の流量計測を指向する場合には、ベクトルVaとVbの直交性を精密に考慮しなければならないが、特許文献1の電磁流量計では、ベクトルVaとVbの直交性を前提としているので、直交性に誤差が生じる場合には、正確なスパン補正や流量計測ができない可能性があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、正確なスパン補正を自動的に行い、高精度の流量計測を行うことができる電磁流量計を提供することを目的とする。
本発明の電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管と、この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面に対して非対称かつ時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えるものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第1〜第3の実施の形態)において、前記励磁部は、励磁周波数を切り替えながら前記流体に前記磁場を印加し、前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づいて前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、ある励磁周波数における合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第1の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、これらの合成起電力の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の合成起電力と前記第2の励磁状態の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第2の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、前記第1の励磁コイルに供給する励磁電流と第2の励磁コイルに供給する励磁電流の位相差および励磁周波数を切り替えながら、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記第1の励磁コイルにより発生する第1の磁場と前記第2の励磁コイルにより発生する第2の磁場との位相差がΔθ3で、励磁角周波数がω0の第1の励磁状態と、この第1の励磁状態に対して前記第1の磁場と第2の磁場との位相差が前記Δθ3からΔθ3+πに変化した第2の励磁状態と、この第2の励磁状態から励磁角周波数がω1に変化した第3の励磁状態の3つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この振幅と位相に基づいて前記第2の励磁状態の合成起電力と前記第3の励磁状態の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第3の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力との起電力差の振幅と位相を求め、これらの起電力差の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の起電力差と前記第2の励磁状態の起電力差との差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態における前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第3の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力との起電力和の振幅と位相を求め、これらの起電力和の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の起電力和と前記第2の励磁状態の起電力和との差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態における前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第4の実施の形態)において、前記励磁部は、複数の励磁コイルから励磁周波数が同一の磁場を発生させ、各励磁コイルから発生する磁場の間の位相差を切り替えながら前記流体に磁場を印加し、前記信号変換部は、前記位相差が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づき前記位相差が所定値である特定の励磁状態の合成起電力を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記特定の励磁状態と異なる別の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第4の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、前記第1の励磁コイルに供給する励磁電流と第2の励磁コイルに供給する励磁電流の位相差を切り替えながら、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに同一周波数の励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記第1の励磁コイルにより発生する第1の磁場と前記第2の励磁コイルにより発生する第2の磁場との位相差が略零である第1の励磁状態と、前記第1の磁場と第2の磁場との位相差が略πである第2の励磁状態の2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づき前記第2の励磁状態の合成起電力を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
本発明によれば、電極で検出される、流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、∂A/∂t成分を抽出し、抽出した∂A/∂t成分に基づいて、合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンを補正することにより、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
また、励磁周波数が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において合成起電力の振幅と位相を求めることにより、この合成起電力の振幅と位相に基づいて∂A/∂t成分を抽出することができる。
また、励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において合成起電力の振幅と位相を求めることにより、これらの合成起電力の振幅と位相に基づいて第1の励磁状態の合成起電力と第2の励磁状態の合成起電力との起電力差を∂A/∂t成分として抽出することができる。
また、3つの励磁状態の各々において合成起電力の振幅と位相を求めることにより、この振幅と位相に基づいて第2の励磁状態の合成起電力と第3の励磁状態の合成起電力との起電力差を∂A/∂t成分として抽出することができる。また、第1の励磁コイルから発生する磁場と第2の励磁コイルから発生する磁場の位相差を調整することにより、第1の励磁状態において合成起電力がほぼv×B成分の起電力のみとなり、第2、第3の励磁状態において合成起電力がほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、演算誤差を小さくすることが可能である。
また、励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において第1の電極で検出される第1の合成起電力と第2の電極で検出される第2の合成起電力との起電力差の振幅と位相を求めることにより、これらの起電力差の振幅と位相に基づいて第1の励磁状態の起電力差と第2の励磁状態の起電力差との差を∂A/∂t成分として抽出することができる。あるいは、第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において第1の合成起電力と第2の合成起電力との起電力和の振幅と位相を求めることにより、これらの起電力和の振幅と位相に基づいて第1の励磁状態の起電力和と第2の励磁状態の起電力和との差を∂A/∂t成分として抽出することができる。また、励磁コイルの軸を含む、測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1の電極までの距離と第2の平面から第2の電極までの距離とを調整することにより、起電力和がほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差がほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、演算誤差を小さくすることが可能である。
また、位相差が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において合成起電力の振幅と位相を求めることにより、この合成起電力の振幅と位相に基づき位相差が所定値である特定の励磁状態の合成起電力を近似的に∂A/∂t成分として抽出することができる。また、特定の励磁状態の合成起電力のみから∂A/∂t成分を抽出できることから、励磁周波数を切り替える必要がなくなる。
また、第1の励磁コイルにより発生する第1の磁場と第2の励磁コイルにより発生する第2の磁場との位相差が略零である第1の励磁状態と、第1の磁場と第2の磁場との位相差が略πである第2の励磁状態の2つの励磁状態の各々において合成起電力の振幅と位相を求めることにより、この合成起電力の振幅と位相に基づき第2の励磁状態の合成起電力を近似的に∂A/∂t成分として抽出することができる。また、第2の励磁状態の合成起電力のみから∂A/∂t成分を抽出できることから、励磁周波数を切り替える必要がなくなる。
[基本原理]
本発明は、電磁流量計の電極で検出される電極間起電力から、∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbとの合成ベクトルVa+Vbを求めたとき、ベクトルVaとVbが直交するか否かに関係なく、ベクトルVaは磁場の時間変化のみに依存し、被測定流体の流速に無関係なベクトルであり、ベクトルVbは被測定流体の流速に比例して大きさが変化するベクトルであることに着目している。
本発明では、合成ベクトルVa+Vbの中から、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出し、このベクトルVaにより、合成ベクトルVa+Vb中のv×B成分のベクトルVbに含まれるスパン変動要素を消去する。そして、このスパン変動要素を消去したv×B成分に基づき、被測定流体の流量を算出する。∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出することにより、ベクトルVaとVbが直交するか否かに関係なく、ベクトルVaとVbを別々のベクトルとして扱えることが重要である。図25に示した従来の電磁流量計では、ベクトルVaとVbが直交することを前提にしているので、合成ベクトルVa+Vbの中から、ベクトルVaあるいはVbを抽出することは行なっていない。
以下、スパンを実際に補正するための本発明の基本原理を図1を用いて説明する。図25に示した電磁流量計と同様に、測定管軸と直交する、電極を含む平面を測定管の境とし、この平面を境とする測定管の前後で非対称な磁場を被測定流体に印加したとき、この非対称励磁により計測される電極間起電力の振幅と位相差に基づき、複素平面に写像されるベクトルは、以下の∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbの合成ベクトルVa+Vbに相当する。
Va=rω・exp(j・θω)・C・ω ・・・(21)
Vb=rv・exp(j・θv)・C・V ・・・(22)
このベクトルVaとVbを図1(a)に示す。∂A/∂t成分のベクトルVaは、磁場の変化により発生する起電力なので、励磁角周波数ωに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVaの大きさに対する既知の比例定数部分をrω、ベクトルVaの方向をθωとすると、Cが磁場のシフトなどの変化する要素、すなわちスパン変動要素として与えられる。また、v×B成分のベクトルVbは、測定管中の被測定流体の移動により発生する起電力なので、流速の大きさVに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVbの大きさに対する既知の比例定数部分をrv、ベクトルの方向をθvとすると、Cがスパン変動要素として与えられる。なお、式(21)のベクトルVaにおけるCと式(22)のベクトルVbにおけるCは、同一の要素である。
スパンのシフトの要因は、スパン変動要素Cの変化である。したがって、スパン変動要素Cを消去した信号変換式により被測定流体の流速を求めれば、実質的にスパンの自動補正が実現できる。スパン補正の具体的な方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の補正方法は、v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化してスパン変動要素Cを消去し、正規化したベクトルに基づく流速の大きさVに関する信号変換式を用いることで、流量計測におけるスパンの自動補正を実現する方法である。この第1の補正方法の正規化を数式で表すと、以下のようになる。
Vb/Va
={rv・exp(j・θv)・C・V}/{rω・exp(j・θω)・C・ω}
=(rv/rω)・exp{j・(θv−θω)}・V/ω ・・・(23)
|Vb/Va|=(rv/rω)・V/ω ・・・(24)
v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化したベクトルを図1(b)に示す。なお、図1(c)のベクトルは、図1(b)のベクトルに励磁角周波数ωをかけて、式(23)の右辺から励磁角周波数ωを消去したベクトルである。
第2の補正方法は、合成ベクトルVa+Vbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化してスパン変動要素Cを消去し、正規化したベクトルに基づく流速の大きさVに関する信号変換式を用いることで、流量計測におけるスパンの自動補正を実現する方法である。この第2の補正方法の正規化を数式で表すと、以下のようになる。
(Va+Vb)/Va
={rω・exp(j・θω)・C・ω+rv・exp(j・θv)・C・V}
/{rω・exp(j・θω)・C・ω}
=1+(rv/rω)・exp{j・(θv−θω)}・V/ω ・・・(25)
|(Va+Vb)/Va−1|=(rv/rω)・V/ω ・・・(26)
この第2の補正方法は、第1の補正方法に比べてより現実的な処理を提供するものである。何故ならば、通常、電磁流量計の電極間起電力からv×B成分のベクトルVbを直接的に求めることはできず、電極間起電力から求めることができるベクトルはVa+Vbになるからである。
∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の抽出方法は、励磁角周波数ωが異なる2つの励磁状態の電極間起電力からベクトルVaを抽出する方法である。前述のとおり、電極間起電力から直接求めることができる複素ベクトルは合成ベクトルVa+Vbであり、ベクトルVa,Vbが直接的に計測できるわけではない。そこで、∂A/∂t成分のベクトルVaの大きさは励磁角周波数ωに比例し、v×B成分のベクトルVbは励磁角周波数ωに依存しないことに着眼する。具体的には、ある角周波数ω0で励磁したときの合成ベクトルVa+Vbと、別の角周波数ω1で励磁したときの合成ベクトルVa+Vbとの差を求める。この差は、ベクトルVaの大きさの変化分のみを表すベクトルになるので、これによりベクトルVaを抽出することができる。
第2の抽出方法は、電極平面を挟んで対向するように配設された少なくとも2個の励磁コイルをもつ電磁流量計に適用可能な方法であり、第1の励磁コイルから発生する磁場と第2の励磁コイルから発生する磁場の位相差を利用してベクトルVaを抽出する方法である。この第2の抽出方法では、第1の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分の向きと第2の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分の向きが逆であり、第1の励磁コイルにより発生するv×B成分の向きと第2の励磁コイルにより発生するv×B成分の向きが同じになることに着眼する。
具体的には、第1の励磁コイルから発生する磁場と第2の励磁コイルから発生する磁場の大きさを等しくし、この2つの磁場の位相差を略零にすれば、第1の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分と第2の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分とが互いに打ち消し合うので、電極間起電力から第1の励磁コイルにより発生するv×B成分と第2の励磁コイルにより発生するv×B成分の和のベクトルVbを抽出することができる。また、2つの磁場の位相差を略πにすれば、第1の励磁コイルにより発生するv×B成分と第2の励磁コイルにより発生するv×B成分とが互いに打ち消し合うので、電極間起電力から第1の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分と第2の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分の和のベクトルVaを抽出することができる。
v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化する前述の第1の補正方法によって正規化した結果を用いると、被測定流体の流速の大きさVを以下のように算出できる。
V=(rω/rv)・|Vb/Va|・ω ・・・(27)
また、合成ベクトルVa+Vbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化する前述の第2の補正方法によって正規化した結果を用いると、被測定流体の流速の大きさVを以下のように算出できる。
V=(rω/rv)・{|(Va+Vb)/Va−1|}・ω ・・・(28)
以上の原理により、磁場のシフトなどのスパン変動要素Cとは無関係に、流速の大きさVが計測できることになるので、実質的にスパンの自動補正が実現されることになる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。本実施の形態の電磁流量計は1個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図25に示した従来の電磁流量計と同様であるので、図25の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係をθ01=θ00+Δθ01と定義し、励磁角周波数がω0である状態を第1の励磁状態とし、この第1の励磁状態における電極間起電力EacをE10とすると、式(18)を式(20)に代入したときの電極間起電力E10は次式のようになる。
E10=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(29)
また、第1の励磁状態において励磁角周波数をω0からω1に変更した状態を第2の励磁状態とし、この第2の励磁状態における電極間起電力EacをE11とすると、電極間起電力E11は式(29)より次式のようになる。
E11=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω1・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(30)
電極間起電力E10とE11との差をとり、求めた差分をω0/(ω0−ω1)倍した結果をEdA1とすれば、式(31)が成立する。
EdA1=(E10−E11)・ω0/(ω0−ω1)
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−ω1・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・ω0/(ω0−ω1)
=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
・・・(31)
起電力差EdA1は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA1を用いて電極間起電力E10(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E10,E11および起電力差EdA1を複素ベクトル表現した図を図2に示す。図2において、Reは実軸、Imは虚軸である。なお、起電力差EdA1は、正確には電極間起電力E10とE11との起電力差をω0/(ω0−ω1)倍したものであるが、ω0/(ω0−ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(29)の電極間起電力E10を式(31)の起電力差EdA1で正規化し、ω0倍した結果をEn1とすれば、正規化起電力En1は式(32)のようになる。
En1=(E10/EdA1)・ω0
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
/[rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}]・ω0
=ω0+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(32)
式(32)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。以上の正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図を図3に示す。なお、電極間起電力E10を起電力差EdA1で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(32)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(32)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。式(32)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|(En1−ω0)/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|(En1−ω0)|/γ ・・・(33)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表1のとおりである。本実施の形態は、表1から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表1]
基本原理と第1の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第1の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ rk・b1・exp{j(θ1+θ00)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。図4は本実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図であり、図25と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、電極2a,2bを含む、測定管軸PAXの方向と垂直な平面PLNから軸方向にオフセット距離dだけ離れた位置に配設された励磁コイル3と、励磁コイル3に励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部4と、励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において合成起電力の振幅と位相を求め、これらの合成起電力の振幅と位相に基づいて第1の励磁状態の合成起電力と第2の励磁状態の合成起電力との起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、抽出された∂A/∂t成分に基づいて、第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。励磁コイル3と電源部4とは、平面PLNに対して非対称、かつ時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁部となる。
電源部4は、角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給する第1の励磁状態をT0秒継続し、続いて角周波数ω1の励磁電流を励磁コイル3に供給する第2の励磁状態をT1秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T0+T1である。
図5は信号変換部5と流量出力部6の動作を示すフローチャートである。
まず、信号変換部5は、励磁角周波数がω0の第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E10の振幅r10を求めると共に、実軸と電極間起電力E10との位相差φ10を図示しない位相検波器により求める(図5ステップ101)。
続いて、信号変換部5は、励磁角周波数がω1の第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E11の振幅r11を求めると共に、実軸と電極間起電力E11との位相差φ11を位相検波器により求める(ステップ102)。
次に、信号変換部5は、電極間起電力E10の実軸成分E10xと虚軸成分E10y、および電極間起電力E11の実軸成分E11xと虚軸成分E11yを次式のように算出する(ステップ103)。
E10x=r10・cos(φ10) ・・・(34)
E10y=r10・sin(φ10) ・・・(35)
E11x=r11・cos(φ11) ・・・(36)
E11y=r11・sin(φ11) ・・・(37)
式(34)〜式(37)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E10とE11との起電力差EdA1の大きさと角度を求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(31)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、電極間起電力E10とE11との起電力差EdA1の大きさ|EdA1|を次式のように算出する。
|EdA1|={(E10x−E11x)2+(E10y−E11y)21/2
・ω0/(ω0−ω1) ・・・(38)
そして、信号変換部5は、実軸に対する起電力差EdA1の角度∠EdA1を次式のように算出する。
∠EdA1=tan-1{(E10y−E11y)/(E10x−E11x)}
・・・(39)
以上で、ステップ104の処理が終了する。
次に、流量出力部6は、電極間起電力E10を起電力差EdA1で正規化した正規化起電力En1の大きさと角度を求める(ステップ105)。このステップ105の処理は、式(32)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、正規化起電力En1の大きさ|En1|を次式のように算出する。
|En1|=(r10/|EdA1|)・ω0 ・・・(40)
また、流量出力部6は、実軸に対する正規化起電力En1の角度∠En1を次式のように算出する。
∠En1=φ10−∠EdA1 ・・・(41)
これで、ステップ105の処理が終了する。
続いて、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを算出する(ステップ106)。このステップ106の処理は、式(33)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、(En1−ω0)の実軸成分En1xと(En1−ω0)の虚軸成分En1yを次式のように算出する。
En1x=|En1|cos(∠En1)−ω0 ・・・(42)
En1y=|En1|sin(∠En1) ・・・(43)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する。
V=(En1x2+En1y21/2/γ ・・・(44)
これで、ステップ106の処理が終了する。
信号変換部5と流量出力部6は、以上のようなステップ101〜106の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ107においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ102〜106の処理は継続時間T1秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、励磁周波数が異なる2つの励磁状態の電極間起電力E10とE11とから起電力差EdA1(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA1を用いて電極間起電力E10(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して励磁コイルを1個追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。すなわち、本実施の形態の電磁流量計は、2個の励磁コイルと1対の電極とを有する。新たに追加する第2の励磁コイルを既存の第1の励磁コイルと同じ側に追加した場合には、第1の実施の形態の冗長な構成となる。したがって、第2の励磁コイルは、電極を含む平面を挟んで第1の励磁コイルと異なる側に配設する必要がある。
図6は本実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。この電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する第1の励磁コイル3a、第2の励磁コイル3bとを有する。第1の励磁コイル3aは、平面PLNから例えば下流側にオフセット距離d1だけ離れた位置に配設される。第2の励磁コイル3bは、平面PLNから例えば上流側にオフセット距離d2だけ離れた位置に、平面PLNを挟んで第1の励磁コイル3aと対向するように配設される。
ここで、第1の励磁コイル3aから発生する磁場Bbのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B2と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場Bcのうち、電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B3は、以下のように与えられるものとする。
B2=b2・cos(ω0・t−θ2) ・・・(45)
B3=b3・cos(ω0・t−θ3) ・・・(46)
式(45)、式(46)において、b2,b3は磁束密度B2,B3の振幅、ω0は角周波数、θ2,θ3は磁束密度B2,B3とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B2を磁場B2とし、磁束密度B3を磁場B3とする。
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Bbの変化による渦電流I1、磁場Bcの変化による渦電流I2は、図7に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Bbの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E1と、磁場Bcの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E2は、図7に示すように互いに逆向きとなる。
被測定流体の流速がV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流I1,I2に加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Bb,v×Bcが発生するため、流速ベクトルvと磁場Bbによる渦電流Iv1、流速ベクトルvと磁場Bcによる渦電流Iv2は、図8に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Bbによって発生する電極間起電力Ev1、流速ベクトルvと磁場Bcによって発生する電極間起電力Ev2は、同じ向きとなる。
図7、図8で説明した電極間起電力の向きを考慮すると、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力Eac2は、次式で表される。
Eac2=rk・ω0・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+rk・ω0・b3・exp{j・(−π/2+θ3+θ00)}
+rkv・b2・exp{j・(θ2+θ01)}
+rkv・b3・exp{j・(θ3+θ01)} ・・・(47)
ここで、ω0・tに対する磁場B2の位相遅れθ2とω0・tに対する磁場B3の位相遅れθ3との関係がθ3=θ2+Δθ3で、かつ虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01である状態を第1の励磁状態とし、この第1の励磁状態における電極間起電力Eac2をE20とすると、式(18)を式(47)に代入したときの電極間起電力E20は次式のようになる。
E20=rk・ω0・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+rk・ω0・b3・exp{j・(−π/2+θ2+Δθ3+θ00)}
+γ・rk・V・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}
+γ・rk・V・b3・exp{j・(θ2+Δθ3+θ00+Δθ01)}
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
・・・(48)
また、磁場B2と磁場B3との位相差が第1の励磁状態から一定値πだけ変化し(θ3=π+θ2+Δθ3)、かつθ01=θ00+Δθ01である状態を第2の励磁状態とし、この第2の励磁状態における電極間起電力Eac2をE2π0とすると、式(18)を式(47)に代入したときの電極間起電力E2π0は次式のようになる。
E2π0=rk・ω0・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+rk・ω0・b3・exp{j・(π/2+θ2+Δθ3+θ00)}
+γ・rk・V・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}
+γ・rk・V・b3
・exp{j・(π+θ2+Δθ3+θ00+Δθ01)}
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}] ・・・(49)
さらに、第2の励磁状態において励磁角周波数をω0からω1に変更した状態を第3の励磁状態とし、この第3の励磁状態における電極間起電力Eac2をE2π1とすると、電極間起電力E2π1は式(49)より次式のようになる。
E2π1=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω1・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}] ・・・(50)
ここで、測定管軸PAXと直交する、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとすると(d1≒d2)、b2≒b3、Δθ3≒0になる。この場合、式(48)、式(49)、式(50)は以下のようになる。
E20≒rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・{2・b2・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(51)
E2π0≒rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・{2・b2・ω0・exp(j・π/2)} ・・・(52)
E2π1≒rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・{2・b2・ω1・exp(j・π/2)} ・・・(53)
すなわち、電極間起電力E20はほぼv×B成分の起電力のみとなり、電極間起電力E2π0,E2π1はほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第1の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb2≠b3、Δθ3≠0として進める。
電極間起電力E2π0とE2π1との差をとり、求めた差分をω0/(ω0−ω1)倍した結果をEdA2とすれば、式(54)が成立する。
EdA2=(E2π0−E2π1)・ω0/(ω0−ω1)
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
−ω1・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
−γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}]・ω0/(ω0−ω1)
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
・・・(54)
起電力差EdA2は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA2を用いて電極間起電力E20(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E20,E2π0,E2π1および起電力差EdA2を複素ベクトル表現した図を図9に示す。なお、起電力差EdA2は、正確には電極間起電力E2π0とE2π1との起電力差をω0/(ω0−ω1)倍したものであるが、ω0/(ω0−ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(48)の電極間起電力E20を式(54)の起電力差EdA2で正規化し、ω0倍した結果をEn2とすれば、正規化起電力En2は式(55)のようになる。
En2=(E20/EdA2)・ω0
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
/[rk・exp{j・(θ2+θ00)}・ω0・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]・ω0
=ω0・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
/{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(55)
式(55)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。以上の正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図を図10に示す。なお、電極間起電力E20を起電力差EdA2で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(55)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(55)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b2≒b3、Δθ3≒0とすると、流速の大きさVは式(55)より次式のように表される。
V=|En2/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En2|/γ ・・・(56)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表2のとおりである。本実施の形態は、表2から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表2]
基本原理と第2の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第2の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ rk・exp{j(θ2+θ00)} │
│ │ ・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。図11は本実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図であり、図6と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、第1の励磁コイル3aに供給する励磁電流と第2の励磁コイル3bに供給する励磁電流の位相差および励磁周波数を切り替えながら、第1の励磁コイル3aと第2の励磁コイル3bに励磁電流を供給する電源部4aと、3つの励磁状態の各々において合成起電力の振幅と位相を求め、この振幅と位相に基づいて第2の励磁状態の合成起電力と第3の励磁状態の合成起電力との起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5aと、抽出された∂A/∂t成分に基づいて、第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aとを有する。第1、第2の励磁コイル3a,3bと電源部4aとは、平面PLNに対して非対称、かつ時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁部となる。
本実施の形態では、前述のとおり、平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとする。
電源部4aは、角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、第1の励磁電流との位相差がΔθ3で、角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する第1の励磁状態をT0秒継続し、この第1の励磁状態に対して第1の励磁電流と第2の励磁電流との位相差をΔθ3+πに変更した第2の励磁状態をT1秒継続し、この第2の励磁状態に対して第1の励磁電流および第2の励磁電流の角周波数をω1に変更した第3の励磁状態をT2秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T0+T1+T2である。
図12は信号変換部5aと流量出力部6aの動作を示すフローチャートである。
まず、信号変換部5aは、角周波数ω0の第1の励磁電流が第1の励磁コイル3aに供給され、第1の励磁電流との位相差がΔθ3で、角周波数がω0の第2の励磁電流が第2の励磁コイル3bに供給される第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E20の振幅r20を求めると共に、実軸と電極間起電力E20との位相差φ20を図示しない位相検波器により求める(図12ステップ201)。
続いて、信号変換部5aは、第1の励磁状態に対して第1の励磁電流と第2の励磁電流との位相差がΔθ3+πに変更された第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E2π0の振幅r2π0を求めると共に、実軸と電極間起電力E2π0との位相差φ2π0を位相検波器により求める(ステップ202)。
さらに、信号変換部5aは、第2の励磁状態に対して第1の励磁電流および第2の励磁電流の角周波数がω1に変更された第3の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E2π1の振幅r2π1を求めると共に、実軸と電極間起電力E2π1との位相差φ2π1を位相検波器により求める(ステップ203)。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力E20の実軸成分E20xと虚軸成分E20y、電極間起電力E2π0の実軸成分E2π0xと虚軸成分E2π0y、および電極間起電力E2π1の実軸成分E2π1xと虚軸成分E2π1yを次式のように算出する(ステップ204)。
E20x=r20・cos(φ20) ・・・(57)
E20y=r20・sin(φ20) ・・・(58)
E2π0x=r2π0・cos(φ2π0) ・・・(59)
E2π0y=r2π0・sin(φ2π0) ・・・(60)
E2π1x=r2π1・cos(φ2π1) ・・・(61)
E2π1y=r2π1・sin(φ2π1) ・・・(62)
式(57)〜式(62)の算出後、信号変換部5aは、電極間起電力E2π0とE2π1との起電力差EdA2の大きさと角度を求める(ステップ205)。このステップ205の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(54)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、電極間起電力E2π0とE2π1との起電力差EdA2の大きさ|EdA2|を次式のように算出する。
|EdA2|={(E2π0x−E2π1x)2+(E2π0y−E2π1y)21/2
・ω0/(ω0−ω1) ・・・(63)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する起電力差EdA2の角度∠EdA2を次式のように算出する。
∠EdA2=tan-1{(E2π0y−E2π1y)/(E2π0x−E2π1x)}
・・・(64)
以上で、ステップ205の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、電極間起電力E20を起電力差EdA2で正規化した正規化起電力En2の大きさと角度を求める(ステップ206)。このステップ206の処理は、式(55)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En2の大きさ|En2|を次式のように算出する。
|En2|=(r20/|EdA2|)・ω0 ・・・(65)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En2の角度∠En2を次式のように算出する。
∠En2=φ20−∠EdA2 ・・・(66)
これで、ステップ206の処理が終了する。なお、流速(流量)を求める次のステップで直接∠En2を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(56)により算出する(ステップ207)。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ201〜207の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ208においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ203〜207の処理は継続時間T2秒の第3の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、励磁周波数が異なる第2、第3の励磁状態の電極間起電力E2π0とE2π1とから起電力差EdA2(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA2を用いて第1の励磁状態の電極間起電力E20(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
また、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3の位相差を調整することにより、第1の励磁状態において電極間起電力E20がほぼv×B成分の起電力のみとなり、第2、第3の励磁状態において電極間起電力E2π0,E2π1がほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第1の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、第1の励磁状態における磁場B2と磁場B3との位相差をΔθ3≒0、第2、第3の励磁状態における磁場B2と磁場B3との位相差をΔθ3+πとしているが、これに限るものではない。ただし、第1の励磁状態の電極間起電力E20においてはv×B成分が支配的となり、第2、第3の励磁状態の電極間起電力E2π0,E2π1においては∂A/∂t成分が支配的となることが好ましいので、第1の励磁状態における磁場B2と磁場B3との位相差Δθ3は0≦Δθ3<πであることが好ましい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して電極を1対追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。すなわち、本実施の形態の電磁流量計は、1個の励磁コイルと2対の電極とを有する。新たに追加する第2の電極を既存の第1の電極と同じ側に追加した場合には、第1の実施の形態の冗長な構成となる。したがって、第2の電極は、励磁コイルを挟んで第1の電極と異なる側に配設する必要がある。
図13は本実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。この電磁流量計は、測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する第1の電極2a,2bおよび第2の電極2c,2dと、測定管軸PAXと直交する、第1の電極2a,2bを含む平面をPLN1、測定管軸PAXと直交する、第2の電極2c,2dを含む平面をPLN2としたとき、平面PLN1を境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加すると同時に、平面PLN2を境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3とを有する。
第1の電極2a,2bは、励磁コイル3の軸を含む、測定管軸PAXの方向と垂直な平面PLN3から例えば上流側にオフセット距離d3だけ離れた位置に配設される。第2の電極2c,2dは、平面PLN3から例えば下流側にオフセット距離d4だけ離れた位置に配設され、平面PLNを挟んで第1の電極2a,2bと対向するように配設される。
ここで、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1上において電極軸EAX1および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B4と、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2上において電極軸EAX2および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B5は、以下のように与えられるものとする。
B4=b4・cos(ω0・t−θ4) ・・・(67)
B5=b5・cos(ω0・t−θ5) ・・・(68)
但し、B4、B5は1つの励磁コイル3から発生しているので、b4とb5、θ4とθ5は互いに関係があり、独立変数ではない。式(67)、式(68)において、b4,b5は磁束密度B4,B5の振幅、ω0は角周波数、θ4,θ5は磁束密度B4,B5とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B4を磁場B4とし、磁束密度B5を磁場B5とする。
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Bdの変化による渦電流Iは、図14に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAX1と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2a,2b間の、流速と無関係な起電力E1と、電極軸EAX2と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2c,2d間の、流速と無関係な起電力E2とは、図14に示すように互いに逆向きとなる。
被測定流体の流速がV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Bdが発生するため、流速ベクトルvと磁場Bdによる渦電流Ivは、図15に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する電極2a,2bの起電力Ev1と、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する電極2c,2d間の起電力Ev2とは、同じ向きとなる。
図14、図15で説明した電極間起電力の向きを考慮すると、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の起電力E31は、式(20)と同様の次式で表される。
E31=rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)} ・・・(69)
また、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の起電力E32は、式(20)に基づく次式で表される。
E32=rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)
+rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)} ・・・(70)
式(69)から分かるように、第1の電極間起電力E31は、rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}とrkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}の2個の複素ベクトルにより記述される。そして、この2個の複素ベクトルを合成した合成ベクトルの長さが出力(電極間起電力E31)の振幅を表し、この合成ベクトルの角度φが入力(励磁電流)の位相ω0・tに対する電極間起電力E31の位相差(位相遅れ)を表す。
同様に式(70)から、第2の電極間起電力E32は、rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}とrkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)}の2個の複素ベクトルにより記述される。そして、この2個の複素ベクトルを合成した合成ベクトルの長さが出力(電極間起電力E32)の振幅を表し、この合成ベクトルの角度φが入力(励磁電流)の位相ω0・tに対する電極間起電力E32の位相差(位相遅れ)を表す。
式(69)、式(70)より、第1の電極間起電力E31と第2の電極間起電力E32との和Es30および差Ed30は次式のようになる。
Es30=E31+E32
=rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
+rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
+rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)} ・・・(71)
Ed30=E31−E32
=rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
−rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
−rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)} ・・・(72)
ここで、ω0・tに対する磁場B4の位相遅れθ4とω0・tに対する磁場B5の位相遅れθ5との関係がθ5=θ4+Δθ5で、かつ虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01である状態を第1の励磁状態とし、式(18)をそれぞれ式(71)、式(72)に代入すると、第1の励磁状態における起電力和Es30、起電力差Ed30は次式のようになる。
Es30=rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+γ・rk・V・b4・exp{j・(θ4+θ00+Δθ01)}
+rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ4+Δθ5+θ00)}
+γ・rk・V・b5・exp{j・(θ4+Δθ5+θ00+Δθ01)}
=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(73)
Ed30=rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+γ・rk・V・b4・exp{j・(θ4+θ00+Δθ01)}
−rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ4+Δθ5+θ00)}
−γ・rk・V・b5・exp{j・(θ4+Δθ5+θ00+Δθ01)}
=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(74)
さらに、第1の励磁状態において励磁角周波数をω0からω1に変更した状態を第2の励磁状態とし、この第2の励磁状態における起電力差をEd31とすると、起電力差をEd31は式(74)より次式のようになる。
Ed31=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[ω1・exp(j・π/2)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(75)
ここで、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとすると(d3≒d4)、b4≒b5、Δθ5≒0になる。この場合、式(73)、式(74)、式(75)は以下のようになる。
Es30≒rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{2・b4・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(76)
Ed30≒rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{2・b4・ω0・exp(j・π/2)} ・・・(77)
Ed31≒rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{2・b4・ω1・exp(j・π/2)} ・・・(78)
すなわち、電極間起電力Es30はほぼv×B成分の起電力のみとなり、電極間起電力Ed30,Ed31はほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第1の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb4≠b5,Δθ5≠0として進める。
起電力差Ed30とEd31との差をとり、求めた差分をω0/(ω0−ω1)倍した結果をEdA3とすれば、式(79)が成立する。
EdA3=(Ed30−Ed31)・ω0/(ω0−ω1)
=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
・・・(79)
差分EdA3は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この差分EdA3を用いて、v×Bにより発生する成分のみからなる起電力和Es30の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の起電力和Es30、起電力差Ed30,Ed31および差分EdA3を複素ベクトル表現した図を図16に示す。なお、差分EdA3は、正確には起電力差Ed30とEd31との差分をω0/(ω0−ω1)倍したものであるが、ω0/(ω0−ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(73)の起電力和Es30を式(79)の差分EdA3で正規化し、ω0倍した結果をEn3とすれば、正規化起電力En3は式(80)のようになる。
En3=(Es30/EdA3)・ω0
=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}]
/[rk・exp{j・(θ4+θ00)}・ω0・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}]・ω0
=ω0・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
/{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(80)
式(80)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。以上の正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図を図17に示す。なお、起電力和Es30を差分EdA3で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(80)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(80)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとして、b4≒b5、Δθ5≒0とすると、流速の大きさVは式(80)より次式のように表される。
V=|En3/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En3|/γ ・・・(81)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表3のとおりである。本実施の形態は、表3から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表3]
基本原理と第3の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第3の実施の形態の定数および変数 │
│ │ │
├────────────┼─────────────────────┤
│rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│C │ rk・exp{j(θ4+θ00)} │
│ │ ・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。図18は本実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図であり、図13と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、励磁コイル3に励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部4bと、励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力との起電力差の振幅と位相を求め、これらの起電力差の振幅と位相に基づいて第1の励磁状態の起電力差と第2の励磁状態の起電力差との差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5bと、抽出された∂A/∂t成分に基づいて、第1の励磁状態における第1の合成起電力と第2の合成起電力との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6bとを有している。
電源部4bは、角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給する第1の励磁状態をT0秒継続し、続いて角周波数ω1の励磁電流を励磁コイル3に供給する第2の励磁状態をT1秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T0+T1である。
図19は信号変換部5bと流量出力部6bの動作を示すフローチャートである。
まず、信号変換部5bは、励磁角周波数がω0の第1の励磁状態において、電極2a,2b間の第1の起電力E31と電極2c,2d間の第2の起電力E32との和Es30の振幅rs30を求めると共に、実軸と起電力和Es30との位相差φs30を図示しない位相検波器により求める(図19ステップ301)。
また、信号変換部5bは、第1の励磁状態において、第1の電極間起電力E31と第2の電極間起電力E32との差Ed30の振幅rd30を求めると共に、実軸と起電力差Ed30との位相差φd30を位相検波器により求める(ステップ302)。
続いて、信号変換部5bは、励磁角周波数がω1の第2の励磁状態において、第1の電極間起電力E31と第2の電極間起電力E32との差Ed31の振幅rd31を求めると共に、実軸と起電力差Ed31との位相差φd31を位相検波器により求める(ステップ303)。
次に、信号変換部5bは、起電力和Es30の実軸成分Es30xと虚軸成分Es30y、起電力差Ed30の実軸成分Ed30xと虚軸成分Ed30y、および起電力差Ed31の実軸成分Ed31xと虚軸成分Ed31yを次式のように算出する(ステップ304)。
Es30x=rs30・cos(φs30) ・・・(82)
Es30y=rs30・sin(φs30) ・・・(83)
Ed30x=rd30・cos(φd30) ・・・(84)
Ed30y=rd30・sin(φd30) ・・・(85)
Ed31x=rd31・cos(φd31) ・・・(86)
Ed31y=rd31・sin(φd31) ・・・(87)
式(82)〜式(87)の算出後、信号変換部5bは、起電力差Ed30とEd31との差分EdA3の大きさと角度を求める(ステップ305)。このステップ305の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(79)の算出に相当する処理である。信号変換部5bは、起電力差Ed30とEd31との差分EdA3の大きさ|EdA3|を次式のように算出する。
|EdA3|={(Ed30x−Ed31x)2+(Ed30y−Ed31y)21/2
・ω0/(ω0−ω1) ・・・(88)
そして、信号変換部5bは、実軸に対する差分EdA3の角度∠EdA3を次式のように算出する。
∠EdA3=tan-1{(Ed30y−Ed31y)/(Ed30x−Ed31x)}
・・・(89)
以上で、ステップ305の処理が終了する。
次に、流量出力部6bは、起電力和Es30を差分EdA3で正規化した正規化起電力En3の大きさと角度を求める(ステップ306)。このステップ306の処理は、式(80)の算出に相当する処理である。流量出力部6bは、正規化起電力En3の大きさ|En3|を次式のように算出する。
|En3|=(rs30/|EdA3|)・ω0 ・・・(90)
また、流量出力部6bは、実軸に対する正規化起電力En3の角度∠En3を次式のように算出する。
∠En3=φs30−∠EdA3 ・・・(91)
これで、ステップ306の処理が終了する。なお、流速(流量)を求める次のステップで直接∠En3を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
続いて、流量出力部6bは、被測定流体の流速の大きさVを式(81)により算出する(ステップ307)。
信号変換部5bと流量出力部6bは、以上のようなステップ301〜307の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ308においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ303〜307の処理は継続時間T1秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、励磁周波数が異なる第1、第2の励磁状態の各々において第1の電極間起電力と第2の電極間起電力との起電力差Ed30,Ed31を求め、起電力差Ed30とEd31とから差分EdA3(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この差分EdA3を用いて第1の励磁状態における第1の電極間起電力と第2の電極間起電力との起電力和Es30(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
また、本実施の形態では、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から第1の電極2a,2bまでの距離d3と平面PLN3から第2の電極2c,2dまでの距離d4とを調整することにより、起電力和Es30がほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差Ed30,Ed31がほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第1の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、第1の電極間起電力と第2の電極間起電力の起電力差から差分EdA3を取り出し、この差分EdA3を用いて第1の電極間起電力と第2の電極間起電力の起電力和を正規化する例について示したが、これに限るものではなく、励磁周波数が異なる第1、第2の励磁状態の各々において第1の電極間起電力と第2の電極間起電力の起電力和を求め、これらの起電力和の差を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分を用いて第1の励磁状態における第1の電極間起電力と第2の電極間起電力の起電力差を正規化するようにしてもよい。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して励磁コイルを1個追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第2の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。つまり、本実施の形態の電磁流量計の信号処理系を除く構成は第2の実施の形態と同様であるので、図6の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力Eac2は、式(47)に示したとおりである。そして、ω0・tに対する磁場B2の位相遅れθ2とω0・tに対する磁場B3の位相遅れθ3との関係がθ3=θ2+Δθ3で、かつ虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01である状態を第1の励磁状態とし、この第1の励磁状態における電極間起電力Eac2をE20とすると、式(18)を式(47)に代入したときの電極間起電力E20は式(48)のようになる。
また、磁場B2と磁場B3との位相差が第1の励磁状態から一定値πだけ変化し(θ3=π+θ2+Δθ3)、かつθ01=θ00+Δθ01である状態を第2の励磁状態とし、この第2の励磁状態における電極間起電力Eac2をE2π0とすると、式(18)を式(47)に代入したときの電極間起電力E2π0は式(49)のようになる。
ここで初期状態(校正時の状態)において、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3とを等しく設定しておくと、その後の磁場B2とB3との差は小さくなり、次式の条件が成り立つ。
|b2+b3・exp(j・Δθ3)|≫|b2−b3・exp(j・Δθ3)|
・・・(92)
式(92)において、|b2+b3・exp(j・Δθ3)|は複素ベクトルb2+b3・exp(j・Δθ3)の大きさを表し、|b2−b3・exp(j・Δθ3)|は複素ベクトルb2−b3・exp(j・Δθ3)の大きさを表す。
また、通常ω0>γ・Vが成り立つことから、式(92)の条件を考慮すると、式(49)において次式の条件が成り立つ。
|ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}|
≫|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}|
・・・(93)
式(93)において、|ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}|は複素ベクトルω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}の大きさを表し、|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}|は複素ベクトルγ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}の大きさを表す。
式(93)の条件を用いて、電極間起電力E2π0を近似した起電力EdA4は次式のように表される。
EdA4≒E2π0 ・・・(94)
EdA4=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
・・・(95)
電極間起電力EdA4は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この電極間起電力EdA4を用いて電極間起電力E20(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E20,E2π0,EdA4を複素ベクトル表現した図を図20に示す。
式(48)の電極間起電力E20を式(95)の電極間起電力EdA4で正規化し、ω0倍した結果をEn4とすれば、正規化起電力En4は式(96)のようになる。
En4=(E20/EdA4)・ω0
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
/[rk・exp{j・(θ2+θ00)}・ω0・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]・ω0
=ω0・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
/{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(96)
式(96)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。以上の正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図を図21に示す。なお、電極間起電力E20を電極間起電力EdA4で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(96)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(96)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b2≒b3、Δθ3≒0とすると、流速の大きさVは式(96)より次式のように表される。
V=|En4/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En4|/γ ・・・(97)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表4のとおりである。本実施の形態は、表4から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表4]
基本原理と第4の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第4の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ rk・exp{j(θ2+θ00)} │
│ │ ・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第2の実施の形態と同様であるので、図11の符号を用いて説明する。
電源部4aは、角周波数ω0の第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、第1の励磁電流との位相差Δθ3が略零で、角周波数がω0の第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する第1の励磁状態をT0秒継続し、この第1の励磁状態に対して第1の励磁電流と第2の励磁電流との位相差を略πに変更した第2の励磁状態をT1秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T0+T1である。
図22は本実施の形態の信号変換部5aと流量出力部6aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、角周波数ω0の第1の励磁電流が第1の励磁コイル3aに供給され、第1の励磁電流との位相差Δθ3が略零で、角周波数がω0の第2の励磁電流が第2の励磁コイル3bに供給される第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E20の振幅r20を求めると共に、実軸と電極間起電力E20との位相差φ20を図示しない位相検波器により求める(図22ステップ401)。
続いて、信号変換部5aは、第1の励磁状態に対して第1の励磁電流と第2の励磁電流との位相差が略πに変更された第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E2π0の振幅r2π0を求めると共に、実軸と電極間起電力E2π0との位相差φ2π0を位相検波器により求める(ステップ402)。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力E20の実軸成分E20xと虚軸成分E20y、および電極間起電力E2π0の実軸成分E2π0xと虚軸成分E2π0yを次式のように算出する(ステップ403)。
E20x=r20・cos(φ20) ・・・(98)
E20y=r20・sin(φ20) ・・・(99)
E2π0x=r2π0・cos(φ2π0) ・・・(100)
E2π0y=r2π0・sin(φ2π0) ・・・(101)
式(98)〜式(101)の算出後、信号変換部5aは、電極間起電力E2π0を近似した起電力EdA4の大きさと角度を求める(ステップ404)。このステップ404の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(95)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、電極間起電力E2π0を近似した起電力EdA4の大きさ|EdA4|を次式のように算出する。
|EdA4|=(E2π0x2+E2π0y21/2 ・・・(102)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する電極間起電力EdA4の角度∠EdA4を次式のように算出する。
∠EdA4=tan-1(E2π0y/E2π0x) ・・・(103)
以上で、ステップ404の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、電極間起電力E20を電極間起電力EdA4で正規化した正規化起電力En4の大きさと角度を求める(ステップ405)。このステップ405の処理は、式(96)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En4の大きさ|En4|を次式のように算出する。
|En4|=(r20/|EdA4|)・ω0 ・・・(104)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En4の角度∠En4を次式のように算出する。
∠En4=φ20−∠EdA4 ・・・(105)
これで、ステップ405の処理が終了する。なお、流速(流量)を求める次のステップで直接∠En4を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(97)により算出する(ステップ406)。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ401〜406の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ407においてYES)、周期T毎に行う。なお、ステップ402〜406の処理は継続時間T1秒の第2の励磁状態において行われる。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3との位相差が所定値Δθ3+π(Δθ3は略零)で、かつ磁場B2と磁場B3の振幅および励磁周波数が等しい第2の励磁状態の電極間起電力E2π0が近似的に∂A/∂t成分として抽出できることに着眼し、この∂A/∂t成分を用いて第1の励磁状態の電極間起電力E20(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。また、本実施の形態では、第2の励磁状態の電極間起電力E2π0のみから∂A/∂t成分を抽出できることから、第1〜第3の実施の形態のように励磁周波数を切り替える必要がない。
なお、第1〜第4の実施の形態においては、同相成分のノイズを除去できることから、矩形波励磁方式を用いる必要がなく、励磁電流に正弦波を用いる正弦波励磁方式を使用できるので、高周波励時が可能となる。高周波励磁を用いることで、1/fノイズを除去することができ、流量変化に対する応答性を高めることができる。
また、第1〜第4の実施の形態で使用する電極2a,2b,2c,2dとしては、図23に示すように、測定管1の内壁から露出して被測定流体に接触する形式の電極でもよいし、図24に示すように、被測定流体と接触しない容量結合式の電極でもよい。容量結合式の場合、電極2a,2b,2c,2dは、測定管1の内壁に形成されるセラミックやテフロン(登録商標)等からなるライニング10によって被覆される。
また、第1〜第4の実施の形態では、第1の電極として1対の電極2a,2bを使用し、第2の電極として1対の電極2c,2dを使用しているが、これに限るものではなく、第1の電極と第2の電極をそれぞれ1個ずつにしてもよい。電極が1個だけの場合には、被測定流体の電位を接地電位にするための接地リングや接地電極が測定管1に設けられており、1個の電極に生じた起電力(接地電位との電位差)を信号変換部5,5a,5bで検出すればよい。電極軸は、1対の電極を使用する場合はこの1対の電極間を結ぶ直線である。一方、電極が1個だけの場合、この1個の実電極を含む平面PLN上において、測定管軸PAXを挟んで実電極と対向する位置に仮想の電極を配置したと仮定したとき、実電極と仮想の電極とを結ぶ直線が電極軸となる。
本発明は、測定管内を流れる被測定流体の流量計測に適用することができる。
本発明の電磁流量計の基本原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態において電極間起電力と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第1の実施の形態における正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第1の実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の第2の実施の形態において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第2の実施の形態において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第2の実施の形態において電極間起電力と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第2の実施の形態における正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第2の実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の第3の実施の形態において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第3の実施の形態において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第3の実施の形態において起電力和と起電力差と起電力差の差分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第3の実施の形態における正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第3の実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態において電極間起電力を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第4の実施の形態における正規化処理の様子を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第4の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の電磁流量計で用いる電極の1例を示す断面図である。 本発明の電磁流量計で用いる電極の他の例を示す断面図である。 従来の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。 従来の電磁流量計において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 従来の電磁流量計において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 電磁流量計におけるスパンのシフトを説明するための図である。 従来の電磁流量計の問題点を説明するための図である。
符号の説明
1…測定管、2a、2b、2c、2d…電極、3、3a、3b…励磁コイル、4、4a、4b…電源部、5、5a、5b…信号変換部、6、6a、6b…流量出力部。

Claims (8)

  1. 被測定流体が流れる測定管と、
    この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、
    この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面に対して非対称かつ時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、
    前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、
    前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えることを特徴とする電磁流量計。
  2. 請求項1記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、励磁周波数を切り替えながら前記流体に前記磁場を印加し、
    前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づいて前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、ある励磁周波数における合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  3. 請求項1または2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、これらの合成起電力の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の合成起電力と前記第2の励磁状態の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  4. 請求項1または2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、前記第1の励磁コイルに供給する励磁電流と第2の励磁コイルに供給する励磁電流の位相差および励磁周波数を切り替えながら、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の励磁コイルにより発生する第1の磁場と前記第2の励磁コイルにより発生する第2の磁場との位相差がΔθ3で、励磁角周波数がω0の第1の励磁状態と、この第1の励磁状態に対して前記第1の磁場と第2の磁場との位相差が前記Δθ3からΔθ3+πに変化した第2の励磁状態と、この第2の励磁状態から励磁角周波数がω1に変化した第3の励磁状態の3つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この振幅と位相に基づいて前記第2の励磁状態の合成起電力と前記第3の励磁状態の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  5. 請求項1または2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力との起電力差の振幅と位相を求め、これらの起電力差の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の起電力差と前記第2の励磁状態の起電力差との差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態における前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  6. 請求項1または2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに励磁周波数を切り替えながら励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力との起電力和の振幅と位相を求め、これらの起電力和の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の起電力和と前記第2の励磁状態の起電力和との差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態における前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  7. 請求項1記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、複数の励磁コイルから励磁周波数が同一の磁場を発生させ、各励磁コイルから発生する磁場の間の位相差を切り替えながら前記流体に磁場を印加し、
    前記信号変換部は、前記位相差が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づき前記位相差が所定値である特定の励磁状態の合成起電力を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記特定の励磁状態と異なる別の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  8. 請求項1または7記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、前記第1の励磁コイルに供給する励磁電流と第2の励磁コイルに供給する励磁電流の位相差を切り替えながら、前記第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに同一周波数の励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の励磁コイルにより発生する第1の磁場と前記第2の励磁コイルにより発生する第2の磁場との位相差が略零である第1の励磁状態と、前記第1の磁場と第2の磁場との位相差が略πである第2の励磁状態の2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づき前記第2の励磁状態の合成起電力を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記第1の励磁状態の合成起電力中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
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