JP2005298968A - 磁気シールド用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形性や黒化処理性に優れ、しかも特殊な添加成分やユーザーでの高温熱処理を必要とせずに、安価でかつ優れた磁気特性を安定して実現した磁気シールド用鋼板を提供する。
【解決手段】C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成に調整し、平均結晶粒径を20μm以上40μm未満にする。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーテレビなどに用いられるブラウン管の内部に設置される地磁気シールド用のインナーシールド(Inner Magnetic Shield)に供する鋼板を代表とする、磁気シールド性が必要とされる鋼板およびその製造方法に関するものである。
電気製品や自動車、または建築などの用途に薄鋼板を使用する場合、一般には強度、成型性および防錆性などが必要とされるが、その一方で、上記特性に加えて磁気シールド性が重要視される場合もある。その典型的な例が、以下に述べるブラウン管インナーシールド用鋼板である。
カラーテレビ等のカラー表示装置に用いられるブラウン管は、内部に色選別用マスクや、地磁気シールド用のインナーシールドを有しており、それぞれサポートフレームを介してパネルまたはファンネルガラスに保持されている。近年、ブラウン管の大型化や高精細化が進み、画質向上への要求が厳しくなってきている。特に、地磁気によるビームドリフトに起因する画質劣化が問題であり、インナーシールド用鋼板の役割はますます重要になってきている。
ここで、ブラウン管は、シールド性能を高める為に、始動時に消磁コイルによって消磁されている。したがって、インナーシールド用鋼板に必要な磁気特性としては、消磁されやすさ、すなわち保磁力の低いことが重要となる。
このような要請に対しては、インナーシールド用鋼板の結晶粒径を粗大化することが重要である。結晶粒径の粗大化には、Cの低減および冷間圧延での圧下率の低減が有効であり、たとえば特許文献1には、脱炭中間焼鈍を挟む二回冷延法が開示されている。また、圧下率の低減と併せて圧延前の粗粒化も効果的であり、たとえば特許文献2には、C≦0.005mass%の鋼を製鋼で作製し、中間焼鈍時に粒度番号が4〜6の粗粒組織を形成し、二次の圧下率を75%以下とする二回冷延法が開示されている。しかし、いずれの技術も、一回冷延法に比べて焼鈍及び圧延工程が増える為、製造コストの大幅な上昇をまねいてしまう。
また、二回冷延法において、二次冷延のままでプレス加工し、ユーザーでの黒化処理で再結晶させる技術が、例えば特許文献3に開示されている。しかし、二次冷延率が50〜80%と高い為、プレス成型性に難があり、複雑な形状のプレス成形ができない不利がある。また、簡単な曲げ加工であっても、鋼板が加工硬化することによって引張強さ(TS)が上昇し、スプリングバック量が大きくなるため、プレス時の形状凍結性に難がある。
一方で、コストの点で有利な一回圧延法の場合、結晶粒径の粗大化には焼鈍時の粒成長性の向上が必須であり、例えば特許文献4には、sol.Alを0.003mass%未満にすることによって、粒成長性を妨げる微細なAlNの析出を抑制する技術が開示されている。しかし、単純にAlを低減した場合には、鋼中介在物となる酸化物が増えるために磁気特性が劣化する。
また、特許文献5や特許文献6には、BやMgなどの特殊元素を添加する技術が開示されている。しかし、特殊な元素の添加は、コストアップ、リサイクル性低下などの問題がある。特に、BはNと結びつくことによってAlNの微細析出を抑制する効果があるものの、Nと結びつかない余剰Bは、粒界に偏析して粒成長性を妨げる。従って、N量とのバランスにより特性が異なってくるため、安定性に欠けるものとなる。
さらに、ユーザーでの黒化処理を省略する為に鋼板表面にNiメッキを施したり、Ni−Fe拡散層を付与したりする技術が、例えば特許文献7に開示されている。しかし、Niメッキ設備およびメッキ拡散焼鈍設備が必要となる為、高コスト化を招く。また、黒化処理を省略した場合、インナーシールドの輻射率が低下することによって、相対的にシャドウマスクの熱放散性が低下する為、マスク熱膨張による画質低下を招く。
特開昭58−45323号公報 特開平8−260051号公報 特開2003−89856号公報 特開平8−60246号公報 特開平5−9665号公報 特開2000−169945号公報 特開平11-92886号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、プレス成形性や黒化処理性に優れ、しかも特殊な添加成分やユーザーでの高温熱処理を必要とせずに、安価でかつ優れた磁気特性を安定して実現した磁気シールド用鋼板を、その製造方法に併せて提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、鋼板の設計を抜本的に見直した結果、粒成長性を著しく阻害するAlNの生成を抑制する為に、鋼中の固溶Al量を低減すること、またAlを低減することによって生じる鋼中酸化物の磁気特性への悪影響を、Cr含有酸化物を形成させることによって抑制できること、をそれぞれ見出した。
すなわち、本発明の要旨構成は、次の通りである。
(1)C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有し、平均結晶粒径が20μm以上40μm未満である磁気シールド用鋼板。
(2)C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有し、さらに鋼中介在物である酸化物中に存在する金属元素であるSi、Mn、AlおよびCrの総量に占めるCrの割合が10mass%以上であり、平均結晶粒径が20μm以上40μm未満である磁気シールド用鋼板。
(3)上記成分組成において、Sを0.003mass%以下に抑制したことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の磁気シールド用鋼板。
(4)C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有する鋼スラブに、熱間圧延を施した後、81%以上の圧下率で冷間圧延を行い、その後再結晶温度以上の温度で焼鈍することによって、平均結晶粒径を20μm以上40μm未満に調整することを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
(5)C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有し、さらに鋼中介在物である酸化物中に存在する金属元素であるSi、Mn、AlおよびCrの総量に占めるCrの割合が10mass%以上である鋼スラブに、熱間圧延を施した後、81%以上の圧下率で冷間圧延を行い、その後再結晶温度以上の温度で焼鈍することによって、平均結晶粒径を20μm以上40μm未満に調整することを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
(6)上記鋼スラブの成分組成において、Sを0.003mass%以下に抑制したことを特徴とする上記(4)または(5)に記載の磁気シールド用鋼板の製造方法。
本発明によれば、結晶粒径が20μm 以上で磁気特性に優れた磁気シールド用鋼板を、特殊な元素を添加せず、しかもユーザーでの高温での熱処理を必要とせずに、安価に安定して提供できるため、産業上極めて有効である。
本発明の磁気シールド用鋼板は、AlNの生成を抑制する為に、鋼中固溶Al量を低減することが、まず第1のポイントである。次に、Alを低減することによって生じる鋼中酸化物の磁気特性への悪影響を、Cr含有酸化物を形成させることによって抑制することが第2のポイントである。これにより、プレス成型性や黒化処理性に加えて、優れた磁気特性を有する磁気シールド用鋼板の提供が可能になるのである。
以下、本発明について、具体的に説明する。
〔成分組成〕
C:0.005mass%以下
Cは、炭化物を形成して磁気特性を劣化させる元素であり極力低減することが好ましいが、0.005mass%までは許容できるため、その上限を0.005mass%とする。さらには、0.004mass%以下とすることが望ましい。
Si:0.03mass%以下
Siは、黒化処理時に生成する酸化膜の性状を劣化させる元素であり極力低減することが好ましいが、0.03mass%までは許容できるため、その上限を0.03mass%とする。
Mn:0.1〜0.5mass%
Mnは、硫化物を形成して熱間脆性を改善する元素であり、そのためには0.1mass%以上の添加を必要とする。一方、0.5mass%を超えて添加しても効果は飽和し、コストアップをまねくだけになるため、上限は0.5mass%とする。
P:0.02mass%以下
Pは、0.02mass%を超えて含有すると所定形状への成形性を損なう為、0.02mass%以下に制限する。
S:0.01mass%以下
Sは、硫化物を形成して磁気特性を劣化させる元素であり極力低減することが好ましいが、0.01mass%までは許容できるため、その上限を0.01mass%とする。さらに、0.003mass%以下に抑制することによって、磁気特性がより良好になる。
sol.Al:0.004mass%以下
sol.Alは、微細な窒化物を形成することによって粒成長性を阻害し磁気特性を著しく劣化させる。従って、その上限を0.004mass%とする。より好ましくは0.002mass%以下である。
N:0.005mass%以下
Nは、少ないほど望ましく、特に0.005mass%を超えて含有すると、析出物を形成して磁気特性を劣化させる為、その上限を0.005mass%とする。より好ましくは0.003mass%以下である。
Cr:0.02〜0.2mass%
Crは、sol.Al量を上記のように規制した鋼に添加することによって、酸化物組成を変化させて、粒成長性を向上させる。そのためには、0.02mass%以上の添加を必要とする。一方、過度の添加は炭窒化物を形成して磁気特性を劣化させる為、その上限を 0.2mass%とする。より好ましくは0.10mass%未満である。
O:0.02mass%以下
Oは、介在物を生成させて磁気特性および加工性を劣化させる為、少ないほど好ましく、その上限を0.02mass%とする。ただし、過度の低減は固溶Alや固溶Siの増加を招く為、その下限は0.003mass%とすることが好ましい。
〔結晶粒径〕
結晶粒径は、磁気シールド用鋼板に必要な磁気特性、特に低い保磁力を得る為に、粗大である必要がある。すなわち、平均結晶粒径が20μm未満では、保磁力が高くなってしまうため、平均結晶粒径は20μm以上であることを必要とする。
なお、インナーシールドに代表される極薄鋼板、具体的には板厚が0.10〜0.30mmの鋼板の場合は、そのハンドリング時に腰折れなどの問題が発生しやすい為、適度な強度を必要とする。この点、極端な粗粒化は、鋼板強度を著しく低下させるため、平均結晶粒径は40μm未満であることが好ましく、本発明では平均結晶粒径を40μm未満とする。
また、本発明では、上記の成分組成の規制に加えて、鋼中介在物を規制する。
〔鋼中介在物〕
本発明における鋼中介在物は、MnO、Cr203、Al203、SiO2 およびその複合体である。ここで、鋼中介在物である酸化物中に存在する金属元素が、磁気特性に及ぼす影響を調査する為に、以下の実験を行った。
すなわち、表1に示す化学成分を有する鋼スラブを熱間圧延して2.0mm厚の熱延板を得た後に、酸洗、そして冷間圧延し、板厚 0.15mmの冷延鋼板を得た。その後、670℃ で5時間の熱処理を行い、0.8%の調質圧延後に、590℃で10分の黒化処理を行ったのち、鋼板から内径33mmおよび外径45mmのリング試験片を採取し、最大励磁磁界796 A/m (10 Oe)での磁気測定を行った。また、黒化処理前の同じサンプルから抽出残渣分析(ヨードメタノール抽出法:鉄鋼分析部会 鋼中酸化物系介在物の抽出分離定量法(昭和62年1月 鋼中非金属介在物分析小委員会編)に準拠)を行い、酸化物中の金属元素の比率(mass%)を求めた。その結果を、表1に併記する。
Figure 2005298968
表1より、酸化物中の金属元素のうち、Crの比率が13mass%になると、 590℃といった低温での黒化処理においても、保磁力が119 A/m未満(1.50 Oe未満)の優れた磁気特性を発揮でき、良好な地磁気シールド性が得られることが分かる。そこで、さらにCrの比率を種々に変化して調査したところ、図1に示すように、Crの比率が10mass%以上である場合に、590℃といった低温での黒化処理においても、保磁力が119 A/m未満(1.50 Oe未満)の優れた磁気特性を発揮でき、良好な地磁気シールド性が得られることが判明した。そこで本発明では、鋼中介在物である酸化物中に存在する金属元素であるSi、Mn、AlおよびCrの総量(合計量)に占めるC量の割合を10mass%以上とする。
ここに、Cr添加により磁気特性が改善するメカニズムは不明であるが、鋼番B、C、Dは、鋼番Aに比べて粗粒となっていることから、Crは介在物形態を変化させて粒成長性を向上させるものと推測される。
なお、Crの効果はsol.Alが 0.004mass%以下の鋼にのみ発現しており、Crよりも介在物を作りやすいAlが多量に添加された場合、例えば鋼番Eのようにsol.Alが 0.004mass%を超えて添加されている場合には、Crを添加しても、介在物中のAlが多く、Crが減少してしまい本発明の効果が得られない。すなわち、sol.Alは、0.004mass%を超えて含有すると、窒化物を形成するだけでなく、介在物組成にも影響して磁気特性を劣化させるのである。
また、インナーシールドに代表される極薄の磁気シールド用鋼板は、構造体としての剛性を確保するために、板厚は0.10mm以上とすることが好ましい。一方、板厚が0.30mmを超えると、コストが高くなるため、0.30mm以下とすることが好ましい。
〔製造方法〕
次に、本発明における製造方法について説明する。
まず、上述に従う成分組成、さらには介在物組成を調整した製鋼を行う。特に、介在物組成を制御する為に、脱炭処理後、微量Alを添加して溶鋼中のフリー酸素を先行脱酸し、さらにMnおよびCrなどを添加するとよい。その後、連続鋳造法または造塊−分塊法によって得られた鋼スラブに、通常の方法により、熱間圧延そして酸洗などのデスケーリングを施し、81%以上の圧下率で冷間圧延を行って、板厚0.10〜0.30mmの冷延板を得る。すなわち、板厚0.10〜0.30mmの極薄材を低コストで製造するために、圧下率は81%以上とすることが好ましく、81%以上の圧下率にて冷間圧延、好ましくは1回冷間圧延を行う。一方、圧下率が95%を超えると、圧延負荷の増大による板形状不良が発生しやすいため、冷間圧延での圧下率は95%以下とすることが好ましい。
冷間圧延後、再結晶および粒成長焼鈍により結晶粒径を20μm以上とした鋼板を得る。ここで、20μm以上の粒径を得る為には、再結晶温度以上の、極力高温であることが望ましい。ただし、二相域またはオーステナイト単相域まで焼鈍した場合には、粗粒化効果が得られないこと、また変態による歪みに起因して磁気特性が劣化することから、フェライト単相域であることが望ましい。ここで、結晶粒径が40μm以上となるような高温長時間焼鈍は、鋼板強度の低下によるハンドリング不良が発生しやすいため、好ましくない。
なお、薄鋼板の焼鈍には、通常、連続焼鈍とバッチ焼鈍があるが、本発明に従う鋼は、粒成長性の良い鋼であり、高温で焼鈍した場合には粒径の温度感受性が高く、バッチ焼鈍のように温度むらの発生しやすい方法は、材質の不均質を招きやすいため、連続焼鈍が好ましい。
通常、鋼板のハンドリング性などを向上させる為に、焼鈍後に調質圧延が施される。特に、バッチ焼鈍の場合、板形状の矯正の為調質圧延が行われる。焼鈍後の調質圧延は、磁気特性を劣化させる為、その圧下率は低いことが望ましい。調質圧延の圧下率が1.0%以下であれば、特性の劣化代が小さい為、調質圧延を行う場合は、圧下率を1.0%以下とすることが好ましい。
以上詳述したように、本発明は安価でかつ優れた磁気特性を有する磁気シールド用鋼板とその製造方法を提供するものであり、ブラウン管インナーシールドのみならず、家庭用を含めた電気製品、自動車、建築などの薄鋼板が用いられる幅広い用途に適用でき、産業上極めて大きな効果を有する。
表2に示す成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、板厚 2.0mmの熱延板を得た。この熱延板を酸洗した後に、0.15mm厚まで冷間圧延(圧下率:92.5%)し、表3に示す再結晶温度以上で二相域に入らない温度域にある焼鈍条件の熱処理を施した後、0.8%の調質圧延を行い、590℃ で15分の黒化処理を行った。その鋼板から、内径33mmおよび外径45mmのリング試験片を採取し、最大励磁磁界796 A/m(10 Oe)での磁気測定を行った。また、JIS G 0552 に準拠した切断法により、黒化処理前の鋼板の平均結晶粒径を調査した。さらに、調質圧延後の鋼板からJIS5号引張試験片を採取し、機械特性を調査した。その結果を、表3に併せて示す。なお、平均結晶粒径および介在物は、黒化処理前の鋼板を抽出残渣分析することにより評価した。
Figure 2005298968
Figure 2005298968
表3に示すように、結晶粒径が20μm以上の鋼板c、d、fおよびgは、590℃といった低温での黒化処理においても、保磁力が119 A/m未満(1.50 Oe未満)と、優れた特性を有することが分かる。特に、Sを0.002mass%に抑制した鋼板jは、鋼板cと比較してもより良好な磁気特性を示すことが分かる。さらに、結晶粒径が52μmと極端に粗大な鋼板gは、降伏強度が138MPaと低いため、0.15mm厚と極薄の鋼板ではハンドリング性が問題となる。
Cr含有率と保磁力との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有し、平均結晶粒径が20μm以上40μm未満である磁気シールド用鋼板。
  2. C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有し、さらに鋼中介在物である酸化物中に存在する金属元素であるSi、Mn、AlおよびCrの総量に占めるCrの割合が10mass%以上であり、平均結晶粒径が20μm以上40μm未満である磁気シールド用鋼板。
  3. 上記成分組成において、Sを0.003mass%以下に抑制したことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気シールド用鋼板。
  4. C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有する鋼スラブに、熱間圧延を施した後、81%以上の圧下率で冷間圧延を行い、その後再結晶温度以上の温度で焼鈍することによって、平均結晶粒径を20μm以上40μm未満に調整することを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
  5. C:0.005mass%以下、Si:0.03mass%以下、Mn:0.1〜0.5mass%、P:0.02mass%以下、S:0.01mass%以下、sol.Al:0.004mass%以下、N:0.005mass%以下、Cr:0.02〜0.2mass%およびO:0.02mass%以下を含み、残部鉄および不可避不純物の成分組成を有し、さらに鋼中介在物である酸化物中に存在する金属元素であるSi、Mn、AlおよびCrの総量に占めるCrの割合が10mass%以上である鋼スラブに、熱間圧延を施した後、81%以上の圧下率で冷間圧延を行い、その後再結晶温度以上の温度で焼鈍することによって、平均結晶粒径を20μm以上40μm未満に調整することを特徴とする磁気シールド用鋼板の製造方法。
  6. 上記鋼スラブの成分組成において、Sを0.003mass%以下に抑制したことを特徴とする請求項4または5に記載の磁気シールド用鋼板の製造方法。
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