JP2005298947A - 表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自動車用などの外装材の用途においても使用できる表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】(1) めっき付着量:250g/m2 未満の溶融亜鉛めっき鋼板であって、その表面に30mm間隔で任意の2点をとった場合、該2点間での平均傾斜勾配の差がめっき付着量(g/m2)/10000(度)以内にあると共に該2点間での光沢度の差が15以内にあり、かつ、めっき層−鋼板界面の直上のめっき層部において30μm 間隔で任意の2点をとった場合、該2点間でのAlの濃度差が3.5 質量%以内にあることを特徴とする表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板、(2) 鋼帯から25mm以下の間隔をもって配置されたワイピングガスノズルから鋼帯の表面に、ラインスピードとの関係で定められるワイピングガス圧力でワイピングガスを吹き付ける表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する技術分野に属し、特には、自動車用の溶融亜鉛めっき鋼板であって表面ムラがなく、美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する技術分野に属するものである。
溶融亜鉛めっき浴でめっきされた鋼板は、めっき浴上で空気あるいは窒素など(以下、ワイピングガス)により亜鉛の付着量をコントロールする。この際、ワイピングガスの吹き付けにより鋼帯の振動が生じ、また、めっき層の不規則な湯流れのために、めっき表面にムラなどの外観上好ましくない欠陥が存在する。
特に自動車用などの外装材の用途においては、亜鉛めっき表面を塗装下地表面とした場合、このようなめっき表面のムラによって塗膜の表面形状、平滑性などが阻害される。また、塗装しない場合においても外観ムラなど美観上好ましくないため、このようなめっき表面のムラを低減させる必要がある。
このムラはワイピングガスだけでなく、機器の振動にも起因する。昨今の生産性向上のためにラインスピードを早くするとその分、機器が振動しムラも多くなる傾向がある。
このような表面性状を改善するために、ワイピング条件(ガス圧やノズルの浴面高さ)などを適正条件下に制御することが試みられている。しかしながら、板の振動、機器と板との共振を抑えることが難しく、また、板の形状などにより、ノズル距離をある程度以上近くすることができず、そのためガス圧も高めにすることが必要であった。
表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法として、特開平10-237616 号公報には、ワイピングガス条件を定めることが提案されている。特開2001-152305 号公報には、表面調整したロールでめっき鋼板を調質圧延することが記載されている。なお、特開2003-306790 号公報には、表面性状を規定した亜鉛めっき鋼板が記載されているが、これは溶融亜鉛めっき鋼板ではなく、電気亜鉛めっき鋼板である。
特開平10-237616 号公報 特開2001-152305 号公報 特開2003-306790 号公報
特開平10-237616 号公報(特許文献1)に記載の方法では、厚目付用となっており、必ずしも外装材の用途に求めらるほど表面外観は改善しない。特開2001-152305 号公報(特許文献2)に記載の方法では、めっき後にロールで圧延する方法のため、根本的解決にはならない。特開2003-306790 号公報(特許文献3)に記載の亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板ではなく、電気亜鉛めっき鋼板であり、製造方法が異なる。
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、自動車用などの外装材の用途においても使用できる表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を行なった結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に係わり、特許請求の範囲の請求項1記載の溶融亜鉛めっき鋼板(第1発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板)、請求項2記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法(第2発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき付着量:250g/m2 未満の溶融亜鉛めっき鋼板であって、その表面において30mm間隔で任意の2点をとった場合、該2点間での平均傾斜勾配の差がめっき付着量(g/m2)/10000 (度)以内にあると共に該2点間での光沢度の差が15以内にあり、かつ、めっき層と鋼板との界面の直上のめっき層部において30μm 間隔で任意の2点をとった場合、該2点間でのAlの濃度差が3.5 質量%以内にあることを特徴とする表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板である〔第1発明〕。
請求項2記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、めっき付着量:250g/m2 未満の溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、溶融めっき浴から引上げ速度:100 〜150 m/分で鋼帯を引き上げると共に、溶融亜鉛めっき浴から引き上げられる鋼帯から25mm以下の間隔をもってワイピングガスノズルを配置し、該ワイピングガスノズルから前記鋼帯の表面に、ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧力(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 のガス圧力で、ワイピングガスを吹き付けることを特徴とする表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である〔第2発明〕。
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車用などの外装材の用途においても使用できる表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板である。従って、自動車用などの外装材として好適に用いることができる。
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、生産性の低下を招くことなく、自動車用などの外装材の用途においても使用できる表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
特開平10-237616 号公報(特許文献1)に記載の方法は、厚目付用溶融めっきならではの課題として、溶融亜鉛の自重によるダレ模様を対象としている。特に耐食性を要求される用途を対象としており、微細な表面性状まで考慮されておらず、表面美麗性として不十分である。
本発明は上記公報(特許文献1)に記載の方法とは異なり、特に自動車用のめっき鋼板を対象としており、非常に高度な美麗性が要求される。そのような美麗な鋼板を得るために、本発明では以下の構成を採用したものである。
即ち、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき付着量:250g/m2 未満の溶融亜鉛めっき鋼板であって、その表面において30mm間隔で任意の2点をとった場合、該2点間での平均傾斜勾配の差がめっき付着量(g/m2)/10000 (度)以内にあると共に該2点間での光沢度の差が15以内にあり、かつ、めっき層と鋼板との界面の直上のめっき層部において30μm 間隔で任意の2点をとった場合、該2点間でのAlの濃度差が3.5 質量%以内にあることを特徴とするものとした〔第1発明〕。この溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車用などの外装材の用途においても使用できる表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板であり、従って、自動車用などの外装材として好適に用いることができる。
ここで、光沢度は、例えばJIS Z8741に規定された測定方法(60度鏡面光沢法)により求めることができる。めっき付着量:250g/m2 未満としているのは、本発明では主に自動車用のめっき鋼板を対象としているからである。即ち、本発明で対象としているのは主に自動車用のめっき鋼板であるため、めっき付着量(目付量)は厚すぎると溶接性や加工性に劣ることから250g/m2 未満とした。なお、めっき付着量は厚い方が耐食性が良いことから、50g/m2以上とするのが好ましい。溶接性や加工性および耐食性をより高水準に優れたものとするという点から、めっき付着量は50〜200g/m2 とすることが望ましく、更に70〜120g/m2 とすることが望ましい。
亜鉛めっき鋼板の表面における入射光と反射光及び吸収光は、「入射光=正反射光+拡散反射光+表面吸収光」の関係にある。光沢度は、反射光の中の「正反射光」を表す指標であり、また、明度は、「拡散反射光」を表す指標である。光沢度を高めると、即ち、正反射光を増加させると、相対的に拡散反射光が減少し、明度が低下することになる。従って、一般には、光沢度と明度とは、相反する特性である。
平均傾斜勾配(Δa)は、測定・評価した長さをL、亜鉛めっき層表面の微小部分の傾斜をdz/dxとすれば、この傾斜dz/dxを長さLにわたって積分し、長さLで除したもの(Δa)、即ち、Δa=(1/L)*∫[dz/dx]dxで表されるめっき層表面の粗さを示す指標である。この平均傾斜勾配(Δa)は、微小な傾斜面の角度を表しているため、光の反射や光沢度と密接に関連するパラメータである。上記測定・評価した長さLは、30mm間隔で任意にとった各点を中心とした傾斜勾配の測定範囲、即ち走査域を示すものである。
平均傾斜勾配の差を算出する任意の2点間の間隔30mmは、亜鉛めっき層付与後に通常現れる色調むらの領域の大きさや色調測定装置の最小測定領域の大きさを考慮して決定したものである。ここで、上記の30mm間隔でとった任意の2点、即ち、平均傾斜勾配や光沢度の測定点は、具体的には、ピンポイントではなく、その点を中心とした測定領域を示すものである。
表面ムラ、即ち、色調が変化している領域を目視で認識できるのは、一般に、正常領域と色調むら領域の境界部で明度や光沢度などの光学特性が急激に変化している場合に限られ、これらの境界部での光学特性が徐々にかつ連続的に変化した場合には、目視では色調むらを認識できない。このような色調ムラの発生形態に着目して、前記明度や光沢度などの光学特性と目視観察による色調ムラの評価結果を対応付けることにより、亜鉛めっき鋼板の表面に、30mm間隔で任意の2点をとった場合、この2点間の平均傾斜勾配の差がめっき付着量(g/m2)/10000 (度)以内、及び、この2点間の光沢度の差が15以内という具体的な数値基準を満足すれば、色調ムラが発生しないことが判明した。
亜鉛めっき浴は、Znを主成分とし、Fe及びAlを含む。Alは硬い合金層の形成を抑制するために添加される。Alを添加しない場合、鋼板上のFeとZnが合金化反応を起こし、非常に硬い合金相を形成する。硬い合金層が厚く成長すると加工時にめっき層が剥離しやすくなるので、通常のラインではこのような合金層の発達を抑制するために、めっき浴中にAlを少量(製品により異なるが 0.2%程度)添加する。溶融亜鉛めっき形成時、亜鉛ポットに侵入した鋼板の最表面にはZn層ではなく、Fe−AlもしくはFe−Al−Zn層が形成されるが、このときに形成されるAlの濃度差が低減していると色調ムラが発生しないことも判明した。Alの濃度差が大きいと、Fe−Al層、Fe−Zn層、Fe−Al−Znが混在した複雑な構造をとり、2相、3相成分が複雑になるため、表面性状が乱れる。また、Al濃度が異なるとZnの粘度も異なり、その結果、同じ速度でめっき浴から引き上げても固まる速度が異なるため、表面性状に影響を与える。
めっき層と鋼板との界面の直上のめっき層部において30μm 間隔で任意の2点をとった場合、この2点間でのAlの濃度差が3.5 質量%(重量%)以内にあれば、色調ムラは外観上わからないレベルとなる。このAl濃度ムラを低減するには、亜鉛めっきポット内のアルミ濃度を十分管理することが重要であるが、実際は操業上制御が難しい。そのため、ラインスピードを早くし、鋼板が亜鉛ポット内に存在している時間を出来るだけ短縮するのが望ましい。具体的には、めっき付着量などの条件で異なるが、一般的にラインスピードは80m/分以上とすることが望ましく、更に100 m/分以上とすることが望ましい。但し、上限は150 m/分とすることが望ましい。それは、ラインスピードが150 m/分を超えると、鋼板の振動が激しくなるため、振動に起因する表面ムラが発生してしまうからである。
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、めっき付着量:250g/m2 未満の溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、溶融めっき浴から引上げ速度:100 〜150 m/分で鋼帯を引き上げると共に、溶融亜鉛めっき浴から引き上げられる鋼帯から25mm以下の間隔をもってワイピングガスノズルを配置し、該ワイピングガスノズルから前記鋼帯の表面に、ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧力(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 のガス圧力で、ワイピングガスを吹き付けることを特徴とするものとした〔第2発明〕。この製造方法によれば、生産性の低下を招くことなく、ムラのない美麗な外観を有して表面肌に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
ここで、溶融亜鉛めっき浴から引き上げられる鋼帯からワイピングノズルまでの距離は25mm以下であるが、この25mm以下において小さいほど良い。ただし、実際はある程度鋼板が振動する(ぶれる)、もしくは、万が一ワイピングノズルと鋼板が接触すると、表面疵が発生するので、実際は1〜3mm程度は離す必要がある。
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関し、主にガスワイピング条件に関する数値限定理由等について、以下説明する。
溶融めっき鋼板の表面に発生するムラの発生メカニズムは明確になっていないが、ワイピングガスの吹き付けにより鋼帯の振動が生じ、また、めっき層の不規則な湯流れのために発生するといわれている。また、鋼−溶融亜鉛めっき層界面の初期Fe−Al、Fe−Al−Zn層内にAl濃度ムラがあると、その場所で色調ムラが発生しやすいことが実験データとしてある。しかし、それ以外に、溶融めっき浴の低い流動性、めっき表面に生成する酸化皮膜、鋼帯と板の距離や形状によるガスの乱流等が原因に挙げられる。そこで、ガスワイピング条件がムラの発生に及ぼす影響を調査・研究した。その結果、ワイピングガス圧力(以下、ワイピングガス圧ともいう)が重要な影響を及ぼしていることがわかった。
このワイピングガス圧に関し、これは低い方がムラ発生が収まることがわかったが、所望の目付量を得るためにはラインスピードに応じてある程度のワイピングガス圧が必要である。ワイピングガス圧力(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 でなければ、ムラが発生するが、ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧力(kg/cm2)でないと所望の目付量が得られないことになる。また、ワイピングガス圧力(kg/cm2)>ラインスピード(m/分)×0.008 とする場合、ラインスピード(m/分)を低くせざるを得ず、生産性が低下するので、生産性向上の観点からも望ましくない。また、ラインスピードが遅いと、溶融めっき金属は未だ流動性の高い状態にあり、表面ムラの発生原因にもなり、また、溶融状態の表面に不均一な酸化皮膜が生成し、これもムラの一因となる。従って、ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧力(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 とする。
溶融亜鉛めっき浴から引き上げられる鋼帯とワイピングガスノズルとの距離(間隔)に関しては、これが大きい方が制御上操作しやすい等の利点があるが、吹き付けられたワイピングガスが乱流となるため、表面ムラが発生しやすくなる。かかるワイピングガスの乱流化は、鋼帯からワイピングノズルまでの距離(間隔)を25mm以下に設定することにより抑制される。従って、溶融亜鉛めっき浴から引き上げられる鋼帯からワイピングノズルまでの距離は25mm以下とする。このとき、ワイピングノズルまでの距離は25mm以下で、小さいほど良い。ただし、実際はある程度鋼板が振動する(ぶれる)、もしくは、万が一ワイピングノズルと鋼板が接触すると、表面疵が発生するので、実際は1〜3mm程度は離す必要がある。このような短いノズル距離(鋼帯とワイピングガスノズルとの距離)、それに伴う低めのワイピングガス圧は、溶融めっきから引き上げる鋼帯の張力の調整、ラインスピードの調整、板の形状を良くすることなどにより、実現することができる。
このように鋼帯に近接配置されたワイピングノズルを使用するとき、鋼帯の表面にワイピングガスが均等に吹き付けられ、溶融めっき金属が均一にワイピングされる。
溶融めっき浴からの鋼帯の引上げ速度に関しては、これが100 m/分以上の場合、ムラが発生し難い。100 m/分未満の場合は、ワイピングまでの時間が長くなり、溶融めっき金属の表面に生成する酸化皮膜が厚く成長するため、ムラが発生し易くなる。また、100 m/分よりも遅い引上げ速度では、溶融めっき浴から持ち上げられた溶融めっき金属が鋼帯の表面に沿って溶融めっき浴に流下する割合いが多く、付着量のばらつきも発生しやすい。溶融めっき浴の温度は、鋼帯に付着する溶融めっき金属の流動性に影響を及ぼしているものと考えられる。引上げ速度が100 m/分以上の場合、ムラが低減する。通常のめっき条件では特に問題はないが、溶融めっき浴が440 ℃未満の低い温度になると溶融めっき金属の流動性が低下し、めっき層にムラが発生し易くなる。
ラインスピードが150 m/分を超えると、鋼板の振動が激しくなるため、振動に起因する表面ムラが発生する可能性がある。このラインスピードは溶融めっき浴からの鋼帯の引上げ速度と同一の速度である。
従って、溶融めっき浴からの鋼帯の引上げ速度は、100 〜150 m/分とする。即ち、溶融めっき浴から引上げ速度:100 〜150 m/分で鋼帯を引き上げるようにする。
なお、本発明において、めっき原板(溶融亜鉛めっき鋼板の基材の鋼板)としては、特に制限はなく、種々の鋼板を用いることができ、例えば、Alキルド鋼、極低炭素鋼、弱脱酸鋼板、高強度鋼、ステンレス鋼、あるいは、Si,Mn,P等を添加した高張力鋼よりなる鋼板を用いることができる。また、ステンレス鋼帯等では、溶融めっき性を向上させるためにFe系、Ni系のプレめっき等の前処理を施すこともできる。
本発明において、溶融亜鉛めっき鋼板の表面において30mm間隔で任意の2点をとる場合の2点の方向は、溶融亜鉛めっき鋼板の幅方向および/または長さ方向(ライン方向)を対象とする。このような2点間での平均傾斜勾配の差がめっき付着量(g/m2)/10000 (度)以内にあることとは、めっき付着量(g/m2)をA(g/m2)とし、A/10000 をBとすると、B(度)以内にあることをいう。例えば、めっき付着量(g/m2)が80g/m2である場合、80/10000 =0.008 (度)以内にあることをいう。
鋼−めっき層界面(めっき層と鋼板との界面)の直上のめっき層部において30μm 間隔で任意の2点をとる場合の2点の方向は、溶融亜鉛めっき鋼板の幅方向および/または長さ方向(ライン方向)を対象とする。鋼−めっき層界面の直上のめっき層部とは、鋼板表面に初期に形成されるAl含有層(Fe−Al層やFe−Al−Zn層等)を含むめっき層部のことである。これは、数値的には、場合により異なるので、一概には定め難いが、通常、鋼−めっき層界面からめっき層厚み方向で数十μm 〜数百μm 上方位置までに在るめっき層部が相当する。即ち、このめっき層部の厚みは、通常、数十μm 〜数百μm であり、例えば、30μm である。この30μm の厚みの場合、鋼−めっき層界面から30μm までの領域のめっき層部が鋼−めっき層界面の直上のめっき層部に相当する。
ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧力(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 のガス圧力とは、ラインスピードをS(m/分)とすると、0.004 S〜0.008 S(即ち、0.004 S以上0.008 S以下)のワイピングガス圧力(kg/cm2)のことである。例えば、ラインスピードが100 m/分である場合、0.004 ×100 =0.4 (kg/cm2)以上、0.008 ×100 =0.8 (kg/cm2)以下の値のワイピングガス圧力(即ち、0.4 〜0.8kg/cm2 のワイピングガス圧力)のことである。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
板厚0.8mm 、板幅1545mmの冷延鋼帯を溶融めっき浴に送り込み、80g/m2目付け狙いで(めっき付着量の目標値を80g/m2として)溶融めっきを施した。このとき、溶融めっき浴としては、Zn−0.17重量%(質量%)Al浴を使用し、460 ℃に保持した。そして、ワイピング条件、ライン速度を種々変更し、溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。
このようにして得られた溶融亜鉛めっき鋼板について目視による外観観察により外観ムラの有無を調べた。
また、このようにして得られた溶融亜鉛めっき鋼板から、長さ1500mmのサンプル鋼板を切断し、このサンプル鋼板から、その幅方向に中心間隔が30mmで、直径30mmの円板状サンプルを全幅にわたって切り出した。この円板状サンプルについて、JIS Z8741(60度鏡面光沢法)に規定された方法によって光沢度を、色調測定装置〔日本電色(株)製「SZS−Σ90」〕を用いて測定した。また、各円板状サンプルの中心部の5mm×5mmの範囲を平均傾斜勾配測定装置(小坂研究所製「SE3500E」)を用いて幅方向に走査し、平均傾斜勾配を求め、これを円板状サンプルの中心部における平均傾斜勾配とした。
次に、上記測定により求められた光沢度および平均傾斜勾配に基づき、切り出し前は隣り合って位置していた二つの円板状サンプルについて、それぞれ測定した光沢度の差および平均傾斜勾配の差を算出した。このように、光沢度の差および平均傾斜勾配の差を隣り合う二つのサンプルについて算出したのは、ムラを目視で認識することができるのが、正常領域とムラ領域の境界部分において、光沢度などの光学特性が急激に変化している場合に限られるために、隣り合うサンプルを比較の対象とする必要があることによる。なお、光沢度差および平均傾斜勾配差については、鋼板の全幅にわたって30mmの中心間隔で切り出した円板状の隣り合って位置したサンプル測定値の最大値をもって測定結果とした。即ち、前記算出された光沢度の差の値の中、最大値を30mm離れた任意の2点間での光沢度の差として採用し、前記算出された平均傾斜勾配の差の値の中、最大値を30mm離れた任意の2点間での平均傾斜勾配の差として採用した。
一方、鋼−めっき層界面(めっき層と鋼板との界面)の直上のめっき層部で30μm 離れた任意の2点間でのAlの濃度差を求めるために、前記サンプル鋼板からサンプルを切り出し、樹脂埋めを行った後、X線マイクロアナリシス(EPMA)にて、鋼−めっき層界面の直上のめっき層部のAl濃度を測定した。このとき、サンプルごとに30μm 間隔での測定を5点以上行い、それらのAl濃度差の最大値をもって測定値とした。即ち、上記30μm 間隔での測定により求められたAl濃度差の値(5点)の中、最大値を鋼−めっき層界面直上のめっき層部で30μm 離れた任意の2点間でのAl濃度差として採用した。
更に、めっき付着量を確認するために、前記サンプル鋼板からサンプルを切り出し、JIS G 3302の「溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯の蛍光X線によるめっき付着量試験方法」により、めっき付着量を測定した。
これらの調査や測定の結果を、溶融亜鉛めっき鋼板の製造の際のライン速度およびワイピング条件〔ワイピングガス圧力(ガス圧)、めっき浴から引き上げられる鋼帯とワイピングガスノズルとの間の距離(ノズル距離)〕と共に、表1に示す。
No.1の場合、溶融亜鉛めっき鋼板の製造に際し、ラインスピード:100 m/min 、ワイピングガス圧:0.4 kg/cm2としているので、ラインスピード(m/min )×0.004 =100 ×0.004 =0.4 、ラインスピード(m/min )×0.008 =100 ×0.008 =0.8 であり、従って、ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 という条件を満たしている。また、ノズル距離(めっき浴から引き上げられる鋼帯とワイピングガスノズルとの間の距離):11mmであるので、ノズル距離:25mm以下(即ち、めっき浴から引き上げられる鋼帯から25mm以下の間隔をもってワイピングガスノズルを配置)という条件を満たしている。従って、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法の要件を満たしている。即ち、No.1の場合に係る製造方法は、本発明の実施例に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に相当する。
また、No.1の場合、製造されて得られた溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき付着量:80g/m2であるので、めっき付着量:250g/m2 未満という条件を満たしている。めっき付着量(g/m2)/10000 =80/10000 =0.008 (度)であり、平均傾斜勾配の差の最大値が0.005 であるので、溶融亜鉛めっき鋼板の表面において30mm離れた任意の2点間での平均傾斜勾配の差:めっき付着量(g/m2)/10000 (度)以内という条件を満たしている。また、光沢度の差の最大値が7であるので、溶融亜鉛めっき鋼板の表面において30mm離れた任意の2点間での光沢度の差:15以内という条件を満たしている。さらに、Al濃度差の最大値が0.7 %(質量%)であるので、鋼−めっき層界面直上のめっき層部で30μm 離れた任意の2点間でのAl濃度差:3.5 質量%(重量%)以内という条件を満たしている。従って、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の要件を満たしている。即ち、No.1の場合に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、本発明の実施例に係る溶融亜鉛めっき鋼板に相当する。
No.2〜12の場合、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法の要件を満たしている。即ち、No.2〜12の場合に係る製造方法は、本発明の実施例に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に相当する。また、No.2〜12の場合、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の要件を満たしている。即ち、No.2〜12の場合に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、本発明の実施例に係る溶融亜鉛めっき鋼板に相当する。
これに対し、No.13 〜15の場合、ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 という条件を満たしておらず、No.15 の場合、ノズル距離:25mm以下という条件をも満たしていないので、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法の要件を満たしていない。即ち、No.13 〜15の場合に係る製造方法は、比較例に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に相当する。
また、No.13 〜15の場合、溶融亜鉛めっき鋼板の表面において30mm離れた任意の2点間での平均傾斜勾配の差:めっき付着量(g/m2)/10000 (度)以内という条件および溶融亜鉛めっき鋼板の表面において30mm離れた任意の2点間での光沢度の差:15以内という条件を満たしておらず、No.13 〜14の場合、鋼−めっき層界面直上のめっき層部で30μm 離れた任意の2点間でのAl濃度差:3.5 質量%(重量%)以内という条件も満たしていないので、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の要件を満たしていない。即ち、No.13 〜15の場合に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、比較例に係る溶融亜鉛めっき鋼板に相当する。
表1の外観ムラの欄において×は目視による外観観察により外観ムラが認められたことを示し、○は目視による外観観察により外観ムラが認められなかったことを示すものである。表1からわかるように、比較例に係る溶融亜鉛めっき鋼板(No.13 〜15)は、目視観察で×(外観ムラ有り)であり、外観ムラが認められた。
これに対し、本発明の実施例に係る溶融亜鉛めっき鋼板(No.1〜12)は、いずれも目視観察で○(外観ムラ無し)であり、外観ムラが認められず、表面肌に優れている。
表1から、本発明の実施例に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、上記のように表面肌に優れた本発明の実施例に係る溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができることもわかる。
Figure 2005298947
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車用などの外装材の用途においても使用できる表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板であるので、自動車用などの外装材として好適に用いることができる。本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、生産性の低下を招くことなく、自動車用などの外装材の用途においても使用できる表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができるので、このような溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法としての産業上の利用可能性がある。

Claims (2)

  1. めっき付着量:250g/m2 未満の溶融亜鉛めっき鋼板であって、その表面において30mm間隔で任意の2点をとった場合、該2点間での平均傾斜勾配の差がめっき付着量(g/m2)/10000 (度)以内にあると共に該2点間での光沢度の差が15以内にあり、かつ、めっき層と鋼板との界面の直上のめっき層部において30μm 間隔で任意の2点をとった場合、該2点間でのAlの濃度差が3.5 質量%以内にあることを特徴とする表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. めっき付着量:250g/m2 未満の溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、溶融めっき浴から引上げ速度:100 〜150 m/分で鋼帯を引き上げると共に、溶融亜鉛めっき浴から引き上げられる鋼帯から25mm以下の間隔をもってワイピングガスノズルを配置し、該ワイピングガスノズルから前記鋼帯の表面に、ラインスピード(m/分)×0.004 ≦ワイピングガス圧力(kg/cm2)≦ラインスピード(m/分)×0.008 のガス圧力で、ワイピングガスを吹き付けることを特徴とする表面肌の優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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