JP2005298899A - 樹脂成形体に対する無電解めっき用前処理方法 - Google Patents

樹脂成形体に対する無電解めっき用前処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自自動車部品等として使用し得る十分な性能を有する樹脂成形体に対して、クロム酸などの重金属を含む酸によるエッチング処理を行うことなく、高い密着性を有するめっき皮膜を形成可能な方法を提供する。
【解決手段】ポリアミド系樹脂及びスチレン系樹脂を含む樹脂成分から形成された樹脂成形体を、pH8以上のアルカリ性水溶液に接触させた後、無機酸を含有する水溶液に接触させることを特徴とする樹脂成形体に対する無電解めっき用前処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂成形体に対する無電解めっき用前処理方法及び無電解めっき方法に関する。
近年、自動車を軽量化する目的等から、自動車部品として樹脂成形体が使用されている。この様な目的では、ABS樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂成形体が用いられており、該樹脂成形体には、高級感や美観を付与するため、銅、ニッケル等のめっきが施されることが多い。
従来、ABS樹脂等の成形体にめっきを施す場合、樹脂成形体とめっき層との密着強度を高めるために、脱脂工程の後に樹脂成形体を粗面化するエッチング処理が行われている。エッチング処理方法としては、三酸化クロムと硫酸の混合液からなるクロム酸混液を用い、65〜70℃程度の浴中に10〜15分程度浸漬する方法が代表的な方法である(例えば、下記非特許文献1参照)。
しかしながら、この様な従来の処理方法では、有毒な6価クロムを用いるために作業環境が悪く、しかも、廃水を安全に処理するために、6価クロムを3価クロムイオンに還元した後、中和沈殿させる処理を行うことが必要であり、非常に煩雑な処理が要求される。
このため、現場での作業時の安全性や廃水による環境への影響を考慮すると、クロム酸を使用したエッチング処理を行わないことが望ましいが、その場合には、ABS樹脂等からなる樹脂成形体に対してめっき層の密着強度を十分に高めることは困難である。
林忠夫, 松岡政夫, 縄舟秀美;電気鍍金研究会編「無電解めっき−基礎と応用」、日刊工業新聞社(1994)、pp.133
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、自自動車部品等として使用し得る十分な性能を有する樹脂成形体に対して、クロム酸などの重金属を含む酸によるエッチング処理を行うことなく、高い密着性を有するめっき皮膜を形成可能な方法を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、ポリアミド系樹脂とスチレン系樹脂を樹脂成分とする成形体に対して、pH8以上のアルカリ性水溶液による前処理と無機酸を含有する水溶液による前処理を順次行うことによって、重金属を含む酸によるエッチング処理を行うことなく、密着性に優れた無電解めっき皮膜を形成することが可能となることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の樹脂成形体の無電解めっき用前処理方法及び無電解めっき方法を提供するものである。
1. ポリアミド系樹脂及びスチレン系樹脂を含む樹脂成分から形成された樹脂成形体を、pH8以上のアルカリ性水溶液に接触させた後、無機酸を含有する水溶液に接触させることを特徴とする樹脂成形体に対する無電解めっき用前処理方法。
2. アルカリ性水溶液が、リン酸塩、ケイ酸塩、水酸化物及び炭酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を10〜200g/l含有する水溶液であり、無機酸を含有する水溶液が、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、亜硫酸、亜硝酸、亜リン酸、亜ホウ酸、過酸化水素、過塩素酸及び過酸化窒素からなる群から選択された少なくとも一種の成分を5〜500g/l含有する水溶液である上記項1に記載の方法。
3. 液温40〜80℃程度のアルカリ性水溶液中に被めっき物を3〜8分間浸漬した後、液温20〜50℃程度の無機酸を含有する水溶液中に被めっき物を1〜3分間浸漬することを特徴とする上記項1又は2に記載の方法。
4. 上記項1〜3のいずれかの方法によって樹脂成形体に対して前処理を行った後、無電解めっき用触媒を付与し、次いで、無電解めっき処理を行うことを特徴とする、樹脂成形体に対する無電解めっき方法。

以下、本発明について、具体的に説明する。
樹脂成形体
無電解めっきの対象となる樹脂成形体は、ポリアミド系樹脂とスチレン系樹脂を含む樹脂成分を用いて得られる成形体である。この様な特定の樹脂成分からなる樹脂成形体は、自動車部品等として使用するための十分な機械的特性を有するものであって、本発明の前処理方法を適用することによって、優れた外観を有し、且つ高い密着強度を有する無電解めっき皮膜を形成することができる。
ポリアミド系樹脂としては、特に限定的ではなく、公知のポリアミド系樹脂を用いることができる。
例えば、ジアミンとジカルボン酸とから形成されるポリアミド樹脂、これらの原料を共重合して得られる共重合体等を用いることができる。このようなポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン66、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカナミド(ナイロン6・12)、ポリドデカメチレンドデカナミド(ナイロン1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)等の各種ポリアミド樹脂を挙げることができる。これらの単量体成分を用いて得られる共重合体として、ナイロン6/66、6T成分が50モル%以下であるナイロン66/6T(6T:ポリヘキサメチレンテレフタラミド)、6I成分が50モル%以下であるナイロン66/6I(6I:ポリヘキサメチレンイソフタラミド)、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/6I/610等を挙げることができる。
更に、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミド(ナイロンM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)イソフタルアミド(ナイロンM5I)等や、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/M5T等の共重合体を用いることもできる。そのほかアモルファスナイロンのような共重合ナイロンを用いても良い。アモルファスナイロンとしてはテレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合物等を挙げることができる。
更に、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、これらの成分を用いた共重合体等も用いることができる。具体的には、ナイロン6、ポリ−ω−ウンデカナミド(ナイロン11)、ポリ−ω−ドデカナミド(ナイロン12)等の脂肪族ポリアミド樹脂を用いることができる。これらの原料を用いた共重合体やこれらの原料と、ジアミン、ジカルボン酸とからなるポリアミドとの共重合体:例えば、ナイロン6T/6、ナイロン6T/11、ナイロン6T/12、ナイロン6T/6I/12、ナイロン6T/6I/610/12等も用いることができる。
更に、上記した各種ポリアミド樹脂の混合物も用いることができる。
スチレン系樹脂としては、スチレン;α置換、核置換スチレン等のスチレン誘導体等を単量体成分とする重合体を挙げることができる。また、これら単量体を主成分として、これらと、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸等のビニル化合物;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン化合物等の他の単量体とから構成される共重合体もスチレン系樹脂として用いることができる。
スチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリレート共重合体(MS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)等を挙げることができる。
また、ポリスチレン系樹脂として、ポリアミド系樹脂との相溶性をあげるためにカルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重合体を用いても良い。カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重合体は、ゴム質重合体の存在下に、カルボキシル基含有不飽和化合物及び必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を重合してなる共重合体である。
この成分を具体的に例示すると、1)カルボキシル基含有不飽和化合物を共重合したゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニルモノマーを必須成分とする単量体あるいは芳香族ビニルとカルボキシル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を重合して得られたグラフト重合体、2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニルとカルボキシル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を共重合して得られたグラフト共重合体、3)カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されていないゴム強化スチレン系樹脂と、カルボキシル基含有不飽和化合物と芳香族ビニルとを必須成分とする単量体の共重合体との混合物、4)上記1),2)とカルボキシル基含有不飽和化合物と芳香族ビニルとを必須とする共重合体との混合物、5)上記1)、2)、3)、4)と芳香族ビニルを必須成分とする共重合体との混合物等がある。
上記1)〜5)において、芳香族ビニルとしてはスチレンが好ましく、また芳香族ビニルと共重合する単量体としてはアクリロニトリルが好ましい。カルボキシル基含有不飽和化合物は、スチレン系樹脂中、好ましくは0.1〜8質量%程度であり、より好ましくは0.2〜7質量%程度である。
ポリアミド系樹脂とスチレン系樹脂を含む樹脂成分を用いて得られる樹脂成形体では、樹脂成形体中のポリアミド系樹脂の含有量は、好ましくは90〜10質量%程度、より好ましくは80〜20質量%程度、更に好ましくは70〜30質量%程度であり、スチレン系樹脂の含有量は、好ましくは10〜90質量%程度、より好ましくは20〜80質量%程度、更に好ましくは30〜70質量%程度である。
本発明の処理対象とする樹脂成形体は、上記したポリアミド系樹脂とスチレン系樹脂を含む樹脂成分を用いて得られるものであれば良い。該成形体を得るための成形方法については、特に限定されず、射出成形などの公知の方法に従って得られたものを用いることができる。成形体の形状などについても特に限定はなく、用途に応じて適宜選択することができる。特に、本発明の処理対象とする樹脂成形体は、バンパー、エンブレム、ホイルキャップ、内装部品、外装部品等の自動車部品用途として好適に用いることができる。
前処理方法
本発明の前処理方法では、まず、被めっき物である樹脂成形体をpH8程度以上、好ましくはpH10程度以上のアルカリ性水溶液に接触させる。具体的な方法については、特に限定はなく、被めっき物の表面をアルカリ性水溶液に十分接触させることができる方法であれば良い。例えば、アルカリ性水溶液を被めっき物に噴霧する方法等も適用可能であるが、通常は、アルカリ性水溶液中に被めっき物を浸漬する方法によれば、効率の良い処理が可能である。
アルカリ性水溶液としては、具体的には、リン酸塩、ケイ酸塩、水酸化物、炭酸塩等を含有する水溶液を用いることができる。これらの成分は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。特に、良好な密着性を有するめっき皮膜を形成できる点から、リン酸塩を含有する水溶液が好ましい。
リン酸塩、ケイ酸塩、水酸化物及び炭酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分の濃度は、10〜200g/l程度であることが好ましく、50〜100g/l程度であることがより好ましい。これらの成分の濃度が高くなりすぎると、無電解めっきの析出性の悪影響を及ぼす場合があり、一方濃度が低すぎると十分な密着強度が得られないので好ましくない。
リン酸の具体例としては、リン酸アンモニウム、リン酸エステル、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸鉄、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル、リン酸ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸マグネシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム等を挙げることができ、ケイ酸塩の具体例としては、ケイ酸ナトリウム等を挙げることができ、水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等を挙げることができ、炭酸塩の具体例としては、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。
アルカリ性水溶液による処理の条件については、特に限定的ではないが、浸漬による処理を行う場合には、液温40〜80℃程度のアルカリ性水溶液中に被めっき物を3〜8分間程度浸漬することが好ましい。処理液温度が低すぎる場合や、処理時間が短すぎる場合には、無電解めっき皮膜の十分な密着強度が得られないので好ましくない。
本発明では、上記した方法で被めっき物をアルカリ性水溶液に接触させた後、無機酸を含有する水溶液に接触させる。この場合の処理方法についても特に限定はなく、被めっき物の表面を無機酸を含有する水溶液に十分に接触させることができる方法であれば良い。例えば、噴霧などの方法も適用可能であるが、通常は、無機酸を含有する水溶液中に被めっき物を浸漬する方法によれば、効率の良い処理が可能である。
無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、亜硫酸、亜硝酸、亜リン酸、亜ホウ酸、過酸化水素、過塩素酸、過酸化窒素等を用いることができる。これらの無機酸は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。これらの内で、特に、塩酸が好ましい。
無機酸の濃度は、特に限定的ではないが、通常、5〜500g/l程度とすることが好ましく、50〜150g/l程度とすることがより好ましい。無機酸の濃度が低すぎると十分な効果を得ることができず、一方、無機酸の濃度が高すぎると無電解めっきの析出性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。
無機酸を含有する水溶液による処理条件については、特に限定的ではないが、浸漬による処理を行う場合には、液温20〜50℃程度の処理液中に被めっき物を1〜3分間程度浸漬することが好ましい。
処理液温度が低すぎる場合や処理時間が短すぎる場合には、無電解めっき皮膜の十分な密着強度が得られないので好ましくない。一方、処理温度が高すぎる場合や、処理時間が長過ぎると、無電解めっきの析出性に悪影響を与える場合があるので好ましくない。
めっき方法
上記した方法で前処理を行った後、常法に従って無電解めっき用触媒を付与して、無電解めっき処理を行う。
(1)触媒付与方法:
無電解めっき用触媒の付与方法については、特に限定はなく、パラジウム、銀、ルテニウム等の無電解めっき用触媒を公知の方法に従って付与すればよい。パラジウム触媒の付与方法としては、例えば、いわゆる、センシタイジング−アクチべーティング法、キャタライジング法などと称される方法が代表的な方法である。
これらの方法の内で、センシタイジング−アクチべーティング法は、塩化第一錫と塩酸を含む水溶液で感受性化処理(センジタイジング)を行った後、塩化パラジウム等のパラジウム塩を含む水溶液を用いて活性化(アクチベーティング)する方法である。また、キャタライジング法は、塩化パラジウムと塩化第一錫を含む混合コロイド溶液によって被めっき物を触媒化処理(キャタライジング)した後、硫酸水溶液、塩酸水溶液等を用いて活性化する方法である。これらの方法の具体的な処理方法、処理条件等については、公知の方法に従えばよい。
(2)めっき方法:
無電解めっき液としては、公知の自己触媒型無電解めっき液をいずれも用いることができる。この様な無電解めっき液としては、無電解ニッケルめっき液、無電解銅めっき液、無電解コバルトめっき液、無電解ニッケル−コバルト合金めっき液、無電解金めっき液等を例示できる。
無電解めっきの条件についても、公知の方法と同様とすればよい。また、必要に応じて、無電解めっき皮膜を二層以上形成しても良い。
更に、無電解めっき後、電気めっきを行っても良い。この場合、無電解めっきの後、必要に応じて、酸、アルカリ等の水溶液によって活性化処理を行い、その後、電気めっきを行えばよい。電気めっき液の種類についても特に限定はなく、公知の電気めっき液から目的に応じて適宜選択すればよい。
上記した方法によってめっき皮膜を形成した樹脂成形体では、めっき皮膜の密着強度が高く、更に、無機酸によるエッチング処理を行っていないために、外観も良好である。
本発明方法によって前処理を行った後めっき皮膜を形成した樹脂成形体は、その使用目的に応じて、めっき層の種類、膜厚などを適宜選択することによって、各種用途に適用することができる。特に、バンパー、エンブレム、ホイルキャップ、内装部品、外装部品等の自動車用部品として好適に用いることができる。
本発明方法によれば、下記の様な顕著な効果が奏される。
(1)クロム酸などの有害性の高い処理液を用いること無く、比較的安全性の高い処理液を用いて前処理を行うことによって、高い密着性を有するめっき皮膜を形成することができる。
(2)ポリアミド系樹脂とスチレン系樹脂を含有する特定の樹脂成分からなる成形体は、機械的強度等に優れたものであり、自動車部品等の用途に使用するための十分な性能を有するものである。
(3)樹脂表面がほとんどエッチングされていないために、めっき皮膜を形成した成形体は、外観が良好である。
(4)クロム酸などの有害性の高い重金属成分を含む処理液を用いないので、廃水処理が容易であり、重金属による環境汚染がなく、作業環境も良好である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜13
ポリアミド系樹脂60質量%及びスチレン系樹脂40質量%からなる樹脂成分から得られた成形体(表面積1dm2)を被めっき物として、下記の方法によってめっき処理を行った。
まず、下記表1に示す各組成のアルカリ性水溶液(液温55℃)を処理液として用い、処理液中に被めっき物を5分間浸漬した。次いで、被めっき物を水洗した後、下記表1に示す各組成の無機酸水溶液(浴温20℃)中に被めっき物を浸漬した。浸漬時間は、下記表1に示す通りである。
次いで、塩化パラジウム3g/l、塩化第一錫20g/l、及び35%塩酸150g/lを含有する液温30℃の触媒溶液に被めっき物を3分間浸漬した。その後、水洗を行い、98%硫酸を120g/l含有する水溶液(液温40℃)中に3分間浸漬した。次いで、水洗を行い、水酸化ナトリウムを10g/l含有する水溶液(液温40℃)中に被めっき物を2分間浸漬した。
その後、硫酸ニッケル10g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/l、クエン酸20g/l及び塩化アンモニウム5g/lを含有する無電解ニッケルめっき液中に液温40℃で10分間浸漬して、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。
一方、比較例1〜7として、実施例と同じ被めっき物に対して、アルカリ性水溶液と無機酸水溶液による前処理に代えて、下記表2に示すクロム酸―硫酸混液を用いてエッチング処理を行った。その後、実施例1と同様にして、無電解めっき用触媒を付与し、無電解ニッケルめっき皮膜を形成した。
Figure 2005298899
Figure 2005298899
以上の方法で形成された各無電解ニッケルめっき皮膜の被覆率、外観および密着性を下記の方法によって評価した。
(1)被覆率:
被めっき物表面の無電解ニッケルめっき皮膜が形成された面積の割合を被覆率とする。試験片の全面が被覆された場合を被覆率100%とする。
(2)外観:
めっき皮膜の外観を目視で評価した。
(3)密着性試験:
めっき皮膜の表面に粘着テープを貼り付けた後、テープをめっき面に対して垂直に引っ張った場合のめっき皮膜の剥離の有無を調べた。

更に、無電解めっき皮膜を形成した試験片について、硫酸銅めっき浴を用いて、電流密度3A/dm2、温度25℃で電気めっき処理を120分間を行い、銅めっき皮膜を形成した。この様にして得られた試料について、80℃で120分間乾燥させ、室温になるまで放置した後、めっき皮膜に10mm幅の切り目を入れ、引張り試験器((株)島津製作所製、オートグラフSD−100−C)を用いて、樹脂に対して垂直にめっき皮膜を引張り、ピール強度を測定した。
以上の試験結果を下記表3に示す。
Figure 2005298899
以上の結果から明らかなように、無電解ニッケルめっきの前処理として、アルカリ性水溶液に浸漬した後無機酸水溶液に浸漬する処理を行って得られた各試料については、試料表面の全面に良好な外観の無電解ニッケルめっき皮膜が形成されており、めっき皮膜のピール強度は全て1kgf/cm以上であり、良好な密着性を有するものであった。
これに対して、クロム酸―硫酸混液を用いてエッチング処理を行って得られた試料については、エッチング条件を各種変化させても、めっき皮膜の被覆率が非常に低く良好な無電解めっき皮膜を形成することができなかった。従って、ポリアミド系樹脂及びスチレン系樹脂を含む樹脂成分から形成された成形体への無電解めっきの前処理としては、クロム酸―硫酸混液を用いたエッチング処理は不適切であると判断できた。

Claims (4)

  1. ポリアミド系樹脂及びスチレン系樹脂を含む樹脂成分から形成された樹脂成形体を、pH8以上のアルカリ性水溶液に接触させた後、無機酸を含有する水溶液に接触させることを特徴とする樹脂成形体に対する無電解めっき用前処理方法。
  2. アルカリ性水溶液が、リン酸塩、ケイ酸塩、水酸化物及び炭酸塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を10〜200g/l含有する水溶液であり、無機酸を含有する水溶液が、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、亜硫酸、亜硝酸、亜リン酸、亜ホウ酸、過酸化水素、過塩素酸及び過酸化窒素からなる群から選択された少なくとも一種の成分を5〜500g/l含有する水溶液である請求項1に記載の方法。
  3. 液温40〜80℃程度のアルカリ性水溶液中に被めっき物を3〜8分間浸漬した後、液温20〜50℃程度の無機酸を含有する水溶液中に被めっき物を1〜3分間浸漬することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法によって樹脂成形体に対して前処理を行った後、無電解めっき用触媒を付与し、次いで、無電解めっき処理を行うことを特徴とする、樹脂成形体に対する無電解めっき方法。


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