JP2005298606A - 硬化性シロキサン系組成物 - Google Patents
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Abstract
コーティング材料、耐熱材料、光学材料、絶縁材料等として有用な、特に耐熱性に優れた硬化物を与えるシロキサン系硬化性組成物を提供する。
【解決手段】
(A) (a1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(a2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるアルケニル基の数が平均2個未満であるシロキサン化合物、
(B) (b1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(b2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、アルケニル基を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が平均2個未満であるシロキサン化合物、および
(C) ヒドロシリル化反応触媒
を含む硬化性シロキサン系組成物。
【選択図】 なし
Description
即ち、本発明は、
(A) (a1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(a2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるアルケニル基の数が平均2個未満であるシロキサン化合物、
(B) (b1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(b2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、アルケニル基を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が平均2個未満であるシロキサン化合物、および
(C) ヒドロシリル化反応触媒
を含む硬化性シロキサン系組成物を提供するものである。
[(A)成分]
本発明組成物の(A)成分は、(a1)ケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH」ということがある)を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(a2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるアルケニル基の数が平均2個未満、好ましくは平均1未満であり、特に好ましくはアルケニル基を有しないシロキサン化合物である。
上記(a1)成分としては、例えば、下記一般式(1):
(式中、R1およびR2は独立に水素原子;またはアルケニル基以外の、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12、好ましくは1〜6の一価炭化水素基であり、rは2〜10、好ましくは2〜8の整数であり、sは0〜7、好ましくは0〜2の整数であり、かつr+sの和は3〜10、好ましくは3〜6の整数である。)
で表される環状シロキサン化合物が挙げられる。
この(a1)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(a2)成分としては、例えば、下記一般式(2):
(式中、R3およびR4は独立に非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12、好ましくは1〜6の一価炭化水素基であり、但し、R3およびR4のうち少なくともいずれかはアルケニル基であり、R5は独立にアルケニル基以外の、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12、好ましくは1〜6の一価炭化水素基であり、tは2〜10、好ましくは2〜8の整数であり、uは0〜7、好ましくは0〜2の整数であり、かつt+uの和は3〜10、好ましくは3〜6の整数である。)
で表される環状シロキサン化合物が挙げられる。
が挙げられる。これらの中で、アルケニル基としては特にビニル基が、また、アルケニル基以外の基としては特にメチル基が好ましい。
この(a2)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明組成物の(A)成分は、上記(a1)および(a2)成分を、上記(a1)成分中のSiHのモル数が、上記(a2)成分中のアルケニル基のモル数に対して、過剰となるように調整し、後記ヒドロシリル化反応触媒の存在下で付加反応させることにより調製することができる。
具体的には、上記(a1)成分中のSiHの量が、上記(a2)成分中のアルケニル基1モルに対して、通常、2.0〜10.0モル、好ましくは 4.0〜8.0モルとなる量とするのがよい。
(A)成分として、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。なお、以下、「Me」はメチル基を意味する。
本発明組成物の(B)成分は、(b1)SiHを1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(b2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、アルケニル基を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるSiHの数が平均2個未満、好ましくは平均1未満であり、特に好ましくはSiHを有しないシロキサン化合物である。
上記(b1)成分としては、例えば、上記(a1)成分について記載した上記一般式(1)で表されるものを挙げることができる。これらの中では、特に、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
この(b1)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、(b1)成分は、上記(a1)成分と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記(b2)成分としては、例えば、上記(a2)成分について記載した上記一般式(2)で表されるものを挙げることができる。これらの中では、特に、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。
この(b2)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、(b2)成分は、上記(a2)成分と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明組成物の(B)成分は、上記(b1)および(b2)成分を、上記(b2)成分中のアルケニル基のモル数が、上記(b1)成分中のSiHのモル数に対して、過剰となるように調整し、後記ヒドロシリル化反応触媒の存在下で付加反応させることにより調製することができる。
具体的には、上記(b2)成分中のアルケニル基の量が、上記(a1)成分中のSiH1モルに対して、通常、2.0〜10.0モル、好ましくは 4.0〜8.0モルとなる量とするのがよい。
(B)成分として、例えば、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。なお、以下、「Vi」はビニル基を意味する。
挙げられる。
上記(A)成分と(B)成分と後記の任意配合成分である(D)SiHまたはアルケニル基含有成分を含め、組成物中に含まれるSiHの合計が、同じく組成物中に含まれるアルケニル基の合計1モル当り、通常、0.3〜3.0モル、好ましくは 0.6〜1.5モルとなる量とするのがよい。前記範囲内の配合量とすることで、コーティング材料等の用途に必要とされる充分な硬度を有する硬化物を得ることができる。
本発明の(C)成分であるヒドロシリル化反応触媒としては、従来から公知のものが全て使用することができる。例えば、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、ビス(アセチルアセトナト)白金:Pt{-OCMe=CH(CO)Me}2 等の白金系触媒;パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属系触媒が挙げられる。
本発明組成物に、上記(A)〜(C)成分に加えて、必要に応じ、更に他の成分を配合することは任意である。
但し、(D)SiHおよび/またはビニル基等のアルケニル基を含有する、上記オルガノポリシロキサン類および/またはシランカプリング剤を使用する場合には、組成物中に含まれるSiHの内、該(D)成分中のSiHの占める割合が、通常、70モル%以下、好ましくは50モル%以下とし、かつ、組成物中に含まれるアルケニル基の内、該(D)成分中のアルケニル基の占める割合が70モル%以下、好ましくは50モル%以下となるようにするのがよい。
攪拌装置、冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた 500mLの4つ口フラスコに、トルエン150gおよび 1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン 144g(0.6モル)を加え、オイルバスを用いて 80℃に加熱した。これに、5重量%の白金金属を担持したカーボン粉末 0.05g添加し、攪拌しながら1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン 34.4g(0.1モル)を60分間かけて滴下した。滴下終了後、更に95℃で加熱攪拌を5時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、トルエン及び低分子量の揮発成分を減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物 115g(粘度(25℃):770mPa・s)を得た。
(2) 4個のシクロテトラシロキサン環(a1)と、1個のシクロテトラシロキサン環(a2)とを有する付加生成物:約21.5モル%、
(3) 6個のシクロテトラシロキサン環(a1)と、2個のシクロテトラシロキサン環(a2)とを有する付加生成物:約16.2モル%、
(4) 10個のシクロテトラシロキサン環(a1)と、3個のシクロテトラシロキサン環(a2)とを有する付加生成物:約10.4モル%、
(5) 13個のシクロテトラシロキサン環(a1)と、4個のシクロテトラシロキサン環(a2)とを有する付加生成物:約9.9モル%、および
(6) 13個を越える数のシクロテトラシロキサン環(a1)と、4個を超える数のシクロテトラシロキサン環(a2)とを有する付加生成物:(合計)約23.6モル%
の混合物であることが判明した。
冷却管、滴下ロートおよび温度計を備えた 500mLの4つ口フラスコに、トルエン150gおよび 1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン 206g(0.6モル)を加え、オイルバスを用いて80℃に加熱した。これに、5重量%の白金金属を担持したカーボン粉末 0.05g添加し、攪拌しながら1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン24g(0.1モル)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、更に95℃で加熱攪拌を 5時間行った後、室温まで冷却した。その後、白金金属担持カーボンをろ過して除去し、トルエン及び低分子量の揮発成分を減圧留去して、無色透明なオイル状の反応生成物 110g(粘度(25℃):7660mPa・s)を得た。
(2) 1個の 1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンに由来するシクロテトラシロキサン環(b1)と、3個の 1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンに由来するシクロテトラシロキサン環(b2)とを有する付加生成物:約10.6モル%、
(3) 1個のシクロテトラシロキサン環(b1)と、4個のシクロテトラシロキサン環(b2)とを有する付加生成物:約13.9モル%、
(4) 2個のシクロテトラシロキサン環(b1)と、6個のシクロテトラシロキサン環(b2)とを有する付加生成物:約9.2モル%、
(5) 2個のシクロテトラシロキサン環(b1)と、7個のシクロテトラシロキサン環(b2)とを有する付加生成物:約8.8モル%、
(6) 3個のシクロテトラシロキサン環(b1)と、10個のシクロテトラシロキサン環(b2)とを有する付加生成物:約13.0モル%、
および、
(7)3個を越える数のシクロテトラシロキサン環(b1)と、10個を越える数のシクロテトラシロキサン環(b2)とを有する付加生成物:(合計)約22.8モル%
の混合物であることが判明した。
(A)成分:50質量部、(B)成分:50質量部(なお、[(A)+(B)中のSiH]/[(B)+(A)中のビニル基](モル比)=1.36)、(C)白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:(A)および(B)との合計に対して、白金金属原子として、質量基準で 20 ppm、並びに 1-エチニルシクロヘキサノール:0.03質量部を均一に混合して組成物を得た。この組成物を、アルミニウム板にバーコーター#14を用いて塗布した後、150℃で2時間加熱して硬化物(厚さ:30μm)で被覆されたアルミニウム板を得た。
(なお、以下、「SiH/Vi」は「SiH/ビニル基(モル比)」を意味する。)
(A)成分を46質量部、および(B)成分を54質量部(なお、SiH/Vi=0.87)用いること以外は、実施例1と同じにして、組成物を得て、また、該組成物の硬化物で被覆されたアルミニウム板を得た。
(A)成分を42質量部、および(B)成分を58質量部(なお、SiH/Vi=1.01)用いること以外は、実施例1と同じにして、組成物を得て、また、該組成物の硬化物で被覆されたアルミニウム板を得た。
(A)成分を42質量部、(B)成分を58質量部用いること、
(D)ビニルトリメトキシシラン:1質量部(該(D)中のビニル基/[(B)+(A)+(D)中のビニル基](モル%)=2%)
を追加して用いること(なお、[(A)+(B)中のSiH]/[(B)+(A)+(D)中のビニル基](モル比)=0.97)、および
(C)白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体:(A),(B)および(D)との合計に対して、白金金属原子として、質量基準で 20 ppm
を用いること以外は、実施例1と同じにして、組成物を得て、また、該組成物の硬化物で被覆されたアルミニウム板を得た。
メチル系シリコーンレジンであるKR-240(商品名:信越化学工業社製)を実施例1に記載の組成物に代えて用い、実施例1と同じにして、前記レジンの硬化物で被覆されたアルミニウム板を得た。
フェニル系シリコーンレジンであるKR-311(商品名:信越化学工業社製)を実施例1に記載の組成物に代えて用い、実施例1と同じにして、前記レジンの硬化物で被覆されたアルミニウム板を得た。
上記各実施例および比較例で得られたアルミニウム板について、下記手法に従い、性能を評価した。
アルミニウム板上の硬化物の外観および亀裂(クラック)の有無を目視により観察した。観察結果を表1に示す。
JIS K-5600-5-6 に準じて、アルミニウム板上の硬化物の被膜に1mm間隔で切れ目をいれて、碁盤目状のマス(1mm×1mm、計100個)を形成させた。次いで、セロファンテープを密着させた後、剥離した。板面から剥がれずに残存しているマス数を数えた。初期のマス数(100個)とともに、表1に示す。
アルミニウム板から硬化物を剥がした。硬化物を秤量して、その10mgを試料とした。熱重量分析計(TGA,理学電気社製;TG8120)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度:10℃/分の測定条件で、連続的に試料の重量減少を記録した。該記録結果から、初期の試料重量(10mg)を基準として、1%の重量減少時の温度、および5%の重量減少時の温度を読み取った。その結果を表1に示す。
比較例との対比から明らかなように、実施例の硬化物は、特に耐熱性に優れたものである。また、その被膜は、良好な外観を呈するものであるとともに、シランカップリング剤を配合した組成物から得られたものは、密着性についても良好である。
Claims (6)
- (A) (a1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(a2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるアルケニル基の数が平均2個未満であるシロキサン化合物、
(B) (b1)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物と、(b2)アルケニル基を1分子中に2個以上有する環状シロキサン化合物との付加反応生成物であって、かつ、アルケニル基を1分子中に平均2個以上有し、1分子中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の数が平均2個未満であるシロキサン化合物、および
(C) ヒドロシリル化反応触媒
を含む硬化性シロキサン系組成物。 - 請求項1に係る硬化性シロキサン系組成物であって、前記(a1)、(b1)またはこれら両者が 1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンである、上記組成物。
- 請求項1または2に係る硬化性シロキサン系組成物であって、前記(a2)、(b2)またはこれら両者が 1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンである、上記組成物。
- 請求項1〜3の何れか1項に係る硬化性シロキサン系組成物であって、前記(A)が、白金担持カーボン触媒の存在下で、前記(a1)と(a2)とを付加反応させた生成物である、上記組成物。
- 請求項1〜4の何れか1項に係る硬化性シロキサン系組成物であって、前記(B)が、白金担持カーボン触媒の存在下で、前記(b1)と(b2)とを付加反応させた生成物である、上記組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項に係る硬化性シロキサン系組成物であって、組成物中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の量が、組成物中に含まれるアルケニル基1モル当り、0.3〜3.0モルであり、但し、組成物中に含まれるケイ素原子に結合した水素原子の内、前記(A)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の占める割合が30モル%以上であり、かつ、組成物中に含まれるアルケニル基の内、前記(B)成分中のアルケニル基の占める割合が30モル%以上である、上記組成物。
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