JP2005297837A - 安全タイヤ用空気のう - Google Patents

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Abstract

【課題】気密薄膜層の適正化を図ることにより軽量化及び長寿命化を達成した安全タイヤ用空気のうを提供する。
【解決手段】中空円管状の安全タイヤ用空気のう1は、タイヤ2に収納されて安全タイヤ3を形成する。安全タイヤ3をリム4に装着し、所定の内圧を適用した気体充填状態では少なくともタイヤ内面5と空気のう1との間には空間部S1が形成され、安全タイヤ3の内圧が低下したランフラット状態ではタイヤ内圧の低下に伴って空気のう1が拡径変形して荷重の支持をタイヤ2から肩代わりする。空気のう1は、ゴムからなる単一材料及び/又はゴムと繊維からなる複合材料で構成されるゴム補強体6を有し、このゴム補強体6の外面7及び内面8の少なくとも一方に気体不透過性の樹脂で構成される気密薄膜層9を有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、タイヤに収納され、タイヤに所定の内圧を適用した気体充填状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧が低下するランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうに関し、特にかかる空気のうの軽量化及び長寿命化を図る。
パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行が可能である安全タイヤとしては、補強チューブ、補強ゴム、補強ベルト等の補強部材、又は発泡体、弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支持させるタイヤや、シーラント剤を塗布又は充填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞いで内圧低下を防止したタイヤ等が知られている。しかし、これら従来の安全タイヤは、製造方法が複雑になる上、装着時の取扱いに難点がある場合が多かった。
かかる問題を解消するため、安全タイヤの内部に収容されて、タイヤの内圧が低下するランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の空気のう及びこれを用いた安全タイヤが提案されている(特許文献1及び2参照)。しかし、これらの空気のうは、ゴムと繊維からなる複合材料等で構成されたゴム補強体の内面に、気体不透過性のゴムで構成されたチューブを配設するので、タイヤの著しい重量増加を招く。また、ゴム補強体の外面には保護層がなく剥き出しの状態であるので、タイヤの内部空間に充填された気体に含まれる酸素によりゴム補強体を構成する被覆ゴムが劣化し、ゴム補強体の破断伸度が著しく低下する。このように破断伸度が低下したゴム補強体では、タイヤの内圧が低下してランフラット状態になると、ある程度の拡径変形はするもののタイヤの内面に達する前にゴム補強体が破断に至るおそれがある。
また、気体入りタイヤのインナーライナーは通常気体不透過性のゴムで構成されているが、かかるインナーライナーに代えて気体不透過性の樹脂で構成されるフィルムを用いることにより、タイヤ内圧の保持性を損なうことなく軽量化を達成したタイヤも提案されている(特許文献3参照)。しかし、タイヤは負荷転動時に繰返し大きく屈曲変形するので、かかるフィルムをタイヤに適用するとタイヤの内面ゴムとフィルムとの伸縮率の相違から剥離や破損をしやすいため、かかるフィルムの適用は困難であった。
特開2003−136923号公報 特開2003−159914号公報 特開2002−46410号公報
したがって、この発明の目的は、気密薄膜層の適正化を図ることにより軽量化及び長寿命化を達成した安全タイヤ用空気のうを提供することにある。
上記の目的を達成するため、この発明は、タイヤに収納され、タイヤに所定の内圧を適用した気体充填状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧が低下するランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、該空気のうは、ゴムからなる単一材料及び/又はゴムと繊維からなる複合材料で構成されるゴム補強体を有し、このゴム補強体の外面及び内面の少なくとも一方に気体不透過性の樹脂で構成される気密薄膜層を有することを特徴とする安全タイヤ用空気のうである。
ここで「所定の内圧」とは、JATMA、TRA、ETRTO等の、タイヤが製造、販売、又は使用される地域において有効な工業基準、規格等に規定され、負荷能力に応じて特定される気体圧をいうものとする。
また、気密薄膜層は少なくともゴム補強体の外面に設けられ、この外面に設けられた気密薄膜層は伸張率及び/又は伸張後の収縮率がゴム補強体のそれに比べて小さいことが好ましい。ここで「伸張率」とは、幅2.5cmの試料片を破断するまで伸張した際の破断時の長さを測定し、伸張前の長さに対する百分率で表した値をいうものとし、「伸張後の収縮率」とは、幅2.5cmの試料片を100%伸張させた状態で60分間保持し、試料片に加えていた力を取り除いた後の試料片の長さを測定し、伸張前の長さに対する百分率で表した値をいうものとする。
さらに、気密薄膜層は少なくともゴム補強体の外面に設けられ、この外面に設けられた気密薄膜層は、タイヤ内面への接触によって損傷する物性を有することが好ましい。より詳細には、JIS P8116(エルメンドルフ引裂強度)に従って測定した値が20kg/cm以下であることが好ましい。
さらにまた、気密薄膜層の気体不透過性は、酸素透過係数にして6.65×10−8cm・cm/cm・s・Pa以下であることが好ましい。ここで「酸素透過係数」とはJIS K7126−1987に従って測定された値をいうものとする。
加えて、気密薄膜層は1.0mm以下の厚さを有することが好ましい。
また、気密薄膜層は、空気のうの加硫成型時の破断伸度が20%以上であることが好ましい。ここで「破断伸度」とはJIS K6301−1995に従って測定された値をいうものとする。
さらに、気密薄膜層は加硫前の生ゴムに対する密着力が生ゴム同士の密着力よりも小さいことが好ましい。ここで「密着力」とは、JIS K6256に従って測定されたはく離強さの値をいうものとする。
この発明によれば、気密薄膜層の適正化を図ることにより、軽量化及び長寿命化を達成した安全タイヤ用空気のうを提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のうを収容した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を適用した状態で示す幅方向断面図であり、図2は図1に示す安全タイヤのランフラット状態の幅方向断面図であり、図3(a)〜(c)はこの発明に従う種々の安全タイヤ用空気のうの幅方向断面図である。
安全タイヤ用空気のう1は、タイヤ2に収納されて安全タイヤ3を形成している。この安全タイヤ3をリム4に装着し、タイヤ2に所定の内圧を適用すると同時に、空気のう1に大気圧よりも高い内圧、好ましくはタイヤの所定の内圧±20%の内圧を適用し、気体充填状態にする。この状態では、図1に示すように、タイヤ内面5と空気のう1との間には空間部S1が形成され、空気のう1の内部には空間S2が形成される。一方、パンク等により安全タイヤ3の内圧が低下したランフラット状態となると、図2に示すように、タイヤ内圧の低下に伴って空気のう1が拡径変形して最終的にはタイヤ2の内面5に達し、荷重の支持をタイヤ2から肩代わりする。
そして、この発明の構成上の主な特徴は、空気のう1が、ゴムからなる単一材料及び/又はゴムと繊維からなる複合材料で構成されるゴム補強体6を有し、このゴム補強体6の外面7及び内面8の少なくとも一方に気体不透過性の樹脂で構成される気密薄膜層9を有することにある。例えば、図1ではゴム補強体6の外面7に気密薄膜層9を設けた場合を示してあるが、図3(a)に示すようにゴム補強体6の内面8、又は図3(b)に示すようにゴム補強体6の外面7及び内面8の両方に設けてもよい。
従来の空気のうにおいては、空気のうの内圧を保持するために、ゴム補強体の内面に、気体不透過性のゴム、例えばブチルゴムからなるチューブを内面に配設しているが、かかるゴムは厚みを薄くすると気体不透過性も低下することから、内圧を保持するために必要とされる最小限の厚みが自ずと決まり、これが空気のうの軽量化の大きな障害となっていた。そこで発明者は、気体不透過性の樹脂が気体不透過性のゴムに比べて厚みを非常に薄くしても同等の気体不透過性を発揮することに着目し、チューブの代わりに、気体不透過性の樹脂で構成される気密薄膜層9をゴム補強体6の外面7及び内面8の少なくとも一方に気密薄膜層9を配設すれば、チューブと同等の気体不透過性が得られる気密薄膜層9の厚みは、チューブに比べて大幅に薄くすることができ、その結果、空気のうを軽量化できるとの着想を得た。ここで、前記のとおり、タイヤは負荷転動時に大きく屈曲変形するので、かかる気密薄膜層9をタイヤに適用することは困難であるが、空気のうであればタイヤのように大きく屈曲変形することがなく剥離や破損を起こすおそれがないことから、適用可能であることを見出した。
また、空気のうを用いた安全タイヤにおいては、タイヤの寿命末期に至るまで空気のうが拡径変形可能であることが要求されるが、従来の空気のうは、ゴム補強体の内面にしか気体不透過性のチューブが存在しなかったため、タイヤの内部に充填した気体に含まれる酸素によりゴム補強体を構成する外面ゴムが劣化し、破断伸度が著しく低下して、タイヤの寿命よりも空気のうの寿命が短くなるという問題があった。これを防止するためには、タイヤに窒素等の不活性ガスを充填することも考えられるが、窒素ガスは比較的高価である上に、窒素ガス充填に対応可能な施設が限られるため、利便性に劣る。そこで発明者は、気体不透過性の樹脂で構成された気密薄膜層で酸素と接触する可能性のあるゴム補強体の表面を覆えば、タイヤ及び/又は空気のうの内部に充填した気体に含まれる酸素とゴム補強体が直接接触するのを防止できる結果、酸素によるゴム補強体の劣化を抑制することができ、空気のうの長寿命化を図ることができることを見出し、この発明を完成させるに至ったのである。
図1、図3(a)及び図3(b)に示すように、ゴム補強体6の内面8に配設されるチューブの全部を気密薄膜層9に置換し、空気のう1をゴム補強体6と気密薄膜層9のみで構成すれば、空気のうの大幅な軽量化が図られ、加えて従来の空気のうで必要としていたチューブとゴム補強体の2段階の加硫がゴム補強体のみの1回の加硫で済むため、生産性が大幅に向上する上、チューブの形状に合わせてゴム補強体を成型する必要がなくなるため、空気のうの形状の自由度が大幅に増加する。なお、外面ゴムのみの劣化を防止する場合には、図3(c)に示すように、気密薄膜層9と気体不透過性チューブ10を併用してもよい。
また、気密薄膜層9は少なくともゴム補強体6の外面7に設けられ、この外面7に設けられた気密薄膜層9は伸張率及び/又は伸張後の収縮率がゴム補強体6のそれに比べて小さいことが好ましい。空気のうは、タイヤの空気が大幅に低下するのに伴って弾性限界を越えて拡張すると通常の使用域での弾性率が著しく低下するので、再使用することはできない。しかし、弾性限界を越えて拡張した空気のうは、外径が若干増加するものの外観上は弾性限界を越えていない空気のうと区別することが困難であり、このため誤って再使用されるおそれがあった。また、外径を測定して弾性限界を越えた拡張の有無を判別することは、測定が煩雑となる上、判定の基準が曖昧であり、誤使用を有効に防止することができなかった。これに対し、外面7に設けられた気密薄膜層9の伸張率をゴム補強体6のそれに比べて小さくすれば、空気のう1が弾性限界を越えて拡張する間に、外面7に設けられた気密薄膜層9には多数の割れが発生する。また、伸張後の収縮率をゴム補強体6の収縮率に比べて小さくすれば、空気のう1が弾性限界を越えて拡張した後に収縮すると、ゴム補強体6はもとの外径と略同径に復元するが、気密薄膜層9はもとの外径よりも大径となる結果、外面7に設けられた気密薄膜層9には多数の皺が発生する。この割れや皺の発生を判別の基準とすれば、目視により簡便かつ正確に弾性限界を越えた空気のうの拡張の有無を判別することが可能となる。図4は、伸張後の収縮率がゴム補強体6よりも小さい気密薄膜層9を有する空気のうの要部を示したものであり、図4(a)が正常内圧状態、図4(b)が空気が抜けて気密薄膜層9が伸張した状態、図4(c)が伸張後に気密薄膜層9が収縮した状態をそれぞれ示す。なお、気密薄膜層9の伸張率は5〜20%の範囲であることが好ましく、伸張後の収縮率は5〜20%の範囲であることが好ましい。
さらに、気密薄膜層9は少なくともゴム補強体6の外面7に設けられ、この外面7に設けられた気密薄膜層9は、タイヤ内面5への接触によって損傷する物性を有することが好ましい。かかる構成を採用することによっても、目視により簡便かつ正確に弾性限界を越えた空気のうの拡張の有無を判別することが容易となるからである。かかる物性を有する材料としては例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。
さらにまた、気密薄膜層9の気体不透過性は、酸素透過係数にして6.65×10−8cm・cm/cm・s・Pa以下であることが好ましい。酸素透過係数が6.65×10−8cm・cm/cm・s・Paより大きい場合には、気密薄膜層9を透過する酸素量が多くなり、経時的に空気のうの内圧が低下し、使用寿命にわたって所望の内圧を保持することが困難となる上、ゴム補強体に到達する酸素量も多くなり、酸素によりゴム補強体が劣化して空気のうの寿命が短くなるおそれがあるからである。なお、内圧を保持する観点からは、気密薄膜層9の窒素透過係数が5.0×10−9cm・cm/cm・s・Pa以下であることが好ましい。
加えて、気密薄膜層9は1.0mm以下の厚さを有することが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1mmである。このように気密薄膜層9を薄層化することによって、空気のう1をより一層軽量化することが可能となるからである。この場合には、内圧保持性の維持とゴム補強体の劣化防止の観点から、酸素透過度が6.65×10−9cm/cm・s・Pa以下の材料で気密薄膜層を構成することが好ましく、かかる材料としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のナイロン系樹脂、ポリアクリロニトリル等のポリニトリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリビニル系樹脂、及びポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を例示できる。
加えてまた、気密薄膜層9は空気のう1の加硫成型時の破断伸度が20%以上であることが好ましい。空気のう1を加硫成型する際には通常20%程度の径成長が生じるため、気密薄膜層9がこの径成長に追従することができなければ加硫成型後の気密薄膜層には破損が発生し、この破損部から気体が流出して空気のうの内圧を保持できなくなったり、ゴム補強体の劣化を招いたりするおそれがあるからである。
また、気密薄膜層9は加硫前の生ゴムに対する密着力が生ゴム同士の密着力よりも小さいことが好ましい。図5(a)〜(d)に示すように、空気のう1は生ゴムを含むシート状部材を円管状に成形して形成されるが、生ゴムを含むシート状部材は互いに密着しやすく、成形前のシート状部材をスタックして貯蔵するために、従来は表面に密着防止のため密着防止剤を塗布していた。しかし、かかる密着防止剤は、実際に接合する場合に完全に除去できず、その一部が接着すべき界面にまでこの密着防止剤が侵入することにより、接着不良が散発するという問題があった。これに対し、気密薄膜層の加硫前の密着性を生ゴムよりも低くすれば、密着性の低い気密薄膜層9を介してシート状部材が積層されているので、密着防止剤を使用しなくてもシート状部材同士の剥離が容易となり、また、図5(c)に示すように、中空円管状の空気のうを形成する部分に、シート状部材の端部の気密薄膜層9を容易にはがすことができ、その後、図5(d)に示すように、シート状部材のゴム部分同士で接合させることができ、これによって成形後の接着不良を防止することができる。
気密薄膜層をゴム補強体の外面及び内面の少なくとも一方に配置する方法は特に限定されるわけではないが、例えばフィルム状の気密薄膜層を接着剤によってゴム補強体に貼りつけてもよく、またゴム補強体に圧着処理してもよい。また、ゴム補強体に気体不透過性の樹脂をラミネートして気密薄膜層を形成してもよい。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
次に、この発明に従う空気のうを試作し、性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例1〜3の空気のうは、タイヤサイズが315/60R22.5の安全タイヤ用の空気のうであり、それぞれ図3(a)〜(c)に断面を示すように、気密薄膜層をゴム補強体の内面のみ(実施例1)、外面及び内面(実施例2)又は外面のみ(実施例3)に有する。また、実施例1〜3に用いたゴム補強体は、伸張後の収縮率が2%であり、気密薄膜層は、伸張後の収縮率が10%であり、タイヤ内面への接触によって損傷する物性を有しており、酸素透過係数が6.65×10−8cm3・cm/cm2・s・Paであり、厚さが0.01mmであり、破断伸度が200%である。さらに、実施例3の空気のうのゴム補強体の内面には厚さが5mmであり、ブチルゴムからなる気体不透過性のチューブを配設した。
比較のため、タイヤサイズが315/60R22.5の安全タイヤ用の空気のうであり、実施例1〜3と同じゴム補強体の内面に、厚さが5mmであり、ブチルゴムからなる気体不透過性のチューブを配設した空気のう(比較例)についても併せて試作した。
前記各供試空気のうに対し、次の各項目の評価を行った。
1.空気のうの重量測定
前記各供試空気のうの重量を測定した。この評価結果を表1に示す。
2.空気のうの内圧保持率
前記各供試空気のうをタイヤに収容し、リムサイズが9.0×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とし、タイヤには900kPa(相対圧)の酸素を充填し、空気のうには950kPa(相対圧)の酸素を充填した後、室温を60℃に保った恒温室に保管した。保管1ヵ月後にタイヤ車輪を取り出し、空気のうの内圧を測定し、この測定値から内圧保持率を評価した。この評価結果を表1に示す。
3.空気のうの寿命
前記各供試空気のうの新品時及びタイヤ車輪に組み込んで上記と同一の条件で恒温室に1ヶ月保管した後の破断伸度を、JIS K6301−1995に従って測定し、新品時の破断伸度に対する保管後の破断伸度の比により寿命を評価した。この評価結果を表1に示す。
4.拡径変形した使用済み空気のうの視認性
前記各供試空気のうをタイヤ車輪に組み込んで上記と同一の条件で恒温室に1ヶ月保管した後、タイヤのバルブコアを抜き、ランフラット状態にした。この状態で30分間放置した後、今度は空気のうのバルブコアも抜き、空気のうをタイヤ車輪から取り出し、その表面を目視観察して、拡径変形した使用済み空気のうの視認性を評価した。この評価結果を表1に示す。
なお、表1中の重量及び内圧保持率はいずれも従来例の評価結果を100としたときの指数比で示してあり、重量は数値が小さいほど、内圧保持率は数値が大きいほどそれぞれ性能が優れている。また、寿命は数値が大きいほど優れており、70以下になるとランフラット走行時に十分に拡径変形することができなくなり、寿命に達する。
Figure 2005297837
表1に示す評価結果から、実施例1の空気のうは、拡径変形した使用済み空気のうの視認性は得られないものの、比較例に比べて重量、内圧保持率及び寿命に優れていることが分かる。また、実施例2の空気のうは従来例の空気のうに比べて、重量、内圧保持率、寿命及び拡径変形した使用済み空気のうの視認性の全てにおいて優れていることが分かる。さらに、実施例3の空気のうは従来例の空気のうに比べて、重量は同等でありながら、内圧保持率、寿命及び拡径変形した使用済み空気のうの視認性に優れていることが分かる。したがって、気体不透過性チューブの厚さを、内圧保持率が従来例の空気のうと同等となるまで薄くすれば、従来例の空気のうよりも重量及び寿命に優れた空気のうが得られることが分かる。
この発明により、気密薄膜層の適正化を図って軽量化及び長寿命化を達成した安全タイヤ用空気のうを提供することが可能となった。
この発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のうを収容した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を適用した状態で示す幅方向断面図である。 図1に示す安全タイヤのランフラット状態の幅方向断面図である。 (a)〜(c)はこの発明に従う種々の安全タイヤ用空気のうの幅方向断面図である。 伸張後の収縮率がゴム補強体よりも小さい気密薄膜層を有する空気のうの要部を示したものであり、(a)が正常内圧状態、(b)が空気が抜けて気密薄膜層が伸張した状態、(c)が伸張後に気密薄膜層が収縮した状態をそれぞれ示す。 (a)〜(d)はシート状部材を円管状に成形して空気のうを形成する手順を示す。
符号の説明
1 空気のう
2 タイヤ
3 安全タイヤ
4 リム
5 タイヤ内面
6 ゴム補強体
7 ゴム補強体の内面
8 ゴム補強体の外面
9 気密薄膜層
10 気体不透過性チューブ

Claims (7)

  1. タイヤに収納され、タイヤに所定の内圧を適用した気体充填状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧が低下するランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうにおいて、
    該空気のうは、ゴムからなる単一材料及び/又はゴムと繊維からなる複合材料で構成されるゴム補強体を有し、このゴム補強体の外面及び内面の少なくとも一方に気体不透過性の樹脂で構成される気密薄膜層を有することを特徴とする安全タイヤ用空気のう。
  2. 気密薄膜層は少なくともゴム補強体の外面に設けられ、この外面に設けられた気密薄膜層は伸張率及び/又は伸張後の収縮率がゴム補強体のそれに比べて小さい、請求項1に記載の空気のう。
  3. 気密薄膜層は少なくともゴム補強体の外面に設けられ、この外面に設けられた気密薄膜層は、タイヤ内面への接触によって損傷する物性を有する、請求項1又は2に記載の空気のう。
  4. 前記気密薄膜層の気体不透過性は、酸素透過係数にして6.65×10−8cm・cm/cm・s・Pa(20℃、RH65%)以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気のう。
  5. 前記気密薄膜層は1.0mm以下の厚さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気のう。
  6. 前記気密薄膜層は、空気のうの加硫成型時の破断伸度が20%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気のう。
  7. 前記気密薄膜層は加硫前の生ゴムに対する密着力が生ゴム同士の密着力よりも小さい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気のう。
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