JP2005297404A - 印刷機模擬装置、印刷機模擬方法、及び印刷機模擬処理プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 印刷機のインキ膜厚を精度よく予測し、プリセット、プレインキング、及び刷り減らしのための印刷機の最適制御を実現することが可能な印刷機模擬装置、印刷機模擬方法、及び印刷機模擬処理プログラム等を提供する。
【解決手段】 印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、当該印刷機における各部分で転移されるインキの膜厚を算出する印刷機模擬装置において、予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出するインキ膜厚算出手段を備え、前記インキ膜厚算出手段は、複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】 印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、当該印刷機における各部分で転移されるインキの膜厚を算出する印刷機模擬装置において、予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出するインキ膜厚算出手段を備え、前記インキ膜厚算出手段は、複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、オフセット印刷機におけるインキキー、複数のローラ、印刷版、及びブランケット等の動作を模擬し、当該印刷機における各部分で転移されるインキの膜厚を予測する装置及び方法等の技術分野に関する。
オフセット印刷機は、一般に、インキキー、複数のローラ、印刷版、及びブランケットなどを備えて構成されている。また、複数のローラとしては、インキ出しローラ(元ローラ)、インキ移しローラ(呼出しローラ)、インキ練りローラ、及びインキ着けローラ(フォームローラ)等の数多くのローラ(回転体)がある。
インキ出しローラは、インキ壺内からインキを導き出すものであり、当該インキ出しローラ(ローラ外周面)上に供給されるインキ供給量は、印刷幅方向に分割されたインキキーと当該インキ出しローラとの隙間の開度(キー開度)により決定される。
インキ移しローラは、インキ出しローラとインキ練りローラに交互に接しインキ出しローラからインキ練りローラに断続的(間欠的)にインキを供給(転移)するようになっている。
また、インキ出しローラの回転速度は、インキキーとの摩擦を減らす為や必要以上のインキが供給されない様に、インキ練りローラに比べて回転速度が遅くなっているが、インキ移しローラのこのような動作によって周速差のある2つのローラ間の摩擦熱を押さえつつ、インキをインキ練りローラにスムーズに転移することが可能となる。
インキ練りローラは、複数配列されており、断続的に供給(転移)されてくるインキ膜厚を平潤化するとともに、当該インキを練り、インキの流動性を保つものである。また、インキ練りローラの幾つかは、揺動ローラとして、軸方向に往復運動するようになっている。こうして、インキはインキ練りローラ間を転移していき、最終的にインキ着けローラに転移される。
インキ着けローラは、印刷版に接しており、当該版面にインキを供給(転移)するようになっており、版面に転移されたインキはブランケットに転移され、最後に当該ブランケットから例えば、紙等の印刷基板上にインキが転移されて印刷が行われる。
通常のオフセット印刷機では、印刷幅方向のインキ供給量を制御して、印刷画像の各領域の濃度を調整している。また、印刷画像に応じ、各領域ごとに必要なインキ量は異なるため、インキキー幅の領域(キーゾーン)ごとにインキ供給を行っている。
ところで、オフセット印刷機には多数のローラが存在するため、インキ供給量の調整が直ぐに紙面濃度に反映されない。このため、インキ供給量の初期設定(プリセット)が適切でないと、印刷開始時の濃度調整に時間がかかり、大量の損紙が発生するという問題が生じることになる。
このような問題を解決するため、従来から、(i)印刷絵柄の網点面積率値から予め印刷幅方向のインキ供給量を決めるプリセット技術、(ii)印刷開始前に、ローラを空転動作させ、インキ供給によりローラ配列内に必要インキ量を供給するプレインキング技術、(iii)印刷終了時のインキ供給を先に停止し、ローラ配列内の過剰インキを減らす刷り減らし技術、などのオフセット印刷のインキ供給制御に関する技術が知られている。
しかしながら、例えば、プリセット技術においては、キーゾーンごとの面積率を基本に、インキ出しローラの回転速度及びキー開度とインキ膜厚との関係、インキ膜厚と光学濃度等の非線形などを考慮してプリセットを得ているが、かかるプリセットは、揺動ローラの往復運動、インキ移しローラの断続的なインキ供給(転移)、及び2つのローラの接点であるニップにおけるインキ転移を考慮しているわけではなく、実際には、複雑なインキフローを形成しているオフセット印刷機内部挙動をおおまかに近似しているに過ぎない。このため、例えば、プリセットが適切ではなく、目標と異なるインキ膜厚や面内不均一を引き起こし、大量の損紙を発生させる場合がある。
同様に、プレインキングや刷り減らし技術においても、上記2つのローラの接点であるニップにおけるインキ転移等を考慮しておらず、インキ膜厚の経時的な変化(ダイナミックな変化)を精度良く計算しているわけではない。このため、プレインキングや刷り減らしを行っても、誤差が大きく、目標インキ膜厚を得るまで時間がかかり、大量の損紙を発生させる場合がある。
特許文献1には、上記問題を解決するべく、オフセット印刷機内のインキ供給動作をシミュレートし、これにより、最小限の損紙で迅速かつ信頼できるプレインキ供給及びインキキープリセットの予測を可能にするインキキープリセットシステムが開示されている。
特開2002−19082号公報
このようなインキキープリセットシステムにおいては、インキの量は、進入するローラ経路からニップに進入するインキ膜を合計することによりインキの質量として計算され、合計された質量を、プリセットされた分割比に従って、ニップを規定した2つのローラ間で分割するようになっている。
しかしながら、当該インキキープリセットシステムにおいては、複数の各ローラ間におけるニップ毎にインキの分割比(転移率)等を変化させることは考慮されていない。従って、インキ供給動作のシミュレートによる予測精度にも自ずと限界がある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、印刷機のインキ膜厚を精度よく予測し、プリセット、プレインキング、及び刷り減らしのための印刷機の最適制御を実現することが可能な印刷機模擬装置、印刷機模擬方法、及び印刷機模擬処理プログラム等を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、当該印刷機における各部分で転移されるインキの膜厚を算出する印刷機模擬装置において、予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出するインキ膜厚算出手段を備え、前記インキ膜厚算出手段は、複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷機模擬装置において、前記異なるインキ転移モデルでは、前記ニップを通過するインキ量が規制されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の印刷機模擬装置において、前記少なくとも一つのニップは、前記印刷機の下流側のローラ間のニップであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、前記インキ膜厚算出手段により算出されたインキの膜厚に基づいて、最適なインキ供給プリセット量を算出することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、前記インキ膜厚算出手段により算出されたインキの膜厚に基づいて、最適な刷り減らし印刷枚数を算出することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、前記インキ膜厚算出手段により算出されたインキの膜厚に基づいて、最適なプレインキング空転回数を算出することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、前記算出されたインキ供給プリセット量、刷り減らし枚数、及びプレインキング空転回数のうち少なくても何れか一つに関する情報を通信手段を介して印刷機に送信する送信手段を備えることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、コンピュータにより、印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出する印刷機模擬方法であって、複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項9に記載の印刷機模擬方法において、前記印刷機にて印刷する予定の今回印刷絵柄に関する最適な今回インキ膜厚を算出する工程と、前記印刷機にて直前に印刷された前回印刷絵柄における前回インキ膜厚を求める工程と、前記前回インキ膜厚の状態から刷り減らし処理を実行し、前記前回インキ膜厚が前記今回膜厚以下になったときの刷り減らし枚数及び刷り減らし後のインキ膜厚を求める工程と、前記今回インキ膜厚と前記刷り減らし後のインキ膜厚の差を算出し、インキの不足量を算出する工程と、前記刷り減らし後のインキ膜厚の状態からプレインキング処理を実行し、前記算出された不足量を補うためのプレインキング回転速度を求める工程と、を備えることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、コンピュータを、印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出するように機能させる印刷機模擬処理プログラムであって、複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出するように機能させることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の印刷機模擬処理プログラムがコンピュータ読み取り可能に記録されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後のインキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出するように構成したので、より現実の印刷機に近づけ、インキ膜厚を精度良く予測することができ、更に、それらの予測結果を基に、最適なプリセット、刷り減らし、及びプレインキングの最適な制御項目を取得して、かかる制御項目に基づき実際のオフセット印刷機を制御することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、オフセット印刷インキフローシミュレータに対して本発明に係る印刷機模擬装置、印刷機模擬方法、及び印刷機模擬処理プログラムを適用した場合の実施形態である。
先ず、図1等を参照して、本実施形態に係るオフセット印刷インキフローシミュレータの構成及び機能について説明する。
図1は、オフセット印刷インキフローシミュレータの概要構成例を示す図である。図1に示すように、オフセット印刷インキフローシミュレータ1は、演算機能を有するCPU(Central Processing Unit),作業用RAM(Random-Access Memory),ROM(Read-Only Memory)等から構成された情報処理部11と、各種プログラム及び各種データ等を記憶する記憶部(例えば、HDD(Hard Disc Drive)等)12と、ユーザからの操作指示を入力する操作部(例えば、キーボード,マウス等)13と、画像や文字等の情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)14と、を含んで構成されており、例えば、汎用のパーソナルコンピュータを適用することができる。また、オフセット印刷インキフローシミュレータ1は、オフセット印刷機2に通信手段(例えば、LAN(Local Area Network))を介して接続されている。なお、オフセット印刷機2の構成及び機能は、公知であるので説明を省略する。
情報処理部11は、本発明のインキ膜厚算出手段として、例えば記憶部12に記憶された印刷機模擬処理プログラムを実行することにより、オフセット印刷機におけるインキキー、インキ出しローラ、インキ移しローラ、インキ練りローラ、インキ着けローラ、印刷版、及びブランケット等の動作を模擬し、当該印刷機における各部分で転移されるインキの膜厚を予測するための演算を行うようになっている。
なお、印刷機模擬処理プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたサーバからダウンロードしてもよいし、或いはCD−ROM、DVD−ROM等の記録媒体から読み込まれて記憶部12に記憶されてもよい。
より具体的には、情報処理部11は、各種ローラ、印刷版、ブランケット、及び紙等の印刷基板の表面をメッシュ(例えば、当該表面が有限要素法により多数に分割された小領域)で区切り、各ローラ間のニップにおけるインキの転移計算をメッシュ単位で行う。
図2は、表面がメッシュで区切られたローラの一例を示す概念図である。図2に示すように、各ローラはメッシュで区切られており、ローラとローラとが接するニップにおいてメッシュごとに逐次転移計算が行われることになる。なお、各メッシュは、インキ膜厚のデータを有している。
このような転移計算の基になるデータは、記憶部12に構築されたモデルデータベース12aにオフセット印刷機モデルとして記憶保持されている。オフセット印刷機モデルにおいては、当該印刷機の各構成要素に関する情報、供給されるインキに関する情報、供給される水に関する情報、及び各構成要素間のニップに関する情報等が規定されている。
各構成要素に関する情報には、例えば、各構成要素(つまり、各種ローラ、印刷版、及びブランケット)の固有の識別番号、サイズ(例えば、ローラ径、展開幅、展開高さ等)及び回転速度(表面スピード)、インキ移しローラの往復運動の周期及び転移幅、揺動ローラ(例えば、インキ練りローラ)の揺動周期及び揺動幅、各ローラ、印刷版、及びブランケットの物性(ゴム(硬度も含む)又は金属)等の情報が含まれている。なお、各ローラには、上述したインキ出しローラ、インキ移しローラ、インキ練りローラ、及びインキ着けローラの他、水だめから水を印刷版に供給するための水供給ローラが含まれる。
また、供給されるインキに関する情報には、例えば、含水率、温度、粘度等の情報が含まれる。
また、各構成要素間のニップに関する情報には、例えば、各ニップの固有の識別番号、各ニップの位置(例えば、どのローラと、どのローラとのニップであるか)、各ニップのニップ幅、及び各ニップのインキ転移モデル等の情報が含まれている。ここで、インキ転移モデルとは、ニップにおけるインキ転移を規定するものであり、本実施形態においては、ニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を規定する式(以下、「インキ転移モデル式」という)である。
図3は、ローラAとローラB間のニップにおけるインキ転移の様子の一例を示す図である。図3の例において、DA1は、ローラAにおけるインキ転移前の膜厚を示し、DA2は、ローラAにおけるインキ転移後の膜厚を示すものである。また、DB1は、ローラBにおけるインキ転移前の膜厚を示し、DB2は、ローラBにおけるインキ転移後の膜厚を示すものである。なお、図3の例において、ローラA若しくはローラBの何れか一方が、印刷版若しくはブランケットであってもよい。
そして、このようなニップにおけるインキの転移前後の膜厚の関係を規定するインキ転移モデル式は、基本的に、例えば、下記(1)及び(2)式で表される。
DA2=(1−α)(DA1+DB1)・・・(1)
DB2= α(DA1+DB1)・・・(2)
ここで、αは、インキ転移率(言い換えれば、ニップを通過するインキの分割比)を表し、例えば、α=0.45〜0.5程度が望ましい。
DB2= α(DA1+DB1)・・・(2)
ここで、αは、インキ転移率(言い換えれば、ニップを通過するインキの分割比)を表し、例えば、α=0.45〜0.5程度が望ましい。
また、絵柄を持つ印刷版(プレート)においては、上記(1)式は下記(3)式に置き換えられ、画線部((1−α)(DA1+DB1)x)と非画線部(DA1(1−x))に分けられて計算される。
DA2=(1−α)(DA1+DB1)x+DA1(1−x)・・・(3)
ここで、xは、画線範囲率を示すものである。
ここで、xは、画線範囲率を示すものである。
更に、本実施形態においては、インキ膜厚をより精度良く算出するため、上記インキ転移モデル式に対し、インキの通過率モデルを導入した。この場合のインキ転移モデル式は、下記(4)及び(5)式で表される。
DA2=β(1−α)(DA1+DB1+P)・・・(4)
DB2=βα(DA1+DB1+P)・・・(5)
ここで、βは、ニップを通過するインキ量を制御するパラメータ(言い換えれば、インキの通過し難さ(抵抗))であり、ニップに入り込むインキ総量(DA1+DB1)の関数又は定数(例えば、0.9)として表現される。これにより、ニップを通過するインキ量が規制されることになる。また、P(ink pile)は、ニップを通過できなかったインキ(インキ余り)のインキ膜厚を示すものであり、下記(6)式で表される。
DB2=βα(DA1+DB1+P)・・・(5)
ここで、βは、ニップを通過するインキ量を制御するパラメータ(言い換えれば、インキの通過し難さ(抵抗))であり、ニップに入り込むインキ総量(DA1+DB1)の関数又は定数(例えば、0.9)として表現される。これにより、ニップを通過するインキ量が規制されることになる。また、P(ink pile)は、ニップを通過できなかったインキ(インキ余り)のインキ膜厚を示すものであり、下記(6)式で表される。
P=(1−β)(DA1+DB1+Pa)・・・(6)
ここで、Paは、前回の計算におけるインキ余りのインキ膜厚を示すものである。例えば、全てのインキがニップを通過する場合、β=1となり、P=0となる。これにより、(4)式は(1)式と同一になり、(5)式は(2)式と同一になる。一方、インキの粘度が低い場合には、β<1となり、P>0となる。
ここで、Paは、前回の計算におけるインキ余りのインキ膜厚を示すものである。例えば、全てのインキがニップを通過する場合、β=1となり、P=0となる。これにより、(4)式は(1)式と同一になり、(5)式は(2)式と同一になる。一方、インキの粘度が低い場合には、β<1となり、P>0となる。
また、インキのニップ通過し難さは、ニップ通過可能膜厚を意味する”最小隙間”で表す事ができる。”最小隙間”は 流体の粘度、弾性係数、ローラの周速、圧力等に依存する。
図4は、インキ余りを考慮した場合のローラAとローラB間のニップにおけるインキ転移の様子の一例を示す図である。図4の例では、最小隙間は、H0となっており、ローラAとローラB間には、ニップを通過できなかったインキ余りがある。この最小隙間H0が、「DA1+DB1+P」以上の場合(H0≧(DA1+DB1+P))には、β=1となる。従って、基本的には、H0<(DA1+DB1+P)の場合に、インキの通過率モデルが考慮されることになる。なお、この最小隙間H0は、インキ膜厚が安定状態に達するまで動的に変化するものであるが、最小隙間H0は、毎回のインキ膜厚の計算における(DA1+DB1)の平均値と等しくなるように設定される。
そして、本実施形態においては、数多くあるニップのうち、あるニップにおいてはインキの通過率モデルを考慮し(つまり、β<1)、あるニップにおいてはインキの通過率モデルを考慮しない(つまり、β=0)ことを特徴とする。例えば、印刷機の下流側のローラ等間のニップにおいては、インキの通過率モデルを考慮する。
図5は、オフセット印刷機モデルにより規定される印刷機の構造例を示す概念図である。図5に示すように、オフセット印刷機モデルでは、印刷機の上流から下流に向かって、インキ出しローラ21、インキ移しローラ22、インキ練りローラ23a,23b,23c,23d,23e,23f,23g,23h,23i,23j、インキ着けローラ24a,24b,24c、水供給ローラ25a,25b,25c、印刷版26、ブランケット27のように配置されている。
そして、インキの通過率モデルを適用する下流側のローラ等間のニップとしては、例えば、図5に示す例において、インキ練りローラ23hと23i間のニップ31、インキ練りローラ23iと23j間のニップ32、インキ練りローラ23jとインキ着けローラ24c間のニップ33、インキ練りローラ23jとインキ着けローラ24b間のニップ34、インキ練りローラ23gとインキ着けローラ24a間のニップ35、インキ着けローラ24aと印刷版26間のニップ36、インキ着けローラ24bと印刷版26間のニップ37、及びインキ着けローラ24cと印刷版26間のニップ38とすることが望ましい。
このように、インキの通過率モデルを下流側のニップにおけるローラ等間に適用するのは、当該印刷機の下流側にいくほど次第に、インキが錬られるのでその粘度が低くなり、しかも、水供給ローラ25a,25b,25cからの水の供給によりインキの含水率が高くなるのでインキの粘度が低くなるためである。これにより、より現実の結果に予測結果を近づけることができる。
次に、図6及び図7を参照して、オフセット印刷インキフローシミュレータ1の動作について説明する。
図6及び図7は、情報処理部11におけるインキの転移計算処理の一例を示すフローチャートである。
図6の処理における転移計算処理は、例えば、ユーザによる操作部13を介した指示入力若しくはオフセット印刷機2からの指示入力に従って開始される。なお、かかる指示入力おいて、予測対象となるオフセット印刷機を示す情報(例えば、オフセット印刷機毎に固有の識別情報)、及び印刷対象となる印刷画像が指定される。
転移計算処理が開始されると、情報処理部11は、先ず、指定されたオフセット印刷機を示す情報に対応するオフセット印刷機モデルを記憶部12におけるモデルデータベース12aから読み込み(ステップS1)、各種情報(パラメータ)を設定する。例えば、各種ローラ等の回転速度、インキ移しローラの往復運動の周期、インキ練りローラの揺動周期、及び各ニップにおけるインキ転移モデル等が設定される。
次いで、情報処理部11は、指定された印刷画像(印刷絵柄)を、例えば、記憶部12から読み込み(ステップS2)、時間t(例えば、初期値は「0」、その後、ΔTずつ進められることになる)を設定する。
次いで、情報処理部11は、ユーザから操作部13を介したシミュレーション操作指示(例えば、インキ供給又は停止指示、インキキー開度の調整指示、又はローラの速度調整指示)を受け付け、当該操作指示に応じた処理を実行する(ステップS3)。オフセット印刷インキフローシミュレータ1は、ユーザからの指示に基づき、一般的なオフセット印刷機と同様の運転、すなわち、加減速、インキ出しローラの回転速度の変更、インキ移しローラの往復運動の周期の変更、インキキー開度の変更、インキ供給開始又は停止、印刷開始又は停止、版替え、ブラン洗浄(ブランケット上のデータをクリアする)、揺動ローラの変更、揺動振幅,位相,及び周期の変更等、通常のオフセット印刷機より自由度の高い制御を行うことができる。
次いで、情報処理部11は、インキ移しローラが、インキ出しローラとインキ練りローラのどちらに接しているかが判別され(ステップS4)、インキ出しローラに接している場合には(ステップS4:インキ出し)、ステップS5に移行し、インキ練りローラに接している場合には(ステップS4:インキ練り)、ステップS8に移行する。ここで、インキ移しローラが、インキ出しローラに接している場合には、インキ出しローラの回転速度が基準となる一方、インキ移しローラが、インキ練りローラに接している場合には、インキ練りローラの回転速度が基準となる。
ステップS5では、情報処理部11は、時間tを参照してインキ出しローラにおける1メッシュ(1メッシュは、例えば縦1mm横1mm程度)分の長さ(回転(縦)方向の長さ)を移動する(回転する)のに要する時間が経過しているか否かを判別する。つまり、インキ出しローラの回転速度から1メッシュ分の長さを移動するのに要する時間が分かり、かかる時間分、前回の時間tから進められているか否かが判別される。そして、1メッシュ分の長さを移動するのに要する時間が経過している場合には(ステップS5:Y)、情報処理部11は、インキ出しローラ及びインキ移しローラを1メッシュ分回転方向に移動する処理を行った(ステップS6)後、例えば、上述したようにインキの通過率モデルを考慮しないインキ転移モデルに基づいてインキ出しローラとインキ移しローラ間のニップにおけるインキ転移計算を行う(ステップS7)。
一方、ステップS8では、情報処理部11は、時間tを参照してインキ練りローラにおける1メッシュ分の長さ(回転方向の長さ)を移動するのに要する時間が経過しているか否かを判別し、1メッシュ分の長さを移動するのに要する時間が経過している場合(ステップS8:Y)には、インキ出しローラ及びインキ練りローラを1メッシュ分回転方向に移動する処理を行った(ステップS9)後、例えば、上述したようにインキの通過率モデルを考慮しないインキ転移モデルに基づいてインキ移しローラとインキ練りローラと間のニップにおけるインキ転移計算を行う(ステップS10)。
このように、インキ移しローラのインキ練りローラへの断続供給を模擬するので、より精度の良いインキ転移計算を行うことができる。つまり、インキの連続供給と断続供給とでは、インキ膜厚の安定性、刷り減らし後の膜厚変化スピード(連続供給の方が断続供給よりもインキ膜厚が早く安定する)が異なるため、当該断続供給を模擬することでより現実に近づけ精度を向上させることができる。
情報処理部11は、同様の処理を各インキ練りローラ間、インキ練りローラとインキ着けローラ間、インキ着けローラと印刷版間、印刷版とブランケット間、ブランケットと紙面間に対して行い、それぞれのニップにおけるインキ転移計算を行う(ステップS11〜S25)。なお、通常、インキ練りローラは3つ以上あり、インキ練りローラ間のニップも2つ以上あるので、図示しないが、ステップS11〜S13における処理は、インキ練りローラ間の全てのニップについて行われることになる。
また、図示しないが、揺動ローラであるインキ練りローラについては、例えば、ステップS12とS13との間で(つまり、ステップS13におけるインキ転移計算が行われる前に)、インキ練りローラにおける1メッシュ分の長さ(揺動(横)方向の長さ)を移動するのに要する時間が経過しているか否かが判別され、1メッシュ分の長さを移動するのに要する時間が経過している場合には、インキ練りローラが揺動方向に1メッシュ分移動する処理が行われることになる。このように、揺動ローラをモデル化しているので、より精度の良いインキ転移計算を行うことができる。
また、下流側のローラ等間のニップ、例えば、各インキ練りローラ間のニップ、インキ練りローラとインキ着けローラ間のニップ、及びインキ着けローラと印刷版間のニップにおけるインキ転移計算においては、インキの通過率モデルを考慮したインキ転移モデルに基づいてそれぞれのニップにおけるインキ転移計算が行われる。
このように、複数の各ローラ等間のニップのうち、例えば下流側の各ローラ等間のニップにおける転移後のインキの膜厚が、例えば上流側のニップにおける転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出されることになるので、現実の印刷機に近づけ、より精度の良いインキ転移計算を行うことができる。
こうして、図7に示すように、全ての各ローラ等間のニップにおけるインキ転移計算が行われると、情報処理部11は、印刷画像の印刷枚数が例えばユーザにより設定された所定枚数(例えば、1000枚)に達したか否かを判別し(ステップS26)、達していない場合には(ステップS26:N)、上記全ての各ローラ等間のニップにおけるインキ転移計算結果を表示部14に表示する(ステップS27)。
図8は、表示部14に表示された各ローラ等におけるインキ膜厚の一例を示す図である。図8の例では、図5に示されるローラ等のうち、インキ出しローラ21、インキ移しローラ22、インキ練りローラ23b,23c,23d,23e,23f,23g,23h,23i,23j、インキ着けローラ24a,24b,24c、印刷版26、及びブランケット27の表面におけるインキ膜厚が視覚的に把握可能なように示されている(例えば、インキ膜厚に応じて色分けがなされて表示)。
次いで、情報処理部11は、時間tをΔT進め(ステップS28)、図6に示すステップS3に戻り、上記と同様の処理を行う。例えば、ΔTは、メッシュの長さをL、ローラの最大回転速度(全てのローラの回転速度うちで最も大きい回転速度)をVとすると、ΔT=L/Vで決定される。このように、ローラの最大回転速度でΔTを規定することにより、例えば、ΔT進められた1回の上記処理において最大回転速度のローラについては、1メッシュの移動処理が行われインキ転移計算が行われるが、それより回転速度の小さいインキ出しローラについては、ΔT進められても1メッシュ分の長さを移動するのに要する時間が経過せずメッシュの移動処理が行われない場合も生じ、インキ転移のタイミング差も模擬することができる。
そして、情報処理部11は、印刷画像の印刷枚数が所定枚数(例えば、1000枚)に達した場合(ステップS26:Y)、つまり、インキ膜厚が安定する印刷枚数に達した場合には、当該処理を終了する。
次に、オフセット印刷インキフローシミュレータ1を用いた実施例を以下に説明する。
(実施例1)
先ず、図9を参照して、オフセット印刷インキフローシミュレータ1におけるインキプリセットの実施例について説明する。
先ず、図9を参照して、オフセット印刷インキフローシミュレータ1におけるインキプリセットの実施例について説明する。
図9は、オフセット印刷インキフローシミュレータ1におけるインキプリセットの流れの一例を示すフローチャートである。
当該インキプリセットにおいて基本となる制御項目は、インキキーの開度とインキ出しローラの回転速度である。そして、オフセット印刷インキフローシミュレータ1において、この制御項目が設定され、印刷絵柄が設定(例えばユーザによる操作部13を介した指示により)されると、当該シミュレータ1は、シミュレーションを実行し(ステップS51)、印刷開始から1枚ごとの紙面のインキ膜厚を計算する(ステップS52)。かかる紙面のインキ膜厚は、印刷絵柄にもよるが、ほぼ100枚から数百枚で時間軸方向にほぼ安定する。
次いで、当該シミュレータ1は、インキ膜厚安定後、紙面の平均インキ膜厚がどの程度目標のインキ膜厚に一致したか、及び、どの程度紙面内のインキ膜厚均一性が得られているかを判断することによりプリセットの評価(例えば、印刷機の印刷幅方向の各ポイントにおけるインキ膜厚が目標値(目標のインキ膜厚)よりもどの程度大きいか或いは小さいかを判別)を(ステップS53)行い、当該評価結果が予め設定された基準を満足する場合には(ステップS53:Y)、評価結果が良好(定常状態になる最適なインキ供給量)であるとしてステップS55に移行する。一方、当該評価結果が予め設定された基準を満足しない場合には(ステップS53:N)、評価結果が良好でないとしてステップS54に移行する。
ステップS54では、当該シミュレータ1は、インキキーの開度及びインキ出しローラの回転速度の一方又は双方を調整し、ステップS51に戻る。こうして、評価結果が良好になるまで当該調整が繰り返し行われることになる。なお、かかる調整は、実際のオフセット印刷機2での印刷オペレータの調整ノウハウを予め設定しておき、かかる設定に基づいて行われるようにしてもよい。例えば、インキ膜厚が目標値よりも小さいインキキーゾーンのキー開度を増加させることで、インキキー配列の解を求める。なお、かかる調整方法は、特に限定されるものではなく、遺伝子アルゴリズムに代表される人工知能を用いる等法を適用してもよい。
次いで、当該シミュレータ1は、評価結果が良好(最適なインキ供給プリセット量)となったときのインキキーの開度及びインキ出しローラの回転速度等の情報をインキ供給プリセット情報として、例えば通信手段を介して、実際のオフセット印刷機2に送信する(ステップS55)。なお、上記通信手段を介さず、当該プリセット情報を記録媒体に記憶させてオフセット印刷機2に読み込ませても良いし、ユーザが当該プリセット情報をオフセット印刷機2に入力してもよい。
こうして、オフセット印刷機2においては、当該プリセット情報に基づき制御が行われる。従って、インキ供給調整作業による印刷開始時の刷り出し損紙を減らすことができる。
(実施例2)
先ず、図10を参照して、オフセット印刷インキフローシミュレータ1における刷り減らし及びプレインキングの実施例について説明する。
先ず、図10を参照して、オフセット印刷インキフローシミュレータ1における刷り減らし及びプレインキングの実施例について説明する。
図10は、オフセット印刷インキフローシミュレータ1における刷り減らし及びプレインキングの流れの一例を示すフローチャートである。
先ず、オフセット印刷インキフローシミュレータ1は、今回、オフセット印刷機2にて印刷する予定の今回印刷絵柄(以下、今回品目という)を設定した後、上記実施例1におけるインキプリセットのシミュレーションを実行(インキ供給:ON、胴:着(インキ着けローラと印刷版が接している)状態)し(ステップS61)、最適な(理想的な)インキキー開度及びインキ出しローラの回転速度、更には、理想的なローラ上のインキ膜厚(今回インキ膜厚)を求め、これらの情報を記憶部12に記憶する(ステップS62)。
次に、当該シミュレータ1は、印刷絵柄を今回品目から、前回(直前に)、オフセット印刷機2にて印刷された前回印刷絵柄(以下、前回品目という)に切り替えて設定し(ステップS63)、かつオフセット印刷機2にて前回品目が印刷されたときのインキキー開度及びインキ出しローラの回転速度等を設定(例えばユーザによる操作部13を介した指示、或いはオフセット印刷機2から通信手段を介した指示により)により)した後、そのインキキー開度及びインキ出しローラの回転速度において定常状態になるまでシミュレーション(インキ供給:ON、胴:着状態)を実行し(ステップS64、S65)、インキ膜厚(前回インキ膜厚:各ローラ等の表面におけるインキ膜厚分布)を求める。
次に、当該シミュレータ1は、印刷絵柄を前回品目のままとし、上記ステップS62にて記憶された理想的なローラ上のインキ膜厚を記憶部12から読み出して基準膜厚として設定し、かつインキ供給をOFFに設定してインキ膜厚が基準膜厚以下になるまで刷り減らしのシミュレーションを実行(インキ供給:OFF、胴:着状態)し(ステップS66、S67)、刷り減らし枚数及び刷り減らし後のインキ膜厚(各ローラ等の表面におけるインキ膜厚分布)を求め、これらの情報を記憶部12に記憶する(ステップS68)。
次に、当該シミュレータ1は、各ローラ等上のインキ膜厚状態は、そのままとし、印刷絵柄のみを前回品目から今回品目に切り替え設定した(ステップS69)後、上記ステップS62にて記憶された理想的なローラ上のインキ膜厚を記憶部12から読み出し、かつ上記ステップS68にて記憶された刷り減らし後のインキ膜厚を記憶部12から読み出し、当該理想的なローラ上のインキ膜厚と、刷り減らし後のインキ膜厚の差を算出し、当該差からキーゾーンごとにインキの不足量を算出する(ステップS70)。続いて、当該シミュレータ1は、インキ供給をONに設定し、かつインキ着けローラと印刷版が接していない(当該インキ着けローラを空転させる)状態に設定してプレインキングのシミュレーション(インキ供給:ON、胴:脱状態)を実行し(ステップS71)、まず上記算出された不足量に応じた(比例した)プレインキングのためのインキキー開度及びインキ出しローラの回転速度を求め、次に、それらの開度、回転速度でインキ供給を行い、上記理想的なローラ上のインキ膜厚に近づけるためのインキ着けローラの空転回数(上記不足量を補うためのプレインキング空転回数)を求める。
なお、刷り減らし及びプレインキングにおける制御項目の調整方法は、一例であり、特に限定されるものではない。
そして、当該シミュレータ1は、こうして得られた、最適な(理想的な)インキキー開度及びインキ出しローラの回転速度、刷り減らし枚数、プレインキングのためのインキキー開度及びインキ出しローラの回転速度、インキ着けローラの空転回数等の情報を刷り減らし及びプレインキング情報(制御項目)として、例えば通信手段を介して、実際のオフセット印刷機2に送信する(ステップS72)。なお、上記通信手段を介さず、当該刷り減らし及びプレインキング情報を記録媒体に記憶させてオフセット印刷機2に読み込ませても良いし、ユーザが当該プリセット情報をオフセット印刷機2に入力してもよい。
以上の処理は、遅くても前回品目の印刷終了前に行われる。こうして、オフセット印刷機2においては、当該刷り減らし及びプレインキング情報に基づき制御が行われる。従って、刷り出し損紙を極小化することができる。
以上説明したように、上記実施形態によれば、インキ移しローラによるインキ断続供給モデル及び揺動ローラによる揺動モデルの導入、更には、数多くあるニップのうち、あるニップにおいてはインキの通過率モデルを考慮し、あるニップにおいてはインキの通過率モデルを考慮しないインキ転移モデルの導入により、より現実のオフセット印刷機に近づけ、インキ膜厚を精度良く予測することができ、更に、それらの予測結果を基に、最適なプリセット、刷り減らし、及びプレインキングの最適な制御項目を取得して、かかる制御項目に基づき実際のオフセット印刷機を制御することが可能となる。従って、刷り出し時又は品目切り替え時等に、より少ない刷り出し枚数と切り替え時間で目標インキ膜厚を実現することができ、損紙の削減、及び印刷品質の安定化を実現することができる。
なお、上記シミュレータ1が対象とする印刷機は、インキ移しローラによる断続インキ供給モデルだけでなく、他の方式、例えば、連続インキ供給、インキジェット方式等にも応用可能である。
1 オフセット印刷インキフローシミュレータ
2 オフセット印刷機
11 情報処理部
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
2 オフセット印刷機
11 情報処理部
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
Claims (11)
- 印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、当該印刷機における各部分で転移されるインキの膜厚を算出する印刷機模擬装置において、
予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出するインキ膜厚算出手段を備え、
前記インキ膜厚算出手段は、複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出することを特徴とする印刷機模擬装置。 - 請求項1に記載の印刷機模擬装置において、
前記異なるインキ転移モデルでは、前記ニップを通過するインキ量が規制されることを特徴とする印刷機模擬装置。 - 請求項1又は2に記載の印刷機模擬装置において、
前記少なくとも一つのニップは、前記印刷機の下流側のローラ間のニップであることを特徴とする印刷機模擬装置。 - 請求項1乃至3の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、
前記インキ膜厚算出手段により算出されたインキの膜厚に基づいて、最適なインキ供給プリセット量を算出することを特徴とする印刷機模擬装置。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、
前記インキ膜厚算出手段により算出されたインキの膜厚に基づいて、最適な刷り減らし印刷枚数を算出することを特徴とする印刷機模擬装置。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、
前記インキ膜厚算出手段により算出されたインキの膜厚に基づいて、最適なプレインキング空転回数を算出することを特徴とする印刷機模擬装置。 - 請求項4乃至6の何れか一項に記載の印刷機模擬装置において、
前記算出されたインキ供給プリセット量、刷り減らし枚数、及びプレインキング空転回数のうち少なくても何れか一つに関する情報を通信手段を介して印刷機に送信する送信手段を備えることを特徴とする印刷機模擬装置。 - コンピュータにより、印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出する印刷機模擬方法であって、
複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出することを特徴とする印刷機模擬方法。 - 請求項9に記載の印刷機模擬方法において、
前記印刷機にて印刷する予定の今回印刷絵柄に関する最適な今回インキ膜厚を算出する工程と、
前記印刷機にて直前に印刷された前回印刷絵柄における前回インキ膜厚を求める工程と、
前記前回インキ膜厚の状態から刷り減らし処理を実行し、前記前回インキ膜厚が前記今回膜厚以下になったときの刷り減らし枚数及び刷り減らし後のインキ膜厚を求める工程と、
前記今回インキ膜厚と前記刷り減らし後のインキ膜厚の差を算出し、インキの不足量を算出する工程と、
前記刷り減らし後のインキ膜厚の状態からプレインキング処理を実行し、前記算出された不足量を補うためのプレインキング空転回数を求める工程と、を備えることを特徴とする印刷機模擬方法。 - コンピュータを、印刷機における少なくともインキキー及び複数のローラの動作を模擬し、予め設定されたインキ転移モデルに基づいて各前記ローラ間のニップにおける転移前のインキの膜厚から、転移後のインキの膜厚を算出するように機能させる印刷機模擬処理プログラムであって、
複数の前記各ローラ間のニップのうち、少なくとも一つのニップにおける転移後の前記インキの膜厚を、他のニップにおける前記転移後のインキ膜厚の算出とは異なるインキ転移モデルに基づいて算出するように機能させることを特徴とする印刷機模擬処理プログラム。 - 請求項10に記載の印刷機模擬処理プログラムがコンピュータ読み取り可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004118321A JP2005297404A (ja) | 2004-04-13 | 2004-04-13 | 印刷機模擬装置、印刷機模擬方法、及び印刷機模擬処理プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004118321A JP2005297404A (ja) | 2004-04-13 | 2004-04-13 | 印刷機模擬装置、印刷機模擬方法、及び印刷機模擬処理プログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=35329539
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004118321A Pending JP2005297404A (ja) | 2004-04-13 | 2004-04-13 | 印刷機模擬装置、印刷機模擬方法、及び印刷機模擬処理プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005297404A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013161649A1 (ja) * | 2012-04-27 | 2013-10-31 | 株式会社小森コーポレーション | 液体転写装置及び液体転写方法 |
JP2020011507A (ja) * | 2018-07-12 | 2020-01-23 | ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフトHeidelberger Druckmaschinen AG | 印刷機の少なくとも1つの回転可能な部品の表面から印刷流体を除去する方法 |
-
2004
- 2004-04-13 JP JP2004118321A patent/JP2005297404A/ja active Pending
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