JPH11268231A - 平版印刷における湿し水供給量制御方法、それに用いる平版用印刷版およびそれを用いた平版印刷装置 - Google Patents

平版印刷における湿し水供給量制御方法、それに用いる平版用印刷版およびそれを用いた平版印刷装置

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JPH11268231A
JPH11268231A JP10074628A JP7462898A JPH11268231A JP H11268231 A JPH11268231 A JP H11268231A JP 10074628 A JP10074628 A JP 10074628A JP 7462898 A JP7462898 A JP 7462898A JP H11268231 A JPH11268231 A JP H11268231A
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Masafumi Yamauchi
雅文 山内
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Sakata Inx Corp
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Sakata Inx Corp
Sakata Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熟練者でなくても簡単に行うことができる平
版印刷における湿し水供給量制御方法、これに用いる平
版用印刷版および平版印刷装置を提供する。 【解決手段】 印刷版上のある画線部21から印刷流れ
方向後方に、インキ着けロールの円周の距離L1を隔て
て画線部A22を設け、非画線部から印刷流れ方向後方
に、インキ着けロールの円周の距離L1を隔てて網点面
積率を順次変化させた部位24,25,26,27,2
8から成る画線部B23を設け、画線部A22によって
印刷される比較画像の印刷濃度と画線部Bによって印刷
される標準画像の予め定めた設定部位25との印刷濃度
が等しくなるように湿し水供給量を制御する方法、これ
に用いる平版用印刷版およびこの方法を用いた平版印刷
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、平版印刷における
湿し水供給量制御方法、それに用いる平版用印刷版およ
びそれを用いた平版印刷装置に関し、より詳しくは特定
の二つの印刷部位における印刷濃度を比較することによ
って、簡単に湿し水供給量を制御し、その過剰供給を防
止する方法とそれに用いる平版用印刷版とそれを用いた
平版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは凹凸のない平面の印刷版を
用いる印刷方式である。この印刷方式で用いられるイン
キは粘性油性インキであり、版上へインキの転移をコン
トロールするには、一般に湿し水と油性インキの反発を
利用して行われる。版上へインキが転移する画線部は、
油分の受理性が高くて水分をはじく、親油性で撥水性の
表面を有し、逆にインキが転移しない非画線部は、水分
の受理性が高くて油分をはじく、親水性で撥油性の表面
を有する。
【0003】印刷工程では、まず、版の表面に湿し水と
呼ばれる水分が供給され、撥水性の画線部は湿し水をは
じき、一方、親水性の非画線部は親和力によって湿し水
で覆われた状態となる。その後で、版の表面にインキが
インキ着けロールから供給されると、画線部ではインキ
が付着し、一方、非画線部では水膜でインキがはじかれ
て付着しなくなる。
【0004】ここで、湿し水の供給量が過少の場合は、
非画線部が完全に湿し水で覆われなくなるため、露出し
た非画線部にもインキが転移して印刷物の汚損の原因と
なる。逆に、湿し水の供給量が過多となると、インキ中
に湿し水が過剰に混入した過剰乳化状態となり、インキ
と湿し水との反発力が低下するため、やはり非画線部へ
のインキの転移や網点の太りが発生し、きれいな印刷物
が得られなくなる。
【0005】したがって、平版印刷方式では湿し水の供
給量が印刷物の品質を決定するといっても過言ではない
が、版表面の画線部の面積、インキの供給量、被印刷体
の湿し水吸収性等に応じて、湿し水の最適供給量が変化
するため、湿し水の過不足の判断は印刷の最中に行なわ
なければならない。
【0006】この印刷中の湿し水の供給量の過不足につ
いては、古くは版面の光沢の度合いから判定するしかな
く、その調整には熟練された技能と長い作業時間が必要
とされてきた。
【0007】最近では、湿し水を供給する水元ロールの
回転速度を印刷速度に追随させて自動的に制御する方法
も考案され、湿し水の供給量の数値化管理が可能となっ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この湿
し水供給量自動制御装置は、比較的新しい平版印刷機で
は装備されているものの、まだまだ装備されていない印
刷機も数多く稼動していて、やはり経験と熟練に頼る場
合が多い。
【0009】また、湿し水供給量自動制御装置を装備し
た印刷機であっても、単に印刷速度と湿し元ロールの回
転速度とを同調させるだけでは、版表面の画線部の面
積、被印刷体の湿し水の吸収性などに応じた個別の設定
は自動的にはできない。
【0010】さらに、湿し水の供給量は水元ロールの回
転速度だけでなく、さまざまな要因に影響される。たと
えば湿し水の粘度が低下した場合や水元ロールの絞りが
強すぎる場合などは、同じ水元ロールの回転速度であっ
ても湿し水の供給量が少なくなる。これら粘度や絞りの
強度等の要因は、作業時の環境温度の他に、印刷機のロ
ール温度によって変化し、運転開始から時間の経過に伴
って起こるロールの発熱によって、湿し水の粘度は少し
ずつ低下し、一方、ロールの絞りが強くなる。
【0011】したがって、作業環境の温度を一定にした
室内であっても、ロールが一定の温度になるまで絶えず
微調整が必要となる。
【0012】このように湿し水の特性は、環境条件や印
刷条件によって変化し、印刷者は湿し水の版面への供給
に関して、常に不安定でかつ手探りの管理を要求され、
高度の熟練が要求される。
【0013】本発明の目的は、誰でも簡単に行うことが
できる平版印刷における湿し水供給量制御方法、平版用
印刷版および平版印刷装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、画線部から印
刷流れ方向後方にインキ着けロールの円周の距離を隔て
て設けられ、前記画線部と同一形状またはそれ以上の形
状の画線部Aと、非画線部から印刷流れ方向後方にイン
キ着けロールの円周の距離を隔てて網点面積率を順次変
化させた部位から成る画線部Bとを有し、画線部Aで印
刷された比較画像の印刷濃度と、画線部Bで印刷された
標準画像の予め定めた設定部位印刷濃度とを比較するこ
とによって湿し水供給量を制御することを特徴とする平
版用印刷版である。
【0015】本発明に従う印刷版の画線部にインキを供
給した直後のインキ着けロール表面は、画線部にインキ
を供給した分だけ、インキの盛り量(付着量)が少なく
なっている。そしてインキ着けロールが1回転する間
に、一度だけインキを供給するインキ練りロールに接触
するが、元のインキ盛り量まで回復するだけインキが供
給されない。またインキには粘性があり、周囲からイン
キが補給されることもない。したがって、インキ着けロ
ールが丁度1回転したときに、再び画線があると、その
画線部(画線部A)のインキ盛り量は基準量より低下す
る。一方第1回目の接触で非画線部と接触したインキ着
けロールの部分は、インキの盛り量が少なくなっていな
いから、次の接触が画線部であると、その画線部(画線
部B)は、基準のインキ盛り量となっている。
【0016】また本発明は、湿し水を利用して印刷を行
なう平版印刷方式において、画線部から印刷流れ方向後
方にインキ着けロールの円周の距離を隔てて設けられ、
前記画線部と同一形状またはそれ以上の形状の画線部A
と、非画線部から印刷流れ方向後方にインキ着けロール
の円周の距離を隔てて網点面積率を順次変化させた部位
から成る画線部Bとを有する印刷版を用い、画線部Aに
よって印刷される比較画像の印刷濃度が、画線部Bによ
って印刷される標準画像の予め定めた設定部位の印刷濃
度と等しくなるように湿し水の供給量を制御することを
特徴とする平版印刷における湿し水供給量制御方法であ
る。
【0017】本発明に従えば、画線部Aのインキ盛り量
が基準量より低下しているので、画線部Aによって印刷
される比較画像の印刷濃度は低下している。この印刷濃
度の低下率は、湿し水供給量と密接な関係がある。一方
画線部Bのインキ盛り量は基準量であるので、画線部B
によっていつも同じ印刷濃度の標準画像が印刷される。
比較画像の印刷濃度が標準画像の予め定めた設定部位の
印刷濃度と等しくなるように湿し水の供給量を制御する
ことによって、良好な印刷物を得ることができる。
【0018】また本発明は、前記予め定めた設定部位の
印刷濃度が、比較画像において網点の太りまたは印刷汚
れが見られる最低の湿し水供給量の比較画像の印刷濃度
の1.02〜1.10倍の範囲の印刷濃度であることを
特徴とする。
【0019】本発明に従えば、湿し水の供給量を順次増
加して比較画像で網点の太りや汚れの発生が見られる最
低の量に達したとき、その比較画像の印刷濃度(以下、
「過剰時の印刷濃度」という)の1.02〜1.10
倍、好ましくは1.03〜1.07倍の印刷濃度を有す
る部位を画像部Bから選び、これを設定部位とすると、
良好な印刷物を得ることができる。前記数値の範囲は、
本発明者の実験によって求めたものである。
【0020】また本発明は、画線部から印刷流れ方向後
方にインキ着けロールの円周の距離を隔てて設けられ、
前記画線部と同一形状またはそれ以上の形状の画線部A
と、非画線部から印刷流れ方向後方にインキ着けロール
の円周の距離を隔てて網点面積率を順次変化させた部位
から成る画線部Bとを有する印刷版と、湿し水供給量を
調整できる湿し水供給手段と、画線部Aの印刷濃度と、
画線部Bの印刷濃度とを検知する印刷濃度検知手段と、
画線部Aによって印刷される比較画像の印刷濃度が、画
線部Bによって印刷される標準画像の予め定めた設定部
位の印刷濃度と等しくなるように湿し水の供給量を調整
する制御手段とを含むことを特徴とする平版印刷装置で
ある。
【0021】本発明に従えば、比較画像の印刷濃度と標
準画像の設定部位の印刷濃度とが、反射式光学濃度計な
どの濃度検知手段によって測定・比較され、前記両濃度
が等しくなるように湿し水供給量が制御手段によって調
整されるので、人手をかけずに自動で良好な印刷物を得
ることができる。
【0022】本発明において比較画像の印刷濃度と設定
部位の印刷濃度が等しいという表現は、ある範囲の幅で
等しいということであり、目視による場合は、±3%程
度、反射式光学濃度計による場合でも±1%程度の範囲
で等しいことを示す。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態によっ
て、より詳細に説明する。
【0024】図1は、平版印刷装置1の各ロールの関係
を示す断面図である。平版印刷装置1は、平版用印刷版
を装着した版胴2と湿し水供給装置3とインキ供給装置
10とを主な構成部材としている。湿し水供給装置3
は、水槽4の水を水元ロール5の表面に付着させて水移
しロール6と金ロール7とを介して水着けロール8に供
給し、水着けロール8から版胴2の非画線部に供給され
る。湿し水供給量の調整は、水元ロール5の回転速度を
段階的に変えられる専用の水元ロール用モータ42で行
う。
【0025】インキ供給装置10は、インキつぼ11に
盛られた印刷インキをつぼロール13と底板12との間
からつぼロール13に導くことから始まる。移しロール
14は、実線の位置と鎖線の位置との間を移動可能であ
る。つぼロール13の回転が始まる直前に移しロール1
4が鎖線の位置に移動し、つぼロール13に接触して、
つぼロール13の回転によってインキが移しロール14
に供給される。つぼロール13の回転が停止すると、移
しロール14は実線の位置に移動して、インキ練りロー
ル15にインキが供給される。インキ練りロール15
は、多数のロール(本実施の形態では7個)から成り、
印刷インキはこれらのインキ練りロール15の間を通る
間に充分に練合わされ、インキ着けロール16を介して
版胴2の画線部に供給される。印刷インキの供給量は、
底板12とつぼロール13との間の間隔と、つぼロール
13の回転・停止時間の割合によって調整される。
【0026】図2は、本発明の一実施の形態の画線部A
22と画線部B23とを含む特定画線部の領域20であ
る。特定画線部の領域20は、印刷版の端部に印刷流れ
方向に長く配置され、その長さLはインキ着けロール1
6の円周L1を超えるものであればよい。特定画線部の
領域20の長さLは、インキ着けロール16の直径によ
って決まるが、インキ着けロール16の直径は、大体6
0mm前後であるので、ほとんどの場合200mm以
上、好ましくは300mm以上であり、印刷流れ方向に
作造可能な最大長(印刷版の印刷流れ方向の全長)まで
許容される。一方特定画線部の領域20の版胴2軸方向
の幅Wは、印刷物の濃度が検知可能な幅、たとえば5m
m以上であり、画線部A22と画線部B23とを隣接し
て設ける場合は、10〜20mmが好適である。
【0027】図2に示すように特定画線部の領域20の
上半部20aには、画線部21が設けられ、印刷流れ方
向18後方にインキ着けロール16の円周L1の距離を
隔てて、同一形状またはそれ以上の形状の画線部A22
を設ける。画線部21,22の大きさは、これが印刷さ
れた場合に、印刷物が図示しない印刷濃度検知手段、た
とえば反射式光学濃度計で印刷濃度の検知が可能な大き
さ、たとえば5mm×5mm=25mm2以上の面積を
有するものが好ましい。
【0028】図2では、画線部21,22を同一形状の
網点面積率100%の画線部とした。形状および網点面
積率は同じであることが好ましく、さらに印刷された比
較画像として、印刷濃度の変化が顕著であるという点か
ら、画線部21,22の網点面積率は、できるだけ大き
いものが好適である。また画線部21と22とが連続さ
れていてもよい。
【0029】特定画線部の領域20の下半部20bに
は、L1の長さにわたって、非画線部が設けられ、その
印刷流れ方向後方に画線部B23が形成される。画線部
B23は、網点面積率の異なる複数の部位24〜28か
ら成る。図2では異なる網点面積率を異なる間隔の格子
で表示している。たとえば部位24は、網点面積率10
0%とし、部位25〜28では網点面積率が90%,8
5%,80%,75%と順次変化する。一般に画線部B
23の網点面積率の変化は、画線部A22の網点面積率
からその60%程度まであればよいが、さらに網点面積
率を100%から0%まで有するものは、画線部A22
のいずれの網点面積率に関わらず利用できるという点で
好ましい。さらに、画線部B23の網点面積率は、図2
のように段階的に変化するものでも、また、連続的に変
化するものでもよいが、段階的に変化するもので2〜5
%程度ずつ変化させ、連続的に変化するものについて
は、印や数値を付すなどして、印刷画像のどの位置が設
定部位であるかが、目視でも分かるようにすることが好
ましい。画線部B23の各部位24〜28は、印刷濃度
検知手段で印刷濃度の検知が可能な大きさが必要であ
り、網点面積率が段階的に変化するものでは、1つの網
点面積率を示す部位として、印刷流れ方向に5〜10m
m、版胴軸方向に5〜10mm程度のものが好ましく、
連続的に変化するものについては、印刷流れ方向に20
〜100mm、版胴軸方向に5〜10mm程度のものが
好ましい。
【0030】次に、この画線部A22および画線部B2
3から得られる比較画像と標準画像の印刷濃度を用い
て、湿し水の供給量を制御する方法について説明する。
【0031】まず、予め標準画像の設定部位を設定する
ために、画線部21、画線部A22と画線部B23とを
設けた印刷版を版胴に装着して、いろいろな印刷条件下
において、湿し水供給量を徐々に増加させて印刷する。
【0032】そして、湿し水供給過剰によって起こる比
較画像の過剰時の濃度を、たとえば反射式光学濃度計に
よって測定する。実際に印刷する段階では、比較画像の
印刷濃度が過剰時の濃度まで下がれば、湿し水量は過剰
供給となっている。次に画線部B23で印刷された標準
画像において、安全率を見積って過剰時の濃度の1.0
2〜1.10、好ましくは1.03〜1.07倍程度の
印刷濃度を有する部位を求め、これを設定部位とし、比
較画像の印刷濃度が標準画像の設定部位での印刷濃度と
等しくなるように湿し水の供給量を調整することによ
り、湿し水の供給量を簡単に制御できるようになる。
【0033】以上の方法について、もう少し具体的に説
明すると、例えば、通常の印刷条件で、比較画像の過剰
時の濃度がXの値になったとする。設定部位の濃度を過
剰時の印刷濃度の1.05倍と定めるとすると、標準画
像において印刷濃度が1.05Xとなる部位を求め、標
準画像の設定部位とする。この設定部位に相当する画線
部B23の網点面積率がY%とすると、以降は湿し水の
粘度やロールの温度などが変化しても、比較画像の印刷
濃度を画線部Bの網点面積率がY%の部位の印刷濃度と
等しくなるように、湿し水の供給量を調節すればよい。
【0034】カラー印刷のために用いられる4色プロセ
ス印刷方式などでは、図3のように、4色の比較画像2
2a,22b,22c,22dおよび標準画像23a,
23b,23c,23dの構成を近くに並べて設けるこ
とによって、目視でより簡単にそれぞれの色での印刷時
の湿し水の供給量を制御できることから好適である。
【0035】なお、湿し水の供給量の制御方法として
は、特に枚葉印刷方式において、印刷物を抜取り目視で
比較画像の印刷濃度を設定部位の印刷濃度と比較し、設
定部位の濃度と等しくなるように湿し水の供給量、具体
的には水元ロール5用モータの回転速度を変える。この
場合、比較画像と標準画像とが隣接して印刷される印刷
版が好ましく、目視によって両画像を比較するのは容易
であり、特に熟練を必要とせず、また特別な濃度検知手
段や制御手段が不要である。
【0036】図4は、制御手段41のブロックである。
反射式光学濃度計などの濃度検知手段40によって比較
画像の印刷濃度と設定部位の印刷濃度とが検出され、制
御手段41に送給される。制御手段41では、前記両濃
度が比較され、その結果に応じて水元ロール用モータ4
2の回転速度を段階的に増減する。前記濃度検知手段4
0は、印刷物の比較画像および標準画像の通る経路に設
置され、比較画像および標準画像の設定部位の通過と同
期して印刷濃度を測定する。
【0037】図5に示すフローチャートに従って、制御
手段41の動作を説明する。ステップs1で設定部位を
入力してスタートし、ステップs2で設定部位の印刷濃
度c0が測定され、ステップs3で比較画像の印刷濃度
cが測定される。ステップs4で比較画像の印刷濃度c
が設定部位の印刷濃度c0より大きいか否かが判断さ
れ、これが否定されると、c≦c0であるので、ステッ
プs5に進み、比較画像の印刷濃度cが設定部位の印刷
濃度c0より小さいか否かが判断され、これが否定され
るとc=c0であるので、ステップs6で制御動作は終
了し、その状態で印刷が維持される。ステップs4が肯
定であればc>c0であるので、ステップs7で水元ロ
ール用モータ42の回転速度NがN+1に1段階増加さ
れ、湿し水の供給量を増加して、ステップs4に戻る。
またステップs5が肯定であればC<c0であるので、
ステップs8で水元ロール用モータ42の回転速度Nが
N−1に1段階減少し、湿し水の供給量を減少してステ
ップs4に戻る。
【0038】以下に、次のテスト条件で実施した結果を
示す。 テスト条件 印刷機 平版印刷機 “ダイヤ 1−E”(三菱重工業(株)社製) インキ着けロール径 60mm 版ロール径 229.66mm 印刷速度 8000sheets/hr テスト版 メイン図柄 サカタインクス(株)社製印刷品質管理パターン 画像面積率 約50% 版胴軸方向のサイズ 600mm 印刷インキ ダイヤトーン エフ 紅 R−MK (サカタインク ス(株)社製) 印刷濃度検知手段 実施例1 反射式光学濃度計 Macbeth RD914 (マク ベス社製) 実施例2 使用せず
【0039】実施例1 メイン図柄を有する平版印刷用テスト版に、網点面積率
100%、印刷流れ方向に版のほぼ全長にあたる816
mm、版胴軸方向に10mmの帯状の画線部を設けた。
【0040】この画線部のいずれの部分も画線部Aの条
件を満たすことになる。さらに、少なくとも印刷流れ方
向後方に120mm、印刷版軸方向に10mmの範囲で
非画線部である地点から、印刷流れ方向後方に190m
mの距離をおいて、印刷流れ方向に100mm、印刷版
軸方向に10mmの直方形の、網点面積率が60〜10
0%まで印刷流れ方向に対して連続して変化する画線部
Bを設けた。
【0041】このテスト版を印刷機に装着し、平版イン
キをコート紙に印刷しながら、ロールの温度が十分に安
定したところで、水元ロールのダイヤル値を5〜8の間
で変えて、印刷物の様子を観察し、湿し水の過剰供給の
現象が見られた時の比較画像の印刷濃度を測定した。
【0042】次に、標準画像の設定部位として、過剰供
給時の比較画像の印刷濃度の105%に相当する印刷濃
度を有する部位を反射式光学濃度計で検知した結果、画
線部Bの網点面積率が94%の部位であった。
【0043】この条件をもとに、同じ印刷版と印刷イン
キを用いて、ロールの温度が昇温していない印刷開始当
初から、比較画像の印刷濃度と、画線部Bにおける網点
面積率94%の設定部位から得られる標準画像の印刷濃
度を反射式光学濃度計で測定し、両方の濃度が等しくな
るようにマイクロコンピュータから成る制御器で元ロー
ルの回転を段階的に制御したところ、ロールの温度が一
定となるまで、湿し水の供給量の不適正による印刷品質
低下の現象は一切見られなくなった。
【0044】実施例2 メイン図柄を有する平版印刷用テスト版に、図6で示さ
れる寸法(単位mm)の特定画線部を設けた。ここで、
画線部31および32の網点面積率は80%、画線部B
の部位33、34、35、36、37の網点面積率は、
順に77%、74%、71%、68%、65%である。
本試験で使用するインキ着けロールの径は60mmであ
るから、画線部31の先端から約188mm以上後方の
部分が画線部A22の条件を満たすことになり、6つの
部位32〜37から画線部B23が構成されることにな
る。
【0045】このテスト版を印刷機に装着し、平版イン
キをコート紙に印刷しながら、ロールの温度が十分に安
定したところで、湿し水供給ロールのダイヤル値を5〜
8の間で変えて、印刷物の様子を観察し、湿し水の過剰
供給の現象が見られた時の比較画像の印刷濃度を測定し
た。
【0046】次に、標準画像の設定部位として、過剰供
給時の比較画像の印刷濃度の103%に相当する印刷濃
度を有する部位を濃度計で検知した結果、画線部B23
の網点面積率が74%の部位34であった。
【0047】この条件をもとに、同じ印刷版と印刷イン
キを用いて、ロールの温度が昇温していない印刷開始か
ら、画線部A22の印刷濃度と、画線部B22における
網点面積率74%の部位34から得られる標準画像の印
刷濃度を抜き取り検査で目視によって判定し、両方の濃
度が等しくなるように元ロールの回転速度をダイヤルな
どで制御して湿し水を調整したところ、ロールの温度が
一定となるまで、湿し水の供給量の不適正による印刷品
質低下の現象は一切見られなくなった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、それまで非常に困難と
されていた、平版印刷における湿し水供給量の制御が、
経験や勘に頼ることなく、誰でも簡単に行なうことがで
きる。
【0049】特に印刷物の抜き取り検査の可能な印刷方
式では、濃度計などの特別な装置を必要とせず、余分な
設備を省略できる点でさらに優れた特徴を有するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】平版印刷装置1の断面図である。
【図2】特定画線部の領域20の平面図である。
【図3】4色プロセス印刷方式の特定画線部20の領域
の平面図である。
【図4】制御手段41のブロック図である。
【図5】制御手段41の動作を説明するフローチャート
である。
【図6】本発明の実施例2で用いた特定画線部20の領
域の平面図である。
【符号の説明】
1 平版印刷装置 2 版胴 3 湿し水供給装置 10 インキ供給装置 16 インキ着けロール 20 特定画線部の領域 21,21a,21b,21c,21d,31 画線部 22,22a,22b,22c,22d 画線部A 23,23a,23b,23c,23d 画線部B 24,25,26,27,28,32,33,34,3
5,36,37 網点面積率を順次変化させた部位 40 濃度計 41 制御手段 42 水元ロール用モータ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、画線部から印
刷流れ方向後方にインキ着けロールの円周の距離を隔て
て設けられ、前記画線部と重なる画線部Aと、非画線部
から印刷流れ方向後方にインキ着けロールの円周の距離
を隔てて網点面積率を順次変化させた部位から成る画線
部Bとを有し、画線部Aで印刷された比較画像の印刷濃
度と、画線部Bで印刷された標準画像の予め定めた設定
部位印刷濃度とを比較することによって湿し水供給量を
制御することを特徴とする平版用印刷版である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】また本発明は、湿し水を利用して印刷を行
なう平版印刷方式において、画線部から印刷流れ方向後
方にインキ着けロールの円周の距離を隔てて設けられ、
前記画線部と重なる画線部Aと、非画線部から印刷流れ
方向後方にインキ着けロールの円周の距離を隔てて網点
面積率を順次変化させた部位から成る画線部Bとを有す
る印刷版を用い、画線部Aによって印刷される比較画像
の印刷濃度が、画線部Bによって印刷される標準画像の
予め定めた設定部位の印刷濃度と等しくなるように湿し
水の供給量を制御することを特徴とする平版印刷におけ
る湿し水供給量制御方法である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】また本発明は、画線部から印刷流れ方向後
方にインキ着けロールの円周の距離を隔てて設けられ、
前記画線部と重なる画線部Aと、非画線部から印刷流れ
方向後方にインキ着けロールの円周の距離を隔てて網点
面積率を順次変化させた部位から成る画線部Bとを有す
る印刷版と、湿し水供給量を調整できる湿し水供給手段
と、画線部Aの印刷濃度と、画線部Bの印刷濃度とを検
知する印刷濃度検知手段と、画線部Aによって印刷され
る比較画像の印刷濃度が、画線部Bによって印刷される
標準画像の予め定めた設定部位の印刷濃度と等しくなる
ように湿し水の供給量を調整する制御手段とを含むこと
を特徴とする平版印刷装置である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】図2に示すように特定画線部の領域20の
上半部20aには、画線部21が設けられ、印刷流れ方
向18後方にインキ着けロール16の円周L1の距離を
隔てて、画線部21に重なる画線部A22を設ける。画
線部21,22の大きさは、これが印刷された場合に、
印刷物が図示しない印刷濃度検知手段、たとえば反射式
光学濃度計で印刷濃度の検知が可能な大きさ、たとえば
5mm×5mm=25mm2以上の面積を有するものが
好ましい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画線部から印刷流れ方向後方にインキ着
    けロールの円周の距離を隔てて設けられ、前記画線部と
    同一形状またはそれ以上の形状の画線部Aと、非画線部
    から印刷流れ方向後方にインキ着けロールの円周の距離
    を隔てて網点面積率を順次変化させた部位から成る画線
    部Bとを有し、画線部Aで印刷された比較画像の印刷濃
    度と、画線部Bで印刷された標準画像の予め定めた設定
    部位印刷濃度とを比較することによって湿し水供給量を
    制御することを特徴とする平版用印刷版。
  2. 【請求項2】 湿し水を利用して印刷を行なう平版印刷
    方式において、 画線部から印刷流れ方向後方にインキ着けロールの円周
    の距離を隔てて設けられ、前記画線部と同一形状または
    それ以上の形状の画線部Aと、非画線部から印刷流れ方
    向後方にインキ着けロールの円周の距離を隔てて網点面
    積率を順次変化させた部位から成る画線部Bとを有する
    印刷版を用い、 画線部Aによって印刷される比較画像の印刷濃度が、画
    線部Bによって印刷される標準画像の予め定めた設定部
    位の印刷濃度と等しくなるように湿し水の供給量を制御
    することを特徴とする平版印刷における湿し水供給量制
    御方法。
  3. 【請求項3】 前記予め定めた設定部位の印刷濃度が、
    比較画像において網点の太りまたは印刷汚れが見られる
    最低の湿し水供給量の比較画像の印刷濃度の1.02〜
    1.10倍の範囲の印刷濃度であることを特徴とする請
    求項2記載の平版印刷における湿し水供給量制御方法。
  4. 【請求項4】 画線部から印刷流れ方向後方にインキ着
    けロールの円周の距離を隔てて設けられ、前記画線部と
    同一形状またはそれ以上の形状の画線部Aと、非画線部
    から印刷流れ方向後方にインキ着けロールの円周の距離
    を隔てて網点面積率を順次変化させた部位から成る画線
    部Bとを有する印刷版と、湿し水供給量を調整できる湿
    し水供給手段と、 画線部Aの印刷濃度と、画線部Bの印刷濃度とを検知す
    る印刷濃度検知手段と、 画線部Aによって印刷される比較画像の印刷濃度が、画
    線部Bによって印刷される標準画像の予め定めた設定部
    位の印刷濃度と等しくなるように湿し水の供給量を調整
    する制御手段とを含むことを特徴とする平版印刷装置。
JP10074628A 1998-03-23 1998-03-23 平版印刷における湿し水供給量制御方法、それに用いる平版用印刷版およびそれを用いた平版印刷装置 Pending JPH11268231A (ja)

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