JP2005295523A - 送信装置及び無線通信装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 電力効率が良好で、送信出力電力の制御範囲が広く、かつ安定した電力を出力することができる送信装置及び無線通信装置を提供する。
【解決手段】 送信装置100は、第1のモードにおいて高周波電力増幅器105を非線形増幅器として動作させ、第2のモードにおいて高周波電力増幅器105を線形増幅器として動作させる。非線形増幅器として動作させる場合、高周波電力増幅器105の入力レベルは可変利得増幅器107により送信信号の平均出力電力に応じて変化する。更に、送信装置100は、高周波電力増幅器105の各モードの切換動作において誤差を減少するための補正テーブル121を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、送信装置及び無線通信装置に関し、特に送信信号を電力増幅して出力する送信装置及び無線通信装置に関する。
従来、包絡線変動成分を含む変調信号を増幅する高周波電力増幅器には、包絡線変動成分を線形に増幅するためにA級又はAB級の線形増幅器が用いられてきた。このような線形増幅器は、線形性には優れている反面、常時直流バイアス成分に伴う電力を消費しているために、C級乃至E級等の非線形増幅器に比べて電力効率が低い。このため、このような高周波電力増幅器を、電池を電源とする携帯型の無線機に適用した場合、高周波電力増幅器の電力消費量が多いため使用時間が短くなってしまう事情があった。また、大電力の送信装置を複数設置する無線システムの基地局装置に適用した場合においては、装置の大型化や発熱量の増大を招いてしまう事情があった。
そこで、高効率の送信装置として、図14に示すポーラ変調方式を採用した送信装置1が提案されている。この送信装置1は、振幅位相分離部2と、振幅変調信号増幅器3と、周波数シンセサイザ4と、非線形型増幅器である高周波電力増幅器5と、を備えている。
振幅位相分離部2にはベースバンド変調信号20が入力される。振幅位相分離部2から出力されたベースバンド振幅変調信号21は振幅変調信号増幅器3に入力される。振幅位相分離部2から出力されたベースバンド位相変調信号23は周波数シンセサイザ4に入力される。周波数シンセサイザ4から出力された高周波位相変調信号24は高周波電力増幅器5に入力される。高周波電力増幅器5においては送信出力信号25が出力される。
次に、送信装置1の動作を説明する。まず、ベースバンド変調信号20をSi(t)とすると、このベースバンド変調信号Si(t)は次式1で表すことができる。
Si(t)=a(t)exp[jφ(t)] …(1)
ここで、a(t)は振幅データであり、exp[jφ(t)]は位相データである。振幅位相分離部2によりベースバンド変調信号Si(t)から振幅データa(t)と位相データexp[jφ(t)]とが抽出される。振幅データa(t)はベースバンド振幅変調信号21に、位相データexp[jφ(t)]はベースバンド位相変調信号22に、それぞれ対応する。振幅データa(t)は振幅変調信号増幅器3で増幅されて高周波電力増幅器5に与えられる。これにより、高周波電力増幅器5の電源電圧値が振幅データa(t)に基づいて設定される。
周波数シンセサイザ4は搬送波角周波数ωcを位相データexp[jφ(t)]で変調した高周波位相変調信号24を生成し、この高周波位相変調信号24が高周波電力増幅器5に入力される。ここで、高周波位相変調信号24をScとすると、この高周波位相変調信号Scは次式2で表すことができる。
Sc=exp[ωct+φ(t)] …(2)
このように、高周波電力増幅器5に非線形増幅器を用いることにより、この高周波電力増幅器5の振幅データa(t)に基づく電源電圧値と周波数シンセサイザ4の出力信号とを掛け合わせた信号が高周波電力増幅器5の利得Gだけ増幅され生成される。高周波電力増幅器5はこの増幅され生成された信号を送信出力信号25として出力する。ここで、送信出力信号25をRF信号Srfとすると、このRF信号Srfは次式3で表すことができる。
Srf=Ga(t)Sc=Ga(t)exp[ωct+φ(t)] …(3)
高周波電力増幅器5に入力される信号は、振幅方向の変動成分を持たない位相変調信号であるため定包絡線信号となる。従って、高周波電力増幅器5として効率の良い非線形増幅器を使用することができるので、高効率の送信装置1を実現することができる。この種のポーラ変調送信方式を採用する送信装置は、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。
特表2002−530917号公報 特表2004−501527号公報
しかしながら、前述の送信装置1においては、高周波電力増幅器5の出力電力を制御する場合、高周波電力増幅器5が非線形増幅器であるために、入力信号に対して出力信号が線形に変化しない。従って、出力電力の制御も振幅変調と同様に電源電圧を変化させて行う必要がある。この場合、出力電力の制御範囲がリーク電力や電源電圧に対するトランジスタの動作限界等によって制限されるという事情があった。また、送信装置の各電子部品のばらつきや温度変化による特性変化により、要求された送信電力からの誤差が発生するという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、電力効率が良好であり、送信出力電力の制御範囲が広く、かつ、安定した電力を出力することができる送信装置及び無線通信装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る送信装置は、送信信号を電力増幅して出力する高周波電力増幅器を有する送信電力増幅手段と、前記高周波電力増幅手段の平均出力電力の補正を行なう補正手段と、を備え、前記送信電力増幅手段が、前記高周波電力増幅器を非線形増幅器として動作させて前記高周波電力増幅器の電源電圧に基づき前記送信信号の振幅変調及び平均出力レベルの制御を行う第1のモードと、前記高周波電力増幅器を線形増幅器として動作させて前記高周波電力増幅器の前段で前記送信信号の振幅変調及び平均出力レベルの制御を行う第2のモードと、を有し、前記補正手段は、前記平均出力レベルを補正するための補正値の情報を格納している補正テーブルを備え、かつ、前記補正テーブルに格納されている前記補正値の情報に基づいて前記平均出力レベルを補正する構成を採る。
この構成により、第1のモード例えば高出力モードにおいて、高周波電力増幅器を非線形増幅器として動作させることにより、電力効率を著しく高めることができ、又第2のモード例えば低出力モードにおいて、高周波電力増幅器を線形増幅器として動作させることにより、送信出力電力を広い範囲にわたって制御することができるとともに、1つの増幅器を極めて効率的に使用することができ、電力効率を著しく高めることができる。
また、この構成により、送信装置の複数の電子部品の特性のばらつき又は温度変化などによる送信装置の特性変化に対応して平均出力電力の補正を行うことができるので、高い精度においてかつ安定した特性において送信電力の制御を行うことができる。
本発明の第2の態様に係る送信装置は、本発明の第1の態様において、前記送信電力増幅手段が、前記高周波電力増幅器の前段に配設された掛算器と、前記掛算器の前段に配設された可変利得増幅器とを備え、前記第2のモードにおいて、前記掛算器が前記送信信号の振幅変調を制御し、かつ、前記可変利得増幅器が前記送信信号の平均出力レベルを制御する構成を採る。
この構成により、本発明の第1の態様の効果に加えて、第2のモードにおいて高周波電力増幅器は線形動作を行い、高周波電力増幅器の電源電圧が一定になるので、高周波電力増幅器において送信信号の振幅変調と平均出力レベルの制御を行うことができないが、前段に配設された掛算器において前記送信信号の振幅変調を行うことができ、前記掛算器の前段に配設された可変利得増幅器において前記送信信号の平均出力レベルの制御を行うことができるので、高周波電力増幅器の線形動作を実現することができ、広い範囲にわたって送信出力電力を制御することができる。
また、この構成により、送信装置の複数の電子部品の特性のばらつき又は温度変化などによる送信装置の特性変化に対応して平均出力電力の補正を行うことができるので、高い精度においてかつ安定した特性において送信電力の制御を行うことができる。
本発明の第3の態様に係る送信装置は、本発明の第1又は第2の態様において、前記第1のモードにおいて、前記高周波電力増幅器の入力レベルが前記送信信号の平均出力電力に応じて変化する構成を採る。
この構成により、本発明の第1又は第2の態様の効果に加えて、高周波電力増幅器の入力レベルを送信信号の平均出力電力に応じて変化するようにしたので、リーク電力を低減することができ、高周波電力増幅器の非線形動作において電源電圧による送信出力電力の制御範囲を拡大することができる。
また、この構成により、送信装置の複数の電子部品の特性のばらつき又は温度変化などによる送信装置の特性変化に対応して平均出力電力の補正を行うことができるので、高い精度においてかつ安定した特性において送信電力の制御を行うことができる。
本発明の第4の態様に係る送信装置は、本発明の第1乃至第3の態様のいずれかにおいて、前記第1のモードにおいて、前記高周波電力増幅器の入力レベルが前記送信信号の瞬時出力電力に応じて変化する構成を採る。
この構成により、本発明の第1乃至第3の態様のいずれかの効果に加えて、高周波電力増幅器の入力レベルを送信信号の瞬時出力電力に応じて変化するようにしたので、瞬時レベル変動に追従し、リーク電力も低減することができ、瞬時レベル変動の再現性を向上することができる。
本発明の第5の態様に係る送信装置は、本発明の第1の態様において、前記補正テーブルが、前記第1のモードにおいて前記高周波電力増幅器の電源電圧値を補正する補正値の情報と、前記第2のモードにおいて前記高周波電力増幅器の入力レベルを補正する補正値の情報と、を格納している構成を採る。
この構成により、本発明の第1の態様の効果に加えて、送信装置の複数の電子部品の特性のばらつき又は温度変化などによる送信装置の特性変化に対応して平均出力電力の補正をモードごとに行うことができるので、より高い精度においてかつ安定した特性において送信電力の制御を行うことができる。
本発明の第6の態様に係る送信装置は、本発明の第1の態様において、前記補正テーブルが、前記第1のモードにおいて前記高周波電力増幅器を非線形増幅器として動作させるための入力レベル及び前記平均出力レベルを補正するための電源電圧値を補正する補正値の情報と、前記第2のモードにおいて前記高周波電力増幅器を線形増幅器として動作させるための電源電圧値及び前記平均出力レベルを補正するための入力レベルを補正する補正値の情報と、を格納している構成を採る。
この構成により、本発明の第1の態様の効果に加えて、送信装置の複数の電子部品の特性のばらつき又は温度変化などによる送信装置の特性変化に対応して平均出力電力の補正をモードごとに高周波電力増幅器の電源電圧及び入力レベルを補正することができるので、より高い精度においてかつ安定した特性において送信電力の制御を行うことができる。
また、この構成により、平均出力電力を利用してその補正をするようにしているので、瞬時電力を利用してその補正をする場合に比較して演算量やメモリ容量を減少することができ、回路規模を小型化することができる。
本発明の第7の態様に係る送信装置は、本発明の第5又は第6の態様において、前記補正手段が、前記高周波電力増幅手段から出力される平均出力電力を検出する電力検出部と、前記電力検出部において検出された平均出力電力に基づき補正値を算出する補正値算出部と、前記補正値算出部により算出された前記補正値により前記補正テーブルに格納された前記補正値を更新する補正値更新手段と、を更に具備する構成を採る。
この構成により、本発明の第5又は第6の態様の効果に加えて、電力検出部において検出された平均出力電力に基づき補正値を算出しこの算出された前記補正値で補正テーブルに格納された補正値を更新するため、高い精度においてかつ安定した特性において送信電力の制御を行うことができる。
本発明の第8の態様に係る無線通信装置は、本発明の第1の態様に係る送信装置と、前記送信装置からの送信信号を受けて無線送信信号を生成して出力するアンテナと、を具備する構成を採る。
この構成により、第1のモードにおいて、送信装置の電力効率を高くすることができるので、電池、バッテリー等の電源の使用期間を延ばすことができるとともに、送信装置の高周波電力増幅器を小型化することができるので、無線通信装置の小型化並びに軽量化を実現することができる。
本発明によれば、電力効率が良好であり、送信出力電力の制御範囲が広く、かつ安定した電力を出力することができる送信装置及び無線通信装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一機能を有する構成には同一符号を付け、重複部分の説明は省略する。
(実施の形態1)
[送信装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置200は、送信装置100、送受信切換器201、アンテナ202及び受信部203を具備している。
送信装置100は、振幅位相分離部101、補正部120、掛算器102、スイッチ103、振幅変調信号増幅器104、高周波電力増幅器105、周波数シンセサイザ106、可変利得増幅器107、掛算器108、下限値制限回路109、スイッチ110、加算器111及び直流電圧電源115を具備している。
振幅位相分離部101は、ベースバンド変調信号S0を受けてベースバンド振幅変調信号S1とベースバンド位相変調信号S2とに分離する。掛算器102は、振幅位相分離部101からのベースバンド振幅変調信号S1の値(電圧値)と補正部120からの振幅変調制御信号S21の値(電圧値)とを掛算する。スイッチ103は、モード切換信号S6に基づいて切換制御される。以下、信号の値は、電圧値を示すものとする。
振幅変調信号増幅器104は、高周波電力増幅器105に電源電圧を供給する。高周波電力増幅器105は、掛算器108からの出力信号を電力増幅して送信出力信号S4を出力する。周波数シンセサイザ106は、ベースバンド位相変調信号S2で搬送波信号を位相変調して高周波位相変調信号S3を生成する。可変利得増幅器107は、高周波位相変調信号S3の信号レベルを調整する。
掛算器108は、可変利得増幅器107の出力信号の値とベースバンド振幅変調信号S1の値とを掛算する。下限値制限回路109は、ベースバンド振幅変調信号S1の振幅変動の下限値を制限する。スイッチ110は、モード切換信号S6により切換制御される。加算器111は、可変利得制御信号S20の値と利得オフセット信号S8の値とを加算する。
補正部120は、利得制御信号S5とモード切換信号S6とを受ける。補正部120は、利得制御信号S5とモード切換信号S6とに基づき補正テーブル(図2に示す符号121を付けて示す。)を参照し、可変利得制御信号S20と振幅変調制御信号S21とを出力する第1のモードと、可変利得制御信号S20と直流電圧源制御信号S22とを出力する第2のモードと、を有する。直流電圧源制御信号S22は、直流電圧電源115に入力される。
補正部120は、図2に示すような補正テーブル121を備えている。補正テーブル121は、要求電力値125、モード番号126、領域番号127、第1の補正データ128及び第2の補正データ129を有する情報を格納している。要求電力値125としては、利得制御信号S5に対応した値(dBm)が格納されている。モード番号126としては、第1のモードと第2のモードとを区別するための情報が格納されている。領域番号127としては、図3に示すように、送信装置100の特性を複数の領域に区分けして補正を行う場合の領域番号の情報が格納されている。
図3は、要求電力値に対し、その要求電力を出力するために必要な高周波電力増幅器105の電源電圧値を示している。図3において、横軸は要求電力値を示し、縦軸は出力電圧値を示す。図3に示すように、要求電力値と高周波電力増幅器105の電源電圧値との関係が線形な領域において区分して、これらの領域区分範囲ごとに所定の補正を行う。このようにすることにより、各要求電力値ごとに個別に補正を行う場合と比較して、補正値の更新を行う時に更新を行う補正値の数が領域区分範囲の数に依存するため(1つの領域区分範囲では一定の補正値)、補正値の更新を行う時間が短くなる。
第1の補正データ128としては、可変利得制御信号S20の補正値(電圧V)の情報が格納されている。第2の補正データ129としては、第1のモードにおいて振幅変調制御信号S21の補正値(電圧V)の情報が格納され、第2のモードにおいて直流電圧源制御信号S22の補正値(電圧V)が格納されている。
なお、補正テーブル121は、第2の補正データ129を有しないように構成されてもい。また、実施の形態1においては、図3に示すように、送信装置100の特性を複数の領域に区分けして補正することとしたが、このような区分けした補正を行なわずにすべてをひとつの領域として補正してもよい。この場合には、補正テーブル121から領域番号127の情報(項目)は削除される。これにより、補正テーブル121の情報量を減少することができるので、補正テーブル121を構築するメモリ容量を減少することができる。 補正部120は、図4に示すように、前述の補正テーブル121及びスイッチ131を備えている。
[送信装置の動作]
次に、前述の送信装置100の動作を説明する。図1に示す送信装置100において、高周波電力増幅器105の動作モードは、例えば無線基地局から送信装置100への送信電力レベル指定又は送信装置100の受信信号の状態に基づく送信電力レベルに応じて決定される。送信出力信号S4のレベルが大きい場合は、高周波電力増幅器105が非線形増幅器となる動作モード(第1のモード)になることが電力効率の観点から好ましい。一方、送信出力信号S4のレベルが低くなり高周波電力増幅器105が非線形増幅器として動作可能な範囲から外れる場合、高周波電力増幅器105が線形増幅器となる動作モード(第2のモード)において動作させることが好ましい。
補正部120は、高周波電力増幅器105の平均出力電力の補正を行なうものである。次に、補正部120の動作について詳細に説明する。
まず最初に、モード切換信号S6及び利得制御信号S5が補正部120に入力される。利得制御信号S5は、補正部120において補正テーブル121の要求電力値125と比較され、モード切換信号S6は補正テーブル121のモード番号126と比較される。比較の結果、双方とも一致した場合、補正テーブル121の同一列の第1の補正データ128と第2の補正データ129とが補正テーブル121から出力される。
第1の補正データ128は可変利得制御信号S20として出力される。また、第1のモードにおいて、モード切換信号S6によりスイッチ131(図4参照)の端子aと端子cとの間が接続され、第2の補正データ129はスイッチ131を通して振幅変調制御信号S21として出力される。
第2のモードにおいて、モード切換信号S6によりスイッチ131の端子bと端子cとの間が接続され、第2の補正データ129はスイッチ131を通して直流電圧源制御信号S22として出力される。
次に、補正部120における補正テーブル121の補正値の決定動作について説明する。補正テーブル121に格納される情報の格納(入力)は外部から行われる。ここで、外部とは、例えば送信装置100又は無線通信装置200の外部機器という意味で使用され、具体的には送信装置100又は無線通信装置200を製造する工場のデータ書込装置である。まず、事前に実験等により決定された基準値が準備される。
この基準値に基づき個々の送信装置100において平均送信電力に応じて補正テーブル121の補正値の更新を行い、この更新された補正値は補正テーブル121に格納される情報として保持される。これによって、個々の送信装置100においては、各々の特性に適合する補正テーブル121を備えることができる。
モード切換信号S6は、所望の送信電力レベルと高周波電力増幅器105の特性とに基づいて設定される。直流電圧S7は、直流電圧電源115から出力される。ここで、送信装置100に入力される利得制御信号S5、モード切換信号S6及び利得オフセット信号S8は、例えば図示しない制御部により設定され供給される。なお、制御部は送信装置100の内部に配設されている。また、制御部は、送信装置100を無線通信装置等に組み込む場合には、無線通信装置の動作を制御する制御部と共用するようにしてもよい。
最初に、高周波電力増幅器105の送信出力信号S4のレベルが比較的大きい第1のモードの場合を説明する。この時、高周波電力増幅器105は飽和動作又はスイッチング動作領域の非線形増幅器として動作する。ベースバンド変調信号S0は振幅位相分離部101により、ベースバンド振幅変調信号S1とベースバンド位相変調信号S2とに分離される。
ベースバンド振幅変調信号S1の値は、掛算器102によって振幅変調制御信号S21の値と掛け合わされ、掛算器102の出力信号はスイッチ103の端子aに入力される。高周波電力増幅器105で振幅変調が行われる場合(送信出力信号S4のレベルが比較的大きい場合)、モード切換信号S6によりスイッチ103の端子aと端子cとの間が接続される。スイッチ103の端子cから出力されたベースバンド振幅変調信号S1の値と振幅変調制御信号S21の値との乗算値は振幅変調信号増幅器104において増幅され、この増幅された信号は高周波電力増幅器105の電源電圧として高周波電力増幅器105に供給される。高周波電力増幅器105においては振幅変調動作が行われる。
ここで、振幅変調信号増幅器104はベースバンド振幅変調信号S1のレベルに応じて電源電圧を高効率に変化することができるので、パルス幅で振幅情報を表すD級増幅器を使用することが好ましい。
一方、ベースバンド位相変調信号S2は周波数シンセサイザ106に入力される。周波数シンセサイザ106は搬送波信号をベースバンド位相変調信号S2で位相変調した高周波位相変調信号S3を生成して出力する。この高周波位相変調信号S3は、可変利得増幅器107において利得制御信号S9に基づき増幅(又は減衰)された後、掛算器108に出力される。
ここで、可変利得増幅器107に入力される利得制御信号S9は、加算器111で可変利得制御信号S20の値に利得オフセット信号S8の値を加算することで得られる。利得オフセット信号S8は、可変利得増幅器107が高周波電力増幅器105を飽和動作又はスイッチング動作領域の非線形増幅器として動作させるのに適した信号レベルに調整するように設定されている。
送信出力信号S4のレベルが比較的大きい場合、モード切換信号S6によりスイッチ110の端子aと端子cとの間が接続される。このため、下限値制限回路109でベースバンド振幅変調信号S1の振幅変動の下限値を制限した信号が、このスイッチ110を通して掛算器108に与えられる。
これにより、掛算器108によって可変利得増幅器107の出力信号の値とベースバンド振幅変調信号S1の振幅変動の下限値を制限した信号の値とが掛け合わされた信号が位相変調信号となる。この掛算器108から出力される位相変調信号は高周波電力増幅器105に入力され、位相変調信号の値は振幅変調信号の値と掛け合わされて送信出力信号S4となって高周波電力増幅器105から出力される。
高周波電力増幅器105は、非線形増幅器として動作させた場合、図5に示すように、非線形増幅器1050を備え、更に非線形増幅器1050の入力側と出力側との間に寄生容量1051が付加される。非線形増幅器1050においては、図6に示すように、電源電圧の2乗と出力電力とは比例する。ここで、リーク電力の大きさは、寄生容量1051と非線形増幅器1050の入力信号のレベル(掛算器108の出力信号のレベル)とにより定められている。
ここで、可変利得増幅器107と掛算器108とを配設しない場合には、周波数シンセサイザ106の出力レベルはほぼ一定であるからリーク電力も一定となる。送信出力信号S4のレベルを下げるためには、非線形増幅器1050の電源電圧を下げればよいが、リーク電力に制限され、一定値よりレベルを下げることができない。
一方、実施の形態1においては、利得制御信号S9により可変利得増幅器107の利得を制御して、高周波電力増幅器105に入力される位相変調信号のレベルを制御することにより、リーク電力を低減することができる。従って、高周波電力増幅器105において、電源電圧による出力電力の制御範囲を拡大することができる。このように、振幅変調信号の平均出力を設定する利得制御信号S5に基づいてベースバンド位相変調信号S2を増幅することにより、可変利得増幅器107によるレベル制御が振幅変調信号の平均電力に追従することができる、すなわち、高周波電力増幅器105の入力を平均出力電力に応じて制御することができる。
更に、掛算器108で可変利得増幅器107の出力信号の値をベースバンド振幅変調信号S1の値と掛け合わせることにより、高周波電力増幅器105の入力レベルは振幅変調信号の瞬時レベル変動に追従し、リーク電力も低減することができるので、瞬時レベル変動の再現性を向上することができる。すなわち、高周波電力増幅器105の入力を瞬時出力電力に応じて制御することができる。
ここで、高周波電力増幅器105の入力レベルを下げすぎると、飽和動作又はスイッチング動作領域の範囲から外れ、電源電圧の変化に対する線形性が劣化する。そこで、下限値制限回路109を配設して高周波電力増幅器105の入力レベルを一定値以上に保持している。なお、掛算器108においては、送信出力信号S4に振幅変調を掛けるのではなく、振幅変動に追従してリーク電力を低減すればよいので、瞬時レベル変動の低レベル側が制限されても特性上問題にはならない。
次に、送信出力信号S4のレベルが比較的小さい第2のモードの場合を説明する。この時、高周波電力増幅器105は入出力関係が線形な線形増幅器として動作する。まず、スイッチ103において、モード切換信号S6により端子bと端子cとの間が接続される。これにより、直流電圧値S7がスイッチ103を介して振幅変調信号増幅器104から入力され、振幅変調信号増幅器104は高周波電力増幅器105に一定の電源電圧を供給する。
一方、ベースバンド位相変調信号S2は周波数シンセサイザ106に入力され、周波数シンセサイザ106は搬送波信号をベースバンド位相変調信号S2で位相変調した高周波位相変調信号S3を可変利得増幅器107に出力する。高周波位相変調信号S3は可変利得増幅器107において利得制御信号S9に基づき増幅(又は減衰)され、この可変利得増幅器107の出力は掛算器108に入力される。この場合、利得オフセット信号S8はゼロに設定される。従って、利得制御信号S5(=利得制御信号S9)は加算器111を通して可変利得増幅器107に入力される。
また、この場合、スイッチ110においては、モード切換信号S6によって端子bと端子cとの間が接続される。従って、ベースバンド振幅変調信号S1がスイッチ110を介して掛算器108に入力される。掛算器108は、可変利得増幅器107で増幅された高周波位相変調信号S3の値とベースバンド振幅変調信号S1の値とを掛け合わせる。高周波電力増幅器105は掛算器108の出力を線形増幅し、高周波電力増幅器105は送信出力信号S4を出力する。
従って、送信出力信号S4のレベルが小さく、高周波電力増幅器105において飽和動作又はスイッチング動作領域から外れる可能性がある場合、すなわち電源電圧の変化に対する出力電力の線形性が劣化する場合においても、高周波電力増幅器105を線形増幅器として動作させることができるので、入力信号に対する出力信号の線形性を保持することができるとともに、出力電力の制御範囲を広げることができる。
このように、実施の形態1によれば、送信出力信号S4のレベルが比較的大きい第1のモードにおいて、高周波電力増幅器105を非線形増幅器1050として動作させ、高周波電力増幅器105に供給される電源電圧により振幅変調及び平均出力レベルの制御を行うことができるとともに、送信出力信号のレベルが比較的小さい第2のモードにおいて、高周波電力増幅器105を線形増幅器として動作させ、高周波電力増幅器105の前段に配設された掛算器108により振幅変調を行い、掛算器108の前段に配設された可変利得増幅器107により平均出力レベルの制御を行うことができ、広い範囲にわたって送信出力信号S4のレベルを制御することができる。
更に、実施の形態1によれば、送信出力信号S4が大きい場合に高周波電力増幅器105を非線形増幅器として動作させることができるので、電力効率を向上させることができる。
更に、実施の形態1によれば、高周波電力増幅器105を非線形増幅器として動作させる場合に、利得制御信号S9により可変利得増幅器107の利得を制御して高周波位相変調信号S3のレベルを可変することができ、リーク電力を低減することができるので、電源電圧による出力電力の制御範囲を拡大することができる。
更に、実施の形態1によれば、高周波位相変調信号S3の値を掛算器108においてベースバンド振幅変調信号S1の値と掛け合わせることにより、高周波電力増幅器105の入力レベルはベースバンド振幅変調信号S1の瞬時レベル変動に追従し、リーク電力も低減することができるので、瞬時レベル変動の再現性を向上することができる。
[無線通信装置の構成]
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置200は、前述の送信装置100と、送信装置100の高周波電力増幅器105の出力側に接続され送信出力信号S4が入力される送受信切換器201と、送受信切換器201に接続されたアンテナ202とを備えている。
ここで、無線通信装置200には、例えば携帯電話機、通信機能を有する携帯情報端末等の携帯無線端末装置や、無線基地局に設置された無線通信装置等が、少なくとも含まれている。
[無線通信装置の動作]
次に、前述の無線通信装置200の動作を説明する。ここでは、無線通信装置200は携帯無線端末装置として動作を説明する。
送信時において、無線通信装置200は、高周波電力増幅器105において電力増幅した送信出力信号S4を送受信切換器201を通してアンテナ202から送信する。
一方、受信時において、無線通信装置200は、受信信号をアンテナ202から送受信切換器201に入力し、この送受信切換器201は受信信号を受信部203へ出力する。
なお、実施の形態1においては、平均送信電力に基づき補正部120の補正テーブル121の更新を行うようにしているが、この更新処理を行なわずに基準値をそのまま補正テーブル121に格納してもよい。この場合、1度基準値を決定すれば、個々の送信装置100において同じ基準値を利用することができるので、外部から補正テーブル121に補正値の情報を格納する処理を減少することができる。
このように、実施の形態1によれば、送信装置100又は無線通信装置200に補正部120を備え、この補正部120の補正テーブル121をモード毎に切り換えて高周波電力増幅器105の平均出力電力の補正を行うようにしたので、送信装置100又は無線通信装置200の製品毎の特性のばらつきを減少することができ、また、第1のモードと第2のモードとの切り換えの際の誤差を減少することができるので、精度が高くかつ安定した高周波増幅を実現することができる。
また、実施の形態1によれば、第1のモード及び第2のモードに応じた補正値を補正テーブル121に保持しているため、最適なモード切換が可能となる。
また、実施の形態1によれば、モードごとの補正値を補正テーブル121に保持しているため、複数の切換ポイントを存在させることができるから、常に最適なポイントでモード切換が可能となり、また、第1のモードから第2のモードへの切換ポイントと第2のモードから第1のモードへの切換ポイントとを分けることができるため、モード切換ポイント付近での要求電力に対して必要最低限おモード切換のみで対応することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態2においては、本発明の実施の形態1と同じ構成要素には同じ参照符号を付してこれらの説明を省略する。
[送信装置及び無線通信装置の構成]
図7に示すように、本発明の実施の形態2に係る送信装置100及びこの送信装置100が組み込みまれた無線通信装置200は、実施の形態1に係る送信装置100及び無線通信装置200に加えて、電力検出部141、補正値算出部142及び補正部145を具備している。電力検出部141は、高周波電力増幅器105から出力される平均出力電力を検出する。補正値算出部142は、電力検出部141において検出された平均出力電力に基づき補正値を算出する。補正部145は、補正テーブル121を有し、この補正テーブル121に格納された補正値を更新する。
更に、送信装置100及び無線通信装置200は、カップラー140及び遅延器143、144を備えている。カップラー140は、高周波電力増幅器105の出力を取り出す。遅延器143は、利得制御信号S5を遅延調整して補正値算出部142に与える。遅延器144は、モード切換信号S6を遅延調整して補正値算出部142に与える。送信装置100及び無線通信装置200においては、補正部145に具備する補正テーブル121の補正値を更新することができる。
補正部145は、図8に示すように、実施の形態2に係る送信装置100及び無線通信装置200の補正部120と基本的には同一構造を備えているが、補正値算出部142を新たに備えているので、補正テーブル121には補正値算出部142から出力される補正テーブル更新値S25が入力されている。
補正値算出部142は、図9に示すように、利得制御信号領域変換器150及び比較器151を備えている。
[送信装置及び無線通信装置の補正制御動作]
次に、本発明の実施の形態2に係る送信装置100及び無線通信装置200において、高周波電力増幅器105から出力される送信出力信号S4の出力電力の補正制御動作を、図9及び図10を用いて説明する。
最初に、ステップST1に示すように、利得制御信号S5とモード切換信号S6とを利用し、補正部145から振幅変調制御信号(補正値)S21を出力する。ここで、補正値は初期値であり、この初期値は送信装置100及び無線通信装置200の外部から例えば製品出荷時に与えられる。初期値の設定は、まず事前に実験等により初期値として最適な基準値を準備する。
この基準値に基づき、個々の送信装置100及び無線通信装置200は補正部145の補正テーブル121の更新を行い、この更新後の補正テーブル121に格納されたデータが初期値として使用される。初期値は、補正テーブル121の一部又は別途配設された不揮発性メモリ等の記憶装置に格納され、送信装置100又は無線通信装置200のシステム起動時に記憶装置から補正テーブル121に格納される。
高周波電力増幅器105においては、ステップST2に示すように、補正部145から出力された補正値に基づき、補正された適正な送信出力信号S4を出力する。
高周波電力増幅器105から出力された送信出力信号S4は、図7に示すカップラー140を経て送受信切換器201に入力される。ステップST3に示すように、電力検出部141は、カップラー140を介して、送信出力信号S4から平均出力電力データS26をデジタルデータとして測定する。測定された平均出力電力データS26は補正値算出部142に出力される。
補正値算出部142おいては、ステップST4に示すように、平均出力電力データS26と利得制御信号S5とが比較され、補正テーブル更新値S25を算出する。補正値算出部142は、図9に示す比較器151において、電力検出部141から出力される平均出力電力データS26の値と、平均出力電力データS26の測定時に補正部145の参照に利用した利得制御信号S5の値との大きさを比較する。比較器151は、平均出力電力データS26の値が利得制御信号S5の値に対して小さい場合には補正値を上げる「UP」命令を、逆に大きい場合には補正値を下げる「Down」命令を、補正テーブル更新値S25として補正部145に与える。
また、利得制御信号S5は、補正テーブル更新値S25の算出に利用され、遅延器143を経て補正値算出部142に入力される。また、利得制御信号S5は、利得制御信号領域変換器150に入力される。利得制御信号領域変換器150は、利得制御信号S5の値を図2に示す補正テーブル121の領域番号127の情報に変換し、この情報を補正部145に与える。モード切換信号S6は、遅延器144を経て補正値算出部142に入力され、そのまま補正テーブル更新値S25として補正部145に与えられる。
補正部145は、ステップST5に示すように、補正テーブル更新値S25として「UP」命令を取得した場合には、第1の補正データ128と第2の補正データ129の補正値を固定ステップ分例えば1dBだけ大きくする更新が行われる。また、補正部145は、補正テーブル更新値S25として「Down」命令を取得した場合には、第1の補正データ128の補正値と第2の補正データ129の補正値とを固定ステップ分小さくする更新を行う。すなわち、補正テーブル121の補正値が更新される。
これらのステップST1からステップST5の補正制御処理は、補正値算出部142において、平均出力電力データS26と利得制御信号S5とを比較して差が無くなる程度まで充分繰り返し行われる。この補正テーブル121の補正値の更新は連続的に行われる。なお、補正テーブル121の補正値の更新は、必ずしも連続的に行うことに限定されるものではなく、周期的に、又は更新要求が発生した場合に行うようにしてもよい。
ここでは、補正テーブル121の初期値を基準値に基づく更新処理により作成した例を説明しているが、基準値をそのまま補正テーブル121の初期値として使用することができる。この場合、一度基準値を設定すれば、複数の送信装置100及び無線通信装置200において、共通した基準値を補正テーブル121の初期値として使用することができ、補正制御処理を減少することができる。
[補正値算出部の変形例]
実施の形態2に係る送信装置100及び無線通信装置200は、図9に示す補正値算出部142に代えて、図11に示す補正値算出部1420を備えるように構成されてもよい。この補正値算出部1420は、加算器152、差補正値変換器153及び利得制御信号領域変換器150を具備している。加算器152は、電力検出部141から出力される平均出力電力データS26の値と遅延器143を経て入力される利得制御信号S5の値とを加算する。差補正値変換器153は、加算器152から出力される出力信号を受ける。
この補正値算出部1420を具備する送信装置100及び無線通信装置200の補正制御動作は、以下のように行われる。
電力検出部141から出力される平均出力電力データS26と、補正部145の参照に利用され遅延器143を経た利得制御信号S5とが補正値算出部1420に入力される。この補正値算出部1420は、加算器152において、平均出力電力データS26の値と利得制御信号S5の値との差を算出する。この算出結果は、加算器152から差補正値変換器153に与えられ、この出力信号に基づき差補正値変換器153は補正値を算出する。
このように構成される図11に示す補正値算出部1420によれば、利得制御信号S5の値と平均出力電力データS26の値との差から送信装置100の特性を推定し補正テーブル121の補正値の更新を行うことができるので、図9に示す補正値算出部142と比較して、補正テーブル121の補正値の更新時間を短縮することができる。
このように、実施の形態2によれば、補正部145において補正テーブル121の補正値の更新を連続的に行い、温度変化等に起因する特性の変化に追従して高周波電力増幅器105の送信出力電力を補正することができるので、高い精度において高周波増幅を実現することができる。
更に、実施の形態2によれば、平均出力電力を利用して補正テーブル121の補正値の更新を行っているので、振幅や位相を利用した瞬時電力を利用して補正を行う場合に比較して、演算量及びメモリ容量を減少することができるため、送信装置100及び無線通信装置200の回路規模を小さくし、小型化及び軽量化を実現することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、図面を参照して説明する。図12は、本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態3においては、本発明の実施の形態1、2と同じ構成要素には同じ参照符号を付してこれらの説明を省略する。
[送信装置及び無線通信装置の構成]
本発明の実施の形態3に係る送信装置100及び無線通信装置200は、図12に示すように、実施の形態2に係る送信装置100及び無線通信装置200のカップラー140に代えて配設されたスイッチ160と、補正部145の前段において利得制御信号S5と補正参照信号S16との入力を切り換えるスイッチ161とを備えている。
この送信装置100及び無線通信装置200においては、実施の形態2に係る補正制御動作に加えて、送信電力増幅時と補正テーブル121の補正値の更新時とを切り換えることができる。なお、スイッチ160、161のいずれも、補正制御信号S15により切換制御が行われるようになっている。
[送信装置及び無線通信装置の補正制御動作]
次に、本発明の実施の形態3に係る送信装置100及び無線通信装置200において、高周波電力増幅器105から出力される送信出力信号の出力電力の補正制御動作を、図12及び図13を用いて説明する。
実施の形態3に係る補正制御動作は、基本的には実施の形態2に係る補正制御動作と同様に、ステップST1の補正値の出力段階と、ステップST2の送信出力信号S4の出力段階と、ステップST3の平均出力電力データS26の測定段階からステップST5の補正値の更新段階までとを備え、ステップST2とステップST3との間にステップST10として送信電力増幅処理と補正テーブル更新処理とのいずれかを選択する処理選択段階を更に備えている。
補正テーブル121の補正値の更新時、すなわち、補正テーブル121の補正値を更新する要求があった場合、ステップST10に示すように、補正制御信号S15がスイッチ160、161のそれぞれに入力される。この補正制御信号S15に基づき、スイッチ160においては端子bと端子cとの間が接続され、スイッチ161においては端子bと端子cとの間が接続される。
スイッチ160の切換動作に基づき、高周波増幅器105から出力される送信出力信号S4はスイッチ160を通して電力検出部141に入力され、この電力検出部141において平均出力電力を測定することができる。
そして、補正部145には利得制御信号S5の代わりに補正参照信号S16が入力され、この補正参照信号S16に基づき補正テーブル121の補正値を更新することができる。補正テーブル121の補正値の更新は補正制御信号S15に基づく補正値の更新要求があったときのみ行われる。
一方、送信電力増幅時には、補正制御信号S15がスイッチ160、161のそれぞれに入力される。補正制御信号S15に基づき、スイッチ160においては端子aと端子cとの間が接続され、スイッチ161においては端子aと端子cとの間が接続される。スイッチ160の切換動作に基づき、高周波増幅器105から出力される送信出力信号S4はスイッチ160を通して送受信切換器201に入力される。送受信切換器201においては、送信出力信号S4を介してアンテナ202から放射することができる。また、スイッチ161の切換動作に基づき、補正部145には利得制御信号S5が入力される。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、高出力電力時には高周波電力増幅器105を非線形増幅器として動作させることができるので、電力効率を向上することができる。また、本発明の実施の形態によれば、特に、電池、バッテリーを電源とする携帯無線端末装置においては、電池やバッテリー等の消耗を防止することができ、使用時間を長くすることができる。また、本発明の実施の形態によれば、高周波電力増幅器105の電力効率を向上することができるので、送信装置100及び無線通信装置200の小型化や軽量化を実現することができる。また、本発明の実施の形態によれば、送信装置100及び無線通信装置200の小型化は、発熱量の低減化を実現することができる。
更に、本発明の実施の形態によれば、第1のモードと第2のモード毎とに対応させた2種類の補正値を格納した補正テーブル121に基づき、平均出力電力の補正を行うようにしているので、モード切換時に伴う補正値の誤差をなくし、製品間の特性のばらつきや温度変化に伴う特性の変化を吸収することができる。従って、送信装置100及び無線通信装置200においては、安定した送信出力信号を出力することができる。
更に、本発明の実施の形態によれば、大電力が要求される、送信装置100を複数設置する無線システムの基地局装置に適用した場合、高周波電力増幅器105を小型化することができるとともに、発熱量を低減することができるので、設備の大型化を防止することができ、設置スペースを有効に利用することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能である。
本発明は、電力効率が良好であり、送信出力電力の制御範囲が広く、かつ安定した電力を出力することができるという効果を有し、携帯電話機、携帯情報端末等の携帯端末装置や、無線基地局等の無線通信装置等に有効である。
本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の送信装置の補正テーブルに格納される情報内容を説明するための図 本発明の実施の形態1に係る要求電力値と電源電圧値との関係を示す図 本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の送信装置の補正部の構成を示すブロック図 図1に示す送信装置の高周波電力増幅器を非線形増幅器として動作させた場合の回路構成を示す図 図5に示す高周波電力増幅器の特性図 本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の送信装置の補正部の構成を示すブロック図 本発明の実施の形態2に係る無線通信装置の送信装置の補正値算出部の構成を示すブロック図 図7に示す送信装置及び無線通信装置の補正制御動作を説明するフローチャート 図7に示す送信装置及び無線通信装置の補正値算出部の変形例に係る概略構成を示すブロック図 本発明の実施の形態3に係る無線通信装置の概略構成を示すブロック図 図12に示す送信装置及び無線通信装置の補正制御動作を説明するフローチャート 従来技術に係る送信装置のブロック図
符号の説明
100 送信装置
101 振幅位相分離部
102、108 掛算器
103、110、160、161 スイッチ
104 振幅変調信号増幅器
105 高周波電力増幅器
106 周波数シンセサイザ
107 可変利得増幅器
109 下限値制限回路
111、152 加算器
120、145 補正部
121 補正テーブル
141 電力検出部
142 補正値算出部
143、144 遅延器
140 カップラー
150 利得制御信号領域変換器
151 比較器
153 差補正値変換器
200 無線通信装置
201 送受信切換器
202 アンテナ

Claims (8)

  1. 送信信号を電力増幅して出力する高周波電力増幅器を有する送信電力増幅手段と、
    前記高周波電力増幅手段の平均出力電力の補正を行なう補正手段と、を備え、
    前記送信電力増幅手段は、前記高周波電力増幅器を非線形増幅器として動作させて前記高周波電力増幅器の電源電圧に基づき前記送信信号の振幅変調及び平均出力レベルの制御を行う第1のモードと、前記高周波電力増幅器を線形増幅器として動作させて前記高周波電力増幅器の前段で前記送信信号の振幅変調及び平均出力レベルの制御を行う第2のモードと、を有し、
    前記補正手段は、前記平均出力レベルを補正するための補正値の情報を格納している補正テーブルを備え、かつ、前記補正テーブルに格納されている前記補正値の情報に基づいて前記平均出力レベルを補正することを特徴とする送信装置。
  2. 前記送信電力増幅手段は、前記高周波電力増幅器の前段に配設された掛算器と、前記掛算器の前段に配設された可変利得増幅器とを備え、
    前記第2のモードにおいて、前記掛算器は前記送信信号の振幅変調を制御し、かつ、前記可変利得増幅器は前記送信信号の平均出力レベルを制御することを特徴とする請求項1記載の送信装置。
  3. 前記第1のモードにおいて、前記高周波電力増幅器の入力レベルは前記送信信号の平均出力電力に応じて変化することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の送信装置。
  4. 前記第1のモードにおいて、前記高周波電力増幅器の入力レベルは前記送信信号の瞬時出力電力に応じて変化することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の送信装置。
  5. 前記補正テーブルは、前記第1のモードにおいて前記高周波電力増幅器の電源電圧値を補正する補正値の情報と、前記第2のモードにおいて前記高周波電力増幅器の入力レベルを補正する補正値の情報と、を格納していることを特徴とする請求項1記載の送信装置。
  6. 前記補正テーブルは、前記第1のモードにおいて前記高周波電力増幅器を非線形増幅器として動作させるための入力レベル及び前記平均出力レベルを補正するための電源電圧値を補正する補正値の情報と、前記第2のモードにおいて前記高周波電力増幅器を線形増幅器として動作させるための電源電圧値及び前記平均出力レベルを補正するための入力レベルを補正する補正値の情報と、を格納していることを特徴とする請求項1記載の送信装置。
  7. 前記補正手段は、前記高周波電力増幅手段から出力される平均出力電力を検出する電力検出部と、前記電力検出部において検出された平均出力電力に基づき補正値を算出する補正値算出部と、前記補正値算出部により算出された前記補正値により前記補正テーブルに格納された前記補正値を更新する補正値更新手段と、を更に具備することを特徴とする請求項5又は請求項6記載の送信装置。
  8. 請求項1記載の送信装置と、
    前記送信装置からの送信信号を受けて無線送信信号を生成して出力するアンテナと、 を具備することを特徴とする無線通信装置。
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