JP2005295303A - 放射線撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放射線撮影装置において、画像上の被写体の構造物の配置が同被写体の過去の画像のそれに近い、経時サブトラクションに適した現在画像を得ることを可能にする。
【解決手段】 X線管2およびX線検出器3からなる撮影系を制御部17が制御して、被写体1を複数の異なる撮影角度で予備撮影し、最適撮影角度算出部16が、予備撮影で得られた予備画像Ppiにおける、被写体1の姿勢のずれが反映される特徴部分に基づいて、今回撮影して得られる現在画像Paと被写体1の過去画像Prとの間で被写体1の姿勢の誤差による被写体の構造物の配置ずれが少なくなる最適撮影角度Laを算出し、制御部17が当該撮影角度Laで撮影すべく、撮影系を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は放射線撮影装置に関し、詳しくは、同一被写体の過去画像と現在画像との画像間演算によりその差分を抽出するいわゆる経時サブトラクションに適した放射線画像を得ることが可能な放射線撮影装置に関するものである。
従来、過去に撮影された被写体の放射線画像(以下、過去画像という)と、今回撮影された同一被写体の放射線画像(以下、現在画像という)との間で、サブトラクション処理(減算処理)等の画像間演算処理を行うことにより、過去画像と現在画像との差分を表す、いわゆる経時サブトラクション画像を得、当該経時サブトラクション画像に基づいて、被写体の時系列的変化を検出する方法が知られており、例えば、医療分野においては、同一患者の過去画像と現在画像から経時サブトラクション画像を得、当該経時サブトラクション画像に基づいて、時間の経過に伴って新たに発生した肺がん等の腫瘍を検出する方法が知られている。
上記のような経時サブトラクションを行う場合、過去画像と現在画像との間で被写体に対応する画像(経時変化分を除く)が完全に一致していないと、その経時サブトラクション画像においてアーチファクトが発生する。このアーチファクトは時系列的変化の検出に対して障害となるため、できるだけ除去されることが好ましい。
そこで、このようなアーチファクトを除去する目的で、過去画像もしくは現在画像またはこれら両画像に対して、アフィン変換等の画像処理を施し、被写体に対応する画像の位置合せを行う方法が種々提案されている(例えば、特許文献1,2等)。
特開2002−32735号公報 特開2002−32764号公報
ところで、経時サブトラクション画像におけるアーチファクトの発生原因としては、被写体の姿勢(体位)の相違や、被写体が生体である場合には、さらに、呼吸位相、心拍位相(心臓の収縮拡大の状態変化の位相)の相違等が考えられる。例えば、被写体が人体である場合には、被写体の姿勢が異なると、骨部を中心に全体的な位置ずれが発生しやすく、また、被写体の呼吸位相が異なると、吸気量の程度が異なるため、肺の大きさや肺の周辺にある器官の配置が異なり、器官の位置ずれが発生しやすく、さらに、心拍位相が異なると、心臓の大きさや心臓の周辺にある血管組織の配置が異なり、血管組織の位置ずれが発生しやすい。
しかしながら、上記の画像処理による位置合せ方法では、大まかな位置合せは可能なものの、細部に渡る位置合せは困難であり、アーチファクトを除去することに限界があるため、例えば、早期肺がんに見られる直径5mm程度の腫瘍等の微小なものを検出することが難しいという問題がある。
そこで、アーチファクトのより少ない経時サブトラクション画像の生成を可能にするため、画像上の被写体の構造物の配置が同被写体の過去の画像のそれに近い、経時サブトラクションに適した現在画像を得るべく、撮影条件を積極的に制御する手法が考えられるが、このような手法は未だ提案されていない。
本発明は、上記事情に鑑み、画像上の被写体の構造物の配置が同被写体の過去に撮影された画像のそれに近い、経時サブトラクションに適した現在の放射線画像を得ることが可能な放射線撮影装置を提供することを目的とするものである。
本発明の放射線撮影装置は、所定の呼吸位相の状態にある被写体の放射線画像である参照画像を入力する参照画像入力手段と、前記所定の呼吸位相と同じ呼吸位相の状態にある前記被写体を、所定の撮影配置において複数の異なる撮影角度で放射線撮影することにより、複数の予備画像を得る予備撮影手段と、前記参照画像と前記複数の予備画像の各々との間における、前記被写体の姿勢の変化が反映される、前記被写体における複数の異なる解剖学的特徴点間の距離の差異を表す差異情報と、前記各予備画像の前記撮影角度を表す撮影角度情報とに基づいて、前記参照画像との間で前記被写体の姿勢の違いによる差異が最小となるような放射線画像を得るための最適撮影角度を表す最適撮影角度情報を算出する最適撮影角度情報算出手段と、前記最適撮影角度情報が表す前記最適撮影角度で前記被写体を放射線撮影することにより、前記被写体の本画像を得る本撮影手段とを備えたことを特徴とするものである。
ここで、「被写体」は、心肺を有する生体である。
「所定の呼吸位相の状態」としては、例えば、最大吸気状態を考えることができるが、この状態に限定されるものではない。
「所定の撮影配置」とは、放射線源、放射線検出器および被写体の相対的位置関係が所定の位置関係となる配置をいう(ただし、放射線源、放射線検出器、被写体の向きは固定されない)。
「前記所定の呼吸位相と同じ呼吸位相の状態」とは、完全に同じ呼吸位相の状態に限らず、最適撮影角度情報算出手段による最適撮影角度情報の算出に際し、その誤差が許容できるほど、上記2つの呼吸位相が近い状態も含む。
「撮影角度」とは、放射線源と放射線検出器との相対的位置関係を固定した状態(放射線検出器の傾きも固定)における、放射線源から被写体に対して照射される放射線の光軸の当該被写体に対する角度のことをいう。
「予備撮影手段」としては、例えば、放射線源と放射線検出器とからなる組合せを備え、放射線源と放射線検出器との相対的位置関係を固定したまま、当該組合せを、放射線源と放射線検出器との間に載置された被写体に対して相対的に移動することにより、撮影角度を上下方向および左右方向に所定の角度ピッチで段階的に変化させ、各撮影角度で被写体を放射線撮影するものや、放射線源と放射線検出器とからなる組合せと、被写体を載置する撮影台とを備え、当該組合せの位置を固定したまま、被写体が載置された撮影台を、当該組合せに対して相対的に移動することにより、撮影角度を上下方向および左右方向に所定の角度ピッチで段階的に変化させ、各撮影角度で被写体を放射線撮影するものが考えられる。
なお、前記予備撮影手段は、本撮影時より少ない放射線量で撮影するものであってもよく、例えば、本願撮影時の1/10から1/100程度の放射線量で撮影してもよい。このように、放射線量を少なくすることにより、被写体の被爆量を抑えることができる。
また、前記予備撮影手段は、本撮影時より粗い画素サイズ(1画素当たりの幅に対応する実空間上での幅)で予備画像を得るようにしてもよく、例えば、本画像の画素サイズを100μmから200μm程度としたときに、予備画像の画素サイズを400μmから1000μm程度とすることができる。このように、画素サイズを粗くすることにより、予備画像の生成にかかる時間を短縮化して、予備撮影手段による撮影を短時間に完了させることが可能となり、被写体が前記所定の呼吸位相の状態を維持しなければならない時間を短縮化して、被写体への負担を軽減することができる。
「前記被写体の姿勢の変化が反映される、前記被写体における複数の異なる解剖学的特徴点間の距離」としては、例えば、被写体が人体である場合には、被写体の左右方向のねじれが反映される、左鎖骨の最左端部と右鎖骨の最右端部との間の距離や、被写体の上下方向のあおりが反映される、肋骨のうちの所定の骨の最前端部と最後端部との間の距離が考えられる。肋骨の最前端部と最後端部は、肋骨の湾曲の向きで区別することができる。
なお、ここでの「距離」は、被写体の大きさに対する相対的な距離である。
また、複数の異なる解剖学的特徴点は、異なる種類の解剖学的構造物間に存在する特徴点であってもよい。
また、解剖学的特徴点は、各画像において解剖学的特徴に基づく画像認識処理により検出するようにしてもよいし、参照画像と予備画像との画像間演算により得られる差分情報に基づいて検出するようにしてもよい。「差分情報」としては、参照画像と予備画像との画像間演算により得られる差分画像における、骨や胸郭のリンギング、ある特定領域のRMS(不一致度)等を考えることができる。
なお、予備画像が粗い画素サイズである場合には、上記画像間演算を行う際に、参照画像を同じ画素サイズに加工(変換)するとよい。
「本撮影手段」としては、例えば、「予備撮影手段」と同様に、放射線源と放射線検出器とからなる組合せを備え、放射線源と放射線検出器との相対的位置関係を固定したまま、当該組合せを、放射線源と放射線検出器との間に載置された被写体に対して相対的に移動することにより、撮影角度を最適撮影角度に変化させ、当該最適撮影角度で被写体を放射線撮影するものや、放射線源と放射線検出器とからなる組合せと、被写体を載置する撮影台とを備え、当該組合せの位置を固定したまま、被写体が載置された撮影台を、当該組合せに対して相対的に移動することにより、撮影角度を最適撮影角度に変化させ、当該最適撮影角度で被写体を放射線撮影するものが考えられる。
なお、予備撮影手段および本撮影手段における、被写体を撮影するための撮影系(例えば、放射線源、放射線検出器、撮影台等)は、予備撮影手段と本撮影手段とで別々に用意してもよいし、同じものを兼用するようにしてもよい。
本発明の放射線撮影装置において、前記参照画像は、該参照画像における前記被写体の呼吸位相を表す呼吸位相情報を付帯するものであり、前記被写体の呼吸位相を検出する呼吸位相検出手段と、該呼吸位相検出手段により検出された呼吸位相と前記呼吸位相情報が表す呼吸位相とが同一であることを検知して、検知信号を出力する同一呼吸位相検知手段と、前記検知信号に応答して該検知を表す情報を出力する検知情報出力手段とをさらに備えるものであってもよい。
「呼吸位相検出手段」としては、例えば、被写体にベローズを通して呼吸してもらうことにより、呼吸位相に応じてベローズ長が変化し、そのベローズ長に基づいて呼吸位相を検出するものや、CCDカメラ等で被写体の表面の動きに基づいて呼吸位相を検出するもの等が考えられる。
ここでの「同一呼吸位相検知手段」は、検知信号を、呼吸位相が同一である限り継続して出力するものであってもよいし、同一になったときに単発的に出力するものであってもよい。
「検知情報出力手段」としては、例えば、ランプを点灯するもの、ブザーや音声を出力するもの、モニタ画面にメッセージを表示するもの等が考えられる。
また、本発明の放射線撮影装置において、前記参照画像は、該参照画像における前記被写体の呼吸位相を表す呼吸位相情報を付帯するものであり、前記被写体の呼吸位相を検出する呼吸位相検出手段と、該呼吸位相検出手段により検出された呼吸位相と前記呼吸位相情報が表す呼吸位相とが同一であることを検知して、検知信号を出力する同一呼吸位相検知手段とをさらに備え、前記本撮影手段は、前記検知信号の出力期間内に放射線撮影するものであってもよい。
ここでの「同一呼吸位相検知手段」は、検知信号を、呼吸位相が同一である限り継続して出力するものである。
「前記検知信号の出力期間内に放射線撮影する」には、例えば、本撮影手段を、検知信号が出力されている期間のみ撮影可能に設定する方法等が考えられる。
この場合の放射線撮影装置において、前記参照画像は、該参照画像における前記被写体の心拍位相を表す心拍位相情報をさらに付帯するものであり、前記被写体の心拍位相を検出する心拍位相検出手段と、該心拍位相検出手段により検出された心拍位相の時間的変化に基づいて、前記被写体の心拍位相が、前記心拍位相情報が表す心拍位相と同一になると予想される同一心拍位相予想時期を算出して該時期を表す同一心拍位相予想時期情報を得る同一心拍位相予想時期算出手段とをさらに備え、前記本撮影手段は、前記同一心拍位相予想時期情報と前記検知信号とに基づいて、前記検知信号の出力期間内であって、かつ、前記同一心拍位相予想時期に放射線撮影するものであってもよい。
「心拍位相検出手段」としては、例えば、心電計を用いて心拍位相を検出するものや、指や手首の脈をセンサで検知して心拍位相を検出する心拍モニタ等を考えることができる。
「前記呼吸位相検出手段により検出された呼吸位相と前記呼吸位相情報が表す呼吸位相とが同一」とは、厳密な位相の同一を意味するものではなく、本画像の使用目的、用途等に応じて所定の幅をもって同一と認める趣旨である。例えば、参照画像と本画像との画像間演算により得られるサブトラクション画像を観察して所定の特異点を検出する場合において、呼吸位相の違いにより生じる当該サブトラクション画像上のアーチファクトが上記特異点の検出に障害とならない範囲内で、呼吸位相検出手段により検出された呼吸位相(本画像における被写体の呼吸位相)と呼吸位相情報が表す呼吸位相(参照画像における被写体の呼吸位相)とを同一と認めることができる。
「前記被写体の心拍位相が、前記心拍位相情報が表す心拍位相と同一になる」とは、呼吸位相の場合と同様に、厳密な位相の同一を意味するものではなく、本画像の使用目的、用途等に応じて所定の幅をもって同一と認める趣旨である。
本発明の放射線撮影装置によれば、被写体を複数の異なる撮影角度で予備撮影し、予備撮影で得られた予備画像における、被写体の姿勢のずれが反映される特徴部分に基づいて、今回撮影して得られる画像と被写体の過去に撮影された参照画像との間で被写体の姿勢の誤差による被写体の構造物の配置ずれが少なくなる最適撮影角度を算出し、当該撮影角度で本撮影するので、過去の撮影時と現在の撮影時とにおける被写体の姿勢の誤差を、撮影角度の調整によって吸収することができ、画像上の被写体の構造物の配置が同被写体の過去に撮影された参照画像のそれに近い、経時サブトラクションに適した現在の放射線画像を得ることができる。
以下、本発明の放射線撮影装置の実施の形態について説明する。
図1は本発明の放射線撮影装置の一実施形態によるX線撮影装置の構成を示すブロック図である。図1に示すX線撮影装置は、人体である被写体1にX線を照射するX線管2と、X線を光電的に検出してアナログ電気信号を出力する、フラットパネルディテクタ等のX線検出器3と、X線管2に高電圧を印加する高電圧発生器4と、X線検出器3から出力されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換して出力するA/D変換器5と、図示しない駆動部を駆動してX線管2およびX線検出器3の位置や傾きを制御する駆動制御部6と、高電圧発生器4が発生するX線管2への印加電圧を制御する高電圧制御部7と、A/D変換器5から出力されたデジタル信号を画像データに変換し、後述の、複数の予備画像Ppi(i=1,2,・・・)をそれぞれ表す予備画像データPpiや本画像Paを表す本画像データPaを生成する信号処理部8と、被写体1の現呼吸位相Bgを検出して現呼吸位相信号Bgを出力する呼吸位相検出器9と、被写体1の現心拍位相Hgを検出して現心拍位相信号Hgを出力する心拍位相検出器10と、所定の呼吸位相の状態にある被写体1の過去に撮影された放射線画像である参照画像Prを表す画像データであって、当該参照画像Prにおける被写体の呼吸位相である参照呼吸位相Brを表す参照呼吸位相データBrと当該参照画像Prにおける被写体の心拍位相である参照心拍位相Hrを表す参照心拍位相データHrとを付帯する、参照画像データPrを入力する参照画像入力手段11と、参照画像入力手段11により入力された参照画像データPrに付帯する参照呼吸位相データBrと呼吸位相検出器9により出力された現呼吸位相信号Bgとに基づいて、参照呼吸位相Brと現呼吸位相Bgとが同一であることを検知して、同一である間、同一呼吸位相信号Dを出力し続ける同一呼吸位相検知部12と、同一呼吸位相検知部12により出力された同一呼吸位相信号Dに基づいて、当該信号Dが出力されている間、ランプ14を点灯させるランプ制御部13と、参照画像データPrに付帯する参照心拍位相データHrと心拍位相検出器10により出力された現心拍位相信号Hgから得られる被写体1の心拍位相の時間的変化とに基づいて、被写体1の心拍位相が参照心拍位相Hrと同一になると予想される同一心拍位相予想時期を算出して、当該予想時期に同期して同一心拍位相信号Tを出力する同一心拍位相予想時期算出部15と、参照画像データPrと後述の予備撮影により得られた複数の予備画像データPpiとを用いて、参照画像Prと複数の予備画像Ppiの各々との間における、被写体1の姿勢の変化が反映される、被写体1における複数の解剖学的特徴点間の距離の差異を求め、当該差異と各予備画像の撮影角度Lpiを表す撮影角度データLpiとに基づいて、参照画像Prとの間で被写体1の姿勢の違いによる差異が最小となるような放射線画像を得るための最適撮影角度Laを表す最適撮影角度データLaを算出する最適撮影角度算出部16と、最適撮影角度Laを決めるための複数の異なる撮影角度Lpiによる予備撮影や最適撮影角度Laによる本撮影を行うべく、X線管2およびX線検出器3が所定の撮影配置となるように駆動制御部6を制御したり、X線の線量や照射タイミングが所定の線量やタイミングとなるように高電圧制御部7を制御したり、制御全般を行う制御部17と、キーボードやマウス等により各種情報を入力する操作部18とを備えている。
なお、本発明における予備撮影手段および本撮影手段は、X線管2、X線検出器3、高電圧発生器4、A/D変換器5、不図示の駆動部、駆動制御部6、高電圧制御部7、信号処理部8および制御部17により構成されている。
また、ここでは、簡便のため、位相、画像等の情報と当該情報を表すデータもしくは信号とを同一の記号で表すことにする。
次に、図1に示すX線撮影装置の作用について、人体の胸部をX線撮影してその胸部の経時サブトラクション画像を得るのに適した胸部X線画像を得る場合を例に説明する。
まず、参照画像入力手段11により、最大吸気に近い呼吸位相の状態でX線撮影された被写体1のX線画像である参照画像Prを表す参照画像データPrを、当該参照画像データPrが記録されている不図示のデータベースや記録媒体等から読み出して入力する。この参照画像データPrは、上述の通り、その参照画像Prにおける被写体の呼吸位相を表す参照呼吸位相データBrと被写体の心拍位相を表す参照心拍位相データHrとを付帯している。
一方、被写体1、X線管2およびX線検出器3を、通常の胸部X線撮影を行う場合の所定の撮影配置にする。すなわち、X線管2とX線検出器3とを胸部X線撮影向けの所定の間隔で配置し、被写体1を、被写体1の胸部がX線検出器3の検出面に近接するように配置する。
撮影配置が整ったら、被写体1に、呼吸位相が略最大吸気の位相となるように呼吸を調整してもらい、予備撮影の準備をしてもらう。
予備撮影の準備が完了したら、操作部18により予備撮影開始を指示する入力を行う。すると、制御部17は、駆動制御部6を制御して不図示の駆動部を制御し、X線管2とX線検出器3との相対的位置関係を固定したまま(X線検出器の検出面の傾きも相対的に固定)、これらX線管2とX線検出器3とからなる撮影系の組合せを、X線管2とX線検出器3との間に載置された被写体1に対して相対的に移動することにより、被写体1に対する撮影角度を上下方向および左右方向に所定の角度ピッチで段階的に変化させるとともに、高電圧制御部7を制御して高電圧発生器4のX線管2へ印加する管電圧およびその印加タイミングを制御し、各撮影角度Lpiで被写体1にX線を照射し、被写体1の胸部を透過したX線をX線検出器3により検出する予備撮影を行う。撮影角度は、例えば、5度の角度ピッチで上下方向に5段階、左右方向に5段階変化させる。また、X線量は、後に行う本撮影と比較して1/10〜1/100程度とする。これは、一般にX線量が多いほどX線画像の画質は向上するが、予備撮影により取得する予備画像は、被写体1の解剖学的構造物が認識できる程度の画質があればよいので、その分X線量を少なくし、被写体1の被爆量を抑えるためである。
X線検出器3はX線の照射毎に被写体1の胸部を透過したX線を光電的に検出し、各X線の照射に対応するアナログ電気信号を出力する。
A/D変換器5はX線検出器3から出力された各アナログ電気信号をデジタル信号に変換し、信号処理部8がそのデジタル信号に基づいて、各X線の照射毎にすなわち各撮影毎に画像データを生成し、撮影角度の異なる複数の予備画像Ppiを表す予備画像データPpiを取得する。このとき取得する予備画像は、本撮影による取得する本画像より粗い画像とすべく、画素サイズを本画像より大きくとるようにする。例えば、本画像の画素サイズを例えば100μmから200μm程度とした場合、予備画像の画素サイズは400μm〜1000μm程度とする。これは、画素サイズを粗くすることにより、予備画像の生成(信号の読取り)にかかる時間を短縮化して予備撮影を短時間に完了させ、被写体が所定の呼吸位相の状態を維持しなければならない時間を短縮化して、被写体への負担を軽減するためである。このように取得された予備画像データPpiは、最適撮影角度算出部16に送られる。
最適撮影角度算出部16は、参照画像入力手段11により入力された参照画像データPrと複数の予備画像データPpiとに基づいて、参照画像Prと複数の予備画像の各々Pp1,Pp2,・・・との間における、被写体1の姿勢の変化が反映される、被写体1における複数の異なる解剖学的特徴点間の距離の差異を表す差異情報を抽出し、当該差異情報と各予備画像の撮影角度を表す撮影角度情報Lp1,Lp2,・・・とに基づいて、参照画像Prとの間で被写体1の姿勢の違いによる差異が最小となるような放射線画像を得るための最適撮影角度Laを表す最適撮影角度データLaを算出する。すなわち、参照画像Prと、撮影角度が左右方向に異なる各予備画像との間で画像間演算を行い、各画像間の差分を表す差分画像を生成し、各差分画像において、被写体1の左右方向のねじれの程度が反映される鎖骨のアーチファクトを認識し、このアーチファクトの大きさや方向から、左鎖骨の最左端部と右鎖骨の最右端部との間の距離の差異を求め、各予備画像に対する差分画像における当該差異と、各予備画像の撮影角度とから、左右方向についての最適な撮影角度を算出する一方、参照画像Prと、撮影角度が上下(垂直)方向に異なる各予備画像との間で画像間演算を行い、各画像間の差分を表す差分画像を生成し、各差分画像において、被写体1の上下方向のあおりの程度が反映される肋骨のアーチファクトを認識し、このアーチファクトの大きさや方向から、肋骨のうちの所定の骨の最前端部と最後端部との間の距離の差異を求め、各予備画像に対する差分画像における当該差異と、各予備画像の撮影角度とから、上下方向についての最適な撮影角度を算出し、これら左右方向と上下方向の最適な撮影角度に基づいて、最適撮影角度Laを表す最適撮影角度データLaを算出する。
図2(1)は、被写体の左右方向のねじれによる胸部X線画像P上での被写体の鎖骨の配置の変化を示した図であり、S1とS2は、それぞれ、ねじれの程度の異なる状態での鎖骨を表している。鎖骨は被写体にねじれのない状態が最も左右方向に長く写り、ねじれの程度が増すと、鎖骨はより短く写る。被写体にこのようなねじれがあっても、左右方向の撮影角度を調整して撮影することで、ねじれの程度が参照画像における被写体のねじれに近い画像を得ることができる。また、図2(2)は、被写体の上下方向のあおりによる胸部X線画像P上での被写体の肋骨の配置変化を示した図であり、R1とR2は、それぞれ、あおりの程度の異なる状態での肋骨を表している。肋骨は、被写体のあおりの程度によりその肋骨の前側端部と後側端部との間隔がより狭く、もしくはより広がって写る。被写体にこのようなあおりがあっても、上下方向の撮影角度を調整することで、あおりの程度が参照画像における被写体のあおりに近い画像を得ることができる。
なお、参照画像Prと予備画像Ppiとの画像間演算を行う際には、参照画像Prを加工して予備画像と画素サイズが同じになるようにする。
最適撮影角度データLaが算出されると、制御部17は、駆動制御部6を制御して不図示の駆動部を制御し、X線管2とX線検出器3とからなる撮影系の組合せを移動させて、当該撮影系を最適撮影角度データLaが表す最適撮影角度Laで撮影できる撮影配置にする。これにより、現在の被写体1と参照画像Prにおける被写体との姿勢の違いによる差異を、撮影角度を調整することにより吸収させることができる。
呼吸位相検出器9は、被写体1の口に装着された、被写体1の呼吸位相に応じて長さが変化するベローズの当該長さを検出して被写体1の呼吸位相を検出するものであり、被写体1の現呼吸位相を表す現呼吸位相信号Bgを常に出力している。
同一呼吸位相検知部12は、参照画像データPrに付帯する参照呼吸位相データBrと上記現呼吸位相信号Bgとに基づいて、参照画像Prにおける被写体の呼吸位相である参照呼吸位相Brと被写体1の現呼吸位相とが同一であることを検知して、同一呼吸位相信号Dを出力する。
ランプ制御部13は、この同一呼吸位相信号Dが出力されているときにランプ14を点灯させる。本X線撮影装置の操作者や被写体1は、このランプ14の点灯により、現呼吸位相Bgが参照呼吸位相Brに一致しているか否かを知ることができ、操作者が被写体1に対して呼吸調整を促すことや、被写体1自ら呼吸調整をすることが可能となる。
制御部17は、この同一呼吸位相信号Dをモニタしており、当該信号Dが出力されているときのみ、本撮影を可能とする制御を行う。すなわち、被写体1の現呼吸位相が、参照画像Prにおける被写体の呼吸位相に一致しているときのみ撮影を許可し、それ以外では撮影を許可しない制御を行う。これにより、本撮影時の、被写体1の呼吸位相の違いによる被写体内部の構造物の配置のずれを抑える。
また、心拍位相検出器10は、被写体1の指に装着された指センサ10aにより脈を検出して、被写体1の心拍位相を検出するものであり、被写体1の現心拍位相Hgを表す現心拍位相信号Hgを常に出力している。
同一心拍位相予想時期算出部15は、参照画像データPrに付帯する参照心拍位相データHrと上記現心拍位相信号Hgから得られる被写体1の心拍位相の時間的変化とに基づいて、被写体1の心拍位相が、参照画像Prにおける被写体の心拍位相である参照心拍位相Hrと同一になると予想される同一心拍位相予想時期を算出して、当該予想時期に同期して同一心拍位相信号Tを出力する。
制御部17は、この同一心拍位相信号Tをモニタしており、当該信号Tが出力されるタイミングでのみ本撮影する制御を行う。すなわち、被写体1の現心拍位相が、参照画像Prにおける被写体の心拍位相に一致しているときのみ本撮影する制御を行う。これにより、本撮影時の、被写体1の心拍位相の違いによる被写体内部の構造物の配置のずれを抑える。
したがって、制御部17は、被写体1の呼吸位相と心拍位相の両方が参照画像Prにおける被写体の呼吸位相と心拍位相に一致しているときに、本撮影を行うべく、高電圧制御部7を制御して本撮影用の線量でX線を被写体1に照射する。
これより先は、予備画像Ppiを生成したときと同様に、X線検出器3が被写体1を透過したX線を光電的に検出し、A/D変換器5、信号処理部8を通して、本画像Paを表す本画像データPaを生成する。
このように、本実施形態によるX線撮影装置によれば、X線管2およびX線検出器3からなる撮影系を制御部17が制御して、被写体1を複数の異なる撮影角度で予備撮影し、最適撮影角度算出部16が、予備撮影で得られた予備画像Ppiにおける、被写体1の姿勢のずれが反映される特徴部分に基づいて、今回撮影して得られる画像Paと被写体1の過去に撮影された参照画像Prとの間で被写体1の姿勢の誤差による被写体の構造物の配置ずれが少なくなる最適撮影角度Laを算出し、制御部17が当該撮影角度Laで撮影すべく、撮影系を制御するので、過去の撮影時と現在の撮影時とにおける被写体1の姿勢の誤差を、撮影角度の調整によって吸収することができ、画像上の被写体1の構造物の配置が同被写体の過去に撮影された参照画像Prのそれに近い、経時サブトラクションに適した現在の放射線画像Paを得ることができる。
また、さらに、被写体1の現呼吸位相Bgや現心拍位相Hgを検出器により検出し、参照画像データPrに付帯する、参照画像Prにおける被写体1の呼吸位相を表す参照呼吸位相データBrや参照画像Prにおける被写体1の心拍位相を表す参照心拍位相データHrを利用して、呼吸位相や心拍位相をも過去の撮影時に近付ける制御を行っているので、画像上の被写体1の構造物の配置が同被写体の過去に撮影された参照画像Prのそれにより近い、経時サブトラクションにさらに適した現在の放射線画像Paを得ることができる。
なお、本実施形態においては、被写体1の現呼吸位相Bgと現心拍位相Hgとを参照画像Prにおけるそれと一致させて本撮影を行っているが、もちろん、被写体1の状態を参照画像Prにおける被写体の状態にどれだけ近付けたいかというその程度に応じて、呼吸位相と心拍位相の両方による本撮影の制御、あるいは、心拍位相による本撮影の制御を省略して、本撮影することも可能である。
また、本実施形態においては、予備撮影時に、撮影角度を左右方向と上下方向で分けて段階的に変化させたが、別の方法として、撮影角度を斜め方向に段階的に変化させたり、上下左右に格子状に所定の角度ピッチで段階的に変化させたりしてもよい。
本発明の放射線撮影装置の一実施形態によるX線撮影装置の構成を示した図 胸部X線画像上における被写体の姿勢の違いによる解剖学的特徴点の変化を示した図
符号の説明
1 被写体
2 X線管
3 X線検出器
4 高電圧発生器
5 A/D変換器
6 駆動制御部
7 高電圧制御部
8 信号処理部
9 呼吸位相検出器
10 心拍位相検出器
11 参照画像入力手段
12 同一呼吸位相検知部
13 ランプ制御部
14 ランプ
15 同一心拍位相予想時期算出部
16 最適撮影角度算出部
17 制御部
18 操作部

Claims (5)

  1. 所定の呼吸位相の状態にある被写体の放射線画像である参照画像を入力する参照画像入力手段と、
    前記所定の呼吸位相と同じ呼吸位相の状態にある前記被写体を、所定の撮影配置において複数の異なる撮影角度で放射線撮影することにより、複数の予備画像を得る予備撮影手段と、
    前記参照画像と前記複数の予備画像の各々との間における、前記被写体の姿勢の変化が反映される、前記被写体における複数の異なる解剖学的特徴点間の距離の差異を表す差異情報と、前記各予備画像の前記撮影角度を表す撮影角度情報とに基づいて、前記参照画像との間で前記被写体の姿勢の違いによる差異が最小となるような放射線画像を得るための最適撮影角度を表す最適撮影角度情報を算出する最適撮影角度情報算出手段と、
    前記最適撮影角度情報が表す前記最適撮影角度で前記被写体を放射線撮影することにより、前記被写体の本画像を得る本撮影手段とを備えたことを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 前記参照画像が、該参照画像における前記被写体の呼吸位相を表す呼吸位相情報を付帯するものであり、
    前記被写体の呼吸位相を検出する呼吸位相検出手段と、
    該呼吸位相検出手段により検出された呼吸位相と前記呼吸位相情報が表す呼吸位相とが同一であることを検知して、検知信号を出力する同一呼吸位相検知手段と、
    前記検知信号に応答して該検知を表す情報を出力する検知情報出力手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の放射線画像装置。
  3. 前記参照画像が、該参照画像における前記被写体の呼吸位相を表す呼吸位相情報を付帯するものであり、
    前記被写体の呼吸位相を検出する呼吸位相検出手段と、
    該呼吸位相検出手段により検出された呼吸位相と前記呼吸位相情報が表す呼吸位相とが同一であることを検知して、検知信号を出力する同一呼吸位相検知手段とをさらに備え、
    前記本撮影手段が、前記検知信号の出力期間内に放射線撮影するものであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像装置。
  4. 前記参照画像が、該参照画像における前記被写体の心拍位相を表す心拍位相情報をさらに付帯するものであり、
    前記被写体の心拍位相を検出する心拍位相検出手段と、
    該心拍位相検出手段により検出された心拍位相の時間的変化に基づいて、前記被写体の心拍位相が、前記心拍位相情報が表す心拍位相と同一になると予想される同一心拍位相予想時期を算出して該時期を表す同一心拍位相予想時期情報を得る同一心拍位相予想時期算出手段とをさらに備え、
    前記本撮影手段が、前記同一心拍位相予想時期情報と前記検知信号とに基づいて、前記検知信号の出力期間内であって、かつ、前記同一心拍位相予想時期に放射線撮影するものであることを特徴とする請求項3記載の放射線撮影装置。
  5. 前記予備撮影手段が、前記本撮影における放射線量より少ない放射線量で撮影するものであることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の放射線撮影装置。
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