JP2005294624A - はんだ槽中のはんだの銅濃度制御方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】回路基板のパターンおよび実装される電子部品と回路基板の投入数、はんだ付け条件等から、はんだの低減量およびはんだへの溶出銅量、はんだ槽からの持出し銅量を算出し、更に、はんだの低減量と同量の銅なし補充材で補償できる補償銅量の上限値および下限値とはんだ槽中の増加銅量とを算出し、両者を比較することによって、補充材の補充条件を決定する。はんだ槽中の増加銅量が補償銅量の上限値を超える場合には、補充材の補充時点にはんだを取り出して銅なし補充材の補充量を増大させたり、ドロスの除去間隔を短くしたりする。
【選択図】 図1
Description
鉛フリーはんだは、従来の鉛錫共晶はんだに比べて融点が高く、銅の溶解を抑制するために少量の銅を添加されている。それにもかかわらず、鉛フリーはんだを用いたフローソルダリング工程においては、回路基板の露出電極部や電子部品のリード部から、その材料である銅がはんだ中へ溶け出し、はんだ槽中のはんだの銅濃度を高め、その結果として、融点の高い鉛フリーはんだの融点を更に上昇させる。一方、はんだ付け温度は電子部品の耐熱性等によって上限を限られている。このため、銅の溶け出しによるはんだ融点の上昇は、濡れ性の悪化等を惹き起こし、はんだ付け不良の発生頻度を高める、という問題点を内在している。
この発明の課題は、はんだ槽中のはんだへ溶け出す銅の量が多い場合にも、はんだ槽中のはんだの入替え間隔を所定期間以上とすることができるはんだ槽中のはんだの銅濃度制御方法を提供することである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記の補充材の補充条件として、前記のはんだ槽中の増加銅量と前記はんだ低減量に前記の許容上限銅濃度および許容下限銅濃度を乗じた値(以下では「補償銅量の上限値」および「補償銅量の下限値」という)とを比較し、はんだ槽中の増加銅量が補償銅量の下限値に達しない場合には、前記はんだ低減量と同量を供給することによって、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調整できる補充材の銅濃度を算出し、補充材の補充時に、前記はんだ低減量と同量の、算出された銅濃度の銅を含む補充材(以下では「銅入り補充材」という)をはんだ槽へ供給し、はんだ槽中の増加銅量が補償銅量の上限値以下で補償銅量の下限値以上の範囲内にある場合には、補充材の補充時に、前記はんだ低減量と同量の銅を含まない補充材(以下では「銅なし補充材」という)をはんだ槽へ供給し、はんだ槽中の増加銅量が補償銅量の上限値を超える場合には、はんだをはんだ槽から取り出すことによって、はんだの低減量を増大させ且つはんだ槽中の増加銅量を低減させ、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調節できるようにする取出しはんだ量を算出し、補充材の補充時に、前記はんだ低減量に取出しはんだ量を加算した量の銅なし補充材をはんだ槽へ供給する。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記の補充材の補充条件として、前記のはんだ槽中の増加銅量と補償銅量の上限値および補償銅量の下限値とを比較し、はんだ槽中の増加銅量が補償銅量の下限値に達しない場合には、前記はんだ低減量と同量を供給することによって、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調整できる補充材の銅濃度を算出し、補充材の補充時に、前記はんだ低減量と同量の、算出された銅濃度の銅入り補充材をはんだ槽へ供給し、はんだ槽中の増加銅量が補償銅量の上限値以下で補償銅量の下限値以上の範囲内にある場合には、補充材の補充時に、前記はんだ低減量と同量の銅なし補充材をはんだ槽へ供給し、はんだ槽中の増加銅量が補償銅量の上限値を超える場合には、前記のはんだ槽中の増加銅量を低減させ且つ前記はんだ低減量を増大させて、はんだ槽中の増加銅量を、補償銅量の上限値以下に収めるように、前記のドロスの除去条件を見直す。
請求項2の発明においては、補充材の補充時点における補償銅量の上限値および補償銅量の下限値が算出され、これらとはんだ槽中の増加銅量との比較によって、補充材の補充時点における補充材の補充条件が把握・設定されているので、その補充条件にしたがって補充材を補充すれば、はんだ槽中のはんだの銅濃度が所定銅濃度の範囲内に確実に維持される。
この実施例は、設定された各種の条件に基づいて、溶出銅量とはんだ低減量と持出し銅量とを算出する第1の計算工程と、これらの算出結果から、銅なし補充材を補充することで補償できる銅の量(補償銅量)の上限値および下限値とはんだ槽中の増加銅量とを算出する第2の計算工程と、補償銅量の上限値および下限値とはんだ槽中の増加銅量とを比較して補充条件を決定する条件決定工程と、その条件にしたがって補充材を補充する補充工程とで構成されている。
まず、第1の計算工程から説明する。
溶出銅量は、回路基板のパターンとこれに実装される電子部品の種類およびそれぞれの種類毎の数と回路基板の投入数とはんだ付け条件とによって決まり、回路基板の投入数に比例する。はんだ低減量は、投入された回路基板に付着して持ち出されるはんだの量(以下では「基板持ち出しはんだ量」という)と、ドロスとして除去されるはんだの量とで決まり、両者の和として求められる。前者は、回路基板のパターンとこれに実装される電子部品の種類およびそれぞれの種類毎の数と回路基板の投入数とはんだ付け条件とによって決まり、回路基板の投入数に比例する。後者は、はんだ槽の設定条件とドロスを除去するまでの時間とによって決まり、回路基板の投入数には関係しない。ドロスを除去するまでの時間とドロスの生成量との関係は、図3に示すように、比例関係にはなく、ドロス除去の時間間隔が短いほど単位時間あたりのドロスの生成量が多い。持出し銅量は、はんだと一緒に持ち出される分とドロスと一緒に持ち出される分とで決まり、両者の和として求められる。前者は、基板持ち出しはんだ量にはんだの銅濃度を乗じて算出され、後者は、除去ドロス量にドロスの銅濃度を乗じて算出される。
続いて、第2の計算工程を説明する。
補充時点に補充する補充材の量ははんだ低減量Dと同量であるから、補償銅量は、はんだ低減量Dにはんだ槽中のはんだの許容銅濃度を乗じることによって算出され、許容上限銅濃度C(max)を乗じた値を上限値Q(com)maxとし、許容下限銅濃度C(min)を乗じた値を下限値Q(com)minとする範囲内にある。一方、はんだ槽中の増加銅量Q(inc)は、溶出銅量から持出し銅量を差し引くことによって算出される。
1) Q(com)min> Q(inc) である場合
この場合は、はんだ低減量と同量の銅なし補充材を補充すると過剰補償となる場合であるので、この場合においては、はんだ低減量と同量の銅入り補充材をはんだ槽へ供給することによって、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調整する。この条件を満たす銅濃度の銅入り補充材を準備して用いてもよいし、初期投入はんだと銅なし補充材とをこの条件を満たす割合で配合して用いてもよい。
銅入り補充材の銅濃度C(sup)は、次式
C(sup)=C(min)×〔Q(com)min−Q(inc)〕÷Q(com)min
によって算出される。
2) Q(com)max≧Q(inc)≧Q(com)min である場合
この場合は、はんだ低減量と同量の銅なし補充材で補償できる場合であるので、この場合においては、はんだ低減量と同量の銅なし補充材を補充する。
3) Q(inc)>Q(com)max である場合
この場合は、はんだ低減量と同量の銅なし補充材を補充するだけでは補償しきれない場合であるので、はんだをはんだ槽から取り出して、はんだの低減量を増大させ且つはんだ槽中の増加銅量を低減させ、はんだ低減量に取出しはんだ量を加算した量の銅なし補充材をはんだ槽へ供給することによって、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調整する。
D(out) ×C(max) =〔Q(inc) −Q(com)max−D(out) ×C(bath)〕
を満足する、すなわち、取出し量D(out)に対応する補償銅量〔D(out) ×C(max)〕が、補償し切れなかった分〔Q(inc) −Q(com)max〕から取出し量D(out)に対応して持ち出される銅量〔D(out) ×C(bath)〕を差し引いた値と同じとなるという条件を満足することが必要であるので、
D(out) =〔Q(inc) −Q(com)max〕÷〔C(max)+C(bath)〕
によって算出される。
なお、C(bath)ははんだ槽中のはんだの銅濃度であり、上式のC(bath)およびC(max)のいずれかまたは両方をC(max)からC(min)までの範囲内の任意の値に置き換えてもよい。
この実施例が実施例1と異なる点は、条件決定工程でQ(inc)>Q(com)max となった場合であって、この実施例においては、ドロスの除去条件を短時間間隔でのドロス除去の側に見直し、ドロスの除去量を増大させることによって、はんだ低減量を増大させ且つ持出し銅量を増大させて、
Q(inc)≦Q(com)max
という条件を満たすようにする。この条件の見直しは、図3に示したようなドロス生成量に関する実測データに基づいて実行される。
この実施例の特徴は、ドロスの除去条件を見直すことによって、補充材の補充時に、はんだ槽中のはんだを取り出す工程をなくしたことである。したがって、ドロスを自動的に除去できる機構を備えている場合には、補充材の補充時にはんだを取り出す工程を設ける必要がなくなる。
Claims (3)
- 回路基板へ電子部品を実装するフローソルダリング工程において、回路基板および電子部品からはんだ槽中のはんだへ溶け出す銅によって上昇するはんだ中の銅濃度を、はんだの成分比率から銅濃度のみを低くした補充材をはんだ槽へ供給することによって低減させて、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に維持するためのはんだ槽中のはんだの銅濃度制御方法であって、
補充材を補充するまでにはんだ槽中のはんだへ溶出する銅の量を、回路基板のパターンとこれに実装される電子部品の種類およびそれぞれの種類毎の数と回路基板の投入数とはんだ付け条件とに基づいて算出し、
補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量およびはんだの低減に対応してはんだ槽から持ち出される銅の量を、回路基板のパターンとこれに実装される電子部品の種類およびそれぞれの種類毎の数と回路基板の投入数とはんだ付け条件とはんだ表面に生成されるドロスの除去条件とに基づいて算出し、
前記の補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量と、前記の補充材を補充するまでにはんだ槽中のはんだへ溶出する銅の量から前記のはんだの低減に対応してはんだ槽から持ち出される銅の量を差し引いた値、すなわち、はんだ槽中の増加銅量と、はんだ槽中のはんだの許容上限銅濃度および許容下限銅濃度と、を用いて、補充材の補充条件を決定する、
ことを特徴とするはんだ槽中のはんだの銅濃度制御方法。 - 前記の補充材の補充条件として、
前記のはんだ槽中の増加銅量と、前記の補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に前記の許容上限銅濃度および許容下限銅濃度を乗じた値と、を比較し、
はんだ槽中の増加銅量が、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容下限銅濃度を乗じた値に達しない場合には、前記のはんだの低減量と同量を供給することによって、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調整できる補充材の銅濃度を算出し、補充材の補充時に、前記のはんだの低減量と同量の、算出された銅濃度の銅を含む補充材をはんだ槽へ供給し、
はんだ槽中の増加銅量が、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容上限銅濃度を乗じた値以下で、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容下限銅濃度を乗じた値以上の範囲内にある場合には、補充材の補充時に、前記のはんだの低減量と同量の銅を含まない補充材をはんだ槽へ供給し、
はんだ槽中の増加銅量が、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容上限銅濃度を乗じた値を越える場合には、はんだをはんだ槽から取り出すことによって、はんだの低減量を増大させ且つはんだ槽中の増加銅量を低減させ、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調整できるようにする取出しはんだ量を算出し、補充材の補充時に、前記のはんだの低減量に取出しはんだ量を加算した量の銅を含まない補充材をはんだ槽へ供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ槽中のはんだの銅濃度制御方法。 - 前記の補充材の補充条件として、
前記のはんだ槽中の増加銅量と、前記の補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に前記の許容上限銅濃度および許容下限銅濃度を乗じた値と、を比較し、
はんだ槽中の増加銅量が、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容下限銅濃度を乗じた値に達しない場合には、前記のはんだの低減量と同量を供給することによって、はんだ槽中のはんだの銅濃度を所定範囲内に調整できる補充材の銅濃度を算出し、補充材の補充時に、前記のはんだの低減量と同量の、算出された銅濃度の銅を含む補充材をはんだ槽へ供給し、
はんだ槽中の増加銅量が、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容上限銅濃度を乗じた値以下で、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容下限銅濃度を乗じた値以上の範囲内にある場合には、補充材の補充時に、前記のはんだの低減量と同量の銅を含まない補充材をはんだ槽へ供給し、
はんだ槽中の増加銅量が、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容上限銅濃度を乗じた値を越える場合には、前記のはんだ槽中の増加銅量を低減させ且つ前記の補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量を増大させて、はんだ槽中の増加銅量を、補充材を補充するまでのはんだ槽中のはんだの低減量に許容上限銅濃度を乗じた値以下に収めるように、前記のドロスの除去条件を見直す、
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ槽中のはんだの銅濃度制御方法。
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WO2012013437A1 (de) * | 2010-07-27 | 2012-02-02 | Robert Bosch Gmbh | Verfahren zur stabilisierung einer konzentration eines bestandteiles in einem lotbad |
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- 2004-04-01 JP JP2004108977A patent/JP4442289B2/ja not_active Expired - Fee Related
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