JP2004261864A - はんだ合金およびこれを使用したリード端子ならびに半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【目的】ディップ浴へ、端子材からのCuとNiの溶け込みが最も少なく、かつCuとNiの溶け込み許容量が最大になることにより、ディップ浴のはんだ使用寿命を最大に出来、生産性、採算性、環境への影響が大幅に改善できるはんだ合金とこれを使用した半導体素子を提供する。
【構成】溶融したはんだ合金を半導体装置等の被着体に被着させるためのはんだ合金であって、被着体が銅材であり、はんだ合金がCuが0〜2.5wt%、Niが0.15〜0.3wt%、残部Snからなるはんだ合金、あるいは、溶融したはんだ合金を被着体に被着させるためのはんだ合金であって、被着体がニッケル材であり、Cuが0.8〜2.3wt%、Niが0〜0.9wt%、残部Snからなるはんだ合金とする。
【選択図】 図6
【構成】溶融したはんだ合金を半導体装置等の被着体に被着させるためのはんだ合金であって、被着体が銅材であり、はんだ合金がCuが0〜2.5wt%、Niが0.15〜0.3wt%、残部Snからなるはんだ合金、あるいは、溶融したはんだ合金を被着体に被着させるためのはんだ合金であって、被着体がニッケル材であり、Cuが0.8〜2.3wt%、Niが0〜0.9wt%、残部Snからなるはんだ合金とする。
【選択図】 図6
Description
本発明は、鉛を含まないはんだ合金を用い、特に半導体素子等の電子部品の端子を、溶融したはんだ合金で溶融めっき(以下ディップと称す)する際に使用するはんだ合金に関するものである。
ダイオード、トランジスタ等の半導体素子である電子部品の端子をディップするのに使用するはんだ合金としては、Sn-Pb系のはんだ合金、特に37wt%鉛を含む共晶組成のはんだ合金が用いられていた。しかし、昨今の環境問題で、鉛を含まない無鉛はんだを用いることが検討され、無鉛はんだに置き換えられてきている。この無鉛はんだで、半導体素子のプリント板実装用に使用されるはんだ合金組成は、例えば、Sn-Ag-Cu系、Sn-Cu系の共晶組成付近のはんだ合金がディップ用として用いられている。この共晶組成付近のはんだ合金を用いるのは、電子部品をフローはんだ付けで実装するときに、はんだ槽へSn、Cu、Ag等の実装用はんだに使われている元素以外の汚染元素が混入してはんだ接合部に悪影響を与えるのを防ぐためである。
また、電子部品への熱ダメージを少なくするために出来るだけ低い温度でディップする必要がある。このため、融点の最も低い共晶付近の組成を選択することになる。
この、半田ディップ法の例を図13に示す。図13において、はんだ槽1に溶融したはんだ液2が滞留される。はんだ槽1内は所定温度となるように温度制御され、はんだ液2が290℃の一定温度となっている。攪拌装置3は、はんだ液2を攪拌してはんだ液2の温度と組成が一様になるようにしている。このはんだ液2にTO-220等のパッケージを有するトランジスタ等の電子部品4の端子がディップされる。更に所定期間毎にはんだインゴット5をはんだ槽1に供給して、はんだ液2の減少を防ぐと共に組成の変動を抑制する調整を行う(特許文献2参照)。
このような半田ディップ法ではんだ合金を端子に溶融めっきすると、電子部品4の端子からはんだ槽1に端子材料のCuや端子にめっきしているNiめっきのNiがはんだ液2に溶け出し、はんだ槽1中のCu濃度、Ni濃度が上昇する。はんだ槽1中のCu濃度、Ni濃度がある一定量を超えると、電子部品4の端子の外観を悪くしたり、端子根元部分のはんだが、たまりを作って寸法不良となる現象が生じる。これらの不具合が生じるとはんだ槽1のはんだ液2の交換が必要となる。
ところで、Sn-Cu-Niの3元合金のはんだ組成はCuが0.5から0.7wt%、Niが0.1wt%以下の微量、残部Snのはんだが市販されている(株式会社 日本スペリア社、製品名SN100C)。このはんだ合金について、特許文献1の発明の詳細な説明では、Cu食われについて言及がされている。そして、Cuを添加することでCu食われを抑制することができると記載されている。更にNiの添加の理由は、SnとCuの金属間化合物の発生を抑制するためであると記載されている。
銅リート゛端子または、銅合金リート゛端子(Cuを90wt%以上含み、残部をNi,Sn,Mg,P,Si,Fe,B,Mn,Al,Pb,Znの少なくとも1種類を含む)を有するパッケージ型半導体素子のリード端子をディップするはんだ合金として、株式会社日本スペリア社の製品名SN100Cを用い、ディップ浴温度290±5℃、ディップ時間3秒、ディップ回数2回繰り返しにて、ディップ作業を行った。この場合、ディップで端子に付着してディップ槽から減少するはんだを補充する以外に、2ロットごとに約2.4kgのディップはんだの抜き取りと、Cu量がSN100Cより少ない株式会社日本スペリア社の製品名SN100Ceの補充を行い、Cu濃度が1.4wt%になるようにした。
また、Niめっきの端子(電気Niめっきまたは無電解Niめっきで、いわゆるNi100%のめっき、または、Niを85wt%以上含み、P,B,Co,Feの少なくとも1種類を含むめっき)を有するアキシャルリード型パッケージ端子のディップはんだとして、株式会社日本スペリア社の製品名SN100Cを用い、ディップ浴温度270±5℃、ディップ時間2秒、ディップ回数1回にて、作業を行ったところ、Ni濃度は生産数量と共に増加し、約1500万個で管理上限値であるNi0.24wt%となった。
特許第3152945号公報
特許第3312618号公報
従来の鉛を含むSn‐Pb共晶はんだを用いてディップしていた時は、半年に1回程度はんだ液の交換を行えばよかった。しかし、無鉛はんだ化後は、このはんだ液の交換頻度が1週間に1回程度と高くなり、材料の消費、廃棄はんだの処理、交換作業によるラインの停止、交換作業などの費用と時間が多く発生し、採算性、生産性が悪化した。特に、ダイオード、トランジスタ等の所謂ディスクリート製品と呼ばれる半導体素子は大量生産され、かつコストが厳しいので影響がより大きい。また、はんだの廃棄物が増加するので環境への悪影響も懸念される。
また、これまで、Ag電極のはんだ食われ防止としてはんだにAgを加えることは一般的に行われていた。これは、はんだにAgを加えることではんだ中のAgの濃度が上がり、Ag電極のAgが、はんだへの溶け込み速度が遅くなることを利用していた。従って、溶け込みを防ぎたい金属元素と同じ金属元素をはんだに加えると溶け込みを抑えることが可能であると考えられる。
しかし、Cuの溶け込みを抑えるためにはんだにCuを加えることは、はんだ槽のCu濃度が上昇するので、はんだ液の寿命が短くなり、好ましくない。
そこで、本発明は前記課題を解決するために、無鉛はんだを用いてはんだディップする際の、はんだ液の交換頻度を減らし、生産性の向上を図ることができるはんだ合金を提供することを目的とする。
上述した課題を解決して目的を達成するため、本発明は、溶融したはんだ合金にニッケル材の被着体を浸漬させてはんだを被着させるための前記はんだ合金が、Cuが0.8〜2.3wt%、Niが0〜0.9wt%、残部Snからなることとする。そして、被着体がリード端子で、はんだの被着が予備はんだ又は予備めっきであることとする。更に、リード端子が半導体素子のリード端子とする。
また、溶融したはんだ合金に銅材のリード端子を浸漬させてはんだを被着させるための前記はんだ合金がCuが0〜2.5wt%、Niが0.15〜0.3wt%、残部Snからなり、溶融したはんだ合金の温度を270℃以上で320℃以下で被着させることとする。
本発明のはんだ合金により、はんだの寿命が10倍程度長くなり、これにより、はんだの消費量、廃棄はんだの量、交換作業の停止時間が1/10となり、半導体素子の生産性の向上が可能となった。
無鉛はんだ化以前の鉛を含んだはんだは、はんだの交換頻度が極端に少なくて済んでいた。これははんだ中のPbがCu、Niの溶解を抑える効果があるからと考えられる。そこで様々な元素を添加してPbに代わりうる好適な添加元素を探求した。鋭意研究を重ねる中で、Cuの溶け込みを抑えるのに、はんだにNiを添加してNiの濃度を上げることが有効であることを見出した。図1は、Cuが0.6wt%、Niが0.2wt%、残部SnのはんだとCuが0.6wt%、Niが0.05wt%、残部Snのはんだを295℃で溶融させ、銅の溶解速度を調べた結果である。この結果によると同じ経過時間で見た場合にNiが0.2wt%と多い方が銅の溶解量が少ない。つまりNiの濃度を上げることでCuの溶け込みを抑えることができる。
また、Niの溶け込みを抑えるのに、はんだにCuを添加してCuの濃度を上げることが有効であることを見出した。図2は、Cuが0.56wt%、残部Snのはんだ、Cuが1.0wt%、残部Snのはんだ、Cuが1.5wt%、残部Snのはんだを295℃で溶融させてNiの溶解速度を調べた結果である。この結果によると同じ経過時間で見た場合にCuが多い方がNiの溶解量が少ない。つまり、Cuの濃度を上げることでNiの溶け込みを抑えることができる。
これらの結果より、溶け込みを抑えたい金属元素と異なる特定の金属元素をはんだに加えることで溶け込みを抑えたい金属元素のはんだへの溶け込みを抑制できることを見出した。
また、Agを添加するとCuの溶け込み速度が加速されることも見出した。図3は、SnのみのはんだとAgが3.5wt%、残部SnのはんだについてCuの溶解速度を調べた結果である。この結果によると同じ経過時間で見た場合にAgを添加した方がCuの溶解量が多い。つまり、特定の金属元素のみがCuの溶け込みを抑える効果があるということである。Agを添加するとCuの溶け込み速度が加速される点から、ディップ用はんだとしてAgが含まれる合金は適さないことが明らかである。
さらに、端子の外観を悪くしたり、端子の根元にはんだが固まる原因は、はんだ槽のCu、Niの濃度が上昇することではんだの融点(液相線温度)が上昇するためである。これは、融点が上昇してしまうと、はんだ槽が有する熱だけでは、加熱されていない冷たい電子部品の端子をディップ時間内にはんだの融点(液相線温度)以上に加熱できないためと考えられる。つまり、冷たい(はんだ温度よりかなり低い温度の意味)端子がディップ槽に浸漬されると端子付近のはんだは端子に熱を奪われ、温度が低下する。半導体チップが搭載されているヒートシンクと直結している中央の端子は放熱性が良いので最もはんだの熱を奪うこととなる。このため、中央の端子の根元のはんだが溶融状態から半溶融状態になり、はんだのタマリが発生する。図4は、Niを0.05wt%に固定し、SnとCuの比を変えた場合の液相線の状態図である。Cu濃度が上昇すると融点が上昇するので、はんだのタマリがより顕著に発生することとなる。実際に端子の根元の温度を測定したところ、端子の外観を悪くしたり、端子の根元にはんだが固まる現象が生じるのは、はんだの融点(液相線温度)付近でのディップであった。つまり、ディップするにあたって、はんだに溶解可能なCu、Niの量には上限があり、それははんだの融点(液相線温度)、すなわち端子の根元がディップ時間内に到達できる温度で決まる。なお、この温度は、ディップするディップ槽の温度とディップ時間により異なる。また、電子部品には耐熱限界があり、その種類、大きさ、端子の形状によるが、おおむね、250℃から320℃である。ディップ時間は短い方が生産性が良い。このことから、1sから10s程度を選択することが多い。各種の端子根元の温度を測定したところ、はんだ槽温度より20℃程度低い240℃〜300℃であった。この測定結果の一例を図5に示す。図5(a)は、290℃のはんだ槽温度において、2回のディップを行った場合のディップ槽温度と素子温度のプロファイルを示した図である。また、図5(b)は、はんだ槽温度と端子根元温度の関係を示した図である。
したがって、図6のSn-Cu-Niの3元状態図(226℃の1本と230℃〜300℃迄5℃刻みで15本液相線温度の等温線を付した図)に示すように、Cu端子をディップする場合の最適組成範囲は、最も融点が低くなる226℃の液相線温度域を含む部分から300℃までである。すなわち、Niが0.15から0.3wt%であり、このときCuは0(0は含まず)から2.5wt%まで増加可能である。Niめっき端子の場合はCuが0.8から2.3wt%であり、このときNiが0(0は含まず)から0.9wt%まで増加可能である。よって、ディップ用はんだ槽のはんだ組成は、Cu端子をディップする場合Cuが0から2.5wt%、Niが0.15から0.3wt%の範囲であり、Niめっき端子の場合はCuが0.8から2.3wt%、Niが0から0.9wt%の範囲である。
本発明のはんだ合金は、ディップへの端子材のCuとNiの溶け込みが最も少なく、かつCuとNiの溶け込み許容量が最大になることにより、ディップ浴の寿命を最大に出来、生産性、採算性、環境への影響が大幅に改善できる。
前記、銅又は銅合金の端子を有するパッケージの電子部品のディップはんだとして、Sn-0.20Ni(各wt%)を用い、ディップ浴温度290±5℃、ディップ時間3秒、ディップ回数2回繰り返しにて、作業実験を行ったところ、Cu濃度は生産数量と共に増加し、約300万個で管理上限値であるCu1.6wt%となった。
これは、従来はんだで作業した場合の約10倍の処理が可能であった。
また、端子へのディップの品質を確認する目的でCu濃度0、0.2、0.5、0.7、1.0、1.3、1.4、1.5、2.0、2.5wt%まで変化させてサンプルを作成し、外観、はんだぬれ性、接合強度信頼性を確認したが、外観は1.6wt%まで良好、ぬれ性は2.5wt%まで良好であり、0〜2.5wt%までは接合強度の変化が少なく、0〜1.6wt%までの範囲であれば問題なくディップとして使用可能であることが確認できた。
また、前記銅又は銅合金の端子を有するパッケージの電子部品のディップはんだとして、前記Sn-0.20Ni(各wt%)のはんだ槽の一部を汲み取りSn-0.20Ni(各wt%)を補充し、Cu濃度を1.5wt%に調整し、ディップ浴温度290±5℃、ディップ時間3秒、ディップ回数2回繰り返しにて、作業実験を行ったところ、ディップで消費される分以外に20ロットごとに約2.4kgのディップはんだの抜き取りと補充を行い、Cu濃度を1.5wt%に管理出来た。
これは、従来はんだで作業した場合の約1/10の補充量と補充回数であった。
前記Niめっき端子を有するアキシャルリードパッケージ端子のディップはんだとして、Sn-1.0Cu(各wt%)を用い、ディップ浴温度270±5℃、ディップ時間2秒、ディップ回数1回にて、作業を行ったところ、Ni濃度は生産数量と共に増加し、約2億個で管理上限値であるNi0.30wt%となった。これは、従来はんだで作業した場合の約13倍の処理が可能であった。
また、端子へのディップの品質を確認する目的でNi濃度0、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30wt%まで変化させてサンプルを作成し、外観、はんだぬれ性、接合強度信頼性を確認したが、外観、ぬれ性は良好であり、接合強度の変化が少なく、この範囲であれば問題なくディップとして使用可能であることが確認できた。また、これら実施例のはんだは、プリント板の実装はんだとしても利用可能であり、Cuの溶け込みを抑えることが可能である。 図7はCuリード端子を有する半導体素子をSn−Ni−Cuはんだのディップ槽でディップした時のCu濃度の推移を示す図である。図7において、管理限界値として1.5wt%のCu濃度を設定し、この管理限界値に達した時を液寿命とし、Niの濃度を0.2wt%と0.05wt%としてそれぞれディップを行った。Niの濃度が0.05wt%の場合、32万個(約27ロット)で液寿命の1.5wt%のCu濃度に達したが、Niの濃度が0.2wt%の場合、140万個(約117ロット)迄1.5wt%のCu濃度に達せず液寿命が向上した。
図8は同じくCuリード端子を有する半導体素子をSn−Ni−Cuはんだのディップ槽でディップした時のCu濃度の推移を示す図である。図8において、Niの濃度を0.25wt%とすることにより、管理限界の1.5wt%のCu濃度に達することがなく液交換をせずに継続しての生産ができるようになった。
図9はNiリード端子を有する半導体素子をSn−Ni−Cuはんだのディップ槽でディップした時のNi濃度の推移を示す図である。図9において、管理限界値として0.24wt%のNi濃度を設定し、この管理限界値に達した時を液寿命とし、Cuの濃度を0.6wt%と1.0wt%としてそれぞれディップを行った。Cuの濃度が0.6wt%の場合、60万個(約40ロット)で液寿命の0.24wt%のNi濃度に達したが、Cuの濃度が1.0wt%の場合、管理限界の0.24wt%のNi濃度に達することがなく液交換をせずに継続しての生産ができるようになった。
図10は、ディップ槽に半導体素子のリード端子を浸漬した場合の素子内部の温度の変化を示す図である。図10において、TO3P(トランジスタ等の3端子のモールド素子)の半導体素子のリード端子をディップ槽温度320℃のディップ槽に浸漬して素子内部温度を測定した。素子の耐熱限界温度は、チップへの影響を考えると200℃である。30秒程度ディップすると素子の内部は200℃以上となる。一般に、ディップの浸漬時間は、数秒でも可能であるが、装置のトラブル時にディップ状態で停止してしまった場合、製品が全数不良となってしまうため、装置復帰の時間等を考慮して最大30秒のディップ時間とする。このため、デッィップ槽温度としては320℃以下が好ましく、その時の素子内部温度は200℃以下が好ましい。
図11は、ディップ槽に半導体素子のリード端子を浸漬した場合のディップ槽温度と素子漏れ電流と表面粗さの関係を示す図である。また、その測定結果を表1に示す。
図8は同じくCuリード端子を有する半導体素子をSn−Ni−Cuはんだのディップ槽でディップした時のCu濃度の推移を示す図である。図8において、Niの濃度を0.25wt%とすることにより、管理限界の1.5wt%のCu濃度に達することがなく液交換をせずに継続しての生産ができるようになった。
図9はNiリード端子を有する半導体素子をSn−Ni−Cuはんだのディップ槽でディップした時のNi濃度の推移を示す図である。図9において、管理限界値として0.24wt%のNi濃度を設定し、この管理限界値に達した時を液寿命とし、Cuの濃度を0.6wt%と1.0wt%としてそれぞれディップを行った。Cuの濃度が0.6wt%の場合、60万個(約40ロット)で液寿命の0.24wt%のNi濃度に達したが、Cuの濃度が1.0wt%の場合、管理限界の0.24wt%のNi濃度に達することがなく液交換をせずに継続しての生産ができるようになった。
図10は、ディップ槽に半導体素子のリード端子を浸漬した場合の素子内部の温度の変化を示す図である。図10において、TO3P(トランジスタ等の3端子のモールド素子)の半導体素子のリード端子をディップ槽温度320℃のディップ槽に浸漬して素子内部温度を測定した。素子の耐熱限界温度は、チップへの影響を考えると200℃である。30秒程度ディップすると素子の内部は200℃以上となる。一般に、ディップの浸漬時間は、数秒でも可能であるが、装置のトラブル時にディップ状態で停止してしまった場合、製品が全数不良となってしまうため、装置復帰の時間等を考慮して最大30秒のディップ時間とする。このため、デッィップ槽温度としては320℃以下が好ましく、その時の素子内部温度は200℃以下が好ましい。
図11は、ディップ槽に半導体素子のリード端子を浸漬した場合のディップ槽温度と素子漏れ電流と表面粗さの関係を示す図である。また、その測定結果を表1に示す。
次に、図12は、Ni濃度とタマリ発生温度との関係を示す図である。図11において、Niの濃度が0.3wt%を越えると、リード端子の根元にはんだタマリが発生せずにディップ可能な温度は320℃以上が必要となる。前記図10によると、デッィップ槽温度としては320℃以下が好ましいので、ディップ槽中のNi濃度は0.3wt%以下であることが好ましい。
なお、本発明のはんだ合金は、はんだ組成中に上記成分以外に微量の不可避不純物を含むものであってもよい。
以上説明したように本発明のはんだ合金は、半導体素子等の電子部品の端子を溶融したはんだ合金で溶融めっきする際に適用することができる。
1 はんだ槽
2 はんだ液
3 攪拌装置
4 電子部品
5 インゴット
2 はんだ液
3 攪拌装置
4 電子部品
5 インゴット
Claims (4)
- 溶融したはんだ合金にニッケル材の被着体を浸漬させてはんだを被着させるための前記はんだ合金が、Cuが0.8〜2.3wt%、Niが0〜0.9wt%、残部Snからなることを特徴とするはんだ合金。
- 被着体がリード端子で、はんだの被着が予備はんだ又は予備めっきであることを特徴とする請求項1に記載のはんだ合金を使用したリード端子。
- リード端子が半導体素子のリード端子であることを特徴とする請求項2に記載のリード端子を有する半導体素子。
- 溶融したはんだ合金に銅材のリード端子を浸漬させてはんだを被着させるための前記はんだ合金が、Cuが0〜2.5wt%、Niが0.15〜0.3wt%、残部Snからなり、溶融したはんだ合金の温度を270℃以上で320℃以下で被着させたことを特徴とする半導体素子。
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JP2003311000A JP2004261864A (ja) | 2003-02-13 | 2003-09-03 | はんだ合金およびこれを使用したリード端子ならびに半導体素子 |
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JP2003311000A JP2004261864A (ja) | 2003-02-13 | 2003-09-03 | はんだ合金およびこれを使用したリード端子ならびに半導体素子 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007010927A1 (ja) * | 2005-07-19 | 2007-01-25 | Nihon Superior Sha Co., Ltd. | 追加供給用鉛フリーはんだ及びはんだ浴中のCu濃度及びNi濃度調整方法 |
JP2007059506A (ja) * | 2005-08-23 | 2007-03-08 | Toppan Printing Co Ltd | 予備はんだ付き配線基板 |
-
2003
- 2003-09-03 JP JP2003311000A patent/JP2004261864A/ja active Pending
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