JP2005291790A - 気体圧力測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構成簡易で、小型化と圧力測定精度の高度化が容易であり、しかも外部振動に対し強く、また圧力変化に対する反応が素早い、気体圧力測定装置を提供することである。
【解決手段】円環状の弾性表面波周回経路12aが表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段14が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子10を備え、上記周回経路を周回する弾性表面波の強度を検出し周回に伴う上記強度の減衰量を基に周回経路に接する気体の圧力を測定するか、又は、周回経路を周回する弾性表面波の周回速度を検出し周回に伴う上記周回速度の変化を基に周回経路に接する気体の圧力を測定するか、又は、上記強度の減衰量及び/或いは上記記周回速度の変化を基に上記気体の圧力を測定する。
【選択図】 図7

Description

この発明は、気体の圧力を測定する気体圧力測定装置に関係しており、より詳細には、弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を使用して気体の圧力を測定する気体圧力測定装置に関係している。
従来は圧力計として、例えばブルドン管圧力計やピラニ真空計や振動型全圧計等の種々の構造のものが知られている。
しかしながら、ブルドン管圧力計はその構造上、小型化及び圧力測定精度の高度化が難しく、また外部から加えられる振動に対しても弱いという欠点がある。
ピラニ真空計は、その構造上、圧力変化に対する反応が遅いという欠点がある。
さらに、振動型全圧計は、共振振動させた音叉形状の水晶振動子と周囲の気体との摩擦を音叉形状の水晶の交流インピーダンスを測定することにより測定し、ひいては周囲の気体の圧力を測定するが、水晶振動子の精密な加工を必要としており、製造コストが高いという欠点がある。
この発明は、上記事情の下でなされ、この発明の目的は、構成が簡易であって小型化及び圧力測定精度の高度化が容易であり、しかも外部から加えられる振動に対して強く、低コストで製造が容易であって、また圧力変化に対する反応が素早い、気体圧力測定装置を提供することである。
上述した目的を達成するために、この発明に従った気体圧力測定装置は、
弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
ことを特徴としている。
上述した目的を達成するために、この発明に従った別の気体圧力測定装置は、
弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
ことを特徴としている。
上述した目的を達成するために、この発明に従ったさらに別の気体圧力測定装置は、
弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出するとともに上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量及び/あるいは周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
ことを特徴としている。
以上詳述した如く構成されたことを特徴とするこの発明に従った気体圧力測定装置は、弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を使用して、弾性表面波の伝播に周囲の気体の圧力が影響することをことを利用し、上記表面に励起し伝播する弾性表面波の周回に伴なう伝播状況を検出し、検出された伝播状況を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する。
例えば、上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定するか、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定するか、又は、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出するとともに上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量及び/あるいは周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
ので、構成が簡易であって小型化及び圧力測定精度の高度化が容易であり、しかも外部から加えられる振動に対して強く、低コストで製造が容易であって、また圧力変化に対する反応が素早い。
以下、この発明に従った種々の実施の形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の種々の実施の形態に従った気体圧力測定装置は、弾性表面波素子を使用する。
より詳細には、ここで使用される弾性表面波素子は、弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている。そして、上記表面が球形状の場合には、周回経路は少なくとも円環状の表面の最大外周線または最大内周線に沿っている。
図1には、そのような弾性表面波素子10の一例が示されている。弾性表面波素子10は、弾性表面波Aが周回する少なくとも円環状の周回経路12aが表面に沿い設けられている基体12を含んでいる。周回経路12a中には、周回経路12aに対して弾性表面波Aを励起させ、また周回経路12a中を伝播してくる弾性表面波Aを受信する弾性表面波励起/受信手段14が設けられている。
基体12は、それ自身が弾性表面波Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料によってのみ形成されることが出来る。励起周回可能な圧電性結晶材料には、基材に弾性表面波伝播膜が形成されているものも含む。弾性表面波励起/受信手段14が周回経路12aに電界を印加することにより弾性表面波を励起させる場合には、非圧電材料の基礎部分の表面の少なくとも円環状の周回経路12aとなる部分に圧電材料の膜を形成することにより基体12を作成することが出来るし、圧電材料の基礎部分のみで基体12を作成することが出来る。
なお。図1では説明の簡略化の為に周回経路12aは直線状の帯形状として描かれているが、基体12の全表面において周回経路12aとなる少なくとも円環状の表面に沿い実際に弾性表面波Aが伝播する際には、その伝播方向に対し直交する方向である幅方向Wに拡散と収縮とを繰り返すのが普通であるが、弾性表面波励起/受信手段14において弾性表面波を励起させるのに有効な幅を適切に選択することにより、周回経路12aの幅方向Wにおける寸法を最小にすることが出来、多くの実用上の利点を生じさせる。
また本発明で言う、弾性表面波とは、擬セザワ波等の擬似弾性表面波,周囲の気体や液体のような気体中にエネルギーの漏れをもたらす漏洩弾性表面波,板波,ラブ波,そして回廊波を含み、表面近傍にエネルギーを集中して伝播する弾性波を総称して指すものとする。
図1の基体12の全表面は球形状をしているが、弾性表面波Aが伝播する周回経路12aを含む円環状の表面以外の部分(即ち、弾性表面波Aが伝播しない部分)はいかなる形状をしていても良く、周回経路12aを含む円環状の表面の両側を相互に平行に切断したいわゆる樽形状としても良い。
そして、図1の基体12は周回経路12aを伝播する弾性表面波Aが例えば固体物に接触して実質的に外部撹乱を受けるのを防止する為に、周回経路12aを含む円環状の表面の少なくとも一側を支持柱16により台座18上に支持されている。
図1の弾性表面波励起/受信手段14は、弾性表面波励起/受信手段14に電磁波、例えば電気信号、を負荷し上記電気信号に対応して弾性表面波励起/受信手段14により上記円環状の表面の周回経路12a上に弾性表面波を励起する為や周回経路12a上を伝播し弾性表面波励起/受信手段14に受信された弾性表面波を対応する電磁波、例えば電気信号、を励起させる為の弾性表面波素子制御ユニット20に接続されている。より詳細には、図1の弾性表面波励起/受信手段14は上記円環状の表面の周回経路12a上に圧電材料膜を介して形成されたすだれ状電極22を含んでおり、すだれ状電極22の一対の入出力端子から基体12の全表面において周回経路12aを含む円環状の表面の両側に延びたリード線23により弾性表面波素子制御ユニット20に接続されている。
図1の例において弾性表面波素子制御ユニット20は、インピーダンスマッチング回路20a,サーキュレーター20b,高周波電源を含む発信機20c,アンプ20d,そしてディジタルオシロスコープ20e等を備えている。なお、発信機20cに代わり高周波受信アンテナを使用することも出来る。
また、弾性表面波励起/受信手段14により基体12の周回経路12aに弾性表面波の周回を行なわせるには、周回経路12aが規定される材料や周回経路12aの直径に応じて高周波信号を断続的に弾性表面波励起/受信手段14に負荷し、その周波数応答を観測しても良いが、代わりに、RFバースト信号をRFバースト信号が周回経路12aを1周する時間間隔で繰り返し印加し、その結果としてどのような出力を弾性表面波励起/受信手段14が得ることが出来るかを観測するようにしても良い。さらには、円環状の周回経路12Aを弾性表面波が所望の回数周回するのに必要な時間を直接的にでも、或いは間接的にでも、観測することであっても良い。
図2には、図1に示されている弾性表面波素子10に代わる、弾性表面波素子30が示されている。この弾性表面波素子30の構成において図1に示されている弾性表面波素子10の構成と同じものは、弾性表面波素子30の対応する構成をしている参照符号と同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この弾性表面波素子30が、図1に示されている弾性表面波素子10と異なっているのは、基体12に形成されている空洞12cの内表面に少なくとも円環状の周回経路12aが設けられていることである。そして、この弾性表面波素子30の外表面の一部が台座18に直接取り付けられている。
図3及び4にも、図1に示されている弾性表面波素子10に代わる、弾性表面波素子40が示されている。この弾性表面波素子40の構成において図1に示されている弾性表面波素子10の構成と同じものは、弾性表面波素子40の対応する構成をしている参照符号と同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この弾性表面波素子40が、図1に示されている弾性表面波素子10と異なっているのは、基体12の少なくとも円環状の表面に設けられている周回経路12a上にではなく、図4中に良く示されているように周回経路12aに対して隙間Sを介して弾性表面波励起/受信手段14が配置されていることである。より詳細には、弾性表面波素子40の基体12の外表面において周回経路12aを含む少なくとも円環状の表面以外の部分が台座42により支持されていて、台座42は周回経路12aに所定の距離の隙間Sを介して対向している凹所42aを有しており、凹所42aの表面に弾性表面波励起/受信手段14が配置されている。
図1,2,そして3及び4に示されている弾性表面波素子10,30,そして40の夫々において、基体12がそれ自身が弾性表面波Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料によってのみ形成されている場合には、その材料の種類によっては所定の数の相互に異なる複数の周回経路12aを少なくとも円環状の表面に設けることが出来る。
或いは基体12が、少なくとも円環状の表面を含みそれ自身が圧電性を有しない場合でも、基礎部分において少なくとも円環状の周回経路12aとする表面に、またこのような少なくとも円環状の周回経路12aとする表面を含む全表面に被着させた、弾性表面Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料の層又は膜と、の組み合わせにより形成されている場合には、任意の数の相互に異なる周回経路12aを少なくとも円環状の表面に設けることが出来る。さらに、前記表面において何かしかの膜を形成して初めて弾性表面波が多数回周回出来る経路が生じる事もあり、本発明はこのような基材の表面への膜や層構造の形成によって弾性表面波の周回を可能にする素子を除外しない。
図5は、基体12の球形状の外表面の少なくとも円環状の表面に2つの相互に異なる周回経路12aを設けた弾性表面波素子50が示されている。この場合には、2つの相互に異なる周回経路12aに対応して相互に重複しない2つの位置に相互に独立して弾性表面波励起/受信手段14が設けられる。
なお、図1,2,そして3及び4に中に示されている弾性表面波素子10,30,そして40の夫々において、また図5中に示されている弾性表面波素子50において、個々の周回経路12aに対応して設けられる弾性表面波励起/受信手段14は、弾性表面波励起部分と弾性表面波受信部分とを相互に独立して、例えば相互に独立したすだれ状電極22により、構成することが出来る。この場合には、当然のことながら、弾性表面波素子制御ユニット20も、弾性表面波励起/受信手段14の弾性表面波励起部分に接続されて弾性表面波励起部分に電磁波、例えば電気信号、を送り、弾性表面波励起部分に電磁波、例えば電気信号、に対応した弾性表面波を対応する周回経路12aに励起させる弾性表面波励起回路と、対応する周回経路12aを伝播する弾性表面波を弾性表面波励起/受信手段14の弾性表面波受信部分を介して受信し受信した弾性表面波に対応した電磁波、例えば電気信号、を励起させる弾性表面波受信回路と、を夫々に専用に備えるよう変更される。相互に独立した専用の弾性表面波励起回路と専用の弾性表面波受信回路とを備えた弾性表面波素子制御ユニットは、図1中に示されている如く弾性表面波励起回路と弾性表面波受信回路とが一部重複している弾性表面波素子制御ユニット20に比べ、回路設計が遥かに容易になる。
本願の発明者等の実験によれば、基体12をそれ自身が弾性表面波Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料によってのみ形成する場合に例えば3方晶系の水晶を使用すると、水晶の結晶軸であるZ軸を法線とする結晶面が基体12の少なくとも円環状の表面と最大外周線で交差するようにし上記結晶面が上記少なくとも円環状の表面と交差する交線に沿い周回経路12aを設定すると好ましいことが分かっている。なお、ランガサイト(LaGaSiO14)結晶も上述した水晶と同様の周回経路をその結晶軸に関して有している。
また上記実験によれば、基体12をそれ自身が弾性表面波Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料によってのみ形成する場合に例えば3方晶系のニオブ酸リチウム(LiNbO)を使用すると、ニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶の結晶軸である+Y軸をX軸を回転中心に+Z方向に20°だけ回転させることにより規定された結晶軸を法線とする結晶面が基体12の少なくとも円環状の表面と交差する交線に沿い周回経路12aを設定すること、及び/又は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶の結晶軸である+Y軸をX軸を回転中心に−Z方向に26°だけ回転させることにより規定された結晶軸を法線とする結晶面が基体12の少なくとも円環状の表面と交差する交線に沿い周回経路12aを設定すること、が好ましいことが分かっている。そして、3方晶系のニオブ酸リチウム(LiNbO)は、1つの平面内に互いに120°をなす3つの結晶軸+Yを有しているので、上述した如くして周回経路12aを3つ設定することが出来る。
さらに上記実験によれば、基体12をそれ自身が弾性表面波Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料によってのみ形成する場合に例えば3方晶系のタンタル酸リチウム(LiTaO)を使用すると、タンタル酸リチウム(LiTaO)結晶の結晶軸である+Y軸をX軸を回転中心に−Z方向に45°だけ回転させることにより規定された結晶軸を法線とする結晶面が基体12の少なくとも円環状の表面と交差する交線に沿い周回経路12aを設定すること、が好ましいことが分かっている。そして、タンタル酸リチウム(LiTaO)は、1つの平面内に互いに120°をなす3つの結晶軸+Yを有しているので、上述した如くして周回経路12aを3つ設定することが出来る。
本願の発明者等は、水晶,ランガサイト(LaGaSiO14),そしてニオブ酸リチウム(LiNbO)の夫々により直径1インチの基体12が形成されている弾性表面波素子10を気密室中に格納し、所定の温度、いわゆる室温、で気密室中の圧力を大気圧から減圧している間に、幅1nsecのインパルス信号を入力した時に各弾性表面波素子10の周回経路12aを伝播する弾性表面波の位相のずれ、即ち伝播速度の変化(音速変化)、及び強度の変化を測定した。
図6の(A)は、上述した圧力の変化に対する上述した伝播速度の変化(音速変化)の関係を示しており、ここで伝播速度の変化(音速変化)における単位ppmは所定の温度に保たれた状態で一気圧の時に観測された上記伝播速度に対する100万分の1単位の変化の割合を示している。
図6の(A)からは:ニオブ酸リチウム(LiNbO)により基体12を形成した場合には、上記所定の温度が保たれた状態で周回経路12aに接する気体、この場合には空気、が一気圧減圧されると、減圧の進行にほぼ比例して上記伝播速度が略40ppm早くなり;水晶により基体12を形成した場合には、上記所定の温度が保たれた状態で周回経路12aに接する気体、この場合には空気が一気圧減圧されると、減圧の進行にほぼ比例して上記伝播速度が略20ppm早くなり;そして、ランガサイト(LaGaSiO14)により基体12を形成した場合には、上記所定の温度が保たれた状態で周回経路12aに接する気体、この場合には空気が一気圧減圧されると、減圧の進行にほぼ比例して上記伝播速度が略12ppm早くなることが分かる。
そして、これら3種類の材料により基体12を形成した場合には、上記所定の温度が保たれた状態で周回経路12aに接する気体、この場合には空気、が一気圧減圧されると、ニオブ酸リチウム(LiNbO)により基体12を形成した場合が一番減圧の進行に対して高感度であることが分かる。なお、ニオブ酸リチウム(LiNbO)は電荷を集めやすい焦電性を有しており、周回経路12aが電荷を帯びると周回経路12aに沿う表面弾性波の伝播状況に影響を与える可能性がある。しかしながら、このような周回経路12aに対する電荷の付着は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)により形成した基体12の表面の少なくとも周回経路12aを導電性薄膜により覆うことにより防止することが出来る。
このような高感度の圧力変化の測定は、周回経路12aに沿い繰り返し何度も同じ表面弾性波を伝播させることが出来る、即ち、周回経路12aに沿う同じ表面弾性波の伝播時間が長い、弾性表面波素子10、を使用したお蔭である。このことは、図2や図3及び4や図5中に示されている弾性表面波素子30,40,そして50を使用しても同じ結果を得ることが出来る。
また、図6の(B)は、弾性表面波素子10の基体12aを水晶で形成した場合において、上記所定の温度が保たれた状態で周回経路12aに接する気体、この場合には空気が一気圧減圧された時の、上述した圧力の変化に対する周回経路12aを伝播する弾性表面波の強度の変化を51周目で測定した結果が示されている。このような強度の変化は、周回経路12aを伝播する弾性表面波のエネルギーが周回経路12aに隣接している気体、この場合には空気中に漏れ出ることから生じると考えられる。
図6の(B)からは、周回経路12aに接する気体、この場合には空気が一気圧から減圧される程度が或る程度大きくなってから急激に上記強度の低下が少なくなることが分かる。このような上記強度の低下の傾向は、弾性表面波素子10の基体12aをニオブ酸リチウム(LiNbO)やランガサイト(LaGaSiO14)により形成した場合も同じである。
このような高感度の強度変化の測定もまた、周回経路12aに沿い繰り返し何度も同じ表面弾性波を伝播させることが出来る、即ち、周回経路12aに沿う同じ表面弾性波の伝播時間が長い、弾性表面波素子10、を使用したお蔭である。このことは、図2や図3及び4や図5中に示されている弾性表面波素子30,40,そして50を使用しても同じ結果を得ることが出来る。
そして、図6の(A)及び(B)の結果から、周回経路12aに接する気体、この場合には空気の圧力の変化は、周回経路12aを伝播する弾性表面波の伝播速度の変化又は周回経路12aを伝播する弾性表面波の強度の変化を検出することにより高精度に測定可能であり、また上記伝播速度の変化及び上記強度の変化の両方を検出することにより高精度でより広い圧力範囲にわたって正確に測定可能であることが分かる。
上述した如く、構成が簡易であって小型化及び圧力測定精度の高度化が容易であり、しかも外部から加えられる振動に対して強く、また圧力変化に対する反応が素早い、弾性表面波素子10,30,40,そして50等を使用した気体圧力測定装置ではあるが、基体12の周回経路12aに隣接し圧力を測定したい気体の温度が変化して周回経路12aを含む基体12の温度も変化すると、周回経路12aを含む基体12の材料の物理的性質(例えば、密度や周回経路12aを含む円環状の表面の直径)も僅かに変化し、このことが周回経路12aに沿い伝播する弾性表面波の上述した如き伝播速度の変化や強度の変化に僅かに影響を及ぼし、ひいては、上述した如き伝播速度の変化や強度の変化に基づく上記気体の圧力の変化の測定結果に僅かに影響を及ぼす。
また、周回経路12a上に上記気体中の異物、例えば塵や埃や前述した如き電荷等、が付着しても、また、上記気体の組成の変化によっても、周回経路12aに沿い伝播する弾性表面波の上述した如き伝播速度の変化や強度の変化に僅かに影響を及ぼし、ひいては、上述した如き伝播速度の変化や強度の変化に基づく上記気体の圧力の変化の測定結果に影響を及ぼす。
以下に図7,8,9,そして10を参照しながら、弾性表面波素子10,30,40,そして50等を使用した気体圧力測定装置を使用して、圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮して、または無くして、また周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃や前述した如き電荷等、の付着を無くして、または上記気体の組成の変化の影響を無くして、上記圧力の変化をより高精度に測定する為に、本願の発明者等が提案する種々の構成を説明する。
図7中に示されている例では、例えばセラミックフィルターの如き高密度フィルター60aにより外部連通孔60bが覆われている密封容器60の内部空間中に弾性表面波素子10が収容されていて、弾性表面波素子10は基体12の外表面において周回経路12a以外の部分が密封容器60の内部空間の内表面に固定されている。より詳細には、上記部分が銀ペーストを介して上記内表面に接着されている。弾性表面波素子10の基体12の外表面において周回経路12a以外の部分にはさらに熱電対62の温度測定接点が接触されている。そして、熱電対62の1対の端子は、弾性表面波素子10の弾性表面波励起/受信手段14の為の弾性表面波素子制御ユニット20とともに、圧力検出手段64に接続されている。圧力検出手段64は、熱電対62により測定した弾性表面波素子10の基体12の温度を考慮して、弾性表面波素子10の基体12の周回経路12aを伝播する弾性表面波Aの伝播速度の変化及び/又は上記弾性表面波Aの強度の変化に対応して弾性表面波励起/受信手段14から送られてくる電気信号を基に、周回経路12aに隣接している気体、この例では空気の現時点での圧力をより高精度に検出することが出来るし、検出した圧力を公知の表示手段により表示することも出来る。
以上詳述した説明から明らかなように、図7に示された例では、周回経路12aに隣接している圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮して、及び周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃等、の付着をなくして、上記圧力を測定したい気体の圧力の変化をより高精度に測定することが出来る。
図8中に示されている例では、良好な伝熱性を有した容器70の内部空間が隔壁70aにより完全に密封された第1の内部空間70bと開口70cを有した第2の内部空間70dとに仕切られている。開口70cは、高密度フィルター70eにより覆われている。第1の内部空間70bと第2の内部空間70dとには、同じ構成の2つの弾性表面波素子10が収容されていて、これら2つの弾性表面波素子10は基体12の外表面において周回経路12a以外の部分が第1の内部空間70bにおける隔壁70aの表面及び第2の内部空間70dにおける隔壁70aの表面に良好な伝熱性を有した公知の固定手段により固定されている。従って、第1の内部空間70b中と第2の内部空間70d中の2つの弾性表面波素子10は同じ温度になっている。完全に密封された第1の内部空間70b中は、図8中に示されている例が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せず弾性表面波素子10を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス、により充填されている。
2つの弾性表面波素子10の弾性表面波励起/受信手段14の夫々は相互に同じ構成の弾性表面波素子制御ユニット20に接続されており、さらには圧力検出手段64に接続されている。完全に密封された第1の内部空間70b中の弾性表面波素子10の弾性表面波励起/受信手段14から弾性表面波素子制御ユニット20が得た周回経路12aに沿い伝播する弾性表面波Aの伝播速度に対応する電気信号からは温度変化の影響による上記伝播速度の変化を知ることが出来る。従って、圧力検出手段64は、上記温度変化を知ることが出来る。上述したように、この温度変化は、高密度フィルター70eにより覆われている開口70cを有した第2の内部空間70d中の弾性表面波素子10の温度変化に等しい。
従って、圧力検出手段64は、完全に密封された第1の内部空間70b中の弾性表面波素子10の基体12(即ち、開口70cを有した第2の内部空間70d中の弾性表面波素子10の基体12)の温度を考慮して、開口70cを有した第2の内部空間70d中の弾性表面波素子10の基体12の周回経路12aを伝播する弾性表面波Aの伝播速度の変化及び/又は上記弾性表面波Aの強度の変化に対応して第2の内部空間70d中の弾性表面波素子10の弾性表面波励起/受信手段14から送られてくる電気信号を基に、周回経路12aに隣接している気体、この例では空気の現時点での圧力をより高精度に検出することが出来るし、検出した圧力を公知の表示手段により表示することも出来る。
以上詳述した説明から明らかなように、図8に示された例では、周回経路12aに隣接している圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮して、及び周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃等、の付着をなくして、上記圧力を測定したい気体の圧力の変化をより高精度に測定することが出来る。
図9中に示されている例では、良好な伝熱性を有した容器80の内部空間が隔壁80aにより完全に密封された第1の内部空間80bと開口80cを有した第2の内部空間80dとに仕切られている。開口80cは、第2の内部空間80dを外部空間から密閉するとともに外部空間中の気体、この例では空気の圧力変化を第2の内部空間80d中に伝達可能な密封圧力伝達手段80eにより覆われている。このような密封圧力伝達手段80eとしては開口80cの内表面上を気密状態で摺動可能なピストンや例えばゴムのような気密材料を使用した気密膜体を例示することが出来る。図9中には、密封圧力伝達手段80eとして気密膜体が示されている。第1の内部空間80bと第2の内部空間80dとには、同じ構成の2つの弾性表面波素子10が収容されていて、これら2つの弾性表面波素子10は基体12の外表面において周回経路12a以外の部分が第1の内部空間80bにおける隔壁80aの表面及び第2の内部空間80dにおける隔壁80aの表面に良好な伝熱性を有した公知の固定手段により固定されている。従って、第1の内部空間80b中と第2の内部空間80d中の2つの弾性表面波素子10は同じ温度になっている。完全に密封された第1の内部空間80b中及び開口80cが密封圧力伝達手段80eにより覆われている第2の内部空間80dは、図9中に示されている例が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せず弾性表面波素子10を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス、により充填されている。
2つの弾性表面波素子10の弾性表面波励起/受信手段14の夫々は相互に同じ構成の弾性表面波素子制御ユニット20に接続されており、さらには圧力検出手段64に接続されている。完全に密封された第1の内部空間80b中の弾性表面波素子10の弾性表面波励起/受信手段14から弾性表面波素子制御ユニット20が得た周回経路12aに沿い伝播する弾性表面波Aの伝播速度に対応する電気信号からは温度変化の影響による上記伝播速度の変化を知ることが出来る。従って、圧力検出手段64は、上記温度変化を知ることが出来る。上述したように、この温度変化は、密封圧力伝達手段80eにより覆われている開口80cを有した第2の内部空間80d中の弾性表面波素子10の温度変化に等しい。
従って、圧力検出手段64は、完全に密封された第1の内部空間80b中の弾性表面波素子10の基体12(即ち、開口80cを有した第2の内部空間80d中の弾性表面波素子10の基体12)の温度を考慮して、開口80cを有した第2の内部空間80d中の弾性表面波素子10の基体12の周回経路12aを伝播する弾性表面波Aの伝播速度の変化及び/又は上記弾性表面波Aの強度の変化に対応して第2の内部空間80d中の弾性表面波素子10の弾性表面波励起/受信手段14から送られてくる電気信号を基に、開口80cが密封圧力伝達手段80eにより覆われている第2の内部空間80d中の弾性表面波素子10の基体12の周回経路12aに隣接している気体(この例では、図9中に示されている例が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せず弾性表面波素子10を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス)に密封圧力伝達手段80eを介して伝達されている外部空間の気体、この例では空気、の現時点での圧力をより高精度に検出することが出来るし、検出した圧力を公知の表示手段により表示することも出来る。
以上詳述した説明から明らかなように、図9に示された例では、圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮して、及び周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃や前述した電荷等、の付着をなくして、しかも、圧力を測定したい気体の組成の変化の影響を無くして、上記圧力を測定したい気体の圧力の変化をより高精度に測定することが出来る。
図10中に示されている例では、弾性表面波素子の基体12の外表面の全てが例えばポーラスセラミックスと呼ばれるようなアルミナを用いたセメントにより形成されている熱浴部材90により覆われている。ここで言う熱浴部材とは、大きな熱容量を持ち、弾性表面波素子の温度を安定化させる効果を持つ部材を指す。熱浴部材90は、基体12の外表面において周回経路12a以外の部分に密着しており、周回経路12aと対向する部分は所定の隙間Sを介して周回経路12aと対向し周回経路12aに沿い円環状に延出する溝90aが形成されている。溝90aの底面には、周回経路12aに沿い弾性表面波を励起し伝播させる為及び周回経路12aに沿い伝播してきた弾性表面波を受信する弾性表面波励起/受信手段14が設けられている。溝90aはさらに外部連通孔90bを有しており、外部連通孔90bには高密度フィルター90cが設置されている。熱浴部材90により覆われている基体12には、外部空間の気体、この例では空気の温度変化が殆ど伝達されない。
従って、弾性表面波励起/受信手段14の為の弾性表面波素子制御ユニット20に接続されている圧力検出手段64は、外部空間の気体、この例では空気の温度変化の影響を考慮しなくとも、基体12の周回経路12aを伝播する弾性表面波の伝播速度の変化及び/又は上記弾性表面波の強度の変化に対応して弾性表面波励起/受信手段14から送られてくる電気信号を基に、外部連通孔90bを有した溝90a中で周回経路12aに隣接している気体、この例では空気の現時点での圧力を常に高精度に検出することが出来るし、検出した圧力を公知の表示手段により表示することも出来る。
以上詳述した説明から明らかなように、図10に示された例では、周回経路12aに隣接している圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮しなくても、温度変化を緩和し、さらには周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃等、の付着をなくして、上記圧力を測定したい気体の圧力の変化をより高精度に測定することが出来る。
なお、図10に示された例において外部連通孔90bの高密度フィルター90cの代わりに、溝90aを外部空間から密閉するとともに外部空間中の気体、この例では空気の圧力変化を溝90a中に伝達可能な密封圧力伝達手段により外部連通孔90bを覆うことも出来る。このような密封圧力伝達手段としては外部連通孔90bの内表面上を気密状態で摺動可能なピストンや例えばゴムのような気密材料を使用した気密膜体を例示することが出来る。そして溝90a中には、図10に示された例が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せず周回経路12aを含む基体12や弾性表面波励起/受信手段14を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス、により充填されている。
この弾性表面波素子の弾性表面波励起/受信手段14は弾性表面波素子制御ユニット20に接続されており、さらには圧力検出手段64に接続されている。熱浴部材90により覆われている基体12には、外部空間の気体、この例では空気の温度変化が殆ど伝達されないので、圧力検出手段64は、完全に密封された溝90a中の基体12の周回経路12aを伝播する弾性表面波の伝播速度の変化及び/又は上記弾性表面波の強度の変化に対応して溝90a中の弾性表面波励起/受信手段14から送られてくる電気信号を基に、外部連通孔90bが密封圧力伝達手段により覆われている溝90a中の基体12の周回経路12aに隣接している気体(この例では、図10中に示されている例が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せず周回経路12aを含む基体12や弾性表面波励起/受信手段14を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス)に密封圧力伝達手段を介して伝達されている外部空間の気体、この例では空気の現時点での圧力をより高精度に検出することが出来るし、検出した圧力を公知の表示手段により表示することも出来る。
以上詳述した説明から明らかなように、図10に示された例の上述した変形例では、圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮しなくとも、あるいはその影響を低減して、周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃や前述した如き電荷等、の付着をなくして、しかも、圧力を測定したい気体の組成の変化の影響を無くして、上記圧力を測定したい気体の圧力の変化をより高精度に測定することが出来る。
さらに図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置では、空洞12cの2つの開口を例えばセラミックフィルターのような高密度フィルターにより閉塞するとともに基体12に基体12の温度を測定する例えば熱電対のような公知の温度測定手段を取り付け、熱電対の1対の端子を、弾性表面波素子30の弾性表面波励起/受信手段14の為の弾性表面波素子制御ユニット20とともに、圧力検出手段に接続する。圧力検出手段は、熱電対により測定した弾性表面波素子30の基体12の温度を考慮して、弾性表面波素子30の基体12の周回経路12aを伝播する弾性表面波の伝播速度の変化及び/又は上記弾性表面波の強度の変化に対応して弾性表面波励起/受信手段14から送られてくる電気信号を基に、周回経路12aに隣接している気体、この例では空気の現時点での圧力をより高精度に検出することが出来るし、検出した圧力を公知の表示手段により表示することも出来る。
このようにして、図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置では、周回経路12aに隣接している圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮して、及び周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃等、の付着をなくして、上記圧力を測定したい気体の圧力の変化をより高精度に測定することが出来る。
また図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置では、空洞12cの2つの開口を、空洞12cを外部空間から密閉するとともに外部空間中の気体、この例では空気の圧力変化を空洞12c中に伝達可能な密封圧力伝達手段により覆うことも出来る。このような密封圧力伝達手段としては上記開口に接続されたシリンダ中を気密状態で摺動可能なピストンや例えばゴムのような気密材料を使用した気密膜体を例示することが出来る。開口が密封圧力伝達手段により覆われている空洞12c中には、図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せず弾性表面波素子30を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス、により充填されている。
基体12に基体12の温度を測定する例えば熱電対のような公知の温度測定手段を取り付け、熱電対の1対の端子を、弾性表面波素子30の弾性表面波励起/受信手段14の為の弾性表面波素子制御ユニット20とともに、圧力検出手段に接続する。
従って、圧力検出手段は、弾性表面波素子30の基体12の温度を考慮して、弾性表面波素子30の基体12の周回経路12aを伝播する弾性表面波の伝播速度の変化及び/又は上記弾性表面波の強度の変化に対応して空洞12a中の弾性表面波励起/受信手段14から送られてくる電気信号を基に、開口が密封圧力伝達手段により覆われている空洞12c中の周回経路12aに隣接している気体(この例では、図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せず弾性表面波素子30を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス)に密封圧力伝達手段を介して伝達されている外部空間の気体この例では空気、の現時点での圧力をより高精度に検出することが出来るし、検出した圧力を公知の表示手段により表示することも出来る。
以上詳述した説明から明らかなように、図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置では、圧力を測定したい気体の温度の変化の影響を考慮して、及び周回経路12a上に対する上記気体中の異物、例えば塵や埃や前述した如き電荷等、の付着をなくして、しかも、圧力を測定したい気体の組成の変化の影響を無くして、上記圧力を測定したい気体の圧力の変化をより高精度に測定することが出来る。
なお前述した種々の例では、基体12の周回経路12aに対応して設けられている弾性表面波励起/受信手段14と基体12から離れている弾性表面波素子制御ユニット20とはリード線23により相互に接続されているが、リード線23を使用することなく、基体12において周回経路12a以外の部分で弾性表面波励起/受信手段14に接続されている例えば高周波アンテナのような電磁波送受信手段を接続し、また弾性表面波素子制御ユニット20における弾性表面波励起/受信手段14に対する入出力端子にも例えば高周波アンテナのような電磁波送受信手段を接続すれば、弾性表面波励起/受信手段14が上記電磁波送受信手段を介して弾性表面波素子制御ユニット20から受信した電磁波に従い周回経路12aに弾性表面波を励起させ、また弾性表面波励起/受信手段14が周回経路12aを周回する弾性表面波に対応した電磁波を上記電磁波送受信手段を介して弾性表面波素子制御ユニット20に発信させることが出来る。そして、このような場合には、上記電磁波のバースト信号の継続時間を、対応する弾性表面波素子の基体12の周回経路12aを弾性表面波が一周するのに要する時間よりも長くすると、より大きな出力で弾性表面波を励起及び受信可能にになり、前述した測定をより高精度に行なうことが可能になる。
図11中には、図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置において、弾性表面波励起/受信手段14と基体12から離れている弾性表面波素子制御ユニット20とを相互に接続しているリード線23に代わり、弾性表面波素子30の弾性表面波励起/受信手段14に例えば高周波アンテナのような電磁波送受信手段100を接続した例が示されている。
この例では、基体12の空洞12cの2つの開口に管状の外部気体案内部材102が気密に接続されていて、これら外部気体案内部材102の内表面に空洞12c中の弾性表面波励起/受信手段14に接続されている例えば高周波アンテナのような電磁波送受信手段100が配置されている。
このような構成であると、弾性表面波素子30の側における電磁波送受信手段100の動作性能を向上させることが出来るし、しかも、電磁波送受信手段100が外力により損傷される可能性を無くすことが出来る。2つの管状の外部気体案内部材102の夫々の内孔の外端部は、前述した如く高密度フィルタ−により覆われていることが出来るし、或いは、空洞12cとともに2つの管状の外部気体案内部材102の夫々の内孔中にこの弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置が使用される外部環境の温度に対し性質が変化せずこの弾性表面波素子30や2つの管状の外部気体案内部材102を変質させることがない安定した気体、例えば窒素ガスや二酸化炭素ガス、を充填した状態で、空洞12c及び2つの管状の外部気体案内部材102の夫々の内孔を外部空間から密閉するとともに外部空間中の気体、この例では空気の圧力変化を2つの管状の外部気体案内部材102の夫々の内孔を介し空洞12c中に伝達可能な密封圧力伝達手段により覆うことも出来る。このような密封圧力伝達手段としては2つの管状の外部気体案内部材102の夫々の内孔の外端部中を気密状態で摺動可能なピストンや例えばゴムのような気密材料を使用した気密膜体を例示することが出来る。
また、図11の例は、圧力を測定したい気体が流れる配管に対し直接接続して使用するのに非常に適している。
さらに、図2中に示されている弾性表面波素子30を使用した気体圧力測定装置では、弾性表面波素子30の基体12の外表面の全体を例えばアルミナを使用したセメント(ポーラスセラミック)のような熱浴部材により覆うとともに、空洞12cの開口を出来る限り小さくして、図2中に示されている弾性表面波素子30が使用される外部空間中の気体、この場合は空気、の温度変化の影響が弾性表面波素子30の性能に影響を及ぼす可能性を出来る限り小さくすることが出来る。
この発明の気体圧力測定装置において使用される弾性表面波素子の第1例の構成を概略的に示す図。 この発明の気体圧力測定装置において使用される弾性表面波素子の第2例の構成を概略的に示す図。 この発明の気体圧力測定装置において使用される弾性表面波素子の第3例の構成を概略的に示す図。 図3の弾性表面波素子の基体の外表面の周回経路とそれに隙間Sを介して対向して配置された弾性表面波励起/受信手段とを拡大し断面にして示す図。 この発明の気体圧力測定装置において使用される弾性表面波素子の第4例の構成を概略的に示す図。 (A)は、基体が水晶、ランガサイト(LaGaSiO14),及びニオブ酸リチウム(LiNbO)により形成されている図1中に示されている第1例の弾性表面波素子を圧力の変化を測定する気体としての空気中に置き、この空気を所定の温度に保った状態で一気圧から減圧した場合に、これらの弾性表面波素子により測定された基体の周回経路上を周回する弾性表面波の伝播速度が変化する様子を概略的に示す図であり;そして、 (B)は、基体が水晶により形成されている図1中に示されている第1例の弾性表面波素子を圧力の変化を測定する気体としての空気中に置き、この空気を所定の温度に保った状態で一気圧から減圧した場合に、この弾性表面波素子により測定された基体の周回経路上を周回する弾性表面波の強度が51周目において変化する様子を概略的に示す図である。 温度変化による性能変化を較正する為の熱電対と組み合わされた図1中に示されている第1例の弾性表面波素子を1個使用したこの発明の気体圧力測定装置の第1の実施の形態を概略的に示す縦断面図である。 温度変化による性能変化を較正する為に図1中に示されている第1例の弾性表面波素子を2個使用したこの発明の気体圧力測定装置の第2の実施の形態を概略的に示す縦断面図である。 温度変化による性能変化を較正する為に図1中に示されている第1例の弾性表面波素子を2個使用したこの発明の気体圧力測定装置の第3の実施の形態を概略的に示す縦断面図である。 圧力を測定しようする気体としての空気の温度変化による影響を受けないよう構成された図3及び4中に示されている第3例の弾性表面波素子の変形例を1個使用したこの発明の気体圧力測定装置の第4の実施の形態を概略的に示す縦断面図である。 弾性表面波励起/受信手段を電磁波送受信手段を介して弾性表面波素子制御ユニットにより制御するよう構成された図2中に示されている第2例の弾性表面波素子の変形例を示す図である。
符号の説明
A…弾性表面波、10…弾性表面波素子、12a…周回経路、14…弾性表面波励起/受信手段、20…弾性表面波素子制御ユニット、30…弾性表面波素子、40…弾性表面波素子、50…弾性表面波素子、80d…第2の内部空間、80e…圧力変化伝達手段、80…密封容器、100…電磁波送受信手段。

Claims (7)

  1. 弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
    上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
    ことを特徴とする気体圧力測定装置。
  2. 弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
    上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
    ことを特徴とする気体圧力測定装置。
  3. 弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
    上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出するとともに上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量及び/或いは周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
    ことを特徴とする気体圧力測定装置。
  4. 上記弾性表面波素子を密閉した内部空間と、外部空間の圧力の変化を内部空間に伝達する圧力変化伝達手段と、を含む弾性表面波素子密閉容器を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の気体圧力測定装置。
  5. 上記弾性表面波素子の上記表面は球形状である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の気体圧力測定装置。
  6. 上記弾性表面波素子の上記弾性表面波励起/受信手段はすだれ状電極を含んでおり、上記表面において上記すだれ状電極に対応した部分は圧電性を有している、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の気体圧力測定装置。
  7. 上記弾性表面波励起/受信手段は電磁波送受信手段に接続されていて、上記電磁波送受信手段を介して受信した電磁波に従い上記表面の上記周回経路に弾性表面波を励起させ、また上記弾性表面波励起/受信手段が上記周回経路を周回する弾性表面波に対応した電磁波を上記電磁波送受信手段から発信させる、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の気体圧力測定装置。
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