以下、この発明を実施するための最良の形態に従った弾性表面波素子識別装置及び弾性波素子識別装置の夫々を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず最初に、この発明の第1の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置を説明する。
図1の(A)乃至(C)には、この発明の第1の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の中の3種類の弾性表面波素子10A、10B、10Cの外観が概略的に示されている。
以下、複数種類の弾性表面波素子について3種類の弾性表面波素子10A、10B、10Cを代表として説明する。3種類の弾性表面波素子10A、10B、10Cは、相互に同じ寸法の球形状の少なくとも一部を含む外表面を有した基体12を備えている。3種類の弾性表面波素子の基体12は、外表面に弾性表面波を発生させることが可能であるとともに発生された弾性表面波を外表面に沿い伝搬させることが可能な相互に同じ材料により形成されていて、この実施の形態では直径が10mmの圧電結晶の一種である水晶により球形状に構成されている。
このような基体12の外表面において球形状の少なくとも一部は水晶のZ軸周りの最大外周線MLを構成するよう円環状に延びている。この円環状の部分の任意の位置には、外表面に弾性表面波を発生させるとともに円環状の部分に沿い矢印Aにより示されているよう弾性表面波を伝搬させるとともに円環状の部分に沿い伝搬した弾性表面波を検出する弾性表面波・発生/検出手段14A,14B,14Cが設けられている。そして、基体12の外表面において弾性表面波が伝搬する領域を伝搬路と規定する。
この実施の形態において3種類の弾性表面波素子の弾性表面波・発生/検出手段は、相互に異なった伝搬特性(周波数)を有した弾性表面波を発生させるよう構成された電気音響変換手段を含んでおり、より詳細には、電極の周期のみが相互に異なるすだれ状電極により構成されている。そして、3種類の弾性表面波素子10A,10B,10Cのすだれ状電極14A,14B,14Cは、17μm,13μm,10μmの周期を有している。
3種類の弾性表面波素子のすだれ状電極14A,14B,14Cの夫々は、3種類の弾性表面波素子の夫々の基体12の外表面において上述した伝搬路の両外側に配置されている1対の端子16に導電線により接続されている。3種類の弾性表面波素子の3種類のすだれ状電極14A,14B,14Cの夫々は夫々に対応する1対の端子16及び上記導電線とともに夫々の基体12の外表面上に例えば印刷工程により、或いはスパッタリング工程などの成膜プロセスとフォトリソグラフィーを利用したパターニング工程により、一括して一体的に容易に、しかし非常に高精度に形成することが出来る。
この実施の形態に従っている弾性表面波素子識別装置は、3種類の弾性表面波素子の夫々の1対の端子16に接離自在に接触される1対の入出力接続端子18を有しており、一方の入出力接続端子18は接地されていて、他方の入出力接続端子18には入力手段20が接続されている。
他方の入出力接続端子18にはさらに例えばデジタルオシロスコープの如きデジタイザーにより構成されている出力信号データ化手段21が接続されていて、出力信号データ化手段21には周波数分析手段22を介して弾性表面波素子識別手段23が接続されているとともに周回速度測定手段24aを介して弾性表面波伝搬状態解析手段24bが接続されている。弾性表面波素子識別手段23には、周波数特性と弾性表面波素子番号関連付けデータを貯蔵したメモリー23aが接続されている。弾性表面波素子識別手段23にはさらに素子番号及び測定結果表示手段25が接続されており、素子番号及び測定結果表示手段25には弾性表面波伝搬状態解析手段24bもまた接続されている。
入力手段20は、広帯域バースト信号源20a及び狭帯域バースト信号源20bを含んでおり、広帯域バースト信号源20aからの広帯域バースト信号或いは狭帯域バースト信号源20bからの狭帯域バースト信号を選択的に他方の入出力接続端子18に供給する。なお広帯域バースト信号は弾性表面波素子の識別の為に使用され、狭帯域バースト信号は個々の弾性表面波素子の外表面の伝搬路を伝搬する弾性表面波の伝搬速度を厳密に測定し伝搬路の表面状況、即ち伝搬路が接している外部環境の状況、を精度良く評価するのに使用される。
1対の入出力接続端子18に3種類の弾性表面波素子のいずれかの1対の端子16が接触されている間に、このいずれかの弾性表面波素子の弾性表面波・発生/検出手段のすだれ状電極14A,14B,又は14Cに1対の入出力接続端子18を介して入力手段20が広帯域又は狭帯域の高周波信号をバースト状に流すと、1対の入出力接続端子18に1対の端子16が接触されているいずれかの種類の弾性表面波素子の対応するすだれ状電極14A,14B,又は14Cの電極周期に対応した周波数の弾性表面波が対応する基体12の外表面の伝搬路にバースト状に発生され、上述した如く矢印Aに沿い伝搬し、伝搬路を伝搬した後に弾性表面波を発生させた対応するすだれ状電極14A,14B,又は14Cにより検出される。
複数種類の弾性表面波素子の複数種類のすだれ状電極により夫々の基体12の外表面上に発生される弾性表面波の周波数は、弾性表面波を発生させたすだれ状電極の周期で弾性表面波の音速を割った値に等しく、即ち相互に異なる。
入力手段20の広帯域バースト信号源20aからの広帯域の周波数成分を持った高周波信号が1対の入出力接続端子18に接している3種類の弾性表面波素子のいずれかの1対の端子16を介して、このいずれかの弾性表面波素子の弾性表面波・発生/検出手段のすだれ状電極14A,14B,又は14Cに入力されると、広帯域の高周波信号が入力されたすだれ状電極の電極周期に対応した周波数の弾性表面波が3種類の弾性表面波素子の上記いずれかの伝搬路に励起されて伝搬される。上記伝搬路を周回した弾性表面波は上記すだれ状電極に到達すると上記すだれ状電極から対応する高周波信号として1対の端子16及び1対の入出力接続端子18を介して出力信号データ化手段21に送られる。出力信号データ化手段21に上述した如く入力された高周波信号は周波数分析手段22により周波数分析された後に、弾性表面波素子識別手段23においてメモリー23a中に予め記憶されていた周波数特性と弾性表面波素子番号関連付けデータとの対照がなされ、周波数分析手段22により周波数分析された高周波信号を基礎に弾性表面波素子の番号、即ち種類、が特定され、その結果が素子番号及び測定結果表示手段25に表示される。
弾性表面波素子における弾性表面波・発生/検出手段へのバースト信号の入力から上記弾性表面波・発生/検出手段からの伝搬された弾性表面波に対応する高周波信号の出力までに要する時間は数マイクロ秒程度と非常に早いので、非常に短時間で多数の種類の弾性表面波素子を相互に識別することが出来る。
以上詳述したことから明らかなように、この実施の形態においては、3種類の弾性表面波素子10A,10B,10Cの基体12の外表面に設けられている弾性表面波・発生/検出手段の相互に周期が異なっているすだれ状電極14A,14B,14Cが、夫々の弾性表面波素子10A,10B,又は10Cの基体12の外表面の伝搬路に沿い伝搬する弾性表面波の伝搬特性(この実施の形態では、周波数)を所望の値にする弾性表面波伝搬特性変更手段を構成している。
また、周波数特性と弾性表面波素子番号関連付けデータが格納されたメモリー23aと組み合わされている弾性表面波素子識別手段23が、弾性表面波・発生/検出手段のすだれ状電極から検出された弾性表面波の所望の値の伝搬特性(この実施の形態では、周波数)により弾性表面波素子を識別する弾性表面波素子識別手段を構成している。
この実施の形態ではさらに、1対の入出力接続端子18に1対の端子16を接続させている弾性表面波素子の種類の識別が上述した如く入力手段20の広帯域バースト信号源20aからの広帯域のバースト状の高周波信号を使用して行われた後に、入力手段20の狭帯域バースト信号源28bからの狭帯域のバースト状の高周波信号を利用して上記弾性表面波素子の伝搬路の表面状況、即ち伝搬路が接している外部環境の状況、を知ることが出来る。
入力手段20の狭帯域バースト信号源20bからの狭帯域の周波数成分を持った高周波信号が1対の入出力接続端子18に接している3種類の弾性表面波素子のいずれかの1対の端子16を介して、このいずれかの弾性表面波素子の弾性表面波・発生/検出手段のすだれ状電極14A,14B,又は14Cに入力されると、狭帯域の高周波信号が入力されたすだれ状電極の電極周期に対応した周波数の弾性表面波が3種類の弾性表面波素子の上記いずれかの伝搬路に励起されて伝搬される。上記伝搬路を周回した弾性表面波は上記すだれ状電極に到達すると上記すだれ状電極から対応する高周波信号として1対の端子16及び1対の入出力接続端子18を介して出力信号データ化手段21に送られる。出力信号データ化手段21に上述した如く入力された高周波信号は周回速度測定手段24aにより周回速度が測定された後に、弾性表面波伝搬状態解析手段24bにおいて上記伝搬路における弾性表面波の伝搬状態が解析され、その結果が素子番号及び測定結果表示手段25に表示される。
ここで狭帯域の周波数成分を持った高周波信号を使用するのは、上記伝搬路における弾性表面波の伝搬速度における周波数分散の影響をより少なくし、しかも狭帯域周波数フィルターを用いることで出力信号データ化手段21に入力される高周波信号のS/N比を向上させ、ひいては上記伝搬路を非常に多数回周回した後の弾性表面波に対応する高周波信号を高精度に受信することが可能になるからである。この結果として、周回速度測定手段24aはより高精度に周回速度を測定することが可能になり、さらに弾性表面波伝搬状態解析手段24bはより高精度に上記伝搬路における弾性表面波の伝搬状態を解析することが可能になる。
上記伝搬路における弾性表面波の周回速度の変化、即ち伝搬状態の変化、は、上記伝搬路に接する外部環境の変化(例えば、温度や湿度や気圧や種々の流体の濃度の変化、或いは有機物の付着量)に応じて変化するので、上記伝搬路における弾性表面波の周回速度の変化、即ち伝搬状態の変化、を測定することにより、上記伝搬路に接する外部環境の変化(例えば、温度や湿度や気圧や種々の流体の濃度の変化、或いは有機物の付着量)の程度を知ることが出来る。
なお周回速度を正確に測定する方法については、この実施の形態では弾性表面波素子の弾性表面波・発生/検出手段のすだれ状電極が受信した弾性表面波に対応して出力する高周波信号を時間軸に沿いデータ化して測定していたが、入力手段20の狭帯域バースト信号源20bから弾性表面波素子の弾性表面波・発生/検出手段に入力する狭帯域のバースト状の高周波信号の周波数を掃引して弾性表面波素子の伝搬路における共振周波数を測定したり、或いは、基準となる高周波信号と上記出力する高周波信号とを干渉させることにより位相差を検出するといった種々の公知の方法があるが、本願の発明の本質ではないのでここではこれ以上詳細に説明しない。
さらにこの例では、弾性表面波・発生/検出手段が1個のすだれ状電極によって実現されているが、弾性表面波を励起する弾性表面波励起手段と励起して伝搬した弾性表面波を検出する弾性表面波検出手段とを別個の例えばすだれ状電極で行って良いことは当然であるが、その場合これらすだれ状電極の製造プロセスは複雑になる。
上述した如く構成されている多種類の弾性表面波素子の基体12の外表面の少なくとも一部を相互に異なる特定の物質(例えば、DNAや蛋白質などの種々の生体分子)対して反応する材料により覆うことにより、前述した従来の微小球を使用した多種類の特定物質の分析に使用することが出来るし、しかも多種類の弾性表面波素子の夫々が多種類の所望の特定の物質の中のいずれを分析するために使用されるものなのかを短時間に識別することが出来る。
例えば、上述した多種類の特定物質の夫々の種類とそれに対応する弾性表面波素子の伝搬路を伝搬する弾性表面波の伝搬特性の所望の値(この実施の形態では周波数)とを関連付けしたデータを記憶したメモリーを素子番号及び測定結果表示手段25に接続しておけば、素子番号及び測定結果表示手段25に上述した如く識別された弾性表面波素子の種類を表示するとともに、この識別された種類の弾性表面波素子が覆っている材料により分析しようとする特定物質の種類も表示させることが可能である。
さらに、上述した実施の形態においては、弾性表面波素子識別手段23の機能に不可欠な入力手段20や出力信号データ化手段21と1対の入出力端子18との間に図示しない電磁波送受信手段を介在させることも出来る。このような電磁波送受信手段は、例えば図1の(D)中の1対の入出力端子18を一方のアンテナとして使用し、入力手段20や出力信号データ化手段21を図示しない増幅器を介して上記一方のアンテナとの間で電磁波のやり取りをする他方のアンテナに接続することにより構成することが可能である。即ち、入力手段20は、1対の入出力端子18に1対の端子16を接触させている弾性表面波素子の電気音響変換手段の一種であるすだれ状電極14A,14B,又は14Cに対し上述した図示しない電磁波送受信手段を介してバースト状の所定の高周波信号を送信することで、すだれ状電極14A,14B,又は14Cにより上記弾性表面波素子の基体12の外表面の伝搬路に所定の弾性表面波を発生させるとともに伝搬させることが出来る。さらに、すだれ状電極14A,14B,又は14Cにより検出された伝搬路を伝搬した後の弾性表面波に対応したバースト状の高周波信号を、上記図示しない電磁波送受信手段を介して出力信号データ化手段21に送り、出力信号データ化手段21に連なる弾性表面波素子識別手段23により上述した如く弾性表面波素子の種類を識別させることも出来る。
なお、弾性表面波素子識別手段24によって弾性表面波素子の種類を識別する間には、弾性表面波素子の基体の外表面の伝搬路の一部に弾性表面波の伝搬特性を変更させるようなもの、例えば固体、が接触しないことが好ましいが、上記接触が常に定常条件で行われるのであれば問題はない。
さらに、弾性表面波素子の夫々の球形状の基体12は、基体12の外表面において上述した伝搬路の両外側に配置されている1対の端子16が設けられている1対の領域を相互に平行な平坦面とすることも出来る。
基体12の外表面上に上述した如くして形成された1対の平坦面は、基体12の外表面上における1対の端子16の位置や1対の端子16の間に設けられている伝搬路の位置を容易に知ることが出来るための位置決め手段として使用することが出来る。
例えば、図1の(E)中に示されているように、基体12の1対の平坦面と略同じ間隔で相互に平行に対向し水平に延出した1対のガイド板26aと1対のガイド板26aの下端部の間に延出した床板26bとを備えた弾性表面波素子案内手段26を準備し、1対のガイド板26aに基体12の外表面上の1対の平坦面を接触させて例えば弾性表面波素子10Aを床板26b上で転がした時に、床板26bが弾性表面波素子10Aの周面の最大外周線MLに沿った伝搬路の両側の部分のみに接触し伝搬路に接触しないよう床板26bに水平に延出する凹所26cを設ける。そして、1対のガイド板26aの少なくとも1部に1対の端子18を設置すれば、伝搬路の一部に弾性表面波の伝搬特性を変更させるようなもの、例えば固体、を接触させることなく伝搬路に弾性表面波を発生させ伝搬させることが出来る。あるいは、床板26bから空気のような気体を定常状態で噴出させることにより、1対のガイド板26aの間で弾性表面波素子10Aを床板26bから浮かして基体12の外表面上の伝搬路に床板26bを接触させないようにすることが出来る。
[第2の実施の形態]
次に、この発明の第2の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置を説明する。
図2の(A)には、この発明の第2の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の中の1種類の弾性表面波素子30の外観が概略的に示されている。
この弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の大部分の構成は、図1を参照しながら前述した第1の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の大部分の構成と同じであり、したがって第2の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の構成において第1の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の構成と同じ部分には同じ参照符号を記して詳細な説明は省略する。
複数種類の弾性表面波素子の夫々の基体12は、相互に同じ材料で相互に同じ寸法の球形状の少なくとも一部を含む外表面を有している。基体12の材料は、外表面に弾性表面波を発生させることが可能であるとともに発生された弾性表面波を外表面に沿い伝搬させることが可能であって、この実施の形態では直径が10mmの圧電結晶の一種である水晶により球形状に構成されている。
第2の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々が図1を参照しながら前述した第1の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々と構成が異なっているのは、相互に同じ弾性表面波・発生/検出手段14を備えていることである。より詳細には、相互に同じ伝搬特性を有した弾性表面波を発生させるよう構成された電気音響変換手段を含んでおり、さらに詳細には、相互に同じすだれ状電極により構成されている。即ち、第2の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々のすだれ状電極の周期は相互に同じである。
そして、さらに、第2の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々は、基体12の外表面の伝搬路において最大外周線ML上で弾性表面波・発生/検出手段14から相互に異なった距離の位置に相互に同じ寸法の弾性表面波反射手段32を備えている。詳細には、この実施の形態の弾性表面波反射手段32は、深さ5μmの溝であり、エッチングにより形成されている。
なお、弾性表面波反射手段32は基体12の外表面に何等かの装飾性を付加するような表面装飾であっても良い。
この実施の形態において多種類の弾性表面波素子30を識別する為に使用される弾性表面波素子識別装置が図2の(B)中に概略的に示されている。この実施の形態の弾性表面波素子識別装置もまた個々の弾性表面波素子30の1対の端子16に接離自在に接触される1対の入出力端子18を有しており、一方の入出力端子18は設置されており、他方の入出力端子18は入力手段33が接続されている。
他方の入出力端子18にはさらに例えばデジタルオシロスコープの如きデジタイザーにより構成されている出力信号データ化手段34が接続されていて、出力信号データ化手段34には反射信号検出及び到達時刻解析手段35を介して素子番号表示手段36が接続されている。反射信号検出及び到達時刻解析手段35には反射信号到達時刻と弾性表面波素子番号関連付けデータとを格納したメモリー35aも接続されている。
この実施の形態において入力手段33は、インパルス高周波信号源を有している。インパルス高周波信号源はバースト状の高周波信号のように非常に時間的に短い所定の周期のインパルス高周波信号を発生する。そして、ここで発生されるインパルス高周波信号のパルス幅は、このインパルス高周波信号が1対の入出力端子18に1対の端子16を接触させている弾性表面波素子30の伝搬路に励起し伝搬させる弾性表面波が伝搬路を1周するのに要する時間(周回時間)よりも短いことが必要である。
1対の入出力端子18に弾性表面波素子30の1対の端子16が接触されている間に、この弾性表面波素子30の弾性表面波・発生/検出手段14のすだれ状電極に1対の入出力端子18を介して入力手段33からインパルス高周波信号が印加されると、1対の入出力端子18に1対の端子16が接触されている弾性表面波素子30の弾性表面波・発生/検出手段14のすだれ状電極の電極周期に対応した周波数を中心とする弾性表面波が弾性表面波素子30の伝搬路に発生され矢印Aに沿い伝搬し、伝搬路を伝搬した後に弾性表面波を発生させたすだれ状電極により検出される。
ところで、すだれ状電極に対しインパルス高周波信号のような広帯域の高周波信号を入力すると、すだれ状電極の電極の数が少ない場合には、すだれ状電極は電極周期によって決まる周波数を中心として比較的広い周波数成分を持つ弾性表面波を励起して出力し、得られる高周波信号は時間的に幅の狭いバースト信号として測定され、その到達時刻をT,t1,t2として求めることが出来る。
複数種類の弾性表面波素子30の夫々の基体12の寸法及び材料は前述した如く相互に等しいので、夫々の伝搬路を伝搬する夫々の弾性表面波の伝搬速度は相互に同じである。このため、複数種類の弾性表面波素子30の夫々において同じ弾性表面波が対応する伝搬路を周回するのに要する時間が相互に同じになる。
しかしながら、この実施の形態においては、上記弾性表面波の一部は、図2の(A)中に2点鎖線により示されている如く、弾性表面波反射手段32により反射され、反射された弾性表面波もまた上記すだれ状電極により検出される。この時に上記すだれ状電極が弾性表面波を励起し伝搬を開始させてから弾性表面波反射手段32により反射され弾性表面波を検出するまでに要する時間は、上記すだれ状電極から弾性表面波反射手段32までの距離によって異なる。
図2の(C)には、最初に上記すだれ状電極にインパルス高周波信号S1が入力されてから、このインパルス高周波信号S1により上記伝搬路に励起された弾性表面波が上記伝搬路を伝搬し1周した後に上記すだれ状電極により高周波信号S2として検出されるまでに要した時間Tと、上記高周波信号S1により上記伝搬路に励起された弾性表面波反射手段32に近い方向に伝搬した弾性表面波の一部P1が弾性表面波反射手段32により反射された後に上記すだれ状電極に第1反射高周波信号R1として検出されるまでに要した時間(反射信号到達時刻)t1と、そして上記高周波信号S1により上記伝搬路に励起され弾性表面波反射手段32に遠い方向に伝搬した弾性表面波の一部P2が弾性表面波反射手段32により反射された後に上記すだれ状電極に第2反射高周波信号R2として検出されるまでに要した時間(反射信号到達時刻)t2と、が示されている。
上述した如き時間Tに対する時間t1及びt2の夫々の比率は、上記高周波信号S1が最初に上記すだれ状電極に印加されて上記伝搬路に励起された弾性表面波が上記伝搬路を周回する回数が増大するにつれて、夫々の周回のたびに生じる数多くの周回高周波信号の発生によりより明確となる。このことは、上述した如き時間Tに対する時間t1及びt2の夫々の比率が相互に異なっている種々の弾性表面波素子をより高い精度で識別することが可能であることを意味している。
上記比率は、1対の端子16を1対の入出力接続端子18に接続されている弾性表面波素子30の弾性表面波・発生/検出手段14のすだれ状電極からの第1反射高周波信号R1,周回高周波信号S2,そして第2反射高周波信号R2を出力信号データ化手段34を介して受領した反射信号検出及び到達時刻解析手段35により解析された後に、メモリー35aに格納されている反射信号到達時刻と弾性表面波素子番号関連付けデータに照らし合わされて弾性表面素子の番号(即ち、種類)が特定され、この特定された弾性表面素子の番号(即ち、種類)は素子番号表示手段36により表示される。
なお、この実施の形態では、基体12の外表面の伝搬路に配置された弾性表面波反射手段32の数は1つであったが、複数にしても良い。弾性表面波反射手段32の数を複数にすることで、基体12の外表面の伝搬路において最大外周線ML上で弾性表面波・発生/検出手段14から相互に異なった距離の位置に置かれる複数の弾性表面波反射手段32の組み合わせ数を増大させることが出来、このことは弾性表面波素子30を相互に識別可能にする種類を増大させることが出来ることを意味する。
以上詳述したことから明らかなように、この実施の形態においては、多種類の弾性表面波素子30の基体12の外表面の伝搬路において最大外周線ML上で弾性表面波・発生/検出手段14から相互に異なった距離の位置に配置されている弾性表面波反射手段32が、夫々の弾性表面波素子30の基体12の外表面の伝搬路に沿い伝搬する弾性表面波の伝搬特性(この実施の形態では、反射信号到達時刻)を所望の値にする弾性表面波伝搬特性変更手段を構成している。
さらに、この実施の形態では、反射信号到達時刻と弾性表面波素子番号関連付けデータが格納されているメモリー35aと組み合わされている反射信号検出及び到達時刻解析手段35が、弾性表面波・発生/検出手段14から検出された弾性表面波の所望の値の伝搬特性(この実施の形態では、反射信号到達時刻)により弾性表面波素子30の種類を識別する弾性方面波識別手段を構成している。
上述した如く構成されている多種類の弾性表面波素子30の基体12の外表面の少なくとも一部を相互に異なる特定の物質(例えば、DNAや蛋白質などの種々の生体分子)対して反応する材料により覆うことにより、前述した従来の微小球を使用した多種類の特定物質の分析に使用することが出来るし、しかも多種類の弾性表面波素子の夫々が多種類の所望の特定の物質の中のいずれを分析するために使用されるものなのかを短時間に高精度で容易に知ることが出来る。
例えば、上述した多種類の特定物質の夫々の種類とそれに対応する弾性表面波素子30の伝搬路を伝搬する弾性表面波の伝搬特性の所望の値(この実施の形態では反射信号到達時刻)とを関連付けしたデータを記憶したメモリーを素子番号表示手段36に接続しておけば、素子番号表示手段36に上述した如く識別された弾性表面波素子の種類を表示するとともに、この識別された種類の弾性表面波素子が覆っている材料により分析しようとする特定物質の種類も表示させることが可能である。
多種類の弾性表面波素子の夫々は、伝搬路に接する外部環境の変化(例えば、温度や湿度や気圧や種々の流体の濃度の変化、或いは有機物の付着量)に応じて、伝搬路を伝搬する弾性表面波の伝搬速度がわずかに変化し、周回時間や反射信号到達時刻がわずかに変化する。したがって、この周回時間や反射信号到達時刻の変化を観察することにより上記外部環境の変化の程度を知ることも出来る。
また、周回時間を基準として周回時間に対する反射信号到達時刻の比を測定することにより、上述した外部環境の変化も含めて種々の状況下において反射信号到達時刻にわずかな差異が生じても上記種々の状況下において周回時間も反射信号到達時刻と比例してわずかな差異を生じさせるので、上記種々の状況下における個々の弾性表面波素子の識別をより高精度に行うことが可能になる。
なお、弾性表面波素子30の製造工程において基体12の大きさにばらつきが生じていても、同一種類の弾性表面波素子30では各基体12の外表面の伝搬路を周回する同じ周期の弾性表面波の周回時間に対する弾性表面波反射手段32により上記弾性表面波の一部が反射されて往復する時間の比率が同一であれば良いので、多種類の弾性表面波素子30の識別に誤りが生じることはない。
また、基体12の伝搬路に接する外部環境の変化(例えば、温度や湿度や気圧や種々の流体の濃度の変化、或いは有機物の付着量)に応じて、伝搬路を伝搬する弾性表面波の伝搬速度がわずかに変化し、周回時間や反射信号到達時刻がわずかに変化する。したがって、この周回時間や反射信号到達時刻の変化を観察することにより上記外部環境の変化の程度を知ることも出来る。そしてこのような外部環境の変化に接する伝搬路の部分が多種類の弾性表面波素子30の夫々において相互に同じであり、同じ外部環境の変化が多種類の弾性表面波素子30の夫々において伝搬路を伝搬する弾性表面波の伝搬速度に同じ変化を生じさせるのであれば、多種類の弾性表面波素子30の識別に誤りが生じることはない。
さらに、上述した実施の形態においても、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、メモリー35aと組み合わされて弾性表面波素子識別手段を構成している反射信号検出及び到達時刻解析手段35の機能に不可欠な入力手段33や出力信号データ化手段34と1対の入出力端子18との間に図示しない電磁波送受信手段を介在させることも出来る。このような電磁波送受信手段は、例えば図2の(B)中の1対の入出力端子18を一方のアンテナとして使用し、入力手段33や出力信号データ化手段34を図示しない増幅器を介して上記一方のアンテナとの間で電磁波のやり取りをする他方のアンテナに接続することにより構成することが可能である。即ち、入力手段33は、1対の入出力端子18に1対の端子16を接触させている弾性表面波素子30の弾性表面波・発生/検出手段14の電気音響変換手段の一種であるすだれ状電極に対し上述した図示しない電磁波送受信手段を介して所定の周期のインパルス高周波信号を送信することで、すだれ状電極により上記弾性表面波素子の基体12の外表面の伝搬路に所定の弾性表面波を発生させるとともに伝搬させることが出来る。さらに、すだれ状電極により検出された周回インパルス高周波信号S2,第1反射インパルス高周波信号R1,そして第2反射インパルス高周波信号R2に対応した高周波信号を、上記図示しない電磁波送受信手段を介して出力信号データ化手段34に送り、出力信号データ化手段34に連なる反射信号検出及び到達時刻解析手段35によりメモリー35aに格納されているデータを基礎に上述した如く弾性表面波素子30の種類を識別させることも出来る。
なお、メモリー35aと組み合わされている反射信号検出及び到達時刻解析手段35により構成されている弾性表面波素子識別手段によって弾性表面波素子30の種類を識別する間には、弾性表面波素子30の基体12の外表面の伝搬路の一部に弾性表面波の伝搬特性を変更させるようなもの、例えば固体、が接触しないことが好ましいが、上記接触が常に定常条件で行われるのであれば問題はない。
さらに、弾性表面波素子30の夫々の球形状の基体12は、基体12の外表面において上述した伝搬路の両外側に配置されている1対の端子16が設けられている1対の領域を削除して平坦面などにすることが出来るばかりでなく、すだれ状電極の位置を示す標識や刻印を上記平坦面などに形成することが出来る。
基体12の外表面上に上述した如くして形成された1つの平坦面は、基体12の外表面上における1対の端子16の位置や1対の端子16の間に設けられている伝搬路の位置を容易に知ることが出来るための位置決め手段として使用することが出来る。
[第3の実施の形態]
次に、この発明の第3の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置を説明する。
図3には、この発明の第3の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の中の1種類の弾性表面波素子40の外観が概略的に示されている。
この弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の大部分の構成は、図1を参照しながら前述した第1の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の大部分の構成と同じであり、したがって第3の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の構成において第1の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の構成と同じ部分には同じ参照符号を記して詳細な説明は省略する。
複数種類の弾性表面波素子の夫々の基体12は、相互に同じ材料で相互に同じ寸法の球形状の少なくとも一部を含む外表面を有している。基体12の材料は、外表面に弾性表面波を発生させることが可能であるとともに発生された弾性表面波を外表面に沿い伝搬させることが可能であって、この実施の形態では直径が10mmの圧電結晶の一種である水晶により球形状に構成されている。
第3の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々は、相互に同じ材料で相互に同じ寸法に形成されている基体12の伝搬路上に相互に異なる周波数特性を有していて相互に異なる周波数の弾性表面波を発生させ伝搬させる第1及び第2の弾性表面波・発生/検出手段14及び14´を備えているとともに、上記伝搬路上にさらに第1及び第2の弾性表面波・発生/検出手段14及び14´により発生され伝搬された相互に異なる周波数の弾性表面波を選択的に反射する第1及び第2の弾性表面波反射手段42及び42´を備えている。
そして、この実施の形態において、第1及び第2の弾性表面波・発生/検出手段14及び14´の夫々は、すだれ状電極により構成されている電気音響変換手段である。
さらに、第3の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の第1の弾性表面波反射手段42は、基体12の外表面の伝搬路において最大外周線ML上で第1の弾性表面波・発生/検出手段14から相互に異なった距離の位置に配置されている。詳細には、この実施の形態の第1の弾性表面波反射手段42は、第1の弾性表面波・発生/検出手段14のすだれ状電極の周期(例えば、71μm)の半分の周期(例えば、35.5μm)を有したはしご形状の電極パターンにより構成されており、このような第1の弾性表面波反射手段42のはしご形状の電極パターンは第1の弾性表面波・発生/検出手段14のすだれ状電極と同じ材料により同じ方法で同時に形成可能である。
また、第3の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の弾性表面波素子の夫々の第2の弾性表面波反射手段42´は、基体12の外表面の伝搬路において最大外周線ML上で第2の弾性表面波・発生/検出手段14´から相互に異なった距離の位置に配置されている。詳細には、この実施の形態の第2の弾性表面波反射手段42´は、第2の弾性表面波・発生/検出手段14´のすだれ状電極の周期(例えば、60μm)の半分の周期(例えば、30μm)を有したはしご形状の電極パターンにより構成されており、このような第2の弾性表面波反射手段42´のはしご形状の電極パターンは第2の弾性表面波・発生/検出手段14´のすだれ状電極と同じ材料により同じ方法で同時に形成可能である。
この実施の形態のように、第1及び第2の弾性表面波・発生/検出手段14及び14´の夫々がすだれ状電極により構成されている場合には、すだれ状電極の電極周期に等しい波長を有する弾性表面波を最も効率よく励起することが出来るし、また検出することが出来る。そして、この実施の形態のように、第1及び第2の弾性表面波反射手段42及び42´がはしご形状の電極パターンにより構成されている場合には、はしご形状の電極パターンの電極周期の2倍の波長の弾性表面波を特に効率よく反射することが出来る。
このことは、同一の伝搬路上に複数の特定周波数の弾性表面波を発生させ伝搬させた場合に、相互に異なる特定周波数の弾性表面波を特に効率よく反射する複数の弾性表面波反射手段を上記伝搬路に設けることにより、同一の伝搬路上で複数の識別を相互に独立して同時に行うことが可能なことを意味している。
また、複数の弾性表面波素子の夫々の伝搬路上に相互に異なった周波数の弾性表面波を特に効率よく反射することが可能な弾性表面波反射手段を設け、夫々の弾性表面波素子の伝搬路上に弾性表面波・発生/検出手段により広帯域の周波数を有した弾性表面波を発生させ伝搬させ、弾性表面波・発生/検出手段により検出された反射弾性表面波の周波数の種類を解析することで、夫々の弾性表面波素子を識別することが可能になる。
この実施の形態に従っている弾性表面波素子識別装置は、図2の(B)を参照しながら前述した第2の実施の形態に従っている弾性表面波素子識別装置と略同じ構成であるが、反射信号検出及び到達時刻解析手段35は、第1の弾性表面波・発生/検出手段14により最も効率良く発生され伝搬されるとともにそれに対応する第1の弾性表面波反射手段42により最も効率よく反射される特定の周波数の弾性表面波に対応した高周波信号F1と、第2の弾性表面波・発生/検出手段14´により最も効率良く発生され伝搬されるとともにそれに対応する第2の弾性表面波反射手段42´により最も効率よく反射される特定の周波数の弾性表面波に対応した高周波信号F2の夫々について相互に独立して検出し、また夫々における反射往復時間(即ち、反射到達時刻)を解析することが可能に構成されている必要がある。
このような2種類の高周波信号F1及びF2の相互に独立した検出は、出力信号データ化手段34に2種類の高周波信号F1及びF2の夫々のための周波数フィルターを設置することにより実行可能である。
このように、複数種類の反射弾性表面波に対応した複数種類の高周波信号を利用して複数種類の弾性表面波素子を識別することで、識別精度をより高めることが出来る。
なお、この実施の形態の第1及び第2の弾性表面波反射手段42及び42´の夫々のはしご形状の電極パターンは、図2を参照しながら前述した第2の実施の形態における弾性波反射手段32の溝に比べ、第1及び第2の弾性表面波・発生/検出手段14及び14´とともに同じ基体12の外表面上に同じ材料で同じ工程(例えば、印刷工程やスパッタリング工程)により一括して一体的に容易に、しかも高精度で形成することが出来る。
さらに、はしご形状の電極パターンの寸法や電極本数を変えることにより、それにより反射可能な弾性表面波の周波数や反射効率を容易に自由に設定することが可能である。従って、はしご形状の電極パターンの寸法や電極本数を変えることにより、それにより最も効率よく反射可能な弾性表面波の周波数を任意に設定すれば、任意に設定された周波数の反射弾性表面波に対応する高周波信号の検出により複数種類の弾性表面波素子の夫々の識別を容易に行うことが可能になる。
弾性表面波の伝搬路上に設置した電極パターンの形状や寸法や電極本数と、その電極パターンにより反射可能な弾性表面波の周波数や反射効率との関係は、弾性表面波を扱う学問上公知であり、本発明はこの公知の関係に従う。
以上詳述したことから明らかなように、この実施の形態においては、多種類の弾性表面波素子の基体12の外表面の伝搬路において最大外周線ML上で第1及び第2の弾性表面波・発生/検出手段14,14´から相互に異なった距離の位置に配置されている第1及び第2の弾性表面波反射手段42,42´が、夫々の弾性表面波素子の基体12の外表面の伝搬路に沿い伝搬する弾性表面波の伝搬特性(この実施の形態では、反射信号到達時刻)を所望の値にする弾性表面波伝搬特性変更手段を構成している。
上述した如く構成されている多種類の弾性表面波素子の基体12の外表面の少なくとも一部を相互に異なる特定の物質(例えば、DNAや蛋白質などの種々の生体分子)対して反応する材料により覆うことにより、前述した従来の微小球を使用した多種類の特定物質の分析に使用することが出来るし、しかも多種類の弾性表面波素子の夫々が多種類の所望の特定の物質の中のいずれを分析するために使用されるものなのかを短時間に高精度で容易に知ることが出来る。
多種類の弾性表面波素子の夫々は、伝搬路に接する外部環境の変化(例えば、温度や湿度や気圧や種々の流体の濃度の変化、或いは有機物の付着量)に応じて、伝搬路を伝搬する弾性表面波の伝搬速度がわずかに変化し、周回時間や反射信号到達時刻がわずかに変化する。したがって、この周回時間や反射信号到達時刻の変化を観察することにより上記外部環境の変化の程度を知ることが出来る。
また、周回時間を基準として周回時間に対する反射信号到達時刻の比を測定することにより、上述した外部環境の変化も含めて種々の状況下において反射信号到達時刻にわずかな差異が生じても上記種々の状況下において周回時間も反射信号到達時刻と比例してわずかな差異を生じさせるので、上記種々の状況下における個々の弾性表面波素子の識別をより高精度に行うことが可能になる。
さらに、上述した実施の形態においても、前述した第2の実施の形態の場合と同様に、メモリー35aと組み合わされて弾性表面波素子識別手段を構成している反射信号検出及び到達時刻解析手段35の機能に不可欠な入力手段33や出力信号データ化手段34と1対の入出力端子18との間に図示しない電磁波送受信手段を介在させることも出来る。
また、上述の図示しない弾性表面波素子識別手段によって弾性表面波素子の種類を識別する間には、弾性表面波素子の基体の外表面の伝搬路の一部に弾性表面波の伝搬特性を変更させるようなもの、例えば固体、が接触しないことが好ましいが、上記接触が常に定常条件で行われるのであれば問題はない。
さらに、弾性表面波素子の夫々の球形状の基体12は、基体12の外表面において上述した伝搬路の両外側に配置されている1対の端子16が設けられている1対の領域を相互に平行な平坦面とすることも出来る。
基体12の外表面上に上述した如くして形成された1つの平坦面は、基体12の外表面上における1対の端子16の位置や1対の端子16の間に設けられている伝搬路の位置を容易に知ることが出来るための位置決め手段として使用することが出来る。
[第4の実施の形態]
次に、この発明の第4の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置を説明する。
図4には、この発明の第4の実施の形態に従った弾性表面波素子識別装置において使用される複数種類の中の1種類の弾性表面波素子50の外観が概略的に示されている。
以下、複数種類の弾性表面波素子について1種類の弾性表面波素子50を代表として説明する。弾性表面波素子50は、相互に同じ寸法の球形状の外表面を有した基体52を備えている。基体12は、外表面に弾性表面波を発生させることが可能であるとともに発生された弾性表面波を外表面に沿い伝搬させることが可能な相互に同じ材料により形成されていて、この実施の形態では直径が10mmの圧電結晶の一種であるニオブ酸リチウム(LiNbO3)により形成されている。この材料は酸やアルカリに対して安定であり、特に電気機械結合定数が大きいので送受信回路の構成を簡易にすることが可能である。基体52の外表面は鏡面加工されていて、弾性表面波の為の10本の円環状の伝搬路が設定可能であることが分かっている。
これら10本の円環状の伝搬路については、文献「Japanese Journal of Applied Physics, Vol.43, No. 5B, 2004, Page 3067」に詳しく説明されていて、基体12の材料の結晶軸により定まる。
そして、10本の円環状の伝搬路の夫々に相互に異なる周期の弾性表面波を発生させる相互に異なる周期の10個のすだれ状電極を設置したり、さらに10本の円環状の伝搬路の夫々に相互に異なる周期の10個のすだれ状電極と共同する図3を参照しながら前述した第3の実施の形態の弾性表面波反射手段を任意の位置に設置したりすれば、相互に異なる伝搬路での相互に異なる周期の弾性表面波の周回時間や相互に異なる弾性表面波反射時間との組み合わせにより、無数の種類の弾性表面波素子の識別が可能になる。
図4には、基体52の3本の伝搬路ZL1,ZL2,そしてZL3の夫々に設置された相互に異なる周期の3個のすだれ状電極54a,54b,そして54cが示されている。
なお、これら複数のすだれ状電極に対しては、弾性表面波素子50を図示しない移動案内手段中で例えば空気圧等を使用して無接触で移動を案内する間に図示しない移動案内手段に設置した図示しない電磁波送受信手段を介して無接触で弾性表面波を発生させ対応する伝搬路中を伝搬させることが出来るし、また複数の伝搬路中を伝搬してきて対応するすだれ状電極により検出された弾性表面波に対応する電気信号を図示しない電磁波送受信手段を介して図示しない周回時間測定手段や図示しない弾性表面波素子識別手段に入力させることが出来る。
このような、弾性表面波素子の基体12の外表面の少なくとも一部を相互に異なる特定の物質(例えば、DNAや蛋白質などの種々の生体分子)対して反応する材料により覆うことにより、前述した従来の微小球を使用した多種類の特定物質の分析に使用することが出来るし、しかも多種類の弾性表面波素子の夫々が多種類の所望の特定の物質の中のいずれを分析するために使用されるものなのかを短時間に高精度で容易に知ることが出来る。
[第5の実施の形態]
次に、この発明の第5の実施の形態に従った弾性波素子識別装置を説明する。
図5の(A)には、この発明の第5の実施の形態に従った弾性波素子識別装置において使用される多種類の弾性波素子の製造過程の途中が概略的に示されている。
図5の(A)には、結晶のZ軸と直交する方向に所定の厚さに切断されている水晶ウエハー60が示されている。このような水晶ウエハー60は相互に同じ寸法の多数の基体62に切り出される。夫々の基体62の切断面は、図5の(B)中に示されているように、球形状の一部による円環状に加工され、基体62はいわゆるビール樽形状を有するようになる。
夫々の基体62のZ軸方向の一平面には例えばZnO配向膜のような圧電膜及び圧電膜のための電気端子を含む電気音響変換手段により構成されているバルク波・発生/検出手段64が形成される。バルク波・発生/検出手段64は、所定の高周波バースト電流が付加されることにより基体62中を上記一平面からZ軸に沿い他方の平面に伝搬する弾性波の一種である所定のバルク波を発生させ、また上記他方の平面で反射されたバルク波を検出することが出来る。
基体62のZ軸方向の他方の平面には、基体62中を伝搬するバルク波の伝搬特性を所望の値にするバルク波伝搬特性変更手段66が設けられている。
この実施の形態においてバルク波伝達特性変更手段66は少なくとも1つの所定の深さを有した凹所66aを含んでいる。
そして多種類の弾性波素子の夫々は、相互に同じ寸法構成を有した基体62と、基体62の一平面に設置された相互に同じ寸法構成を有したバルク波・発生/検出手段64と、基体62の他平面に設けられている相互に異なる種類のバルク波伝搬特性変更手段66により構成されていて、この実施の形態では、相互に異なる種類のバルク波伝搬特性変更手段66は相互に異なった深さの凹所66aにより提供されている。
弾性波・発生/検出手段64が基体62中の上記一平面に弾性波の一種であるバルク波発生させてから、バルク波が基体62中をZ軸に沿い他方の平面に向かい伝搬した後に他方の平面の凹所66aの底に反射されてバルク波・発生/検出手段64により検出されるまでに要する反射信号到達時刻は、凹所66aの深さにより異なる。
この実施の形態に従っている弾性波素子識別装置は、図5の(C)中に示されているように、個々の弾性波素子のバルク波・発生/検出手段64の図示されていない1対の電極と接触可能な1対の入出力接続端子68を含んでいて、一方の入出力接続端子68は接地されていて、他方の入出力接続端子68には所定の同じ値の高周波信号をバースト状に流す入力手段70が接続されている。
1対の入出力接続端子68に多種類の弾性波素子のいずれかのバルク波・発生/検出手段64の図示されていない1対の端子が接触されている間に、このいずれかの弾性波素子のバルク波・発生/検出手段64に1対の入出力接続端子68を介して入力手段70が所定の同じ値の高周波信号をバースト状に流すと、1対の入出力接続端子68に図示されていない1対の端子が接触されているいずれかの種類の弾性波素子の対応するバルク波・発生/検出手段64から所定の強さで所定の周期のバルク波が対応する基体62の一方の平面にバースト状に発生され基体62の内部をZ軸に沿い他方の平面に向かい伝搬し、他方の平面の凹所66aの底面で反射した後に基体62の内部をZ軸に沿い一方の平面に向かい伝搬し対応するバルク波・発生/検出手段64により検出される。
この実施の形態において、1対の入出力接続端子68にはさらに、出力信号データ化手段71を介して、バルク波・発生/検出手段64により発生されたバースト状のバルク波が上述した如く検出されるまでに要する反射往復時間(反射信号到達時刻)を測定する反射信号到達時刻測定手段72が接続されている。
複数種類の弾性波素子における反射信号到達時刻は、夫々の弾性波素子の凹所66aの深さにより相互に異なる。
反射信号到達時刻測定手段72には、反射信号到達時刻と弾性表面波素子番号関連付けデータを貯蔵したメモリー72a及び素子番号表示手段74が接続されている。
反射信号到達時刻測定手段72は、ここで測定された上記反射信号到達時刻をメモリー72a中に貯蔵されている反射信号到達時刻と弾性表面波素子番号関連付けデータに照らし合わせ、上記反射信号到達時刻を基礎に上記反射信号到達時刻が測定された弾性表面波素子の番号、即ち種類、を特定し、その特定結果が素子番号表示手段74に表示される。
上述した反射信号到達時刻の差異は、バルク波が基体62中をZ軸に沿い一方の平面と他方の平面の凹所66aの底との間で往復する回数が増大するに従い比例して増大し、より明確になる。
以上詳述したことから明らかなように、この実施の形態においては、多種類の弾性波素子の基体62の他方の平面に設けられている相互に深さが異なっている凹所66aが、夫々の弾性波素子の基体62の内部をZ軸に沿い伝搬するバルク波の伝搬特性(この実施の形態では、反射信号到達時刻)を所望の値にする弾性波伝搬特性変更手段を構成している。
また、反射信号到達時刻と弾性表面波素子番号関連付けデータが格納されたメモリー72aと組み合わされている反射信号到達時刻測定手段72が、バルク波・発生/検出手段64から検出されたバルク波の所望の値の伝搬特性(この実施の形態では、反射信号到達時刻)により弾性波素子を識別する弾性波素子識別手段を構成している。
上述した如く構成されている多種類の弾性波素子の基体62の外表面の少なくとも一部を相互に異なる特定の物質(例えば、DNAや蛋白質などの種々の生体分子)対して反応する材料により覆うことにより、前述した従来の微小球を使用した多種類の特定物質の分析に使用することが出来るし、しかも多種類の弾性波素子の夫々が多種類の所望の特定の物質の中のいずれを分析するために使用されるものなのかを短時間に高精度で容易に知ることが出来る。
この実施の形態に従った多種類の弾性波素子の夫々の基体62の球面の一部により円環状に構成されている側面に、図5の(D)中に示されている如く、弾性表面波・発生/検出手段76を設置するとともに、基体62の1対の平面に弾性表面波・発生/検出手段76のための1対の端子を設置し、さらに基体62のバルク波・発生/検出手段64のための1対の入出力接続端子68の一方に接続されている出力信号データ化手段71に、図1の(D)中に示されている如き周回速度測定手段24aや弾性表面波伝搬状態解析手段24bを接続することが出来る。このようにした場合、弾性表面波・発生/検出手段76のための1対の端子に1対の入出力接続端子68を接続させている間に、バルク波・発生/検出手段64から発生され検出されるバルク波を利用した弾性波素子の識別を行うと同時に、基体62の側面に弾性表面波・発生/検出手段76を介して弾性表面波を発生させ矢印Aにより示されている如く上記側面上を伝搬させることが出来る。ここにおいて、基体62の側面に接する外部環境に変化(例えば、温度や湿度や気圧や種々の流体の濃度の変化、或いは有機物質の付着量)が生じていれば、その変化量に応じて周回速度測定手段24aにより測定される基体62の側面を伝搬する弾性表面波の周回速度がわずかに変化する。そして、この周回速度の変化を弾性表面波伝搬状態解析手段24bにより解析することにより上記外部環境の変化の程度を知る(評価する)ことが出来る。そして、ここで解析された上記外部環境の変化の程度(評価)を、素子番号表示手段74により表示させることも出来る。
なお弾性表面波・発生/検出手段76は電気音響変換素子であることが出来、より詳細にはすだれ状電極であることが出来る。
さらに、上述した実施の形態においては、弾性波素子識別手段を構成している、メモリー72aと組み合わされている反射信号到達時刻測定手段72の機能に不可欠な入力手段70や出力信号データ化手段71と1対の入出力端子68との間に図示しない電磁波送受信手段を介在させることも出来る。このような電磁波送受信手段は、例えば図5の(C)中の1対の入出力端子68を一方のアンテナとして使用し、入力手段70及び出力信号データ化手段71を図示しない増幅器を介して上記一方のアンテナとの間で電磁波のやり取りをする他方のアンテナに接続することにより構成することが可能である。即ち、入力手段70は、1対の入出力端子68に図示されていない1対の端子を接触させている弾性波素子の電気音響変換手段の一種であるバルク波・発生/検出手段64に対し上述した図示しない電磁波送受信手段を介してバースト状の所定の高周波信号を負荷することで、バルク波・発生/検出手段64により上記弾性波素子の基体62の内部にZ軸に沿い所定のバルク波を発生させるとともに伝搬させることが出来る。さらに、バルク波・発生/検出手段64により検出された基体62中をZ軸に沿い伝搬し反射された後のバルク波に対応したバースト状の高周波信号を、上記図示しない電磁波送受信手段を介して反射信号到達時刻測定手段72や弾性波素子識別手段74に送り、弾性波素子の種類を識別させることも出来る。
また、図5(D)中に示されている如く、基体62の側面に弾性表面波・発生/検出手段76を設置し、また上述したように基体62の1対の平面に弾性表面波・発生/検出手段76のための1対の端子を設置し、さらに基体62のバルク波・発生/検出手段64のための1対の入出力接続端子68の一方に接続されている出力信号データ化手段71に、図1の(D)中に示されている如き周回速度測定手段24aや弾性表面波伝搬状態解析手段24bを接続している場合にも、上述した如く入力手段70や出力信号データ化手段71と1対の入出力端子68との間に図示しない電磁波送受信手段を介在させることも出来る。
そして、入力手段70は、1対の入出力端子68に図示されていない1対の端子を接触させている弾性波素子の基体62の円環状の側面の電気音響変換手段の一種であるすだれ状電極により構成されている弾性表面波・発生/検出手段76に対し上述した図示しない電磁波送受信手段を介してバースト状の所定の高周波信号を付加することで、弾性表面波・発生/検出手段76により上記弾性波素子の基体62の円環状の側面に所定の弾性表面波を発生させるとともに伝搬させることが出来る。さらに、弾性表面波・発生/検出手段76により検出された基体62の円環状の側面を伝搬した後の弾性表面波に対応したバースト状の高周波信号を、上記図示しない電磁波送受信手段を介して上述した如く図1の(D)中に示されているのと同様な周回速度測定手段24aや弾性表面波伝搬状態解析手段24bに送信し、基体62の側面に接する外部環境に変化(例えば、温度や湿度や気圧や種々の流体の濃度の変化、或いは有機物質の付着量)の程度を知る(評価する)ことが出来る。
なお、弾性波素子識別手段74によって弾性波素子の種類を識別する間には、弾性波素子の基体62の他方の平面に弾性表面波の伝搬特性(この実施の形態では、反射信号到達時刻)を変更させるようなもの、例えば固体、が接触しないことが好ましいが、上記接触が常に定常条件で行われるのであれば問題はない。
例えば、図1の(E)中に示されているのと同様に、基体62の外周面の直径と略同じ間隔で相互に平行に対向し水平に延出した1対のガイド板と1対のガイド板の下端部に間に延出した床板とを備えた弾性波素子案内手段を準備し、床板に基体62の他方の平面の凹所66a以外の部分のみを接触させて弾性波素子を床板上で移動させることが出来るよう凹所を設ける。そして、上述した移動の間に弾性波素子の一方の平面のバルク波・発生/検出手段64の図示されていない1対の電極に図5の(C)中に示されている1対の端子18を接触させれば、基体62の他方の平面の凹所66aに弾性波の伝搬特性を変化させるようなもの、例えば固体、を接触させることなく基体62の内部にZ軸に沿い弾性波を発生させ伝搬させることが出来る。あるいは、床板から空気のような気体を定常状態で噴出させることにより、1対のガイド板の間で弾性波素子を床板から浮かして基体62の他方の平面に床板を接触させないようにすることが出来る。
なおこの実施の形態において、弾性波素子の他方の平面に弾性波伝搬特性変更手段として1つの所定の深さの凹所66aが形成されていたが、図5の(B)中に示されているように複数の相互に深さの異なる凹所66bや66cを形成しても良い。この場合には、多数の弾性波素子の相互の識別は、個々の弾性波素子の他方の平面に弾性波伝搬特性変更手段として形成されている複数の凹所のもたらす複数の反射信号到達時刻の組み合わせにより行うことが出来る。
個々の弾性波素子の他方の平面に弾性波伝搬特性変更手段として形成される凹所の数が増えれば、これら複数の凹所のもたらす複数の反射信号到達時刻の組み合わせも増え、ひいては識別可能な弾性波素子の個数が非常に増える。
この実施の形態において、弾性波素子の他方の平面に弾性波伝搬特性変更手段として1つの所定の深さの凹所66aが形成されていたが、他方の平面に他方の平面におけるバルク波の反射特性を相互に変えるよう相互に厚さの異なる所定の材料の膜を形成することも出来る。上述した如く反射特性が変われば、当然のことながら反射信号到達時刻も変わる。
10A、10B、10C…弾性表面波素子、12…基体、14A,14B,14C…弾性表面波・発生/検出手段(電気音響変換手段,すだれ状電極,弾性表面波伝搬特性変更手段)、ML…最大外周線、23…弾性表面波素子識別手段(弾性表面波素子識別手段)、23a…メモリー(弾性表面波素子識別手段)、30…弾性表面波素子、14…弾性表面波・発生/検出手段(電気音響変換手段,すだれ状電極)、32…弾性表面波反射手段(弾性表面波伝搬特性変更手段)、35…反射信号検出及び到達時刻解析手段(弾性表面波素子識別手段)、35a…メモリー(弾性表面波素子識別手段)、40…弾性表面波素子、42…弾性表面波反射手段(弾性表面波伝搬特性変更手段)、14´…弾性表面波・発生/検出手段(電気音響変換手段,すだれ状電極)、42´…弾性表面波反射手段(弾性表面波伝搬特性変更手段)、50…弾性表面波素子、52…基体、ZL1,ZL2,ZL3…伝搬路、54a,54b,54c…すだれ状電極(弾性表面波・発生/検出手段,電気音響変換手段,弾性表面波伝搬特性変更手段)、62…基体、64…バルク波・発生/検出手段(電気音響変換手段)、66a,66b,66c…凹所(バルク波伝搬特性変更手段)、72…反射信号到達時刻測定手段(弾性波素子識別手段)、72a…メモリー(弾性波素子識別手段),76…弾性表面波・発生/検出手段(電気音響変換手段,すだれ状電極)。