JP2005290990A - 燃料蒸散ガス吸着材 - Google Patents

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義史 江川
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Shizuo Ishimura
静雄 石邨
Yoshiharu Fukunishi
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Abstract

【課題】 燃料蒸散ガスの吸脱着に伴い発生する熱による温度上昇及び温度降下を抑止し、吸脱着性能を維持する事ができ、製造が容易で安価な高性能の燃料蒸散ガス吸着材を提供すること。
【解決手段】 相変化によって吸熱、発熱する有機化合物及び/又は水からなる蓄熱成分を担持した多孔質体と、多孔質吸着材からなる燃料蒸散ガス吸着材により上記課題を達成することができる。この際、平均細孔径及び細孔容積の比較的大きな多孔質体に、融解温度と降温結晶化温度の差の小さい蓄熱成分を担持させて得られた蓄熱成分担持多孔質体と多孔質吸着材として活性炭を使用することにより特に良好な燃料蒸散ガス吸着材が得られる。また、蓄熱成分担持多孔質体と吸着材をバインダーで一体化させることにより振動などにより分級する心配のない一体化型の燃料蒸散ガス吸着材を得ることが出来る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、相変化によって吸熱、発熱する有機化合物蓄熱成分及び/又は水を担持した多孔質体と、多孔質吸着材からなる燃料蒸散ガス吸着材に関する。本発明の吸着材は燃料蒸散防止用吸着材として高い機能を有し、特に車輌などからの燃料蒸散を効率よく防止できるのでキャニスター用途やORVR用として好適である。
活性炭等の多孔質吸着材を用いて燃料蒸散ガスを吸着させた場合、本質的に次のような問題がある。すなわち、燃料蒸散ガスに対する吸着材の吸着能力は吸着材温度が低いほど向上し、一方脱着性能は吸着材温度が高いほど向上する。しかし、燃料蒸散ガスを吸着すると発熱するため吸着能は低下傾向となり、逆に脱着する際は吸熱するため脱着能が低下傾向となる。
このような問題を解決する為、従来は外部に水等の媒体を流す事により温度をコントロールする方法、熱伝導の高い物質を吸着材に混合して温度上昇を抑える方法などが採用されている。また、蓄熱材を銅パイプのような熱伝導の高い金属でシールし、吸着材に混合するなどの改良法も提案されている。
しかしながら、外部に水等の媒体を流した場合、媒体の近傍は温度コントロールが容易であるが、吸着材の熱伝導率は低く吸着材の内部まで温度をコントロールするには時間を要する。また、媒体を流すための設備及び運転のためのユーティリティーが必要である。銅パイプ等でシールした蓄熱材を吸着材に混合する方法においては、吸着材中に均一に混合することが困難であり、パイプ内部まで熱が伝導し難いので、効率が悪くかなりの量の吸着材が必要である。
一方、温度変化に応じて潜熱の吸収及び放出を生じるマイクロカプセル中に封入した蓄熱材と吸着材からなる潜熱蓄熱型吸着材(特許文献1、2)やこのような相変化を伴う相変化物質を含ませた多孔質体と活性炭を組み合わせた吸着材を用いた蒸発燃料捕集装置が開示されている。(特許文献3)。そして、これら吸着材は吸脱着に伴う熱の出入りによる性能低下、すなわち吸着時の発熱による温度上昇および脱着時の吸熱による温度降下を防止でき、吸脱着に伴い熱の出入りを生じるキャニスタ−の性能向上に有用との記載がある。
特開2001−145832号公報 国際公開公報WO03/106833号公報 実開全文昭63−057351号公報
しかしながら、特許文献1,2に開示されているマイクロカプセルは、使用時に吸着材の細孔を閉塞して吸着性能を減じたり、あるいは吸着材と分離してしまい本来の吸発熱能力を発揮できなくなるなど実用上の問題があった。さらにこのようなマイクロカプセルは製造するのに煩雑な工程を要し、このようなマイクロカプセルを用いる方法は、製造コストの面で必ずしも有用な方法であるとは言い難い。
また、特許文献3に開示されている相変化物質を多孔質体に担持させる方法は比較的実施容易であり、上記マイクロカプセルの問題点は軽減される。しかし、特許文献3に開示されている方法に従い、無機化合物を多孔質体に担持させて吸着材を製造し、燃料蒸気の吸脱着を行わせたところ、吸着性能が安定せず、繰返し使用すると急速に性能が低下した。この理由は必ずしも明確ではないが、蓄熱材に使用される無機化合物は一般に結晶水を含んでおり、わずかな水の含有量の変化により相変化温度や蓄熱性能が大きく変化するため、製造時の条件のわずかな違いや、繰返し使用時の水の蒸散や吸着材内部への浸透などにより大きく性能が損なわれたものと推定される。したがって、本発明の目的は、燃料蒸散ガスの吸脱着に伴う温度上昇及び温度降下を防止し、吸着材の吸脱着性能を安定に維持する事ができ、製造が容易且つ安価な燃料蒸散ガス吸着材を提供する事にある。
本発明者らは伝熱面でさらに優れ、しかも煩雑な製造工程を要しない燃料蒸散ガス多孔質体を得る為鋭意検討を重ね、相変化によって吸熱、発熱する有機化合物蓄熱成分を担持した多孔質体と、多孔質吸着材からなる燃料蒸散ガス吸着材により上記目的を達成できる事を見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、相変化によって吸熱、発熱する有機化合物蓄熱成分及び/又は水を担持した多孔質体と、多孔質吸着材からなる燃料蒸散ガス吸着材である。
本発明の燃料蒸散ガス吸着材によれば、蒸散燃料ガスの吸脱着に伴って生じる熱を効率的に管理し、燃料蒸散ガス吸着材の性能の高度保持が可能となる。すなわち、本発明の燃料蒸散ガス吸着材をキャニスタ−に適用すると、蒸散燃焼ガスを吸着するときは蓄熱成分担持多孔質体に含まれる蓄熱成分の相変化により吸着材の温度上昇を抑止する事ができ、また蒸散燃料ガスを脱着する時は蓄熱成分の相変化により吸着材の温度低下を抑止できる為、吸着材の性能を高く保持する事ができる。
本発明において蓄熱成分を担持させる多孔質体は、担持する蓄熱材や多孔質吸着材の種類に応じて選択すればよいが、タルク、シリカ、アルミナ、ジルコニウム化合物、ゼオライトなどの金属および金属酸化物多孔質体、活性炭などの非金属無機多孔質体、プラスチック発泡体などの有機化合物多孔質体が挙げられる。中でも適切な形状、細孔分布のものを得やすく、吸着材とも併用しやすいことから活性炭が好ましい。また、これらは単独で使用しても良いし混合して使用しても構わない。
また、蓄熱成分を担持させる多孔質体は蓄熱成分を多く担持できる事が望まれる為、水銀圧入法によって測定した細孔容積が0.8mL(ミリリットル、以下同じ)/g以上、好ましくは1.0mL/g以上が推奨される。0.8mL/g以下の細孔容積であると担持能力が低く十分な蓄熱材としての機能を果たしきれない。また、細孔容積が大きくなりすぎると強度が充分でなくなることから10mL/g以下であることが好ましい。
更に、本発明者等の詳細な検討によれば、小さい細孔径を有する細孔の存在確率が高い多孔質体に担持された蓄熱成分の場合、担持量から期待される蓄熱量に対し低い蓄熱量しか発現せず、融点ピークも変化することが判明した。細孔径が小さすぎる場合蓄熱成分は蓄熱機能を発揮しない形で細孔に拘束されるものと推定される。マクロ孔に担持された蓄熱成分はバルクの状態に近い挙動を示す為、できるだけマクロ孔を多く有する担体が望まれる。従って蓄熱成分を担持させる多孔質体としては水銀圧入法によって得られた平均細孔径が直径10nm以上、さらに好ましくは15nm以上が好適である。また、細孔径があまり大きいと蓄熱材を安定に保持しにくくなるため平均細孔径は1000nm以下であることが好ましい。
蓄熱成分を担持させる多孔質体の形状は特に限定はなく、粒状、粉末状、繊維状、シート状などが挙げられる。また、これら多孔質体をバインターで成型して使用しても構わない。
本発明で用いる蓄熱成分は特定の温度で、固体−液体相互に相変化する化合物であり、有機化合物及び/又は水から選択され、単一物質であっても、混合物質であっても構わない。有機化合物としては、具体的には、デカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、流動パラフィン、パラフィンなどの炭化水素、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、オクチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、エチレングリコール、グリセリン、各種分子量のポリエチレングリコールなどのアルコール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸などのカルボン酸類及びその塩、ホルムアミド、アセトアミド、プロピオンアミドなどのアミド類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、エチレンジアミンなどのアミン類を挙げることができる。
蓄熱成分としては−10℃〜100℃、より好ましくは20℃〜70℃で相変化する蓄熱成分を使用する事がエネルギー効率の点から好ましい。さらに、実用上充分な熱量を吸発熱する観点から、その潜熱が20mJ/mg以上であることが好ましい。このような蓄熱成分としてはデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、パラフィンなどの炭化水素化合物、セチルアルコール、エイコサノール、セリルアルコール、ミリシルアルコールなどの高級アルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸やこのグリセリド、プロピオンアミドなどのアミド類、PEG(ポリエチレングリコール、以下同じ)400、PEG600、PEG1000、PEG2000、PEG4000、PEG6000などのポリエチレングリコール、フェノールなどのフェノール類を例示する事ができる。
蓄熱成分の過冷却現象を防止する為、その蓄熱成分の融点より高融点の化合物を蓄熱材に含有させてもよい。この場合の高融点化合物の含有割合は、相変化する蓄熱成分に対して0.5〜30重量%とすることが好ましく、1〜15重量%とすることがさらに好ましい。このような高融点化合物としては、例えば脂肪族炭化水素化合物、芳香族化合物、エステル類、カルボン酸類、アルコール類、アミド類などを挙げることができる。
さらに具体的に示すと、例えば相変化を伴う化合物としてオクタデカンを用いた場合、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ミリスチン酸、ベヘン酸、ステアリル酸アミド、エチレンビスオレイン酸を含有させる。これらの高融点化合物は2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
相変化を伴う化合物の過冷却現象を防止するために含有させる物質としてはその他にタルク、シリカ、二酸化チタン、珪酸カルシウム、三酸化アンチモン等の無機化合物の微粒子、ステアリン酸マグネシウムや安息香酸ナトリウム等の有機酸塩の微粒子等を使用する事もできる。ポリエチレングリコール類は特に降温結晶化温度の低下が著しいため、結晶化促進のためこれら過冷却現象を防止するための物質を添加することが好ましい。
本発明においては蓄熱成分と燃料蒸散ガスの接触を防止するため蓄熱成分を担持した多孔質体の表面を樹脂などで被覆するのが好ましい。被覆する樹脂としては熱硬化性樹脂や、蓄熱成分の融点より高い融点を持つ熱可塑性樹脂が好ましく、燃料に対して耐性があるものがより好ましい。また、これら樹脂を2種以上混合して使用しても構わない。更に被覆された樹脂を用いて蓄熱成分担持多孔質体と多孔質吸着材を一体化させてもよい。これにより、振動等で分級する心配のない燃料蒸散ガス吸着材を提供する事ができる。
本発明で用いる蓄熱成分担持多孔質体の製造方法について説明する。本発明に用いる蓄熱成分を多孔質体に担持させる方法としては特に限定はないが、固体の蓄熱成分と多孔質体とを加熱混合し担持させればよい。また、加熱溶融させた液状蓄熱成分をそのまま多孔質体に噴霧してもよいし、液状蓄熱成分に多孔質体をディップさせ担持させてもよい。また蓄熱成分を適当な溶媒を用いて溶液にして上記に準じて担持させてもよい。しかし、溶媒も同時に担持される為、あまり高い沸点を有する溶媒は多孔質体からの脱着が難しく、蓄熱成分の潜熱量を低下させたり、多孔質体から溶媒を加熱脱着させる時に、蓄熱成分も同時に脱着されたりすることもあり好ましくない。
蓄熱成分溶解用の溶媒としては、揮発度の高いものが好ましく、メタノール、エタノールのような低級アルコール、塩化メチレン、四塩化炭素のようなハロゲン系炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテルのようなエーテル類、フラン、2−メチルフランのようなフラン類、アセトンやメチルエチルケトンのようなケトン類、ギ酸メチル、酢酸メチルのようなエステル類、低沸点芳香族ナフサなどが挙げられる。これら溶剤の使用量はできるだけ少量に抑える事が望まれ、前記した理由により、蓄熱成分100重量部に対し80重量部以下、好ましくは50重量部以下がよい。
さらに、蓄熱成分を担持した多孔質体から蓄熱成分が溶出し燃料と混合されることを防ぎ、機械的強度及び耐磨耗性を向上させる為、蓄熱成分を担持した多孔質体を樹脂で被覆する事が好ましい。このような被覆した蓄熱成分担持多孔質体を使用する事により、蓄熱成分の流出を防ぎ、安定的に性能を発現させる事ができる。蓄熱成分を担持した多孔質体を被覆するための樹脂としては、熱硬化性樹脂や蓄熱成分の融点より高い融点を持つ熱可塑性樹脂であって、緻密な表面を形成でき、燃料に対し耐性を有するものが好ましい。このような樹脂として、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アセタール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、これら樹脂を2種以上混合して使用しても構わない。
蓄熱成分を担持した多孔質体に樹脂を被覆するには、多孔質体を粉末状または顆粒状の被覆用樹脂と加熱混合し被覆する方法、被覆用の樹脂を適当な溶媒の溶液にしたものに蓄熱成分を担持した多孔質体を浸漬した後取り出し、十分に溶媒を蒸発させる方法、蓄熱成分を担持した多孔質体表面に未架橋塗膜を形成した後架橋剤に浸漬し、架橋終了するまで放置又は加熱する方法、熱硬化性の被覆用樹脂を加熱溶融したもの又は被覆用樹脂を適当な溶媒を使用して溶液にしたものを噴霧で塗布し加熱乾燥する方法が採用できる。
ここで樹脂の量は少なすぎると被覆が完全に行われず、多すぎると樹脂被覆が厚くなり伝熱が妨げられるため、多孔質体100重量部に対し樹脂0.1〜20重量部程度が好ましい。
多孔質体を樹脂と加熱混合することにより被覆する場合、蓄熱成分を担持した多孔質体と粉末状樹脂または顆粒状樹脂を混合し、加熱して樹脂を溶解させて被覆し、冷却するなどの方法が可能である。加熱温度は樹脂の融点あるいは軟化点以上であればよいが、加熱温度が高すぎると蓄熱成分が揮発する可能性があるため通常加熱温度と樹脂の融点あるいは軟化点の差は30℃以下であることが好ましい。さらに被覆された多孔質体同士の融着を防ぐ観点からは攪拌しながら冷却する事が好ましい。この方法で被覆できる樹脂としては、多孔質体との親和性が比較的高く、蓄熱成分との親和性が比較的低いものが好ましい。使用できる樹脂としては化学的安定性が高く適切な融点を有するポリエチレン、ポリプロピレン、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂が例示できる。
被覆用樹脂を溶解して被覆する場合、使用する溶媒としては、樹脂を溶解できれば特に限定されないが、同時に蓄熱成分と混和しないものが好ましい。例えば蓄熱成分が炭化水素の場合水やメタノール、蓄熱成分がPEGの場合炭化水素系溶剤などが使用できる。
架橋反応を利用する場合、前記加熱混合による方法に準じて樹脂を被覆した後、架橋剤を添加して架橋するなどの方法が採用できる。このばあいは架橋によって強固に付着できるため、被覆用樹脂と多孔質体の親和性などの制約は少ない。
機械的強度及び耐磨耗性をさらに上げるためには、被覆に用いる樹脂中に金属粉が含有されている事が好ましい。このような金属粉としては、蓄熱成分担持多孔質体の被覆に使用される樹脂よりも高い熱伝導度(kcal/m・hr・K)(λ)を有する金属または金属酸化物であればどのようなものを使用しても構わない。金属粉の大きさとしては分散性を考えると数μm程度が好ましい。
金属の混合比は、被覆層が形成される範囲で、樹脂/金属の重量比で60/1〜1/3で実施するのが、金属粉混合による蓄熱成分担持多孔質体の機械的強度向上、樹脂被覆層による伝熱抵抗の低減及び安定な被覆層の形成の点で好ましい。蓄熱成分担持多孔質体に金属粉の色が斑無く付いた時を被覆完了とする。
本発明の燃料蒸散ガス吸着材は、蓄熱成分を担持した多孔質体と多孔質吸着材からなる。ここで多孔質吸着材としては、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、有機金属錯体などを使用することができる。なかでもガス吸着能に優れる活性炭が好ましい。
活性炭の原料である炭素質材料としては、賦活する事によって活性炭を形成するものであれば特に制限は無く、植物系、鉱物系、天然素材及び合成素材などから広く選択する事ができる。具体的には、植物系の炭素質材料として、木材、木炭、ヤシ殻などの果実殻、鉱物系の炭素質材料として、石炭や石炭系又は石油系ピッチ、コークス、天然素材として、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ビスコースレーヨンなどの再生繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、合成素材として、ナイロンなどのポリアミド系、ビニロンなどのポリビニルアルコール系、アクリルなどのポリアクリロニトリル系、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリウレタン、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂などを例示することができる。
これらの炭素質材料は炭化、賦活されて活性炭となるが、賦活方法としては、塩化亜鉛、燐酸、硫酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどによる薬品賦活、水蒸気、炭酸ガス、酸素、燃焼排ガス、又はこれらの混合ガスなどによるガス賦活などの従来公知の賦活法を採用する事ができる。
前記した手法により製造された所望の温度で相変化する蓄熱成分が担持された蓄熱成分担持多孔質体と活性炭などの多孔質吸着材を混合して、潜熱蓄熱型の燃料蒸散ガス吸着材としてキャニスタ−に適用する事ができる。また、蓄熱成分を担持した多孔質体と多孔質吸着材が使用時に分級することを防止する観点からは、これらが一体となるよう成形されることが好ましい。成形の方法としては粉状又は粒状の活性炭などの多孔質吸着材を混合して、バインダーを用いて圧縮成型、転動造粒などにより成型してもよい。また、蓄熱成分を担持した多孔質体に熱可塑性樹脂を塗布している場合は樹脂を溶融させ、活性炭などの吸着材と一体化成型してもよい。
バインダーとしてはセルロース、フェノール樹脂、アクリル系ラテックス、アクリル・スチレン系ラテックス、アクリル系ラテックスとアクリル・スチレン系ラテックスの混合物等に一般的に使用させているバインダーの1種類または2種類以上を固形分として活性炭の1〜30重量%で使用しても構わない。また、表面を被覆することに利用された樹脂を溶融させて成型しても良いし、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン粉末をバインダーとして使用し、遠赤外線などでポリオレフィン粉末を溶融させて成型してもよい。
本発明の燃料蒸散ガス吸着材は、温度により相変化する蓄熱成分を含んだ蓄熱成分担持多孔質体と吸着材から構成させ、これらの比率は両者の性能に基づき適宜設定する事ができるが、蓄熱成分担持多孔質体の混合割合は吸着材100重量部に対して、10〜100重量部とするのが好ましく、10〜50重量部とすることが更に好ましい。本発明の潜熱蓄熱型吸着材は、キャニスター容器に充填し、燃料タンクなどからの蒸散燃料ガスを該容器に導入する事で車輌用燃料などから蒸散する燃料ガスを効率的に吸脱着することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各種蓄熱成分の融点、融解熱、降温結晶化温度、結晶化熱はセイコーインスツルメンツ株式会社、示差走査熱量計(EXSTAR6000 RDC220U)で昇温速度、降温速度とも5℃/分で測定した。蓄熱容量としては融解熱と結晶化熱の平均値を表示した。 蓄熱成分を担持するための多孔質体の細孔容積、平均細孔径は株式会社島津製作所、細孔径分布測定装置(AUTOPORE IV)で水銀圧1.35psiaから6万psiaの範囲で測定した。
蓄熱成分としてパラフィン(MERCK社製:融点47.5℃、降温結晶化温度36.0℃、蓄熱容量143mJ/mg)80gを60℃で溶解させ、これを多孔質体としてピカ社製木質系活性炭(細孔容積1.7mL/g、平均細孔径23nm)40gに60℃で攪拌しながら混合して含浸させ、パラフィンの全量を担持させた。
上記のパラフィンを担持させた多孔質体に被覆用樹脂として粉末状エポキシ系接着剤AP−700(東亜合成化学工業 (株)製)6gを加え、120℃で30分加熱混合することでパラフィンを担持させた多孔質体をエポキシ樹脂で被覆し、蓄熱成分担持多孔質体を得た。この操作を繰り返し、蓄熱成分担持多孔質体1L(リットル、以下同じ)を製造した。得られた蓄熱成分担持多孔質体の融点は46.9℃、降温結晶化温度35.4℃で蓄熱容量63mJ/mgであった。
該蓄熱成分担持多孔質体と多孔質吸着材としての粒状の活性炭(クラレケミカル株式会社製クラレコール3GX)を体積比3:7になるよう均一混合し、燃料蒸散ガス吸着材とした。
該燃料蒸散ガス吸着材1Lを断熱材で内張りした金属製キャニスタ−に充填し、150℃30分加熱しエポキシ樹脂を硬化させ一体化させた。一体化させた該燃料蒸散ガス吸着材入りキャニスタ−に25℃で99%のn−ブタンを1L/分、アップフローで供給し燃料蒸散ガス吸着材に吸着させ、出口のn−ブタン濃度が3000ppmに達した時点で停止した。次いで、室温で空気を15L/分、20分ダウンフローで流し、n−ブタンを脱着させた。この吸脱着操作を繰り返し10回行い、第8〜10回目のn−ブタンの吸着量及び脱着量の平均値からブタンワーキングキャパシティを求めたところ65.0g/Lであった。
蓄熱成分としてラウリン酸(和光純薬工業社製:融点44.3℃、降温結晶化温度35.7℃、蓄熱容量172mJ/mg)80g、多孔質体としてクラレケミカル社製活性炭
GLC(細孔容積1.6mL/g、平均細孔径18nm)40g、被覆用樹脂としてポリエチレン粉末(住友精化社製:融点107℃)6gを用い、一体化しなかった以外は実施例1の方法により燃料蒸散ガス吸着材を調製し、ブタンワーキングキャパシティを測定した。
得られた蓄熱成分担持多孔質体の融点は45.7℃、降温結晶化温度33.9℃で蓄熱容量50mJ/mgであり、燃料蒸散ガス吸着材のブタンワーキングキャパシティは 62.0g/Lであった。
蓄熱成分として上記のラウリン酸とポリエチレングリコール4000(和光純薬工業社製:融点61.4℃、降温結晶化温度32.7℃、蓄熱容量184mJ/mg)の重量比1/1の混合物(融点46.2℃、降温結晶化温度36.1℃、蓄熱容量143mJ/mg)80g、被覆用樹脂としてポリエチレン粉末6gを用いた以外は実施例1の方法により燃料蒸散ガス吸着材を調製し、ブタンワーキングキャパシティを測定した。得られた蓄熱成分担持多孔質体の融点は48.6℃、降温結晶化温度36.4℃で蓄熱容量55mJ/mgであり、燃料蒸散ガス吸着材のブタンワーキングキャパシティは64.0g/Lであった。
多孔質体として試験的に調製した活性炭(細孔容積1.0mL/g、平均細孔径13nm)40gを用いた以外は実施例1の方法により燃料蒸散ガス吸着材を調製し、ブタンワーキングキャパシティを測定した。得られた蓄熱成分担持多孔質体の融点は47.2℃、降温結晶化温度34.7℃で蓄熱容量60mJ/mgであり、燃料蒸散ガス吸着材のブタンワーキングキャパシティは 62.0g/Lであった。
蓄熱成分としてポリエチレングリコール4000(和光純薬工業社製:融点61.4℃、降温結晶化温度32.7℃、蓄熱容量184mJ/mg)40g、多孔質体として試験的に調製した活性炭(細孔容積0.64mL/g、平均細孔径28.6nm)40gを用いた以外は実施例1の方法により燃料蒸散ガス吸着材を調製し、ブタンワーキングキャパシティを測定した。得られた蓄熱成分担持多孔質体の融点は59.4℃、降温結晶化温度28.8℃で蓄熱容量61mJ/mgであり、燃料蒸散ガス吸着剤のブタンワーキングキャパシティは 61.0g/Lであった
比較例1
実施例1で使用した活性炭(クラレケミカル株式会社製クラレコール3GX)のみを実施例1と同様に断熱キャニスターに充填し、ブタンワーキングキャパシティを測定した。ブタンワーキングキャパシティは60.1g/Lであった。
本発明により、容積効率にすぐれ、安定した性能を発揮できる燃料蒸散ガス吸着材を提供する事が出来る。本発明の吸着材をキャニスタ−に適用すれば、温度調整のための余分な設備や高価な添加剤を使用することなく低容積で高い効率の燃料蒸散ガス吸収が実現できる。

Claims (8)

  1. 相変化によって吸熱、発熱する有機化合物及び/又は水からなる蓄熱成分を担持した多孔質体と、多孔質吸着材からなる燃料蒸散ガス吸着材。
  2. 該蓄熱成分が−10℃〜100℃で相変化し、その潜熱が20mJ/mg以上である請求項1記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  3. 該蓄熱成分を担持する多孔質体の細孔容積が0.8ミリリットル/g以上でかつ平均細孔径が10nm以上である請求項1〜2記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  4. 該蓄熱成分を担持した多孔質体がさらに樹脂で被覆されてなる請求項1〜3記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  5. 該多孔質体が活性炭である請求項1〜4記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  6. 該多孔質吸着材が活性炭である請求項1〜5記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  7. 該蓄熱成分担持多孔質体と該蒸散ガス吸着材の一体化成型体である請求項1〜6記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  8. 該蓄熱成分の融解温度と降温結晶化温度の差が昇温および降温速度とも5℃/分の条件下で15℃以内である請求項1〜7記載の燃料蒸散ガス吸着材。
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