JP2005194879A - 燃料蒸散ガス吸着材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料蒸散ガスの吸脱着に伴い発生する熱による温度上昇及び温度降下を防止し、吸脱着性能を維持することができ、製造が容易で安価な高性能の燃料蒸散ガス吸着材を提供すること。
【解決手段】 温度により相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体と多孔質体からなるガス潜熱蓄熱型吸着材によって上記課題を達成することができる。また、蓄熱成分を含んだ樹脂球体を核として樹脂球体の表面に粉末活性炭を被着させることで拡散速度を阻害することの少ない吸着材を得ることが出来る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料蒸散ガス吸着材とその製造方法に関する。さらに詳しくは、相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体と多孔質体からなる燃料蒸散ガス吸着材とその製造方法に関する。本発明の吸着材は燃料蒸散防止用吸着材として高い機能を有し、とくに車輌などからの燃料の燃料蒸散を効率よく防止することができるのでキャニスター用途として好適である。
地球環境保護の観点から車輌の運行に関しても各種の公害対策が運用されている。該対策の一環として、一般の車輌には、車輌の停止時及び走行中に燃料タンクや気化器のフロート室等の燃料貯留室に生じる蒸散燃料をキャニスターに導入し、吸着材として作用する活性炭に吸着させ、車輌の走行時に大気をキャニスターに送り込み、吸着した燃料を脱離させエンジンの吸気管に送り込み燃焼処理するシステムが搭載されている。
しかしながら、活性炭を吸着材に用いたキャニスターにおいては次のような本質的な問題がある。すなわち、蒸散燃料に対する活性炭の吸着能力は活性炭温度が低くなるほど向上し、一方脱離性能は活性炭温度が高くなる程上昇する。ところで蒸散燃料の活性炭への吸着は発熱であり、蒸散燃料の吸着に伴って活性炭温度は上昇し吸着能は低下傾向となる。また、蒸散燃料の活性炭からの脱着は吸熱であり、蒸散燃料の脱着に伴って活性炭温度は低下し脱着能は低下傾向となる。
このような問題を解決する方法として、外部より水等の媒体を流すことにより温度をコントロールするか、熱伝導の高い物質を混合して温度上昇率を抑える、又は蓄熱材を銅パイプのような熱伝導の高い金属でシールし、吸着材に混合することにより温度をコントロールするなどの方法が想定される。
しかしながら、外部より水等の媒体を流した場合、媒体の近傍は温度コントロールが容易であるが、吸着材の熱伝導率が低いので、吸着材の内部まで温度をコントロールするには時間を要する。また、媒体を流すための設備及び運転のためのユーティリティーが必要である。銅パイプを使用する場合は、吸着材中に均一に混合することが困難であり、パイプ内部まで熱が伝導し難いので、効率が悪くかなりの量の蓄熱材が必要である。
一方、温度変化に応じて潜熱の吸収及び放出を生じる相変化物質をマイクロカプセル中に封入した蓄熱材と吸着材からなる潜熱蓄熱型吸着材も提案されている(特許文献1)。そして、この吸着材によれば、吸脱着に伴う熱による性能低下、吸着時の温度上昇及び脱着時の温度降下を防止することができることが記載されており、吸脱着に伴う熱の出入りを生じるキャニスターに有用であることが期待される。
特開2001−145832公報
しかしながら、このようなマイクロカプセルは、製造するのに煩雑な工程を要し、このようなマイクロカプセルを用いる方法は、製造コストの面で必ずしも有用な方法であるとは言い難い。したがって、本発明の目的は、ガスの吸脱着に伴い発生する熱による温度上昇及び温度降下を防止し、吸脱着性能を維持することができ、製造が容易で安価な高性能の燃料蒸散ガス吸着材を提供することにある。
本発明者らは伝熱面でさらに優れ、しかも煩雑な製造工程を要しない燃料蒸散ガス吸着材を得るため鋭意検討を重ね、温度により相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体と多孔質体からなる吸着材により上記目的を達成することができることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、温度により相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体と多孔質体からなる燃料蒸散ガス吸着材である。
本発明の燃料蒸散ガス吸着材によれば、蒸散燃料ガスの吸脱着に伴って生じる熱を効率的に管理し、燃料蒸散ガス吸着材の性能の高度保持が可能となる(以下、燃料蒸散ガス吸着材を単に吸着材ということがある)。すなわち、本発明の吸着材をキャニスターに適用すると、蒸散燃料ガスを吸着するときは吸着材の温度を樹脂球体に含まれる蓄熱成分の相変化温度以下に保つことができ、また蒸散燃料ガスを脱着するときは吸着材の温度を樹脂球体に含まれる蓄熱成分の相変化温度以上に保つことができるので、吸着材の性能を高く保持することができる。
本発明の吸着材に用いる樹脂球体は、その外表面に0.5μm以下の微孔を有する薄い緻密層を有し、内部は主として該緻密層に連続した1〜100μmの細孔を有する網状多孔層からなるものが好ましい。緻密層は内部の多孔質層を覆うことにより防護壁の役割を果たすものであるが、できるだけ薄くする方が蓄熱材の含浸効率の点で望ましく、緻密層の厚さは100μm以下とするのが好ましい。緻密層の厚さは、樹脂球体の断面を500倍程度の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することができる。また、緻密層中の微孔の孔径は、外表面を10000倍以上のSEMで観察することによって確認することができる。
網状多孔層は緻密層に連続して構成されるが、本発明の効果が阻害されない限り若干のボイド層が含まれていてもよい。該網状多孔層の空間率は50%以上95%以下であるのが好ましい。空間率は、水が十分に含浸された樹脂を乾燥し、その重量変化から求めることができる。網状多孔層は3000倍程度のSEMで観察することができる。本発明の特徴は、このような構造を有する樹脂球体を用いることにあり、緻密層を介して網状多孔層に蓄熱成分を保持することにより、マイクロカプセルに較べて形態保持性、熱伝導性に優れる。本発明に用いる樹脂球体の直径は1mm〜10mmとするのが製造上好ましく、また熱伝達効率の点でも好ましい。
樹脂球体を構成する樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、セルロースエステルなどを挙げることができる。これらの樹脂は通常単独で使用されるが、混合して使用してもよい。なかでも、ポリアミド、ポリイミド、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリスルホンから選ばれた少なくとも1種の樹脂が好ましい。
本発明に用いる樹脂球体には温度により相変化する蓄熱成分が含まれる。温度により相変化する蓄熱成分とは、特定の温度で、固体−液体−気体相互に相変化する化合物であり、単一物質であっても、混合物であってもかまわない。具体的には、水;デカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、流動パラフィン、パラフィンなどの炭化水素;o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、オクチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどのアルコール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸などのカルボン酸類;フェノール、クレゾールなどのフェノール類;エチレンジアミンなどのアミン類などの有機化合物、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩およびその水和物、カルボン酸塩などの塩を挙げることができる。
蓄熱成分は、操作温度を高めることができる点で炭化水素化合物が好ましく、さらに、10℃〜70℃、より好ましくは20℃〜60℃で相変化する蓄熱成分を使用するのがエネルギー効率の点から好ましい。このような蓄熱成分のうち、炭化水素化合物としては、デカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、パラフィンなどを例示することができる。樹脂球体における蓄熱成分の含有割合は、あまり少なすぎると蓄熱の効果が小さく、また、あまり多すぎると樹脂球体の強度が低下することがあるので、50重量%〜95重量%で実施するのが好ましい。
相変化を伴う化合物の過冷却現象を防止するため、その相変化を伴う化合物の融点より高融点の化合物を蓄熱材に含有させてもよい。この場合の高融点化合物の含有割合は、相変化する蓄熱成分に対して0.5〜30重量%とするのが好ましく、1〜15重量%とするのがさらに好ましい。このような高融点化合物としては、例えば脂肪族炭化水素化合物、芳香族化合物、エステル類、カルボン酸類、アルコール類、アミド類などを挙げることができる。
さらに具体的に示すと、例えば相変化を伴う化合物としてテトラデカンを用いた場合、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ミリスチル酸、ベへン酸、ステアリル酸アミド、エチレンビスオレイン酸を含有させる。これらの高融点化合物は2種類以上組み合わせて使用してもかまわない。
先ず、本発明で用いる樹脂球体の製造方法について説明する。本発明に用いる樹脂球体は、好ましくは、樹脂を極性有機溶剤に溶解して造粒原液とし、該造粒原液をノズルから、該極性有機溶剤と混和するが該樹脂を溶解しない凝固溶媒中に滴下することによって製造することができる。極性有機溶剤としては、樹脂球体製造時に表面緻密層を実質的に形成しうるものであればとくに制限はない。
このような極性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含イオウ化合物などを例示することができる。
本発明の樹脂球体を製造する際、樹脂表面に緻密層を形成しやすくするために、造粒原液中に添加剤を含ませてもよく、かかる添加剤としては、実質的に表面緻密層が形成しやすくなるものであればとくに制限されない。このような添加剤としては、水、メタノール、エタノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ポリエチレングリコール、キトサン、キチン、デキストラン、ポリビニルピロリドンなどの高分子化合物類、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、酢酸リチウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩類を挙げることができる。
造粒原液を調製するには、極性有機溶剤に必要ならば添加剤を加え、必要に応じて加温し、樹脂を溶解すればよい。この樹脂溶液からなる造粒原液を、好ましくは0〜120℃に調節し、ノズルなどから凝固溶媒中に滴下する。造粒原液の温度をあまり高くすると、余熱部分などで操作や装置が煩雑となり、また、あまり低くすると、原液の粘性が高まって操作性に問題が生ずることがある。
凝固溶媒としては、該樹脂が実質的に不溶でありかつ該有機溶媒を溶解しうるものであれば任意のものを使用することができる。凝固溶媒の具体例としては、水又は水を主成分とし、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含イオウ化合物などを含む溶媒を挙げることができる。凝固溶媒は2種類以上混合して使用してもかまわない。
なかでも、取扱性の点で水が好ましい。凝固溶媒の温度は、あまり高くすると、余熱部分などで操作や装置が煩雑となることや、微孔・細孔の構造が崩れることがあり、また、あまり低くすると、凝固速度の低下などが見られることがあるので、0〜50℃とするのが好ましい。
造粒原液を凝固溶媒に滴下する方法はとくに限定されないが、例えば、単孔又は多孔ノズルから、凝固浴液面に対し任意の高さから造粒原液を滴下させればよい。樹脂を極性有機溶剤に溶解した造粒原液を凝固溶媒中に液滴として滴下すると、極性有機溶剤と凝固溶媒の置換が起こり、液滴の形状のままで凝固し、樹脂球体を得ることができる。樹脂球体の用途にもよるが、後工程を考慮すると有機溶剤は凝固溶媒で極力置換した方が好ましい場合がある。溶剤の置換時間は樹脂の種類、溶媒の種類、処理温度などにより異なるが、目安としては最大24時間程度である。
造粒原液が凝固溶媒に滴下されると、樹脂を溶解した極性有機溶剤が凝固溶媒に溶出し、濃度が高まり、原液からの樹脂の析出速度が低くなるので、凝固溶媒量を十分大きくとるか、バッチもしくは連続式で凝固溶媒を換えながら造粒するのが好ましい。
樹脂球体には凝固溶媒が含浸されるので、そのまま蓄熱材としても使用可能である。例えば、凝固溶媒を水で実施したとき、樹脂球体には水が含浸されており、これは水を蓄熱成分として含浸した蓄熱材として使用される。使用した凝固溶媒以外の相変化する蓄熱成分を含浸させる必要がある場合には、得られた樹脂球体に、凝固溶媒に代えて、温度により相変化する蓄熱成分を改めて含浸させる必要がある。含浸させる際、凝固溶媒で満たされている樹脂球体は表面に緻密層を有しているため、通常の方法では蓄熱成分との置換が円滑に進まない場合がある。
その場合、(1)樹脂球体中の凝固溶媒を一旦除去した後、別途蓄熱成分を封入する方法、又は(2)高沸点の蓄熱成分を使用し、樹脂球体を高沸点蓄熱成分に浸しながら低沸点に相当する凝固溶媒を留去しながら置換する方法により、比較的短時間で蓄熱成分の封入が可能となる。(1)の方法において、樹脂球体中に含有されている凝固溶媒を除去する方法としては、樹脂球体を加熱気流に曝す方法、乾燥気流に曝す方法、減圧下で凝固溶媒を留去する方法などが挙げられる。また、蓄熱成分を含浸するには、例えば遠心分離による手法を利用することができる。
これらの方法は、単独で実施してもよく、組み合わせて実施してもかまわない。このような方法により、一旦乾燥させた樹脂球体を蓄熱成分に浸し、加熱撹拌することで蓄熱成分を封入した蓄熱材を作製することができる。樹脂球体の乾燥工程や含浸工程の際、加熱温度をあまり高くすると、樹脂球体表面の緻密層が破壊されることがあるので、これらの工程における加熱温度は0℃以上150℃以下とするのが望ましい。
また、該樹脂球体中に含有されている凝固溶媒を、温度により相変化する蓄熱成分が含有された液体中で置換して含浸させる方法も有効である。(2)の方法は、乾燥工程を経ずに凝固溶媒を、蓄熱成分が含まれる液中で蓄熱成分と置換することによって蓄熱成分を内部多孔層に封入する方法である。常温で蓄熱成分が含まれる液中でそのまま撹拌することにより内部多孔層に含まれる凝固溶媒と蓄熱成分を置換することもできるが、実質的に完全に溶媒置換をすることは困難であることが多い。
この場合、蓄熱成分を高沸点化合物とし、凝固溶媒を低沸点化合物になるように選び、凝固溶媒を留去しながら蓄熱成分を封入する方法によると、凝固溶媒が完全に置換され、好ましい。操作圧力は常圧でも減圧下でもよい。操作温度は0℃以上150℃以下とするのが実用的であり、好ましい。いずれにしても、樹脂中の蓄熱成分の含有割合は、前記した理由により、50重量%〜95重量%とするのが好ましい。
樹脂球体を製造する方法として、樹脂を極性有機溶剤に溶解して造粒原液とし、該造粒原液を二重管型ノズルの外管から、該極性有機溶剤と混和するが該樹脂を溶解しない凝固溶媒中に滴下するとともに、該二重管型ノズルの内管から前記樹脂を溶解しない液状物質を滴下する方法も好ましい方法である。該二重管型ノズルは、同心円環状のノズルが実用的であり、樹脂、極性有機溶剤及び凝固溶媒は前記と同様のものを使用することができる。先に述べた製造方法と同様、凝固溶媒としては水が好ましい。
二重管型ノズルの内管から吐出する液状物質は吐出時に液状であり、外管から吐出した造粒原液の凝固を妨げるものでなければ差し支えない。例えば、吐出時に液状であり、凝固時に固体状になるものでも何ら差し支えない。内管から吐出する液状物質として、所望の温度で相変化する蓄熱成分を使用すると、後述する蓄熱材として使用する場合、蓄熱成分を封入させる後工程が不要となるため好ましい。該蓄熱成分としては炭化水素化合物が好ましい。以上により得られる樹脂球体は、外表面に緻密層を有するため内液の封入性が高い。したがって、所望の温度で相変化する蓄熱成分を内部空間に封入することで、蓄熱材として使用することが可能である。
さらに機械的強度及び耐磨耗性に優れた樹脂球体を得るには、蓄熱成分を含有した樹脂球体を樹脂で被覆すればよい。このような被覆樹脂球体を使用することにより、長時間の操作が可能となる。樹脂球体を被覆するための樹脂としては、緻密な表面を形成できるものであればとくに制限されず、エポキシ、アクリル、ポリウレタン、アルキド、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、セルロースエステルを挙げることができる。樹脂は単独で使用してもよいが、複数種を組み合わせて使用してもよい。
樹脂球体に樹脂を被覆するには、被覆用の樹脂を適当な溶媒との溶液にしたものに蓄熱成分を含有した樹脂球体を浸漬した後取り出し、十分に溶媒を蒸発させる方法、蓄熱成分を含有した樹脂球体表面に未架橋塗膜を形成した後架橋剤に浸漬し、架橋終了するまで放置又は加熱する方法、被覆用の樹脂を加熱溶融したもの又は被覆用の樹脂を適当な溶媒を使用して溶液にしたものをスプレーで塗布し乾燥する方法によればよい。
被覆用の樹脂を溶解する溶媒としては、樹脂を溶解できればとくに限定されないが、メタノール、アセトン、シクロヘキサノン、低沸点芳香族ナフサ、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル等の揮発度が高いものの方が処理時間の短縮になり且つ常温でも処理できることから望ましい。樹脂の濃度は溶媒を使用した場合についてはとくに限定されないが、塗り易さと薄い塗膜を形成するためには5重量部〜15重量部程度とするのが好ましい。
架橋反応を利用する被覆用樹脂についてもとくに限定されないが、架橋を伴わず被覆を実施する場合は樹脂球体の有する官能基と比較的親和性の高い官能基を有する樹脂かつ分散媒と比較的親和性の低い樹脂を使用するのが望ましい。特に好ましくは、高強度を有するエポキシ樹脂である。
機械的強度及び耐磨耗性をさらに上げるためには、被覆に用いる樹脂中に金属粉が含有されていることが好ましい。このような金属粉としては、蓄熱体に使用されている樹脂よりも高い熱伝導度(kcal/m・hr・K)(λ)を有する金属また金属酸化物であればどのようなものを使用しても構わない。例えば、銀:λ=360、20%ニッケル鋼:λ=14、酸化亜鉛:λ=2.2といったものを使用する。特に好ましくは、蓄熱体の強度を向上させ、且つ水を吸着することにより、蓄熱成分が有機系で分散媒が水系の場合には更なる蓄熱成分の漏洩抑制にもなることから酸化亜鉛を例示することができ、粉の大きさは、分散性を考えると数μm程度が好ましい。
金属の混合比は、被覆層が形成される範囲で、樹脂/金属の重量比で60/1〜1/3で実施するのが、金属粉混合による蓄熱体の機械的強度向上、樹脂被覆層による伝熱抵抗の抑制及び安定な被覆層の形成の点で好ましい。樹脂球体に金属粉の色が斑無く付いた時を被覆完了とする。
樹脂による被覆層の厚さは、伝熱の低下を防ぐ点で、できるだけ薄くするのが望ましく、0.1〜100μmで実施するのがよい。樹脂層の厚さは、蓄熱体の断面を、例えば500倍程度の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって確認することができる。
本発明に用いる多孔体としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト、有機金属錯体などを使用することができる。なかでもガス吸着能に優れる活性炭が好ましい。活性炭の原料である炭素質材料としては、賦活することによって活性炭を形成するものであればとくに制限はなく、植物系、鉱物系、天然素材及び合成素材などから広く選択することができる。具体的には、植物系の炭素質材料として、木材、木炭、ヤシ殻などの果実殻、鉱物系の炭素質材料として、石油系及び/又は石炭系ピッチ、コークス、天然素材として、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ビスコースレーヨンなどの再生繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、合成素材として、ナイロンなどのポリアミド系、ビニロンなどのポリビニルアルコール系、アクリルなどのポリアクリロニトリル系、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリウレタン、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂などを例示することができる。
これらの炭素質材料は炭化、賦活されて活性炭となるが、賦活法としては、塩化亜鉛、燐酸、硫酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどによる薬剤賦活、水蒸気、炭酸ガス、酸素ガス、燃焼排ガス、これらの混合ガスなどによるガス賦活など公知の賦活法を採用することができる。
前記した手法により製造した所望の温度で相変化する蓄熱成分を内包する樹脂球体と活性炭などの多孔体を均一に混合して、潜熱蓄熱型の燃料蒸散ガス吸着材としてキャニスターに適用することができる。また、樹脂球体と粉末状又は粒状の多孔体を均一に混合し、バインダーを用いて圧縮成形、転動造粒などにより成型してもよい。
成型は、均一な球状物を得ることができる点で転動造粒によるのが好ましい。転動造粒機としてはとくに限定されず、例えば、パン型転動造粒機、ドラム型転動造粒機、ヘンシェルミキサー型の攪拌造粒機、マルメライザーなど各種転動方式の造粒機を用いることができる。
バインダーとしては、セルロース、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、アクリル系ラテックス、アクリル・スチレン系ラテックス、アクリル系ラテックスとアクリル・スチレン系ラテックスの混合物等の一般に使用されているバインダーの1種類または2種類以上を固形分として活性炭の1〜30重量%で使用することができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン粉末をバインダーとして使用し、遠赤外線などでポリオレフィン粉末を溶融して成型してもよい。
本発明の吸着材は、温度により相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体からなる蓄熱材と多孔質体から構成され、これらの比率は両者の性能に基づき適宜設定することができるが、蓄熱材の混合割合は吸着材100重量部に対して、10〜100重量部とするのが好ましく、10〜50重量部とするのが更に好ましい。本発明の吸着材は、キャニスター容器に充填し、燃料タンクなどからの蒸散燃料ガスを該容器に導入することで車輌用燃料などから燃料蒸散するガスを効率的に吸脱着することができる。蒸散燃料ガスの吸着温度及び容器の温度は蓄熱用相変化物質の相変化温度以下に保持するのが望ましい。以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1:樹脂球体の製造
撹拌装置、還流冷却器を備え、窒素雰囲気下に維持した2リットル(L)の3口フラスコにN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)880g、塩化リチウム30g、9Tナイロン(ノナンジアミン、テレフタル酸によるポリアミド;ηinh 0.86dl/g)90gを仕込み、120℃で4時間撹拌することにより均一溶液からなる造粒原液を調製した。
凝固溶媒を水とし、凝固浴を20℃に、造粒原液を50℃に維持し、該造粒原液を1.0mL/分の速度で内径2mmのノズルから撹拌している凝固浴へ10cmの高さから滴下した。200mL滴下終了後1時間凝固浴の撹拌を継続し、凝固溶媒を新鮮な水に入れ替え、20℃でさらに1時間撹拌した。得られた樹脂球体の直径は1.0〜3.5mmであった。ガスクロ(DB−WAX:J&W社キャピラリーカラム)により測定した結果、樹脂球体の中にはNMPが3%確認され、内液の97%が水に置換されていた。以上の操作を繰返し、含水樹脂球体を製造した。
500倍のSEMにより樹脂の切断面を観測したところ、表面緻密層の厚さは約30μmであり、15000倍のSEMで樹脂の表面を観察した結果、緻密層表面中に0.5μm以上の細孔は殆ど認められなかった。また、内部の多孔質層における細孔は、3000倍のSEMで観察した結果、主として5μm前後であった。
実施例1
参考例1により得られた樹脂球体から60.0gを取り出し、表面の水を拭き取った。60℃に維持した乾燥庫に入れ16時間静置したところ、内液である水はほぼ除去され、乾燥した球体が得られた。乾燥後重量は8.4gであり、重量比から求めた球体の空間率は86容積%であった。乾燥樹脂球体は直径1.0〜3.5mmを維持しており、乾燥した状態であっても所定の空間率を維持していることが示唆された。
以上により得られた乾燥樹脂球体8.4gをオクタデカン(融点27℃〜28℃、試薬:和光純薬株式会社製)120gと混合し、110℃で6時間加熱撹拌した。混合初期に液面に浮遊していた樹脂球体は6時間後にすべて沈降した。樹脂球体をすべて取り出し、表面を軽く拭いた後重量測定を行ったところ50.7gであった。得られた樹脂の蓄熱容量を示差走査熱量計で測定したところ142J/gであり、融解温度と凝固温度の平均値は23.3℃であった。該オクタデカン含浸樹脂球体と粒状の活性炭(クラレケミカル株式会社製クラレコール3GX)を樹脂球体の量が25重量%になるように均一に混合し、吸着材とした。
実施例2
参考例1で得られた樹脂球体から60.0gを取り出し、表面の水を拭き取った。スターラーチップ、還流冷却器を備えた500mLの3口フラスコに該樹脂球体と120gのオクタデカンおよび高融点化合物としてセチルアルコール8gを入れ、2.6kPa(20mmHg)の条件下、内温110℃で6時間加熱撹拌した。得られた樹脂球体を軽く拭いた後重量測定を行ったところ51.5gであった。この操作を繰り返し、オクタデカン含浸樹脂球体1kgを製造した。
得られた樹脂の蓄熱容量を示差走査熱量計で測定したところ147J/gであり、融解温度と凝固温度の平均値は24.8℃であった。該オクタデカン含浸樹脂球体のうち、直径1.0〜1.5mmのものを篩分けにより選別した。攪拌羽根及び解砕羽根各1個を備えた内容量10Lの深江パウテック社製ハイスピードミキサーに、篩分けにより選別した該樹脂球体150gを一度に入れ、攪拌羽根を回転数30〜200rpmで回転させた。
100μm以下に粉砕した活性炭(クラレケミカル株式会社製クラレコール3GX)の粉末を少量ずつ加えながら、バインダーとして日本カーバイド工業株式会社製アクリル・スチレン系エマルジョンを水で3〜8倍に希釈した液を噴霧器で加え、球状樹脂表面に活性炭粉末を付着させた。この操作を継続的に行い、雪だるま式に成長させて樹脂球体を核とする活性炭造粒体を得た。なお、その際添加した活性炭粉末は650gで球状樹脂と活性炭の重量比は約20:80となり、アクリル・スチレン系エマルジョンは固形分として活性炭粉末に対し6重量%であった。
引き続き該活性炭造粒体を直径400mmのバッチ式ロータリードライヤーに入れ、120℃に到達するまで2時間、その後120±10℃を維持しながら1時間かけて乾燥を行った。該乾燥品を篩分けにより2〜3mmのものを採取し、樹脂球体の量が20重量%で表面に粉末活性炭が被着した乾燥造粒体を得た。該乾燥造粒体の充填密度は0.33g/mLであった。
上記以外の造粒法として、パンの直径450mmのバッチ式転動造粒機に1.0〜1.5mmの該樹脂球体150gを一度に加え、パンの回転数10〜20rpmで100μm以下に粉砕したクラレコール3GXの粉末を少量ずつ加えながら、バインダーとして日本カーバイド工業株式会社製のアクリル・スチレン系エマルジョンの3〜8倍希釈液を噴霧器で加えて球状樹脂表面に活性炭粉末を付着させながら雪だるま式に成長させ、樹脂球体を核とする活性炭造粒体を得た。なお、その際添加した活性炭粉末は650gで球状樹脂と活性炭の重量比率は約20:80であり、アクリル・スチレン系エマルジョンは固形分として活性炭粉末に対し6重量%であった。ロータリードライヤーで乾燥を行い、樹脂球体の量が20重量%で表面に粉末活性炭が被着した直径2〜3mmの球状の乾燥造粒体を得た。該乾燥造粒体の充填密度は0.32g/mLであった。
実施例3
参考例1により得られた樹脂球体を実施例1と同様の方法(60℃乾燥)で内液である水を除去し、乾燥した樹脂球体8.4gを得た。60℃に加熱して液状にしたパラフィン(融点42℃〜44℃、試薬:和光純薬株式会社製)120gと得られた乾燥樹脂球体を混合し、遠心分離器を使用し、10000rpmで4時間処理した。遠心分離処理中、適宜加熱することによりパラフィンの凝固を防いだ。処理終了後、すべての樹脂球体は沈降しており、パラフィンが含浸されていることが示唆された。遠心分離処理後、手早く樹脂球体とパラフィンとを分離し、樹脂球体表面を軽く拭き取り重量を測定したところ50.0gであり、重量増加から求めたパラフィンの含有率は83重量%であった。
得られた樹脂球体の蓄熱容量を示差走査熱量計で測定したところ122J/gであり、融解温度と凝固温度の平均値は38.2℃であった。該パラフィン含浸樹脂球体を核とし樹脂球体の量が25重量%になるように実施例2と同様にして転動造粒し、直径2〜3mmの樹脂球体と活性炭からなる吸着材を得た。
実施例4
参考例1により得られた樹脂球体を実施例1と同様の方法(60℃乾燥)で内液である水を除去し、乾燥した球体8.4gを得た。60℃に加熱して液状にしたエイコサン(融点36℃〜37℃、試薬:東京化成株式会社製)120gと得られた乾燥樹脂球体を混合し、遠心分離器を使用し、10000rpmで4時間処理した。遠心分離処理中、適宜加熱することによりエイコサンの凝固を防いだ。処理終了後、すべての樹脂球体は沈降しており、エイコサンが含浸されていることが示唆された。遠心分離処理後、手早く樹脂球体とエイコサンとを分離し、樹脂球体表面を軽く拭き取り重量を測定したところ51.0gであり、重量増加から求めたエイコサンの含有率は84重量%であった。
得られた樹脂球体の蓄熱容量を示差走査熱量計で測定したところ142J/gであり、融解温度と凝固温度の平均値は32.5℃であった。直径1〜1.5mmのエイコサン含浸樹脂球体の量が20重量%になるように実施例2と同様にして転動造粒し、直径2〜3mmの樹脂球体と活性炭からなる吸着材を得た。
実施例5
実施例1を繰返して得た吸着材0.8Lを断熱材を内張りした金属製キャニスターに充填し、25℃で99%のn−ブタンを1L/分の速度でアップフローで供給し吸着材に吸着させ、出口のn−ブタン濃度が3000ppmに達した時点で停止した。次いで、室温で空気を10L/分の速度で20分間ダウンフローで流し、n−ブタンを脱着させた。この吸脱着操作を繰返し10回行い、第8〜10回目のn−ブタンの吸着量及び脱着量の平均値からブタンワ−キングキャパシティを求めたところ67.3g/Lであった。
実施例6〜8
実施例2〜4で得た吸着材について実施例5と同様にしてブタンワ−キングキャパシティを測定したところ、各々63.5g/L、61.2g/L、65.5g/Lであった。
実施例9
実施例4と同様な方法で作製したエイコサン含浸樹脂球体50gを0.3mmの穴径を有する整流板を装着した円筒状の流動装置内に仕込み、下方から空気を吹込むことにより樹脂球体を流動状態とした。該流動状態を保ちながら、市販のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂10%含有1液スプレ−を用いて樹脂球体の表面を被覆し、その後流動状態のまま乾燥を行いエポキシ樹脂で被覆された樹脂球体52gを得た。
本樹脂球体の表面構造をSEMにて観測したところ、倍率5000倍において細孔は認められなかった。また、内封された蓄熱材はブタン、ヘキサン等の低級炭化水素には全く溶出しなかった。この樹脂球体を用いて直径1〜1.5mmのエイコサン含浸樹脂球体の量が20重量%になるように実施例2と同様にして転動造粒し、直径2〜3mmの樹脂球体と活性炭からなる吸着材を得た。実施例5と同様にしてブタンワ−キングキャパシティを測定したところ、64.0g/Lであった。
実施例10
参考例1により得られた樹脂球体を用い、実施例1と同様の方法(60℃乾燥)で内液である水を除去し、乾燥した樹脂球体8.4gを得た。80℃に加熱して液状にしたパラフィン(融点60℃〜62℃、試薬:和光純薬株式会社製)120gと得られた乾燥樹脂球体を混合し、遠心分離器を使用し、10000rpmで4時間処理した。遠心分離処理中、適宜加熱することによりパラフィンの凝固を防いだ。処理終了後、すべての樹脂球体は沈降しており、パラフィンが含浸されていることが示唆された。遠心分離処理後、手早く樹脂球体とパラフィンとを分離し、樹脂球体表面を軽く拭き取り重量を測定したところ49.5gであり、重量増加から求めたパラフィンの含有率は83重量%であった。
得られた樹脂球体の蓄熱容量を示差走査熱量計で測定したところ120J/gであり、融解温度と凝固温度の平均値は56.5℃であった。該パラフィン含浸樹脂球体を核とし樹脂球体の量が25重量%になるように実施例2と同様にして転動造粒し、直径2〜3mmの樹脂球体と活性炭からなる吸着材を得た。実施例5と同様にしてブタンワ−キングキャパシティを測定したところ、58.5g/Lであった。
比較例1
実施例1で使用した活性炭のみを使用し、ブタンワ−キングキャパシティを測定したところ60.1g/Lであった。
比較例2
実施例2〜4で使用した粉末活性炭のみをセルロース系バインダーで直径2〜3mmの球状に造粒し、ブタンワ−キングキャパシティを測定したところ56.1g/Lであった。以上の結果から、本発明の吸着材が優れたブタンワ−キングキャパシティを示すことは明らかである。
本発明により、相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体と多孔質体からなる燃料蒸散ガス吸着材を提供することができる。本発明の吸着材をキャニスターに適用すれば、蒸散燃料ガスを吸着するときは吸着材の温度を樹脂球体に含まれる蓄熱成分の相変化温度以下に保つことができ、また蒸散燃料ガスを脱着するときは吸着材の温度を樹脂球体に含まれる蓄熱成分の相変化以上に保つことができるので、吸着材のワ−キングキャパシティ性能を高く保持することができる。

Claims (12)

  1. 温度により相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体と多孔質体からなる燃料蒸散ガス吸着材。
  2. 該樹脂球体の外表面が0.5μm以下の微孔を有する薄い緻密層であり、内部が主として該緻密層に連続した1〜100μmの細孔を有する網状多孔層で、該網状多孔層の空間率が50%以上95%以下である請求項1記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  3. 該樹脂球体の緻密層の厚さが100μm以下である請求項1又は2記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  4. 該樹脂球体の直径が1mm〜10mmである請求項1〜3いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  5. 該樹脂球体を構成する樹脂が、ポリアミド、ポリイミド、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、ポリスルホンから選ばれた少なくとも1種の樹脂である請求項1〜4いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  6. 該蓄熱成分が炭化水素化合物である請求項1〜5いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  7. 該蓄熱成分が10℃〜70℃で相変化する蓄熱成分である請求項1〜6いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  8. 該蓄熱成分が20℃〜60℃で相変化する蓄熱成分である請求項1〜6いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  9. 該多孔質体が活性炭である請求項1〜8いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  10. 該樹脂球体と多孔質体とが均一に分散された請求項1〜9いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  11. 該樹脂球体と多孔質体とが均一に分散され、バインダーを用いて成型された請求項1〜10いずれかに記載の燃料蒸散ガス吸着材。
  12. 温度により相変化する蓄熱成分を含んだ樹脂球体を核とし、バインダーを用いて転動造粒により粉末状多孔質体を樹脂球体表面に被着させる燃料蒸散ガス吸着材の製造方法。
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