JP2005290346A - セルロースアシレートフィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、偏光板、及びそれを用いた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた引裂き強度、耐折強度、波長分散性の優れた光学特性及び長期保存安定性の良好なセルロースアセテートフィルムを提供し、優れた性能の光学フィルム、偏光板、光学補償フィルム及び画像表示装置を得る。
【解決手段】 セルロースアシレート、高分岐ポリマーを核とし且つ分岐枝末端に光重合性基を結合した光重合性高分岐ポリマー(RHB)及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程と含む工程により、セルロースアシレートフィルムを溶液流延方法により作製する。
【選択図】 なし

Description

本発明は画像表示装置に有用なセルロースアシレートフィルムに関し、更には、それを用いた偏光板などの光学材料および液晶表示装置に関するものである。さらに、本発明は、有機ELディスプレイ等に適用される各種機能フィルムを構成する光学フィルムに関する。
従来、セルロースアシレートフィルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は画像表示装置(例えば、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ等)用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
しかし、そのままでは、引裂強度、耐折強度が低く、特に低湿度の状態下では、非常に脆くなり裂け易い欠点があった。このため、これらを改良するために、セルロースアシレートの溶液流延製膜方法を用い、セルロースアシレート溶液に低分子の可塑剤(例えば、リン酸エステル類、フタル酸エステル類等)や高分子量可塑剤(例えばポリエステルエーテル、ポリエステル−ウレタン、ポリエステル等)を適宜選択して単独又は混合したドープ組成物を用いることが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。また、特許文献3には、ポリメチルアクリレート又はメチルアクリレートのコポリマーをセルローストリアセテートと混合させて、セルロースエステルフィルムの可塑性等を付与する技術が記載されている。然しながらこれらの支持体でも、長期保存下での膜強度安定性、フィルムの着色等が十分でなかった。
また、ドープ中に重合可能なモノマーを添加し、剥離前にイオン化照射を行い製膜速度を向上させる技術が特許文献4に記載されているが、イオン化照射による重合反応は、分子の切断などが起こり易く、不必要な又は有害な物質が生じ、後日他に悪影響を及ぼすという問題がある。また、ドープ中に重合可能モノマーと光重合開始剤を添加し、流延工程で紫外線光照射して重合して製膜する技術が、例えば特許文献5等に記載されている。
一方、近年、液晶画像表示装置は大型化及びモバイル化がますます進み、偏光板用保護フィルムとして優れた光透過性、光学的な無配向性、偏光素子との良好な接着性、優れた平面性等の性能の向上や、耐久性化が求められている。また、光学補償フィルムとしては、液晶性化合物の配向形態を固定化して得られる異方性材料が最近の主流であるが、その製造方法は従来よりセルロースアシレートフィルムを支持体とし、その上に液晶性化合物を溶剤塗布している為、セルロースアシレートフィルム中の可塑剤等の添加剤がブリード現象によって液晶性化合物中に混入してしまい、液晶性化合物の配向を乱したり、白濁させてしまう等の問題点を有していた。
最近の液晶表示装置はフルカラー画像の高精細化の要望が一層強くなり、偏光板用保護フィルムとして優れた光透過性、光学的な等方性、偏光素子との良好な接着性、優れた平面性、耐久性化とともに、とりわけ、環境条件が変化してもこれらの特性の変化を抑制し、表示画像の視認性及び偏光板の耐久性を改善することが重要である。更には、表示画像の表示色味の改善が強く要求されるようになっている。そのため偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、波長400〜800nmの可視領域で、波長によるReやRthの変化、すなわち波長分散を小さくする必要がある。
しかしながら、これらの技術を用いても未だ膜強度や光学性能の点で充分ではなく、特に、近年の表示装置の開発は、表示部の大版化または携帯電話等のモバイル表示装置の多用途への普及等が急速に進展しており、光学フィルムへのより一層の薄膜化(例えば、膜厚80μm以下)、寸度安定性や高耐久性及び光学特性の安定化が望まれている。
特開平5−197073号公報 特開2002−22956号公報 米国特許第3,277,032号明細書 米国特許第3,738,924号明細書 特開2002−20410号公報
本発明の目的は、優れた引裂き強度、耐折強度、波長分散性の優れた光学特性及び長期保存安定性の良好なセルロースアセテートフィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、それを用いて得られる光学フィルム、偏光板、光学補償フィルム及び画像表示装置を提供することである。
更に、本発明の他の目的は、薄膜でも、環境条件が変動してもフィルムの物理的な特性(機械的強度、耐湿性等)に優れた長尺ロール形態のセルロースアシレートフィルムを提供することである。
環境条件が変動してもフィルムの物理的な特性(機械的強度、耐湿性等)に優れており、光学的異方性の環境条件変化での変動が小さいセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムに用いることによって、偏光板の光学特性を良化できる。又、環境変化に対して光学特性が安定したセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムの支持体として用いると、光学補償フィルムそのものの光学性能を引き出すことができる。これらの偏光板や光学補償フィルムを液晶表示装置に用いることによってコントラストの良化、色味を改良することができ、更に耐湿性の向上を図ることが出来る。
本発明の上記課題は、下記の構成により解決されることが見出された。
(1)溶液流延方法により形成されるセルロースアシレートフィルムにおいて、セルロースアシレート、高分岐ポリマーを核とし且つ分岐枝末端に光重合性基を結合させた光重合性高分岐ポリマー(RHB)及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程と含む工程により作製されたことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
(2)上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)の核となる高分岐ポリマー(HB)が、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー及びスターバーストポリマーからなる群から選択される少なくとも1種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(3)上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)の核となる高分岐ポリマー(HB)が、2個以上の規則性樹枝状分岐に結合している多価の基核を中心とし、その多価の基核が連結基を形成する反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物であり、該反応性基(a)と化学結合して連結基[Y]を形成する反応性基(b)を1つと反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物によって延長された構造(分岐鎖延長単位)を有する高分岐ポリマーによって構成されることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のセルロースアシレートフィルム。
(4)上記の分岐鎖延長単位が、脂環式環及びアリール環から選ばれる少なくとも1つの環構造並びにアルキレン鎖構造を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(5)上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)が、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を含有する化合物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(6)上記のセルロースアシレート組成物が、波長400nm以上に吸収が無く、更に、光重合性高分岐ポリマー(RHB)の光重合性基と共重合可能な重合性化合物(A)を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(7)下記式(A)および(B)で定義されるRe(λ)およびRth(λ)が、各々、25℃/10%RHでの値に対する25℃/80%RHでの値の比率が0.65以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(A):Re(λ)=(nx−ny)×d
式(B):Rth(λ)={(nx+ny)/2−nz}×d
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。またnxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。]
(8)下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
式(2) : 0≦SA'≦3.0
(式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、SB'はセルロースの水酸基を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
(9)長さ100〜5000m及び幅0.7〜2mの長尺品であって、フィルムの膜厚が10〜120μmで、その膜厚変動幅が±3%以内であり、且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mであることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(10)80℃90%RHの条件下に48時間静置した場合の質量変化が、0〜5%であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(11)60℃/95%RH・24hrの透湿度が400g2・24hr以上2000g2・24hr以下であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(12)60℃95%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化および90℃5%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化が、いずれも0〜5%であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いた光学フィルム。
(14)上記(1)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアセレートフィルムを用いた光学用偏光フィルム。
(15)上記(1)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いた画像表示素材。
(16)上記(1)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いた光学補償フィルム。
(17)上記(1)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、上記(13)記載の光学フィルム、上記(14)記載の光学用偏光フィルム及び上記(16)記載の光学補償フィルムのいずれかを用いた画像表示装置。
(18) TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする上記(17)に記載の画像表示装置。
(19)膜厚が30〜250μmである上記(1)〜(12)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを使用したハロゲン化銀写真感光材料用支持体。
本発明は、セルロースアシレート、光重合性高分岐ポリマー(RHB)及び重合開始剤(L)を含有するドープ(セルロースアシレート組成物)を溶液流延方法で流延・光照射の工程を経て製膜して成るセルロースアシレートフィルムを提供する。得られたセルロースアシレートフィルムはセルロースアシレートの高分子と光重合性高分岐ポリマー(RHB)の重合体とからなる樹脂フィルムとなり、高分岐ポリマー重合体の効果により面状が良好で機械的な強度が全面ムラなく向上することができ、且つ環境変化に対しての透湿性の変化が軽減された。これらのことは、本発明に供される光重合性高分岐ポリマー(RHB)がセルロースアシレートのドープによく相溶乃至均一分散することにより、製膜後に相当する硬化性重合体となった化合物がフィルム中に均一に分散し、凝集や析出等による白濁を生じたりすることなく良好な樹脂フィルムを形成することによると思われる。
更には、本発明の硬化性多分岐ポリマー(RHB)の分岐鎖を構成する繰り返し単位が、脂環式環及びアリール環の環状構造から選ばれる少なくとも1種の環構造とアルキレン鎖構造を含有するものとすることで、フィルムの耐湿性、耐脆性が一層好ましいものとなることが見出された。
本発明では、画像表示用光学フィルムとして着色のない透明性を保持することから、上記光重合性高分岐ポリマー(RHB)は波長400nm以上に吸収をもたないことが好ましい。更には、上記セルロースアシレート組成物は、上記光重合性高分岐ポリマー(HB)と共重合する重合性化合物(A)を更に含有することが好ましい。これにより、上記の本発明の効果がより一層向上する。このことは、セルロースアシレートの高分子と光重合性高分岐ポリマー(RHB)及び重合性化合物(A)の共重合体との相互浸入網目構造がより一層の高密度で形成されることによると思われる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、上記のように環境変化に対しての透湿性の変化の軽減とともに、レターデーションの湿度依存性が軽減される。即ち、Re(λ)およびRth(λ)が、各々、25℃/10%RHでの値に対する25℃/80%RHでの値の比率が0.65以上1.0以下であり、好ましくは0.70以上1.0以下である。
本発明では更に、上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)が重合された化合物、更には光重合性高分岐ポリマー(RHB)と重合性化合物(A)が共重合された化合物を含有して波長200〜400nmの紫外領域にのみ吸収を持つことによりフィルムの着色を防止し、波長400nmと700nmでのRe、Rthの差、すなわち、|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を小さくすることができる。
本発明において、波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、|Re(400)−Re(700)|≦15かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35であることが好ましい。さらに好ましくはは、|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦30であり、|Re(400)−Re(700)|≦5かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦20であることが特に好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、耐湿性、機械的特性に優れており、且つ環境変化に対して光学的異方性(Re、Rth)の変化が小さいものであり、更には、光学的異方性(Re、Rth)の波長分散が小さいものである。しかも本発明のセルロースアシレートフィルムは、長尺のロール形態でも生産性に優れ、低コスト化が可能である。
さらに、本発明では、光学異方性の湿度依存性が小さく、且つ光学的波長分散性が小さいセルロースアシレートフィルムを提供できる。
さらに、本発明の光学的波長分散性が小さいセルロースアシレートフィルムに光学的異方性層を付設させる事により、視野角特性に優れた光学補償フィルムを提供できる。
本発明のセルロースアセシレートフィルムを用いて得られる光学フィルム(反射防止フィルム、偏光フィルム、光学補償フィルムなど)は環境変化に対しての光学的特性が安定で高耐久性を有している。本発明の画像表示装置は、上記光学フィルムを配置したものであることから、環境変化に対しての表示画像の品位が安定で耐久性に優れている。
本発明のセルロールアシレートフィルムは、セルロースアシレート、光重合性高分岐ポリマー(RHB)及び重合開始剤(L)を少なくとも含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程と含む溶液流延方法により製造される。更には、上記セルロースアシレート組成物は、上記光重合性高分岐ポリマー(RHB)の光重合性基と共重合可能な重合性化合物(A)を少なくとも1種含有することが好ましい。
[セルロースアシレート]
本発明のセルロールアシレートフィルムは、その厚さは20乃至120μmであることが好ましく、より好ましくは30〜100μmであり、更に好ましくは30〜80μmである。
また、膜厚の変動幅は、±3%以内であることが好ましく、より好ましくは±2.5%以内、更に好ましくは±1.5%以内である。この変動内において、支持体厚みの反射防止性に実質上の影響を及ぼさない良好なものとなる。
膜厚変動幅を±3%以内とするには、(1)セルロースアシレートの低分子量体化、(2)該ポリマーフィルム形成用のセルロースアシレートを主成分とする組成物を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を流延する際の濃度及び粘度の調節、(3)乾燥工程において膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合におけるその風量、風向等の調節等が有効である。溶解工程、流延工程および乾燥工程については、後述の[透明支持体の製造方法]において記載する。
本発明に用いる上記の膜厚変動幅内とした透明支持体は、長さ100〜5000mで幅0.7〜2mの長尺ロール形態であることが好ましい。反射防止フィルム、偏光板保護フィルムおよび画像表示装置を薄く軽量化するためや透過率を高めてコントラストや表示輝度を改善する等の良好な光学特性が安定して得られ、長尺で幅広な支持体を皺等の問題を生じることなくハンドリング性よく取り扱うことができる。
本発明に用いられるセルロースエステル原料のセルロースとしては、綿花リンター、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)、ケナフなどがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においてはセルロースからエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい前述のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
本発明において、セルロースアシレートとは、セルロースの総炭素数2〜22のカルボン酸エステルのことである。
本発明のセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式(1)及び(2)を満足するものが好ましい。
式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
式(2) : 0≦SA'≦3.0
ここで、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。
本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA'+SB')は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.80〜3.00である。
また、SBの置換度(SB')はより好ましくは0〜0.8であり、特には0〜0.6である。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数3〜22のアシル基(SB)としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルキルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいSBとしては、プロピオニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘキサンメチルカルボニル、アダマンタンカルボニル、(メタ)アクリロイル、オレオイル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、好ましいSBは、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、ドデカノイル、オクタデカノイル、(メタ)アクリロイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、更に好ましくはは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜5.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがさらに好ましく、1.0〜2.0であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。
本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[光重合性高分岐ポリマー(RHB)]
(核となる高分岐ポリマー(HB))
本発明の光重合性高分岐ポリマー(RHB)は、高分岐ポリマー(HB)を核(コア)とし且つ分岐枝末端に光重合性基を結合させた高度に『枝分れした(樹状)』巨大分子である。例示すれば、下記のような模式図(1)又は模式図(2)で示される化合物である。
Figure 2005290346
模式図(1) に示したように、中心部より三次元放射状に分枝が広がり、更にその末端から分枝を有する部位を有する化合物である。また、模式図(2)に示すように全ての方向に均一に成長していなくても、分枝部が放射状に広がっている場合であれば樹状化合物である。
具体的には、核となる高分岐ポリマー(HB)はデンドリマー、ハイパーブランチポリマー及びスターバーストポリマーからなる群から選択される少なくとも1種以上によって構成される。
また、核となる高分岐ポリマー(HB)は、多価の基核を中心として2個以上の規則性樹枝状分岐に結合している化合物である。その多価の基核が、連結基を形成する反応性基(a)を少なくとも2以上有する化合物であり、この多価の基核となる化合物の該反応性基(a)と化学結合して連結基[Y]を形成する反応性基(b)を1つと反応性基(a)を少なくとも2以上有する化合物(連鎖延長化合物)との化学反応を繰り返すことによって延長された構造を有する高分岐ポリマーである。
具体的には、高分岐ポリ尿素、高分岐ポリウレタン、高分岐ポリアミドアミン、高分岐ポリアミド、高分岐ポリエステル、高分岐ポリカーボネート、高分岐ポリカルボシラン、高分岐ポリカルボシロキサン、高分岐ポリカルボシラゼン、高分岐ポリエーテル、高分岐ポリ(エーテルケトン)、高分岐ポリ(プロピレンイミン)、高分岐ポリアルキルアミン、これらのコポリマー等が挙げられる。
例えば、岡田鉦彦編集、「デンドリマーの科学と機能」pp29〜31、((株)アイピーシ、2000年刊)、同書、第2章、石津浩二編集、「分岐ポリマーのナノテクノロジー」第6章、((株)アイピーシ、2000年刊)、COMPREHENSIVE SUPERMOLECULAR、10、Chapter26(PeramonPress、NewYork、1995年刊)等に記載の内容のものが挙げられる。
好ましくは、高分岐ポリアミドアミン、高分岐ポリアミド、高分岐ポリエステル、高分岐ポリカルボシラン、高分岐ポリカルボシロキサン、高分岐ポリエーテル、高分岐ポリ(エーテルケトン)、高分岐ポリアルキルアミンが挙げられる。
核(コア)となる高分岐ポリマー(HB)の多価の基核は、有機残基、窒素原子、ケイ素原子又はリン原子を核とする多官能性化合物であれば、特に限定はない。有機残基としては炭素原子、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環、ピラジン環、ヒドロピラジン環、トリアジン環、ヒドロトリアジン環等の複素環)、カリックスアレン構造、アザクリプタント構造、クラウンエーテル構造、ポルフィリン構造等が挙げられる。これらは特に限定されるものではない。
本発明の核となる高分岐ポリマー(HB)は、重縮合サイクルによって調製された分子であることが好ましい。各サイクルは中心単位又はポリマーの反応性官能基の全てと連鎖延長分子の1当量とを反応させることを含む。サイクルの数(n)により「第n世代」の高分岐分子と称される。本発明では、第1世代乃至第5世代のものが好ましい。より好ましくは第2世代乃至第5世代のものであり、特に好ましくは第2世代乃至第3世代のものである。
本発明の核となる高分岐ポリマー(HB)において、連鎖延長分子に相当する繰り返し単位が、その繰り返し単位中に環状構造を含有することが好ましい。更には環状構造とアルキレン鎖構造を含有することが特に好ましい。
環状構造は脂環式環構造及び芳香環構造から選ばれることが好ましい。脂環式環構造としては、単環式、多環式、架橋環式の炭素数5〜22脂肪族環状炭化水素が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
芳香環としては、炭素数6〜18のアリール環(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
連鎖延長分子に相当する繰り返し単位が含有するアルキレン鎖は、炭素数1〜22のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基である。
また、これらの環状構造とアルキレン鎖は直接結合していても良いし、他の2価の連結基を介して結合していても良い。2価の連結基としては、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−SO2−、−CO−、−CON(R10)−、−SO2N(R10)−等が挙げられる。(ここで、R10は水素原子又は炭素数1〜6の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、等)を表す。
核となる高分岐ポリマー(HB)の連鎖延長分子で構成される連鎖延長単位が、ポリエステル構造、ポリアミド構造、ポリアミンアミド構造から選ばれる態様が好ましい。これらの連鎖延長単位からなる光重合性高分岐ポリマーは形成される硬化膜の膜強度が一層向上する。更には、これらの多分岐ポリマーは逐次重合反応により、容易に合成できることから、安価な材料として供給されることから好ましい。
核となる高分岐ポリマー(HB)の分岐枝は、上記のように鎖延長化合物の反応性基(a)が末端構造となる。分岐枝末端の反応性基(a)としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
また、本発明の核となる高分岐ポリマー(HB)は、分岐枝の末端の反応性基(a)の基数6〜128個を有するものが好ましく、更には8〜64個を有するものが好ましい。
質量平均分子量は、一般に約1,000〜約25,000であり、好ましくは約1500〜約10,000を有するものが挙げられる。
高分岐ポリマー(HB)の平均の枝分れ度(DB)は、1分子当たりの分枝基の数平均率、すなわち「末端基、分枝基および線状基の総数」に対する「末端基+分枝基」の割合として文献に定義されている。理想的なデンドロン(dendron)およびデンドリマーについては、枝分れ度は1である。理想的な線状ポリマーについては、枝分れ度は0に近い。 枝分れ度は、ハウカー(Hawker)C.J.,;リー(Lee),R.;フレチェット(Frechet),J.M.J.,J.Am. Chem. Soc., 1991, 113, 4583において定義されているように、数学的に以下のように表される。
Figure 2005290346
本発明で使用される高分岐ポリマーの枝分れ度は、デンドリマー(理想的な場合、1の枝分れ度を有する)から0.25の範囲である。より典型的には0.25〜0.80の枝分れ度を有するような高分岐化合物は容易に製造することができ、デンドリマーと比べて比較的安価である。要するに、高分岐分子が放射状に拡がった形態を形成していることが好ましい。更に好ましい枝分れ度は、0.3〜0.8のものである。
(光重合性基含有の高分岐ポリマー(RHB))
本発明の光重合性高分岐ポリマー(RHB)は、上記の核となる高分岐ポリマー(HB)の分岐枝末端に光重合性基を結合して成る分岐枝を含有する化合物である。光重合性基は、ラジカル重合性基およびカチオン重合性基から選ばれることが好ましい。
核となる高分岐ポリマー(以下、単に「コア分子」と称することもある)の全分岐枝数中の5%以上の分岐枝が光重合性基を含有することが好ましい。これにより十分なフィルムの膜の強度が発現される。より好ましくは10%〜90%である。
また、分子中の光重合性基は同一でも異なってもよく、例えば、ラジカル重合性基とカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各々の1種の重合性基を含有してもよい。
光ラジカル重合性基としては、下記の式(I)で示される反応性基が挙げられる。
Figure 2005290346
式(I)中、V1は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHCO−、−SO2−、−CO−、−CON(Q1)−、−SO2N(Q1)−又はフェニレン基(以下フェニレン基をPhで表すこともある。ただしPhは1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を含む)を表す。ここで、Q1は水素原子又は炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、フロロベンジル基、メチルベンジル基、シクロヘキシルメチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
1の好ましい態様として、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、フェニレン基が挙げられる。
1及びa2は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)又は−CH2COOR10基(R10はアルキル基を表す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)を表す。
これらの重合性基は、コア分子の分岐枝の末端の炭素原子に直接結合してもよいし、連結基を介して結合してもよい。ここで連結基とは、総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられる。好ましくは直接結合又は総原子数1〜12の連結基である。
Figure 2005290346
ここで、z1、z2は各々、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。z3、z4は各々、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)等を示す。z5は炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、前記のz3、z4と同様のもの等)等を示す。
本発明の光重合性としてのカチオン重合性基は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる重合性基を含有する官能基が挙げられる。具体的には、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。より具体的には、後述するカチオン重合性モノマー(A2)で例示する化学構造ものが挙げられる。
これらの光カチオン重合性基は、上記したと同様に、コア分子の分岐枝に直接結合しても連結基を介して結合しても何れでも良い。
本発明の光重合性高分岐ポリマー(RHB)は、全分岐枝中の一部が非重合性の炭化水素基が結合した構造を有する、すなわち、他の非重合性の結合基で化学修飾されていてもよい。このような末端結合基としては、−OR、−OCOR、−COOR、−CONHR、−NHCOR、―N(R)(R1)、―OOCNHR、−NHCONHR等が挙げられる。
ここで、Rは炭素数1〜32の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。脂肪族基としては、炭素数1〜32の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜32の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、及び炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
上記の脂肪族基は置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、−OH基、−OR11、−SR11、−COR11、−COOR11、−OCOR11、−SO211、−NHCONHR11、−N(R12)COR11、−N(R12)SO211、−N(R13)(R14)、−CON(R13)(R14)、−SO2N(R13)(R14)、−P(=O)(R15)(R16)、−OP(=O)(R15)(R16)、−Si(R17)(R18)(R19)、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
これらのアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
ここで、前記R11は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R11における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R11におけるアリール基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rにおいて、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R12は、水素原子又はR11基と同様のものを表す。
前記R13及びR14は、各々独立に、水素原子、又はR11と同様のものを表し、R13とR14とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R15及びR16は、各々独立に、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR11を表す。R15及びR16における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R15及びR16におけるアリール基としては、前記Rにおいて、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rにおいて脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R17、R18及びR19は、各々独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR20を表すが、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記Rで示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR20は前記−OR11と同様の内容を表す。
上記の末端結合基におけるRが表すアリール基としては、前記Rにおいて脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。また、かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記Rにおいて脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
上記の末端結合基におけるRが表す複素環基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示した複素環基と同様のものが挙げられる。また、かかる複素環基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
末端結合基が[−N(R)(R1)]におけるR1は、水素原子又は上記のRと同一の内容を表す。
これらの非重合性の末端結合基からなる分岐枝の分子中における割合は、全分岐枝数中の0〜95%であることが好ましく、より好ましくは5〜80%、特に好ましくは10〜50%である。この範囲内で、フィルムの膜の強度や湿度安定性が良好となる。
本発明の光重合性高分岐ポリマー(RHB)は、従来公知の段階的合成法(Divergent法)、ABx型化合物の重縮合反応等の合成方法で核となる高分岐ポリマーを合成し、これの分岐枝末端の極性基を従来公知の合成方法に従って特定の置換基に修飾することにより得ることができる。
核となる高分岐ポリマー(HB)としては、D.A.Tomalia、etal.、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、29、138(1990)、Roovers,J.,"Advances in Polymer Science,"143巻、1、(Springer,New York,(1999))、J.C.Salamone,Ed.,"Polymeric Materials Encyclopedia,"5巻、3049、(CRC Press,New York,(1996))、柿本雅明、高分子、47、804(1998)、前記の成書記載の引用文献等に記載の内容が挙げられる。
核となる高分岐ポリマー(HB)の具体例として、例えばポリアミノ系高分岐ポリマーとしては、例えばブチレンジアミンとアクリロニトリルを反応させ、末端のニトリル基をアミンに還元する反応を1ステップとし、この反応を繰り返すことにより得られるプロピレンイミン系高分岐ポリマー(WO093/14147,US5530092,特公平7-330631)、アミンを救核成分にしたパラジウム触媒による開環重合反応によるアミン系高分岐ポリマー(M.SUZUKI、et al.、Macromolecules、31、1716(1998))、アンモニアやエチレンジアミンにメチルアクリレートをマイケル付加し、更にエステルアミド交換反応により末端に二級アミノ基を導入する反応を1ステップとし必要に応じて繰り返し反応させることにより得られるアミドアミン系高分岐ポリマー(WO84/02705,特公平6-70132)、ポリアミド系高分岐ポリマー(S.C.E.Backson,et al., Macromol. Symp.77.1(1994)、特開2000-86758号公報、特開2000-256459号公報等)、ポリフェニレンエステル系高分岐ポリマー(K.L.Wooley,et al.,PolymerJournal,26,187(1994))、ポリエーテルケトン系高分岐ポリマー(C.J.Hawker、Macromolecules、29、4370(1996)等)、ポリエレタン乃至ポリウレア系高分岐ポリマー(R.Spindler、Macromolecules、26、4809(1993)、A.Kumar、Chem.Commun.、1629(1998)等)、ポリエーテル系高分岐ポリマー(V.Percec、etal.、Macromolecules、27,4441(1994)、C.J.Hawker、et al.、J.Am.Chem.Soc.、112、7638(1990)、特開2001-206886号公報、特開2002-37823号公報等)、ヒドロキシル基で終結するポリエステル系高分岐ポリマー(USP5418301、WO-96/12754、特表2003-522266号公報等)、カルボキシル基で終結するポリエステル系高分岐ポリマー(S.R.Turner、et al.、Macromolecules、27,1611(1994)、 特開平11-60540号公報等)、エポキシ基を含む基で終結するポリエステル系高分岐ポリマー(USP5663247号、WO-A-96/13558号等)等を例示できる。本発明はこれらに限定されるものではない。
核となる高分岐ポリマー(HB)として、例えば、脂肪族ポリエステル系高分岐ポリマー類のBOLTORN(登録商標、Perstorp社製)、ポリプロピルアミノ系高分岐ポリマー類(DSM社製)、ポリ(アミドアミン)高分岐ポリマー類のSTARBURST(PAMAN)、DenDrimer(登録商標、Aldrich社製)等の市販されているものを用いることが出来る。
光重合性高分岐ポリマー(RHB)は、核となる高分岐ポリマー(HB)の分岐枝末端の極性基(−OH、−NH2、−COOH、エポキシ基等)と反応して共有結合する反応性基と光重合性基を有する化合物との高分子反応により容易に合成することが出来る。これらの反応の組合せは従来公知のものが挙げられ、特に限定されない。具体的には、下記表1に記載されるような反応性基の組合せで光重合性基を分岐枝の末端に導入することができる。例えば、日本化学会編「新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応〔II〕、〔III〕」、丸善(株)、(1977年刊)等に詳細に記載された方法を用いて合成することができる。
また、非重合性の末端結合基を分岐枝の末端に導入する方法も同様にして行うことが出来る。
Figure 2005290346
画像表示用光学フィルムとして着色のない透明性を保持することから、上記光重合高分岐ポリマー(RHB)は波長400nm乃至650nmの範囲で吸収のないことが好ましい。フィルムとしての波長400nm乃至650nmの範囲の光透過率が85%以上100%であり、より好ましくは90%以上100%である。
[重合性化合物(A)]
本発明のセルロースアシレート組成物は、更に、上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)と共重合可能な重合性化合物(A)を併用することが好ましい。重合性化合物(A)は、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を含有する波長400nm以上に吸収を持たない化合物が好ましい。これにより光学フィルムとして着色のない透明性をできる。具体的には、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物であり、モノマー、オリゴマーのいずれでもよい。
まず、ラジカル重合性モノマー(A1)としては、具体的には、例えば下記一般式(A1−I)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2005290346
一般式(A1−I)中、V2、a3及びa4は、各々、式(I)中のV1、a1及びa2と同一の内容を表す。
R′は、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。脂肪族基としては、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、並びに炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
かかる脂肪族基は置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。非金属原子団の具体的な例としては、前記の光重合性高分岐ポリマーにおける分岐枝末端結合基(−OR基等)のRにおける脂肪族基に導入し得るの置換基と同一の内容のものが挙げられる。
更に好ましくは、上記ラジカル重合性モノマー(A1)として、下記一般式(A1−II)で表される環状脂肪族基を置換基中に含有するモノマーが挙げられる。
Figure 2005290346
一般式(A1−II)中、a3、a4及びV2はそれぞれ前記一般式(A1−I)におけるa3、a4及びV2と同義である。
R″は、炭素数5〜30個の環状構造を構成する炭化水素基であり、単環式、多環式、架橋環式、スピロ環式等の環状構造が挙げられる。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を有する基を挙げることができる。好ましくは炭素数6〜25が好ましい。
以下に環状構造を構成する炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。なお、下記構造例において、共役しない位置に二重結合を含有してもよい。
Figure 2005290346
Figure 2005290346
また、これらの脂環式炭化水素基は少なくとも1種の置換基を有していてもよい。脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の具体的な内容は、前記の光重合性高分岐ポリマーにおける分岐枝末端結合基(−OR基等)のRにおける脂肪族基に導入し得る置換基と同一の内容のものが挙げられる。
1は、式(A1−II)における−V1−と−R″とを連結する基を表し、直接結合又は総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。好ましくは直接結合又は総原子数1〜12の連結基を表す。但し、R″が単環式脂肪族基の場合は、L1は直接結合ではなく、総原子数が1〜12の連結基であることが好ましく、更には総原子数1〜8の連結基であることが好ましい。
1における連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。原子団としては、前記のコア分子の分岐枝の末端炭素原子と重合性基との連結基を構成する原子団として挙げたものと同様のものが挙げられる。
次に、カチオン重合性基含有の化合物(A2)(以下、「カチオン重合性化合物」又は「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物(A2)は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性有機化合物の具体例としては、エポキシ基含有の化合物(脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂等)、環状エーテル又は環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、ビニルオキシ基含有のビニルエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和炭化水素化合物(ビニル炭化水素化合物)等を挙げることができる。
上記した中でも、本発明では、カチオン重合性有機化合物として、エポキシ基、ビニルオキシ基含有の化合物(以下「ビニル化合物」とも称する)が好ましく用いられ、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を有するポリビニルオキシ化合物、1分子中に少なくともエポキシ基とビニルオキシ基を各々一個以上有する化合物、がより好ましく用いられる。特に、カチオン重合性有機化合物として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式ポリエポキシ化合物を含有し且つ該脂環式ポリエポキシ化合物の含有量がエポキシ化合物の全質量に基づいて30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であるエポキシ化合物(エポキシ化合物の混合物)を用いると、カチオン重合速度、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが一層良好になり、しかも樹脂組成物の粘度が低くなって製膜が円滑に行われるようになる。
上記した脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、上記した脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。信越シリコーン社製のK−62−722や東芝シリコーン社製のUV9300等のエポキシシリコーン、Journal ofPolymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.28,497(1990)に記載されているシリコーン含有エポキシ化合物のような多官能エポキシ化合物を挙げることができる。
また、上記した芳香族エポキシ樹脂としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価又は多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノ又はポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシド化合物として、例えば、特開平11−242101号明細書中の段落番号〔0084〕〜〔0086〕記載の化合物、特開平8−277320号明細書中の段落番号〔0016〕〜〔0029〕記載の化合物、特開平10−158385号明細書中の段落番号〔0044〕〜〔0046〕記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
オキセタニル基を含有する化合物としては、分子中に含有されるオキセタニル基の数は1〜10、好ましくは1〜4である。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。具体的には、例えば特開2000−239309号公報中の段落番号〔0024〕〜〔0025〕に記載の化合物、J. V. CRIVELLO et al、J. M. S. PUREAPPL. CHEM.、A30、p.173〜187(1993)に記載のシリコン含有のオキセタン化合物等が挙げられる。
ビシクロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号等記載の化合物等を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ビニルビフェニル、ビニルナフタレン等のスチレン化合物、ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等のビニル基置換脂環炭化水素化合物、前記ラジカル重合成性モノマーで記載の化合物(V1が−O−に相当の化合物)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルビニルエーテル等のアルケニルビニルエーテル化合物、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のカチオン重合性窒素含有化合物、ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、サゾルシノールジビニルエーテル等の多官能ビニル化合物、Journal of PolymerScience:Part A:Polymer Chemistry,Vol.32,2895(1994)に記載されているプロペニル化合物、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.33,2493(1995)に記載されているアルコキシアレン化合物、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,1015(1996)に記載されているビニル化合物、Journal ofPolymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,2051(1996)に記載されているイソプロペニル化合物等を挙げることができる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明では、上記したカチオン重合性化合物(A2)の1種又は2種以上を用いるものであり、特に上述のように、ビニルエーテル類、エポキシ化合物やオキセタン化合物におけるオキシラン構造を有するものが光重合反応性や重合体の膜特性が良好になる点で好ましい。
1分子中に2個以上のカチオン重合性基を有する多官能性化合物を30質量%以上の割合で含むカチオン重合性有機化合物が好ましく用いられる。
本発明では、上記の重合性化合物(A)と共に、重合体主鎖の片末端に重合性基を有し、かつ質量平均分子量が1×103〜2×104の繰り返し単位からなる下記一般式(II)で表される一官能性マクロモノマー(M)を併用することも好ましい。
一官能性マクロモノマー(M)と重合性モノマー(A)とは、共重合反応し、クシ型ブロック共重合体を形成することが好ましい。
本発明に供される一官能性マクロモノマー(M)の質量平均分子量は、好ましくは1×103〜1.5×104であり、より好ましくは3×103〜1×104である。この範囲において、一官能性マクロモノマー(M)と重合性モノマー(A)との共重合反応が充分に進行する。また、形成されたブロック重合体の一官能性マクロモノマー(M)に由来するクシ部のポリマー鎖長による高分子鎖同士の絡み合い効果が充分に発現し、よりいっそうの膜強度向上などが可能となる。
Figure 2005290346
式(II)中:
Tは、重合性基を含有する官能基を表す。Lは、Tと繰り返し単位[ ]とを連結する基を表す。
繰り返し単位[ ]は、前記のラジカル重合性モノマー(A)に相当する重合体成分を表し、V2、R′、a3、及びa4は、各々、一般式(A1−I)の各記号と同一の内容を表す。
一官能性マクロモノマー(M)を示す上記一般式(II)中、Tはラジカル重合性基又はカチオン重合性基を表すのが好ましい。
具体的には、Tがラジカル重合性基の場合は、前記一般式(I)で表される官能基が挙げられる。
Tがカチオン重合性基を表す場合、カチオン重合性基は活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる重合性基を含有する官能基が挙げられる。代表例としては、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。より具体的には、上記のカチオン重合性モノマー(A2)で例示したと同様のものが挙げられる。
Lは、Tと繰り返し単位[ ]とを連結する連結基または単結合を表す。該連結基は、総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子を除く)である。好ましいLは、単結合又は総原子数1〜18の連結基である。
Lにおける連結基としては、炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては、前記のコア分子の分岐枝の末端炭素原子と重合性基との連結基を構成する原子団として挙げたものと同様のものが挙げられる。
以下に、一般式(II)における連結基Lで示される部分の具体例を示す。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005290346
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一般式(II)で示される繰り返し単位[ ]中のR′は、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表し、更に好ましくは、R′が−L1−R0で表される置換基が挙げられる。具体的には、前記の一般式(A1−I)と同一の内容のものが挙げられる。
また、本発明の一官能マクロモノマー(M)は、繰り返し単位の成分として、上記の成分以外に他の成分を含有してもよい。他の成分として、繰り返し単位に相当する単量体としては、例えば、ビニルシクロアルカン類(ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、クロロメチルスチレン、メトキシカルボニルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホンアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175から184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
これらの繰り返し単位成分は、ビニルシクロアルカン類、スチレン及びその誘導体の場合は、全繰り返し単位成分中の50質量%以下、それ以外の繰り返し単位成分の場合は、30質量%以下で含有されることが好ましい。
マクロモノマー(M)の重合体主鎖の片末端のみに重合性基を導入する方法としては、ラジカル重合性基を導入する場合、従来公知のラジカル重合(例えばiniferter法等)、アニオン重合またはカチオン重合によって得られるリビングポリマーの末端に種々の二重結合基を含有する試薬を反応させるか、あるいはこのリビングポリマーの末端に特定の反応性基(例えば−OH、−COOH、−SO3H、−NH2、−SH、−PO32、−NCO、−NCS、エポキシ基、チオエポキシ基、イミノ基、COCl、−SO2Cl等)を含有した試薬を反応させた後、高分子反応により重合性二重結合基を導入する方法(イオン重合法による方法)、または分子中に上記特定の反応性基を含有する重合開始剤および/または連鎖移動剤を用いてラジカル重合させた後、重合体主鎖の片末端にのみ結合した特定の反応性基を利用して高分子反応を行うことにより重合性二重結合基を導入する方法等の合成法などが挙げられる。
具体的には、大津隆行、高分子、33 (No.3) 、222 (1984)、P. Dreyfuss & R.P. Quirk, Encycl. Polym. Sci. Eng., 7, 551(1987) 、中條善樹、山下雄也「染料と薬品」、30,232(1985) 、上田明、永井進「化学と工業」、60、57(1986)、P. F. Rempp & E. Franta, Advances in Polymer Science 、58、1(1984) 、伊藤浩一「高分子加工」、35、262(1986)、V. Percec, Applied Polymer Science、285、97(1984)等の総説およびそれに引用の文献等に記載の方法に従って重合性二重結合基を導入することができる。
また、カチオン重合性基を片末端にのみ導入する方法としては、上記のラジカル重合性基を導入する場合に挙げた重合開始剤或いは連鎖移動剤の置換基中に、予めカチオン重合性基を含有した化合物を用いて合成する方法が挙げられる。
本発明の重合性化合物(A)として、光安定化性能を有する基を含有する重合性基含有モノマー(A3)を含有することも好ましい。光安定化性能を有する基を含有する重合性モノマー(A3)は、分子中に、前記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1つの重合性基と、光安定化性能を有する有機残基(以下「光安定化基」と称する)とを含有する化合物であり、従来公知の化合物が挙げられる。
ラジカル重合性基を含有する光安定化基を有するモノマー(以下モノマー(A3−I)と称することもある)は、分子中にラジカル重合性基の1〜2個と光安定化基の1個とを含む化合物が好ましく、ラジカル重合性基を一個含有がより好ましい。
カチオン重合性基を含有する光安定化基を有するモノマー(以下モノマー(A3−II)と称することもある)は、分子中にカチオン重合性基の1〜10個と光安定化基の少なくとも1個とを含む化合物が好ましく、光安定化基は複数個含有されてもよい。カチオン重合性基を2〜6個含有がより好ましい。
光安定化性能を有するモノマー(A3)としては、例えば、大沢善次郎「高分子材料の劣化と安定化」pp235((株)シーエムシー、1990年刊)に記載の従来公知の化合物が挙げられる。これらの化合物の少なくとも一つが置換された有機残基が光安定化基としてあげられる。好ましい光安定化基は、紫外線吸収性化合物を含む有機残基、ヒンダードアミン骨格を含む有機残基である。紫外線吸収性化合物を含む有機残基は、波長370nm以下の紫外線の吸収性に優れ、且つ波長420nm以上の可視光の吸収が小さいものが好ましい。例えばオキシベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格を含む基、トリアジン骨格を含む基、サリチル酸エステル骨格、シアノアクリレート骨格、又はベンゼン骨格を含む基等が挙げられ、特に紫外線の波長が320〜400nmの波長域に吸収性の良好なベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格を含む基、s−トリアジン骨格を含む基が好ましい。
ヒンダードアミン骨格を含む有機残基としては、2−位と6−位にそれぞれ1〜2個のアルキル基を有するピペリジン環、ピペリジン環が挙げられる。特に、少なくとも一個の2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン環を含む有機残基が好ましい。
本発明において、光安定化基を含有するモノマー(A3)は、紫外線含有モノマーとヒンダードアミン含有モノマーとを共存して用いる、或いは紫外線吸収性基とヒンダードアミン骨格を含有する基とを共に含む光安定化モノマーを用いることもより好ましい。このことにより、一層の耐光性が得られる。
具体的には、例えばベンゾフェノン系モノマーとして、米国特許4304895号、同3162676号、特開平10−1517号公報、同10−60307号公報、同10−316726号公報、同10−182743号公報、特開2001−139640号公報、同2001−139924号公報等に記載の化合物等、また、ベンゾトリアゾール系モノマーとして、例えば、ANDRES S.、CHONGLI Z.、OTTO V.、J.M.S.−PUREAPPL.、A30(9&10)、pp.741〜755(1993)、米国特許3493539号、同4528311号、特開平2−63463号公報、同8−311045号公報、同9−3133号公報、同9−5929号公報、同9−194536号公報、同10―60307号公報、国際公開94/24112号公報、特開2001−114841号公報、同2001−139924号公報等の記載の化合物、他の紫外線吸収性基含有のモノマーとして、特開平7−258166号、同8−188737号に記載の化合物が挙げられる。
ヒンダードアミン骨格を含むモノマーとして、例えば、特開平7−70067号、同9−3133号、同10−279832号、同10−235992号、同11−138729号、特表平10−116883号、特開2001−114841号等記載の化合物が挙げられる。
本発明における重合性化合物(ラジカル重合性化合物(A1)、カチオン重合性化合物(A2)、マクロモノマー(M)、光安定化基を有する重合性化合物(A3)及びその他の重合性化合物)の総添加量は、セルロースアシレート溶液(ドープ溶液)全量の固形分量に対して、0.1質量%〜55質量%が好ましい。より好ましくは、0.5質量%〜30質量%である。
重合性化合物(A)の総量は、セルロースアシレート溶液全量(固形分量)に対して0.1質量%〜55質量%が好ましく、より好ましくは、0.5質量%〜30質量%である。
マクロモノマー(M)を併用する場合の使用量は、全重合性化合物の総量に対して1質量%〜80質量%が好ましく、より好ましくは、3質量%〜50質量%、特に好ましくは5質量%〜40質量%である。
更にはラジカル重合性化合物(A1)とカチオン重合性化合物(A2)を併用する場合の使用割合は任意であるが、(5/95)〜(95/5)質量比が好ましい。より好ましくは(10/90)〜(90/10)質量比であり、更に好ましくは(20/80)〜(80/20)質量比である。この範囲にあっては、セルロースアシレートドープ組成物の粘度、反応速度が好ましい範囲となり、得られる製膜フィルムの力学的特性にも優れ、点欠陥などの無い極めて均一な面状のフィルムが得られる。さらに、80μm以下の薄膜であっても膜の強度が良好なフィルムが得られ、好ましい。
[光重合開始剤(L)]
次に、本発明のセルロースアシレート組成物に用いられる光重合開始剤(L)について詳述する。
本発明の光重合開始剤(L)は、光照射により、ラジカルまたは酸を発生する化合物である。本発明において用いられる光重合開始剤(L)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
まず、光照射により、ラジカルを発生する化合物(L1)について詳述する。
本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物(L1)は、光照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。
公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等が挙げられる。
上記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林 等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特開昭63−298339号、、M.P.Hutt"Jurnal of Heterocyclic Chemistry"1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
他の有機ハロゲン化合物の例として、特開平5−27830号公報中の段落番号〔0039〕〜〔0048〕記載のケトン類、スルフィド類、スルホン類、窒素原子含有の複素環類等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60〜62ページ((株)技術情報協会刊、1991年)、特開平8−134404号明細書の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、同11−217518号明細書の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物等が挙げられ、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記有機過酸化化合物としては、例えば、特開2001−139663号明細書の段落番号〔0019〕に記載の化合物等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報記載の種々の化合物等が挙げられる。
上記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号〔0022〕〜〔0027〕記載の化合物が挙げられる。他の有機ホウ素化合物として、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
上記スルホン化合物としては、特開平5−239015号に記載の化合物等、上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号明細書に記載の一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、一種のみを添加しても、二種以上を併用してもよい。 添加量としては、光ラジカル重合性モノマーの全量に対し0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%で添加することができる。この範囲において、ドープ組成物の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
次に、光重合開始剤(L)として用いることができる酸発生剤(L2)について詳述する。
酸発生剤(L2)としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
また、酸発生剤(L2)として、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物のこれらの具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号明細書の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物等が挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられる酸発生剤(L2)としては、オニウム塩が挙げられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号明細書の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの酸発生剤は、全重合性モノマーの全質量100質量部に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1〜15質量%の割合で添加することができる。添加量が上記範囲において、ドープ組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
本発明のセルロースアシレートドープ組成物は、ラジカル重合性有機化合物及びカチオン重合性有機化合物の合計質量に対して、ラジカル重合開始剤を0.5〜10質量%及びカチオン重合開始剤を1〜10質量%の割合で含有していることが好ましい。より好ましくは、ラジカル重合開始剤を1〜5質量%、及びカチオン重合開始剤を2〜6質量%の割合で含有する。
本発明のセルロースアシレートドープ組成物には、紫外線照射により重合反応を行う場合には、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を併用してもよい。例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシンなど)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)等が挙げられる。
また、近赤外線照射により重合反応を行う場合には、近赤外線分光増感剤を併用することが好ましい。
併用する近赤外線分光増感剤は、700nm以上の波長域の少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、分子吸光係数が10000以上の値を有する化合物が好ましい。更には、750〜1400nmの領域に吸収を有し、且つ分子吸光係数が20000以上の値が好ましい。また、420nm〜700nmの可視光波長域に吸収の谷があり、光学的に透明であることがより好ましい。近赤外線分光増感剤は、近赤外線吸収顔料及び近赤外線吸収染料として知られる種々の顔料及び染料を用いることができる。その中でも、従来公知の近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。
顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤外吸収性の微粒子顔料が利用できる。
染料としては、市販の染料および文献(例えば、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)、「特殊機能色素」(池森・柱谷編集、1986年、(株)シーエムシー発行)、J.FABIAN、Chem.Rev.、92、pp1197〜1226(1992)、日本感光色素研究所が1995年に発行したカタログ、Exciton Inc.が1989年に発行したレーザー色素カタログあるいは特許に記載されている公知の染料が利用できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノン染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料(例えば、オキソノール系、イミニウム系、シアニン系、ピリリウム系、スクワリウム或いはクロコニウム系、アズレニウムウム系、等)、有機金属錯体などの近赤外線吸収染料が挙げられる。
近赤外線分光増感剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、その使用量は、セルロースアシレート組成物の全固形分に対し、0.01〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%であり、更に1〜8重量%であることが好ましい。
[他の添加剤]
更に、本発明のセルロースアシレート組成物には、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤(例えば、微粒子、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、光学異方性コントロール剤、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。
これらの添加剤の添加する時期はドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。 更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。上記の紫外線吸収剤を含めてこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の使用量は、セルロールアシレート全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
次に、本発明のセルロースアシレートを溶解する有機溶媒について記述する。
用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「Polymer Handbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報の段落番号[0020]、同11−60807号公報の段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。具体的には、例えば前記の公技番号2001−1745の12頁〜16頁に詳細の化合物が挙げられる。
特に、本発明では、溶媒は2種類以上の有機溶媒を混合して用いることが好ましく、特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3〜4のケトンおよび炭素原子数が3〜4のエステル或いはその混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が5〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として沸点が30〜170℃のアルコールまたは沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれることが好ましい。
特に、酢酸エステルを20〜90質量%、ケトン類を5〜60質量%、アルコール類を5〜30質量%の混合比で用いることがセルロースアシレートの溶解性の点から好ましい。
また、ハロゲン化炭化水素を含まない非ハロゲン系有機溶媒系が特に好ましい。技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアシレートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
本発明に使用する有機溶媒は具体的には、例えば特開2002−146043号明細書の段落番号〔0021〕〜〔0025〕、特開2002−146045号明細書の段落番号〔0016〕〜〔0021〕等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
本発明のセルロースアシレートは、有機溶媒に10〜30質量%溶解している溶液であることが好ましいが、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25質量%溶解しているセルロースアシレート溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを調製する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように調製してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
(溶解工程)
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組合せで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、濾過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明のセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることが望ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。
具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
(流延、光照射、乾燥、巻き取り工程)
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルロースアシレートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。
流延工程で用いる金属支持体は、その表面が算術平均粗さ(Ra)が0.015μm以下で、十点平均粗さ(Rz)が0.05μm以下であることが好ましい。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.01μmで、十点平均粗さ(Rz)が 0.001 〜0.02μmである。更に好ましくは、(Ra)/(Rz)比が0.15以上である。このように、金属支持体の表面粗さを所定の範囲とすることで、製膜後のフィルムの表面形状を後述する好ましい範囲内に制御できる。
得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組合せはその目的により変わる。
本発明の光重合反応は、ドープを流延してから乾燥が終了するまでの間の任意の場所で行えばよいが、特にドープ膜が支持体上にあるときに光照射することが好ましい。光照射の光源は、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化照射等、又、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化照射等を採用することができる。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、ドープ膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程でのドープ膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、ドープ膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
ポリマーフィルムにおける残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
流延工程では流延方向(縦方向)等の一方向のみの1軸延伸、或いは流延方向及び他の方向(横方向)の2軸延伸等が行われることが好ましい。
(延伸処理工程)
作製されたポリマーフィルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3乃至100%であることが好ましい。
下記(1)及び/又は(2)の延伸方法を採用した場合には、軸ズレ(遅相軸角度)を所定の範囲内に調整できることから好ましい。
(1)3乃至40%、より好ましくは7乃至38%、さらに好ましくは15乃至35%の延伸倍率で幅方向に延伸する。これに引き続き、長手方向に0.4%以上5%以下、より好ましくは0.7%以上4%以下、さらに好ましくは1%以上3.5%以下膨張させながら50〜160℃で熱処理する。
(2)延伸中に表裏に温度差を付与する。流延時に基板(バンドあるいはドラム)に接触していた面の温度を、その反対面より2℃以上20℃以下、より好ましくは3℃以上15℃以下、より好ましくは4℃以上12℃以下高くする。
このような方法により、延伸工程でのフィルム内に添加した添加剤(可微粒子、紫外線吸収剤等)の偏在化が解消されることで、得られるフィルムの光学特性が均質化されるとともに機械的特性が向上する。
本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。更には、セルロースアシレートフィルムの膜厚変動幅が±3%以内である。フィルムの膜厚変動幅を±3%以内とするには、(1)該ポリマーフィルムを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を流延する際の濃度及び粘度を調節する、(2)乾燥工程において膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合のその風量、風向等を調節することが有効である。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、長さ100〜5000m、及び幅0.7〜1.5mの長尺ロール形態で製造されることが好ましい。
[セルロースアシレートフィルムの特性]
(フィルム表面の性状)
本発明のセルロースアシレートフィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が 0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が 0.2μm以下である。
膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
80μm未満の膜厚からなるフィルムの機械的特性を下記の範囲内に保持する主要組成物である微粒子を含有した本発明のフィルムの表面状態を上記の凹凸の大きさ内とすることで、後述するフィルム表面への密着性付与、配向膜の塗設において、フィルム全面が安定して均一に処理され、処理ムラや塗布ムラ等による光学的な欠陥が解消される。
又、本発明に用いる透明支持体の動摩擦係数は0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることが特に好ましい。動摩擦係数が大きいと搬送ロールとの間で強く擦られる結果支持体から発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償シートの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えてしまう。動摩擦係数は5mmφの鋼球を用いる鋼球法により測定することができる。
(フィルムのヘイズ)
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは0.01〜2.0%が好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%である。この範囲において、光学フィルムとして重要なフィルムの透明性が充分に確保できる。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定出来る。
(フィルムのRe、Rthの湿度依存性)
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、(25℃/10%RH)におけるRe値と(25℃/80%RH)におけるRe値との比率(Re80%RH/Re10%RH)が0.65以上であることが好ましい。より好ましくは0.70以上である。
同時に、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値との比率(Rth80%RH/Rth10%RH)が0.65以上であることが好ましい。より好ましくは0.70以上である。
・レターデーション(Re):
試料70mm×100mmを、上記の各条件で2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株)にて632.8nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値の外挿値より算出する。
Re=(nx−ny)×d
なお、波長は632.8nm以外の波長を用いた場合がある。
・レターデーション(Rth):
試料30mm×40mmを、上記の各条件で2時間調湿し、エリプソメーター(M150、日本分光(株))で、632.8nmにおける垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値より次式に従い算出する。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(フィルムのレターデーションの波長依存性)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のレターデーションReと膜厚方向のレターデーションRthが波長400nmと波長700nmでの各測定値の差が小さいことが好ましい。具体的には前記のように、レターデーションReの波長400nmと波長700nmでの各測定値の差|10|nm以下が好ましく、より好ましくは|5|nm以下である。と同時に、レターデーションRthの波長400nmと波長700nmでの各測定値の|35|nm以下が好ましく、より好ましくは|30|nm以下である。
このような波長によるRth及びReの変化が抑えられることで、波長分散性がゼロに近づく。これにより光学フィルムとして波長の変化による色味の変化が著しく抑制できる。
尚、Rth、及びReの各測定は、(25℃/60%RH)で2時間調湿後に各測定波長(400nm、700nm)で行った。
(フィルムの平衡含水率)
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出する。
(フィルムの透湿度)
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求める。
(フィルムの保留性)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、「80±5℃/90±10%RH」の条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が0〜2%であることが好ましい。
・保留性の評価方法
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を算出する。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
(カール)
本発明に用いる透明支持体の幅方向のカール値は、−7/m〜+7/mであることが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の設置などを長尺で広幅の透明フィルムに対し行う際に、透明フィルムの幅方向のカール値が前述の範囲内であると、フィルムのハンドリングが良好になり、フィルムの切断が起きなくなる。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触して発塵したり、フィルム上への異物付着が生じなくなり、光学補償シートの点欠陥や塗布スジの頻度を許容値の範囲内とすることができる。また、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
(フィルムの寸度変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは0.3%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めた。
(引裂き強度)
上記透明支持体は、前記のとおり膜厚が20〜80μmであり、そのJISK7128−2:1998の引裂き試験方法(エルメンドルフ引裂き法)に基づく引裂き強度が、2g以上であるのが、前記の膜厚においても膜の強度が充分に保持できる点で好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更に好ましくは6〜25gである。また60μm換算では、8g以上が好ましく、より好ましく8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
特に、上記カール及び上記引裂き強度は、所定の製造工程を終了して得られる上記透明支持体が長さ100〜5000mで幅0.7〜2mの長尺品である場合に、上述の範囲内とするのが好ましい。
(引掻き強度)
また、引掻き強度は1g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、10g以上であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、フィルム表面の耐傷性、ハンドリング性が問題なく保持される。
引掻き強度は、円錐頂角が90度で先端の半径が0.25mのサファイヤ針を用いて支持体表面を引掻き、引掻き跡が目視にて確認できる荷重(g)をもって評価することができる。
(フィルムの残留溶剤量)
具体的には、セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制である。好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
(フィルムの吸湿膨張係数)
本発明の光学補償シートに用いるセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0)を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0
作製したセルロースアシレートフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物或は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。また、セルロースアシレートフィルム中の残留溶剤量が少なくして自由体積を小さくすることが挙げられる。具体的には、セルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲ことが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
(鹸化処理)
これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
(1)浸漬法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ鹸化処理液は、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nの範囲にあることが好ましい。更に、アルカリ処理液として、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒(例、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール等)、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール類、グリセリン等)を含有することで、鹸化液の透明支持体に対する濡れ性、鹸化液の経時安定性等が良好となる。好ましいアルカリ液の液温は25〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
偏光膜の保護フィルムは、通常、水に対する接触角が20度〜50度、より好ましくは30度〜50度の範囲で透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
(2)アルカリ液塗布法
適切な条件でアルカリ液をフィルムの片面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、国際公開02/46809号パンフレット、特開2003−313326号公報等に記載の内容が挙げられる。フィルムの他の面に付設された機能層を設けたフィルムの処理方法として極めて有効である。
[機能層]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。
特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムの用途について説明する。
本発明の光学フィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムは、前記したように|Re(400)−Re(700)|≦15かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35と波長分散が小さいため、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
したがって本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のReおよびRthはRe=0〜200nmかつ|Rth|=0〜300nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、特開2001−328973号、同2002−6138号などに記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
[一般的な液晶表示装置の構成]
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリア層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
(VAモード液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモード)の液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、前記偏光板の保護膜と保護膜と液晶セルの間に配置された光学異方性層のレターデーションの値は、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn, J. Appl. Phys. Vol.38 (1999) p.2837)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、WO00−65384号に記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。 その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
[ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。
(反射防止膜)
このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様について説明する。
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明基体(本発明のセルロースアシレートフィルム)上に設けて成る。
屈折率の異なる無機化合物(金属酸化物等)の透明薄膜を積層させた多層膜として、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、金属アルコキシド等の金属化合物のゾルゲル方法でコロイド状金属酸化物粒子皮膜を形成後に後処理(紫外線照射:特開平9−157855号公報、プラズマ処理:特開2002−327310号公報)して薄膜を形成する方法が挙げられる。
一方、生産性が高い反射防止膜として、無機粒子をマトリックスに分散されてなる薄膜を積層塗布してなる反射防止膜が各種提案されている。
上述したような塗布による反射防止フィルムに最上層表面が微細な凹凸の形状を有する防眩性を付与した反射防止層から成る反射防止フィルムも挙げられる。
(塗布型反射防止フィルムの層構成)
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
又、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。
例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等が挙げられる。
又、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(高屈折率層および中屈折率層)
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
特に好ましくは、Co、Zr、ALから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子(以降、「特定の酸化物」と称することもある)が挙げられる。Tiに対する、Co、Al、Zrの総含有量は、Tiに対し0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜7質量%である。
又、他の好ましい無機粒子として、チタン元素と酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)との複合酸化物の粒子で、かつ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン、及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、該酸化物の屈折率が1.95以上となる金属酸化物の金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb,Sn、及びBiが好ましい。特には、Ta、Zr、Sn、Biが好ましい。複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量に対して、25質量%を越えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましい。より好ましくは0.1〜5質量%である。
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
更に、ラジカル重合性及び/又はカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個以上含有の多官能性化合物含有組成物、加水分解性基を含有の有機金属化合物及びその部分縮合体組成物から選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の化合物が挙げられる。
又、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシト゛組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。
例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報、特開2004−45462号公報明細書等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造をを有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素及び/又はシロキサンのポリマーの架橋又は重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
又、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報記載等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子( フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nm の低屈折率無機化合物を含有することが好ましい。
特に、上記低屈折率層はその屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子を用いることが好ましい。中空の無機微粒子は屈折率が1.17〜1.40、好ましくは1.17〜1.37である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空の無機微粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。
この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記式(D)で表される空隙率w(%)は以下の通り計算される。
式(D) : w=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率は、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%である。
該低屈折率層中の中空の無機微粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下であり、好ましくは35%以上80%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30nm以上100nm以下であり、好ましくは35nm以上80nmである。
なお、これら中空の無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定を行うことができる。
他の添加剤としては、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
(反射防止フィルムの他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。 特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。 硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層(後述)を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
(アンチグレア機能)
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜50%であることが好ましく、5〜30%であることがさらに好ましく、5〜20%であることが最も好ましい。
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。
例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)を塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
反射防止膜付き偏光板としては、反射防止膜を設けたセルロースアシレートフィルムの反対側のセルロースアシレートフィルム表面及びセルロースアシレートフィルムの片面を其々親水化処理して、偏光膜をこれらで挟んで接着剤で貼りあわせて作製した態様が好ましい。更には、反射防止膜を設けたセルロースアシレートフィルム及び光学補償層を設けたセルロースアシレートフィルムの各々の反対側のセルロースアシレートフィルム表面を親水化処理して、偏光膜をこれらで挟んで接着剤で貼りあわせて作製した態様が好ましい。これにより偏光板の厚みが薄くなり、画像表示装置の軽量化が可能となる。
[写真フィルム支持体]
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、該特許に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
(透明基板)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリア性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリア層を設けてもよい。ガスバリア層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリア性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。
これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号や特開2000−227603号などに公開されている。
以下に本発明のセルロースアシレートについての具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
光重合性高分岐ポリマー(RHB)の合成例1:光重合性高分岐ポリマー(RHB−1)
トリメチロールプロパン0.1モルをフラスコに仕込み、攪拌下に窒素置換しながら温度120℃に加温した。これに、ジメチロールプロピオン酸0.9モル及びメタンスルホン酸1.2gを投入し、発生する水を除去しながら温度140℃で2時間反応させた。更に、減圧度15mmHgで減圧しながら30分間反応させた。次に、3−シクロヘキシルプロピオン酸0.6モルを加えて2時間反応した。反応物を冷却し、トルエンに溶解して40質量%の混合溶液とし、これに2−メタクロイルオキシエチルイソシアナート0.6モル、2,6−ジ(t−ブチル)ハイドロキノン0.5質量部、及び2−エチルヘキサン錫0.3質量部を加えて、温度60℃で5時間攪拌した。反応混合物を冷却後にアルカリ水で十分に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。トルエンを減圧留去して化合物を得た。
Figure 2005290346
光重合性高分岐ポリマー(RHB)の合成例2:光重合性高分岐ポリマー(RHB−2)
ジトリメチロールプロパン0.1モルをフラスコに仕込み、攪拌下に窒素置換しながら温度120℃に加温した。これに、ジメチロールプロピオン酸0.8モル及びp−トルエンスルホン酸0.01モルを投入し、発生する水を除去しながら温度140℃で2時間反応させた。更に、減圧度15mmHgで減圧しながら1時間反応させた。次に、シクロヘキシルカルボン酸0.4モルを加えて2時間反応した。反応物を冷却し、テトラヒドロフランに溶解して30質量%の混合物とした。これにアクリル酸0.85モルを加えて温度25℃で攪拌し、ジシクロヘキシルカルボジイミド0.90モル及び4−N、Nジメチルアミノピリジン0.2質量部の30質量%の塩化メチレン溶液を30分間で滴下した。t−ブチルハイドロキノン0.5質量部を加えた後、温度40℃で4時間攪拌した後に50質量%のギ酸水溶液を加えて1時間攪拌した。析出した不溶物を濾別後に水中に投入した。沈降物を酢酸エチルで抽出し、アルカリ水で十分に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去して化合物を得た。
Figure 2005290346
光重合性高分岐ポリマー(RHB―3)の合成例:光重合性高分岐ポリマー(RHB―3)
ポリエステル型デンドリマーBOLTORN(登録商標、RTM)2G(16個の表面ヒドロキシル基を含む;Perstorp社製)10質量部、テトラヒドロフラン23質量部の混合溶液に室温下、攪拌しながら水素化ナトリウム3.3質量部を加えた。これにブロモヒドリン18.6質量部を1時間で滴下し、更に温度50℃で6時間攪拌した。室温に冷却し、反応混合物を水1リットルに投入し、トルエン500mlで抽出した後、十分に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。トルエンを減圧留去して、化合物を得た。
Figure 2005290346
光重合性高分岐ポリマー(RHB―4)の合成例:光重合性高分岐ポリマー(RHB―4)
ポリ(アミドアミン)系デンドリマーStarburst(登録商標、PAMAN)Dendrimer、Generation2(表面−NH2基数16個、20質量%メタノール溶液、Aldrich社製)25質量部(固形分量)を溶媒置換してアセトンの15質量%とした。これにピリジン10.7質量部加えた混合物を温度0℃に冷却し、アクリロイルクロライド12.2質量部の30質量%のアセトン混合溶液を温度0〜2℃の範囲で滴下し、そのまま3時間攪拌した。更に、温度25℃で5時間攪拌した。反応物を水中に投入し、析出物を酢酸エチルで抽出して、アルカリ水溶液で洗浄後に十分に水洗して、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去して化合物を得た。
Figure 2005290346
光重合性高分岐ポリマー(RHB−5)の合成例:光重合性高分岐ポリマー(RHB−5)
特開2000−86758号公報記載の実施例に準拠して得られるポリアリールアミド系の下記の高分岐ポリマー(末端基:−COOH)10質量部に塩化チオニル15質量部を加え、温度80℃で2時間反応させた後、未反応の塩化チオニルを除去して酸クロリドを得た。これをジオキサンに溶解し20質量%混合溶液とし、ピリジン2.3質量部を加えた。室温で2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.9質量部を加えて1時間攪拌後、さらにt−ブチルヒドロキノン0.2質量部を加えて、温度80℃で5時間反応させた。 冷却後、水中に投入し塩化メチレンで抽出し、アルカリ水並びに水で洗浄した後に硫酸マグネシュウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して、化合物を得た。
Figure 2005290346
光重合性高分岐ポリマー(RHB)の合成例6〜8:光重合性高分岐ポリマー(RHB−
6)〜(RHB−8)
光重合性高分岐ポリマー(RHB)の合成例2において、連鎖停止化合物のシクロヘキサンカルボン酸及びアクリル酸の代わりに、下記表−Aの置換基に相当するモノカルボン酸を用いた他は光重合性高分岐ポリマー(RHB)の合成例2と同様にして各化合物を合成した。
Figure 2005290346
Figure 2005290346
光重合性高分岐ポリマー(RHB)の合成例9〜13:高分岐化合物(RHB−9)〜(RHB−13)
高分岐化合物(PB)の合成例1において、トリメチロールプロパン及びジメチロールプロピオン酸の代わりに下記表−Bに記載の開始化合物0.1モル、及び連鎖延長剤を用いた他は、上記合成例1と同様の方法で各化合物を合成した。
Figure 2005290346
[実施例1及び比較例1]
<セルロースアシレートフィルムの作製>
(微粒子分散物(RL-1)の調製)
下記の組成からなる混合物及びビーズ径0.2mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機で投入し湿式分散して体積平均粒径55nmになるよう分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、微粒子分散物(RL−1)を調製した。
得られた微粒子分散物の粒度分布を測定したところ、粒径300nm以上の粒子は0%であった。ここで体積平均粒径は、『粒度分布測定装置 LA920(堀場製作所製)』で測定した。
<微粒子分散物(RL-1)組成>
疎水性シリカ(商品名「AEROSIL R812」(メチル基変性体、一次粒径7nm:日本アエロジル(株)) 2.00質量部
置換度2.85(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート
2.00質量部
下記の分散剤(DP−1) 0.25質量部
メチレンクロライド 78.70質量部
メタノール 14.20質量部
1−ブタノール 2.86質量部
Figure 2005290346
(セルロースアシレート溶液(A−1)の調製)
下記の組成からなる混合物を攪拌溶解して、セルロースアシレート溶液(A−1)を調製した。
<セルロースアシレート溶液(A−1)組成>
置換度2.85(6位置換度0.90)のセルローストリアセテート 89.3質量部
光重合性高分岐ポリマー(RHB−1) 6.5質量部
モノマー(A−1):シクロヘキシルアクリレート 4.5質量部
下記のUV剤:UV−1 1.0質量部
下記のUV剤:UV−2 1.0質量部
光重合開始剤(L−1):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
0.27質量部
増感助剤:N−フェニルグリシン 0.01質量部
メチレンクロライド 300質量部
メタノール 54質量部
1−ブタノール 11質量部
Figure 2005290346
(ドープの調製)
セルロースアシレート溶液(A−1)474質量部に、微粒子分散物(RL−1)15.3質量部を攪拌しながら添加して充分に攪拌した後、十分に撹拌して更に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。
次に得られたドープを50℃にて、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)で濾過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)にてフィルター濾過及び脱泡を行ってドープを調製した。
(溶液流延方法)
上述のようにセルロースアシレート溶液を調製する工程を行い、得られたドープを、バンド流延機を用いて流延して、セルロースアシレート溶液からセルロースアシレートフィルムを製膜する工程を行った。
金属支持体(流延バンド)としては、ステンレススチールからなり、幅2m、長さ56m(面積112m2)からなるものを用いた。該金属支持体の算術平均粗さ(Ra)は0.006μmで、最大高さ(Ry)は0.06μmであり、また十点平均粗さ(Rz)は0.009μmであった。算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)の各測定は、JIS B 0601に規定によった。
流延されたドープは、流延直後の1秒間は風速0.5m/s以下で乾燥し、それ以降は風速15m/sで乾燥した。乾燥風の温度は50℃であった。
流延後5秒間後、2kW高圧水銀灯を用いて、ドープ表面の全光照射量が600mJ/cm2となる条件で光照射した。しかる後に金属支持体上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、乾燥風の温度を120℃とした。このときのフィルムの幅方向の温度分布は5℃以下であり、乾燥の平均風速は5m/sであり、フィルムの幅方向分布はいずれも5%以内であった。また乾燥ゾーン中におけるピンテンター担持部分は遮風装置により乾燥熱風が直接当らないようにした。
次に、セルロースアシレートフィルムを延伸する工程を行った。すなわち、残留溶剤量が15質量%のフィルムの状態で、130℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外して巻き取りを行った。剥ぎ取りより巻き取りまでの間で蒸発した溶剤は初期の溶剤量の97質量%であった。乾燥したフィルムは、さらにローラーで搬送しつつ乾燥させる乾燥工程において145℃の乾燥風により乾燥した後、湿度、温度を調整して巻き取り時の残留溶剤量0.30質量%、水分量0.6質量%で巻き取り、セルロースアシレートフィルム(CA−1)(長さ3500m、幅1300mm、厚み80μm)を製造した。膜厚の変動幅は±2.1%であった。幅方向のカール値は0.2/mであった。
また、フィルムの表面凹凸形状は以下のようになった。
Ra:0.002μm、Rz:0.078μm、Ry:0.0824μm、Sm:0.18μm
[実施例1−2及び実施例1−3]
実施例1−1において、セルロースアシレート溶液中の光重合性高分岐ポリマー(RHB)、重合性化合物(A)及び光開始剤(L)の各々を、下記の表−Cに記載の各化合物に代えた他は実施例1−1と同様にして、膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(CA−2)および(CA−3)を得た。残留溶剤量、水分量、膜厚の変動幅、幅方向のカール値は実施例1−1と同等であった。
[比較例1−1及び比較例1−2]
実施例1−1におけるセルロースアシレート溶液中の添加物の各々を、下記表−Cのようにした他は実施例1−1と同様にして、膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム(CAR−1)および(CAR−2)を得た。残留溶剤量、水分量、膜厚の変動幅、幅方向のカール値は実施例1−1と同等であった。
Figure 2005290346
Figure 2005290346
<セルロースアシレートフィルムの評価>
得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。その結果を表−Dに示す。
(ヘイズ)
得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターMODEL 1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。フィルムは長さ方向に1mに試料とし、測定点はロール形態の長さ及び幅方向の中央並びに両端の各3点を測定した。フィルム試料は塗工ロールの先端部、中央部、及び終端部を用いた。ヘイズは上記の測定点の中央値とし、変動幅は最大値と最小値との差を中央値で除した計算値を求めた。
各フィルムのヘイズは、0.2〜0.3%の範囲であった。
(レターデーションの湿度依存性)
前記したRe及びRthの測定方法により数値を求めた。測定試料を、(25℃/10%RH)および25℃/80%RH)の条件下に測定した。測定波長は632.8で行った。
得られた各数値から、Re及びRthのそれぞれについて、(25℃/10%RH)における測定値の(25℃/80%RH)における測定値との比率を算出した。
(レターデーションの波長分散依存性)
(25℃/60%RH)の条件に2時間放置して調湿した後、測定波長400nmと測定波長700nmでそれぞれReとRthを求めた。以下のようにして、ΔRe、及びΔRthを算出した。
・ ΔRe(nm)= |Re(400) − Re(700)
・ ΔRth(nm) = |Rth(400) − Rth(700)
(透湿度)
前記した方法で、(60℃/95%RH)の条件で測定し、フィルム膜厚80μmに換算した。
(引裂き強度)
フィルムの引裂き強度は、東洋精機製作所製軽過重引裂き強度試験器を用い、ISO6383/2−1983に従って引裂きに要する過重を評価した。85℃/85%の高温高湿下で550時間保管しその前後で調べた。試料サイズは50mm×64mm、25℃60%RHで2時間調整した後に実施した。
A:初期の値。 B:経時後の値。
Figure 2005290346
本発明の実施例1−1〜1−3は、Re及びRthの低湿から高湿での湿度変化に対してその変化率が0.7以上と小さかった。また波長400nmと波長700nmでのRthの差(ΔRth)は30未満でそれぞれ良好であった。また、(60℃/95%RH、24hr)のフィルムの透湿度(80μm換算)は、いずれも400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下で好ましい範囲内であった。更に、フィルムの引裂き強度は高温・高湿の条件下に経時後でもその変化が小さく、充分な強度を保持した。他方、比較例1−1は、Re及びRthの湿度依存性、波長依存性ともに著しく低かった。 又、引裂き強度は経時で劣化した。比較例1−2は、透湿度、引裂き強度並びにRe及びRthの湿度依存性は改善したが、波長依存性が不十分であった。
以上の様に、本発明のフィルムのみが、安定した光学異方性、適切な透湿性、良好な膜の強度等を達成できる。
<偏光板>
(偏光子の作製)
PVAフィルムをヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、以降幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱して巻き取った。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であった。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。得られた偏光子の550nmにおける透過率43.7%、偏光度は99.97%であった。
<偏光板(HB)の作製>
上記の各セルロースアシレートフィルムを、一方の表面上に、水酸化カリウム57質量部、プロピレングリコール120質量部、イソプロピルアルコール535質量部、および288水質量部からなるアルカリ溶液を40℃に保温した鹸化液をエクストリュージョンコーターで塗布量14cc/m2を塗布し、液の滞留10秒間として面鹸化処理した。
鹸化処理した透明支持体表面のアルカリ溶液を、水で十分に洗浄した後、100℃で十分に乾燥させた。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。この鹸化処理して親水化した表面に、ポリビニルアルコール系粘着材を約30μmの厚みに塗布し、上記偏光子の両側に貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して各偏光板(HB)を作成した。
<偏光板の評価>
上記の得られた各セルロースアシレートフィルムからなる偏光板の性能の結果を表−Eに記載した。性能評価の項目は以下のもので行った。
(異物・汚れ)
全幅で長手方向に1mの長さに切り出し、この試料にシャーカステン上で光を透過させながらルーペで異物・汚れの有無及び大きさを観察し、下記グレードで評価した。
A:50μm以上の大きさの異物、汚れはなく、50μm未満のものが、0〜10個観察された。
B:50μm以上の大きさの異物、汚れはなく、50μm未満のものが、11〜30個観察された。
C:50μm以上の大きさの異物、汚れが1〜10個観察され、50μm以下のものが31〜50個観察された。
D:50μm以上の大きさの異物、汚れが11〜30個観察され、50μm以下のものが51以上観察された。
(耐久性)
偏光板から150mm×150mmの大きさの試料を2枚切り出し、(60℃/90%RH)の条件下に550時間放置した。以下の項目の測定は、(25℃/65%RH)の条件下に2時間放置した後に行った。
・偏光度
分光光度計により可視領域における並行透過率Yp、直行透過率Ycを求め、次式に基づき偏光度Pを決定した。
Figure 2005290346
・面状性
クロスニコルにより偏光板の縁に発生する白抜けの面積を全体の面積に対する面積比として観察して、下記のグレードで評価した。
◎:白抜け部分が全くなかった。
○:白抜けが全体の面積に対して2%未満。
○〜△:白抜け部分が全体の面積に対して2%以上6%未満。
△:白抜け部分が全体の面積に対して5%以上10%未満。
×:白抜け部分が全体の面積に対して10%以上あった。
(耐衝撃性)
デュポン衝撃試験器 (JIS K5400 6.13.3項・径1/2 、荷重500g、落下高50cm) にて試験し、その剥離を下記の5 段階評価にて検討を行った。
5:変化無し、4:亀裂が見られるが剥がれ無し、3:塗膜50%以上残存、2:塗膜50% 〜10% 残存、1:塗膜残存10% 以下、
Figure 2005290346
本発明のセルロースアシレートフィルム(CA−1)〜(CA−3)及び比較用フィルム(CAR−1)〜(CAR−2)を用いた偏光板を60℃90%RHの条件で500時間放置した後の偏光度を評価したところ、フィルムCA−1〜CA−3を用いた偏光板(HB−1〜HB−3)の偏光特性は比較用フィルム(CAR−1〜CAR−2)を用いた偏光板(HBR−1〜HBR−2)に対していずれも優れており、本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板加工した際の耐久性が向上していることが確認できた。又、偏光板の耐衝撃性も本発明のものが良好な特性を示した。
[実施例2−1〜2−5]
実施例1−1におけるセルロースアシレート溶液において、光重合性高分岐ポリマー(RHB)、重合性化合物及び光重合開始剤(L)の代わりに、下記表−Fの各化合物を用いた他は、実施例1−1と同様にして乾燥後の膜厚80μmの各セルロースアシレートフィルム(CA−4)〜(CA−8)を作製した。得られたフィルムは、各々膜厚変動幅が±2.1〜±2.5%であった。幅方向のカール値は0.2〜0.6/mであった。
更に、各フィルムを用いて実施例1−1と同様にして、偏光板(HB−4〜HB−8)を作製した。
Figure 2005290346
得られた各フィルム(CA−4)〜(CA−8)は、Re及びRthの低湿から高湿での湿度変化にたしてその変化率が0.70〜0.78の範囲であり小さかった。波長400nmと波長700nmでのRthの差(ΔRth)は24〜30の範囲でそれぞれ良好であった。又、(60℃/95%RH、24hr)のフィルムの透湿度(80μm換算)は、いずれも400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下で好ましい範囲内であった。更に、フィルムの引裂き強度は高温・高湿の条件下に経時後でもその変化が小さく、400〜550gと充分な強度を保持した。更に、偏光板(HB−4)〜(HB−8)は、何れも偏光板(HB−1)と同等の良好なものであった。
[実施例3−1]
(微粒子分散物(RL−2)の調製)
下記の組成からなる混合物及びビーズ径0.3mmのジルコニアビーズを、ダイノミル分散機で投入し湿式分散して体積平均粒径65nmになるよう分散を行った。得られた分散物を200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、微粒子分散物(RL−2)を調製した。
得られた分散物の分散粒子径は、走査型電子顕微鏡で測定した。また、分散物の粒度分布を測定した(レーザー解析・散乱粒子径分布測定装置LA−920.堀場製作所製)結果、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
(微粒子分散物(RL−2)組成)
疎水性シリカ(商品名「AEROSIL972」メチル基変性体、一次粒径16nm:
日本アエロジル(株)) 2.20質量部
置換度2.70のセルロースアセテートプロピオネート(アセテート/プロピオネート
比1/0.4) 2.00質量部
モノドデシルフォスフェート(微粒子化分散助剤) 0.30質量部
酢酸メチル 71.0質量部
メタノール 6.2質量部
アセトン 6.1質量部
エタノール 6.1質量部
1−ブタノール 6.1質量部
下記のセルロースアシレート溶液(SA−2)組成に示す成分をミキシングタンクに投入し、加熱撹拌して、セルロースアシレート溶液を調製した。
(セルロースアシレート溶液(SA−2)組成)
置換度2.70のセルロースアセテートプロピオネート(アセテート/プロピオネート
比1/0.4) 100質量部
光重合性高分岐ポリマー(RHB−8) 6.5質量部
下記の重合性モノマー(A−10) 4.0質量部
下記の重合性モノマー(A−11) 1.5質量部
光重合開始剤(L−3) 0.03質量部
酢酸メチル 290質量部
メタノール 25質量部
アセトン 25質量部
エタノール 25質量部
1−ブタノール 25質量部
Figure 2005290346
セルロースアシレート溶液(SA−2)465質量部に無機微粒子分散物(RL−2)14.5質量部を攪拌しながらを混合し、充分に攪拌した後に室温(25℃)にて3時間放置し、得られた不均一なゲル状溶液を、−70℃にて6時間冷却した後、50℃に加温・攪拌して完全に溶解したドープを得た。これを実施例1と同様にしてフィルター濾過及び脱泡を行った後、回転ドラム流延機を用いてドープを流延した。
ドラムはハードクロム鍍金を施しその表面は算術平均粗さ(Ra)が0.010μm、十点平均粗さ(Rz)は0.016μmとした、直径200mm、幅2500mmのものを用いた。
流延方法は実施例1記載のバンド流延と同様の条件で行った。流延後5秒後にドープ表面の全光照射量が600mJ/cm2となる条件で光照射した。しかる後にドラム面上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、残留溶剤量が50質量%のフィルムを剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、残留溶剤量が40質量%のフィルムをテンターを用いて幅方向に17%延伸し、延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。この後、130℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.25質量%のセルロースアシレートフィルムを、厚さ60μm、長さ1000m、幅1.34mの巻きロール形態で製造した。得られた長尺ロールのセルロースアシレートフィルム(CA−9)の膜厚変動幅は 2.8%で、カール値は0.9/mであり、フィルムの表面凹凸形状は以下のようになった。
Ra:0.002μm、Rz:0.008μm、Ry:0.082μm、Sm:0.1
8μm
得られたフィルムの特性を実施例1−1と同様にして評価した。その結果を、表−Hに示した。
[実施例3−2〜3−6]
実施例3−1のセルロースアシレート溶液において、光重合性高分岐ポリマー(RHB)、重合性モノマー(A)及び開始剤(L)の代わりに、下記表−Gの各化合物を用いた他は実施例3−1と同様にして各フィルムを作製した。得られたフィルムは、各々、膜厚変動幅が±2.6〜±2.8%であった。幅方向のカール値は0.2〜0.8/mであった。
Figure 2005290346
<セルロースアシレートフィルムの性能>
光学的異方性低下剤を更に併用して得られた各フィルム(CA−9)〜(CA−13)について、実施例1と同様の項目について評価した。その結果、各フィルム(CA−9)〜(CA−13)は、Re及びRthの低湿から高湿での湿度変化にたしてその変化率が0.70〜0.80の範囲であり小さかった。また、波長400nmと波長700nmでのRthの差(ΔRth)は24〜30の範囲、並びに波長400nmと波長700nmでのReの差(ΔRe)は5乃至115未満で、波長分散依存性が小さくなり、それぞれ良好であった。また、(60℃/95%RH、24hr)のフィルムの透湿度(80μm換算)は、いずれも800g/m2・24hr以上1050000g/m2・24hr以下で好ましい範囲内であった。更に、フィルムの引裂き強度は高温・高湿の条件下に経時後でもその変化が小さく、400〜550gと充分な強度を保持した。
<偏光板(HB)の作製>
実施例1−1の偏光板(HB−1)において、偏光子の保護フィルムとして上記の各セルロースアシレートフィルム(CA−9)〜(CA−13)を用いた他は、実施例1−1と同様にして偏光板を作製した。実施例1−1と同様にして、偏光板の性能を評価し、その結果を後述の表−Hに示した。
<光学補償付き偏光板(WH)の作製>
上記作製した偏光板に対して、アートンフイルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フィルムの面内リタデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
<IPSモード液晶表示装置の作製>
上記の各偏光板(HB)と光学補償フィルムの積層体(WH)を2組作製し、光学補償フィルムが各々液晶セル側となるように、「偏光板115と光学補償フィルムの積層体+IPS型の液晶セル+偏光板115と光学補償フィルムの積層体」の順番に重ね合わせて組み込んだIPS表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
<液晶表示装置の性能評価>
(描画画像の黒表示均一性)
液晶表示装置の液晶セルに、白表示電圧2V、黒表示電圧6Vを印加し、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ性を調べ、下記の基準で評価した。
◎:全く気にならない
○:変化はあるが殆ど気にならない
△:変化は気になるが、許容できる
×:変化が気になる
(描画画像の色味ムラ評価)
このようにして作製した液晶表示装置について、測定機(EZ-Contrast 160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)時の色味変化を目視で観察した。その結果を表3に示す。
◎:全く認められない(10人が評価し、1人も認識できないレベル)
○:僅かに認められる(10人が評価し、1〜2人が認識するレベル)
△:弱く認められる(10人が評価し、3〜5人が認識するレベル)
×:強く発生する(10人が評価し、6人以上が認識するレベル)
<偏光板(WH)の耐衝撃性>
偏光板(WH)試料を、実施例1記載の衝撃性評価と同様にして行った。評価の基準も同様にした。
Figure 2005290346
本発明の偏光板(HB−9)〜(HB−14)は、実施例1−1の偏光板(HB−1)と同等の良好な性能を示した。更に、光学補償フィルム積層の偏光板(WH−1)〜(WH−6)を付設した液晶表示装置の表示画像の描画性能を調べた所、黒表示での光漏れが少なく、且つ色味の変化が小さい良好な結果を示した。他方、比較例の偏光板(WHR−1)及び(WHR−2)の何れもが、表示画像の描画性能、フィルムの耐衝撃性が其々低下した。
以上の様に、本発明の態様のみが、良好な性能を示した。
[実施例4]
(VA型、OCB型液晶表示装置への実装評価)
実施例1〜3で得た本発明のセルロースアシレートフィルム試料を用いて、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置での評価をしたところ、いずれの場合においてもコントラスト視野角並びに色味変化の小さい良好な性能が得られた。
[実施例5]
<反射防止フィルム(RF)の作製>
(ハードコート層用塗布液の調製)
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、質量平均分子量3000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0質量部及びジ(t−ブチルフェニル)ヨウドニウム・ヘキサフルオロフォスフェイト(Di(t−butyl phenyl)iodonium hexafluoro Phosphate)24質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129、石原産業(株)製)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤38.6質量部およびシクロヘキサノン704.3質量部を添加してダイノミルにより分散し、重量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
Figure 2005290346
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液88.9質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)58.4質量部、光重合開始剤(イルガキュア907)3.1質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン482.4質量部、及びシクロヘキサノン1869.8質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液Aを調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液A:586.8質量部に、DPHA:47.9質量部、イルガキュア907:4.0質量部、カヤキュアーDETX:1.3質量部、メチルエチルケトン455.8質量部、およびシクロヘキサノン1427.8質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
DPHA、1.4質量部、下記構造の含フッ素樹脂(PF−1)5.6質量部、中空シリカ(平均粒径40nm、シェル層厚7nm、屈折率1.31、イソプロパノール18質量%)20.0質量部、反応性シリコーンRMS−033(Gelest(株)製)0.7質量部、下記内容のゾル液a:6.2質量部、及びイルガキュア907:0.2質量部をメチルエチルケトン315.9質量部に投入して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
Figure 2005290346
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。 質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(反射防止フィルム(RF−1)の作製)
上記のロール形態のセルロースアシレートフィルム(CA−10)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布し、反射防止フィルム(RF−1)を作成した。
中屈折率層の乾燥条件は100℃、2分間とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件はいずれも90℃、1分の後、100℃、1分とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射した。硬化後の低屈折率層は屈折率1.43、厚さ100nmであった。
<視認側偏光板の作製>
上記の反射防止フィルム(RF−1)の反射防止膜の反対側のセルロースアシレートフィルム表面を、実施例1−1記載の鹸化処理と同様にして鹸化処理した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例1−1の偏光子の一方の面に上記の反射防止フィルム(偏光板用表面保護フィルム)の鹸化処理したセルロースアシレート面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルロースアシレートフィルム(CA−10)を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルム A 12B、富士写真フィルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を上記のアルカリ鹸化処理と同様の条件で鹸化処理した。
上記の反射防止性偏光板の反射防止膜とは反対側のセルロースアシレートフィルムの表面を同様にしてアルカリ鹸化処理した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルム及び反射防止性偏光板の各鹸化処理したセルロースアシレートフィルム面を貼り合わせた。
以上の様にして、視認側偏光板(SHB−1)を作製した。
(下側偏光板)
実施例3−2で作製した偏光板(HB−10)を用いて、偏光板保護フィルムの片面のみを上記と同様にして鹸化処理し光学補償フィルム(ワイドビューフィルムA 12B)を貼り合わせて、下側偏光板(BHB−1)を作製した。
<TNモード液晶表示装置の作製>
TNモードで20インチの液晶表示装置:TH−20TA3型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板(SHB−1)の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けた。又、またバックライト側には、光学異方性層側が液晶セル側となるように粘着剤を介して下記のバックライト側偏光板(BHB−1)を貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
<液晶表示装置の描画性能>
上記の液晶表示装置の画像描画性を評価した所、画像ムラや外光写りこみが無く、黒表示の均一性、コントラスト性が良好で、色味変化が殆どないという極めて良好な描画性能であった。
[実施例6]
(光学補償フィルム性能)
実施例1〜3で得た本発明のセルロースアシレートフィルム(CA)を用いて、特開平7−333433号公報の実施例1に記載の方法により光学補償フィルム試料を作製した。得られたフィルターフイルムは左右上下に優れた視野角、色味変化の小さい良好な性能を有するものであった。したがって、本発明のセルロースアシレートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判った。
[実施例7]
実施例3の各偏光板(HB−9)〜(HB−14)を用いて、偏光板の一方の保護フィルムにλ/4板を張り合わせ、λ/4板がガラス面になるように有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、極めて視認性の高い表示が得られた。
[実施例8]
本発明の実施例1において、セルロースアシレートフィルムの厚さを100μmとする以外は、実施例1と全く同様にして本発明の試料フィルムを作製した。得られたフィルムの一方に、特開平4−73736号の実施例1の(バック層組成)第一層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作製した。更に、得られたバック層を付与したフィルムベースの反対の面に、特開平11−38568号の実施例1の試料105を塗布し、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を作製した。得られたカラーフイルムは優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。
[実施例9]
実施例1のセルロースアシレート溶液(A−1)において、光重合性高分岐ポリマー(RHB−1)及びシクロヘキシルアクリレートの代わりに下記表I記載の各化合物を用いた他は、実施例1と同様にしてセルロースアシレートフィルムを作製した。
得られたセルロースアシレートフィルム(CA−15)及び(CA−16)は実施例1記載のフィルムの性能を評価した所、実施例1のフィルムと同等以上の良好な性能を示した。
更に、これらのフィルムを下記内容の折れ曲げ性試験を行った。
(折れ曲げ性)
ISO8776に準じて、東洋精機製耐折試験機を用いて測定した。測定は1水準につき試料の長手方向、幅方向でそれぞれ10回行い、その平均値を求めた。これを試料の厚みから次式を用いて100μm厚みの値に換算した。
100μm換算の耐折強度(回)=実測耐折強度(回)×(厚み(μm)/100)×4
評価は、以下の基準に従った。
◎ 400回以上、 ○ 300回以上、 △ 100回以上、 × 80回以下
Figure 2005290346
表−Iに示すように、セルロースアシレートフィルム(CA−15)は良好で、セルロースアシレートフィルム(CA−16)はより一層良好なものであった。

Claims (19)

  1. 溶液流延方法により形成されるセルロースアシレートフィルムにおいて、セルロースアシレート、高分岐ポリマーを核とし且つ分岐枝末端に光重合性基を結合した光重合性高分岐ポリマー(RHB)及び光重合開始剤(L)を含有するセルロースアシレート組成物を流延する流延工程と光照射の工程と含む工程により作製されたことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
  2. 上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)の核となる高分岐ポリマー(HB)が、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー及びスターバーストポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  3. 上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)の核となる高分岐ポリマー(HB)が、2個以上の規則性樹枝状分岐に結合している多価の基核を中心とし、その多価の基核が連結基を形成する反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物であり、該反応性基(a)と化学結合して連結基[Y]を形成する反応性基(b)を1つと反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物によって延長された構造(分岐鎖延長単位)を有する高分岐ポリマーによって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 上記の分岐鎖延長単位が、脂環式環及びアリール環から選ばれる少なくとも1つの環構造並びにアルキレン鎖構造を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. 上記の光重合性高分岐ポリマー(RHB)が、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を含有する化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. 上記のセルロースアシレート組成物が、波長400nm以上に吸収が無く、更に、上記光重合性高分岐ポリマー(RHB)の光重合性基と共重合可能な重合性化合物(A)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 下記式(A)および(B)で定義されるRe(λ)およびRth(λ)が、各々、25℃/10%RHでの値に対する25℃/80%RHでの値の比率が0.65以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(A):Re(λ)=(nx−ny)×d
    式(B):Rth(λ)={(nx+ny)/2−nz}×d
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。またnxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。]
  8. 下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
    式(1) : 2.3≦SA'+SB'≦3.0
    式(2) : 0≦SA'≦3.0
    (式中、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、SB'はセルロースの水酸基を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。)
  9. 長さ100〜5000m及び幅0.7〜2mの長尺品であって、フィルムの膜厚が10〜120μmで、その膜厚変動幅が±3%以内であり、且つ幅方向のカールが−7/m〜+7/mであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  10. 80℃90%RHの条件下に48時間静置した場合の質量変化が、0〜5%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  11. 60℃/95%RH・24hrの透湿度が400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  12. 60℃95%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化および90℃5%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化が、いずれも0〜5%であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いた光学フィルム。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアセレートフィルムを用いた光学用偏光フィルム。
  15. 請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いた画像表示素材。
  16. 請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを用いた光学補償フィルム。
  17. 請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、請求項13記載の光学フィルム、請求項14記載の光学用偏光フィルム及び請求項16記載の光学補償フィルムのいずれかを用いた画像表示装置。
  18. TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項17に記載の画像表示装置。
  19. 膜厚が30〜250μmである請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムを使用したハロゲン化銀写真感光材料用支持体。
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