JP2005290141A - オキセタン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 硬化した樹脂の着色及び熱履歴による着色が改良された硬化物を与えることができる光半導体素子(LED)の封止用樹脂として適したオキセタン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 オキセタン樹脂組成物を製造するに際して、脂肪族及び環式脂肪族オキセタン樹脂並びに珪素含有オキセタン樹脂から選ばれる少なくとも1種のオキセタン樹脂(A)100重量部に、カチオン重合開始剤(B)0.01〜15重量部、フェノール系酸化防止剤(C)0.001〜5重量部及びリン系化合物(D)0.001〜5重量部を配合する。
【選択図】 なし
【解決手段】 オキセタン樹脂組成物を製造するに際して、脂肪族及び環式脂肪族オキセタン樹脂並びに珪素含有オキセタン樹脂から選ばれる少なくとも1種のオキセタン樹脂(A)100重量部に、カチオン重合開始剤(B)0.01〜15重量部、フェノール系酸化防止剤(C)0.001〜5重量部及びリン系化合物(D)0.001〜5重量部を配合する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、コーティング材、成型又は注型成形して得られる光学材料及び電気絶縁材料として有用なオキセタン樹脂組成物に関するものであり、特に、光半導体(LED)等の発光装置の封止に好適に用いられる透明性に優れたオキセタン樹脂組成物に関するものである。
従来、オキセタン化合物の熱硬化あるいは活性エネルギー線硬化によるカチオン硬化技術は公知であり、数種類のオキセタン化合物が市販されている。これらのオキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、キシレンジオキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、4,4‘−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル等がある。
近年、種々の表示板、画像読み取り用光源、交通信号、大型ディスプレイ用ユニット、携帯電話のバックライト等に実用化されている発光ダイオード(LED)等の発光装置は、芳香族エポキシ樹脂に硬化剤として脂環式酸無水物を用いたもので樹脂封止して製造されているのが一般的である。しかし、この樹脂系は酸無水物が酸に変色しやすいことや、硬化に長時間を要することが知られている。また、硬化した封止樹脂が屋外に放置される場合や、紫外線を発生する光源に曝される場合に、封止樹脂が黄変色を起こすなどの問題を有している。
そこで、かかる問題を解消するために、環状脂肪族エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を、カチオン重合開始剤を用いLED等の樹脂封止を行う方法が試みられている(特開昭61−112334号公報、特開平2−289611号公報参照)。しかし、上記カチオン重合した硬化樹脂は非常に脆いため、冷熱サイクルにより亀裂破壊を生じやすく、また、従来の芳香族エポキシ樹脂―酸無水物硬化系に比べ、硬化後の封止樹脂の着色が著しいという重大な欠点を有している。そのため、無色透明性を要求される用途、特に耐熱性と透明性が要求されるLEDの封止用途には不向きであった。
そこで、冷熱サイクルによるクラックの発生が改良され、耐光性に優れたLED封止材用樹脂組成物が特許文献1に開示されている。ここに示された樹脂組成物は、水素化エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂をマトリックス成分とするものではあるが、未だ硬化後の着色が大きく更なる変色に対する改善が望まれていた。
一方、特許文献2には、低粘度化剤として脂肪族環状エポキシ樹脂やオキセタン樹脂を用いた配線基板の電子部品と基板との隙間を埋めるための埋込樹脂組成物が記載されている。しかし、この樹脂組成物は、多量の無機フィラーを含有するもので、透明性を必要とする分野には適用できない。また、特許文献3には、変性オキセタン樹脂を活性エネルギー線硬化性樹脂とするアルカリ水溶液に可溶な樹脂組成物が示されているが、ここに示されたものは、アルカリ可溶性樹脂とすることを目的としており、また、変性オキセタン樹脂や多官能オキセタン樹脂は不飽和結合を有するため熱履歴による変色は避けられないものであった。
本発明は、透明性に優れ、硬化した樹脂の着色及び熱履歴による着色が改良され、耐熱性、靭性に優れた硬化物を与えることができるオキセタン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、これらの目的を達成できるオキセタン樹脂組成物を見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、脂肪族及び環式脂肪族オキセタン樹脂並びに珪素含有オキセタン樹脂から選ばれる少なくとも1種のオキセタン樹脂(A)100重量部に、カチオン重合開始剤(B)0.01〜15重量部、フェノール系酸化防止剤(C)0.001〜5重量部及びリン系化合物(D)0.001〜5重量部を配合してなるオキセタン樹脂組成物である。
以下、本発明のオキセタン樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明のオキセタン樹脂組成物は、脂肪族及び環式脂肪族オキセタン樹脂並びに珪素含有オキセタン樹脂から選ばれる少なくとも1種のオキセタン樹脂(A)、カチオン重合開始剤(B)、フェノール系酸化防止剤(C)及びリン系化合物(D)を必須成分として含有する。
本発明のオキセタン樹脂組成物は、脂肪族及び環式脂肪族オキセタン樹脂並びに珪素含有オキセタン樹脂から選ばれる少なくとも1種のオキセタン樹脂(A)、カチオン重合開始剤(B)、フェノール系酸化防止剤(C)及びリン系化合物(D)を必須成分として含有する。
本発明で用いられるオキセタン樹脂(A)は、脂肪族及び環式脂肪族オキセタン樹脂並びに珪素含有オキセタン樹脂から選ばれる少なくとも1種のオキセタン樹脂である。脂肪族オキセタン樹脂は、脂肪族アルコール若しくは脂肪族ハロゲン化物から誘導されたオキセタン化合物であり、環式脂肪族オキセタン樹脂は、脂環構造を含むアルコールから誘導されたものや芳香環を水素化することによって得られるオキセタン樹脂である。本発明で言う水素化オキセタン樹脂は、芳香環の水素化率が80%以上であるオキセタン樹脂を指すが、水素化率が90%以上であるものが好ましい。オキセタン樹脂中の芳香環の水素化率は、芳香環が脂環に変化した割合であり、核磁気共鳴分析により求めることができる。この芳香環の水素化率が80%未満であると、オキセタン樹脂硬化物の電気特性や耐候性が大きく低下するため好ましくない。また、珪素含有オキセタン樹脂としては、シロキサン構造を含有するオキセタン樹脂が挙げられる。
脂肪族オキセタン、環式脂肪族オキセタン樹脂としては、飽和脂肪族構造又は脂環構造とそれに結合したオキセタン基を有する化合物であって、分子量が100以上、好ましくは120以上、2000以下、好ましくは1000以下の化合物が好ましく使用される。分子量が小さすぎると環式脂肪族オキセタン化合物の揮発性が高く、作業環境や塗工時の加工特性を著しく悪化させる。分子量が大きすぎると樹脂組成物の粘度が高くなるため、所定形状に注型、成型あるいは均一に塗工することが困難となる。
環式脂肪族オキセタン樹脂は、芳香族オキセタン樹脂を触媒の存在下、加圧下で選択的に水素化反応を行うことにより容易に得ることができる。ここで用いられる芳香族オキセタン樹脂として例えば、ビスフェノールA型オキセタン樹脂、ビスフェノールF型オキセタン樹脂及びビスフェノールS型オキセタン樹脂等のビスフェノール型オキセタン樹脂、ビフェノールのオキセタニルエーテル、テトラメチルオキセタニルエーテル等のビフェノール型オキセタン樹脂、ナフタレン型オキセタン樹脂、フェノールノボラックオキセタン樹脂、クレゾールノボラックオキセタン樹脂及びヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックオキセタン樹脂等のノボラック型オキセタン樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタンのオキセタニルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのオキセタニルエーテル及びオキセタン化ポリビニルフェノール等の多官能型オキセタン樹脂等が挙げられる。
また、珪素含有オキセタン樹脂は、主骨格に、かご型シロキサン構造単位、シリコーン構造単位を有する樹脂が挙げられる。中でもかご型シルセキオキセタンは硬化後の低収縮や耐熱性、耐候性に優れるという点で好ましい。
脂肪族、環式脂肪族オキセタン樹脂の具体例としては、下記式(1)〜(6)で示される化合物が挙げられる。これらのオキセタン樹脂は、市販されているものを使用することもでき、下記(1)で示される脂肪族オキセタン樹脂は、例えば、東亞合成社製「アロンオキセタンOXT−221」として入手することができる。また、珪素含有オキセタン樹脂の具体例としては、東亞合成社製「OX−SQ−H」、「TESOX」が挙げられる。
本発明で用いられるカチオン重合開始剤(B)としては、活性エネルギー線によりカチオン種又はルイス酸を発生する活性エネルギー線カチオン重合開始剤、又は熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤を用いることができる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩及び三フッ化ホウ素錯化合物;米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルアルキルスルホニル)メタン金属塩;米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物;米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩、米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩;米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート;米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩;米国特許第4161478号に記載されたようなMF6―陰イオン(ここで、Mはリン、アンチモン及び砒素から選択される。)の形のVIb族元素;米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩;米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩;W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science)、ポリマー・ケミストリー(Polymer Chemistry)版」、第2巻、1789項(1984年)に記載されたようなビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えばリン酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等)の一種以上が包含される。その他、鉄化合物の混合配位子金属塩及びシラノール−アルミニウム錯体も使用することが可能である。
好ましい陽イオン系活性エネルギー線カチオン重合開始剤には、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム又はヨードニウム塩並びにII族、V族
及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包括される。これらの塩のいくつかは、FX−512(3
M社)、UVR−6990及びUVR−6974[ユニオンカーバイド(Union Carbide)社]、UVE−1014及びUVE−1016[ジェネラル・エレクトリック(General Electric)社]、KI−85[デグサ(Degussa)社]、SP−150及びSP−170(旭電化社)並びにサンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L並びにSI−150L(三新化学工業社)として商品として入手できる。
及びVI族元素の芳香族オニウム塩が包括される。これらの塩のいくつかは、FX−512(3
M社)、UVR−6990及びUVR−6974[ユニオンカーバイド(Union Carbide)社]、UVE−1014及びUVE−1016[ジェネラル・エレクトリック(General Electric)社]、KI−85[デグサ(Degussa)社]、SP−150及びSP−170(旭電化社)並びにサンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L並びにSI−150L(三新化学工業社)として商品として入手できる。
熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸(Triflic acid)塩、三弗化ホウ素等のようなカチオン系又はプロトン酸触媒が用いられ、好ましい熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸塩であり、例としては、3M社からFC−520として入手できるトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウム、トリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等[これらの多くはR.R.Almによって1980年10月発行のモダン・コーティングス(Modern Coatings)に記載されている。]がある。また一方、活性エネルギー線カチオン重合開始剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン重合開始剤として用いることができる。例としては、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L及びSI−150L(三新化学工業社)がある。
これらの光及び熱カチオン重合開始剤の中で、芳香族オニウム塩が、取り扱い性及び潜在性と硬化性のバランスに優れるという点で好ましく、その中で、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩が取り扱い性及び潜在性のバランスに優れるという点で好ましい。また、カチオン重合開始剤は、単独もしくは2種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明において、カチオン重合開始剤(B)の配合量は、(A)成分のオキセタン樹脂100重量部に対して、0.01〜15重量部の範囲であることが必要であり、好ましくは0.05〜5重量部の範囲である。カチオン重合開始剤(B)の配合量が(A)成分のオキセタン樹脂100重量部に対して、0.01重量部に満たないと、硬化反応が十分に進行せず目的とする硬化物が得られず、また、15重量部を超えると、硬化物の物性低下を招くばかりでなく、硬化物に着色を引き起こす要因となる。
本発明で用いられる具体的なフェノール系酸化防止剤(C)を例示すると、2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3、9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール類、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス−(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシブチル)プロピオナート]等の高分子方フェノール類が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤は単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
本発明において、フェノール系酸化防止剤(C)の配合量は、(A)成分のオキセタン樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部の範囲であることが必要であり、好ましくは0.005〜2重量部の範囲である。フェノール系酸化防止剤(C)の配合量が(A)成分のオキセタン樹脂100重量部に対して、0.001重量部に満たないと、熱履歴を受けた後の変色が大きくなり、また、5重量部を超えると耐水性、耐熱性など他の諸物性の低下を招くおそれがある。
本発明で用いられるリン系化合物(D)は、ホスファイト系酸化防止剤として公知のものを適宜選択して使用することができる。本発明において用いられる具体的なリン系化合物(D)を例示すると、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−tert−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジフェニルホスファイト、2−tert−ブチル−α−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールアルキル(炭素数12〜15)ホスファイト、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)ジオクタデシルホスフェート、ジンクジアルキルジチオホスフェート及び4,4'−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)が挙げられ、特に、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトやトリス(ノニルフェニル)ホスファイトが好ましく使用できる。これらのリン系化合物は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本発明において、リン系化合物(D)の配合量は、(A)成分のオキセタン樹脂100重量部に対して、0.001〜5重量部の範囲であることが必要であり、好ましくは0.005〜2重量部の範囲である。リン系化合物(D)の配合量が(A)成分のオキセタン樹脂100重量部に対して、0.001重量部に満たないと、硬化直後や熱履歴を受けた後での変色が激しくなり、また、5重量部を超えると耐水性、耐熱性など他の諸物性の低下を招くおそれがある。
本発明のオキセタン樹脂組成物においては、(C)成分のフェノール系酸化防止剤及び(D)成分のリン系化合物を併用することにより、オキセタン樹脂組成物を硬化させた時、硬化物の色相を大幅に改善することができ、無色透明に近い硬化物が得られる。(C)成分と(D)成分の合計使用量は、オキセタン樹脂組成物中、オキセタン樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲がよく、更に、0.5〜3重量部の範囲が特に適している。
本発明のオキセタン樹脂組成物には、樹脂の性質を改善する目的で必要に応じて上記(A)〜(D)成分以外の成分として、種々の硬化性モノマー、オリゴマー及び合成樹脂を配合することができる。例えば、モノエポキシ等のエポキシ樹脂用希釈剤、ジオール又はトリオール類、ビニルエーテル類、(A)成分以外のオキセタン化合物、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。ただし、これらの成分の配合割合は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なうおそれがあるので、本発明の樹脂組成物100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、特には20重量部以下の範囲での使用が好ましい。
また、本発明においては、無機充填材を使用することもできるが、これらのものの使用は本発明の特徴である透明性を阻害する可能性があるので、これを害しないもの、例えば、粒子径が非常に小さい表面処理したシリカ粒子が適している。これを使用する場合も、樹脂組成物100重量部に対して、40重量部以下であることが好ましく、特には20重量部以下の範囲での使用が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、その目的に応じて、顔料等の着色剤、難燃剤、カップリング剤、上記以外の安定剤などその他の添加剤を配合することができる。
本発明のオキセタン樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分に必要に応じて他の成分を配合して、加熱溶融混合、ロール、ニーダーによる溶融混錬、適当な有機溶剤を用いての湿式混合及び乾式混合等して製造することができる。
そして、このようにして製造されたオキセタン樹脂組成物は熱カチオン重合開始剤を用いた場合は、熱により、また、活性エネルギー線カチオン重合開始剤を用いた場合は、活性エネルギー線により硬化される。熱カチオン重合の場合は、通常、その熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸の発生を開始する温度以上で行われ、通常50〜200℃にて実施される。活性エネルギー線として、高、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、殺菌灯、レーザー光などから得られる2000〜7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を使用する。
活性エネルギー線への暴露は、活性エネルギー線の強度によるが、通常0.1〜数十秒程度で十分である。しかし、比較的厚い塗装物や注型物についてはそれ以上の時間をかけるのが好ましい。活性エネルギー線照射後0.1〜数分後には、ほとんどの組成物はカチオン重合により指触乾燥するが、カチオン重合反応を促進するために加熱を併用することも場合によっては好ましい。
本発明によれば、透明性に優れ、硬化樹脂の色相が無色に近く、すなわち硬化による着色が少なく、また、その後の熱履歴による着色も少ない耐熱性と靭性に優れた硬化物を与える透明性に優れたオキセタン樹脂組成物が得られる。このオキセタン樹脂組成物は、コーティング材や成型又は注型成形して得られる光学材料及び電気絶縁材料として広範な用途に用いることが出来るが、特に、その透明性と低熱変色性の特性を生かして光半導体(LED)等の発光装置の封止樹脂として好適に用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、例中の部は重量部を意味する。
アロンオキセタンOX-SQ-H(東亜合成社製;オキセタン基を有するカゴ型シルセスキオキサン、分子量1000〜2000)100部、サンエイドSI-80L(三新化学工業社製;芳香族スルホニウム型カチオン重合開始剤)1部、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシブチル)プロピオナート](東京化成社製;フェノール系酸化防止剤)0.5部、PEP-8(旭電化社製;ホスファイト系酸化防止剤)0.5部を均一になるよう、80℃の温度で充分攪拌混合した後、減圧脱泡して、エポキシ樹脂組成物を得た。次いで、上記組成物を型内に流し込み、60℃で30分、更に120℃で30分オーブン中で硬化することにより厚さ約3mmの板状の試験片を得た。
このようにして得られた硬化物について、まず着色の度合いと透明性を目視により4段階で評価した。次に、この硬化物を150℃の条件下(エアーオーブン中)で100時間放置した後、同様にして着色度と透明性を目視により4段階で評価した。その結果を下記の表2に示す。
なお、下記の表2中の着色度合の評価基準において、◎、○、△、×はそれぞれ下記を意味する。
◎ :無色透明
○ :少し着色しかかっているがほぼ透明
△ :着色が認められる
× :黄色〜茶色に着色している
◎ :無色透明
○ :少し着色しかかっているがほぼ透明
△ :着色が認められる
× :黄色〜茶色に着色している
樹脂組成をアロンオキセタンOX-SQ-H(東亜合成社製;オキセタン基を有するかご型シルセスキオキサン)70部、アロンオキセタンOXT-221(東亜合成社製;ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、分子量214)30部、サンエイドSI−80L(三新化学工業社製;芳香族スルホニウム型カチオン重合開始剤)1部、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシブチル)プロピオナート](東京化成社製;フェノール系酸化防止剤)1部、PEP−8(旭電化社製;ホスファイト系酸化防止剤)1部としたこと以外は実施例1と同様に行った。
実施例3〜5及び比較例1〜5
オキセタン樹脂、カチオン重合開始剤、フェノール系酸化防止剤、リン系化合物の樹脂組成を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に行って、その硬化物を評価した。結果を表2に示す。なお、表1中、脂肪族オキセタン樹脂には、実施例5を除いてOXT-221を用い、実施例5では、式(3)のオキセタン樹脂を用いた。また、PTPは、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシブチル)プロピオナート]を意味する。
オキセタン樹脂、カチオン重合開始剤、フェノール系酸化防止剤、リン系化合物の樹脂組成を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に行って、その硬化物を評価した。結果を表2に示す。なお、表1中、脂肪族オキセタン樹脂には、実施例5を除いてOXT-221を用い、実施例5では、式(3)のオキセタン樹脂を用いた。また、PTPは、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシブチル)プロピオナート]を意味する。
Claims (6)
- 脂肪族及び環式脂肪族オキセタン樹脂並びに珪素含有オキセタン樹脂から選ばれる少なくとも1種のオキセタン樹脂(A)100重量部に、カチオン重合開始剤(B)0.01〜15重量部、フェノール系酸化防止剤(C)0.001〜5重量部及びリン系化合物(D)0.001〜5重量部を配合してなるオキセタン樹脂組成物。
- オキセタン樹脂(A)が、脂肪族又は環式脂肪族オキセタン樹脂を必須成分として含有するものである請求項1記載のオキセタン樹脂組成物。
- カチオン重合開始剤(B)が、オニウム塩である請求項1又は2記載のオキセタン樹脂組成物。
- カチオン重合開始剤(B)が、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3いずれか記載のオキセタン樹脂組成物。
- 樹脂組成物中、オキセタン樹脂(A)100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤(C)とリン系化合物(D)との合計量が0.5〜3重量部である請求項1〜4いずれか記載のオキセタン樹脂組成物。
- オキセタン樹脂組成物が、光半導体の封止に用いられる光半導体封止用樹脂組成物である請求項1〜5いずれか記載のオキセタン樹脂組成物。
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JP2004105526A JP2005290141A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | オキセタン樹脂組成物 |
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