JP2005289964A - 2−デオキシ−l−リボース化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 2−デオキシ−L−リボース及びその保護体の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】 式(1)で表されるアルデヒド化合物と式(2)で表される有機金属化合物を反応させ、式(3)で表されるアルコール化合物とし、これをヒドロキシル基の脱保護反応及び酸加水分解によるアルデヒド生成反応に付す。
【化1】
Figure 2005289964

[式中、R及びRはそれぞれ独立して又はRとRが一体となってヒドロキシル基の保護基を示し、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基若しくはシリル基又はRとRが一体となって環状アルキル基を示す。]
【選択図】 なし。

Description

本発明は2−デオキシ−L−リボース化合物、即ち、2−デオキシ−L−リボース自体とその保護体、及びそれらの反応性誘導体等の製造方法、並びにこれらの製造に有用な新規中間体化合物に関する。
2−デオキシ−L−リボース(L−デオキシリボース)は、抗ウイルス剤等の医薬品として近年注目されているL型の核酸誘導体の製造原料として有用な化合物であることが知られている(特許文献1及び2参照)。また2−デオキシ−L−リボース自身も血管新生阻害活性を有することが報告されている(特許文献3参照)。
Figure 2005289964
2−デオキシ−L−リボースの製造方法としては、一般的にL型糖又はD型糖を原料として合成する方法が試みられてきたが、非常に多くの工程が必要であった。特にL型糖を原料とする方が同じL型糖である2−デオキシ−L−リボースの製造に有利となるが、L型糖は天然にはほとんど存在せず入手が困難であり、工業的に入手可能なL型糖としてはL−アラビノースが知られるのみである。L−アラビノースは2位のヒドロキシル基がデオキシ化されれば2−デオキシ−L−リボースとなり、構造的に近いL型糖であるものの、これを原料に2−デオキシL−リボースを製造した場合でも、工程数は6工程に及び、総収率は30%以下であった(非特許文献1参照)。
一方、糖を原料としない製造方法としてL−グリセリン酸アルデヒド化合物を出発物質とする方法が報告されている(非特許文献2参照)。この方法ではL−グリセリン酸アルデヒドをプロパルギル化した後、ヒドロキシル基を保護し、次にリンドラー(Lindlar)触媒による接触還元、オゾン酸化を経てアルデヒド化合物とし、最後にヒドロキシル基を脱保護することで2−デオキシ−L−リボースを合成している。
しかしながら、この方法においてもL−グリセリン酸アルデヒドから2−デオキシ−L−リボースに誘導するまでに5工程を要し、必ずしも効率的な製造方法とは言えない。また、オゾン酸化は工業的な実施に適した工程とは言えず、より効率的かつ工業的生産に適した2−デオキシ−L−リボースの製造方法が求められていた。
国際公開01/034618号パンフレット 国際公開02/044194号パンフレット 国際公開02/051423号パンフレット 国際公開03/000200号パンフレット テトラへドロン アシメトリー(Tetrahedron Asymmetry)、(英国)、第13巻、p2667−2672、2002年 チャイニーズ ジャーナル オブ ケミストリー(Chinese Journal of Chemistry)、(中国)、第20巻、p1358−1362、2002年
本発明は、2−デオキシ−L−リボース及びその保護体等の効率的かつ工業的生産に適した製造方法の提供及びこれらの製造に有用な新規中間体化合物の提供を目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、後掲の式(1)で表されるアルデヒド化合物と後掲の式(2)で表される有機金属化合物を反応させ、後掲式(3)で表されるアルコール化合物とし、これをヒドロキシル基の脱保護反応及び酸加水分解によるアルデヒド生成反応に付すことで2−デオキシ−L−リボースが得られることを見出た。また2−デオキシ−L−リボースは容易にヒドロキシル基を保護することができ、より安定な保護体へと誘導することができる。さらに得られた2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基保護体を簡便に精製する方法を見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。
[1]下記工程(a)及び(b)を含む2−デオキシ−L−リボース化合物の製造方法:
(a)式(1):
Figure 2005289964
[式中、R及びRはそれぞれ独立して又はRとRが一体となって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
で表されるアルデヒド化合物と式(2):
Figure 2005289964
[式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基若しくはシリル基又はRとRが一体となって環状アルキル基を示し、Mは金属原子及び金属塩を示す。]
で表される有機金属化合物を反応させ、式(3):
Figure 2005289964
[式中、R、R、R及びRは上記と同意義を示す。]
で表されるアルコール化合物を得る工程、及び
(b)式(3)で表されるアルコール化合物を、ヒドロキシル基の脱保護反応及び酸加水分解によるアルデヒド生成反応に付す工程。
[2]工程(b)で2−デオキシ−L−リボースを得、2−デオキシ−L−リボースを製造する、上記[1]記載の製造方法。
[3]2−デオキシ−L−リボースの少なくとも1つのヒドロキシル基に保護基を導入して、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基保護体を製造する工程(c)をさらに包含する、上記[1]記載の製造方法。
[4]工程(c)において、2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基に保護基を導入して、2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体を製造する、上記[3]記載の製造方法。
[5]工程(c)の1位ヒドロキシル基の保護基の導入が、工程(b)の酸加水分解において、酸と同時にアルコールを存在させることにより行われる、上記[4]記載の製造方法。
[6]アルコールがメタノールである上記[5]記載の製造方法。
[7]2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体がフラノース型である、上記[4]〜[6]のいずれか一に記載の製造方法。
[8]上記[7]記載の製造方法により得られるフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体の3位と5位のヒドロキシル基を保護し、ついで保護された1位ヒドロキシル基を脱離基に変換する工程を包含する、式(8)
Figure 2005289964
[式中、Xは脱離基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボース化合物の製造方法。
[9]Xが塩素原子であり、RおよびRがp−トルオイル基である上記[8]記載の製造方法。
[10]R及びRが、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、酸加水分解反応により脱保護可能なヒドロキシル基の保護基を示し、工程(b)のヒドロキシル基の脱保護反応と酸加水分解によるアルデヒド生成反応が同時に行われる上記[1]〜[9]のいずれか一に記載の製造方法。
[11]R及びRが一体となって酸加水分解反応により脱保護可能な環状アセタール型のヒドロキシル基の保護基を示す上記[10]記載の製造方法。
[12]MがLi、MgX又はZnX(Xはハロゲン原子を示す)を示す、上記[1]〜[11]のいずれか一に記載の製造方法。
[13]式(1)で表されるアルデヒド化合物が式(1−a):
Figure 2005289964
で表されるアルデヒド化合物であり、式(2)で表される有機金属化合物が式(2−a):
Figure 2005289964
[式中、MはLi、MgX又はZnXを示し、ここでXはハロゲン原子を示す。]
で表される有機金属化合物であり、式(3)で表されるアルコール化合物が式(3−a):
Figure 2005289964
で表されるアルコール化合物である上記[11]記載の製造方法。
[14]フラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体とフラノース型2−デオキシ−L−キシロースの1位ヒドロキシル基保護体とを含有する混合物を、式(5)
Figure 2005289964
[式中、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基を示すか、あるいはRとRが一体となって環状アルキル基を示す。]で表されるケトン化合物と、酸の存在下反応させることにより、フラノース型2−デオキシ−L−キシロースの1位ヒドロキシル基保護体の3位および5位のヒドロキシル基を優先的に保護して、式(6)
Figure 2005289964
[式中、RおよびRは上記と同意義を示し、Rはアルキル基またはアラルキル基を示す。]
で表されるフラノース型2−デオキシ−L−キシロース化合物を生成させ、次いで、未反応のフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体と前記式(6)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−キシロース化合物を分離する工程を包含する、フラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体の製造方法。
[15]式(5)で表されるケトン化合物が、アセトンである上記[14]記載の製造方法。
[16]分離が、水と有機溶媒の分液による分離である、上記[14]または[15]記載の製造方法。
[17]上記[14]〜[16]のいずれか一項に記載の製造方法により得られるフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体の3位と5位のヒドロキシル基を保護し、ついで保護された1位ヒドロキシル基を脱離基に変換する工程を包含する、式(8)
Figure 2005289964
[式中、Xは脱離基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボース化合物の製造方法。
[18]Xが塩素原子であり、RおよびRがp−トルオイル基である上記[17]記載の製造方法。
[19]フラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体とフラノース型2−デオキシ−L−キシロースの1位ヒドロキシル基保護体とを含有する混合物が、上記[4]〜[6]のいずれか一に記載の製造方法により得られたものである、上記[14]〜[18]のいずれか一に記載の製造方法。
[20]R及びRが、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、酸加水分解反応により脱保護可能なヒドロキシル基の保護基を示し、工程(b)のヒドロキシル基の脱保護反応と酸加水分解によるアルデヒド生成反応が同時に行われる上記[19]記載の製造方法。
[21]R及びRが一体となって酸加水分解反応により脱保護可能な環状アセタール型のヒドロキシル基の保護基を示す上記[20]記載の製造方法。
[22]MがLi、MgX又はZnX(Xはハロゲン原子を示す)を示す、上記[19]〜[21]のいずれか一に記載の製造方法。
[23]式(1)で表されるアルデヒド化合物が式(1−a):
Figure 2005289964
で表されるアルデヒド化合物であり、式(2)で表される有機金属化合物が式(2−a):
Figure 2005289964
[式中、MはLi、MgX又はZnXを示し、ここでXはハロゲン原子を示す。]
で表される有機金属化合物であり、式(3)で表されるアルコール化合物が式(3−a):
Figure 2005289964
で表されるアルコール化合物である上記[21]に記載の製造方法。
[24] 式(3):
Figure 2005289964
[式中、R及びRはそれぞれ独立して又はRとRが一体となってヒドロキシル基の保護基を示し、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基若しくはシリル基又はRとRが一体となって環状アルキル基を示す。]
で表されるアルコール化合物。
[25]式(3−a):
Figure 2005289964
で表されるアルコール化合物。
本発明によれば、少ない工程数で2−デオキシ−L−リボース及びその保護体を効率的に製造することができ、当該方法は工業的にも適した方法である。
本発明の2−デオキシ−L−リボース化合物には、2−デオキシ−L−リボース自体およびそのヒドロキシル基保護体が包含される。
本発明の2−デオキシ−L−リボース化合物の製造方法においては、工程(a)及び(b)を含むことを必須とする。
工程(a)は、式(1):
Figure 2005289964
[式中、R及びRはそれぞれ独立して又はRとRが一体となってヒドロキシル基の保護基を示す。]
で表されるアルデヒド化合物と式(2):
Figure 2005289964
[式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基若しくはシリル基又はRとRが一体となって環状アルキル基を示し、Mは金属原子又は金属塩を示す。]
で表される有機金属化合物を反応させ、式(3):
Figure 2005289964
[式中、R、R、R及びRは上記と同意義を示す。]
で表されるアルコール化合物を得る工程である。
式(1)で表されるアルデヒド化合物は、L−セリンのアミノ基をヒドロキシル基に変換し、カルボキシル基をエステル化した後、ヒドロキシル基を保護することで2,3−O−保護−L−グリセリン酸メチルエステルを合成し(ヘルベチカ キミカ アクタ(Helvetica Chimica Acta)、(スイス)、第68巻、p1863−1871、1985年等参照)、これを還元し2,3−O−保護−L−グリセリン酸アルデヒド化合物とすることで容易に製造することができる。
式(2)で表される有機金属化合物は酢酸ビニルを原料として、メタノール溶液中でハロゲン化を行い、ハロゲン化アセトアルデヒドのジメチルアセタールを合成し、この保護基を変換することでハロゲン化アセトアルデヒドの保護体を合成することができる(英国特許出願公開2146016号明細書参照)。そして、それを金属と反応することで容易に製造することができる。また、アセトアルデヒドを原料にして、保護化アセトアルデヒドを合成し、これをハロゲン化しても合成することができる(国際公開99/217346号パンフレット及び欧州特許出願公開第413558号明細書等参照)。
及びRにおけるヒドロキシル基の保護基としては、水酸基の保護基であれば特に限定されず、例えば、メトキシメチレンアセタール基、イソプロピリデン基、メチレンアセタール基、エチリデンアセタール基のような環状アセタール型の保護基、メチル基、ベンジル基、ベンゾイル基、t−ブチル基、アセチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルチオメチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、トルオイル基、4−メトキシメチルフェニル基等が挙げられる。
及びRにおけるヒドロキシル基の保護基としては、酸加水分解反応により脱保護可能なヒドロキシル基の保護基が好ましい。酸加水分解反応により脱保護可能なヒドロキシル基の保護基としては、例えば、メトキシメチレンアセタール基、イソプロピリデン基、メチレンアセタール基、エチリデンアセタール基のような環状アセタール型の保護基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
及びRとしては、反応の立体選択性の観点から、RとRが一体となった場合であるメトキシメチレンアセタール基、イソプロピリデン基、メチレンアセタール基、エチリデンアセタール基のような環状アセタール型の保護基が好ましく、特にイソプロピリデン基が好ましい。
及びRにおける「アルキル基」とは、炭素数が好ましくは1〜20、より好ましくは1〜7である、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ラウリル基等のアルキル基が挙げられる。
当該アルキル基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有するアルキル基」は、本発明でいう「アルキル基」に包含される。
及びRにおける「アラルキル基」とは、アリール部が好ましくは6〜12、より好ましくは6〜8の炭素数を有するアリール基であり、アルキル部が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の炭素数を有する、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であるアラルキル基を示す。アラルキル基の具体例としては、ベンジル基が好ましい。
当該アラルキル基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、ニトロ基、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、水酸基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有するアラルキル基」は、本発明でいう「アラルキル基」に包含される。
及びRにおける「アリール基」とは、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜8の炭素数を有するアリール基が挙げられる。当該アリール基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、ニトロ基、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(好ましい炭素数:1〜4、例:メチル基、エチル基、プロピル基など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有するアリール基」は、本発明でいう「アリール基」に包含される。置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、o−、m−又はp−ニトロフェニル基、o−、m−又はp−メトキシフェニル基、o−、m−又はp−クロロフェニル基、o−、m−又はp−フルオロフェニル基、o−、m−又はp−トリル基などが挙げられる。
及びRにおける「シリル基」としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル基が挙げられる。特にt−ブチルジメチルシリル基が好ましい。
とRが一体となって環状アルキル基を示す場合、炭素数2〜6の環状アルキル基が好ましい。当該環状アルキル基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、ニトロ基、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(好ましい炭素数:1〜4、例:メチル基、エチル基、プロピル基など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有する環状アルキル基」は、本発明でいう「環状アルキル基」に包含される。
Mにおける金属原子としてはリチウム原子(Li)、ナトリウム原子(Na)、カリウム原子(K)、等が挙げられる。またMにおける金属塩としては、マグネシウムハロゲン塩(MgX)、亜鉛ハロゲン塩(ZnX)等が挙げられる。Mとしては、リチウム原子、マグネシウムハロゲン塩(MgX)、亜鉛ハロゲン塩(ZnX)が特に好ましい。ここでXはハロゲン原子を示し、ハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子が好ましく、特に臭素原子が好ましい。
式(1)で表されるアルデヒド化合物としては、ヒドロキシル基がイソプロピリデン基で保護された下式(1−a)で表されるアルデヒド化合物が、反応の立体選択性、並びに比較的製造及び入手が容易な点で好ましい。
Figure 2005289964
式(2)で表される有機金属化合物としては、特にRとRが一体となって炭素数2の環状アルキル基となる下式(2−a)で表される有機金属化合物が、比較的製造及び入手が容易な点で好ましい。
Figure 2005289964
[式中、MはLi、MgX又はZnXを示し、ここでXはハロゲン原子を示す。]
で示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、特に臭素原子が好ましい。
式(2−a)で表される有機金属化合物においては、下式(2−b)で表される有機金属化合物が好ましい。
Figure 2005289964
式(2)で表される有機金属化合物は、式(1)で表されるアルデヒド化合物に対して、通常0.5モル当量〜2モル当量、好ましくは1モル当量〜1.5モル当量の範囲で用いられる。反応は通常適当な有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒は反応に不活性であれば特に限定されず、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、石油エーテル等のエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等を挙げることができる。特にテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。これらの有機溶媒は脱水及び不活性ガス置換を行ったものを使用するのが好ましい。溶媒の使用量は特に限定されないが、重量比で、アルデヒド化合物に対して通常0.5〜200倍、好ましくは1〜10倍の範囲で用いられる。
反応温度は通常−78℃〜100℃、好ましくは−30℃〜66℃の範囲で行われる。反応時間は特に限定されないが、上記温度範囲において、通常10分〜24時間、好ましくは30分〜5時間で終了する。
工程(a)においては、式(2)で表される有機金属化合物を、適当な試薬と反応させることにより、反応容器内で生成させてもよい。例えば、反応容器内で2−ブロモメチル−1,3−ジオキソランにマグネシウムを作用させて、(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−マグネシウムブロミドを生成することができる。同様に2−ブロモメチル−1,3−ジオキソランに亜鉛を作用させて、(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−ジンクブロミドが生成することができる。また2−ブロモメチル−1,3-ジオキソランにリチウムジイソプロピルアミンを作用させると(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−リチウムが生成する。
反応終了後、反応溶液から式(3)で表されるアルコール化合物を単離するには、クロマトグラフィー等の当業者に公知の方法を用いることができる。また単離することなく、反応溶液をそのまま次の工程に用いることもでき、また必要により反応溶液を濃縮または留去後、別の溶媒を添加して次の工程に用いることもできる。
工程(a)で得られる式(3)で表されるアルコール化合物は立体配置が3位R体のものを高立体選択的に得ることが可能である。この場合、マイナー成分として生成する3位S体のものをクロマトグラフィーを用いて除去することもできるが、3位R体と3位S体はジアステレオマーであるため物性が近似しており、クロマトグラフィーによる精製を工業的に実施することが困難であることを考慮すると、この段階で精製を行なわずに、後述の工程(d)において3位S体由来の副生物を除去するのが好ましい。
なお、本発明における式(1−a)で表されるアルデヒド化合物の光学異性体である2,3−O−イソプロピリデン−D−グリセリン酸アルデヒドを(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−マグネシウムブロミドと反応させてアルコール化合物を合成した例が国際公開03/000200号パンフレット(図1及び66頁の実施例1)に記載されている。しかしながら、式(3)で表されるアルコール化合物と同じ立体配置を有する化合物を製造した例は知られていなかった。また、国際公開03/000200号パンフレットでは、上記反応の立体選択性についての記載はなく、式(3)で表される化合物において、3位立体配置がRである化合物を立体選択的に得ることが可能であることは、本発明において初めて見出されたものである。さらに該文献では、得られるアルコール化合物を酸化してカルボニル基に変換しており、本発明のようなアルコール化合物の立体選択性を利用した2−デオキシリボースの製造を意図したものではないのは明らかである。
工程(b)は、式(3)で表されるアルコール化合物を、ヒドロキシル基の保護基の脱保護反応及び酸加水分解によるアルデヒド生成反応に付す工程である。式(3)で表されるアルコール化合物は、及びRで示されるヒドロキシル基の保護基が脱保護されてヒドロキシル基が生成し、またR及びRで示される基が酸で加水分解されることによりアルデヒド基が生成することで、2−デオキシ−L−リボースへと誘導される。
及びRで示されるヒドロキシル基の保護基が酸加水分解反応により脱保護可能なヒドロキシル基の保護基である場合、酸加水分解反応によりヒドロキシル基の脱保護とアルデヒドの生成を同時に行うことができ、一工程で2−デオキシ−L−リボースへと誘導することができる。R及びRで示されるヒドロキシル基の保護基が酸加水分解反応で脱保護されないものである場合、アルデヒド生成反応とは別にヒドロキシル基の脱保護反応が行われる。該脱保護反応はアルデヒド生成反応の前に行うのが好ましい。ヒドロキシル基の脱保護反応は当業者に公知の方法を用いることができる。
工程(b)で用いられる酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、強酸性樹脂等が挙げられ、特に酢酸、塩酸が好ましい。酸の使用量は特に限定されないが、好ましくは式(3)で表されるアルコール化合物に対して、通常0.1モル当量〜200モル当量、好ましくは1モル当量〜50モル当量の範囲で用いられる。
酸加水分解反応は、例えば、式(3)で表されるアルコール化合物が溶解した溶媒中に、酸を滴下して行うことができる。この際、酸による副反応を抑制するために、式(3)で表されるアルコール化合物を水と混和しない有機溶媒中に溶解しておき、これに酸水溶液を滴下して行うのが好ましい。好ましい有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。特に塩化メチレンが好ましい。有機溶媒の使用量は特に限定されないが、重量比で、式(3)で表されるアルコール化合物に対して通常1〜200倍、好ましくは10〜50倍の範囲で用いられる。酸水溶液の濃度も特に限定されないが、水に対する酸の体積比で通常0.1〜100%、好ましくは5〜80%の範囲で用いられる。
酸加水分解反応の反応温度は通常0℃〜100℃、好ましくは10℃〜50℃の範囲で行われる。反応時間は特に限定されないが、上記温度範囲において、通常10分〜6時間、好ましくは30分〜2時間で終了する。
反応終了後、反応溶液に存在する2−デオキシ−L−リボースを単離するには、クロマトグラフィー等の当業者に公知の方法を用いることができる。また単離することなく、反応溶液をそのまま次の工程に用いることもでき、また必要により反応溶液を濃縮または留去後、別の溶媒を添加して次の工程に用いることもできる。
工程(c)は、工程(b)で得られた2−デオキシ−L−リボースの少なくとも1つのヒドロキシル基を保護することにより2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基保護体を製造する工程であり、2−デオキシ−L−リボースの保護体を製造する場合に行なわれる任意の工程である。
工程(c)では、2−デオキシ−L−リボースを当業者に公知の方法によりヒドロキシル基を保護することができる。保護基としてはヒドロキシル基の保護基として公知のものを採用することができ、例えば、メチル基、ベンジル基、4−メトキシメチルフェニル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基、トルオイル基、イソプロピリデン基、メチルチオメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、トリフルオロアセチル基、t−ブチル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、トリフェニルメチル基等が挙げられる。
なお工程(b)の酸加水分解において、酸と同時にアルコールを存在させることで、1位ヒドロキシル基を選択的に保護することにより工程(c)を同時に行なうことができる。すなわち、一工程で、1位のヒドロキシル基が使用するアルコールに対応するアルキル基で保護された2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体を製造することができる。1位ヒドロキシル基保護体は平衡状態にある2−デオキシ−L−リボースの骨格を固定することができるため、単離精製やその後の誘導化に有利である。アルコールとしては、好ましくは炭素数が1〜8のアルコールが挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコールが挙げられ、特にメタノールが好ましい。アルコールの使用量は特に限定されないが、重量比で、式(3)で表されるアルコール化合物に対して通常1〜200倍、好ましくは5〜50倍の範囲で用いられる。
このようにして得られる2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体は、例えば使用するアルコールをROHとすると、通常以下の式(4)で表されるフラノース型及び式(4’)で表されるピラノース型の混合物として得られるが、医薬品の原料としてはフラノース型のものが好ましい。ここでR7はアルキル基又はアラルキル基を示す。炭素数が1〜8のアルキル基及びアラルキル基が好ましい。具体的なアルコールとしては上記に説明した通りである。
Figure 2005289964
工程(c)の反応終了後、反応溶液から2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基保護体を単離するには、クロマトグラフィー等の当業者に公知の方法を用いることができるが、工程(c)の目的物が上記式(4)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体(以下、化合物(4)ともいう。)である場合であって、特に上記工程(a)において副生する式(3)で表されるアルコール化合物の3位S体に由来する下記式(4−a)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−キシロースの1位ヒドロキシル基保護体(以下、化合物(4−a)ともいう。)が反応混合物に混入している場合には、下記工程(d)を行なうことにより、化合物(4)を効率的に単離することができる。
工程(d)は、下記スキームに示すように、化合物(4)と化合物(4−a)とを含有する混合物を、式(5)で表されるケトン化合物(以下、ケトン化合物(5)ともいう。)と、酸の存在下反応させることにより、化合物(4−a)の3位および5位のヒドロキシル基を優先的に保護して、式(6)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−キシロース化合物(以下、化合物(6)ともいう。)を生成させ、次いで、未反応の化合物(4)と化合物(6)を分離する工程である。
Figure 2005289964
[式中、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基を示すか、あるいはRとRが一体となって環状アルキル基を示し、Rはアルキル基またはアラルキル基を示す。]
化合物(4)と化合物(4−a)は、一般に結晶性が高くないため、分離するためにはクロマトグラフィーが必要となる。しかし、化合物(4)と化合物(4−a)はジアステレオマーであり物性が非常に近似するため、クロマトグラフィーによる精製を工業的に実施するのは困難である。
化合物(4)と化合物(4−a)とを含有する混合物を工程(d)により、ケトン化合物(5)と、酸の存在下反応させると、化合物(4−a)の3位と5位のヒドロキシル基はフラノース環に対してシスの位置にあり、ケトン化合物(5)とのアセタール型の保護基を形成することが立体的に有利であるため、化合物(6)を容易に生成する。これに対し、化合物(4)の3位と5位のヒドロキシル基はフラノース環に対してトランスの位置にあり、アセタール型の保護基を形成することは立体的に不利である。したがって、工程(d)により、化合物(4−a)のみを優先的に保護することができ、化合物(4)と化合物(6)を含有する混合物に導くことができる。化合物(6)は化合物(4)よりも脂溶性が相当程度高いため、工業的に実施可能な簡便な操作により容易に化合物(4)から分離することができる。
なお、式(4’)で表されるピラノース型2−デオキシ−L−リボースの3位と4位のヒドロキシル基も工程(d)によって容易に保護されると考えられるため、その保護体も化合物(6)とともに化合物(4)から分離され、さらにその他脂溶性の副生成物も工程(d)によって除去することができるため、さらに有利である。
及びRにおける「アルキル基」とは、炭素数が好ましくは1〜20、より好ましくは1〜7である、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ラウリル基等のアルキル基が挙げられる。
当該アルキル基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有するアルキル基」は、本発明でいう「アルキル基」に包含される。
及びRにおける「アラルキル基」とは、アリール部が好ましくは6〜12、より好ましくは6〜8の炭素数を有するアリール基であり、アルキル部が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3の炭素数を有する、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であるアラルキル基を示す。
当該アラルキル基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、ニトロ基、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、水酸基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有するアラルキル基」は、本発明でいう「アラルキル基」に包含される。アラルキル基の具体例としては、p−メトキシベンジル基、ジメトキシベンジル基等の置換ベンジル基およびベンジル基が好ましい。
及びRにおける「アリール基」とは、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜8の炭素数を有するアリール基が挙げられる。当該アリール基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、ニトロ基、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(好ましい炭素数:1〜4、例:メチル基、エチル基、プロピル基など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有するアリール」は、本発明でいう「アリール」に包含される。置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、o−、m−又はp−ニトロフェニル基、o−、m−又はp−メトキシフェニル基、o−、m−又はp−クロロフェニル基、o−、m−又はp−フルオロフェニル基、o−、m−又はp−トリル基などが挙げられる。
とRが一体となって環状アルキル基を示す場合、炭素数2〜6の環状アルキル基が好ましい。当該環状アルキル基は下記置換基で1またはそれ以上置換されていてもよい。ここでいう置換基としては、例えば、ニトロ基、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(好ましい炭素数:1〜6、例:メトキシ基など)、ハロゲン原子(例:塩素原子、フッ素原子など)、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(好ましい炭素数:1〜4、例:メチル基、エチル基、プロピル基など)、ヒドロキシル基などが挙げられる。勿論、かかる「置換基を有する環状アルキル基」は、本発明でいう「環状アルキル基」に包含される。
およびRとしては、アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、すなわちケトン化合物(5)がアセトンであるのが好ましい。
における「アルキル基」または「アラルキル基」は上記と同様であり、好ましくはメチル基である。
ケトン化合物(5)は、化合物(4−a)に対して、通常0.5モル当量〜10モル当量、好ましくは0.8モル当量〜2モル当量の範囲で用いられる。ケトン化合物(5)の使用量がこの範囲より多いと化合物(4)も保護され易くなるため好ましくない。
工程(d)で用いられる酸としては、アセタール化反応において酸触媒として使用される酸が挙げられ、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムパラトルエンスルホネート、カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸、三フッ化ホウ素エーテル、三塩化アルミニウム、四塩化スズ、四塩化チタン等のルイス酸、強酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。特にp−トルエンスルホン酸が好ましい。酸の使用量は特に限定されないが、好ましくは化合物(4−a)に対して、通常0.001モル当量〜1モル当量、好ましくは0.01モル当量〜0.2モル当量の範囲で用いられる。酸の使用量がこの範囲より多いと化合物(4)も保護され易くなるため好ましくない。
反応は適当な有機溶媒中で行ってもよいが、無溶媒で行なうことが好ましい。有機溶媒中で行う場合、用いる有機溶媒は反応に不活性であれば特に限定されず、例えば、酢酸エチルなどのエステル類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン・クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素が好ましい。これらの有機溶媒は脱水及び不活性ガス置換を行ったものを使用するのが好ましい。
工程(d)の反応温度は通常5℃〜100℃、好ましくは10℃〜50℃の範囲で行われる。反応温度がこの範囲より高いと化合物(4)も保護される場合がある。反応時間は特に限定されず、化合物(4−a)がほぼ消失するまで反応をTLC等でモニターしながら適宜決定すればよい。例えば、上記温度範囲においては通常30分〜24時間、好ましくは1時間〜6時間である。
反応終了後、必要に応じて中和を行なうことにより反応を止めて、未反応の化合物(4)および化合物(6)を含有する混合物を得ることができる。当該混合物においては、化合物(4)と、化合物(6)およびその他脂溶性夾雑物とは、工業的に実施可能な簡便な方法(例えば、クロマトグラフィー等)により容易に分離することができるが、工業的に好ましい方法として、水と適当な有機溶媒との分液操作による分離が挙げられる。
すなわち、化合物(4)は相当程度水溶性が高いため、上記分液操作によって水層に分配されやすく、化合物(6)およびその他脂溶性夾雑物は有機層に分配されやすいため、容易に分離することができる。
当該分液操作は、化合物(4)および化合物(6)を含有する混合物を、水および有機溶媒中で十分に攪拌した後、静置して相分離させることにより行なうことができる。
当該分液操作に用いられる有機溶媒は、化合物(4)の分配係数等を考慮して、適宜選択すればよく、例えばRがメチル基の場合は、塩化メチレン、クロロホルムなどの芳香族炭化水素類、酢酸エチルなどのエステル類、ジエチルエーテルなどのエーテル類等が挙げられ、塩化メチレンが好ましい。
分液操作における、水と有機溶媒の使用量比も、化合物(4)の分配係数等を考慮して、適宜選択すればよく、例えばRがメチル基で塩化メチレンを有機溶媒として用いる場合は、容積比として、水:塩化メチレン=90:10〜50:50の範囲が好ましい。
分液操作によって水層に分配した化合物(4)は、当業者に公知の方法を用いることによって単離することができる。例えば、化合物(4)を水層から抽出し得る有機溶媒で再抽出するか、あるいは、水層を濃縮する方法等が挙げられる。
本発明によって得られるフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体[化合物(4)]は下記反応スキームに示すように、3位と5位のヒドロキシル基を保護し、ついで保護された1位ヒドロキシル基(下記式の−OR)を脱離基に変換することによって、医薬品の中間体としてより好ましい式(8)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボース化合物に誘導することができる。
Figure 2005289964
[式中、Xは脱離基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
及びRにおけるヒドロキシル基の保護基としては、水酸基の保護基であれば特に限定されず、例えば、メトキシメチレンアセタール基、イソプロピリデン基、メチレンアセタール基、エチリデンアセタール基のような環状アセタール型の保護基、メチル基、ベンジル基、ベンゾイル基、t−ブチル基、アセチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルチオメチル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、トルオイル基、4−メトキシメチルフェニル基等が挙げられる。
における脱離基は、式(8)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボース化合物を所望の化合物に導く際に、例えば、求核試薬(例えば、アデニン、グアニン、6-クロロプリン、ウラシル、チミンなどの核酸塩基誘導体等)との置換反応において、脱離し得る基であれば特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、スルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等)等が挙げられる。
式(8)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボース化合物の結晶性を考慮すると、R及びRとしてはp−トルオイル基が好ましく、Xとしてはハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
化合物(4)の3位と5位のヒドロキシル基の保護、および−ORの脱離基への変換は、糖合成における当業者に従来公知の方法(例えば、Nucleosides & Nucleotides, 18(11 & 12), 2357-2365(1999)参照)に準じて行なうことができる。
例えば、好ましい態様であるR及びRがp−トルオイル基であり、Xが塩素原子である場合は、Nucleosides & Nucleotides, 18(11 & 12), 2357-2365(1999)に記載の方法によって行なうことができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は当該実施例に何等限定されるものではない。
2−デオキシ−4,5−O−イソプロピリデン−L−リボース エチレン アセタールの製造
Figure 2005289964
アルゴン雰囲気下で(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−マグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液(10.8ml、0.5M)にテトラヒドロフラン(5ml)を加え、攪拌後、−78℃に冷却した。そこに2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸アルデヒド(0.50g、3.84mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液をゆっくりと加え、約2時間攪拌した。その後、温度を室温に戻し15時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で原料である2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸アルデヒドが完全に消失したのを確認後、塩化アンモニウム水溶液を加え、攪拌した。反応液をろ過して塩を除去後、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル=2:1) で精製し、無色透明液体の2−デオキシ−4,5−O−イソプロピリデン−L−リボース エチレン アセタールを得た(0.59g、収率70.8%、3位R体(デオキシリボース):3位S体(デオキシキシロース)=4.2:1)。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz)δ1.36(s, 3H), 1.42(s, 3H), 1.77-1.84(m, 1H), 2.04-2.09(m, 1H), 3.84-4.08(m, 8H),5.08(t, 1H, J = 4.6Hz)
メチル 2−デオキシ−L−リボシドの製造
Figure 2005289964
2−デオキシ−4,5−O−イソプロピリデン−L−リボース エチレン アセタール(70mg、0.32mmol)のメタノール(1ml)溶液に、10%−塩酸−メタノール溶液(0.1ml)を加えた。溶解後、室温で約4時間攪拌した。TLC(ジクロロメタン:メタノール=95:5)で反応が完結したのを確認後、0℃に冷却し、ピリジンを加えて中和した(pH5〜6)。その後、シリカゲルを加え、減圧濃縮してメタノールを除去し、生成物をシリカゲルに吸着させた。その後、吸着させたシリカゲルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン:メタノール=98:2)で精製して、メチル 2−デオキシ−L−リボシド(フラノース型:ピラノース型=1:4)を得た(41mg、収率86.5%)。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz)δ1.89(dd, 2H, J = 2.7Hz, J = 4.2Hz), 2.04(d, 1H, J = 7.3Hz), 2.21(d, 1H, J = 6.0Hz), 3.35(s, 3H), 3.73-3.75(m, 3H), 4.02-4.05(m, 1H), 4.78(dd, 1H, J = 2.7Hz, J = 3.0Hz)、フラノース1位H(5.12):ピラノース1位H(4.78) = 1 : 4
2−デオキシ−L−リボースの製造
Figure 2005289964
2−デオキシ−4,5−O−イソプロピリデン−L−リボース エチレン アセタール(50mg、0.23mmol)に80%酢酸(2.5ml)を加え、室温で約4時間攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で反応が完結したのを確認後、減圧濃縮して水を除去した。そこへトルエンを加え、再度減圧濃縮して共沸により酢酸を除去した。3回この操作を繰り返すことによって、酢酸、水を完全に除去した。真空乾燥後、2−デオキシ−L−リボースを得た(30mg、収率92.3%)。
1H-NMR(D2O, 400MHz)δ1.70-2.40(m, 2H), 3.56-4.25(m, 4H), 5.30(dd, 1H, J = 3.3Hz, J = 3.0Hz)
実施例3で得られた2−デオキシ−L−リボース(20mg、0.14mmol)のメタノール(1ml)溶液に、10%−塩酸−メタノール溶液(0.05ml)を加えた。溶解後、室温で約2時間攪拌した。TLC(ジクロロメタン:メタノール=95:5)で反応が完結したのを確認後、0℃に冷却し、ピリジンを加えて中和した(pH5〜6)。その後、シリカゲルを加え、減圧濃縮してメタノールを除去し、生成物をシリカゲルに吸着させた。その後、吸着させたシリカゲルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン:メタノール=98:2)で精製して、メチル 2−デオキシ−L−リボシド(フラノース型:ピラノース型=1:2)を得た(18.0mg、収率86.9%)。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz)δ1.89(dd, 2H, J = 2.7Hz, J = 4.2Hz), 2.04(d, 1H, J = 7.3Hz), 2.21(d, 1H, J = 6.0Hz), 3.35(s, 3H), 3.73-3.75(m, 3H), 4.02-4.05(m, 1H), 4.78(dd, 1H, J = 2.7Hz, J = 3.0Hz)
<参考例1>
2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸アルデヒドの製造
アルゴン雰囲気下で2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸メチルエステル(5ml、34.5mmol)にヘキサン(39ml、0.88M)を加え、−78℃に冷却した。冷却後、水素化ジイソブチルアルミニウム(0.95Mヘキサン溶液)(40ml、38.0mmol)を加え、−78℃で5時間撹拌した。TLC (ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応が完結したのを確認し、塩化アンモニウム水溶液を加え、温度を室温に戻した。反応液をろ過し、ジエチルエーテルで抽出を行った。ジエチルエーテル層を硫酸マグネシウムで脱水し、ろ過後、減圧濃縮を行った。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、無色透明液体の2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸アルデヒドを得た(3.3g、収率89.9%)。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz)δ1.42(s, 3H), 1.49(s, 3H), 4.07-4.20(m, 2H), 4.40(dt, 1H, J = 1.8Hz, J = 7.0Hz), 9.72(d, 1H, J = 1.8Hz)
1−(2,2−ジメチル[1,3]ジオキソラン−4−イル)−2−[1,3]ジオキソラン−2−イルエタノールの製造
Figure 2005289964
アルゴン雰囲気下で(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)マグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液(37ml、0.5M)に臭化リチウム(3.2g、36.9mmol)を加え、室温で30分攪拌した。攪拌後、0℃に冷却し、そこへ、2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸アルデヒド(2.0g、15.4mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液をゆっくりと加えた。その後、10℃に温度を上げて約15時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)(Hexane:AcOEt=1:1)によるモニタリングで原料である2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸アルデヒドが完全に消失したのを確認後、塩化アンモニウム水溶液を加え、攪拌した。反応液をろ過して塩を除去後、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過、減圧濃縮を行った。橙色粘性液体として1−(2,2−ジメチル[1,3]ジオキソラン−4−イル)−2−[1,3]ジオキソラン−2−イルエタノールを得た(ジアステレオ選択性;3R体:3S体=4.5:1)。未精製のまま収率100%として次反応へと進めた。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ 1.36(s, 3H), 1.42(s, 3H), 1.77-1.84(m, 1H), 2.04-2.09(m, 1H), 3.84-4.08(m, 8H), 5.08 (t, 1H, J = 4.6Hz)
メチル 2−デオキシ−L−リボシドおよびメチル 2−デオキシ−L−キシロシドの合成
Figure 2005289964
未精製の橙色粘性液体である1−(2,2−ジメチル[1,3]ジオキソラン−4−イル)−2−[1,3]ジオキソラン−2−イルエタノール(15.4mmol)のメタノール(45ml)溶液に、10%塩化水素−メタノール(0.46ml)を加えた。溶解後、室温で約3時間攪拌した。TLC(CHCl:MeOH=90:10)によるモニタリングで反応が完結したのを確認後、0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム粉末を加えて中和した(pH6〜7)。その後、減圧濃縮してメタノールを除去し、オイルとしてメチル 2−デオキシ−L−リボシド(フラノース:ピラノース=10:1)とメチル 2−デオキシ−L−キシロシドを得た(crude, 2.43g)。未精製のまま収率100%として次反応へと進めた。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.02-2.30(m, 2H), 3.38 and 3.39(2s, 3H), 3.60-3.73(m, 2H), 4.03-4.20(m, 1H), 4.50(m, 1H), フラノース1位H(5.12):ピラノース1位H(4.78) = 10 : 1
メチル 2−デオキシ−L−リボシドの合成
メチル 2−デオキシ−L−リボシド(フラノース:ピラノース=10:1)とメチル 2−デオキシ−L−キシロシド混在オイル(crude,2.43g)のアセトン(0.5ml)溶液に、トルエンスルホン酸1水和物(0.05g)を加え、室温で約3時間撹拌した。TLC(CHCl:MeOH=90:10)によるモニタリングで反応が完結したことを確認後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで1−O−メチル−3,5−イソプロピリデン−2−デオキシキシロースおよびその他不純物を抽出除去した後、水層のみをドライアップし、メタノールで目的物を抽出した。その後減圧濃縮を行い、黄色オイルとしてメチル 2−デオキシ−L−リボシドを得た。未精製のまま収率100%として次反応へと進めた。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.02-2.30(m, 2H), 3.38 and 3.39(2s, 3H), 3.60-3.73(m, 2H), 4.03-4.20(m, 1H), 4.50(m, 1H), 5.12(H1-α)and 5.25(H1-β)(t, 1H)
1−O−メチル−3,5−ジトルオイル−2−デオキシ−L−リボースの合成
未精製の黄色粘性液体 メチル 2−デオキシ−L−リボシド(15.4mmol)のアセトン(25.6ml)溶液にトルオイルクロライド(8.0ml,61.6mmol)を加えた後、トリエチルアミン(9.4ml,67.8mmol)をゆっくり滴下した。室温で約20時間撹拌した。TLC(Hexane:AcOEt=4:1)によるモニタリングで反応が完結したことを確認後、ろ過をして析出物を除去し、有機層を1N塩酸、次いで塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過、減圧濃縮を行った。析出物がなくなるまで、ろ過、濃縮の操作を繰り返し行った。黄色粘性液体として1−O−メチル−3,5−ジトルオイル−2−デオキシ−L−リボースを得た。未精製のまま収率100%として次反応へと進めた。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.41(s, 6H), 3.36(s, 3H), 3.42(s, 3H), 4.46-4.65(m, 3H), 5.19(dd, 1H, H1-α, J = 0.95, 5.3Hz), 5.23(dd, 1H, H1-β, J = 2.1, 5.4Hz), 5.41(m, 1H, H3-α), 5.59(m, 1H, H3-β), 7.20-8.05(m, 8H)
1−クロロ−3,5−ジトルオイル−2−デオキシ−α−L−リボースの合成
未精製の黄色粘性液体1−O−メチル−3,5−ジトルオイル−2−デオキシ−L−リボース(15.4mmol)のヘキサン(30.0ml)溶液に4N塩化水素−酢酸エチル(20ml)を加えた後、室温で約3.5時間撹拌した。TLC(Hexane:AcOEt=4:1)によるモニタリングで反応が完結したことを確認後、−5℃に冷却して攪拌した。しばらくすると結晶が析出した。そのまま2時間ほど攪拌し、充分に析出後、ろ過をして取り上げた。取り上げの際、冷エーテルで洗浄を行った。白色結晶として1−クロロ−3,5−ジトルオイル−2−デオキシ−α−L−リボース(0.70g, 収率11.7%(2,3−O−イソプロピリデン−L−グリセリン酸アルデヒドからの総収率))を得た。
1H-NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.41(s, 6H), 2.80(m, 2H), 4.64(m, 2H), 4.86(q, 1H), 5.55(m, 1H), 6.47(d, 1H, J = 5.1Hz), 7.24(2d, 4H, J = 8.6Hz) , 7.94(2d, 4H, J = 8.3Hz)

Claims (25)

  1. 下記工程(a)及び(b)を含む2−デオキシ−L−リボース化合物の製造方法:
    (a)式(1):
    Figure 2005289964

    [式中、R及びRはそれぞれ独立して又はRとRが一体となって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
    で表されるアルデヒド化合物と式(2):
    Figure 2005289964

    [式中、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基若しくはシリル基又はRとRが一体となって環状アルキル基を示し、Mは金属原子又は金属塩を示す。]
    で表される有機金属化合物を反応させ、式(3):
    Figure 2005289964

    [式中、R、R、R及びRは上記と同意義を示す。]
    で表されるアルコール化合物を得る工程、及び
    (b)式(3)で表されるアルコール化合物を、ヒドロキシル基の脱保護反応及び酸加水分解によるアルデヒド生成反応に付す工程。
  2. 工程(b)で2−デオキシ−L−リボースを得、2−デオキシ−L−リボースを製造する、請求項1記載の製造方法。
  3. 2−デオキシ−L−リボースの少なくとも1つのヒドロキシル基に保護基を導入して、2−デオキシ−L−リボースのヒドロキシル基保護体を製造する工程(c)をさらに包含する、請求項1記載の製造方法。
  4. 工程(c)において、2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基に保護基を導入して、2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体を製造する、請求項3記載の製造方法。
  5. 工程(c)の1位ヒドロキシル基の保護基の導入が、工程(b)の酸加水分解において、酸と同時にアルコールを存在させることにより行われる、請求項4記載の製造方法。
  6. アルコールがメタノールである請求項5記載の製造方法。
  7. 2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体がフラノース型である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 請求項7記載の製造方法により得られるフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体の3位と5位のヒドロキシル基を保護し、ついで保護された1位ヒドロキシル基を脱離基に変換する工程を包含する、式(8)
    Figure 2005289964

    [式中、Xは脱離基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
    で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボース化合物の製造方法。
  9. が塩素原子であり、RおよびRがp−トルオイル基である請求項8記載の製造方法。
  10. 及びRが、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、酸加水分解反応により脱保護可能なヒドロキシル基の保護基を示し、工程(b)のヒドロキシル基の脱保護反応と酸加水分解によるアルデヒド生成反応が同時に行われる請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 及びRが一体となって酸加水分解反応により脱保護可能な環状アセタール型のヒドロキシル基の保護基を示す請求項10記載の製造方法。
  12. MがLi、MgX又はZnX(Xはハロゲン原子を示す)を示す、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 式(1)で表されるアルデヒド化合物が式(1−a):
    Figure 2005289964

    で表されるアルデヒド化合物であり、式(2)で表される有機金属化合物が式(2−a):
    Figure 2005289964

    [式中、MはLi、MgX又はZnXを示し、ここでXはハロゲン原子を示す。]
    で表される有機金属化合物であり、式(3)で表されるアルコール化合物が式(3−a):
    Figure 2005289964

    で表されるアルコール化合物である請求項11記載の製造方法。
  14. (d)フラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体とフラノース型2−デオキシ−L−キシロースの1位ヒドロキシル基保護体とを含有する混合物を、式(5)
    Figure 2005289964

    [式中、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基を示すか、あるいはRとRが一体となって環状アルキル基を示す。]で表されるケトン化合物と、酸の存在下反応させることにより、フラノース型2−デオキシ−L−キシロースの1位ヒドロキシル基保護体の3位および5位のヒドロキシル基を優先的に保護して、式(6)
    Figure 2005289964

    [式中、RおよびRは上記と同意義を示し、Rはアルキル基またはアラルキル基を示す。]
    で表されるフラノース型2−デオキシ−L−キシロース化合物を生成させ、次いで、未反応のフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体と前記式(6)で表されるフラノース型2−デオキシ−L−キシロース化合物を分離する工程を包含する、フラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体の製造方法。
  15. 式(5)で表されるケトン化合物が、アセトンである請求項14記載の製造方法。
  16. 分離が、水と有機溶媒の分液による分離である、請求項14または15記載の製造方法。
  17. 請求項14〜16のいずれか一項に記載の製造方法により得られるフラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体の3位と5位のヒドロキシル基を保護し、ついで保護された1位ヒドロキシル基を脱離基に変換する工程を包含する、式(8)
    Figure 2005289964

    [式中、Xは脱離基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、ヒドロキシル基の保護基を示す。]
    で表されるフラノース型2−デオキシ−L−リボース化合物の製造方法。
  18. が塩素原子であり、RおよびRがp−トルオイル基である請求項17記載の製造方法。
  19. フラノース型2−デオキシ−L−リボースの1位ヒドロキシル基保護体とフラノース型2−デオキシ−L−キシロースの1位ヒドロキシル基保護体とを含有する混合物が、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法により得られたものである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の製造方法。
  20. 及びRが、それぞれ独立して又はRとRが一体となって、酸加水分解反応により脱保護可能なヒドロキシル基の保護基を示し、工程(b)のヒドロキシル基の脱保護反応と酸加水分解によるアルデヒド生成反応が同時に行われる請求項19記載の製造方法。
  21. 及びRが一体となって酸加水分解反応により脱保護可能な環状アセタール型のヒドロキシル基の保護基を示す請求項20記載の製造方法。
  22. MがLi、MgX又はZnX(Xはハロゲン原子を示す)を示す、請求項19〜21のいずれか一項に記載の製造方法。
  23. 式(1)で表されるアルデヒド化合物が式(1−a):
    Figure 2005289964

    で表されるアルデヒド化合物であり、式(2)で表される有機金属化合物が式(2−a):
    Figure 2005289964

    [式中、MはLi、MgX又はZnXを示し、ここでXはハロゲン原子を示す。]
    で表される有機金属化合物であり、式(3)で表されるアルコール化合物が式(3−a):
    Figure 2005289964

    で表されるアルコール化合物である請求項21に記載の製造方法。
  24. 式(3):
    Figure 2005289964

    [式中、R及びRはそれぞれ独立して又はRとRが一体となってヒドロキシル基の保護基を示し、R及びRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基若しくはシリル基又はRとRが一体となって環状アルキル基を示す。]
    で表されるアルコール化合物。
  25. 式(3−a):
    Figure 2005289964

    で表されるアルコール化合物。
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