JP4762973B2 - 1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、1,2−トランス配置のグリコシド化合物を選択的に製造する方法に関する。
糖鎖は核酸やタンパク質に次ぐ第3の生体内高分子として近年大いに注目を集めている。細胞表面に存在する糖鎖は、細胞間の情報伝達やウイルスなどの外部マトリックスとの相互作用など、多様な機能を持つことが明らかになってきており、糖鎖の構造−活性相関の解明は急務の課題である。しかし、糖鎖化合物は構造・結合位置・長さの異なる不均一な混合物として細胞表面に存在しているため、生体サンプルから化学的に純粋な糖鎖化合物を分離、精製することは極めて困難である。このようなことから、化学合成による構造が明確で化学的に純粋な糖鎖化合物の供給が強く望まれている。
1,2−トランスグリコシド結合は、糖鎖に多く見られる代表的なグリコシド結合である。これまでこの結合の立体選択的な合成法は、2位水酸基の保護基としてアシル基を用い、この分子内関与に基づく立体配向性効果を利用してきた。しかし、この方法ではオルトエステル体の副生が常に問題となっていた。
本発明者はチオグリコシドのみを用いて同じ反応を繰り返すことでオリゴ糖を合成する連続的なグリコシル化反応を開発した(非特許文献1)。この方法はグルコサミンのような2位にアミノ基を持つ糖誘導体に対してはきわめて有効であったが、グルコース、ガラクトースなどの2位に水酸基を持つ糖誘導体を用いた場合には、オルトエステル体のみが選択的に生成すると共に、そのO−グリコシドへの異性化はきわめて困難であった。
Figure 0004762973
[Phはフェニル基を表す。Bnはベンジル基を表す。]
Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,2145
本発明の目的は、2位に水酸基を有する糖誘導体において、オルトエステル体の副生を抑制し、選択的に1,2−トランスグリコシド化合物を製造する方法を提供することにある。
本発明は以下の1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法及びその製造方法に用いられる、2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物に係る。
1.(a)フラノース化合物又はピラノース化合物と(b)アルコール化合物とからグリコシド化合物を得る方法において、2位水酸基が基Aで保護された置換基を有することのあるフラノース化合物又は置換基を有することのあるピラノース化合物を用いることを特徴とする、2位水酸基に対して選択的にトランス配置のグリコシド化合物を製造する方法。
Figure 0004762973
[R及びRは、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、置換基を有することのあるアリール基を表し、或いはR及びRが互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。]
2.フラノース化合物がアラボフラノース、エリトロフラノース、グルコフラノース、リボフラノース、トレオフラノース又はキシロフラノースであり、ピラノース化合物がアラボピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、グロピラノース、マンノピラノース、リボピラノース、キシロピラノース又はグルコピラヌロン酸であり、アルコール化合物が炭素数1〜4の脂肪族アルコール類、炭素数5〜8の脂環式アルコール類、芳香族アルコール類、フラノース類、ピラノース類、アミノピラノース類、アンヒドロ糖類、多糖類、N−アセチルピラノース類又はグリセロール類である請求項1記載のトランス配置のグリコシド化合物を製造する方法。
3.式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物に式(2)で表されるアルコール化合物を作用させることを特徴とする式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
−Z (1)

Figure 0004762973
[式中、Zは基−S−R、基−SO−R、基−Se−R、基−O−C(=NH)CX、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR、基−PO(ORを表す。ここでRは炭素数1から20のアルキル基、置換基を有することのあるアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R、R、Rは同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。Aは前記に同じ。]
−OH (2)
[式中、Qは炭素数1から4のアルキル基、任意の位置に置換基を有することのある炭素数5から8のシクロアルキル基又は下記の基を表す。
Figure 0004762973
は基−OA、−OG、−N(J)(J)である。
は以下に示す基、Gは糖水酸基の保護基、J及びJは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。
Figure 0004762973
ここでR2’及びR3’は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、置換基を有することのあるアリール基を表し、或いはR2’及びR3’が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を表し(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)、m’及びn’は0又は1の整数を表す。Zは基−S−R1’、基−SO−R1’、基−Se−R1’、基−O−C(=NH)CX 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR1’、基−PO(OR1’基、−OGを表す。ここでR1’は炭素数1から20のアルキル基、置換基を有することのあるアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、X’はハロゲン原子を表し、Gは糖水酸基の保護基を表す。R、R、Rは同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。]
1a−O−Q (3)
1a
Figure 0004762973
[式中、Q、A、R、R、Rは前記に同じ。]
4.式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物に式(2a)で表されるアルコール化合物を作用させることを特徴とする式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
2a−OH (2a)
[式中、Q2aは下記の基を表す。A、R、R、R、Eは前記に同じ。Zは基−S−R1’、基−SO−R1’、基−Se−R1’、基−O−C(=NH)CX 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR1’)、基−PO(OR1’基を表す。R1’、X’は前記に同じ。]
Figure 0004762973
1a−O−Q2a (3a)
[式中、Q1a及びQ2aは前記に同じ。]
5.式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物に少なくとも1回以上アルコール化合物を作用させる工程を繰り返すことを特徴とする2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
6.式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物に塩基を作用させることを特徴とする式(4)で表される1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
−O−Q (4)

Figure 0004762973
[式中、R、R、R、Eは前記に同じ。Qは炭素数1から4のアルキル基、任意の位置に置換基を有することのある炭素数5から8のシクロアルキル基又は下記の基を表す。
Figure 0004762973
は基−OH、−OG、−N(J)(J)である。Z、R、R、R、E、G、J、Jは前記に同じ。]
7.式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物。
8.式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物。
9.式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物。
本発明においては、フラノース化合物又はピラノース化合物の2位水酸基が特定のリン酸エステルで保護された2−ホスホノイルフラノース化合物又は2−ホスホノイルピラノース化合物を用いることにより、選択的に1,2−トランス型の立体配置を有するグリコシド化合物を製造できることを見出して本発明を完成した。
本明細書において、各置換基は以下の通りである。
炭素数1〜4のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等を挙げることができ、任意の位置に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。これらの置換基は同一又は異なって1から置換可能な数までで置換していてもよい。
炭素数2〜4のアルキレン基としては、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられ、任意の位置に炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよく、フェニレン基を介していてもよい。具体的には、基−(CH−、基−(CH−、基−(CH−、基−C(CHC(CH−、基−CHCH(CH)CH−、基−CH(CH)CHCH(CH)−、基−C(CHCHCH−、基−CHC(CHCH−、−CHCH−C−CH−等を例示できる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基等の炭素数2〜4のアルケニルオキシ基が挙げられる。
糖水酸基の保護基としては、糖化合物の水酸基の保護基として使用されるものであれば特に制限されず、例えば、ベンジル基、メトキシメチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ベンゾイル基、アセチル基、ピバロイル基、レブリル基等を挙げることができ、隣接する2つの水酸基に対してメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ベンジリデン基で環を形成してもよい。
炭素数5から8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルを挙げることができ、任意の位置に置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1から4のアルキル基を挙げることができ、具体的には、4,5−ジメチルペンチル、4−メチルヘキシル、3,5−ジメチルヘキシル、4−tert−ブチルヘキシル、2,4,6−トリメチルヘキシル等を例示できる。
本発明においては、2位水酸基が基Aで保護された、置換基を有することのあるフラノース化合物又は置換基を有することのあるピラノース化合物とアルコール化合物を用いて、1,2−トランスグルコシド化合物を製造する。
Figure 0004762973
[R、R、m、nは前記に同じ。]
フラノース化合物としては、水酸基を2位にもつフラノース化合物であれば特に制限されず使用することができ、例えばアラボフラノース、エリトロフラノース、グルコフラノース、リボフラノース、トレオフラノース又はキシロフラノースが挙げられる。これらフラノース化合物は置換基を有していても良く、置換基としては、糖水酸基の保護基、糖水酸基の保護基で保護されていてもよい単糖類又は多糖類からなる基を例示することができる。
ピラノース化合物としては、水酸基を2位にもつピラノース化合物であれば特に制限されず使用することができ、例えばアラボピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、グロピラノース、マンノピラノース、リボピラノース、キシロピラノース、グルコピラヌロン酸等が挙げられる。これらピラノース化合物は置換基を有していても良く、置換基としては、例えば糖水酸基の保護基、糖水酸基の保護基で保護されていてもよい単糖類又は多糖類からなる基を例示することができる。
基Aとしては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
Figure 0004762973
これらのリン酸エステル基の中でも、基(A−3)及び(A−5)が特に好ましく使用される。
以下、説明を簡略化するためにピラノース化合物のみを用いて発明の実施について説明するが、フラノース化合物についても同様に実施することができる。
2位水酸基が基Aで保護されたピラノース化合物は、ピラノース化合物に式(5)で表されるリン酸ハライド化合物を反応させることによって製造することができる。
A−X (5)
[式中、Aは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。]
例えば、式(1)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスピラノース化合物は、以下の反応式−1に従って製造することができる。
反応式−1
Figure 0004762973
[式中、A、R、R、R、Z、Xは前記に同じ。]
反応式−1によると式(6−1)、(6−2)、(6−3)で表されるピラノース化合物に式(5)で表されるリン酸ハライドを作用させることによって、式(1)で表される化合物に相当する式(1−Q−1)、(1−Q−2)、(1−Q−3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスピラノース化合物を製造することができる。
本反応は通常溶媒中で行われ、式(6−1)、(6−2)、(6−3)で表されるピラノース化合物に塩基を作用させた後、式(5)で表されるリン酸ハライドを作用させる。使用する溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に制限されず、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、特にエーテル類、アミド類、スルホキシド類が好ましい。
これら溶媒の使用量は、式(6−1)、(6−2)、(6−3)で表されるピラノース化合物1kg当たり1〜100リットル程度、好ましくは5〜20リットル程度とすればよい。
使用する塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等の有機塩基、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド等のリチウム塩が挙げられる。
これら塩基は1種または2種以上を併用することができ、その使用量は式(6−1)、(6−2)、(6−3)で表されるピラノース化合物に対して1〜10当量、好ましくは1〜5当量とするのがよい。
式(6−1)、(6−2)、(6−3)で表されるピラノース化合物と式(5)で表されるリン酸ハライドとの使用割合は任意の割合で使用することができるが、前者1モルに対して、後者を好ましくは1.0〜2.0モル当量使用するのがよい。
反応温度は−20〜100℃の範囲で任意に設定することができ、通常0〜30℃が好ましく、反応時間は特に限定されないが、通常30分〜3時間程度とすればよい。
以上のようにして得られた、2位水酸基がリン酸エステルで保護された2−ホスホノイルピラノース化合物(1)は文献未記載の新規化合物である。
式(6−1)、(6−2)、(6−3)で表されるピラノース化合物は、例えば下記のように従来公知の方法を駆使して製造することができる。
式(6−1)の化合物 グルコース
Figure 0004762973
参考文献:
Carbohydr.Res.1992,236,73
Can.J.Chem.1965,43,2199.
Org.Lett.2004,3797.
式(6−2)の化合物 ガラクトース
Figure 0004762973
TL : Tetrahedron Lett.1989,30,2537.
NAP: 2−naphthylmethyl
式(6−3)の化合物 マンノース
Figure 0004762973
アルコール化合物としては、ピラノースの1位とグリコシド結合を形成するものであれば特に制限されず使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜4の脂肪族アルコール類、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の炭素数5〜8の脂環式アルコール類、フェノール、クレゾール、ナフトール等の芳香族アルコール類、アラボフラノース、エリトロフラノース、グルコフラノース、ガラクトフラノース、フルクトフラノース、リボフラノース、デオキシリボフラノース、トレオフラノース、キシロフラノース等のフラノース類、アラボピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、ガラクトピラノース、グロピラノース、マンノピラノース、リボピラノース、キシロピラノース、グルコピラヌロン酸等のピラノース類、2−アミノ−2−デオキシガラクトピラノース、2−アミノ−2−デオキシグルコピラノース等のアミノピラノース類、グルコサン等のアンヒドロ糖類、ゲンチオビオース、スクロース、セロビオース、ラクトース、アロラクトース、マルトース、トレハロース、N−アセチルラクトサミン、カナマイシン、カスガマイシン等の多糖類、2−アセトアミド−2−デオキシガラクトピラノース、2−アセトアミド−2−デオキシグルコピラノース、2−アセトアミド−2−デオキシマンノピラノース、アスパルチルグリコシラミン等のN−アセチルピラノース類、グリセロール類等が挙げられ、反応に悪影響を及ぼさない置換基が置換されていてもよい。
2位水酸基が基Aで保護されたピラノース化合物にアルコール化合物を作用させトランス配置のグリコシド化合物を得ることができ、該反応はピラノース化合物の1位炭素を活性化して、アルコール化合物を作用させる従来公知の方法を適用することができる。該反応は例えば下記反応式−2で示すことができる。
反応式−2
Figure 0004762973
[式中、Q、Q1a、Qは前記に同じ。Zは基−S−R、基−SO−R、基−Se−R、基−O−C(=NH)CX、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR、基−PO(ORを表す。ここでRは炭素数1から20のアルキル基、置換基を有することのあるアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。]
炭素数1から20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等が挙げられる。置換基を有することのあるアリール基は前記と同様である。ヘテロ芳香族基としては、例えばピリジル基等が挙げられる。
2位水酸基が基Aで保護されたピラノース化合物として式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物を活性化した後、アルコール化合物として式(2)で表されるアルコール化合物を作用させて、式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物を製造することができる。
式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物において、Zが基−S−Rや基−SO−Rである場合、例えばJ.Am.Chem.Soc.,2001,123,9015や”Carbohydrates in Chemistry and Biology”,Wiley−VCH,2000,Vol.1,Chap 4(pp93−134)に準じて、式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物を活性化した後、式(2)で表されるアルコール化合物を反応させることができる。
本反応は溶媒中で行われ、使用される溶媒としてはジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン系炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられるが、ジクロロメタンやテトラクロロエタンが好ましく、反応に影響しない程度に無水とすべきである。溶媒の使用量としては、化合物(1)1kg当たり、1〜100リットル、好ましくは5〜50リットル程度とすればよい。
化合物(1)の活性化は、2,6−tert−ブチル−4−メチルピリジン(DTBMP)、ベンゼンスルフィニルピペリジン(BSP)、無水トリフルオロメタンスルホン酸(TfO)等を作用させることで行われる。
化合物(1)1モルに対して、DTBMPの使用量は1〜5モル当量程度、BSPの使用量は1〜2当量程度、TfOの使用量は1〜2当量程度とすればよい。
本反応は無水系で行うのが好ましく、モレキュラーシーブ(モレキュラーシーブ4A)等の脱水剤の存在下で行うのが好ましい。
本反応は、中間に生じる活性種の熱安定性が低いため、−40℃以下の低温で行うのが好ましい。
以上のようにして、化合物(1)を活性化した後、アルコール化合物(2)を添加することにより、2−ホスホノイル−1,2−グリコシド化合物(3)を製造することができる。
アルコール化合物(2)の使用量は、化合物(1)1モルに対して0.8〜3モル当量、好ましくは1.0〜2.0モル当量とすればよい。
反応温度は−80〜−40℃の範囲で任意に設定することができ、通常−70〜−45℃が好ましく、反応時間は持に限定されないが、通常1分〜1時間程度とすればよい。
式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物は、例えば以下の文献の記載に準じて活性化することができる。
(a)Zが基−O−C(=NH)CX である場合:”Preparative Carbohydrate Chemistry”,Marcel Dekker,Inc.,1997,Chap 12(pp283−312)および”Carbohydrates in Chemistry and Biology”,Wiley−VCH,2000,Vol.1,Chap 2(pp5−59)
(b)Zが塩素原子又は臭素原子である場合:Angew.Chem.Int.Ed.1982,21,155−224
(c)Zがフッ素原子である場合:”Preparative Carbohydrate Chemistry”,Marcel Dekker,Inc.,1997,Chap 13(pp313−338)
(d)Zがアルケニルオキシ基である場合:”Preparative Carbohydrate Chemistry”,Marcel Dekker,Inc.,1997,Chap 14(pp339−356)および”Carbohydrates in Chemistry and Biology”,Wiley−VCH,2000,Vol.1,Chap 6(pp135−154)
(e)Zが基−P(ORである場合:”Carbohydrates in Chemistry and Biology”,Wiley−VCH,2000,Vol.1,Chap 5(pp117−134)
(f)Zが基−PO(ORである場合:J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1989,685およびJ.Am.Chem.Soc.2001,123,9545
本製造方法によれば、従来より1,2−トランスタイプのピラノース化合物のグリコシル化反応において副生するオルトエステル化合物の生成を抑制することができ、極めて高い選択性で1,2−トランスグリコシド化合物を製造することができる。
本発明の製造方法の効果を次の図−1に簡略化して示した。
図−1
Figure 0004762973
[式中、A、Q、Zは前記に同じ。]
図−1において、本発明は特定のリン酸エステル化合物を保護基とし、該保護基(A)でピラノース化合物の2位水酸基を保護した2−ホスホノイルピラノース化合物(I又はIII)を使用することで、式(2)で表されるアルコール化合物を作用させて生成するO−グリコシド化合物(II又はIV)のピラノース環上1位のO−グリコシド結合と2位の保護水酸基との立体配置を高い選択性でトランス配置とすることができる。更に、作用させるアルコール化合物の種類に大きく影響されずに本立体選択性を維持することができる。
本製造方法により製造された式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物中、式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物を用いて、アルコール化合物を作用させることで新たにグリコシド結合を形成させることができる。作用させるアルコール化合物を例えば式(2a)で表されるアルコール化合物とすれば、更にグリコシド結合を形成させることが可能となり、繰り返し回数に応じて、任意に糖鎖を伸長させることができる。
1a−O−Q2a (3a)
[式中、Q1a及びQ2aは前記に同じ。]
2a−OH (2a)
[式中、Q2aは前記に同じ。]
上記において得られた式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物、及び式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物は文献未記載の新規化合物である。
次に得られた各種のグリコシド化合物から2位水酸基の保護基Aを容易に除去することができる。
例えば、下記反応式−3のように、式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物に塩基を作用させることで、基Aが除去された式(4)で表される1,2−トランスグリコシド化合物を製造することができる。
反応式−3
Figure 0004762973
[式中、Q1a、Q、Q、Qは前記に同じ。]
使用される塩基としては、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
これら塩基は1種又は2種以上を併用することができ、その使用量は化合物(3)に対して1〜10当量、好ましくは2.0〜5.0当量とするのがよい。
本反応は溶媒中で行われ、使用される溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水又はこれらの混合溶媒、または水やアルコールとテトラヒドロフランやジオキサンなどの混合溶媒等が挙げられる。
これら溶媒の使用量は、化合物(3)1kg当たり1〜100リットル程度、好ましくは5〜20リットル程度とすればよい。
反応温度は0℃から溶媒の沸点の範囲で任意に設定することができ、通常室温から60℃程度が好ましい。反応時間は特に限定されないが、通常0.5〜10時間程度で十分である。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、下記において特に断らない限り、部は重量部を意味する。表中、SPhはチオフェニル基、Bnはベンジル基、TBSはtert−ブチルジメチルシリル基、c−Hexはシクロヘキシル基、Phはフェニル基、TCPNはテトラクロロフタロイル基を示す。
参考例1 リン酸ハライドA−Xの合成(A=A−2、X=Cl)
Figure 0004762973
オキシ塩化リン(3.7g,24.0mmol)とトリエチルアミン(4.9g,48.0mmol)溶液に2,3−dimethyl−2,3−butanediol(2.4g,20.0mmol)のジクロロメタン溶液(40.0ml)を室温で加え、そのままの温度で2時間撹拌する。得られた反応物を減圧下で濃縮すると粗生成物が得られる。昇華精製により80%の収率で上記目的化合物を白色固体として得た。
H−NMR (400MHz,CDCl)1.51(s,6H),1.53(s,6H).
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(1,1,2,2−tetramethyldimethylene phosphonoyl)−β−D−thioglucopyranoside
Figure 0004762973
60−72%水素化ナトリウム(80.0mg,2.0mmol)の溶液に室温下で3,4,6−tri−O−benzyl−β−D−thioglucopyranoside(542.7mg,1.0mmol)をTHF2.0mlに溶解させて加える。30分後に反応液に2,3−dimethyl−2,3−butylene phosphorochloridate(297.9mg,1.5mmol)を加える。3.5時間後に飽和重曹水で反応をとめる。有機層を分離し、水層部を酢酸エチルで抽出し、抽出有機層は全て合せて飽和食塩水で洗浄する。その後硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過処理をし濾液を減圧下ロータリーエバポレーターで有機溶媒を溜去し、粗生成物を得る。
フラッシュクロマト(silica gel 37g;elution with 40% ethyl acetate in hexane)により、標記化合物(456.5mg)を得た。
収率:65%
性状:非晶質粉体
H NMR(400MHz,CDCl):1.35(s,3H),1.39(s,3H),1.42(s,3H),1.49(s,3H),3.50−3.57(m,1H),3.61(t,J=9.2Hz,1H),3.65−3.73(m,2H),3.77(dd,J=11.0,1.4Hz,1H),4.42−4.52(m,1H),4.51(d,J=12.0Hz,1H),4.53(d,J=12.8Hz,1H),4.56(d,J=12.0Hz,1H),4.66(d,J=10.0Hz,1H),4.76(d,J=10.8Hz,2H),4.96(d,J=10.8Hz,1H),7.14−7.20(m,2H),7.22−7.35(m,14H),7.38−7.43(m,2H),7.60−7.66(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):23.67(CH,JCP=4.6Hz),23.72(CH,JCP=5.4Hz),24.02(CH,JCP=5.3Hz),24.15(CH,JCP=5.4Hz),68.89(CH),73.42(CH),74.92(CH),75.39(CH),77.55(CH),77.95(CH,JCP=6.9Hz),79.37(CH),84.94(CH,JCP=3.1Hz),86.82(CH,JCP=3.8Hz),88.20(C),88.38(C),127.51(CH),127.54(CH),127.62(CH,2C),127.75(CH,2C),127.84(CH,2C),128.11(CH,2C),128.17(CH,2C),128.30(CH,2C),128.36(CH,2C),128.74(CH,2C),132.86(CH,2C),133.09(C),137.92(C),138.07(C),138.18(C).
以下同様にして、実施例2〜10を行った。
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(diphenoxy phosphonoyl)−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:57%
性状:白色粉末
H−NMR(400MHz,CDCl):3.53−3.60(m,1H),3.66−3.85(m,4H),4.52(d,J=12.0Hz,1H),4.55(d,J=11.6Hz,1H),4.58(d,J=12.0Hz,1H),4.54−4.66(m,1H),4.73(d,J=8.8Hz,1H),4.73(d,J=9.6Hz,1H),4.83(d,J=10.4Hz,1H),4.90(d,J=10.4Hz,1H),7.00−7.53(m,30H).
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(trimethylene phosphonoyl)−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:52%
性状:非晶質粉体
H NMR(400MHz,CDCl):1.73−1.87(m,1H),1.96−2.11(m,1H),3.57−3.63(m,1H),3.66(dd,J=9.8,8.6Hz,1H),3.72(dd,J=11.0,4.6Hz,1H),3.76−3.83(m,1H),3.86(t,J=8.6Hz,1H),4.32−4.23(m,5H),4.54(d,J=12.4Hz,1H),4.57(d,J=11.2Hz,1H),4.59(d,J=10.8Hz,1H),4.78(d,J=11.2Hz,1H),4.79(d,J=10.0Hz,1H),4.82(d,J=10.4Hz,1H),4.96(d,J=10.4Hz,1H),7.17−7.22(m,2H),7.22−7.39(m,14H),7.40−7.45(m,2H),7.61−7.67(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):25.86(CH,JCP=6.9Hz),68.41(CH,JCP=8.4Hz),68.48(CH,JCP=6.8Hz),68.82(CH),73.39(CH),74.87(CH),75.34(CH),77.65(CH,JCP=3.8Hz),77.66(CH),79.31(CH),84.63(CH,JCP=1.5Hz),85.94(CH,JCP=4.6Hz),127.53(CH),127.58(CH,2C),127.60(CH),127.78(CH),127.83(CH,2C),127.94(CH),128.07(CH,2C),128.27(CH,2C),128.31(CH,2C),128.38(CH,2C),128.85(CH,2C),132.19(C),132.91(CH,2C),137.83(C),137.97(C),138.15(C).
HRMS(FAB)m/z:Calcd for C3640PS(M+H),663.2182; Found 663.2194.
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(2−methyltrimethylene phosphonoyl)−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:55%(ジアステレオマー率 79:21)
性状:白色粉体
HRMS(FAB)m/z:Calcd for C3742PS(M+H),677.2338; Found 677.2346.
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−[(1R,3R)−1,3−dimethyltrimethylene phosphonoyl]−β−D− thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:51%
性状:非晶質粉体
H NMR(400MHz,CDCl):1.31(dd,J=6.4,1.6Hz,3H),1.45(dd,J=6.6,1.0Hz,1H),1.80−1.88(m,1H),1.93−2.02(m,1H),3.52−3.60(m,1H),3.61(t,J=9.2Hz,1H),3.68(dd,J=11.0,4.6Hz,1H),3.76(dd,J=10.8,1.6Hz,1H),3.84(t,J=8.6Hz,1H),4.38−4.50(m,1H),4.51(d,J=12.0Hz,1H),4.53(d,J=11.2Hz,1H),4.57(d,J=11.6Hz,1H),4.67−4.77(m,1H),4.74(d,J=10.4Hz,2H),4.79(d,J=10.4Hz,1H),4.78−4.90(m,1H),4.94(d,J=10.8Hz,1H),7.14−7.18(m,2H),7.22−7.34(m,16H),7.38−7.43(m,2H),7.59−7.64(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):21.26(CH,JCP=3.8Hz),21.72(CH,JCP=6.9Hz),37.71(CH,JCP=6.1Hz),68.89(CH),72.83(CH,JCP=6.9Hz),73.39(CH),74.01(CH,JCP=6.1Hz),74.90(CH),75.24(CH),77.62(CH),78.02(CH,JCP=6.9Hz),79.24(CH),84.79(CH,JCP=2.3Hz),86.36(CH,JCP=3.8Hz),127.52(CH,2C),127.60(CH,2C),127.76(CH,2C),127.86(CH,4C),128.20(CH,2C),128.30(CH,2C),128.36(CH,2C),128.80(CH,2C),132.72(CH,2C),132.82(C),137.88(C),138.13(C),138.19(C).
HRMS(FAB)m/z:Calcd for C3844PS(M+H),691.2495; Found 691.2491.
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−[(1S,3S)−1,3−dimethyltrimethylene phosphonoyl]−β−D− thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:48%
性状:非晶質粉体
H NMR(400MHz,CDCl):1.37(dd,J=6.4,0.8Hz,3H),1.45(dd,J=6.4,2.0Hz,3H),1.80−1.88(m,1H),1.96−2.03(m,1H),3.52−3.64(m,2H),3.67(dd,J=11.0,4.6Hz,1H),3.73(t,J=8.4Hz,1H),3.76(dd,J=11.0,1.8Hz,1H),4.43(ddd,J=11.4,9.4,9.0Hz,1H),4.51(d,J=12.0Hz,1H),4.52(d,J=10.8Hz,1H),4.56(d,J=12.0Hz,1H),4.69(d,J=9.6Hz,1H),4.75(d,J=10.8Hz,2H),4.71−4.84(m,2H),4.99(d,i=10.8Hz,1H),7.13−7.18(m,2H),7.21−7.36(m,14H),7.39−7.44(m,2H),7.58−7.64(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):21.30(CH,JCP=5.4Hz),21.86(CH,JCP=7.6Hz),37.79(CH,JCP=6.9Hz),68.93(CH),72.54(CH,JCP=6.1Hz),73.39(CH),74.04(CH,JCP=6.9Hz),74.93(CH),75.46(CH),77.44(CH),77.56(CH,JCP=6.8Hz),79.36(CH),85.11(CH,JCP=2.3Hz),86.11(CH,JCP=4.6Hz),127.52(CH),127.54(CH),127.58(CH,2C),127.76(CH),127.83(CH),127.88(CH,2C),128.12(CH,2C),128.22(CH,2C),128.30(CH,2C),128.36(CH,2C),128.83(CH,2C),132.47(C),132.79(CH,2C),137.89(C),138.08(C),138.18(C).
HRMS(FAB)m/z:Calcd for C3844PS(M+H),691.2495; Found 691.2515.
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(1,1−dimethyltrimethylene phosphonoyl)−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:54%(diastereo ratio 69:31)
性状:非晶質粉体
HRMS(FAB)m/z:Calcd for C3844PS(M+H),691.2495; Found 691.2483.
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(1,1,3,3−tetramethyltrimethylene phosphonoyl)−β−D−thio−glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:91%
性状:非晶質粉末
H NMR(400MHz,CDCl):1.36(s,3H),1.48(s,3H),1.49(s,3H),1.57(s,3H),1.97(dd,J=14.8,0.8Hz,1H),2.04(dd,J=14.8,1.2Hz,1H),3.55(ddd,J=9.7,4.9,1.7Hz,1H),3.61(t,J=9.2Hz,1H),3.64−3.76(m,3H),4.45−4.50(m,1H),4.52(d,J=10.4Hz,1H),4.52(d,J=10.8Hz,1H),4.57(d,J=12.0Hz,1H),4.68(d,J=10.0Hz,1H),4.74(d,J=11.2Hz,1H),4.77(d,J=10.0Hz,1H),5.01(d,J=10.4Hz,1H),7.15−7.17(m,2H),7.23−7.33(m,14H),7.42−7.44(m,2H),7.61−7.63(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):30.53(d,JCP=3.8Hz,CH),30.56(d,JCP=3.8Hz,CH),30.69(d,JCP=5.3Hz,CH),31.10(d,JCP=5.4Hz,CH),47.30(d,JCP=6.8Hz,CH),68.97(CH),73.38(CH),74.86(CH),75.11(CH),77.56(CH),77.73(d,JCP=6.8Hz,CH),79.25(CH),82.13(d,JCP=6.1Hz,C),82.19(d,JCP=6.1Hz,C),85.11(d,JCP=2.3Hz,CH),86.70(d,JCP=54.6Hz,CH),127.36(CH),127.48(CH),127.60(CH,3C),127.72(CH,2C),127.79(CH,2C),127.88(CH,2C),128.10(CH,2C),128.28(CH,2C),128.33(CH,2C),128.73(CH,2C),132.56(CH,2C),133.26(C),137.91(C),138.20(C),138.31(C).
HRMS(FAB)m/z:Calcd for C4048PS(M+H),719.2808; Found 719.2810.
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(2,2−dimethyltrimethylene phosphonoyl)−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:94%
性状:非晶質粉末
H NMR(400MHz,CDCl):0.90(s,3H),1.24(s,3H),3.53−3.60(m,1H),3.62(t,J=9.2Hz,1H),3.69(dd,J=11.0,4.6Hz,1H),3.76(dd,J=10.8,2.0Hz,1H),3.83(t,J=8.8Hz,1H),3.86−4.02(m,2H),4.12(dd,J=10.8,4.8Hz,1H),4.19(dd,J=11.2,4.8Hz,1H),4.40(dt,J=12.8,9.2Hz,1H),4.51(d,J=12.0Hz,1H),4.54(d,J=12.8Hz,1H),4.57(d,J=12.0Hz,1H),4.75(d,J=12.8Hz,1H),4.75(d,J=9.6Hz,1H),4.78(d,J=10.0Hz,1H),4.92(d,J=10.4Hz,1H),7.14−7.19(m,2H),7.22−7.36(m,14H),7.36−7.41(m,2H),7.58−7.63(m,2H).
Phenyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(benzylidene phosphoronoyl)−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:84%
性状:白色粉体
H NMR(400MHz,CDCl):3.55(ddd,J=9.6,4.6,1.8Hz,1H),3.64(t,J=9.4Hz,1H),3.70(dd,J=11.0,4.6Hz,1H),3.73−3.82(m,2H),4.44−4.54(m,1H),4.51(d,J=12.0Hz,1H),4.54(d,J=11.6Hz,1H),4.57(d,J=12.0Hz,1H),4.72(d,J=9.6Hz,1H),4.75(d,J=10.6Hz,1H),4.82(d,J=10.6Hz,1H),4.92−5.05(m,2H),5.19−5.36(m,3H),7.13−7.20(m,2H),7.20−7.37(m,18H),7.38−7.43(m,2H),7.60−7.65(m,2H).
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(1,1,2,2−tetramethyldimethylene phosphornoyl)−β−D−glucopyranoside.
Figure 0004762973
実施例1で製造した2−ホスホノイルチオフェニルグルコシド化合物(63.9mg,0.09mmol)とBSP(20.9mg,0.10mmol)とDTBMP(39.0mg,0.18mmol)と、約90mgのモレキュラーシーブス4Aを入れたジクロロメタン0.9mlの混合溶液にTfO(33.9mg,0.12mmol)を60℃で加える。30分後にシクロヘキサノール(13.0mg,0.14mmol)を加える。更に30分後EtN(0.09ml)を加えて反応をクエンチし、反応混合物を室温に温めて飽和重曹水で中和する。有機層を別け、水層部を酢酸エチルで3回抽出し、抽出有機層は全て合せて飽和食塩水で洗浄する。その後硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、濾液を減圧下で有機溶媒を溜去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーして標記化合物を得た。
収率87%
性状:白色非晶質粉末
異性体比 α体:β体=<1:99
H NMR(400MHz,CDCl):1.17−1.30(m,2H),1.37(s,3H),1.38(s,3H),1.44(s,3H),1.45(s,3H),1.44−1.58(m,4H),1.72−1.82(m,2H),1.86−1.99(m,2H),3.47(ddd,J=9.7,5.3,1.9Hz 1H),3.57(t,J=9.2hz,1H),3.60−3.71(m,2H),3.69(t,J=9.0Hz,1H),3.73(dd,J=10.8,2.0Hz,1H),4.40(ddd,J=10.7,9.1,7.9Hz 1H),4.49(d,J=8.0Hz,1H),4.52(d,J=11.2Hz,1H),4.55(d,J=12.0Hz,1H),4.59(d,J=12.0Hz,1H),4.73(d,J=10.8Hz,1H),4.78(d,J=10.8Hz,1H),4.94(d,J=10.4Hz,1H),7.12−7.19(m,2H),7.23−7.35(m,11H),7.38−7.43(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):23.70(CH,JCP=3.1Hz),23.76(CH,JCP=3.0Hz),23.81(CH),23.91(CH),24.09(CH,JCP=2.2Hz),24.15(CH,JCP=3.1Hz),25.64(CH),31.48(CH),33.37(CH),68.96(CH),73.36(CH),74.89(CH),75.04(CH),75.07(CH),77.75(CH),78.03(CH),79.55(CH,JCP=6.8Hz),83.56(CH,JCP=4.6Hz),87.88(C,JCP=9.2Hz,2C),99.68(CH,JCP=3.1Hz),127.48(CH),127.53(CH),127.62(CH,2C),127.69(CH),127.91(CH,2C),128.20(CH,2C),128.28(CH,2C),128.30(CH,2C),128.33(CH,2C),137.99(C),138.21(C),138.24(C).
以下同様にして、実施例12〜22を行った。
Methyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(diphenoxy phosphonoyl)−β−D−glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:88%
性状:白色非晶質粉末
異性体比 α体:β体=<1:99
H NMR(400MHz,CDCl):3.35(s,3H),3.50(ddd,J=9.6,4.4,2.0Hz,1H),3.65−3.80(m,4H),4.38(d,J=7.6Hz,1H),4.48−4.57(m,3H),4.61(d,J=12.4Hz,1H),4.75(d,J=10.8Hz,1H),4.75(d,J=12.4Hz,1H),4.83(d,J=10.8Hz,1H),7.05−7.35(m,15H).
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(trimethylene phosphonoyl)−β−D−glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:84%
性状:白色非晶質粉末
異性体比 α体:β体=<1:99
H NMR(400MHz,CDCl):1.12−1.59(m,6H),1.70−1.82(m,3H),1.91−2.04(m,2H),2.12−2.26(m,1H),3.51(ddd,J=9.7,5.1,1.9Hz 1H),3.58−3.72(m,3H),3.73(dd,J=10.8,2.0Hz,1H),3.80(t,J=9.0Hz,1H),4.27(ddd,J=11.8,9.2,7.8Hz,1H),4.30−4.46(m,4H),4.54(d,J=11.2Hz,1H),4.54(d,J=12.4Hz,1H),4.60(d,J=12.4Hz,1H),4.62(d,J=7.6Hz,1H),4.79(d,J=10.0Hz,2H),4.96(d,J=10.4Hz,1H),7.15−7.20(m,2H),7.23−7.36(m,11H),7.38−7.43(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):24.03(CH),24.13(CH),25.55(CH),25.91(CH,JCP=6.9Hz),31.74(CH),33.64(CH),68.18(CH,JCP=6.9Hz),68.28(CH,JCP=7.7Hz),68.79(CH),73.34(CH),74.86(CH),74.89(CH),74.25(CH),77.89(CH),78.01(CH),79.49(CH,JCP=6.8Hz),83.50(CH,JCP=3.0Hz),99.28(CH,JCP=3.1Hz),127.52(CH),127.59(CH,3C),127.75(CH),127.85(CH,2C),128.17(CH,2C),128.24(CH,2C),128.30(CH,2C),128.36(CH,2C),137.87(C),138.12(C),138.14(C).
HRMS(FAB)m/z: Calcd for C3646P(M+H),653.2879; Found 653.2886.
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(2−methyltrimethylene phosphonoyl)−β−D−glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:82%(diastereo ratio 80:20)
性状:白色非晶質粉末
異性体比 α体:β体=<1:99
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−[(1R,3R)−1,3−dimethyltrimethylene phosphornoyl]−β−D−glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:65%
性状:白色非晶質粉体
異性体比 α体:β体=0:100
H NMR(400MHz,CDCl):1.14−1.34(m,3H),1.34−1.56(m,9H),1.70−2.02(m,6H),3.49(ddd,J=9.9,5.1,1.9Hz 1H),3.59(t,J=9.2Hz,1H),3.61−3.72(m,2H),3.73(dd,J=10.8,2.0hz,1H),3.76(t,J=8.8Hz,1H),4.29(ddd,J=12.0,9.2,8.0Hz,1H),4.52(d,J=10.8Hz,1H),4.54(d,J=12.0Hz,1H),4.57(d,J=10.0Hz,1H),4.60(d,J=12.0Hz,1H),4.62−4.73(m,1H),4.73−4.84(m,1H),4.76(d,J=10.8Hz,1H),4.78(d,J=11.2Hz,1H),4.95(d,J=10.4Hz,1H),7.13−7.18(m,2H),7.23−7.35(m,11H),7.39−7.44(m,2H).
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−[(1S,3S)−1,3−dimethyltrimethylene phosphornoyl]−β−D− glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:81%
性状:白色非晶質粉体
異性体比 α体:β体=<1:99
H NMR(400MHz,CDCl):1.13−1.34(m,3H),1.34−1.58(m,9H),1.72−2.03(m,6H),3.49(ddd,J=9.8,5.0,2.0Hz,1H),3.59(t,J=9.4Hz,1H),3.62−3.71(m,2H),3.73(dd,J=11.2,2.0Hz,1H),3.73(t,J=8.8Hz,1H),4.29(ddd,J=11.4,9.2,7.8Hz,1H),4.52(d,J=10.8Hz,1H),4.54(d,J=12.0Hz,1H),4.56(d,J=7.6Hz,1H),4.59(d,J=12.0Hz,1H),4.62−4.72(m,1H),4.72−4.84(m,1H),4.75(d,J=10.4Hz,1H),4.79(d,J=10.8Hz,1H),4.98(d,J=10.8Hz,1H),7.14−7.20(m,2H),7.22−7.36(m,11H),7.39−7.45(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):21.35(CH,JCP=5.3Hz),21.75(CH,JCP=6.8Hz),23.92(CH),24.05(CH),25.59(CH),31.68(CH),33.52(CH),37.83(CH,JCP=6.8Hz),68.87(CH),72.61(CH,JCP=6.8Hz),73.24(CH,JCP=6.1Hz),73.31(CH),74.86(CH),74.92(CH),75.28(CH),77.77(CH,2C),79.45(CH,JCP=7.7Hz),83.80(CH,JCP=3.8Hz),99.45(CH,JCP=3.8Hz),127.46(CH),127.50(CH),127.57(CH,2C),127.69(CH),127.85(CH,2C),128.17(CH,4C),128.25(CH,2C),128.31(CH,2C),137.91(C),138.15(C),138.18(C).
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(1,1−dimethyltrimethylene phosphonoyl)−β−D− glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:40 %(diastereo ratio 67:33)
性状:白色非晶質粉体
異性体比 α体:β体=<1:99
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(1,1,3,3−tetramethyltrimethylene phosphonoyl)−β−D−glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:34%
性状:白色非晶質粉末
異性体比 α体:β体=<1:99
H NMR(400MHz,CDCl):1.16−2.12(m,24H),3.49(ddd,J=9.8,5.2,1.8Hz,1H),3.57(t,J=7.4Hz,1H),3.58−3.77(m,4H),4.34(ddd,J=11.8,9.0,7.8Hz,1H),4.48−4.62(m,4H),4.75(d,J=10.8Hz,1H),4.78(d,J=11.2Hz,1H),4.99(d,J=10.4Hz,1H),7.14−7.20(m,2H),7.22−7.35(m,11H),7.40−7.45(m,2H).
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(2,2−dimethyltrimethylene phosphonoyl)−β−D− glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:77%
性状:白色非晶質粉体
異性体比 α体:β体=0:100
H NMR(400MHz,CDCl):0.87(s,3H),1.12−1.58(m,8H),1.70−1.82(m,3H),1.90−2.04(m,2H),3.50(ddd,J=9.6,5.0,1.8Hz,1H),3.61(t,J=9.4Hz,1H),3.62−3.71(m,2H),3.73(dd,J=11.0,1.8Hz,1H),3.80(t,J=9.0Hz,1H),3.83−4.16(m,4H),4.22−4.32(m,1H),4.51−4.64(m,4H),4.78(d,J=10.4Hz,1H),4.79(d,J=11.2Hz,1H),4.95(d,J=10.4Hz,1H),7.15−7.21(m,2H),7.24−7.36(m,11H),7.37−7.44(m,2H).
Cyclohexyl 3,4,6−tri−O−benzyl−2−O−(benzylidene phosphoronoyl)−β−D−glucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:87%
性状:白色非晶質粉体
異性体比 α体:β体=<1:99
H NMR(400MHz,CDCl)1.17−1.68(m,5H),1.71−1.84(m,3H),1.90−2.02(m,2H),3.49(ddd,J=9.7,5.1,1.9Hz 1H),3.61(t,J=9.2Hz,1H),3.65(dd,J=10.8,5.2Hz,1H),3.64−3.74(m,1H),3.73(dd,J=11.0,1.8Hz,1H),3.75(t,J=9.0Hz,1H),4.39(dt,J=9.6,7.9Hz 1H),4.50−4.62(m,4H),4.78(d,J=10.4Hz,2H),4.97(d,J=10.8Hz,1H),5.04−5.32(m,4H),7.14−7.68(m,19H).
2,3,6−tir−O−benzyl−4−O−[3’,4’,6’−tri−O−benzyl−2’−O−(1,1,2,2−tetramethyldimethylene phosphonoyl)−β−D−glucopyranosyl]−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:56%
性状:白色非晶質粉体
異性体比 α体:β体=9:91
H NMR(400MHz,CDCl):1.30(s,3H),1.33(s,3H),1.38(s,3H),1.46(s,3H),3.34(br dd,J=9.6,2.8Hz,1H),3.42(t,J=9.4Hz,1H),3.47−3.56(m,3H),3.60−3.80(m,4H),3.95(dd,J=11.2,3.2Hz,1H),4.08(t,J=9.4Hz,1H),4.33(d,J=12.0Hz,1H),4.37(d,J=12.0Hz,1H),4.37−4.49(m,1H),4.50(d,J=9.6Hz,1H),4.50(d,J=12.0Hz,1H),4.58(d,J=8.0Hz,1H),4.63(d,J=10.0Hz,1H),4.68−4.76(m,6H),4.87(d,J=10.8Hz,1H),5.13(d,J=11.2Hz,1H),7.10−7.16(m,4H),7.18−7.35(m,27H),7.36−7.40(m,2H),7.54−7.60(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):23.69(CH,JCP=6.9Hz),23.87(CH,JCP=6.9Hz),24.11(CH,JCP=3.0Hz),24.43(CH,JCP=3.8Hz),68.27(CH),68.77(CH),73.27(CH),73.47(CH),74.74(CH),75.13(CH),75.21(CH),75.30(CH),75.68(CH),76.04(CH),77.88(CH),78.83(CH),79.67(CH,JCP=6.9Hz),79.79(CH),83.24(CH,JCP=3.8Hz),84.85(CH),87.09(CH),87.92(C),88.33(C),99.99(CH,JCP=3.9Hz),126.94(CH),127.21(CH),127.28(CH),127.34(CH,2C),127.39(CH),127.42(CH),127.52(CH),127.55(CH,3C),127.60(CH,2C),127.85(CH,2C),127.88(CH,6H),128.06(CH,2C),128.09(CH,4C),128.18(CH,2C),128.33(CH,2C),128.67(CH,2C),132.10(CH,2C),133.34(C),137.88(C),137.97(C),138.05(C),138.13(C),138.14(C),138.99(C).
HRMS(FAB)m/z: Calcd for C667413PS(M+H),1137.4588; Found 1137.4596.
6−O−[6’−O−tert−butyldimethylsilyl−2’−O−(2,2−dimethyltrimethylene phosphonoyl)−3’,4’−O−propyridene−β−D−glucopyranosyl]−2−O−(2,2−dimethyltrimethylene phospho noyl)−3,4−O−propyridene−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
収率:67%(α:β=9:91)
性状:白色非晶質粉末
異性体比 α体:β体=9:91
H NMR(400MHz,CDCl):0.07(s,6H),0.77(s,3H),0.89(s,3H),0.89(s,9H),1.19(s,3H),1.25(s,3H),1.34(s,3H),1.35(s,3H),1.51(s,3H),1.56(s,3H),3.70−4.28(m,17H),4.32−4.49(m,3H),4.61(d,J=8.0Hz,1H),4.86(d,J=8.8Hz,1H),7.22−7.36(m,3H),7.52−7.58(m,2H).
(保護基の脱離)
Deprotection of 2,3,6−tir−O−benzyl−4−O−[2’−O−acetyl−3’,4’,6’−tri−O−benzyl−β−D− glucopyranosyl]−β−D−thioglucopyranoside.
Figure 0004762973
実施例21で製造した2−ホスホノイル−1,2−グリコシド化合物(20.5mg,0.018mmol)に1,4−ジオキサン(0.50ml)のナトリウム(7.6mg,0.331mmol)溶液を室温で加え、2時間後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で中和した。有機層を分離し、水槽を酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を有機層と合わせて、飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮して残渣(20.5mg)を得た。該残渣は2位のホスホノイル基が除去されたアルコール体である。
該残渣(14.9mg)を塩化メチレン(0.5ml)に溶かし、無水酢酸(8.0mg,0.078mmol)、採りエチルアミン(8.0mg,0.079mmol)及DMAP(1.0mg,0.0082mmol)を室温で加えた。2時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、有機層を分離し、水槽を酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を有機層と合わせて、飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(silica gel 1.0g;elution with 30% ethyl acetate in hexane)で精製して、2−アセトキシグリコシド化合物を得た。
収率:90%
性状:白色非晶質粉末
H NMR(400MHz,CDCl):1.82(s,3H),3.20−3.27(m,1H),3.30(dt,J=9.9,2.7Hz,1H),3.35(t,J=9.2Hz,1H),3.39−3.48(m,2H),3.32−3.72(m,5H),3.87(t,J=9.6Hz,1H),4.22−4.32(m,2H),4.44(d,J=12.0Hz,2H),4.47−4.73(m,9H),4.88(dd,J=9.0,8.2Hz,1H),5.03(d,J=11.6Hz,1H),7.04−7.28(m,33H),7.43−7.49(m,2H).
13C NMR(100MHz,CDCl):21.08(CH),68.07(CH),68.60(CH),73.23(CH),73.52(CH),73.65(CH),74.87(CH),75.07(CH),75.16(CH),75.30(CH),75.39(CH),76.62(CH),77.98(CH),78.98(CH),80.23(CH),83.01(CH),84.75(CH),87.40(CH),100.28(CH),127.00(CH),127.30(CH,2C),127.39(CH,2C),127.44(CH,2C),127.57(CH,4C),127.60(CH),127.65(CH,2C),127.68(CH),127.79(CH,2C),127.96(CH,2C),128.04(CH,2C),128.13(CH,4C),128.26(CH,2C),128.30(CH,4C),128.72(CH,2C),131.85(CH,2C),133.52(C),137.73(C),137.87(C),137.90(C),137.96(C),138.06(C),138.94(C),169.09(C=O).
本発明によれば、フラノース化合物又はピラノース化合物の2位水酸基の保護基としてある特定のリン酸エステル(ホスホノイル基)をグリコシル化反応における糖供与体として用いることで、選択的に1,2−トランス型のグリコシド結合形成を行うことができ、オルトエステルに相当する副生成物の生成を抑えることができる。更に、任意に糖鎖の伸長を行うことを可能とした。

Claims (7)

  1. 式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物に式(2)で表されるアルコール化合物を作用させることを特微とする式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
    −Z (1)

    Figure 0004762973
    [式中、Zは基−S−R、基−SO−R、基−Se−R、基−O−C(=NH)CX、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR1、基−PO(ORを表す。ここでRは炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R、R、Rは同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。Aは下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    式中、R 及びR は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 及びR が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。]
    −OH (2)
    [式中、Qは炭素数1から4のアルキル基、非置換または任意の位置に置換基を有する炭素数5から8のシクロアルキル基又は下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    1は基−OA1、−OG、−N(J)(J)である。
    は以下に示す基、Gは糖水酸基の保護基、J及びJは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。
    Figure 0004762973
    ここでR2’及びR3’は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR2’及びR3’が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を表し(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)、m及びnは0又は1の整数を表す。Zは基−S−R1’、基−SO−R1’、基−Se−R1’、基−O−C(=NH)CX 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR1’、基−PO(OR1’基、−OGを表す。ここでR1’は炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表し、Gは糖水酸基の保護基を表す。R、R、Rは同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。]
    1a−O−Q (3)
    1a
    Figure 0004762973
    [式中、Q、A、E、、R、R本請求項においてすでに記載された通りである。
  2. 式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物に式(2a)で表されるアルコール化合物を作用させることを特微とする式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
    −Z (1)

    Figure 0004762973
    [式中、Zは基−S−R 、基−SO−R 、基−Se−R 、基−O−C(=NH)CX 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR 1 、基−PO(OR を表す。ここでR は炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。Aは下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    式中、R 及びR は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 及びR が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。]
    2a−OH (2a)
    [式中、Q2aは下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    は以下に示す基を表す。
    Figure 0004762973
    ここでR 2’ 及びR 3’ は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 2’ 及びR 3’ が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を表し(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)、m 及びn は0又は1の整数を表す。
    、R、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。メチレン基又はカルボニル基を表す。
    は基−S−R1’、基−SO−R1’、基−Se−R1’、基−O−C(=NH)CX 3、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR1’、基−PO(OR1’基を表す。R1’炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、Xハロゲン原子を表す。
    1a−O−Q2a (3a)
    [式中、Q1a は下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    2a 、A、E、R 、R 、R 本請求項においてすでに記載された通りである。
  3. 式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物に少なくとも1回以上式(2a)で表されるアルコール化合物を作用させる工程を繰り返すことを特微とする2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
    1a −O−Q 2a (3a)
    1a
    Figure 0004762973
    [式中、R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。
    Aは下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    式中、R 及びR は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 及びR が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。]
    2a
    Figure 0004762973
    [式中、
    は以下に示す基を表す。
    Figure 0004762973
    ここでR 2’ 及びR 3’ は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 2’ 及びR 3’ が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を表し(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)、m 及びn は0又は1の整数を表す。R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。E はメチレン基又はカルボニル基を表す。
    は基−S−R 1 、基−SO−R 1’ 、基−Se−R 1 、基−O−C(=NH)CX 3 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR 1 、基−PO(OR 1’ 基を表す。R 1 は炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するヘテロ芳香族基を表し、X はハロゲン原子を表す。]
    2a −OH (2a)
    [式中、Q a は本請求項においてすでに記載された通りである。]
  4. 式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物に塩基を作用させることを特徴とする式(4)で表される1,2−トランスグリコシド化合物の製造方法。
    1a −O−Q (3)
    1a
    Figure 0004762973
    [式中、R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。Aは下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    式中、R 及びR は、R 及びR が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。
    は炭素数1から4のアルキル基、非置換または任意の位置に置換基を有する炭素数5から8のシクロアルキル基又は下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    1 は基−OA 1 、−OG、−N(J )(J )である。
    は以下に示す基、Gは糖水酸基の保護基、J 及びJ は水素原子又はアミノ基の保護基を表す。
    Figure 0004762973
    ここでR 2’ 及びR 3’ は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 2’ 及びR 3’ が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を表し(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)、m 及びn は0又は1の整数を表す。Z は基−S−R 1 、基−SO−R 1 、基−Se−R 1 、基−O−C(=NH)CX 3 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR 1 、基−PO(OR 1 基、−OG を表す。ここでR 1’ は炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、X はハロゲン原子を表し、G は糖水酸基の保護基を表す。R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。E はメチレン基又はカルボニル基を表す。]
    −O−Q(4)

    Figure 0004762973
    [式中、R、R、R、Eは、本請求項においてすでに記載された通りである。は炭素数1から4のアルキル基、非置換または任意の位置に置換基を有する炭素数5から8のシクロアルキル基又は下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    は基−OH、−OG、−N(J)(J)である。
    、R、R、R、E1、G、J、J本請求項においてすでに記載された通りである。
  5. 式(1)で表される2−ホスホノイルピラノース化合物。
    −Z (1)

    Figure 0004762973
    [式中、Zは基−SO−R 、基−Se−R 、基−O−C(=NH)CX 、ハロゲン原子、基−P(OR 1 、基−PO(OR を表す。ここでR は炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。Aは下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    式中、R 及びR は、同一又は異なって、非置換または置換基を有するアリール基(ただし、フェニル基を除く)を表し、或いはR 及びR が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。]
  6. 式(3)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物。
    1a −O−Q (3)
    1a
    Figure 0004762973
    [式中、R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。Aは下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    式中、R 及びR は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 及びR が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。
    は炭素数1から4のアルキル基、非置換または任意の位置に置換基を有する炭素数5から8のシクロアルキル基又は下記の基を表す。
    Figure 0004762973
    1 は基−OA 1 、−OG、−N(J )(J )である。
    は以下に示す基、Gは糖水酸基の保護基、J 及びJ は水素原子又はアミノ基の保護基を表す。
    Figure 0004762973
    ここでR 2’ 及びR 3’ は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 2’ 及びR 3’ が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を表し(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)、m 及びn は0又は1の整数を表す。Z は基−S−R 1 、基−SO−R 1 、基−Se−R 1 、基−O−C(=NH)CX 3 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR 1 、基−PO(OR 1 基、−OG を表す。ここでR 1’ は炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基、ヘテロ芳香族基を表し、X はハロゲン原子を表し、G は糖水酸基の保護基を表す。R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。E はメチレン基又はカルボニル基を表す。]
  7. 式(3a)で表される2−ホスホノイル−1,2−トランスグリコシド化合物。
    1a −O−Q 2a (3a)
    1a
    Figure 0004762973

    [式中、R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。Eはメチレン基又はカルボニル基を表す。
    Aは下記の基を表わす。
    Figure 0004762973
    式中、R 及びR は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 及びR が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を示す(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)。m及びnは0又は1の整数を表す。]
    2a
    Figure 0004762973
    [式中、
    は以下に示す基を表す。
    Figure 0004762973
    ここでR 2’ 及びR 3’ は、同一又は異なって炭素数1から4のアルキル基、非置換または置換基を有するアリール基を表し、或いはR 2’ 及びR 3’ が互いに結合して炭素数2から4のアルキレン基を表し(該アルキレン基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されてもよく、フェニレン基を介していてもよい)、m 及びn は0又は1の整数を表す。R 、R 、R は同一又は異なって、糖水酸基の保護基を表す。E はメチレン基又はカルボニル基を表す。
    は基−S−R 1 、基−SO−R 1’ 、基−Se−R 1 、基−O−C(=NH)CX 3 、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、基−P(OR 1 、基−PO(OR 1’ 基を表す。R 1 は炭素数1から20のアルキル基、非置換または置換基を有するヘテロ芳香族基を表し、X はハロゲン原子を表す。]
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